天使と死神と福音と Outside memory

余計で章 〔邪道でしょう?〕

presented by 睦月様


「くっ・・・はっあ・・・」

吐く息が荒い。
肺が焼け付きそうに痛む。
体のあっちこっちが悲鳴を上げている。

「っぐう!!」

しかし男は深夜で無人の道を走り続ける。
どれだけ走ったのか・・・感覚がおぼろげになってはっきりしない。
かなり走ったということしか分からないが・・・どんなに走っても、走るだけじゃ意味がない。
背後にははっきりと追撃者の気配を感じる。

「助けてくれ~!!」

数日前にも男は同じように逃げていた。
その時と今の状況はまったくかわりがない。
かわりがあるのは男ではなく・・・

GYURAAAAA!!!!!

背後から追いかけてくるのは戦車・・・何故戦場でもないこんな場所で戦車に追いかけ回されるなんて一般人が一生経験しないようなレアな体験をしているのかは男にはまったくわからなかった・・・って言うかそんなことをゆっくり考えられていられる時間など皆無だ。
背後の戦車は問答無用で追いかけてくるし、何より乗っているのが・・・

「あっははは!!逃げるんじゃねえよ!!ひき殺すぞこら!!」
「ヒィィィィィ!!!」


男ははっきりと認識した。
戦車の中に乗っている人間はキチ○イだ。
キ○ガイに違いない。

そうでなければ生身の人間を戦車でひき殺そうなんて嬉々とした口調で言ったりはしないはずだ。
なぜキチガ○が自分を目の仇にしているのかの心当たりはこれっぽっちもないが確実にこれだけは言える。
戦車に乗っている何者かのテンションは最高潮・・・この勢いのままひき殺されたとしてもおかしくはないほどあっちの世界に入っている。

男の人生は確実にクライマックスモードだ。
最初から最後まで完全無欠にクライマックスだ。
いつエンディングが流れ出してエンドロールが回り始めてもおかしくない。

マジで泣ける。
この危機からつり上げてくれるのなら誰に釣られてもいい。

「っは!チャ~ンス!!」

戦車にひき殺されそうになる寸前、男は横っ飛びに飛んでわき道に逃げ込んだ。
さすがに戦車のあの巨体ではこの道には入ってこれないだろう。

「ハァハァ・・・いったい何が起こっているんだ?何でいきなりこんな・・・」

何とか一息つくことが出来た男が今の状況を考える。

いきなり戦車に追いかけられたのは夢ではなく現実だ。
これだけでも十分理解不能だが、何よりおかしいのは・・・

「何でこれだけの騒ぎで誰も出てこないんだ?」

前回と一番違うところはそこだ。
ここは紛争地帯でも人里はなれた山奥でもない。
町のど真ん中だ。

そしてさっきの戦車の走る音はかなり大きく響いていた・・・なのにだ。

誰一人として、見に来るものがいない。
それどころか窓を開けることさえしないとは一体どういうことか?
何より前回はわずかながら感じていた人の気配がまったくない。

いつの間にこの町はゴーストタウンになったのだろうか?

チュイン!!
「へ?」

いきなり背後からした何かの着弾音とほほに感じる痛み。
指でなぞれば線状に痛みがして指にぬるっとした感触が来た。
なんだろうかと見てみれば・・・・

「ち、血ィィィ!!」
チュイン!!
「だあああ!!!」

狙撃されたと気がつくより早く二発目が来た。
男は生存本能に従って駆け出す。

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「・・・っち!」
「綾波・・・そこは舌打ちするところじゃないだろう?」

ライフルのスコープから目を離したレイにムサシが呆れた声で突っ込みを入れる。

「あの人のせいでシンジ君が泣いちゃったわ・・・万死に値すると思うの。」
「いや、だからって殺しちゃ駄目だから、シンジ元に戻れないから」
「・・・なんでそんなことを言うの?」
「放っておいたら危ないから、あの男が・・・」

レイはシンジが酔っていたはずみとはいえ、泣く原因を作った男の事を許す気はないようだ。
目を離すと「あ、手元がくるっちゃった~♥」などと言いかねない。
それはマジでまずい。

不満そうなレイにやれやれといった感じでムサシは手元のノートパソコンに向き直る。
映っているのはこの町の地図、その中に表示されているのは他のみんなの位置を示す光点と男の位置を示すマーカー、そして男のリアルタイムの姿だ。

「しっかし、ユイ司令も思い切ったことするよな~ネルフの力でこの付近の住人を全部避難させるなんて、おかげで俺たちも思いっきりやれるけどさ」
「・・・でもケイタ君の戦車はやりすぎだと思う。」
「言えている。」

あの戦車はシンジことルイの泣いている姿を見たユイ達が用意したものだ。
世界の敵の男を死んでもつれて来いと厳命されている・・・泣いているシンジを鼻血を流しながら抱きしめている姿は別の意味で怖かった。
夢に見そうで・・・いやなことを思い出したという感じに頭を振ってモニターに向き直ったムサシは男の逃走ルートを予想する。
この程度の予想はムサシの【Logical intuition】(論理的な勘)ならわけない。

「あ、あいつ・・・また余計な動きをしてやがる。このままだとわき道にそれちまうな、綾波頼む。」
「了解・・・」

レイはライフルを構えてスコープを覗き込む。

ちなみにこの位置は男から700メートルほど離れているがレイにとってはたいした距離ではない。
【Power of good harvest】(豊穣なる力)を全開で使っているので実質は70メートルほどの感覚だ。

「綾波レイ・・・目標を狙い打つ・・・」
「だから狙うなって言っているだろうが!!目標に当てちゃ駄目だろう!!」
「・・・綾波レイ・・・目標の周りを狙い打つ!」
ドン!!

モニターの中で男が飛び跳ねた。
どうやらちゃんと男から狙いをはずして撃ったらしい。

レイの決め台詞を聞いたムサシはレイが最近始まったロボットアニメにレイがメイと一緒になって夢中でみていたのを思い出した。
多分こんな機会をまっていたに違いない。

「確かガンダム●●とか言ったっけな・・・」

遠くで男の悲鳴が上がったような気がする。

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「か、かすった!!今マジにやばかった!!」
チュイン!!
「く!」

精密としか言いようのない狙撃に誘導されて男は逃げていく。

チュイン!!
「はっ!くう!!早々当たるものではない!!!」

・・・どうやらまだ余裕があるようだ。
それともあまりの緊張に頭のねじが何本か外れたのか?

男は銃弾から逃げながらわき道に逃げ込む。
そしてその先に待っていたのは・・・

「な!!」

たどり着いたのは袋小路だった。
目の前のコンクリートの壁はよじ登って乗り越えるには少々高すぎる。
完全に追い詰められてしまった。

「「「み~つけたぁ~」」」
「う・・・ひゃああ!!!」

背後からの声に振り返った男は・・・悲鳴と共にいろいろなものをあきらめた。
目の前にいるのは女子高生の三人組。
着ているのは高校の制服

一人は日本人離れした顔立ちと赤いロングの髪の少女・・・アスカ
一人は日本人形のようなストレートの長い黒髪でメガネをかけた少女・・・マユミ
一人はオレンジ色の髪をボーイッシュなショートカットにした少女・・・マナ

・・・三人とも平均以上の美人だ。
町を歩けば確実にナンパされるだろう容姿をしている。

しかしだ
今の彼女達に挑むチャレンジャーなナンパ師はいないだろう・・・三人に共通するのはその瞳にたたえる妖しい光・・・・・・あの目はとてもじゃないが女子高生のそれじゃない。
あれは獣の目だ。
しかも肉食の・・・獲物を追い込んだときのような喜悦を浮かべている。

「え?」

次の変化はいきなり来た。

目の前の光景がいきなり変化したのだ。
気がつけば四人はどこかの裁判所の法廷にいた。

アスカ達の服装も裁判官のそれに変化している。

マナの【Spectacle of fantasy】(幻想の光景)だ。
実際に法廷に移動したのではなく周りの風景を弄ってそう見えるようにしている。

もちろんアスカ達が裁判官、被告席にいるのはこの変化についてこれずに右往左往している男だ。
普段はシンジ相手にしか開かれないアスカ裁判が初めてシンジ以外のために開かれた・・・ちなみに、この裁判の有罪率は100%、無罪になった判例は一つとしてない。

「裁判長!」

声と手を上げたのはマユミ、そして裁判長はもちろんアスカ。

「間違いなくこの人がシンジ君を女の子にした人です。」

どうやら視線を合わせた瞬間に記憶を読んで確認したようだ。
マユミの【The Index】(禁書目録)に嘘をつくことは出来ない。
確実に真実を読み取ることができる。

彼女一人がいれば警察の事情聴取も検察も弁護士さえ必要ない。
確実に被告人の罪を暴くことが出来る。

それゆえにマユミの言葉は絶対だ。
この時点で男は容疑者から被告人にランクアップした。

「ま、待ってくれ・・・一体何が!?」
「あんたの意見なんて聞いてないわ、とにかくアンタは有罪って事よ。あきらめて罰を受けなさい。」
「お、横暴だ!!」
「ほう・・・横暴と来たわけ・・・」

アスカの顔にニヤリ笑いが浮かぶ。

「じゃあ最近の流行で陪審員制度で行きましょう。陪審員の皆さん、どうぞ!!」

その一言に応えて陪審員席で手が上がる。
十二本の腕がまるで槍の様にまっすぐ天を指す・・・紫色の手が・・・しかもいつの間にか完全全自動で被告人にされた男を振り返る同じ紫の鬼の顔が12個・・・動きも完全にシンクロしている姿は非常にシュールだ。

「ってわけで民主的にもアンタの有罪が確定したわ」
「どこが民主的だ!?」

あまりにも一方的な状況に男が切れた。
男も目の前の少女達が自分と同じような力の持ち主であるということは気がついている。
同時に、彼女達の持つ能力が普通じゃないのも丸わかりだが、ここで反論しなければ確実に刑が確定してしまう。

「大体なんで俺が裁かれなきゃならないんだ?」
「別にアンタが知ろうが知らなかろうが有罪は決定なんだけどね~何日か前に高校生くらいの男の子を女の子にしちゃったでしょう?」
「え?・・・ああ・・・」

男にとってあの夜のことは思い出したくもない悪夢だ。
絶対殺されると感じたあの恐怖は忘れられない。
時々夢に見て恐怖で飛び起きる。

「その子が泣いちゃったから、だからアンタは死刑」
「なんじゃそりゃ!!」

叫びたくもなるだろう。
自分が戦車に轢き殺されそうになったり、銃で狙撃されたり、今まさに理不尽としかいえない裁判に強制参加させられたうえに死刑宣告されたのはたった一人の女の子(元男)が泣いてしまったからだという。

「なんでそいつが泣いただけで死にそうな目に会わなけりゃならないんだ!?」
「「「・・・・・・」」」

無言で少女達の纏う空気が変化した。
三人の視線は男を射抜き、プレッシャーに押された男がおもわず後ずさった。

男は気がつく。
どうやら自分は地雷を踏んでしまったようだ。
あの少年は目の前の少女達にとって大事な人物だったらしい。

「死刑・・・執行してもいいわよね?答えは聞いてない。」

陪審員席にいる12体の異形が立ち上がった。
その手に持つのはさまざまな武器の数々・・・刀、斧、槍etc・・・あれでぶっ叩かれたり切られたり突かれたりした日には文字通り死ぬだろう・・・確実に。

「まあまあ、三人とも落ち着いて」

落ち着いた声と共に男の目の前にオレンジ色の壁が出現し、【Tutelary of gold】(黄金の守護者)の動きを止めた。

「ちょっとカヲル、何をするのよ!?」
「何といってもね、彼にも弁解の余地が必要かなと思って」

アスカの叫びにいつものアルカイックスマイルで応えたのはいつの間にか男の後ろに現れたカヲルだった。
高校の制服を着てスカートのポケットに両手を入れている。

「た、助けてくれたのか?」
「ん?」

カヲルが視線を下げると唖然と自分を見上げてくる男と目があった。

「助けたというか、お礼ってところかな?」
「お、お礼?」
「ああ、まさかシンジ君にあんな特技があったなんて・・・」

何かを思い出したらしいカヲルの顔が真っ赤になる。
しかも体をくねらせている姿は異様だ。

それを見たアスカ達の目が釣りあがり、発散されるプレッシャーが数倍に膨れ上がる。
前門に妄想中のカヲル、後門にもはや殺気に近いくらいに膨れ上がったアスカ、マナ、マユミのプレッシャー・・・その中間にいる男は前後からの圧力にたじたじだ。
実際に押しつぶされるような圧迫感がある。

「ふふふ・・・シンジ君、君があんなにテクニシャンだったなんて知らなかったよ。あれが大人のキスって奴だね、いきなりで不覚を取ってしまったけれど今度は大丈夫・・・君の愛は僕が受け止めるよ!」

妙に気合の入った言葉だ。
しかも目が潤んでいる。
それを見たアスカたちの目がまたさらに鋭く釣り上がる。

「カヲル!アンタが何を言っているのかわからないわよ!!それに話が進まないでしょうが!!」
「え?ああ、そうだね」

カヲルは今気がついたという感じで足元で腰を抜かしている男を見た。

「貴方に聞きたいことがあるんだけど。」
「な、なんだ?」
「貴方は自分に力があることを知っているね?」

カヲルの言葉に男は頷く。
ここまで問答無用に自分を追い込んだ連中だ。
自分のことは全て知られていると考えていいだろう。

「・・・貴方はその能力で何をしようとしていたんだ?」
「よ、良くぞ聞いてくれた!」

男の顔に希望の色が見える。
どうやら丸め込めるかもしれないと考えたようだ。

しかし・・・

「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。」
「卵の・・・殻?」

カヲルの目がまるくなる。
背後のアスカとマナは「なに言っているんだこの親父?」といった感じだ。

「我らが雛で、卵は世界だ!世界の殻を破らねば、我々は生まれずに死んでいく・・・世界の殻を破壊せよ!!世界を革命する為に!!!」
「「「・・・・・・」」」

言い終えた男は何がそんなに誇らしいのか胸を張っている。
対照的に4人は冷めた目で男を見ていた。

シンジから世界の敵になる人間はそれぞれどこか飛びぬけた人間だと聞かされてはいたが・・・

「・・・・・・革命?」
「そうだ!革命だ!!レボリューションだ!!!」
「ぐ、具体的には」

カヲルの言葉に男がふっと笑う。

「俺の反転の能力でこの世界の”価値観”を逆転させてやる!そうすれば運のない奴はラッキーマンに!不男は美男子に!!負け組みは勝ち組に大変身だ!!!」

男の口上に四人は口を挟めなかった。
確かにこいつは世界の敵だ。
カヲルも多少なりとも便宜を図ってやろうと考えていたが、一体どこを便宜してやればいいかわからないでいる。


「そして俺がその世界のトップになる!!」

男は最後を大声で締めくくった。
言いたいことを言い切った男の顔は晴れやかだ。

「えっと・・・それだけ?」
「そうだが!!」
「一つ聞きたいんだけどいいかな?」
「なんだ?」
「価値観の逆転した世界でトップになるということは今の君はこの世界の最底辺にいるということでいいのかな?」
「・・・・・・くっつ!」

カヲルの言葉を聞いた男が崩れ落ちてひざをつく。
実際どうかは知らないがどうやら図星を突かれたらしい。
この男の事情など何一つとして知りはしないがどうやら本人は社会のどん底にいるつもりらしい。

そんな打ちひしがれる男を見た少女達が顔を見合わせる。
これは慰めるべき状況だろうか?
あるいはこのままほうっておくほうが慰めだろうか?

「・・・それで終わりか?言いたいことが無くなったのならこの世に未練はないな?」
「「「「「え?」」」」」

全員の声が重なった。
さっきの言葉はカヲルのものじゃない。
おどろおどろしく、しかも妖気まで混ざってそうな声は別の方向からした。

全員の視線が集まるとそれに応えるかのように一人の人物が現れた。
漆黒のライダースーツを着た人物は凪だ。
周囲のおびえた視線を無視して・・・ゆらりと幽霊のように前に出る。

「・・・何か特別な理由があるのかと思って遺言がわりに聞いていればわけのわからないことを・・・」
「わ、分かりにくかったですかね?ならもう一度ご説明を・・」
「いらん!お前のせいで俺はちょっとばっかり大事なものを無くしちまった。」
「ご、ご愁傷様です。」

前髪の奥から覗く眼光を見た男は覚悟した。
あの目は駄目だ。
もはやどうしようもないほど危険な眼光に金縛りにあう。

「や、優しくしてください。」
「贅沢言っているんじゃない!!」

一瞬で炎が上がった。
いや、すでに爆炎というべき苛烈さで燃え上がったそれは凪の心を表すかのごとく一直線に天を突く。
まさに火柱
その光景は一種の神々しささえ感じるほどだ。

「大体!女に言うことかそれは!!」
「ファイヤー!!!」


後に残されたのはいい感じのレアに焼かれた男が一人・・・ぴくぴくと痙攣しているところを見ると死んではいないらしい。
凪にわずかに残った理性と我慢の賜物だろう。
絶妙な火加減だった。

真っ黒になった男を見下ろす凪は心底不満そうだったが・・・

「そういえば・・・」
「「「「な、なんですか?」」」」

男を黒焦げにした光景に一歩どころか盛大にひいていた少女達が恐る恐る凪に答える。
今の凪に逆らってはいけない。
使徒であるカヲルでさえ今の凪にちょっかいを出すことは死に繋がると本能的に理解している。
生と死は等価値な彼女ではあるが怖いものは怖い。

今の凪迫力は量産型エヴァでも裸足で逃げ出すだろう。

「・・・誰かこいつの名前、知っているか?」
「「「「・・・・・・」」」」

凪の疑問に答えられるものはいなかった。

反転の能力を持った世界の敵はその名前を知られることなく倒されたのだった。

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ネルフ本部・・・薄暗い一室・・・

簿湾という感じに浮き上がったのはユイとその斜め後ろに立つキョウコだ。

「・・・始めましょう。」

ユイの宣言によって暗がりに他の人影が浮かぶ。
現れたのはリツコ、時田、山岸の3人

「例のものは順調に仕上がっています。」

にやりと笑った時田が一歩前に出る。
白衣の中に手を入れ、取り出したのは大きめの本。

「碇ルイちゃん写真集!ファッションショーや私生活でのピンナップを集めたこの一冊、売れ行きは順調!!増刷も考えています!!」

開いた本の中身はやはりルイの写真、ファッションショーから学校での生活までさまざまなルイの姿が載っている。

「「「「「「おお~!!」」」」」」

この場にいる全員から感嘆の声が上がる。
暗くてわかりにくいが結構な数の人間がこの部屋にいるようだ。
もちろんネルフ職員ご一行

しかし・・・時田の持つ写真集・・・よく見ればわかるのだが・・・写真の中のルイは一枚としてカメラを見ていない。
明らかに盗撮写真だ。

本の裏に協力・諜報部員勇士とある。
どうやらルイの安全の為の監視ついでに諜報員の猛者達が隠し撮りしたルイのスナップ写真らしい。
確実に犯罪だ。

さらにその下には・・・協力者・相田ケンスケとある。

「ちなみにトレーディングカード化も検討中です!!」
「「「「「「「「「「おお~~!!」」」」」」」」」」

頭の悪い会話だ。
しかし誰一人として突っ込みを入れない。
なぜなら今この場に集まった人間は皆”そっちの世界の住人”だからだ。

「では次に山岸博士」
「はい」

ユイに促されて山岸が前に出る。
手に持つのはルイそっくりの人形・・・

「六分の一、ルイちゃんフィギュア!」
「「「「「「「おお~!」」」」」」」
「MAGIをつかって綿密な立体CGを作り出し、そこから削りだした一品、65000円からどうだ!?」
「「「「「「「おおおおお~~~!!」」」」」」」

どうやら山岸は世界最高峰のコンピューターを使ってルイのフィギュアを作ったらしい。
第三世代コンピューターをとんでもないことに使う男である。
しかもちゃっかり商品の宣伝をしているあたりに科学者としてだけじゃなく商売人の才能も垣間見える。

しかしだ。
本来ここで怒り狂うのが当然のはずのリツコはフフンという感じに笑って余裕・・・忘れてはいけない。
今日この場にいるのは”彼方側の人間”なのだ。

・・・一人の例外もなく。

「シロウさんも山岸博士も甘いですね」
「「何?」」

リツコは余裕たっぷりだ。
その自信がどこから来るのか出来れば知りたくない。

「貴方達がやっていることはそれ以上の発展はありえないでしょう?」
「「っく!!」」
「常に先を見据えなければ科学者としてはまだまだですわよ。」

リツコの言うとおりだ。
時田の写真集も山岸のフィギュアも限界がある。
モデルであるルイがすでにシンジに戻ってしまったからだ。

「「な、ならばどうする!?」」
「これです!!」
パパラパッパパ~

まるで青い耳なしネコ型ロボットのごとくどこからか流れたお決まりの音と共にリツコが取り出したのはプラグスーツだった。
しかも女性用

「プラグスーツ?」
「そう、さらにこれを!!」

取り出したのはカツラ・・・長い黒髪のそれはちょうどルイの髪の長さと同じ長さだ。

「このプラグスーツを着れば誰でも女性体型になれる優れもの、さらにこのカツラを付ければルイちゃんの復活!!名付けて碇ルイちゃん変身セット!!」

あえて誰に着せるつもりかは言わない。
わざわざ言う必要などないだろう。

本当にこの女性は世界最高峰の頭脳を持つ一人だろうか?
その才能をどうでもいいことに消費しすぎていないだろうか?

「「「「「うおおおおお!!!!」」」」」

それはこの場にいる全員に言える事だ。
どうやらリツコの言ったルイ復活の言葉にヒートアップしたらしい。
周囲の人間が興奮のあまり人間ウェーブをやり始めた。
しかも中には「祝、ルイちゃん復活万歳!!」などと叫んでいる馬鹿までいる。
いつからネルフはこんな奇人変人の集まりになったのだろうか?

おそらくその原因は組織のナンバー1・2であるはずなのに満足げにうんうん頷いてるユイとキョウコだろう。

「いい出来だわ、リッちゃん」
「ありがとうございます。」

ユイはにっこり笑うと目の前の机においてある書類を見た。
表紙には通称【はにかみの天使】ことルイのぎこちない笑顔・・・そのぎこちなさがまたいい・・・すごくいい・・・そんなルイの笑顔をさえぎらない位置にでかでかと・・・

【碇 ルイ補完計画】

「この計画こそがこの絶望的状況下(マンネリ化)における唯一の希望なのよ・・・我々全員の・・・」
「計画スケジュール(写真集やフィギュアの発売予定)の遅延は認めらないから、予算については一考しましよう。」

・・・なんでもない事のように話すネルフのトップ二人・・・誰もが厭んでいる。
そういうことにしておきたい。

「ではこれで・・・
ビー・ビー
なに!?」

終了を告げようとしたユイの言葉を警報が遮った。

「も、目標が近づいてきます!?」
「「「「「「「「「「っつ!!」」」」」」」」」

室内にいる全員が息を呑んだ。
使徒の来なくなった今、目標といわれるものは一つしかない。

「食い止めて!」
「だ、駄目です!強羅絶対防衛線を突破されました!!」
「来るわね・・・ここに・・・」

それは最悪の未来予想図だ。
ユイだけでなく全員が冷たい汗をかく。
この部屋にいる人間は一蓮托生、目標がこの部屋に到達すれば・・・

ドカン!!
「「「「「「「「「「っつ!!」」」」」」」」」」

いきなりの大きな音に全員が身をすくませる。
恐る恐る見たそこには・・・

「あ、皆そろってるんだ~♪」

鬼がいた・・・高校の男子生徒用の制服を着たシンジ・・・とっても楽しそうに笑っている。

「う・・・すまん・・・」

シンジの足元にはぼろぼろになったゲンドウ・・・どうやら防衛線の担当だったらしい。
がっくりと気絶したゲンドウにはシンジが八つ当たりした結果であろう・・・あっちこっちに足跡がついていて蹴られまくったのが一目瞭然だった。

「さて母さん?」
「何かしらシンちゃん?」
「ここで何をしていたのかを聞きたいんだけど?」

わざわざ聞くまでもなく室内には証拠が散乱している。
写真集とかフィギュアとかプラグスーツとか・・・あえてそれを聞くのは自分たちで死刑執行書に判を押させる為に違いない。
今のシンジは鬼だから・・・

「ぼく・・・記録とか全部処分してほしいって言ったよね?だったらここにあるものって残っているのはおかしいよね?」
「で、でも・・・シンちゃんとってもかわいかったから~」
「あはは、子供で遊ぶなんて・・・母親の自覚が無いって言ってくれたらまだ許せるかもしれない。」
「ふふっ愛してるわよシンちゃん、母親として」

シンジとユイの会話はどこかおかしい。
明らかに噛み合っていないが、しかし当人達にとっては問題ないようだ。

問題はそれを見ている周りの面子、逃げたいというのが偽らざる本音だろう。
しかし出口はシンジの背後にしかない。
逃げ出すのはどう考えても不可能
ブギーポップがいない状態でもシンジの実力と能力はこの場にいる全員を相手に出来る。

しかしユイはそれでも不敵に笑う。
まだ手札は尽きてはいない。
「手札の数だけ可能性は残っているのだ。あきらめるのは早い、デュエリストの名に賭けて!!」・・・BY、遊びの王様+α

「シンちゃん?」
「何さ?」
「自分におぼれて萌え死になさい!」

ユイの言葉と共に現れたのはモノリス、その表面がテレビのようになって映像を映し出す。

「うっ!!」

それを見た瞬間シンジは・・・崩れ落ちた。

そこに映ったのはルイの姿・・・
おどおどとユイの背後に隠れるルイ・・・
ファッションショーではにかみながら笑っているルイ・・・
同級生に言い寄られて逃げ腰になっているルイ・・・

誰が編集したのか知らないがシンジから見ても萌え要素満載だ・・・それが自分じゃなければ・・・

真っ赤になってうつむいたシンジの体が小刻みに震えている。
全力で否定したいがあれも間違いなく自分の一面、感情の抑制が効かなかったからといって言い訳にはなるまい。
誰に対する言い訳かというともちろん自分に対して・・・まるでアラエル並の精神攻撃だ。

ハ~レルヤ~・ハ~レルヤ~

どこからか賛美歌が聞こえてくる気がする。

「逃げたい・逃げたい・逃げたい・・・・逃げてもいいよね?」

モノリスの映像は佳境・・・ルイがカヲルと凪の唇を奪ってノックダウンしたシーンではあまりにも濃密なキスに男女問わず魅入った。
そしてこれが「決定的にまずかった。さっさと逃げればよかった。」と後日、参加者は語る。

ブチン!!

「「「「「え?」」」」」

誤算はシンジの忍耐が思ったより短かったことだろう。
彼等は見た。

ゆっくりと立ち上がったシンジの右手が白く光り輝くのを・・・【Right hand of disappearance】(消滅の右手)だ。

「・・・き・・・」
「「「「「「「「「「き?」」」」」」」」」」
「消え去れェェェ!!!!」

モノリスを打ち抜いた右手はその破壊音すら無に帰し、モノリスを完全に消滅させた。
ここにいるのはシンジの能力を知っている人間だけだが、彼らから見ても背筋の寒くなる光景だ。

後に残るのはモノリスの細かな残骸とシンジのみ。
全員の背筋に戦慄が走った。

「母さん?今回助けてもらったことには本当に感謝している。」
「そう?」
「でもこれはちょっとね、子供をおもちゃにしてはしゃぐのはいただけないよ?いい加減年を考えて・・・っつ!!」

ブン!!という風切り音と共に何かがシンジの顔面をめがけて放たれた。
とっさにシンジは背後に飛んで避ける。

「くっ!!」

しかし追撃も止まない。
着地したシンジめがけて槍の様な蹴りが飛んできた。
狙いはシンジの腹部、一撃で倒すのでは無く、動きを止めるための一撃だ。
さらに後方に飛ぶシンジの頭をめがけてまわし蹴りが来た。

ガシ!!
「っくう!!」

空中ではさすがのシンジも避けることは出来ない。
両手をクロスさせてブロックするが蹴りの威力で弾き飛ばされる。

「ちっ、どういうつもりだ母さん!?」

受身を取りながら床を転がって立ち上がったシンジの視線の先には蹴りを放ったポーズのまま固まったユイがいる。

「さすがシンちゃん、あのコンボをしのぐなんてすごいわね~♪」
「何言っているんだか、三発とも当たれば確実に相手を行動不能にする一撃だったじゃないか・・・マジで殺る気?」
「だって~女の年齢を軽々しく持ち出すなんてデリカシーがないわよシンちゃん?」

二人とも笑っている。
これ以上ないほど壮絶に

「ふふふ・・・シンちゃん?」

ユイが前に出た。
しかし今度はシンジも十分に対応する。

突き出されてきたユイの右こぶしを取ると背負い投げで投げ飛ばす。
しかしユイも只者じゃない。
投げられる瞬間にシンジの腕を掴むと空中から膝蹴りを放ってきた。
狙いはシンジの眉間

「甘いわよ!」
「っげ!!」

シンジもとっさに動く・・・前に

「っきゃ!!」

空中にいるユイに体当たりするように弾き飛ばした。
飛ばされたユイは空中で体勢を整えると危なげなく着地する。

周囲のギャラリーから歓声が上がった。
実力伯仲の攻防だ。
二人とも只者じゃない。

「やるね~母さん?」
「貴方の母親ですから」

にこやかに笑いあう親子は・・・・・・しかし、まったく油断していなかった。
目の前の相手がどんな手に出てきても即座に対応できるように浅く重心を落とし、筋肉は程よく緊張している。
完全に戦闘モードに入っていた。

「女の子のときはあんなに素直でかわいかったのに・・・育て方間違えちゃったのかしら?」
「母さんに育てられた覚えは無いよ?」
「つまり・・・この人の育て方が悪かったって事ね?」

ユイが横目で床にうつぶせになっているゲンドウを睨む。
床に転がっているゲンドウがピクリと動いた。
すでに気づいてはいるが今起きれば確実に巻き込まれる為に死んだふりをしているのだ。

「その人に育てられた覚えも無い。」
「・・・そうね、すべてこの死んだふりをして嵐が過ぎるのを待っている臆病者のせいなのね?」

二人の言葉は辛辣だった。
しかしゲンドウには必死で死んだふりを続けることしか出来ない。
そんなチキンゲンドウに周囲の皆から白い視線が集中する。
うつ伏せになった状態で見えないが、ゲンドウは目の幅涙を流していた。

「ところでシンちゃん?私、これでもまだ20代なんだから~♪」
((((((((((何でそれを蒸し返すかな!!!))))))))))

観客+ゲンドウの心の声は一致した。
明らかなユイの挑発、そしてシンジのほうは・・・

「戸籍上は40過ぎてるじゃないか、孫もいそうな年齢で何を言うんだろうねこの人は」
(((((((((((((こっちもやる気だよ!!))))))))))))

ユイもシンジも殺る気満々だ。
ごうごうと殺気が漏れ出している。

「シンちゃん?何が言いたいの?この親不孝息子め」
「もうおばあちゃんって呼ばれてもいい年なんだからちょっとは落ち着けこのマッド母親め」
「おばあちゃんって呼びたければ早く子供を作りなさいこの優柔不断息子め」
「余計なお世話だといわせてもらう。大体未成年の息子に子作りを勧めるなこの不良母親め」

シンジとユイは外見もよく似ているが、相手に向ける悪口までそっくりだ。
二人が向かい合って笑っていると鏡があるように見える。

「シンちゃん?昔から子供は親には勝てないものよ?」
「そんなのは古いよ?大体、親なんて超えていくものの代名詞じゃないか?」

一触即発の空気が漂う。
シンジの格闘能力はユイ譲りだ。
ユイ自身の格闘能力も決して低くはない。

「ユイ~がんばってね~貴女の勝ちにお小遣い全額賭けしたから負けちゃ駄目よ~」

いつの間にかユイのそばに現れたキョウコから気が抜けるような声がかかる。
どうやらシンジとユイのバトルで賭けが成立しているらしい。
胴元は間違いなくキョウコだろう。

「司令、貴方に勝利を、私の財布に臨時収入を!!」

ユイの反対側にはこれまたいつの間にか現れた時田・・・どうやら彼もユイにかけたらしい。
臨時収入の部分に妙に熱が篭っていた。
そしてユイ本人は・・・

「キョウコ?」
「何?」
「私の分も賭けておいて、もちろん私の勝ちに」

そう言ってユイは自分の財布をキョウコに渡した。
やはり只者ではない。

そしてその対戦者であるシンジのほうは・・・

「シンジ君、貴方の言うとおり親は超えるためのもの・・・今こそユイさんを越えるとき!!」
「マユミとつき合う条件は司令に勝つことだ!マユミのためにもかってくれ!!そして私の財布から飛び立ったお金達が子供をつれて帰ってくる為にも!!」

左右にリツコと山岸がいた。
リツコはどうやら子供が母を超えるというシチュエーションにはまっているようだ。
山岸のほうはこれまた競馬新聞を持つ賭け師の様な顔をしている。
家計を取り仕切るマユミにお小遣いを握られているのだろうか?

そんな二人に挟まれた中心でシンジはうんざりした顔をしている。

「あんたらも俺にかけた口か?儲けさせてやるから地獄に落ちろ・・・っていうかはっきり言って邪魔だ!!散れ!!」

リツコと山岸を追い払うシンジだが何気なく一人称がぼくから俺になっているし口調が荒っぽいところを見ると・・・こっちもマジだ。

「さって、ではルールの確認をするわよん♪」
「何でミサトさんが審判?って言うかアンタもこれに参加していたのか?裏切ったな~!母さんと同じに裏切ったんだ!!」
「硬いことは言いっこなし、解説は冬月元副司令とうちの旦那」

見ればいつの間にか長机が用意されていて、パイプ椅子に座る冬月と加持がいる。

「このカードをどう思います?」
「かなり見ものだとは思うよ。血が滾るね・・・二人とも怪我をしないように気をつけてくれよ?」
「・・・もう何一つ信じない・・・」

シンジが投げやりに呟く。
もう引き返せないんだというあきらめのため息をついて。

「ほらほら、ネガ入っていないで~、あらためて!武器の使用・能力の使用禁止、それ以外は何でもありの時間無制限一本勝負!!二人ともいい?」
「ええ・・・それでいいわよ」
「好きにしてください。」

ユイとシンジの返事を聞いたミサトが両手を挙げる
その瞬間に二人の中のスイッチが入った・・・すでに相手しか見えていない。

「READY FIGHT!!」

静寂の一瞬・・・両者は全力全開で激突した。

ここに・・・おそらく世界でもっとも壮絶な親子喧嘩が始まった。

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試合結果・・・シンジ・ユイ、両者ダブルノックダウン。

シンジとユイの親子喧嘩は筆舌に尽くしがたく苛烈で、これによりネルフ本部の一部が廃墟化したがこれでも被害は最小限だったと考えていいだろう。

当然だがこの件はトップシークレットとして秘匿された。
親子喧嘩のせいで国連の組織の施設が破壊されたなどと言うわけには行かない。
かくして真実は闇の中・・・ということだ。
この一件以来、シンジは世界の敵に対して、今まで以上に慎重に、そしてどんなときでも全力全開で挑むようになった。
容赦がなくなったという言い方も出来るが油断や慢心をしなくなったという意味では今回の件はシンジにとってもいい経験になったようだ。

追加として、写真集制作に参加した諜報部員達+一名(ケンスケ)はシンジのお仕置きを受け、ズタボロにされたという報告が上がってきているが、これは自業自得だろう。
個人情報は重要です。

問題の【碇ルイちゃん写真集】に【碇ルイちゃんトレーディングカード】、山岸の【碇ルイちゃんフィギュア】はネルフの裏ルートで販売されることとなったためにネルフ職員達の中で爆発的に需要が発生した。

しかし・・・ネルフ本部内においてこれらの商品を取引しているとシンジとのエンカウント率を上げてしまうので注意が必要だ。
襲われた人間曰く、白く輝く右手が光ってうなっていたらしい。
危険度は暴走状態の初号機を相手にしたほうがましなほど・・・もし運悪く捕まったのなら・・・命の保障は一応つくようだが、いろんな意味で覚悟が必要だ。

それなのに求める者の需要は根強く、途切れることがない。
すでに新シリーズも予約の時点で売り切れごめん状態になっている。

ちなみにシンジが今もっとも警戒しているのはリツコの【碇ルイちゃん変身セット】である。
完全にこの世から消し去る為には【Impact of nothing】(無の衝撃)の使用もじさないと言っていた。

おそらくリツコが隠しているのだろう。
いつの日か・・・「こんなこともあろうかと!!」の一言と共にこの世に出せる日を夢見て・・・

P・S
反転の能力に覚醒した世界の敵の男だが、男に戻ったシンジに八つ当たりにぼこられて、恐怖のためか能力が消えてしまったらしい。
その後は心を入れかえてまじめにこつこつと働いている・・・「やっぱ一発逆転なんて邪道っすよ!人間地道に行くのが成功の鍵ですね!!」との事。

今日も第三新東京市は平和だ。

FIN






(2007.11.03 初版)
(2007.12.15 改訂一版)
(2008.03.01 改訂二版)


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