サードインパクト

全ての生命が”個”を失くしした忌わしい出来事。

碇シンジは人類の、全ての生命の存続を選んだ、しかし彼を待っていたのは栄光や賞賛ではなかった。

待っていたのは非難、侮蔑、そして偽りの真実だった。



国際裁判所、ここではサードインパクトの実行者として碇シンジが在た。



「彼はゼーレの尖兵として、特務機関に入り込み様々な人類滅亡の工作を行なってきた。そして先のサードインパクトにて億単位の死者を出したのである。」



そう、彼はあの日、初号機から降りていくとすぐさま拘束された。

理由も分からず気付いてみれば自分がサードインパクトの実行者として祭り上げられたのである。

裁判の証人として彼の関係者が多く出廷した。


碇ゲンドウ・冬月コウゾウ・赤木リツコ・葛城ミサト・伊吹マヤ・青葉シゲル・日向マコト・惣流アスカラングレー・洞木ヒカリ・鈴原トウジ・相田ケンスケ・その他クラスメートや教師たち


中には加持リョウジ・霧島マナなど死んだ筈の人間も還ってきた。

しかも彼らは口をそれえて 碇シンジが悪だということを証言した。


碇シンジはショックだった。

実の親から、家族だといって言ってくれた者が、戦いをサポートしてくれた者が、真実ばかりを追いかけていた者から、戦友から、友達から、そのようなことを言われるとは思ってもいなかった。

提出された資料はMAGIによって全てが改竄されていた。

ネルフにとって都合の悪い事実、失態、結果は全てシンジが原因であるということになっていた。



少年は確信した。

“自分は生贄にされたんだ”



そして最後の証人・・・戦友であり、少年が最も愛していた少女“綾波レイ”

少年は彼女だけは自分を守ってくれるはずだと思っていた、しかし・・・・・






「はい、彼が全ての諸悪の根源です。」






少年は絶望した、彼女だけは真実を明かしてくれることを、そうでなくても自分を庇ってくれることを・・・


判決は死刑。

判決後すぐさま執行された、所詮は口封じでしかない・・・

処刑は全世界に公開された。

それを見たもの達は気づいてはいなかった、死の間際というのにも関わらず彼が笑っていたことに・・・











21世紀に大きな戦争がありました



それは、人類と使徒との戦争でした



言葉では到底語りきれない激しい戦いの末、勝ったのは人類の方でした



月日は流れ2018年になりました



そして人々は、真の英雄を忘れていったのです











エヴァンゲリオン交響曲

第一話 偽りの英雄達

presented by 黒き風様











サードインパクトから3年、ネルフはエヴァというオーバーテクノロジーを管理する学術機関であり、世界各国の紛争などの調停等をそして“新たなる使徒”の迎撃機関でもあった。

それは“裏死海文書”から新たに発見された一節に『新たなる力を得た使徒が再び襲来する』というものだった。

これを国連に報告し、先の使徒大戦にて勝利したネルフは使徒迎撃を任され、それに備え新たなエヴァンゲリオン、そしてチルドレンを得ることになった。




現在、ネルフ第二発令所では大勢のオペレーターが使徒襲来の警報をバックミュージックに慌しく動いている。


「現在、未確認飛行物体が第三新東京市に向けて進行中!」
「国連軍から入電、攻撃は全く通じないようです!」
「民間人の退避完了まで後12分!」
「総員、第一種戦闘配置!!!」




「本当に現れたのね、使徒が・・・」


赤いジャケットを着た女性が呟いた。

彼女の名は葛城ミサト。

先の使徒大戦において作戦部長としてチルドレンとエヴァを指揮し見事に勝利を収めたとして有名になり、現在は二佐へと昇格している。


「新たに裏死海文書から発見された一節のことがあったとしても、やはり驚くわね・・・」


白衣を着た金髪黒眉の女性がそれに答える。

赤木リツコ、彼女は以前と同じく技術部長としての地位にいる。彼女も先の大戦にてネルフに貢献したとして更に有名になった。


「まぁそのお陰で新しいエヴァにチルドレンを確保する時間的猶予が得られたんだけどね・・・」

「えぇ、しかもシンクロ技術も進化できたわ、これで近親者をコアに取り込まずに済むのよ。」

研究を重ねた結果、誰でもエヴァとシンクロできるようになったのである。

「ですが実験を重ねた結果、最もシンクロに適しているのは10代の少年少女だったというのはやはり厳しいですね。」

リツコの助手伊吹マヤが呟いた。

実験の結果EVAのシンクロには大人より10代の少年少女が適していることが分かったのだ。

「仕方がないわ、使徒を倒さない限り人類に未来はないもの。」

ミサトは諭すように言った。しかしその瞳は嬉々していた。



ミサトはこの3年、使徒を倒した有能な若き(?)天才指揮官として賞賛の日々を送ってきたのである。

彼女はここでまた自分の指揮で使徒を倒せば更なる名誉が手に入ると考えていて、内心使徒がが来たことを喜んでいた。



「映像が出ます!」

ロンゲのオペレーター、青葉シゲルが叫んだ。

スクリーンに映された使徒、それを見た発令所の面々は驚愕した。

それは、先の使徒大戦にて見てきた使徒とは全く違うものだった、否、使徒には見えなかった。



それはあからさまにロボットに見え、ヒヨコの形をした飛行ロボットだった。

巨体に似合わない機動力を持ち、国連軍の攻撃を掻い潜り、口から出す火炎弾と翼から発射される羽で軍や町を破壊している。





「何よ、あれ!あれが使徒だっていうの!!!」

「はい、あの飛行物体からはATフィールドの発生が確認されています!!」

メガネのオペレーター日向マコトが叫んだ。

ちなみに彼は未だにミサトのことを想っている。

その理由としてサードインパクトから何故か還って来た加持リョウジがミサトを振ったことにより自分にチャンスが巡ってきたと考えているからである。

ちなみに加持リョウジはシンジの処刑が終わった後、ネルフ、内調からも足を洗い、隠居生活をしている。




「碇、これが“新たなる力を得た使徒”なのか?」

「あぁ、恐らくそうだろう。」


発令所最上階には碇ゲンドウと冬月コウゾウ。

彼らは共にネルフの司令、副指令として今も君臨する。ちなみに彼らはサードインパクト以来、初号機から碇ユイのサルベージする為の研究にに執心している。

そのため“新たなる使徒襲来”までは学術機関としての活動に尽力していた。



彼らはわが身可愛さにサードインパクトの責任を碇シンジに着せることにより自分達は保身はおろか、栄光をも手に入れたのである。


碇シンジの悪を強くするために彼らは・・・


サキエル戦にていきなりの暴走
シャムシエル戦にてトウジとケンスケがシェルターの外に出たこと
ラミエル戦にて威力偵察もせず使徒の前に出したこと
ヤシマ作戦時に第一射が外れたこと
ガギエル戦にて太平洋艦隊に使徒が現れたこと
イスラフェル戦での敗退
サンダルフォン戦のA−17発令による日本経済への大打撃
マトリエル襲来時のネルフの停電
サハクィエル戦での無謀な作戦
イロウルの侵入
レリエル戦ディラックの海に飲み込まれた初号機(このときレイが乗っていた、ということになっている)
使徒による三号機侵食
ゼルエル戦による大規模被害(ギリギリまで搭乗しなかったから)
アラエル戦でアスカが精神汚染されたこと
アラミサエル戦にて零号機の自爆
使徒がチルドレンとしてネルフ最深部に侵入


・・・などあることないこと全てがシンジのせいにした。


ほかにも某国で数万人の餓死者や難民が出たり、第三使徒の時にN2地雷でシェルターの中の民間人が犠牲になったこと、JAの暴走、第二支部消滅、戦自がネルフ本部を襲撃したこともすべてゼーレの手先のシンジのせいに無理矢理したのだ。




「ミサト、エヴァはどうするの?」

「・・・アスカを6号機で、バックアップに鈴原君を7号機で!!」

尚、現在チルドレンは1stチルドレン綾波レイ、2ndチルドレン惣流・アスカ・ラングレー、4thチルドレン鈴原トウジ、6thチルドレン相田ケンスケ、7thチルドレン霧島マナが存在している。

レイとアスカに関しては使徒大戦にて多大な功績を残したので蒼銀の天使紅蓮の女神等の二つ名を手にするまで有名になった。

(シンジが操る初号機が最も多くの使徒を倒したという事実は改竄されている。しかも出撃拒否・逃走の為に、民間人やNERVの被害が多くなったという事実を強調させた)


「彼・・・8thチルドレン、芹名(せりな)ボッカ君は出撃させないの?」

「・・・・彼は一番新しいチルドレン、訓練時間もレイとアスカ以外の子たちよりかなり短いわ」

(全く・・・相性最悪ね、彼ら・・・)


銀色がかった、淡い紫色の髪を持つ青年。

芹名ボッカ、彼は半年前に国連のある機関よって発見された適格者であり、多くの志願者の中、汎用コアで最も高いシンクロ率とハーモニクスを叩き出した。

(マナも高いがボッカほどではない、ケンスケとトウジに関しては以前からチルドレン候補生としてのデータが影響している。(ちなみに3人がシンジの友人だったことが影響し、口封じとして選出されてもいる。どちらかは不明だが))

またチルドレンになるまでは国連軍の特殊部隊に志願兵として登録されており、戦闘技術は勿論、戦闘指揮能力もズバ抜けている。

チルドレンとして訓練をしている時もその能力は発揮され、訓練の成績はトップである。ちなみにアスカはこのことを、

『ふん、訓練ではいい成積を出してるようだけどシンクロ率は大したことないじゃない。(アスカ主観)それに実戦でこれが活かせるかどうかわかんないじゃない!』

と大見栄をきったのである。

そんでもってボッカとミサトは仲が悪い。

というよりミサトが一方的に嫌っているのである。

それは訓練中にボッカがミサトの指示等を悉く意見したからである。

彼はミサトの指示の矛盾点や問題点など指摘し改善の要求をしただけなのだが、ミサトにとっては自分の完璧な指示にイチャモンつけられた様なものなのでいい気はしない。

そのことで2人はしばしば衝突を繰り返していた。

ちなみにこのことでミサトを慕っているトウジ、ケンスケもボッカのことを嫌っている。




そしてエヴァ6、7号機のスタンバイが着々と進められる。

「作戦を伝えます。敵は自由自在に空を飛びまわっているわ、6号機は中距離を保ちつつパレットガンで攻撃、6号機は遠距離からスナイパーライフルで攻撃して!そして隙が出来次第一気に接近戦でカタをつけるのよ!!」


「わかったわ、ミサト!!」
「了解です、ミサトさん!!」

赤いプラグスーツのアスカと黒いプラグスーツのトウジは軽快に答える。

「くそー俺も出撃したかったな〜」
「仕方ないわよ、命令なんだから。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

スクリーンの脇には何時出撃命令が来てもいいようにエントリープラグ内でスタンバイしている他のチルドレンが映し出されていた。

黄色いプラグスーツの相田ケンスケ、茶色のプラグスーツの霧島マナ、白いプラグスーツの綾波レイ、そして藍色のプラグスーツを着た芹名ボッカ。

そんな中オペレーター達が6号機と7号機の起動準備が進められる。



「主電源回路接続。」
「全回路動力伝達。」
「稼働電圧臨界点突破しました。」
「第2次コンタクト開始!」
「パルス送信します。」
「A10神経接続異常なし。」
「初期コンタクト全て異常なし。」
「双方向回線開きます!」
 シンクロ曲線が同調を始める。
「エヴァンゲリオン6号機シンクロ率92.8%、7号機54.1%」
「ハーモニクス全て正常位置」
「エヴァンゲリオン6号機、7号機、起動しました!!」



因みにエヴァ6号機、7号機は2号機、3号機を模して色は赤と黒である。

レイの駆る5号機も零号機同様、青色である。

因みにケンスケの8号機は黄色、マナの9号機は緑色、10号機は銀色であった。



「司令、構いませんね?」

「ああ、使徒を倒さない限り我々に未来はない!」

「エヴァンゲリオン6号機、7号機、発進!!」



地上に6号機と7号機が出てきた。

武装ビルからそれぞれパレットガンとスナイパーライフルを装備し、戦闘体勢に入る。

その時、発令所に通信が入る

「どうしたの!?」

「はい、外部通信です、発信元は・・・も、目標からです!!!



「「「「「!!!!!!!!!!」」」」」



発令所全体から驚きの声が上がった。それもそうだろう、先の大戦でもこのような事態はなかったからだ。

「繋ぐんだ。」

ゲンドウが命令する

「了解!」

青葉が命令を実行する

その時スクリーンにメタリックなボンテージにコケシの仮面を被った女性が映し出された。誰がどう見ても人間に見えたが先の大戦では人型の使徒が確認されたので誰も大した驚きはしなかった。

そしてスクリーンの女性が喋った。


「私はモンスター様より使徒の力を頂いた、モンスターユニオンのエージェント、コードネーム“ミッドナイトひよこ”だ!!!」



(((((・・・・・・・・・・・?)))))



全員面を喰らった。
(モンスター様?・・・使徒の力を貰った?・・・モンスターユニオン?・・・ミッドナイトひよこ?)

「何ふざけてんのよ、あいつ!!」
アスカ、ご立腹。

「ふざけとんのか、ワレ!!」
トウジも同じく。

「アスカ、トウジ君、冷静に!!仮にも相手はATフィールドを使っているのよ。油断しないで。」

ここで冷静にリツコが諭す

(使徒の力を頂いた・・・つまり彼女は人間?さっきの言動からみて組織だっているものが見えるわね・・・そしてその上層部には使徒の力、ATフィールドを与えるものがいる!?・・・そしてその者こそ裏死海文書に書かれていた“新たなる力を得た使徒”!!)

この状況下でもリツコは冷静に分析する。

「そうね、アスカ、トウジ君!作戦開始よ!!」

ミサトが声高らかに言った。



(ふふふ・・・モンスター様の命令どうり、エヴァンゲリオンを破壊してやる!“ディスカウントうりぼう”め、見てろ・・・私の華麗なロボット怪獣ぶりを見せてやる)



まず6号機がATフィールドを中和してパレットガンをロボット怪獣に乱射する。

しかしロボット怪獣はその機動力でうまくそれを避けていく。

勿論、7号機のスナイパーライフルも狙いをうまく定められない。


ロボット怪獣はEVAの攻撃を避けると上空から広範囲及ぶ羽攻撃を乱射する。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うわぁああぁぁぁぁぁ!」



しかもこの攻撃は弾切れを考えさせないいように連射されていく。

「損害は!?」

2人の悲鳴にミサトは慌ててオペレーターのに聞いた。

「エヴァ自体には大した損害はありません!しかし攻撃が余りに連続されているのでエヴァのフィードバックによるパイロットへのダメージが深刻です。」

マヤが叫ぶように報告した。

「チィ、アスカ!何やってんの、目標に攻撃しなさい!!」

「駄目よミサト、相手の攻撃が連続しすぎていて、とてもじゃないけど照準は合わせられないわ!!」

「兵装ビルの援護は!!」

「駄目です!目標の広範囲な攻撃で射程範囲内の兵装ビルは全て破壊されています!!」

「何ですって!!」


ミサトとリツコ、オペレーターは水掛け論の如く言葉を発する。

「マヤ、EVA各機のシンクロ率を40%まで下げて!!」

リツコはエヴァのフィードバックを抑えようとした。

「駄目よ!そんなことしたらエヴァの動きが鈍くなるわ!!やめなさい、これは作戦部長命令です!!」

「じゃあ、どうするの!?」


「そ、・・・それは今考えるわ!!」


((((おい、おい、それでいいのかよ!!!))))


ミサトの呆れた発言に発令所の面々は考えをシンクロさせた。




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?









それから1分、まだミサトからは何の指示も作戦も出ない。

ちなみにエヴァは先程から攻撃を受け続けているので装甲にも大分ダメージが現れてきた。

当然パイロットにも激痛が襲っていた。

こんな状況でも未だに作戦を考案中の作戦部長。

どうやらこの3年、彼女は名声に溺れて怠惰な人生を送ったことにより(それ以前からもそうだったと思うが)かなり退化したようだ。


発令所全体を緊迫が支配した、その時だった




「惑わされてはイケナイ。荒れ狂う嵐の中、光を失うことは闇に身を委ねるということだから。」


ピンク色の髪の少女がミサトの後ろから芝居がかった口調で言葉を発していた。

「い、いきなり何なのよ、あんた!!」
作戦の考案中にいきなり場違いな台詞を大声で言われたのでミサトは腹を立てている。

「冷静になったほうがいいってことを言ったつもりだったんだけどね。」

少女は先程の芝居がかった口調とは違い、少々子悪魔的な印象を感じさせる口調で弁明する。どうやらこれが地のようだ。

「ここは8thのボッカに任せてみない?彼って訓練では全チルドレンでは一番なんだから?彼のステータス上こういった状況も難なく突破してくれると思うわよ。」

「このクソジャリ、このネルフの作戦部長様に指図するんじゃないわよ!!!」
「ミサト!!!」

リツコは少女に興奮して詰め寄るミサトを遮り、そして宥める。

「ミサト、何やってるのこの非常時に!あなたは使徒(?)を倒す作戦を考えるのが仕事でしょう、ああいった助言も真摯に受け止めなさい。」

「あのねぇ、私は作戦ぶちょ・・・」

「それに彼女はあなたより階級が上なのよ、分かってるの!?」

「ふん、あんなの只の監査官じゃないの!そもそもこんな所にいること自体間違いなのよ!!」

(あなたって人は・・・)

リツコは頭を抱えていた。



ピンク色の髪の少女の名はココ・ニンナナンナ

国連独立の特務監査機関“メロス”のエージェントで、階級は大佐である。

メロスは元々民間の監査機関であったがサードインパクト後に数多くの企業、政府の不正、汚職等を明るみにし、またゼーレの残党や隠れた関連企業の発見、国連内部の草の掃除にも多大な功績を残した。

これらのことによりサードインパクトから僅か2年で国連独立の特務機関という地位にまで上り詰めたのである。

尚、ネルフは使徒迎撃という大金星を勝ち取ったのにも関わらずその特務権限の強化はされなかった。

理由は二つ、1つはこれまで使徒を倒せて来れたので態々権限を強化する必要はないというのがあるが、もう1つに国連内部の良識ある者達に“碇シンジがサードインパクトの実行者である”ということに不審を抱いていた者がいたからである。

MAGIによって情報が改竄されたとはいえ、当時の情報は噂なりなんなりで多少は耳に入るものである。

その差異に疑問を持つ者や、14歳の少年がここまでできるかどうかという至極当然な考えの者もいた。

そしてこのような偏った情報を湯水の如く開示するネルフを怪しんだのである。

結果、ネルフの特務権限の強化が見送られたのである。




ちなみにこの事実を知った葛城ミサトは・・・




『あの、糞餓鬼!死んでからも人様に迷惑掛けるなんて、どうしようもないわねぇ!!!』




と、正義の組織の幹部とは思えないような台詞を吐き捨てたという。



「まったく、元々メロスは私達がシンジ君を生贄にしたことを疑っているから特務機関成立直後にネルフの監査を開始したのよ。ここで問題起こせば彼らは更に監視の目が深くなるわ。」

「わ、わかったわ・・・」

リツコが小声でミサトを注意をする。

「葛城二佐、8thを出撃させろ!」

発令所の最上階からゲンドウの声が響き渡る。

「し、しかし碇司令・・・」

「命令だ。」

「・・・は、はい。」
ミサトは渋々了解した。

これによりエヴァ10号機の発進準備が進められる。

「碇、何故8thを出撃させるんだ?」

冬月がゲンドウに尋ねる。

「8thは怪しい。軍上がりとはいえ、あの訓練成積は上出来すぎる。それに諜報部を使っても何も出ない。それに奴はメロスが発見したチルドレンだ、メロスのスパイかもしれん。」

「成るほど、訓練通りの成績で使徒を倒すも良し、戦闘中に負傷、もしくは死亡しても良し、どう転んでもメロスの反応がどういったものか観察できるということか・・・」

ゲンドウと冬月が策謀めいた会話しているとエヴァ10号機の発進準備が整った。

「シンクロ率63.9%、ハーモニクス正常です。」


「作戦部長、どういった作せ・・・・」

ボッカはミサトに作戦を聞こうとしたが・・・

「エヴァンゲリオン10号機、発進!!」

ミサトは発進可能だと知るやいなやいきなりエヴァを発進させた。



(やれやれ、これが3年前に使徒を倒したとされる葛城作戦部長さんかよ・・・)
ボッカは呆れていた。


一方、これを見ていたココ監査官も
(本当にこんなんで今まで使徒に勝ってこれたの?っていうかあの作戦部長、本当に作戦部長なの?ドラマとは大違いね〜。)



ドラマとはネルフがイメージアップ戦略の一環としてMAGIに保存されていた使徒大戦時の映像を適度に編集して作成したノンフィクションドラマのことである。

(当然、都合の悪いものは全て改竄されている。)

『新●紀エヴァンゲリオン』と題され、世界中に配信された。

登場人物はすべて本人そのもので、レイやアスカが有名になった要因の一つでもある。

当然それには無駄のない、的確かつ、使徒という未知の敵を相手にする上での大胆な作戦を展開し指揮しているミサトの姿もある。

更に言えば、ゼーレに素直に従っている振りをして実際は反目しているという司令、副指令コンビの姿や、ゼーレをスパイしている加持の姿もあった。



(どうやらあの噂、いよいよ現実味を帯びてきたようね・・・)

作戦部長の暴挙を冷静に分析しているココの姿があった。










To be continued...


<予告>

3年ぶりの使徒再来

変わりゆく世界の中で人々は変化を手にする

それが己の未来を決める事とは知らずに・・・

次回、『長い喜劇のはじまり』

鳴り響け、僕のメロス!!!




(あとがき)

第一話完了というわけですが・・・チルドレンの台詞が少ナイ!!!

とりあえず、第一話でサードインパクト後の人々と設定の大まかな説明がなされたので良しとしマス。(それでイインカイ!?)

忘却の旋律に関してはアニメ版をクロスしてマス。(少しゲーム版の設定を持ち出すかもしれまセン)

マンガ版は可愛くないし(遠音が)、只の直球熱血少年漫画だカラ・・・・

ですから!忘却の旋律はアニメ版のほうが最っっっっっっっっ高ぅぅぅぅぅぅぅデス!!!

ちなみに今回のココの芝居がかった台詞は自分のオリジナルデス。

ボッカの髪に関しての表現はノーコメントの方向デ。(できれば実物を見てくだサイ)

最後にこの作品のヒロインは“綾波レイ”デス。(今回出番が有りませんでしタガ)其処のところは信じてくだサイ。

ついでにこの作品は忘却の旋律を知らなくても楽しく(?)読めるように配慮するつもりですのでどうぞ、読んでくだサイ。

それでは次回、『長い喜劇のはじまり』をお楽しみ下サイ。

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