エヴァンゲリオン『福音の魔眼』

第一話

presented by 美堂翔様


第2新東京の裏新宿と呼ばれる無法地帯・・・・・・・喫茶店「Honkytonk」2階の一室・・・・・・・・・

ジリリリリリリ

時刻は午前七時・・・六畳ほどの部屋に目覚し時計の音が鳴り響く。
ベッドでは一人の少年が安らかに眠っている。

リリリリリリリリリ

今だ鳴り続ける目覚し時計の音に少年の顔が歪む。

「五月蝿い!!」

少年は大声で叫ぶと同時に目覚し時計を止める。

「・・・・・・・・・・・眠い・・・・・・・」

少年は起きあがると目をこすり呟いた。

コンコン

扉をノックする音が聞こえる。

「シンジ君起きた?」

ドアの向こうからは女の子の声がした。

「うん、直行くから先に行っててレナ。」

シンジと呼ばれた少年は答える。
彼の名は碇シンジ・・・・・・・喫茶店「Honkytonk」に居候している。

「早くしないとマスターや夏実さんに起こられますよ。」

「うん」

シンジは答えると遠くなる足音を聞きながら着替え始める。
鈴の付いた制服のズボンを履き、Tシャツの上から半袖のカッターシャツを着る。
カッターシャツはズボンの中に入れていない。
机の上においてあるメガネをかけ、ライターとタバコを胸ポケットに入れると部屋を出て店へと向かう。


「おはよう、シンジ君」

シンジが店に降りると17歳ほどの女の子がシンジに笑顔を浮かべて挨拶する。
彼女の名前は水城夏実、喫茶店「Honkytonk」のウエイトレスだ。

「おはようございます夏実さん。」

シンジはエプロン姿の夏実に挨拶を返す。

「・・・・・・・・・マスターは?」

シンジはここにもう一人いる筈の喫茶店「Honkytonk」のマスター王 波児(ワン ポール)の姿を探す。

「タバコが切れたって言って買いに行ったよ。」

「タバコなら俺のがあるのに・・・・・・」

「何時ものヤツじゃないと駄目なんだって。」

「レナは?」

「いま奥でご飯の準備してる。」

夏実がシンジに答える。

「・・・・・それじゃ俺も手伝おうかな?」

シンジはそう言って煙草を咥えると奥へ入って行こうとする。

「あ、そういえばシンジ君宛てに手紙が来てたよ。」

夏実はそう言ってエプロンのポケットから一枚の封筒を取り出す。

「手紙?・・・・・・・だれから?」

シンジは受取ると差出人を見る。

「・・・・・・・・・何も書いて無いない・・・・・・・・」

シンジは封筒を破ると中から一枚のカードと手紙が出てくる。

『来い        ゲンドウ』

其処にはそれだけしか書かれていない。

「・・・・・・・・・ゲンドウ?誰?」

シンジは聞いた事があるようで無いような名前に顔を顰める。

「・・・・・・・・・・・・・・!・・・・・・・・・・俺の親父だ・・・・・・・・・」

シンジは数秒間考えた後思い出す。

「お父さんってもしかしてシンジ君を捨てたっていう?」

「そ、俺の父親・・・・・今更何の用があるんだか・・・・・・・・」

シンジはそう言いながら封筒に入っていたカードを見る。

「・・・・・・・・・・・NERV?」

シンジが呟くと同時に店のカウベルが鳴る。

「ただいま〜」

サングラスをかけたバンダナ男が入ってくる。

「あ、お帰りマスター。」

「お帰りなさい。」

夏実、シンジがマスター王 波児を出迎える。

「ん?どうしたシンジ難しい顔をして?」

シンジの何時もとわずかに違う表情に気がついた

「・・・・・・・マスターNERVって知ってますか?」

「・・・・・・・NERV?・・・・・・ああ聞いた事がある。確か国連直属の非公開組織だとか何とか・・・・・・・・それ以上は知らん。」

「・・・・・・・・そうですか。」

何故波児がこのような事を知っているかというと波児の裏の仕事が関係している。
「万屋 王 波児」裏新宿で知らない人は居ないだろう。
シンジが答えるとお盆を持ったレナ・・・・・・・・仙道レナが奥から戻ってくる。

「朝ご飯できましたよ〜・・・・・・・・・・・あれ?どうしたんですか皆さん?」

「ん?ああ、何でもないよレナ。ご飯できたの?」

シンジは何時もの表情を取り戻して答える

「あ、はい。」

「それじゃ、食事にしましょう。マスター、俺後で無限城に行きますんで仕事の話しが来たらお願いします。」

「ん、わかった」

シンジの仕事・・・・・・・・シンジも波児と同様裏の世界の人間である。『仕事屋』・・・・・・・依頼があればどんな仕事も引き受けるいわゆる何でも屋・・・・・・・・・依頼成功率は現在100%である。


〜数時間後〜

シンジは裏新宿の奥にある廃墟ビルが融合して出来た超巨大ビル・・・・・・『無限城』にきていた。

「・・・・・・・・MAKUBEXいる?」

シンジは幾つものコンピューターが繋がっている部屋に来ると尋ねる。

「久しぶりね、シンジ君。MAKUBEXなら今ちょっと居ないわ・・・・・・・・」

20代程の女性がシンジを向かえる。

「お久しぶりです朔羅さん。それじゃマナは居ますか?」

彼女の名前は筧 朔羅。
小姫筧龍布衣術の使い手である。

「マナなら、ほらあそこに・・・・・」

朔羅が指差すとバイザーを被ってキーボードを撃ちこむ少女を指差す。

「マナ。」

シンジの声が聞こえるとマナはバイザーを外してシンジの方へと飛びついてくる。

「シ〜ンジ〜(はぁ〜と)」

「・・・・・・・・・・・・・」

シンジは無言で飛びついてくるマナを避ける。
標的を見失ったマナは問答無用で壁に顔をぶつけた。

「・・・・・・・・・痛い・・・・・・・・」

「マナ、ちょっと調べて欲しい事がある。」

シンジは痛がるマナを無視して話し始める。
シンジの口調は何時もの大らかな物ではない仕事をしている時の声だ。

「ん〜何?」

マナは鼻を摩りながら答える。
これが何時も通りの二人の関係なのだ。

「特務機間NERVについて調べて欲しい・・・・・・・」

「・・・・・高いわよ?」

マナは真剣な表情になって答える。

「・・・・・・・・つけとくれ。」

「りょ〜かい。それじゃ、茶ッ茶と調べますか。」

マナはそう言うと元いた場所に戻ってキーボードを叩き始める。
彼女霧島マナは情報屋だ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わったらHonkytonkに送ってくれ。朔羅さんMAKUBEX達によろしく言っておいてください。」

「ええ。」

シンジはそういうと出て行く。


シンジが無限城を出てしばらくすると突然5人の黒服に囲まれる。

「碇シンジだな?」

「・・・・・・・・・はぁ、そうですが何方ですか?」

「貴様に話す必要は無い付いて来てもらおう」

シンジに声をかけた男とは違う男が黒光りする物をシンジに向けて答える。
面倒なので最初に話しかけた男をA銃を持っているのはBのこりはCDEにしましょう。

「・・・・・・・・・・・それが人に物を頼む態度?」

「・・・・・・・・・・・貴様に拒否権は無い。」

シンジに銃を向けながら黒服Bが答える。

「・・・・・・・・・・・ヤダネ・・・・・」

シンジは何事も無いように答える。

「ならば腕ずくでも来てもらおうか・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・できる物ならどうぞ。」

シンジの返事を合図に黒服Bが引き鉄を引こうとするが体が動かない。
他の男達も同様に動けないの様だ。

「・・・・・・・貴様何をした?」

黒服Aだ。

「・・・・・・・自分の周りをよく見てみたら・・・・・・」

黒服Aが目を凝らすと男達の周りに糸のような物が張り巡らせらている。

「・・・・・・糸?」

「正解。風鳥院流弦術初伝・・・・・・・・・『弦呪縛』・・・・・・・・・・・・心配しなくてもそのうち行くさ・・・・・・・・・」

シンジはそういうと後を去る。

〜喫茶店「Honkytonk」〜

「ただいま〜」

シンジが帰ると波児、レナ、夏実の他にナイスボディのお姉さんがいた。

「シンジ君、早かったね」

夏実がシンジに気がつき声をかける。

「時間が掛かりそうでしたから。それよりヘブンさん俺に仕事ですか?」

シンジはナイスボディのお姉さんヘブンに尋ねる。

「いいえ、今日は蛮君達に仕事を持って来ただけ。」

「あ、それなら丁度良かった俺しばらく休業しますんで・・・・・・」

「あら?どうかしたの?」

「ちょっと私用で」

「あら、旅行?」

「ま、そんな物です。」

「あ、マスター。俺ブルマン下さいお金はツケで・・・・・・」

シンジはカウンターに座って注文する。

「あいよ・・・・・・・」

新聞を読んでいた波児は立ちあがる。

「・・・・・・・・・そういえばGet Backersの2人は?」

シンジは正面で洗い物をしている夏実に尋ねる。

「そろそろ来るんじゃないかな?レナちゃんと一緒に買い物に行ったから。」

「ふぅ〜ん」

シンジは煙草を取り出し咥える。
シンジの携帯が鳴るマナからだ・・・・・・

「もしもしマナ?」

『あ、シンジ?出たわよネルフ。』

「で、結果は?」

『裏で何やっているのかわかんない組織よ。国連の方から莫大な金が動いてる。それも国家予算レベルをはるかに凌駕したね・・・・・・・』

「他には?」

『ネルフの事じゃないけど第3新東京・・・・・・あそこにはかなりの兵装ビルが有るわね。他にも地下になにか作ってるわ・・・・・・・それ以上はちょっと分からない・・・・・・ごめんね?』

マナが謝る姿が目に浮かぶ。

「いや、ありがとうマナ。又連絡するよ。報酬はそうだね・・・・・・・・・・・」

『デート一回!!』

「OKそのうち誘う。それじゃあ又連絡するよ。」

『うん又ねシンジ。』

シンジは携帯を切るといつの間にか運ばれていたコーヒーを飲む。
程好い苦味が口の中に広がった。

「マスター。俺、明日から第3に行って来ます。」

「わかった。」

翌朝シンジは第3新東京都市に向かった。






To be continued...


(ながちゃん@管理人のコメント)

美堂翔様より「エヴァンゲリオン『福音の魔眼』」の第一話を頂きました。
シンジ君は端から強いみたいです。いろんな能力を持っているようですね。
雰囲気的に、ネルフは碌でもない組織のようですから、是非とも黒服や鬚たちを甚振って下さい(笑)。
シンジはこれからネルフに出向くのでしょうから、今後、どのようにGBとクロスしていくのか楽しみですね。
やはりこのお話は、LMSですかね?
なんかマナが一方的にお熱な感じですけど、シンジ君も満更でもなさそうだし・・・こういう形もアリかな?
さあ、次作を心待ちにしましょう♪
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