エヴァ10号機は葛城作戦部長の作戦指示なしに地上に射出された。

「エヴァ10号機リフト・オフ」

オペレーターの声と共に10号機の最終安全装置が解除される。

(やれやれ、作戦もなしに射出か・・・ま、やってやるか!)










エヴァンゲリオン交響曲

第二話 長い喜劇のはじまり

presented by 黒き風様











10号機が射出されることに気づくとロボット怪獣は10号機を目標に変える。

そのことに気づくとボッカは近くのビルに身を隠し、隣にある武器庫ビルからポジトロンライフルを装備する。

「ちょっと、何してるのよ、命令を聞きなさい!」

ミサトは出してもいない命令を聞くようにとボッカに命令する(?)



(隠れたか、そんなビルに隠れててもこのロボット怪獣の攻撃の前には意味はない!!・・・しかしこのまま攻撃するより迂回したほうが残りの2機も攻撃範囲に入るな・・・・・良し!!!)


『モンスター様、このミッドナイトひよこ、見事エヴァンゲリオンを討ち取って見せましょう。』

『ビバ、モンスターユニオン!!!』



ミッドナイトひよこはそう考え、ロボット怪獣を迂回させると“ミッドナイトひよこ”のモニターにはポジトロンライフルで待ち構えていた10号機が映し出されていた。

「バ、バカな!!!」

「やっぱりな、エヴァ3機全てを射程範囲に入れるにはビルを迂回させないといけないからな!」

ボッカは叫びライフルを連射する。


「何勝手に攻撃してんのよ!命令を聞きなさい!!」


だから、命令なんて出してないだろ!!


ATフィールドは中和されているのでロボット怪獣は大きなダメージを受ける。

『く、翼が・・・・』

ミッドナイトひよこはショックに叫びながら何とか損害を確認しようとする。

10号機は翼を重点的に攻撃したせいか翼は見る影もなく崩れ落ちていき、飛行能力がどんどんと落ちてゆく。

「今だ!!」


ドガン!!!


飛行能力が落ちたロボット怪獣を10号機はジャンプし、体当たりを食らわせた。


ガシャ――――ン!!!


ロボット怪獣は地に墜ち、10号機に押さえつけられる。


ザシュ!!

ザシュ!!

グシャ!!

バキッ!!

ザシュ!!


そのままプラグナイフで火炎弾を発射する口を潰し、翼を切り取り、コックピットでは無さそうなところから順々にナイフで斬りつける。

「コラー!!!何やってんのよ、私の作戦通り戦いなさ――――い!!!」



・・・周りを見てご覧、みんなが呆れた顔してあんたを見てるよ。


彼らはみんな思っていますよ『あんた作戦命令なんか出してないだろ!!!』って。




「パターン青消滅!!」



発令所から報告が入るとボッカは攻撃をやめる。


「了解、帰投します。」




かくして3年ぶりの使徒(?)戦は幕を閉じたのである。









〜メロス会議室〜


ここはネルフを監査している特務監査機関メロスのエージェントが集う集会所である。

会議室には3人の存在が確認される。

「それにしても、酷かったよ〜あの作戦部長!」

ココは少しむかっ腹を立てた感じで言った

「如何したの?」

千草色のロングヘアーの女性が不思議そうに尋ねる。

「如何したもこうしたもないわよ、遠音!あの牛女、私より階級が下のくせに暴言吐きまくりだし、大活躍のボッカに労いの言葉も掛けないで『どうして命令を聞かないの!?』の一点張りよ!自分は大した指示もできなかったくせに!!」

「ふう・・・それ、本当に有名なネルフの作戦部長なの?今回の戦闘の資料見る限りでもとても有能とは思えないわ。」


遠音と呼ばれた女性は呆れながらも資料に目を通している。

彼女もココと同じくメロスに所属するエージェント、遠音・レクイエムである。


ちなみに読者様も分かっていると思うが8thチルドレンのボッカもメロスのエージェント、ボッカ・セレナーデである。

「それで、ボッカのその後は?」

「うん、それがね〜〜」










〜ネルフ発令所〜



「8thチルドレン、何故命令を聞かなかったの!!!」

敵を撃破して帰ってきたボッカを待っていたのはミサトによる余りに理不尽な叱責であった。

「すいませんが、僕は出撃する際に何の作戦命令を受けていません。」

ごもっとも。

「・・・・う、うっさい!餓鬼は黙って大人の言うこと聞いてりゃいいのよ!!」

都合の悪いことには触れず自分の都合ばかりを押し付けるミサト。

自分の作戦と指揮で勝ち、更なる栄誉を欲するミサトにしてみればボッカが勝手に敵を倒す(ミサト視点)のは許されないことなのである。

ともかく、とても誉れ高き正義の使徒迎撃機関ネルフの作戦部長とはいえない発言と状況。

発令所のオペレーター達は誰が如何見てもボッカの行為には叱責されるような点がないことや、ミサトが見当違いなことを喚き散らしていることを理解し、ミサトを白い目で見ている。


因みにミサトを白い目で見ていないのは彼女に恋をしているメガネのオペレーター、日向マコト

彼女に従順なチルドレン、鈴原トウジに相田ケンスケ

勝利を横から掻っ攫ったと勘違いを起こし、ボッカを睨んでいる惣流アスカ

であった。





・・・・・っていうか、この作戦部長をワザワザ、“ミサト”って表示するの面倒いな・・・・ココに習って“牛女”で統一しちゃおっか?






「あの〜葛城作戦部長さん、ご自分の周りをよく見てみたらどうです?みんなあなたのことを白い目で見てますよ。」


「な、何言ってんの・・・」


牛女が言いながら周りを見渡すと確かに見られていた。

白い目で見るという、沈黙な非難をしていた。


「・・・・な、何見てんのよ!あんた達!!」


牛女が怒鳴り散らすと一斉に目線を元に戻した。

この状況に親友のリツコは片手で目を覆い呆れていた。


「と、とにかく、あんたはチルドレンなのよ!私の命令を聞く義務があるのよ!責任があるのよ!!絶対なの・・・」


「はい、はい!少しいいかしら、葛城作戦部長さん。今から私達メロスが今回の戦闘で行われたネルフの行動を監査して、早々にいくつか問題点が出てきたから早急に指摘したいんですけど?」


「何ほざいてんのよ!邪魔よ、クソ・・・」


「やめないか!葛城君!!」


牛女の暴言を大声で阻んだ冬月。

「し、しかし・・」

「彼女は君より階級が上なんだ。そのような相手に君は何て事を口に出すんだ!!」

「・・・・・・」

冬月が大声のせいか、流石の牛女も静かになる。





「・・・では、まず問題点は大きく2つ。」

「一つはそこの作戦部長の作戦及び指揮能力の無さですね。」

ココはハッキリと述べた。

これを聞いた牛女は掴みかかろうとするが黒服の男達によって抑えられ、怒鳴ろうとするも口を塞がれてしまう。

因みに黒服はネルフの諜報部の者ではなく、メロスの構成員である。

ココが円滑に事を進めれるように指示したのである。

「作戦、指揮能力の無さと言いますと・・・」

牛女に従順なメガネが恐る恐る尋ねる。(こちらは階級のを確り認識しているようだ)


「まず、最初に6、7号機が出撃した際の作戦指示ですが・・・とても作戦とは言えないものだったわね。事前に戦自や国連軍の攻撃で目標の大方の能力は分かっていたのに、それに対する有効な策は全く言って無かったわ。」

「それに6、7号機がやられているにも拘らず、新たな指示を出さない。それも、他の人の助言や、進言を無視した上で!」

「極めつけが作戦も何も出さずに10号機を射出。しかも彼が行動すると、出してもいない命令を聞けという理不尽な発言。そして、最後の最後にそのような状況下で目標を撃破したパイロットに又もや理不尽な発言&暴言。・・・最後のは人間性を問うものね。」


ココはぼろくそに牛女を客観的正論で罵った。


「つまり、無能なのよ!」


ココは最後に簡潔にNGワードを言い放った。

これを聞いた牛女は黒服達に抑えられながらも必死に怒り狂っている。


「2つ目は皆さんも聞いている通りに私、つまり上官に対する暴言。上官侮辱罪ですね。」


(((((うん、うん。)))))


周りも納得である。

『司令に副指令さん、本当にこんなので大丈夫なんですか?とても3年前に使徒迎撃を指揮した作戦部長には見えないんですけど?』


「問題ない・・・」

「す、すまないねぇ。彼女も3年ぶりの指揮なんだ。」

お決まりの文句を言い放つゲンドウと牛女を弁護する冬月。


「つまり、今回の無能ぶりは3年のブランクのせいと言うんですか?」

「そうだ」

「・・・・そういうことにしておくわ。とりあえず今回の戦闘記録は全て公表するということで良いですか?」

ココは最後に茶目っ気混じりに言い放つと・・・

「そ、それは少し待っていただきたい!!」

冬月は慌てて待ったをかける。

それも当然だろう、全記録を世界中に公表することは牛女の無能振りを世界中に知らしめることになり、それを作戦部長にしているネルフの評判が下がることに繋がる。

それだけならいいのだがもし、これがきっかけで牛女が作戦部長の座を奪われるような事態になれば、牛女の性格上、何をするのか分からない。

下手をすれば死ならば諸共、3年前の真実をメロスや世間にバラすかも知れないのだ。

「駄目よ、それじゃあ何のために私達メロスがここに在るのか分からないじゃない。」

「ぬぅ・・・」

ココの言い分は最もである。

冬月もこれには反論できない。

「ココ・ニンナナンナ監査官、今回の戦闘記録の公表は目標とEVAの戦闘のみにしてくれ。」

「・・・つまり発令所内の記録は公表するなってこと?」

「そうだ。」

ここでゲンドウがお決まりのポーズでココに交渉を持ちかける。

「そんな要求を呑む意味も、メリットもこっちには無いんだけど!」

「・・・今回は3年ぶりの戦闘で皆にも緊張等があり本来の能力は出し切れなかった。そんな状況の記録を世界中に公表すれば世界が不安がるだけだ。相手の言動から、これからも敵が来る可能性は非常に高い。」

(成る程、確かに一理あるわね・・・)


本当に緊張などしていたのであろうか?

後に発令所の面々はこう言ったという『とても緊張しているとは思えなかった』と


「分かったわ、今回は戦闘の記録のみ公表する。ただし、国連には全ての記録を提出するわ、これに関してはどうしようもないわ。最後に条件を呑む代わりに私達メロスにチルドレンへの接触を認めて!」

「・・・・いいだろう。」

交渉も終わり、報告をする為にココは数名の部下と一緒に発令所を後にする。







ココが去った後・・・


「碇、いいのか?奴らにチルドレン達への接触を許しても?」

「構わん、我々はすでに共犯者だ。誰も下手なことは言わん。」

「・・・そうだといいのだがな。」



ここで補足すると現在ネルフ(本部)に所属している人達の中で3年前の実態を知るのは全体の40%である。彼らはサードインパクトから還ってきた者や還って来れなかった者といて、還って来た者でネルフを辞職した人達もいる。(もちろん口裏は合わせた)

辞めた職員を支部から補充したり、新規に雇い入れた者もいる。

そして新規雇用者については何も知らなし、支部から来た者も殆ど知らないのである。





〜メロス会議室〜


「って言うことなの、全くあの牛女には呆れるわぁ〜。くやしいわ、発令所の記録を大々的に公表できないなんて!」


「だがチルドレンとの公的に接触許可を取り付けたのは大きいな。」

リーダー格と思われる、大柄で紫色の長髪の男がココの出来を褒める。

「どうも、黒船・バラード。」


大柄な男は黒船・バラードと言う。

彼は特務監査機関メロスの最高司令官で、今回のネルフの監査活動のリーダーでもある。


「それで、公にチルドレンと接触できるとして如何するの?今までだって多少強引に行けばやれない事も無かったでしょう?」

遠音は資料に目をやりながら指摘する。

遠音の言う通り、チルドレンへの接触はネルフ側から『シンクロに影響が出るため』と言われ、拒否されたのであるが、そんなものはメロスの特務権限で如何にでもなったものである。

「印象の問題だ。“権限で強引に事を進める”のと“正式に許可を取ってスマートに行く”とでは相手に与えるイメージも大きく違うからな。」

「・・・正式は正式かもしれないけど、取引で勝ち取ったものじゃあ印象悪くないかなぁ?」

ココは人差し指を顎に当て、首を傾げながら疑問を問いかける。

「気にするな、これからの活動方針を伝える!」

黒船はココの疑問には触れもせずに話を進めるために二人に資料を渡す。

その資料には2人の写真が写っていた。






〜ネルフ会議室〜


先の戦闘の翌日、ここでは前回の戦いの分析などを報告するために各部署のトップ達が集まっていた。

「それでは始めようか、赤木君、説明を。」

冬月が場を仕切り会議が始まる。ゲンドウはお決まりのポーズで黙りこくっている。


「はい、先ず今回の目標であるロボットに関してですが・・・」

「ちょっと待って、あれって使徒じゃないの!」

ミサトはいきなりリツコの出だしを阻む。

「ミサト!質問は話を最後まで聞いてからにして頂戴!」

流石に出鼻を挫かれては高名な赤木リツコ博士も怒るだろう。

「ハハ・・・メンゴ、メンゴ。」



「それでは・・・ロボットに関してですが非常に高性能のな物でした。しかしあの高度な飛行能力や弾切れを起こさないような攻撃能力をそれだけでは説明できませんでした。」

「それじゃあどうやってそれを可能にしたの?」

「・・・その秘密はパイロットに有りました。回収したパイロットのDNAを調べた結果、99,89%人間と同じで残りの0,11%は別のモノでした。」

リツコの発言が終わると周囲はどよめく。

「・・・パイロットは浜崎ケイコ、とある岬でホテルのオーナーをしている女性でした。彼女の過去のデータを調べる限り今回の遺伝子データは存在しませんでした。」

つまり、戦闘中にパイロット自身が言っていた通りに彼女は何者かの手によって使徒になったんだな。」

「冬月が先の戦闘の記憶と報告を照らし合わせて答えた。

「はい、しかし暫くして彼女に容態が変わり、もう一度検査したところ遺伝子の異常は無くなっており、普通の人間と同じになっていました。」

「つまり、パイロット自身が使徒の力を使ってあのロボットを本来もつ性能以上に操っていたということです。」

リツコは最後に要約して締めくくった。

「そのパイロットはモンスターという存在から力を貰ったと言っていたが・・・」

ここに来て何も喋っていなかったゲンドウが発言した。

「はい、尋問したところモンスター、聞いたところによると“赤い髪をした少女”の姿らしいのですが、パイロットにこう言ったそうです・・・



『使徒の力を与えてあげる。これであなたの望みを叶えなさい。』



と。」


「「「「「・・・・・・」」」」」


この話に一同沈黙してしまう。

「・・・調べたところ、経営していたホテルは1年程前までは経営難で苦しんでいたのですが、ある時いきなり繁盛したようです。詳しく調べてみるとその一帯を裏から支配していたようです。」

場の沈黙を諜報部の人間が報告を持って破った。


「・・・・他に分かったことは?組織だったものが見えるのだが?」

「いえ、パイロットの容態が安定しないのでまだ・・・・」

「わかった、引き続き頼む。」

ゲンドウにしてみれば拷問でしてでも吐かせたいものだったがこの会議にはメロスの監査官が出席しているのでそのような事は言えなかった。





しかし、結局ゲンドウはパイロットの“ミッドナイトひよこ”こと浜崎ケイコを情報を吐かせるために拷問を実行。

人類を裏切り使徒と同類になった者に容赦はない!のもと、ゲンドウと子飼いの保安、諜報部の黒服達によって行われた。

拷問と言っても殆ど己が性的欲求を満たすためのもので、拷問の終わった後の浜崎ケイコの身体は全裸状態であり下半身は血まみれで、全身には白いモノ付着していた。

ゲンドウにしてみれば、3年前よりネルフという組織が明るみに出ていたので以前のように気に入った女(ユイに似ている)を見つけては拉致監禁し楽しむということが出来なくなった憂さ晴らしである。

最後には証拠隠滅の為焼却処分にしたらしい。



更にゲンドウらの拷問の後にミサトの拷問が行われていた。

拷問と言っても先程の戦闘で自分の指揮通りに敵を殲滅できなかったことや、ココに無能呼ばわりされたことの八つ当たりである。

内容は愚痴を言いながら殴る、蹴るの繰り返しであった。

『あの、糞餓鬼!何で私の命令を聞かないのよ!!』

ドゴォ!!!

『使徒は私の作戦じゃないと倒せないのよ!!!』

メキ!!!


『あのメロスのチビもよ、世界で最も“有能”なこの私が“無能”ですって〜〜〜!!!』

グシャア!!!

『見てなさい!私の思いどうりにならない餓鬼も、私を侮辱した餓鬼も全員・・・こうよ!!!』

ブギュチャア!!!



“ミッドナイトひよこ”こと浜崎ケイコの身体はボロボロで所々骨が見え、顔は眼球が飛び出ており、歯も殆どへし折られ、抜けており、もう原形が分からないほどである。

それを見てミサトは


『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・ふん!使徒になった人類の敵が。いい気味だわぁ♪』


自分自身の手で使徒であった人間を殺せたからであろうか・・・

息を切らせながらも、その表情は嬉々としていた。






ちなみに、焼却処分した理由として“使徒と同じ肉体も有していたので安全のために処分した”と国連やメロスに報告した。

この後浜崎ケイコの家族、親戚、友人も取調べということで連れてこられ同じような運命を辿ることになる。

勿論、拷問の時間は男より女のほうが長い。






ここで話は会議に戻り、会議が終わろうとしている。

そしてゲンドウが立ち上がる。

「・・・どうやら使徒は知識と知恵を持ち、組織を作り、我々に攻撃を仕掛けてきたようだ。全員認識するように。」


ゲンドウが締めくくり、今回のネルフの会議は終了した。







〜司令室〜

「冬月、これはチャンスだ。」

「何だ碇、急に・・・」

「使徒は知識と知恵を持ち、只の人間を使徒にすることができる。うまくこちらに引き込めばユイを救うことができるかもしれん。」

「何を言っているんだ、使徒相手にそんな・・・」

「恐らく今回の使徒は限りなく人間に近いものかもしれん。うまくすれば・・・」

「・・・だといいのだがな。」

冬月は近くにある将棋の本を手に取り駒を並べ始める。








〜メロス会議室〜


黒船から渡された資料にある写真を見る遠音とココがいる。

「ここで確認をする、俺達メロスは3年前の使徒大戦の真実を探るために現在活動している。」

「・・・・・」

遠音とココは黙って聞いている。

「俺達がこの案件に乗り出したキッカケは大戦中に流れてきた情報とサードインパクト後にネルフから開示された情報の差異。そして碇シンジのまるで仕組まれたかのような裁判だ。」

「確かに、上手くできすぎてるよね。大体中学生にあんなこと可能なのかが疑問だよね。」

ココはカバンの中から碇シンジの資料を取り出しながら口を挟む。

「・・・推測だが恐らくサードインパクトを起こしたのはネルフだ。碇シンジはその罪を着せられ処刑されたものだと思う。」

「それを立証するためにこの二人に接触するの?」

遠音が写真を眺めながら言う。

写真には1stチルドレン“綾波レイ”と元ネルフ特殊監察部所属の“加持リョウジ”が写っていた。

「ボッカの報告では、彼女にそれとなく碇シンジの話題を振ってみようと試みたらしいがその話題を避けているらしい。因みに他のチルドレンに同じようなことしてみたら全員碇シンジの悪口のオンパレードだったらしい。」

「それって当てになるの?」

遠音が疑問有り気に尋ねるが・・・

「マスコミの取材や各地の公演でも碇シンジの話を意図的に避けている節がある。」

「・・・成る程。」

遠音は一応納得したようだ。

「この加持リョウジって確か3重スパイやってた人だったよね。ドラマにもあったし。」

次はココが黒船に尋ねる。

「彼は碇シンジの裁判に証言し、処刑が行われた後に何故かネルフと内務省からも足を洗い、消息不明だ。」

「それは自分がスパイをやっていた人だって公になったからじゃないの?」

「それでも、彼にもそれなりの地位や名誉が待っていた筈だ、それを蹴るとは少し考えづらい。それに情報によると彼は葛城ミサトにプロポーズをする予定だったらしいがそれも無しにして去ったらしい。」

「なるほど、了解。」(あんな将来垂れ乳確実牛女じゃ見限ると思うんだけどなぁ〜)

ココは心の中でミサトを罵倒しながら了解した。










〜コンフォート17〜

ここはあの有名なエヴァンゲリオンのパイロットであるチルドレンが住んでいるマンションである。

保安上の理由でチルドレンはこのコンフォート17での居住が義務付けられている。



「ただいま・・・」



蒼銀の髪に真紅の眼を持つ少女、綾波レイ。

レイはネルフ本部から帰宅し、ドアを開ける。

その部屋は家具の数は少ないが、以前の薄汚れており、殺風景な団地の部屋とは全く違いキレイな部屋であった。

レイは寝室に入ると、すぐさまカバンなどの荷物を放り投げるとそのままベットに倒れこんだ。


「碇君、ゴメンナサイ・・・・」


枕に顔を埋めながらレイは呟く。

まるで自分の罪を贖うかのように・・・・










To be continued...


次回予告

サードインパクトから3年

チルドレン達も中学から高校へと進学して月日の流れを感じさせている。

時の流れは彼らを大きく変えたみたいだ。

次回、『第壱高校』

鳴り響け、僕のメロス!!!




(あとがき)

というわけで第2話をお送りしたわけですが・・・

今回は第一話の補完とこれからの物語への起点のようなものになりました。

尚、更新スピードに関してですが、月に2回を目標にしようかと考えていますが、最低でも月に1回はお送りしたいと思っています。

感想をもらっていますが、読者様達のなかに忘却ファンの方がいてくれて嬉しい限りです。

忘却って意外とマイナーって言われてるんで・・・(GINAXの20周年記念作品なのに)

忘却を知らない方にこの小説を読んで貰い、忘却の旋律に関心を持って頂きたいです。

忘却の旋律は“自由”という言葉の意味を改めて考えさせられた、自分にとってバイブルのような作品ですので是非、観て頂きたいです。

(勿論、アニメ版です。)

・・・・・すみません、何か宣伝みたいになってしまいました。

第1部が終わり、次回からチルドレンを中心に話を展開させます。

それでは次回から第2部『第壱高校編』が始まりますのでお楽しみください。

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