Capriccio

序曲 〜黒狼と紫苑、そして「海より這いでし者達」〜

presented by 麒麟様














白い大地

それは砂浜なのだろうか

そう、砂浜といってもいいだろう

間違いなく、波が静かに押し寄せているのだから

例えその波が、いや海が赤かったとしても

そこが砂浜であることに変わりは無い

白い大地に突き立つ、世辞にも上等とはいえない十字架

それは木材をただ組み合わせたような、無骨で粗野なつくりだった

さりとて大地に突き立つそれは、間違いなく墓標であった

名も無く、死期も記されぬ墓標と言えども

その下に、墓の主の遺品しかなくとも

墓標の存在は、残された物の悲しみと哀悼の意を示す

されど墓標の主はすでに死に絶え

墓標に対する意を示すわけでもなく

ただただ、押し寄せる波の音が唄を奏でる

それは離別を悲しむ唄か、それとも………































赤い海のほど近くに、街があった

街の半分ほどが、まるで消し飛んだかのようになってはいるが、家やビルが立ち並んでいるのは間違いない

尤も、消し飛んだというよりは、赤い海に侵食されたといったほうが正しいかもしれない風体の、街だった

だが、その町に住まうものはあまりにも少ない

さながらゴーストタウンのように、どこまでも静か

波音がある分、赤き海の方が喧騒に思えるくらいだ

この町に住まう者はただ一人

そのたった一人の住人は、瓦礫を掻き分けて慎重に何かを探しているようだった

折り重なった瓦礫が崩れぬように、それこそ針の穴に糸を通すように神経を張り詰めさせ、穴を掘るように中へと押し進む

重機などを使わず、自分の手だけで行うその姿

それは子供が作った砂の山にトンネルを掘る作業にも見えた

暫らくして、その者は穴から出てきた

淀んだ日の光に当てられて、住人の姿が明らかになる

其れは男と呼ぶには若く、少年と呼ぶには成長しすぎていた

ちょうど中間のよう年齢だが、ここでは青年と呼んでおこう

肩に掛かるほどの長さの黒髪だが、其れは整えられたものではなく、無造作であり髪質も荒れていた

スラリと伸びた手足は、補足引き締まった筋肉

どこまでも実用的な、実際に動く事を前提とした筋肉がついていた

黒曜を思わせる瞳は、暗く、濁った様に前を見る

引き締まった肉体ではあったが、その風貌はあまりにも汚れていた

先ほどまで瓦礫を掘り進んでいたのだから仕方ないのだろうが、服は擦り切れ、土と砂埃にまみれている

その手には幾許かの缶詰が握られていた

青年が身に纏っていたのは、膝が擦り切れたジーパンと、T-シャツ、どこから手に入れたのか軍用のジャケットだった

定期的に剃っているのか、その顔に髭は無く、少しやつれてはいるが整った顔立ちをしている

そして、どこか老人のような、敗北者のような、生きることに疲れた、悔恨に満ちた雰囲気をしている

缶詰をしっかりと持ち直し、青年は一人歩き出した

歩きついたのは、一軒の家だった

この家が彼の物なのか、そうでないのかはわからない

鍵の掛けられていないドアを開き、靴を脱ぐ事も無く家中に入る

リビングと思われる、乱雑に物が置かれた部屋に踏み入ると、テーブルに置かれていた缶切りを掴み、やおら缶詰を開き始める

後は飢えた獣のように食事を済ませるだけだ

それが青年の、ただ一人の住人の食事だった































彼が缶詰を食べ終わってからゆうに100時間はたった

つまりは、4日以上だ

その間、彼は何も口にしていない

食べないのではなく、食べられないのだ

食料となるものが発見できず、何も口にしていない

そんな彼は、赤い海の前にしゃがみ込んでいた

おもむろに両手で赤い液体をすくうと、口にする

其れは生命の海

サードインパクトと呼ばれる現象で、原初に帰った人々、あらゆる生命の成れの果て

血のような色をした其れは、まさに生命力の塊だ

栄養としては足りないが、生きるだけのエネルギーは取り込める

ただし、それには代償とも言うべきものが付いて回る

元々生きていたものが瞬間的に転じたそれは、記憶とも言うべきものを含んでいた

ヒト、家畜、野生動物、ペット、虫、微生物、あるいはウィルス

様々な記憶が入り混じったそれ

其れを飲むと、その記憶を垣間見る事になる

事実、一口口にした後、砂浜に倒れこんで眠ってしまっている

たった一滴にもすさまじい量の情報が含まれているのだ

一口飲めば、情報過多で脳が限界を超える

ようは、ブレーカーが落ちるように気絶してしまうのだ

そして彼は夢を見る

飲み干したモノ、赤い水になった者の生きた時間を、夢として追体験するのだ

其れは非常に苦痛を伴う夢であった

自分が自分ではなく、赤い水になった『なにか』になったような錯覚を覚えるためだ

その夢を見るたびに、青年は自分を否定された気になる

だからこそ、彼は無理をしてでも食料を探し、空腹を満たすのだ

空腹が限界に来たときのみ、彼は此処に来る

話を戻すが、彼の見る夢は脳の自己防衛機能ともいえた

圧倒的な情報量から、必要なものだけを記憶し、そうでないものは排除していく

彼が今まで生き残っていたのは、その必要と判断された情報のおかげだ

サバイバルに必要な知識、道具の扱い方、身のこなし方

生きるために必要なそれらを、彼は夢で覚え、実際に動く事で身につけていった

飲めば飲むほど自身の技能・能力は向上するが、自身を否定される恐怖には勝らない

もとより、青年はこのたった一人の世界で技能・能力の向上がなんの役に立つのかを見出せなかった

比べる相手がいない、『他人』が存在しない、危険を示す外敵となる存在がいない

身を守るのは、突発的な事故、瓦礫の崩落や地盤の崩壊、後は餓えに対してのみだ

だからこそ、青年は赤い海の水を飲むのを恐怖した

自身が自身であるために









































目を覚ました青年は、眉間に眉を寄せ、2、3度頭を振る

水を飲んだ後は、自身が薄れ、意識が朧気になっているからだ

上半身を起して、彼は信じられないものを見つけた

赤い海の上に、浮かぶように立つ少女

彼にとって、三年ぶりの他人だった

「……あ……」

青年は声を出そうとしたが、思うように行かず、咳き込んだ

何しろ他人がおらず、喋る事もなかったからだ

最低でも此処三ヶ月は言葉を発していない

発したのは、痛みに対するうめき声か、瓦礫をどかすために力を入れた掛け声だけだ

何度か咳き込み、ようやく落ち着いた青年は、再度声を出そうとする

「………あ……や…なみ………」

彼は少女を知っていた

途切れ途切れながらも、その名を呼ぶ

『私はかつて綾波レイと呼ばれたもの。その成れの果て。私はリリス。綾波レイの原初にして終局。』

青年は少女の言っている事の9割は理解できなかった

理解できたのは、少女が自身の知る人物とは違うという事だけだ

それだけでも理解できたのは、以前目の前の少女と同じ姿の少女が、まったく同じ姿の別人であると思い知らされたためだ

断片的な記憶の受け継ぎ、二人目、三人目、セントラルドグマ、クローン

色んな言葉が脳裏を掠めたが、その全てが青年にとってはどうでもよかった

青年は、自分自身が大して教養のない人間だと思っていたし、難しいことを考えるのも苦手だったから、というより、難しいことを考える余裕が今までなかったからだ

ただ、今までとは違い、すぐ近くに『他人』の存在を感じられたことが、たまらなく嬉しく、そしてたまらなく怖かった

拒絶、心の壁、ATフィールド、嫌い、いらない

たまらなく、怖かった

それでもすぐに逃げ出さなかったのは、たまらなく、嬉しかったからだ

一人ではないということが、たまらなく嬉しかった

だが同時に、どうして今更、という思いも抱いた

そこに"いた"のなら、どうして早く出てきてくれなかったのかと、少し腹が立った

『貴方は、何を望むの?』

「――――――。」

青年はその問いに答えなかった

答えられなかったと言った方が正しいかもしれない

彼には、望みも、目的も無いのだから

ただ腹が減るから物を食べる、眠くなるから眠る

そんな風に生きてきて、もう三年もたった

それに、彼に言わせれば「いまさら何をいうんだ」ということになる

世界がこうなる前ならば、望みはあった

理解して欲しかったし、理解したかった

愛して欲しかったし、愛したかった

要するに、全てが遅すぎるのである

彼にとって少女の質問は、的外れ以外の何者でもない

『何を望むの?』

再度、少女が尋ねる

「何も……な…にも、のぞま……ない。」

切れ切れに、青年は答えた

ひどく、喉が痛む

熱湯でも注ぎ込んだように、喉が、痛む

「どうでも……いい。望みも………目的も無い。」

そう言って、彼は少女から視線を逸らせた

彼にとって少女は過去の過ちの象徴でもあった

見ていると辛かったし、腹立たしかった

それこそ、久方ぶりの『他人』の存在の嬉しさよりも

長い間ために溜め込んだ不満を彼女にぶちまけてしまうのが、彼にはどうしようもなく嫌だったからだ

だが、何も少女を思いやって視線を逸らしたのではない

自分と同じく、利用される側だった彼女に愚痴をこぼす情けなさが生まれるから、彼は視線を逸らした

彼にとって、彼女はどうでもいい存在であった

自分の感情が乱れる事だけが、無性に嫌だったのだ

『世界を、戻したくないの?』

「……どうでもいい……どうでも、いいんだ。」

青年は、『他人』と言う存在に絶望していた

騙され、利用され、この世界を作らされた

そんな他人なら、要らない

裏切るなら、『他人』なんかいらない

利用するなら、『他人』なかいらない

誰も、要らない

確かに『他人』という存在が身近に感じられるのは、とても嬉しい

だが、怖い、恐いのだ

きっと、また裏切られる

だから、『他人』はいらない

『貴方は、何がしたいの?』

「どうでも、いい。どうなろうが、死のうが………どうでもいい。」

其れは青年がこの世界で幾度となく考えた結末だった

飢餓による死の恐怖

孤独による死の安楽

事故の怪我による死の開放

あるいは自殺しようとした事もあった

そのたびに、青年は何とか生き延びてきたのだ

全てをあきらめる事によって

『貴方は、死にたいの?』

其れは純粋な疑問だったのかもしれない

「―――――――――。」

青年はなにも答えず、黙するのみ

視線すら向けようともしない

沈黙を肯定に取ったのか、少女はこんな事を言い出した

『駄目。……死んでは駄目。』

「―――――――っ。……なぜ?」

視線をようやく向け、青年は問う

それは「なぜ生き死にを君に決められなきゃいけないのか」と言う問いだった

だが、言葉の足りないその問いを、少女は「なぜ駄目なのか」ととった

『私の中で、かつて綾波レイだったものが言っている。貴方は、死んでは駄目と。』

その言葉に、あまりにも自分本位なその言葉に、青年の感情は爆発した

「っ! ふざけるなよ! 何で君に指図されなきゃいけないんだよ!!」

『碇君……。』

「煩い! 綾波は僕が死ぬのが嫌だからって僕に生きろって言うのか!? 僕の事なんか無視して!!」

人も気も知らないで、彼はそう叫んだ

「結局、君も僕を利用してるんだよ! 僕を……僕を利用するな!!!」

言うだけ言って、彼は立ち上がり、逃げ出した

わき目も振らず、振り返りもせず、走った

苛立ちと、後悔と、自身への嫌悪にまみれて、走った

それは恐怖からの逃避であり、つまるところ、『他人』からの逃避であった

後悔、自己嫌悪など欺瞞でしかないという深い自分自身への理解からの逃避だった

逃げなければ、自分自身を保てぬから、逃げた

本音を言うと、逃げたことに対しては、青年は全く嫌悪感を見出せずにいた

純粋な自己の防衛に、罪悪感など感じることはなかった

唯一つ、彼が間違ったのは、リリス、いや綾波レイが本当に彼の身と心を案じていたことを知らなかったことだ

無知を罪とするならば、彼の行為は罪であり、罰に値するやも知れない

『人』でなく『ヒト』であるリリスにとって、人間の心は複雑で、理解しきれぬものだった

綾波レイの純粋な、それでいて複雑な想いを、十分に伝えられなかったのは、理解の不十分さからだ

些細な無知が、決定的に二人を分かつことになった

もしリリスが、人の心を十分に感じられたならば、もしも彼が明確に問うていれば、二人は打ち解けることもできたかもしれない

ただただ、未熟で拙いふれあいしか知らぬ彼と彼女は、理解しあえなかった

彼の前に現れたのが、リリスではなく綾波レイだったのであれば、二人はこの滅びた世界を救えたかもしれない

このことで、綾波レイはリリスの拙さを呪い、リリスは人の心に惹かれた

そして彼は、逃避することで自己を守った

ただ、それだけのことである









































走って、走って、走って、走って、ようやく立ち止まった

疲れて、足が動かなくなって、立ち止まった

そこは青年が来た事の無い場所だった

だが、やはりその景色にも何の感慨も抱かない

あるのは廃墟か、赤い海かのどちらかだからだ

「……クソッ……!」

倒れかけた電柱を殴りすえ、青年は悪態をついた

彼は嫌悪する

裏切る者、利用する者を嫌悪する

絶望と言う名の魔女の釜の底と言う極限状態を生きる青年

彼の人格は、ひどく歪んでしまっていた

生きていて欲しいと言う、純粋な願い出さえ、自身の感情を侵すモノだと判別してしまうほどに

荒れた息を整え、彼は当ても無く見知らぬ廃墟郡を縫って歩いた

そして、街を抜けた先には、やはり赤い海

だが、その赤い海の先に、彼の意識を惹くものがあった

薄汚れた紫のその姿

半ば赤い海に浸かり、身を横たえる

それから降って来でもしたのか、クレーターの様にあった底に赤い海の水が溜まっていた

どこからか流れ込んだのかはわからないが、さながら堀のように其れを守る赤い海の水

少年は、打ち震えた

確かに、確かにいたのだ

彼を裏切る事も、利用しようともしなかった存在が

身を預け、共に生命の危険を感じた存在

彼の相棒とも言うべき存在

Evangelion初号機と呼ばれるモノ

彼は迷わず赤い海に飛び込んだ

口から、皮膚から、あらゆる所から赤い海の水が彼の中に入る込む

一口飲んだときとは比べ物にならないほどの圧倒的過多の情報と共に

それでも彼は手足を、体を動かした

自身が泳げぬ事も忘れ、いや、赤い水から得た技能で泳げることも忘れ、もがいていた

無様に手を動かし、足を動かし

何度か沈みかけたものの、息も絶え絶え初号機の元へ辿り着いた

手を伝い、コアの露出した胸元へと這いずり寄った

「君……だけだ…。」

静かに、鳥が囀るような小さな声で、彼は呟いた

「皆、裏切るんだ。皆、僕を利用するんだ。君だけが、裏切らなかったし、利用しなかった。」

人の手で作れるのかすら怪しい、まさに神の作りし滑らかな表面のコアに身を預けると、ひんやりとした冷たさが身にしみた

「父さんも僕を利用した。母さんも……利用したんだと思う。」

鬱々と、青年は忌々しそうに語る

「君だけだ。君だけが、唯一………。」

青年の声がかすれる

一口ですら気を失わせるだけの情報慮を秘めた赤い海の水

全身で吸収した其れは、容易に人格を打ち砕く

「僕が………消えていく………。でも、君の前でなら………それも良いかもしれない。」

力ない声で、青年は笑った

足に力が入らず、腰を下ろした

「ごめんね………自分勝手で………。」

静かに、静かに目を閉じ眠りに付いた

自己を、自身を、自我を、そして人格を失っていく

其れは死か、あるいは永遠の眠りか

どちらにしろ変わらない

目を覚まさないのだから

ドクン、と何かが脈動する

金属が錆び付いた様な音を上げ、初号機の腕が持ち上がる

青年を掌に乗せ、初号機は上半身を起す

そして、叫んだ

声を張り上げ、天に向かって吼えた

その咆哮は、どこか物悲しいものだ

あるいは青年の眠りを悲しんでのものなのか

青年を携えた右手

そして左手が、自身の心臓とも言えるコアに宛がわれた

ズブズブと血漿を撒き散らし、コアを引き抜く

ブチブチと、コアと肉体とを繋ぐ神経にも似た物が切れる

激痛がするが、全て無視

絶叫と共に、初号機は自身のコアを握りつぶした

まるで、青年のいない世界に生きる目的は無いといわんばかりに

自らの心の臓を砕いた

砕けたコアから、光が漏れる

その光は瞬く間に辺りを覆い、世界を覆った

其れはサードインパクトのキャンセル

あるいはフォースインパクト

どちらでも構わないだろう

結果は同じなのだから

全ての生命を赤の海から還元する光

他人と他人が傷つけあう世界の再生だった





























































砂浜で、一人の青年が寝ていた

その手助けをするかのように、一人の女性がその膝を青年の枕として貸し与えている

静かに寝息を立てる青年の頬を、女性は優しく撫でた

其れが原因だったのか、何度か身動ぎした後、青年は目を覚ました

寝ぼけ眼を擦り、瞬きする

ふと、二人の目が合った

「―――――。」

「―――――。」

青年の黒色の瞳と、女性の紫色の瞳

「君は―――――、誰?」

青年は問う

見知らぬその女性に

知らぬのが彼女だけでないと気づかずに

「わかりません。私が何者なのか、その情報データは欠損していて読み取れません。」

どこか違和感のある、ありてい言えば機械的な返答

「………そう。」

「お役に立てず、申し訳ありません。」

丁寧を通り越したような礼儀正しさで、女性は謝罪した

「じゃあ………僕は、私は、俺は………誰?」

青年には其れがわからなかった

空白をはさんだのも、一人称がなんなのかを考えるためだったのだ

順々に言ってみたものの、どれもなかなかしっくりこない

どうでもいいか、とばかりに女性の答えを待つ

「わかりません。」

女性の答えは先程と同じだった

だが、続きは違った

青年を愛おしそうな目で見つめ、彼女は微笑んだ

「ですが、これだけはわかります。―――――貴方は、私の唯一。」

「唯一?」

「はい。明確な情報ではありません。裏打ちされた確かなものではなく、ひどく不確かな、不鮮明な情報。ですが、そう、感じるのです。」

そう言って、女性はもう一度青年の頬を撫でた

「俺も………誰かにそう言った事があるような気がする。」

「そう―――、ですか。」

「俺も、君を見て思う。君こそが、僕の、俺の唯一だと。」

「ありがとうございます。光栄の極みです。」

感動に打ち震えるように、片手を胸に当て、軽く会釈した

その目は潤み、今にも感激の泪を零しそうでさえあった

膝枕をした状態のため、ただ顔を近づけただけにしか見えなかったが

「………もう少し、寝ていい?」

「はい。存分にお休みください。」

そう言って、女性はもう一度頬を撫でた

断ってから数秒と立たずして、青年は再び眠りにつき

女性はどこか満たされたような、幸せそうな微笑を浮かべて青年を見守る

そして頬を撫でてから、口を開く

「お休みなさいませ、我が唯一の人my lord

 

 

ただただ、静かな時だけが流れていた











To be continued...

(2004.10.03 初版)
(2005.12.31 改訂一版)


(あとがき改)

はじめまして、はたまたお久しぶりです、あるいはおはようございます、こんちには、こんばんはかもしれませんが、麒麟です
Capriccio、序曲を誤字修正、加筆修正版でお送りしました。
加筆修正と言っても、ほんの僅かです。
シンジ、リリス、綾波の心理描写や状況説明の加筆でしたから、さほど増えませんでした。
つか、誤字修正が多くて……。
このヘタレなシンジが、"あの"シンになるかと思うと、思わず二話以降全部書き直したくなります。
まぁ、それもありかなぁとも思うのですが、展開を変えるとCapriccioの雰囲気も変わってしまうかと思うので、このままにします。
一応、全話を誤字修正、加筆修正するつもりですが、さほど変わるとは私自身思いません。
心理描写や状況説明を重点的に増やして行きたいと思っています。
感想もらえると凄く嬉しいです。



(ながちゃん@管理人のコメント)

麒麟様より「Capriccio」の序曲を頂きました。
これは「カプリッチオ」とでも読めばよろしいのでしょうか?
このSSは、EOEアフターのお話のようですね。
この世界観での断罪ストーリー(そうなるのか?)は、あまり見たことがないので、すごく楽しみです。
シンジにとっては、ネルフの大人たちの罪状は明らかなので、どう接するのか見ものですね(相手側も)。
ま、記憶を無くしたのは残念ですが、それでも良い印象は持たないでしょうから。
ヘタレなシンジ君ですが、管理人は大好きでした。すごく共感できますので・・・。
さて、初号機は地球に戻ってきていたんですね。
でも自身のコアを握りつぶしたのは、初号機の意思でしょうか?それともユイのかな?このへんは謎ですね。
レイ(リリス)はどうなったんでしょう?
それに、彼女を無視して、フォース・インパクトなんか起こしちゃって・・・大丈夫かな?(笑)
これからの展開に期待大です。
さあ、次話を心待ちにしましょう♪
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