いつだって現実って奴は容赦なく俺達を襲う。
一睡の安らぎからも引き剥がしこれでもかと見せ付ける。
自分の無能さを、無力さを、情けなさを頭を抑え見せ付ける。
最低野郎、屑のカス、そんなんとっくに解かっている、けれど。
夢の中にまでそいつが入り込んで来た時、もう駄目だと思った。
そして俺は決心した。全てを捨てようと決断した。
逃げてやる、逃げて逃げて逃げて、逃げ切ってやる。






おねえさんといっしょう外伝
- Ultimatum to Convicted -

presented by グフ様







噛み殺せないあくびが漏れる。
照明が消えて久しいホーム、長椅子に座りコートから煙草を取り出し、咥える。
けれど、火を付ける気力すら今は無く、吸い口をただ噛み締める。

「やる気、無くすんだよなぁ」

日々書き換えられる俺のステータスが今日、停止した。
潮が引くように消える噂、剥がされたメッキ、現れた地金。
上げたレベルのデータが吹き飛び一瞬でゼロになったように全てが消えた。
襲い来るかつて無い消失感、着の身着のままたまらずねぐらを飛び出して。
夜の街を彷徨い歩き気が付けば、街の出口、駅のホームに座っていた。

「ああ、楽しかったなあ」

夢うつつの時、狂ったんじゃない狂いたかったんだ。
けれど夢は醒めるのだ。醒めるからこそ夢なのだ。
地金が出て初めて思い知る現実。
とどのつまり俺にはそう、何も無い。

「さあ、何処へ行こうか」

不意に灯る明り、プラットホームの蛍光灯がひとつ、またひとつ。
今日が始まる、現実、その第一日目が始まろうとしている。

「俺は、何処へ帰ろうか」

ポケットの奥で握り締めた切符。
何処だって行けるさ、何処だって帰れるさ。
やり直そうなんて思わない、逃げて逃げて、逃げてやる。

「はははっ」

何だかんだで無残な人生、されど極上なライフ。
素敵だ、嗚呼素晴らしきかな我が生涯。
変わればいい? ふざけんな。
どこまでも後ろ向きで全力疾走。これが俺だ。

「いいさ」

そして俺は立ち上がる。
幻想に生きるのは容易く無い。
いつだって現実が邪魔をする、だから。

「逃げ切ってやる」

皺になった切符を放しポケットから手を出す。
ホームの果てから滑り込む始発、明け切らぬ未明の空を切り裂くライト。
眩しい光が俺を包む、くたびれたこの身体を照らし出す、応えるように腕を広げその光を出迎える。
さあ来い、さあ来い、もっと近くに、さあ来いよ、よし行こう。
眼前に列車、警笛、背後から甲高い怒鳴り声、震える足を一歩前に ── そして。



「ちぇぇえええええええええええすとおーーーーーっ!」



何かに蹴り飛ばされた。










Rubbish!
最低男と最高少女の七日間











第三新東京駅、当直駅員の勤務日誌より抜粋。

**月**日午前5時45分、始発列車入場時にホームにて一悶着有り。
騒ぎに急ぎ駆けつけた際に目撃したのは少女が中年男性に馬乗りとなって殴打するという驚愕たる光景。
間違いの無きよう平易な表現で繰り返し記載すれば"少女"が"中年男"をマウントポジションでフルボッコ。
やめてへぇ!らめぇ!と意味不明な嬌声を繰り返し鼻血垂らして泣き喚く中年男の胸部にまたがり
ごめんなさいは!? もうしませんは!? と説教しながら殴り続ける中高生らしき少女を諌め、詰所にて事情を聞く。
少女曰く、この男が始発列車に飛び込もうとしていたのを阻止する為に止むを得ず行なった措置だとの事。
息を吹き返した中年男性曰く、そんな事してねえし手前ぇの早とちりだバーカバーカと罵詈雑言を繰り返し。
警邏隊に引き渡すべく連絡を取る為、目を離した数瞬の隙に二人は逃走、その後の行方は知れず。

以上がその朝に起こったとされる小さな騒動の顛末である。
しかし、この記載は上長の閲覧の後しばし時を経て新たな文面に差し替えられる事となる。
其処にどの様な理由があったのかは定かではない。誰がそれを行なったかなど知る由も無い。
現在、日誌に記された当日の表記は下記の通りである。


始発より運行の乱れなく業務無事平穏にて遂行。
今日も神様は天に在り。世は全て事も無し。






DAY-1「少女A」






空が燃えている、と男は思う。
そんな赤だった。まるで血の様だとも思った。
陳腐な比喩、読み捨ての三文小説程度の表現しか出来ないのはきっと。
そう、未だずきりと軋む忌々しいこの頭痛のせいだ、と舌を打つ。
とにかく、その日の朝焼けは赤かった。

「バニラシェイクとブレンドコーヒー、お待ちどうさまでした」

注文を受け取り、少女は長い黒髪をなびかせて窓際のカウンターへと腰を降ろす。
眼の前にどん、と置かれたトレイを怪訝そうに見つめ隣に座るその男は自分の品に手を伸ばす。

「これでおあいこ、貸し借り無しだからね」

ひと言つぶやき、カップに口付ける黒髪の少女。
人形のような白い肌に栗色の大きな瞳、美少女って奴だな、と彼は素直にそう思う。
朝焼けに照らされる横顔、端正な顔立ちの中に時折垣間見える仄かな色香。
きっと将来とびきりの女になるだろう、いづれ数多の男どもを虜にするだろう、けれど。

「あによ」

ペーパータオルで拳にこびり付いた血痕を拭う姿はなんかもう台無しで。
このビッチめが、と心で毒づき男はまた舌を打つ。

「ふん」

少女の不満そうな問いに答えず、代わりに恨めしそうな目線を送る男。
ぢうぅ、と口に含んだシェイクのストローから汚い音を響かせて。

「言いたい事があるならいいなさいよ!」
「言いたい事がありすぎて困ってんだよ! 」
「だから悪かったって言ってんでしょうが!」
「それがヒトに謝る態度かてめえ!」

フンッと男の荒い鼻息でポンッ、と両穴に詰めたティッシュが吹き飛ぶ。

「てゆーかアレどう見ても飛び込みのポーズじゃない!ヨーイドンであの世っていう名のプールへドボンじゃない!」
「飛び込み? ふざけんな! 俺は早く列車に乗りたくてだな!」
「嘘だァ! つまりあたしアンタの命の恩人? なのにこっちが百歩、いや千歩譲って謝ってやってんのに何よそれ!」
「じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃぁよぉ!」
「じゃあは一回でいいわよ!」
「一万歩譲ってアレが一時の気の迷いだったとしよう、だがな!何処の世界に飛び込み止めんのに
 真空飛び膝蹴り食らわす奴が居るってんだよ! いい角度入ったじゃねえか! 一歩間違えればそっちでドボンだよ!」
「うっさい!神様から与えられた一回きりしかないチャンスをまんまドブに棄てるような奴なんて死んじゃえバインダー!」
「だからか!だからテメェその後すぐさまマウント取って鼻面の急所狙って何度も何度もストレート打ち込んだのか!
 本気だったろ!本気と書いてマジで息の根止めようとしてただろうテメエ! 」
「オ客サン」

突如背後から響くドスの効いた声。振り返れば静かに笑う屈強な男が一人。
オールバックの髪が後ろ手で縛られ口元に微笑みを、しかし目は黒鋼の様に鈍く光り。
胸元に名札、店長・瀬我留の文字。

「オ静カニセエヘント、イカンデ」

かつて、これほど迫力のあるカタコト関西弁はあっただろうか、いや無い。
少女と男はゴクリと同時に唾を飲み、えろうすんません、すんまへんと愛想笑いで返す。

「オオキニナ、ゴンブト」

ごんぶとって何? と思いつつもカウンターの奥に消えていく店長を愛想笑いで見送り。
ふう、とこれまた綺麗なユニゾンで溜息を吐き再び窓の外へ目を向ける二人。

「アンタ、名前は? 」
「人に名前尋ねるときゃあ、まず自分から名乗るもんだぜ」
「いやらしい」
「はぁッ!? 」
「しっ! 声大きいッ! 」

その瞬間バッと同時に振り返る二人。
しかし例のゴンブト店長は居らず、ふう、と再び安堵の溜息を吐き窓へと向き直り。

「俺の名はシン、英語で罪を表す名前さ」

と、斜に構え少しけだるそうなポーズを決め男が呟けば。

「ノブね」
「おいィ!」

少女が返す名前に再び鼻息荒くつっかかる中年男。

「俺をノブと言うな! 俺の名はシンだ! 二度とは言わぬ間違え」
「はいはいノブノブ」
「なんでだよ!なんで名前知ってんだよ!」
「あー、音読みと訓読みで同じ一文字の漢字あったからブラフかませたんだけど、当たりぃ?」

アンタひょっとして馬鹿ぁ? とクスクス笑う少女。

「クスクス笑うんじゃねえ!」
「クスクスクスクスクスクズ」
「てめえ最後クズったかおいィ!」
「オ客サァン」

地の底から響くようなその言葉に身を固め。
ギギギとブリキ人形の様に振り返ればそこに。

「次ヤッタラナ、シバクデ。ゴンブト」

だからそのゴンブトって何なんだよ、とは当然言える訳など無く。
ぺこぺこと頭を下げる少女と中年、作り笑いの二重奏。

「ねえ、あのひと」
「ああ、何人かヤッてるな」

二人の本能が囁く、彼に逆らってはいけないと。
仮にもし奴の胸倉を掴んだとしよう、その瞬間腕を逆手に取られくるりと回って一回転。
床に叩き伏せられた瞬間掌底を叩き込まれ良くて鼻骨陥没悪くて頭蓋骨破砕で昇天。
また背後から銃を突きつけたとしよう、その瞬間奴の掌に忍ばせたカードが真横に滑り両目を裂き
目が目があぁなどと叫ぶ暇無く腕を取られ手首外され背後からその太い二の腕が首をコキュッ。
つまり彼と絶対戦ってはいけない、そんな感じがしてならない、特に厨房では。

「ま、まあそれはともかく、だ」

怖すぎる考えを振り払い話題を変えようとノブが少女に問いかける。

「おめえ、学校は? 」
「休み」
「へえ」

窓の外、目覚め始めた街。今日が始まる。
硝子の向こうに広がる情景、駅前広場を早足で過ぎていく学生達。
この少女と同じ年頃、その姿を目に映しノブは再びへえ、と呟く。

「嘘だ、とか言わないのね」
「関係無いね」
「へえ」

真似すんな、と言う気力も萎えて眼の前を過ぎる風景を眺める。
男と少女が横に並び朝の窓際で、そのまま言葉も交わさずにただそれを見ている。
朝焼けは消え日は昇り空は雲ひとつ無い青空。やがてとろん、と落ちていく男の目蓋。
こういうのも悪くねえ、このまま寝ちまうか、と感じ始めた頃。

「おかあさん」

少女が不意に呟いたそのひと言がノブの目蓋を押し上げる。

「んあ? 」
「探しに来たの、お母さんを」
「へぇー」

そして再び目蓋を閉じようと。

「アンタねえ」

出来ませんでした。

「あんだよ、俺ぁねみーんだよ」
「聞きなさいよ」
「やだね」

ふあぁと大きな欠伸一つ。その瞬間、少女の両腕がノブの顔をガシリと掴み。

「聞け」

ぐきり、と変な音がした。

「普通思うでしょう? いたいけな女の子がまだ見ぬ母親を探しに見知らぬ街へ、嗚呼なんて健気なんでしょう!
 なんということでしょう! ああかわいそう! 僕で良ければ力になるよ、って同情するもんでしょうフツー」
「ぼくでよければちからになるよー」
「何で棒読みなのよ」

いたいけ? イケイケの間違いじゃねえのか。
けなげ? そうか毛なげえのか、ぼうぼうなのか、だからどうした。

「おめえ年いくつよ」
「じゅうよん」
「ほほう」

14才といえば中学二年生だわな、なるほど。
14才と言えばアレだ、花も恥らうお年頃だ、大和撫子ならそんなもんだ。
14才つうもんはそうだな、一般的にアレだ、仮に名前をうーんとヤマトナデシコだからナデコだとしよう。
つまりまあナデコつうもんはおとなしくて人見知りで子供の頃遊びに行った友達んちで偶然出会った友達の兄ちゃんに
ほのかな恋心とか抱いてだな、んでナデコ一人っ子だからおにいちゃんと呼んでいいですか?ってな具合でまあ
インプリされたヒヨコみたいな上目使いで頬染めたりしてな、そんなナデコも実はトキメキメトキスなお年頃。
遊びに行ったおにいちゃんの部屋でおもむろに服とか脱ぎ出して上半身裸で下ブルマなんつうカッコしたりしてだな。
んで、おにいちゃんオトナだからナデコの裸見てもエッチな事考えないよね、なんっつーてつまりアレよ誘い受け?
そんな風に青い果実を召し上がれつう感じでよお! いいなあナデコかわいいよ! かわいいよナデコ! だが真宵は俺の嫁。
つまりは何が言いたいかというと14才のしょうじょつうもんは大体がそんな感じだ。

だがてめえは違う。

14才の少女は出会い頭にいきなり沢村忠も吃驚の真空飛び膝蹴りなんか喰らわせねえし。
14才の少女は着地する瞬間足首で俺の頭を挟み自分の頭を振り子の錘のように使って後方に倒れこまねえし。
14才の少女はその瞬間自らの脚力で相手の上半身を前のめりにさせ俺の頭部をホームに強打させたりしねえし。
14才の少女はつまり真空飛び膝蹴り直後にフランケンシュタイナーぶちこむ強烈コンボなんか使わなねえし。
んでそのままマウント取ってタコ殴りフルボッコで手前ェの拳血塗れにしねえし、つかナデコそんな事しねえし。

「つまりおめえはナデコじゃねえんだよ!」
「いきなり何言ってんのよアンタは!」
「ナデコじゃねえ手前ェの身の上なんか聞いてられっか!」
「だからナデコって誰よ!」
「大体何だあ? 母親探しぃ? 馬鹿かおめえ、親は無くても子は育つんだ、そんなもんだ。
 それをちょいとしんみりしたフリして、おかあさぁんだぁ? んなもンに騙されるかバーカバーカ! 」
「あんたって、最低ッ!」

同時にビュンと風を切り鼻先に迫る少女の裏拳。
しかしそれを間一髪交わし椅子から飛び退き身構える男。
上等だあ、ちょいとお嬢さんには教育って奴があ必要のようだなあ。
などと不敵な笑みを浮かべゆらり、と腕を伸ばすノブ。

「明日兎霊阿殺法!いくさどりの構え!」

説明しよう。
明日兎霊阿殺法とは数有る古武術の中でもその存在を知る者など存在しない秘中の暗殺術である。
中でも戦鳥(いくさどり)とは名の示す通り獲物目掛け急降下する水鳥の如く敵を屠る伝説の禁手と言われる。
しかしその全貌を知る者は居ない、居る訳が無い、そんな者など存在しない、故に伝説なのである。

「くっ!」

その異様な姿を前に身を固める黒髪少女。身動き一つせず男を睨む。

「悪いなお嬢ちゃん、けどなあ、おめえがいけねえんだ。
 "不運"(ハードラック)と"踊"(ダンス)っちまったと思って"後悔"(ソーリー)しな」

彼女は動けない、否、動く事など出来はしない、何故なら。

「俺を本気にさせちまった事をなァ!」

少女は目が離せない。
顔面を引きつらせフラフラと片足で立ち両腕をVの字に掲げプルップルッと震えるノブ。
その背後から物音一つ立てずに忍び寄るあの男から目が離せない。
彼女は知らない、もちろんノブなんかは知る筈も無い。
このゴンブト店長が一体何者であるのかなど知ってはいけない。

「オキャクサアァン」

そう、彼こそは誰あろう。
マクドランランルー第三新東京駅前店にその人ありと恐れられた伝説の男、スティーブ瀬我流。
通称 ── 沈黙の店長。

「出テ行キヤガレ、ゴンブト」

叩き出されました。













赤い空、夕日。
綺麗だと素直に思う。終るにはいい日だとも。
錆びた鉄の欄干に手を掛け身を乗り出せば頬に当たるぬるりとやけに生温い風。
体温に似ているな、と俺は感じる。熱狂も情熱もとうに過ぎ去り残ったのは平熱。
狂おしいまでの興奮と苦悶の日々、浮かれ憂かれ打ちのめされ浮かび沈み弾け飛ぶ。
まるで高熱にうなされた夢の様、けれど熱が引き我に返れば何もかもが懐かしくも馬鹿らしい。
熱に浮かれて目が曇る、否、盲目。答えは直ぐ眼の前にあったというのに、それすら気付けずにいたとは。
羽織る白衣を風になびかせ俺は立つ。目の前の景色をただ目に映す、しばしその情景に見蕩れる。
ああ、なんて綺麗なのだろう。やはり世界は美しい。だからもう、終らせよう。
背中から声がする、誰かが俺の名を叫ぶ、何か答えたような気がする、けれどそんな事はどうでもいい。
そして一歩前へ、掴まれる白衣の裾、するりと抜ける腕、風を切り降下する身体、吹き付ける温い風。
十二階建ての空、僅か数瞬の旅、直後バンッとまるで大きな水風船が破裂する様な音、そして ── 暗転。

── 命棄てし愚者よ、貴様は我等が接収する。

暗闇の中、耳元で囁く重い声。
何かが告げる、降りるのは許さん、舞台裾に回れ、書割の裏で世界を紡げと。
我等は街に仕える者、宵闇から薄暮を渡る者、舞台を回す裏方、故に我等街師也。
あの日、俺の世界は反転した。



「んな事も、あったかねえ」



そして今、顔を上げれば昨日の雨が嘘の様な快晴。
洗いざらしの青空を見上げ煙草噴かす小太り店主。
木の手すりに肘を突き、ぽっぽぽっぽと白い輪っかが空へと消える。

「総主、こちらで」
「おう」

木造三階建ての天辺、物干し台で佇む背中に声を掛けるは白髪の青年。

「いいお天気で」
「まぁな」

見下ろせば眼下に広がる一面のバラック群、旧市街、湯元栄華の夢の跡。
黒い糸の様に伸びる電線の向こうに青空の下で霞むビル群、箱庭の街を瞳に写しその男がぼそりと呟く。

「俺はよう、本当なら、こんなあちこち電線だらけの街なんざ作りたかあなかったんだ」
「台無しですね、いきなり」
「けどまあ、どういう街にするってのを決めたのは俺じゃねえからな。仕方なくやってんだ」
「んじゃ、一体どういう街を作りたかったんです?」
「そうさなあ、こう、せせこましくたって良いんだ」

けどよ、と店主は笑う。

「どっからでも良い、あちこち伸びる煙突やらビルの谷間っからよう、間を縫って何時でも好きな時に
 街を見下ろせる場所へ抜け道があるような、どっからでも、どんだけ狭くったって良いから、
 空を覗き込む隙間があるような、そんな街が作りたかった」
「青空、ですか」
「何時だって晴れとは限らねえ。けれど、それでもよ。
 空が見えりゃあ、いつかはそこに青が塗りたくられてても、おかしかぁないだろう」

じゃ、切っちゃいますか、と何事も無く青年は笑う。馬鹿言うねい、と店主も笑う。
もしそれを命じたのなら号令一下、この街の空に張り巡らせた電線という電線は消え失せ
街の端々にはこの男の思い描く空の覗き窓が出来るだろう、その力が彼らにはある、けれど。

「所詮世迷言さあ」
「ですよねー」

そうなったら台無しだ。
この街はこうでなくては成らないからだ。
現場監督の意匠で変えられる程この舞台は甘くない。

「ところでキタ、おめえこんなトコで油売ってていいんか? 」

じろりと次期総主を睨む男。

「埋立ての現場指揮は今、ミナミが取り計らっておりますので万事順調に」

相変わらずも世は全て事も無しですよ、と白髪の青年キタが笑う。

「つうことは、よ」

現総主、臥乱堂の眼が細まる。小さく開いたまなこから垣間見える鈍い光。
青年のポーカーフェイスですら容易く射抜くその光、しかし口調はあくまでも呑気で。
昨夜消失した一つの舞台、ジオフロントの崩落、その後始末を自身の予備に任せキタがここに居る事実。
現在我々の最優先事項を放ってまで此処に顔を出したという事は、つまり。

「バグ、だな」
「おみそれしました」

形而上存在活動痕 ―― 彼等はそれをバグと呼ぶ。

「どう致しますか」
「いつも通りだ、こっちでやる」

俺の仕事だ、と総主が呟く。
そうですか、と首を振るキタ。

「ここ半年ぱったりでしたのにいきなり出ましたね。"下"の崩壊と関連あるんでしょうか」
「多分な、つうかここ半年が異常だったんさあ、そりゃ奴等だって息潜めるわ」
「異常 ―― ああ、確かに。加持さんの着任と重なりますね」
「王の帰還、真なるばけものの御前じゃあ下っ端どもはブルっちまうわ、そりゃ」
「でもあの方は未だここに」
「何かが終ったのさ、だからおっかなびっくり顔出して来たんさ、つまり」

始まるのさ、また何かが。
一言つぶやき口元に薄ら笑いを浮かべる臥乱堂。
所詮はまぁ俺の蒔いた種だしな、その呟きをキタはあえて聞き流す。

「場所は?」
「A-1です」
「新市街中央区画、新駅あたりか?」
「ですね、直ぐに消失した様ですが」
「これっきり、じゃねえよなあ」

あーめんどくせえなあ、と頭を掻くその姿は何故か楽しそうで。

「ま、とりあえず先に店開けとくか。キタ、暖簾出しとけ」
「合点承知、店長もお早く願います」

言うが早いか彼の姿は風の様に消え失せ。
トトトトトンと階段を駆け下りる音が耳に響く。
ふん、と一息吐き胸元からPEACEと描かれた両切タバコを一本抜く。
パイプに挿し吸い口を咥え火を灯せば立ち昇る紫煙。その先、見上げればやはり黒い電線と青い空。
やっぱ切っちまおうかなあ、と剣呑な思いを抱きつつもしばし眺める、しかし。

「ああん? 」

ふと見下ろせば路地の先で小さな喧騒。
目を凝らせば人影が二つ折り重なるように蠢く姿。
耳を澄ませば聞こえてくるのは甲高い少女の声と馴染み深いあいつの。

「ノブ、だよな」

聞き忘れようが無いあの声、つか昨日も聞いたし。
つうかアレ、声というより何かうめきっつうか絶叫つうか。

「何やってんだあいつ」

というか何やらかしたんだ、あいつ。と首を傾げる臥乱堂。
そう思うのも無理は無い。今彼が見ている二つの人影はどう見ても。

「つまりね、わたしお母さんの顔知らないの」
「ノォーッ!ノォーッ!」
「名前だけは知ってたんだけどね、別に探そうなんて思わなかったんだけど」
「チョーク!チョーク!」

そう、どう見てもアレは。
とつとつと語る少女に腕ひしぎ逆十字固めをガッチリ決められ泣き叫ぶ中年男に見える。

「それがね、つい先日何の気なしにネットで検索掛けてみたらね、なんかこの街に居たとか居ないとか」
「ブレイクッ!ブレイクッ!」
「別に今更どうこう言うつもりなんてないんだけど、まあ一生に一度くらいは会ってみても損はないかなーって」
「い、痛っィィ!」
「べ、べつに淋しかったとか、そ、そんな訳じゃないんだからねッ」
「お、折れるう!」
「ねえ、聞いてる?」
「効いてる! 効いてるって!」

どうやら聞いてはいないらしい。

「んもぅ!」

不満そうに少女はノブの肘をやや強めに力を入れ更にくいっくいっ、と引き絞る。

「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーっ!」

何故この男がこんな場所で少女に逆関節を決められヘブン状態なアヘ顔で絶叫しているかというと。
駅前のバーガーショップを沈黙の店長に叩き出された後、なおもしつこく付きまとう少女に嫌気が差し
隙を見てダッシュ掛けて朝から逃げ回っていたのはいいが元来体力のある方では無く、また昨夜から何も食べておらず
力尽きてこの路地で座り込んでいた所を背後から忍び寄って来たこの少女が突如ノブの肩に跳びつき、肩車に近い体勢を経て
前方回転して十字を極められてしまったのだ。これはいわゆるビクトル式と呼ばれるものでサンボの第一人者であるビクトル古賀に由来する。
ちなみに逆十字とはプロレスから派生した言葉であり国際柔道連盟等では"腕挫十字固"が正式な名称とされているがそんな事はどうでもいい。

「ねえ、ねえったらねえッ!」

しかし組み伏せた男からは ── へんじがない。

「おい、嬢ちゃん」

その代わり、少女の頭上から覗き込む様に問いかける男が一人。

「あ、えっと」

頬を染めつつ、それでも腕を離さない彼女を見て臥乱堂は苦笑する。

「こいつ、泡吹いてんぞ」

ただのしかばねのようだ。













ずず、ずずずずずっ。
ずぞぞ、ずぞぞぞぞぞっ。
昼時もとうに過ぎ、客が引いて久しい店内。
カウンターで一心不乱に蕎麦を啜る少女と男。

「ふうっ」

一息つき少女が額に浮き出た汗を拭う。
ぱさり、と垂れる横髪、艶帯びた黒髪をかき上げる白い手。
仄かな色香、おんなへの萌芽を匂わせるその仕草はそこはかとなく扇情を催し。

「ええですなあ」
「ヨダレ垂れてっぞ」

カウンター越しで口を半開きに呆けるザ・ノースことキタ青年。
やれやれ、と臥乱堂は隣に座り開いた新聞の隙間から眼の前の少女を覗く。
綺麗な娘だな、えらくべっぴんさんじゃあないか、なるほど、と一人頷く店主。

「はい? 」

彼の視線に気付き箸を止め軽く首を傾ける少女。

「いや、なに」

ぱさり、と新聞の上半分を折り顔を出し店主が笑う。

「嬢ちゃん、うまいか? 」
「はい、とっても」
「そっか」

このひと店長さん、だよね?
なんか優しい眼だな、と彼女は思う。

「たんと食いな、どうせこいつの奢りだ」

ぶはぉと噴出したノブの鼻から垂れる蕎麦。

「なんでよ!なんでそうなんのよ臥さん!」
「やかましい」
「悪いのこいつだぜ! むしろこっちが奢って欲しいくらいで!」

一息でまくし立て隣を指差すノブ。鼻から麺を垂らす男の指を器用に箸で掴む少女。
あの後、店先のホースで水をぶっかけ、それでも眼を覚まさなかったのでタライで殴り叩き起こし。
気付けのアルゼンチンバックブリーカーを掛け事情を聞きだした所かくかくしかじか、しかし。

「あー、それだけどなノブ」
「なんだよ」
「お前が悪い」
「なんでよ!」

ふう、と今日何度目かの溜息を付き新聞を折りたたむ。
そして、ゆらりと立ち上がり微笑みを絶やさずにカウンター越しから腕を伸ばし。
がしっと大きな手の平でノブの顔面を掴む臥乱堂。

「てめえ、ウチのツケ踏み倒して街出ようたあ、いい根性してんじゃねーか」
「いたいいたいいたいたいたいたぁーーーーい!」

ノブの頬に目尻に額に頭頂部に食い込むアイアンクロー。
正式名称ブレーン・クロー。別名、脳天締め、鉄の爪とも呼ばれ、かのフリッツ・フォン・エリックが以下略。

「まあまあ店長、ぬっころすなら裏で、それよりもお嬢さん」

にこにことやけに上機嫌な白髪の青年が口元をだらしなく緩ませる、そして。
はい、と菜箸で摘まれた先、湯気の立つ揚げたてのごぼ天を少女の持つ椀に入れるキタ。

「キミ、可愛いからオマケしちゃう」
「嬉しい! ありがとー」
「あ、俺コロッケ追加で」
「チッ」

いつのまにか復活したノブの言葉にキタは舌打ち、解凍前のコロッケを彼の椀に放る。
ドボン、と着水したカッチカチの塊は蕎麦ツユを撒き散らし。

「ほっほーう」

前髪から浴びた出汁を滴らせノブがゆらありと後ずさり。

「敵か、俺以外みんな敵だな!」

横を見れば逆関節小娘、真正面に鉄の爪。
四面楚歌の立喰い処マッハ軒。渡る世間はオーガばかり。
ならばと左斜め前方のキタにターゲットロックオン。

「小僧、いい根性してんじゃねえか」

邪(よこしま)な笑い、縮めて言えば邪笑を口元に浮かべノブの上半身が左右に揺れる。
まるでそれは、さながら裸電球の下で繰り広げられる暗黒舞踏の様で。

「遂に俺のバリツを見せる時が来たようだなぁ!」

説明しよう、いや説明させてくれ。
バリツとは日本古来の武術が海を渡り大英帝国で独自の進化を遂げたいわばイギリス拳法みたいなものである。
名探偵シャーロック・ホームズがこれを用い宿敵モリアーティ教授をラインバッハの滝に叩き落した事は皆様もご存知であろう。
近年では英国陸軍第22SAS連隊にも採用され冷戦時代は"東のシステマ・西のバリツ"と恐れられ2012年のロンドン五輪において
正式種目に加えられたのも記憶に新しい。なおSAS出身の冒険家ベア・グリルスもバリツの使い手であり、卓越したその技を使い
今日も世界の秘境で良質なタンパク質を捕獲し摂取しまくっているとの噂も有る。
つまりバリツとは新潟弁で言えば、なまらがっとな技なのである!

「ふん、その程度の技など」

クククッと中二病的な笑みを浮かべ左手で眼をギアスっぽく覆うキタ。
数瞬の後、銀髪を書き上げればそこにはいつの間にやらオッドアイ。
装着、毎度お馴染みブルー・アンド・レッドカラーコンタクト。

「アルファブロガー(笑)を目指す私には児戯にも等しいッ!」

台詞の中に(笑)を入れるのもどうかと思うが一応説明しよう。
アルファブロガーとは、例えば道行く仲睦まじい母娘が居るとしよう。
その時娘が、ねぇママ、あるふぁぶろがぁってなぁに? と尋ねたとする。
突如鬼の様な形相で顔面を紅潮させる母親。そ、そんな恥ずかしい事聞くもんじゃありません!
と娘を抱え尻を剥き出し1000%スパンキング。つまりアルファブロガァとはそれほどまでにおぞましく
中京圏の言語で言えば、でらおそぎゃあな存在なのだ!

「クィィィィィーーーンズ、イィィーーングリッシュ!」
「ブロゴスフィアァァァァァァァッーーーーーーー! 」

それは既に獣の咆哮。
自称バリツマスター対目指せアルファブロガー(笑)
意味不明な言語をわめき火花を散らす中年と青年。

「エイコックブンセィエキカァァァーーン!」
「ハテナァブックマァァァァァーーク!」
「やかましい! 」

すかさず鋼鉄お玉で二人の額をゴッゴッと強打する店主。

「ヘイトッ!」
「カラコン!痛ッ!カラコンずれ痛ッ! 」

カウンターを挟みその場にうずくまるノブとキタ。

「あはっ」

その様子を見て少女が笑う。

「あはははははははははっ」

口元に手を当て、心底嬉しそうに少女が笑う。

「あー、可笑しい」

目尻から涙を光らせ笑うその姿に毒気を抜かれ、やがて立ち上がる二人。

「へえ」

ノブも微笑む。

「そんな顔も出来るんか」

うっさいわよ、と頬膨らます黒髪少女。
その姿は年相応に無邪気な顔で。

「ほら、せっかく貰ったんだ、早よ食え」

カウンターに肘を突き微笑むその男を見やり、少女はしぶしぶ椀を取る。
口にごぼ天をほうばりながら彼女は思う。ふん、あんたこそそんな笑顔出来るんじゃない、と。
その様子をカウンターの奥からニヤニヤ笑いながら見つめる店主と見習い。

「あんだよ」
「何でもねえよ」
「このろりこんが」
「てめえッ」
「ごちそうさまでした」

食べ終えた少女が箸を置き手を合わせ、軽く一礼。
腕を伸ばし椀を取り片付ける店主、そして。

「さぁて」

少女に向き直り改めて問う臥乱堂。

「オフクロさん、探しに来たんだって? 」

はい、と小さく呟くその口。
けれども栗色の瞳は決して目を逸らさずに彼を見る。
いい目だ、真っ直ぐな眼だ、だからこそ。

「手伝ってやろうか?」

その言葉に少し戸惑い、横の男に顔を向ければ。

「ラッキーだな。この人こう見えて、この街の顔役みたいなもんだからよ」

良かったな、色々手間省けてよ、と笑うノブ。

「で、でもあたし、何の御礼も、その」

お金もあんまり持ってないし、と徐々に小さくなって行く語尾。

「ああなるほど。でもこっちはまあ、道楽みてえなもんだし」
「けど、そんな」

まあそうだよな、と臥乱堂は察する。
今日会ったばかりの見ず知らず、しかも得体の知れねえ奴がいきなり手伝うだ御代はいらねえわ、だ。
何か裏があんじゃねえのかって怪しむわなあ、うーんどうすっかなあ。

「良かったな、それじゃ俺はお役御免、つう事で」

んじゃ、と踵を返そうとするノブ。
その姿を追い一瞬、揺れる少女の瞳。
二人の姿を眼に映し、あ、これだ、と膝を打つ店主。

「御代は心配すんな。こいつのツケに上乗せしておくから」
「うぉい! 」
「てことで嬢ちゃん、それまでコイツが逃げねえように見張っててくれっか」
「ちょい待てぇ! 」
「はい! 」
「って何元気に返事してんだよオメエはッ! 」

半泣きで叫ぶノブとけたけた笑う少女を見て、これでいいな、と街師総主は思う。
手綱を完全に握れた訳ではないが今後の動きは封ぜる、少なくとも我等の手の届く場所に。
さて、それでは蓋を開けようか。鬼と出るか蛇と出るか、全ては開けてのお楽しみ、と。

「嬢ちゃん、名前は? 」

店主は彼女に問いながら横目でちらりとキタを見る。
承知とばかりに彼は即座にカウンターをくぐり入り口の戸を開け、店先に吊るした暖簾に手を掛ける。

「あ、えと、マリです。マキナミ・マリ」
「ふーんマリちゃんか、いい名前だ」

腕を組みうんうん、いい名前だと感心したように頷く臥乱堂。
確かにいい名前だ ── 即席で考えたにしては。

「あと、お母さんの名前は」
「ストップ」

マリと名乗った少女を手で制し、そして。

「本当の名前は?」

その言葉に固まる少女の顔。
何の事か解からないノブはぽかんと口を開けたまま。
次の瞬間、じわりと彼女の瞳から涙。おかしいな、なんでだろう。
宵闇の中のドライアイ、何故かやけに眼が乾く。

「目、痛むのかい?」

その声に振り向けば戸口に立つ黒服の青年。
下げた暖簾を肩に掛け、あくまでも優しく笑うキタ。

「あ、えと、何か乾燥してるっぽくて」
「コンタクト、外したら?」

馴れないカラコンは眼に悪いよ、知ってた?
あくまでも優しく、悪魔の様に優しく囁く次期総主。

「ついでにウィッグも」

入り口に立つその姿は、まるで門を守る番人のようで。
ああそうかと少女は思う。恐怖だ、眼の前に立つその存在を前に身体が悲鳴を上げている。

「おいキタ、それに臥さん、一体何を」
「いいの」

ノブの言葉を止めた少女が正面の臥乱堂に向き直る。
カウンターの奥で微笑む小太り店主、その顔は相変わらず優しくて ── 怖い。

「オフクロさんの話は本当なんだな? 」
「はい」
「探したいという気持ちは? 」
「嘘偽りはありません」
「よろしい」

ならば、と街師総主は告げる。
声色を変え、否、戻し、眼前の少女に告げる。

「偽りの姿を解き、真名を述べよ」

その声はまるで地の底から湧き出でた様に暗く、重い。

「ちょっと待てよおめえら! こんな小娘に寄ってたかって」
「ノブさん」

叫ぶ男を制し静かに首を振るキタ。
耳元で彼は囁く。見てなさい第一幕が上がりますよ、と。

「すいませんでした」

白いてのひらで目元に覆う少女。
閉じられる眼、手を降ろせば指先に張り付いた栗色のコンタクト。
そして瞳を開く。現れる鮮やかなブルー。

「おめえ、一体」

声を漏らすノブを一瞥し碧眼の少女は自身の髪に手を掛ける。
ずるり、と崩れ落ちる黒髪、その下から現れたもの。
纏めた後髪に手を回しピンを外す、そして軽く頭を振れば息を吹き返す地毛。
仄暗い店内、その中空を舞う赤みの掛かる鮮やかで深い金色。

「なるほど」

と総主は呟く、彼はそれを経験で看過した。

「そういう事か」

とキタが呟く。彼はそれを本能で理解した。

「え、えええ? 」

一人事情が飲み込めずノブだけがただ立ち尽くす。

「よろしくお願いします」

彼らに一礼する金髪碧眼の少女。






「式波アスカ、です」





かくして役者は舞台の上に。
さあ、物語を始めよう。










おねえさんといっしょう外伝
- Ultimatum to Convicted -

Rubbish!
最低男と最高少女の七日間 

DAY-1「少女A」/了






To be continued...
(2009.12.19 初版)


■次回予告■

閉店間際のスーパー。
人はそれを戦場と呼ぶ。
惣菜売場という名のキリングフィールド。
男と少女と有象無象、値引き弁当は誰の手に。
襲い来る獣が三匹、少女はカートをぶん投げる。
しかし男の背後に忍び寄る謎のガチムチマッチョメン。
奴は叫ぶ、弾劾キックと。だが男の手には菓子折りが!

次回、おねえさんといっしょう外伝Rubbish!
DAY-2「母親K」

さあ次回も自重!サービス自重!サービス



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