無垢なる刃金を纏う者

第十二話 反乱の兆し+結婚の終結+リツコの戦い

presented by sara様


しくしく、しくしく、あれ、何だろう目から汗が出るよ。

これは涙?そう悲しいんだね僕は。

愛しの人が、最愛の君が盗られてしまって、ああ、ああぁっ、九郎君。

お姫様に、悪いお姫様に囚われてしまった僕の愛しい人、奪われてしまったよ、穢されてしまったよ、主に戸籍が、僕の名前が併記されるはずだったのに、それは決まっていた運命めだったのに覇道、そんな名に穢されて。

大十字ナイアとなる筈だったのに。

しくしく、しくしく。

ああ、傷ついたよ、傷心だよ、思わず世界を混沌の坩堝に落としてしまいそうだよ、もう一度最初から仕切りなおしたいところだよ、ああああああああああああああああああああんっ。

それにしても協会で僕の頭に包丁を突き立ててくれたのは誰だろうねぇ。

どこぞで痙攣しているダーツの的じゃあないけれど、剣の筵ぐらいにはしてあげるよ、してあげないと、僕の感謝を返上しないと。

ねぇ。






覇道邸、馬鹿でかい屋敷であるので部屋数など数えたくないぐらい在る、それはもう沢山に一般人の想像を超えるくらいには、何でこんなに部屋があるのだろう、そもそも使っているのかと疑問噴出しそうなほど、まぁ、あるにはあるけど建ててから一度も使ってないねって部屋は絶対にあるだろう。

恐らく屋敷の中に住んでいる人間ですらも全ての部屋は網羅していないであろうと思えるくらい広く、そして屋敷以上に庭と呼べる部分は広かった、例えば模擬戦闘訓練が楽々出来てしまう位。

どれだけ庭が広かろうとそれがどうしたというものだろうし、お話にはたいした関わりは無いのだけど、これらはただの枕詞としておこう。

屋敷内において幸せ者数名(少数)、嫉妬の亡者(数人)、微妙な人(一人)、被害者(圧倒的多数=但し被害者の殆どが被害を楽しんでいるので微妙)が混在する特殊空間(修羅場)が度々展開されている、ある意味複数人数が展開した固有結界、アンリミテッド・修羅場・ワークスとか。

白夜街、眠らない町アーカムにおいては夜といえそれほど静かでもないし、その活動をやめることは無いがその喧騒が覇道の屋敷にまで届くことは無い、だが、覇道から発する騒音を街の住人が聞いていたりする、というかなんで届くのだろう喧騒が、絶対に銃声程度は届きそうにないだろうに。

響くのは爆音、砲音、破壊音。

その音に適応してしまっている住人にも問題があるが、「またか」程度の感覚で戦争クラスの騒音をスルー出来てしまえるあたりタフな精神を有しているのは問題だろう、危機感知能力がかなり欠如している。

世界一の富を有する町、そして世界一環境適応能力が高く、危機感知能力欠如者の町。

ここの住人絶対自然災害程度じゃ怯まないだろうし、つーかそれ以上の人的災害が日常茶飯事だし、でも、やっぱり普通の人間(?)なんだし、度が過ぎた災害には、人的、自然問わずで死んでしまうだろうし、故に危機感の欠如は命の問題だし。

何でこの町に住んでいるんだろう・・・・・・・ちょっと謎、命と娯楽で天秤にかけたのだろうか。





で、件の騒音公害の発信源。

曰く、白い天使が天空より砲撃をかまし、対空砲火が撃ち返される。

「成金、九郎ちゃんを出しなさい。九郎ちゃんはお姉さんのものです!!お姉さんは九郎ちゃんのものなのですよ!!純愛にてインモラルな二人を裂こうとする雌は神に代わって十字に裂きますよ」

曰く、白いロリペタ少女と金持ちツインテール(ルルイエのマギウスモード)が爆音を上げて殴り合う。

「下劣な手段を講じおって、そうでもせんと己のものにできん分際で九郎を。九郎の妻は妾ぞ、返さんか!!」

「誰が返しますか!!それに下劣!?正当な権利の主張。返せというのなら今まで私が立て替えた七十八億ドル耳をそろえて返しなさい、古本娘」(九郎とアルが壊した建築物や公共の財産の総額、アメリカ横断痴話喧嘩などが数割を占める)。

「口で負けたら金を振りかざすか、金持ちが!!」

「私がどれだけ大十字さんを思ってお世話してきたと思っているのです。正妻となることぐらいその苦労を思えば正当です。私にその資格がないなら費やした七十六億ドルを返しなさい、
因みに貴女名義の借金が四十六億ドルですわよ」

ちらっとアルの借金のほうが高額である(アメリカ横断の際主に壊したのはアル)

曰く、黒い魔王が、少し度を越した魔術であたり一帯を吹き飛ばそうとしたら、白い魔王の弟子が半泣きでしがみ付いて止めようとしたり(執事に頭殴られて気絶しました)。

「ふふふふっ、所詮日陰の女、日向に当たろうとしたら退けられるが我が運命・・・・・・・・・・・・この恨み・・・・・・・・晴らさでおくべきかぁ!!!!」(単純に扱いが悪いことの八つ当たりである、口調が変化しているのはテンパっているから。

「やめてください、インデックスさん。それ、それシリウスの天狼弓、そんなもの撃ったら兄さんまで・・・・・・・・・・・・・半径一キロは吹き飛びますから、正気に、正気に」(エセルのマギウスモードで全力羽交い絞め)

曰く、邪神が異界の門(ヨグ・ソトース)を切れたのか明けようとしたら、白と黒の精霊と魔王がシャイニングトラペゾへドロンをぶちかまして止めたり。

いい加減騒音公害に認定されそうな状況である、色々と他の公害もありそう、環境破壊は多分行っている、そして州法もしくは合衆国法違反も、その辺はこの街では余り指摘されない、少しばかり世界すら危険に晒した馬鹿もいるが。

何気に始まりが姫さんの暴走の割には最後のほうでは一致協力している、洒落にならないことをやらかそうとしているので止めたのだろうが。

それはともかく、住人は気楽なものである。

それが諦めなのか、それとも慣れなのか、日常化しているから現在はその少し過激版だと思われているのか、多分三番目だと思えるが、住民のほうから激しい抗議どころか些細な苦情も出てこないあたりが慣れているというところか、それとも噂=娯楽の種にぐらいにはされているのかもしれないが。

“覇道の姫君、搦め手でゴールイン”ぐらいは、実際はもっとドロドロした噂かもしれない、まぁ、他人事なら楽しめるネタだろう、姫さん一応は街の超有名人なのだから結婚したなどの話題はそれこそ音のように広まるだろうし、ある程度は意図的に流してはいるし。

理由としては対外的認知及び覇道瑠璃が未婚女性と知っているので彼女は彼女で婚姻の申し込みが多いのでもう既に売約済みということの流布、この話題はそれなりに町の人間の酒の肴になっているようだ、売約済みとされて悔しがる政略結婚を狙っている連中やら、その子息達が安堵の息を漏らしたという背景はあるが、本当にどうでもいいことである。

まぁ、町の姫さんの実態を知っている人達は彼女が売約済みになったことよりも、彼女に捕まった男のほうのこれからの悲惨さを話の種としていたりする、姫さん女傑として有名なので絶対に尻にしかれるだろうからと。

で、実際に噂通り強制だろうが、脅迫だろうが、搦め手だろうが、策謀だろうが、騙し討ちだろうが、男を尻にしこうが事実上の九郎争奪戦に勝利したのは姫さんなわけである、どれだけ憶測の混じった噂であろうと、悪女、策士と呼ばれようとこの件に関しての諸悪の根源は姫さん、計画から実行まで全て姫さんの意思のもと。

姫さんの結婚のやり方は恐らく犯罪行為であろうが、そんなものは知ったことではない、「法律、何それ」と本気で言えないことも無い人だ、その割には法律で定められた制度である結婚という形式を完全に利用しまくっているわけではあるが、そこはそれとしておいておこう、細かく追求してもきりが無いというか終わりが無い、上の闘争も一部でしかない。

噂の規制をしないあたりは、それが困難であるということもあるが、広く周囲に認知されればオッケー、上述のとおり。

誰が何と言おうと、結婚という制度が民法に則った制度である以上、両性の合意の上、合意かどうかは甚だ怪しい、書類として提出されればお役所はそれを認めてしまうわけで、事務的に仕事をこなすのが公務員の鑑、戸籍的にも婚姻関係という一種の契約が結ばれてしまうのは必定、例え精霊が怒り狂おうと、シスターが口にしてはいけないような罵詈雑言を吐き出して神を呪おうと、魔王が破壊神にクラスチェンジしようとしても、邪神が世界をリセットしようと、最後のほうはどうにかなるのかもしれないが、そうなるとまた一から始めなおしであるのでこの選択は却下(周囲より)、再度契約解除の書類、離婚届が提出されない限り大概婚姻関係は有効である、失踪五年(多分、もしかしたら七年)経つと一方の意思で離婚が可能だったり、一方に夫婦生活の継続に重大な問題が発生しない場合には。

それすら当事者間の問題で、第三者が立ち入ることなど出来ないのだが。

ビバ、お役所仕事、姫さんの心境はそんなものかもしれない、少なくとも結婚成立、婚姻関係持続まで持ち込んだ辺りまでは、その辺までは怒りか計略かどっちに思考が傾いていたのか知らないが姫さんの独壇場だったわけで(ここまではだが)。

加えて周囲が覇道瑠璃結婚ということ、つまり人の認知という点で知れ渡って社会的に認めさせる、勿論噂のレベルであり規制はしないが都合のいいように改竄ぐらいはしているのかもしれない、それで時機を見て公式発表でもすれば逃げられない鎖、ヒヒイロカネ製の完成となる、こちらは九郎本人の自由への逃亡防止の色合いが強いが、ライバルに対する牽制というよりは。

九郎は大十字九郎ではなく、覇道九郎というのが周囲の認識になってしまう。

九郎との結婚に関してはそれなりの策士っぷりを発揮した姫さんであるが、この姫さん案外どこかのアカイアクマと同じ属性を持っているような気がする、判りやすく言うと、某騎士王の出てくるゲームの魔術師、通称アカイアクマ、属性ウッカリ。

アカイ悪魔の場合は遺伝子的な呪いのような感じがしないでもないが。

世の中そこまで須らく上手くいくわけでもない、都合のいい展開が起こったのなら都合の悪い展開もまた起こるものである、というか姫さんその辺は覚悟の上だったんじゃないだろうか、覚悟の上だろう、だって考えたらわかりそうだし、いや考えなくてもわかりそうだし、でも本当に考えていたのかなぁ、なんかその辺り忘れ去っていた感じがある。

もしくは手段と目的が絶妙な感じでマッチしていなかったとか、手段に先行しすぎたというか、上のような展開になるのは当然であるというのに。

先ず必要な覚悟一、九郎と結婚、セット販売で魔道書が付いてきます、魔術師である以上必須事項です、因みに魔術師でない貴女の旦那様は甲斐性の九割五分を失います、確かに頭はいいようですが、探偵業の経営状態を見る限り商才は期待できないはずです。

前回精霊相手に勝ち誇っていましたが姫さんは実質彼女の扶養義務(ないような気もするが)が付いてくる、どうもこの辺まで考えていたのか怪しい。

少なくとも彼女の扱いを考えていたとは思い難い。

必要な覚悟その二、貴女の恋敵達はその程度で諦める殊勝さなど欠片も持ち合わせてはいません、というか略奪愛に走る可能性がかなり高い、そもそもその辺りは自分がそういう立場に立ったときを鑑みれば判りやすい、そもそも完全にどういう行動に出るか考え付きそうなもの、絶対に自分がとる行動と方向性は同じはずだから。

少し考えればいやというほどに理解できるはずです、自分を客観視できれば。

結果、一週間毎日彼女たちとの、一方から見れば往生際の悪い、一方から見れば不当な行為の撤回、の為の戦いが続いている、こっちは迎撃をちゃんとしている、最終的にはだが。

必要な覚悟その三、恋敵達は己の願望の成就の為の手段の選択の躊躇いがかなり薄いです、もしかしたら手段と目的が入れ替わるくらいに、特に何処かの神の僕。

この辺の計算がまだまだ甘いような、何もなく結婚で終わるとも思ってはいなかったと思うが、どうも結婚してしまうことだけに目的を定めていたっぽい。

理解していなかったのか、理解していなかったのなら頭に血が回っていたのか、それとも新婚生活を夢見て惚けていたのか、知将覇道瑠璃としてはかなり抜けている、元々何処か抜けているような、ウッカリ属性を持っていたような。

ウッカリ属性で済ませよう、ご都合主義的に。

という訳で、事実新婚初夜の晩から瑠璃と九郎に宛がわれた部屋にアルが居座っていた、その初夜に至るまでも喧々囂々の騒ぎはあったりするがそのへんは割愛だ、いい加減話が進まない、因みにその晩は暴力的論争から言語的論争に移っていたりする、順番が逆、彼女達はそもそも言葉より実力行使が優先される人種に偏っていると思われるから問題ナッシング。

「出て行きなさい、古本娘。夫婦の寝室に他人が入るなど無粋の極みですよ、とっとと諦めて隅っこでいじけてなさい。この部屋では邪魔ですから廊下の端やら庭の隅やらで」

「我は九郎の魔道書にて精霊、その我が九郎から離れると思ったか!!この泥棒猫、大体妾は汝を九郎の連れ合いに認めておらぬ、何が夫婦か!!そもそも諦める、汝が諦めればよかろう」

「貴女に認めてもらう必要はありませんし、廃品回収に出されたくなければ大人しくしていなさいな。負け犬の戯言等聞く耳持ちませんわよ。せっかく愛人としてなら置いてあげるというような寛大な心を私が持っているうちに。今夜は廊下の隅が寝床ですが」

これ以後掴みかかったアルと姫さんの拳の語り合いである。

精霊の拳と姫さんの竹刀、互いに楯として使われる九郎、壊れる家具、響く打撃音と剣戟、そして悲鳴(九郎)。

深夜に至るまで続いたらしい、新婚初夜の色気など欠片もありはしない、半分結婚詐欺みたいなものなので色気を求めるほうが間違っているのかもしれないが。

姫さんに多少のそっちのやる気が伺えないような気がしないでもなかったが。

因みに男女間の交渉は無しである、両者とも気が立っていたため、なお件の新郎は、その日インデックスに解放されてからシンジ相手に人生の束縛についての何かしらを語っていた

語らいの中で「お前も十年、いや五年後気をつけろや」と言っていたりするが、なお、シンジは兄以上に困難が待ち受けているのかもしれない、婚姻可能年齢まであと五年、その期間の間に彼に迫る女の子が増えないとは言い切れないのだから、つーか、十中八九そうなるだろう事は疑いようが無い。

当面では、そろそろエセルとの関係が他の女の子にばれるかもしれない(作者の意図によってバラス)ということだろうか、新たな修羅場が待ち受けているなんてものじゃない、新たな怪獣大決戦が待ち受けている。

まぁ、男から見たら人間の屑のような状況の二代目の近い未来はどうでもいいとして。

人生の檻、男としての自由性、手綱を握られた馬、何とでも表現してもいいが夫となった覇道九郎にはその名の通り苦労を味わう夫婦ライフが待っているのはこの結婚式当日から味合わされ、それはもう普段以上に、廉価版は日常で味わっていたとも言えるが。

普通の男性諸氏とは百味も二百味も違うものだろうが、確実に。

なお、初夜は二人の愛人、新婦(どちらがどっちとは明言していない、互いに互いをそうだと罵り、自分を都合のいいほうを主張しているからである)の喧嘩の為睡眠すらとることが出来なかった、出来るとも思っていなかったかもしれないが。

追記、姫さんの余裕っぷりは九郎が返還されて(役所のところで放心しているインデックスから財閥の使用人が回収、インデックスが回復したのはエセルに回収されて覇道邸の客室に放り込まれて一日経過してから)覇道邸に向かう時からアルが付いてきた時点で吹っ飛んだとか何とか、つまりは其処からうっかりモードが出たということ。





なお、結婚式会場でエルザとガチンコファイトをやっていたウィンさんだがダブルノックアウトでの引き分けで幕を閉じた。

幾らなんでも体力無尽蔵の魔道ロボは体力的にシンドイ相手だったのだろう「我、埋葬にあたわず」まで持ち出されていたりするが、注教会の修復自体は覇道財閥のほうでやってくれたので子供達が生活に困ることはなかったりする、その辺の手配は姫さんというよりはウィンさんの手配なのかもしれない。

「いい戦いでした」と満足そうだし、満足するなよと突っ込みたい。

因みに損壊具合はリューガを苛め倒して帰ってきたライカさんが卒倒しそうなレベルだったとか、つまりは何とか建っている状態。

因みにリューガは大西洋に浮かんでいる。

仮の宿としては相変わらずの定石のようなパターンだが、覇道のお屋敷、生活レベルは教会にいるより遥かにいいだろうなぁ、ライカさんには悪いかもしれないけど。

いやそもそも、あの教会ライカさん確か無断で使っているんじゃ、まぁ、壊れる壊れないなんて問題なんていまさら過ぎるかもしれないが。





で、結婚争議の早朝から(比較的地味な)争いが勃発していたりする、なんとなく二番煎じ過ぎるような気がしないでもないが、つーか使い古されたネタのような気がしないでもないがやってみよう、しつこい様だがお約束とは使われるためにあるのだし、お約束万歳。

徹夜で太陽が昇るころに喧嘩疲れで眠りについた姫さんと精霊、九郎を挟む様に眠りについている、を傍目に九郎に忍び寄る黒い影、因みに三人ともキングサイズというか五人は余裕で寝られるんじゃないかって巨大なベッドで眠りについていたりするが、中央に眠る九郎を正確にはその両隣にいる、どちらかというと姫さんを重点的に忌々しそうに睨みつけつつ仁王立ちしている。

因みに窓が高熱により焼切られて侵入され、この寝室が地上四階だとかいう疑問があるがこのssに出てくる面子で地上四階という高度を脅威に思う人物は少数派であるのでどうでもいいことかもしれない、焼切ってあるほうもそれほど気にすることでもないだろうし。

素直に出来そうな輩が結構居たりするのだから、それもなんの道具も使わずに、存在そのものが道具に近いものもいたりはするが。

焼切った辺りで、該当人物は二人ほどに狭まるが、残りの二人は出来ても、もう少し隠密性の高そうな手段が使えそうだ、空間転移とか、まぁ、そういう人類規格外の魔術で(空間転移自体がかなり高難度の魔術)。

何よりその手段だと足が付かないはずだから、姫さんが自分の寝室に監視カメラなどの装置を設置していない限りは。

つーか、覇道に正面から侵入して足が付かないはずはないんだが、「世界屈指の警備網を敷いていますわ」と姫さんが豪語するくらいなのだし、因みに何でこの影が覇道の屋敷内においそれと侵入出来ているかというと、「面白ければいいのですよ、面白ければ」とか言う戯言で見過ごした執事とメイドが暗躍していたとかしないとか、まぁ、貴方達のご主人様の一応の願望は果たされたのだからいいちゃいいんだが。

それ以前に邪魔者は通すなって命令受けてないんでしょうかねぇ、いや対抗できるのがウィンさんぐらいのような気がしないでもないけど、それでもねぇ、姫さんの使用人でしょうに、側近でしょうに、雇用主姫さんでしょ。

いや、そもそも貴方達不忠って言葉知っていますかって突っ込みたい、突っ込んでも素で「忠義と愉悦のナイスなブレンドが私達の職務の励みです」とでも返されそうな気がするが、なんとなく、いや、かなり。

で、その黒い影だが、勿論姫さんを睨みつけている影、勿論女性なのだが、つーか男だったら別方面で問題がある、特に宗教的にこういう行動はいいのかって疑問は今更過ぎるのだが、カソック着ていました、シスターさんでした、しかも微妙に着衣が乱れています、破れています、焼け焦げています、穴が開いています。

乱れている理由は多分トラップ突破時、警報装置は黙らせてくれた方達が居たようだが警備装置のほうは全開で動かしてくれていたようだ、その様子をモニターで見て楽しんでいたのかもしれない、主に執事が、最初から飛んでくれば引っかからないのかもしれないが、幾らなんでも飛んで入るのは目立つと判断した結果だろう、飛んだほうが邪魔は入らなかった気がするが、いや面白くないとかいって警報装置を作動させるかもしれないが。

どちらにしてもこのSS最大級の乳はかなり挑発的、どちらの意味でも、いや姫さんもかなり巨乳のような気がしないでもないが、多分適わない、ボディラインとか、豊満さとか、100%西洋人のみが持つ有利性とか、その他諸々、その魔乳が破れたお陰でアグレッシブに強調されて結構エロイ、流石エロ担当シスター。

聖職者でルート的にもシリアスでダークな方なのにエロ担当、何故だろう。

それにキャラがギャグに固まりそうになっている人である、とっくにこの人はギャグキャラという意見もあるが、SSでも原作でも、シリアスなのにギャグ属性が染み付いている。

何故?

主観的に餌付けを敢行していた獲物が横取りされたのを、横取りし返そうと画策して、でもこの場合彼女はアル以外の誰かに九郎をとられた場合確実に同じ行動をするだろうが、夜這いではなく朝這いをやろうとしていたりする、もしくは誘拐。

具体的に説明すると、やたら慎重な手つきで九郎の服や腕を掴んで寝ている女達(内一名盗人)を離して、ついでにウエストと書かれたスプレー剤(中身が何かは考えないほうが正しい、少なくとも薬事法は守られていないと考えるのが懸命)を吹きつけ、九郎、しつこいようだが彼女主観の囚われの子羊をお姫様抱っこしつつ移動。

この時点で子羊は目覚めているのだが、というか自分がお姫様抱っこされているのに不思議を感じていたのだが、やっと眠れたところで睡眠の邪魔をする相手にわずかながらの怒りを抱いていたりするが、勿論抗議をする意思などは満載にあったのだが。

一秒でその怒りは霧散している、かなり自分から。

堕落シスター(普段はちょっぴり人間的に出来ているお姉さん、でもちょっぴりの数倍は人間的に駄目。いまはなんか目が怖いというかウエストばりに光っている人格破綻者)の目線、というか雰囲気そのものから発せられる、つーか殆ど伝達魔術でも使っているんじゃないかというぐらい如実に伝わる「騒ぐな、声を出すな、一切の質問をするな、黙って従え。後でいいことしてあげるから、九郎ちゃん」と言う波長で黙らされていたりする、騒げばその先にあるのは死しかないとばかりに、最悪腎虚という可能性もあるが、まぁ、そっちの方面に関しては九郎のほうが強いから大丈夫だろう、多分。

まぁ、殺されはしないだろう「ライカお姉さんのお仕置きターイム」みたいなものはありそうだが、そして多分そのお仕置きは姫さんや外道の精霊のお仕置きとは質が違うと思う、絶対に、確実に、十中八九、何というか方向性が、苦痛の与え方が、やり方が、精霊の暴力と涙でもなく姫さんの説教と甲斐性なしを責められるでもなく、何か異なる苦しみがありそうだ、因みに九郎がそれを体験したことがあるかないかは内緒、そして内容も考えたくない、考えないほうがいい、参考としてはリューガの従順さあたりとしておこう、少なくとも耐性がつきつつある彼でも逆らうにはかなりの精神的苦痛を克服しなければならない、可哀想なことに。

でも、ガクガクブルブルと震えて大人しくなっている辺り体験しているのかもしれない、プレッシャーで抑えられているだけかもしれないが、ライカさんマジになると怖いし。

ギャグキャラなのに、関係ないかな。

で、そのままウエスト印のスプレーが効いているのかいないのか、それとも単に昨夜の、正確にはさっきまでの喧嘩の疲労が積み重なっているのか、起きたら確実に夜叉になるであろう乙女(偽)二人(因みに乙女は結婚詐欺まがいをしません)は起床せずに九郎を彼女主観の檻から救い出したのであった。

言い換えると無断で連れ去った。

一応は他人の旦那様を、つまりは拉致、誘拐、立派に刑法抵触、ついでにやっぱり薬事法違反(ウエスト印に認可なんて下りておりません、商品化しているのは別ですが、そちらはウエスト印なんぞ付いてはおりません)。

まぁ、姫さんもネルフのほうでは国連法やらは道徳を持ち出していたりしたが自分のお膝元ではかなりファジーにこなしているのでその辺を追求することは無いだろうが、いや追求しても警察権力程度でどうにかなるような相手でもないのだが、ウエストにしろ、彼女の財閥が金銭的に負担している騒動にしろ。

なお、九郎が拉致(既に拉致と認定)され、その寝室兼精霊VSお姫様の決闘場から九郎がいなくなったことにより騒ぎが巻き起こったりするのだが、焼切られている窓から、次いでここが地上四階であること(こちらの証拠は薄い)犯人を推測、潜伏場所に突撃を掛けたのは言うまでも無い。

九郎本人が逃亡した可能性も考えられないわけでもないだろうが、その辺はスルーされた。

犯人候補のもう一人は即座に拘束されたが白とわかるまではどんな扱いを受けたことやら。

「ロボー」という悲鳴が響いたとか響かないとか、でも覇道邸に居たのだからその時点で犯人としては薄いと思うんだけど、レイの相手をしていたのだし。

なお、いきなり部屋に突入して、いきなり両脇抱えられて誰も居ない部屋で拷問張りの拷問と読める質問をされたのだが、レイの前でそれをやらない理性ぐらいは残っていたらしい、レイ曰く、突然やってきた二人に連れられる義姉はドナドナを響かせる牛のようだったとかなんとか。

その後ライカの教会(半壊状態)に突撃した二人だがライカは居らず、まぁ、逃げ場所が自分の自宅というのも芸が無い、見つけて下さいと言っているようなものだしことに及ぶにはその場所は廃墟に近い印象を撒き散らしている、隠れる場所もない、そんなところに居るはずもない。

捜索の結果九郎のアパートのほうに居た、案外灯台下暗しでこちらは見つかるのに結構時間がかかった。

追記、発見時九郎とライカは共に全裸で、この時点で発見まで何をしていたのかうかがい知ることは楽にできる、ライカは九郎に手元の書類にサインさせようと攻め寄っていたりする、勿論書類は“離婚届”、必要なところは明らかにライカの筆跡で瑠璃の名前まで書き込まれ、残りは双方のサインのみという状態の、勿論証明者としてライカ、クルセイドと書かれていたりする。

後“婚姻届”と呼ばれる書類も用意されていたり、ライカ・クルセイドの欄には名前からサインまで完全に用意して、勿論もう片方もサインでオッケーな状態だ、因みにどちらの書類も男性欄と女性欄で筆跡が違うことから別人が書いたと推測させられるが、女性欄はライカとして男性欄は誰が書いたのであろうか。

謎である(案外バレバレかもしれませんが)。

発見後、闘争というのも馬鹿らしい争いが開かれたようだが、ライカとアルが姫さんに離婚届に署名するように迫ったり、探すまでは手を組んでいたのにアルはあっさり裏切り。

姫さんが「私と九郎さんの夫婦間の問題を何故あなた方に迫られなければ為らないのですか!!!!」反論と共に書類を破り捨て。

「汝が無理やりに関係を迫ったのであろうが。我は認めておらんぞ、詐欺師め、いや犯罪者か、そのような手段に出なければ男の一人も捕まえておけぬことを恥に思うがよいわ。この痴れ者が!!!」

「あのような不当な結婚は主に弓引く行為です、そして私の欲望に誓って絶対に許しませんよぉ。結婚とは主に対する神聖な誓いなのですよ。それを無理矢理に行うのは認められません。九郎ちゃんをそんな手段で手に入れようとするなんてお姉さんとして許せません。それに九郎ちゃんはずっと前からお姉さんのご飯の奴隷だったんですよぉ。だからライカのものです、こんなことならもっとたっぷり九郎ちゃんの子種をお腹の中に収めておくべきでした、そうすれば既成事実という名の九郎チャンとの愛欲の結果がお姉さんのお腹に。いやいやいっそのこと雌奴隷という名の本妻になって九郎ちゃんに永遠のご主人様になってもらっておくべき・・・・・・・・・・・・・・」

など等、因みに聖職者、子種言わない、それに愛欲言わない、既成事実ってなんですか、聖職者(実際は性職者)がそんな物騒なこと口走らない、奴隷も永遠のご主人様も十字教には不要ですから。

ついでにその後“婚姻届”のほうも見つかって、こっちはアルに破かれ、ライカVSアル&姫さんの混成の戦いが始まったり始まらなかったりしたりする、まぁそのあたりは三つほど例示したが、似たようなものである。





追記、一応の決着として九郎は最終的に覇道九郎(以後覇道九郎と表記、大十字九郎は永遠になりました)ということで落ち着いた、この辺はかなりの紆余曲折試行錯誤屍山血河建物崩落阿鼻叫喚があったりなかったり、最大の障壁アルまでが覇道アルになっているあたり微妙、一応九郎ランキングではアル第一婦人と決めた、あの優柔不断がそれだけは譲らなかったのが大きかったのだが。

それだけ見るとアルが覇道の後継者に見えてしまう。

でも客観的には姫さんが正妻というか奥さんという形に収まったりする、姫さんも冷静に考えるとアルと九郎を引き離すのは不可能だと判断し、世間的にも一応は自分のだんな様と言うことになったのだし、因みに暫く九郎が姫さんの相手をする時間が爆発的に増えたり増えなかったり。

ついでに、覇道邸内に何故かライカ、インデックス、ナイアの寝室が常備されるようになったのかについては納得しているかどうかは不明である。

シンジは一応兄と一緒に戸籍を同じくして覇道シンジとなり晴れて覇道財閥のファミリーネームを名乗るようになっていたりする、将来的にこの兄の婚姻が彼にどのような影響を与えるかは不明であるが、まぁ、玉の輿という魅力(下心系)を獲得したのは明白、だがその手の下心を持つ連中は即座に排除されそうだ、彼のラヴァーズによって。

いやそもそも彼女の姉となる精霊や姫さんという小姑がいると判って玉の輿狙いを出来るならやってみろといいたいところではある、勝ち抜けたらそれはそれで覇道財閥を任せてもよさそうな逸材であることは間違いなしだ。

追記二、この騒動の間九郎が逃げ込んだのは主にエルザの所だったり、覇道の屋敷内で和みの空気をもたらしてくれるのが彼女の周りしかなかったという事情から。

まぁ、太平洋を挟んだ島国ではかなり後ろ暗い状態になっているようだがこちら側の連中はそれなりに平和なようだった。





伊豆諸島近海、国連軍艦隊旗艦オヴァー・ザ・レインボー。

複数の艦船を引き連れての輸送任務、積荷はアメリカからのエヴァンゲリオン四号機、及びエヴァ三号機、四号機の交換部品、かなり豪華な運送屋さんである、国連艦隊。

勿論、この任務を受けている提督および上層部から下士官に至るまで喜んで運送屋の真似事をしているわけではない、勿論海軍であるので何かしらの輸送の任務はあるだろうし、ぶっちゃけ海軍の仕事の五割がた(潜水艦は除く)は敵地への戦力の運搬であったりする。

兵士、航空機、ミサイル、弾薬、食料、そしてそもそも艦に搭載された兵器から情報収集能力、様々の様々、ありとあらゆるものを運ぶ、戦力を敵地に運ぶ。

戦力の補給活動であったり、戦力の展開であったり、戦闘機の輸送だったりするので純粋に宅配業というわけでは決して無い。

現代は情報収集と準備で戦争の九割を終了させると聞くが、その中でも海軍の担う役割はことのほか多い、そして重要度もそれに追随する、物がなければ戦争なんて出来ないのだから、因みに空軍もその手の任務に着くがどこの軍隊を見ても大概空軍と海軍は中が非常によろしくない。

それに加えて国連軍は覇道を含む米軍を主幹として組織されている、功績も無い特務機関、それも金食い虫やらモラールの点での問題を数多に取りだたされるやら、やたら高圧的なところの運送屋などはっきり言ってやりたいものであるわけがない。

誰だって仲の悪い所と仕事などしたくは無い、いやそれでもそれなりの敬意を払ってくれたりするのならばそれでも構わないのだが。

大体仲が悪いのは上層部で現場のほうにその感情が伝染するかといえば必ずしもそうでもないだろう、上は上、現場は現場、事務屋は事務屋である。

大人なのだから嫌いだといど仕事はこなすだろう、だがその相手はその敬意さえ踏みつけにする尊大さが嫌われている、いや嫌悪されている所以だろう、故にこの度の輸送任務に関してはかなり士気が低かった。

軍隊士気の高揚は近代戦においてすら大事なものである、集団的無意識、意思なき方向性、論理を超越した理屈、ロジカルを上回る感情論、まさしくサイコロジカル、矛盾理論。

戦争を左右する最後の一割。

それですら様々な要素が絡むだろう、気象、ゲリラ、予想を超えた何か(兵力差は戦いの前に決しているので含まない)、そしてモラール、戦士達の意識。

長々と講釈を垂れてみたがこのモラールについて、最後の最後まで低下させる存在が現在艦隊上空で着陸態勢に入っていた。

なお、乗員についてはビア樽一名、常識知らずの馬鹿一名、まともな作戦指揮者一名、比較的まともな少年一名、大人しそうな少女一名、追記すると最近某組織に編入されたまともな大人と活発な少女は本部待機任務である、因みにこの少女がまともな少年と同じくらいに役に立つのか分からない巨大な人造人間のパイロットではあるが。

苗字だけを羅列すると、葛城、相田、霧島、鈴原、山岸となっていたりする。

太平洋の日本領海に入ったので受け渡しの為に来ているのだろうが、何故に前者の二人を載せるのか理解に苦しむ、確か最初の一人は飼い殺しにする為に外部から優秀な作戦指揮官を入れたのではなかったのだろうか、飼い殺しにするなら本部に軟禁でもしていたほうが周囲に被害を与える可能性が比較的低下できてよさそうなものだが。

まぁ、彼女に関しては上のほうから今回ばかりは外に出す必要があったそうだが。

ついでに言うなら、二人目の現実を見れなくて、そろそろ完全に意図的に現実を見るのが難しそうになっている少年はまだまだ病室に括りつけられているはずではなかったのだろうか、先日退院ができるようになったばかりのはずなのだが、それもその退院は精神的なことにかなり大幅に目を瞑ってと言う前提条件がついていたように思う、現在機内で艦隊を見ながら奇声を上げている姿(描写するのも面倒くさい原作どおりのやつ)は中々いっちゃっている姿、というか同乗している少年は呆れた目を、少女は怯えた目で、良識のある大人は眉を顰めて、良識ない大人は鬱陶しそうに。

まぁ、彼に関すれば今の状態は素なのだろうが、確か精神に重い傷跡が残る体験をしたはずなのに普段どおりというのも変な話である。

普段どおりが、問題のある精神状態というのも十分い問題だろうが。

まぁ精神的に生じた問題のほうは、どっかのサングラス親父の命令でかなりきっついことをされたと思っておけばそれほど間違いは無い、電柱辺りも何かしらの注文をつけたのかもしれないが。

まぁ、そんなご一行国連軍が誇る艦隊オヴァー・ザ・レインボーに着艦である。





同時刻、伊豆諸島の時間は昼だったので時差の関係でこちらは夜だが、覇道邸。

時間軸的には既にマリッジ・ラプソディ(結婚狂想曲)が終わったあたり。

キングサイズのベッドに覇道九郎とライカさん、覇道アル、覇道瑠璃の四人が全裸で寝ていた、何かしらの運動の後はたっぷり残して、因みに結婚後姫さんが旦那と二人きりで寝た経験ナッシング、因みにアルは有り、姫さんが仕事でいないときは今までどおり魔道書、魔術師セット、その際には名義上の正妻と位置づけ的の正妻がいがみ合う場が度々展開されるようになったとか。

しわ寄せは殆どが九郎に、精神的ストレス結婚前の数倍に跳ね上がって連日ストップ高、胃が痛んでお腹一杯、夜な夜な鬼畜となってのストレス発散でも追いつかないほど追い詰められつつあるらしい。

なお、黒いペッタン魔王様は最近ことのほか九郎に優しく労わる様に接するようになり、目を盗んでの九郎との回数を着実に増やしていたりいなかったり、どうやら魔王様、白い魔王様を精神的に癒す立場をゲットして最後には自分に回ってきてくれると言う位置取りを確保しようとしているっぽい。

狙いは居心地のいい愛人?

都合のいいことに白い方はそれなりに磨耗する精神を日常のように保持しているので癒すのも殊の外簡単なようだ。

弱っている精神に少し優しくしてあげる、洗脳の基本です。

結果、寵愛を受ける比率を上げようと画策している、なんか九郎のハーレム本当にハーレム染みてきた、女の戦いの辺りで、大奥みたいには決してならないようにしたいなぁ。

でも黒い魔王様、その位置取り何の打算無く魔道機械が位置取りしている、既に。

なんだか何時もいつも一歩遅れた位置にいる黒い魔王様である、本人曰くエターナル日陰の女。

なお、シンジ君はシンジ君で黒い精霊に愛撫を現在進行形でしている最中、ささやかな胸の先を舌で転がしつつもう片方の胸も揉み、残りの片手であるのかないのか判らないような若草の奥の花園を刺激中、小刻みに悲鳴にも似た淫靡な声が上がっていることからシンジ君も兄と同じくそっち方面は達者。

なお既に何かを四回ほど吐き出して、吐き出した先はお尻と中と、胸と太ももらしいが、何を吐き出したことやら。

ただ、抱かれている精霊はいい感じに目がいっちゃって、意識を保っているかどうかはかなり怪しい、因みにシンジをそっち方面で達者にさせたのは今現在あっちにいっちゃいかけている精霊だったり。





戻って艦隊。

傍迷惑な二人と常識的な三人、前者、恥じも外聞も無く、後者のみが恥を感じる状況を旗艦のブリッジで提督を相手にして作り出していた、因みにこの艦隊は国連所属でどちらかというと覇道、米国よりなのであしからず。

そのあたりのことを理解していないのが前者の二人であることはわかりきっていそうな話だが、というか軍隊上層部ならパワーバランスぐらいは知っていよう。

つまりはブリッジで、それなりに恥を晒すことをやらかしているのだ。

異常精神状態の少年はカメラで館内を撮影するのに苦心し、周りから注目を集めて霧島作戦副部長(副部長に改定)が嗜めるまで周りの三人が恥を掻き続けたり。

まともな大人は、自分が掻かなくてもいい恥に業腹になり、まともな少年は、かつての親友に呆れと周りからの視線に体を縮こまらせ、大人しい少女は注目されていることと周りの大人の苛立ったような視線に対して俯いていた。

一応肩書き上は最高責任者の作戦部長が提督のことを艦長と呼んだり、エヴァやその他関連部品の譲渡の書類を出そうとして、自分が持っていないのに気付いたり。

何でこんなやつが責任者なのだとばかりの行動をしてくれやがっていた。

実際には責任者というか権限の殆どは副部長にあったり、この場で何か問題が起こっても自動的に作戦部長の責任になるようにはなっていたのだが。

どうせ失敗するのは無能作戦部長だろうし、彼女個人であればもう綺麗な所など残っていない経歴、どうせなら殆ど彼女の身から出た錆なのだから失敗は全て引っ被らせようと上の二人が彼女に付けた特典だったりする。

既に庇う様な気は最低限しか持ち合わせていないのかもしれない、所属している以上は最低限はトップ二が引っかぶることになることはかなり多そうだが。

これは殆ど嫌がらせのようなもので責任に対応した権限あたりは見事に剥奪していた、まぁ、内輪での話ではある、というか外部に対してそのような実情をおおっぴらにするわけには行かないのが本当のところだろうが、因みに重要そうな書類の全ては霧島副部長が持ってきていたりする、こちらは責任に対してそれなり権限は一応肩書きより上、仕事内容は完全に役職より上。

こちらはこちらで上が無能のせいで仕事量が増えていたりする。

但し、不条理な責任を押し付けられている馬鹿は自分がそんな不当な扱いを受けているかどうかを理解しているかどうかはかなり怪しい、かなりの高確率で理解していないとは思うが、理解しているなら自分から拙そうなことは絶対にしないはずだから。

現時点でも艦隊提督に対して自分達の権限が通用しないことは周知の事実であるはずなのに理に適わないことばかりほざいている作戦部長が、正論と皮肉によって反論されることに怒りを覚えて提督と館長に罵声+絶対に軍法会議ものの暴行を浴びせそうな精神状態になりそうな時にこの艦隊に乗り込んで在る物の輸送に従事していたトリプルスパイが現れて、作戦部長の怒りがそちらに向けられたり、案外都合のいいところで出てくる髭二号。

無能部長の癇癪は髭二号が引き受けてくれたものだから、その場では彼女が撒き散らした恥だけで済んだのが行幸だろうか、いや恥をかいて行幸というのもなんと言うかでは在るが。

まぁ、控えめに言っても国連非公開組織としては既に地に潜っていそうな威信がさらに深く潜って現場の人間にその情けなさを露呈するような展開となった。

なお、荷物の受け渡しの交渉は無能妨害作戦部長がスパイの方とブリッジを出て行ってから副部長のほうが詰めていったようではあったが、彼が存外にマトモというか優秀だったので提督達は、何故彼ではなく彼女が作戦部長などになっているのか大層不思議がったものである、最後のほうでは彼の苦労に対して労いの言葉すらかけるほどに。

幾ら老人会よりの戦略自衛隊出身の副部長と言え、現場の人間同士ではそれなりに通じるものがあるということだろうか。

もし共に酒を酌み交わす機会があれば稀有な深さで副部長の苦労を二人は分かち合ってくれるのかもしれない、いや飽くまで同情してくれる程度のことだろうが。

同情してくれる相手はネルフ本部内にもそれなりにいたりはするが。





で、霧島作戦副部長が艦隊のトップと交渉中、この間はどうしても猛獣の監視が出来るような状況ではない、人間体は一つなのだから、つまりは役立たず<妨害作戦部長は野放し状態となっている。

そして今現在は自分にとっても正直な“真実を知りたい”という欲望を持ったはた迷惑な諜報員気取りの髭二号まで付属オプションとして付いている、大人二人、子供三人、とな二人のほうは猛獣一人不逞の輩一人と書き換えてもいいかもしれないが、現在館内の食堂の中、食堂といっても軍艦の中なので大した食堂でもないのだが、各々の前にコーヒー程度は出されているようだった。

「しかし久しぶりだな、葛城。ドイツ以来か」

「あたしはあんたなんかと会いたくなかったわよ」

方やフレンドリーに方や険悪に対応しているのは原作どおり、それを眺めているチルドレン、つまりはお子様達、変態メガネは食堂の窓から他の艦船を撮影しているので他の海兵の皆さんの注目になっている以外は大人しいものであった。

まぁ、基本的には大人しい少女である山岸マユミと変態メガネよりは良識を理解している鈴原トウジ、周りに変なのがいないのとこの船が軍艦でないことを除けば注目を集めるはずが無い。

そもそもトウジにしてもマユミにしても霧島作戦副部長の部下ということになっているので自分の思い通りにならない存在であるから作戦部長視点で嫌われているので離れたテーブルに座っている。

「はぁ、ケンスケの奴も相変わらずやな。退院したの二日前のこっちゃで」

呆れたように艦船を撮影している元親友(今現在はかなり繋がりが薄い)を眺めつつ「それにしても霧島のおやっさん遅いなぁ。葛城はんとはあんまちこうにいとぅないんやけど」今の心情を呟いていた。

因みに彼はケンスケと会うのは暫くぶりで入院中一度も面会などはしていない、正確にはできなかったというべきだが。

「山岸もそう思うやろ。どうもいけすかん、ケンスケの奴はよぉ判らんけどなついている様やけど霧島のおやっさんのほうが頼りになりよるし。何より気に食わん」

この辺は聞こえたら自分がどうなるか理解しているのかかなり声を潜めている、正面に座っている少女に聞こえるかどうかと言った所だ。

因みに彼と彼女ともう一人のエヴァパイロット、マナとマユミが第一中学に転入してきており、委員長の洞木ヒカリと交友関係を築いている。

その流れで同僚であるマナ、マユミ、それとヒカリとは第一中学で仲のいい存在になっていたりする、基本的にネルフに向かうのは同じなので下校時は同じなので、それに対して少女として楽しい気分になれない委員長が共に下校を共にしていたりはするが。

マナ、マユミの二人は、そんな委員長の心情は判っているらしいが、というか傍目でバレバレ、その対象の男は「仲のいいこっちゃなぁ」と自分がいるから委員長が下校についてきているとは欠片にも思っていないらしい。

この鈍さは相当なものだが、それとなくマナ辺りが委員長をどう思っているかを聞こうとしても湾曲過ぎるのかそれともそういう可能性に全く思考が飛ばないのかマトモな回答は頂いた事が無いとのこと。

その辺りの委員長の全くの報われなさあたりで女三人の友情が深まったり深まらなかったり色々あったようだが、トウジの鈍さが女の友情を固めたようだった。

と言う訳で、彼女とトウジも同じパイロットとして、更に友人として会話はそれなりに多い、もう一人の変態パイロットにはまるで接点が無いらしいが。

「そうですね。私も好きにはなれません。父にも気をつけろと言われていますし。それよりも私はあの人のほうが・・・・・・・・・何となく、気持ち悪いです」

マユミが目線を向ける先にいるのはミサトの向かいに座る男、つまりは加持リョウジ、今現在もこの場にふさわしくない会話を繰り広げているが、マユミは、彼女のことを短い付き合いで多少なりとも知っており、簡単に他人を蔑む事は無い。

どちらかというと回りに合わせて波風を立たせないようにする少女、それがトウジの彼女の認識だったのだが、いきなり「気持ち悪い」という発言には驚く。

「何が気持ち悪いっちゅうんや。ワイから見る限り、そんな変な兄ちゃんには見えんけど」

「何となくです。何となくですけど。気持ち悪い、厭らしいと言うか、何か嫌な感じで」

彼女が控えめな声で言っている、大っぴらに声を大にしていえることでもないが初対面の女子にそこまで言われる男もどうだと思う。

「ふぅん。わいには判らんけど。そういうんやったら近づかんほうがええかもしれんのぅ」

「はい。どうも厭らしい感じがして近づきたくないです。鈴原君も、私と一緒に嫌な目で見ていました」

「わいもかいな。あんまりええ気はせんな。でもなんかしてきおったらパチキかましたる、それにここには軍人さん仰山おるよって、いざ言う時は大声でも上げればええやろ」

と結論付ける、どの道この場にマトモな大人がいない以上は子供達に出来ることなど気をつける程度のことしか出来ないのだから。

そして彼等に出来ることなど大声をあげて周りに助けを求める、それに尽きる。

トウジ、ここ数ヶ月の訓練で教官から自分の出来ることと出来ないことなどの分別(結構重要)を徹底的に仕込まれ最低限(軍事的最低限)の護身を身に着けているので、それなりに状況判断ができるようになっているっぽい。

トウジに関して一応は護身として拳銃の携帯を許可されてはいたが、それにしても人を殺すのが困難な二十二口径、高々中学生が持っていてもそれほどの役にたつとは思えない代物だったが、因みに意外なことに射撃の成績はそれなりによかった、体力の加減で使えるのはいいところベレッタあたりが限度ではあったが。

何となく、安心感を得るためか、何かあったら男として守ろうという決意の現われか、お決まりのジャージの上から服の中に仕込まれた小型拳銃を撫でていた。

因みにトウジ本人には知らされていないことだったが、その拳銃の弾丸は実弾ではなく赤木印の麻酔弾である辺り誰に対しての護身を想定して渡されたのか、ついでに渡したのが伊吹マヤに頼まれた青葉シゲルという辺りで、どういう意図が働いたのかは判りそうなものである。




それで、初対面の少女に「気持ち悪い」と評された髭二号であるが、ある程度の腐れ縁からくる悪態の連続によるじゃれ合いも一通り済ませ。

「それで、アスカはどうなっているんだ。突然俺の仕事中に本部への移送が決まってそれから音沙汰無しだ」

因みにドイツ支部からアメリカ支部に出張中だった加持だが、アスカが本部移送になったのでそのままアメリカ支部勤務となり、今回の移送任務に着く前にドイツに戻りあるものを手にして再びアメリカに戻りエヴァの移送監督のような役割で乗艦していた。

因みに彼はネルフ内部でアルバイトのことがばれていることは知らないのでアスカが覇道のほうに渡ったことを知らなかったりする、彼に進んで情報を教えようとする輩も全くいないし、伝の無いアメリカ支部の中では自分でも禄に情報収集が出来ない。

ドイツではとんぼ返りを余儀なくされているので本部でリツコやアスカが失踪したというような身内であってもおいそれと公表できるような機密情報など欠片も知らなかった。

真実を知りたいと思って行動しているはずなのに、それを優先する余りの不忠から肝心な情報からは隔絶されている、おろかなピエロここに窮まったという感じの馬鹿だった。

今、アスカがどうなっているのを聞いたのは彼が彼女を利用して情報を得ようとしているのか、それとも単純に世話をしていた相手を気にして話題の一環として話に上げたのか。

だが無知とは知らず知らずのうちに人食いトラの尻尾を踏んでしまうもので、この話題、というかかなりの範囲にわたるのだが、アスカの状態という話題はそれなりに彼女の怒りの導火線に火をつけたようだった。

それはもう凄い目で、無知でトラの尾を踏んだ馬鹿を睨み上げ狂獣は怒りの声を上げる。

「知らないわよ!!アスカもリツコも勝手に消えて。リツコは私を蔑ろにするし、アスカは独房に叩き込む前に姿を消すし!!」

どうやらこの女、独房から出たらアスカを何らかの因縁を付けてストレス発散の為に独房に叩き込むつもりのようだった、どちらかというと叩き込まれるのは貴様のほうなのだが、いや実際に叩き込まれたわけだが、それも特別待遇で。

だが、その剣幕に焦るのは怒らせた張本人、軽い調子で話しかけたのに怒声以上の強烈なな何かで返されるとは思いもよらなかったのだろう、いいところ適当に返されるとでも思っていたのかもしれない。

それでも、この男の好奇心、猛獣が口走った内容に食指が動かされたようである。

「何でそんなに。名前を言っただけで怒鳴るなよ・・・・・・・・・ってアスカもリっちゃんも姿を消した?どういうことだ。それに独房・・・・・」

怒り狂った癇癪持ちの馬鹿に更なる爆薬を投げ込むような質問をする、今の彼女がマトモなうっ子たえが出来るはずが無いと長い付き合いがあるのに何故判らない、いやそれともこれほどの暴走は自分の考えはうまくいかないようになってきた、自分の思うがままに行動することが出来なくなってきたから生じた悪化状態か?

「あん!!言った通りよ。二人ともあたしが知らないうちにどっかに行ったのよ。上の爺ども(ゲンドウ、冬月)もあたしには何も教えようとしないし。でもあの裏切り者のリツコのことよ、どうせあのムカつく女のところに転がり込んでいるに決まっているのよ。それなのにあたしの上申を無視して」

因みにムカつく女とは姫さんのことである、彼女にはかなり言葉でやり込められ、ウィンさんを使って叩きのめされている、己の権限を奪われたり、指を失ったりもしている(因みに現在は手袋をして義指つけているがまともには使えない)、裏切り者のあたりは麻酔で眠らされたり権限剥奪されて独房に叩き込まれた辺りから来ているのだろう。

アスカに関しては自分の指揮に従っていれば倒せたはずの敵にムザムザ敗北して自分の復讐の妨げをしたといういわれのない八つ当たりから生じていると考えられる、そもそもあんたの命令に従ったからアスカは酷い目にあったのだから。

それはあの場にいた誰もがその保証人になってくれることだろう、それがたとえ戦術に対してまるで理解の無い小学生であろうとも。

因みに上申したのはリツコとアスカが覇道に逃げたに決まっているから武力的に奪回、この時点で二人を拉致されたとしてでっちあげているのだが、アメリカの覇道との裏取引ではリツコはその頭脳を土産に亡命、アスカはそもそもアメリカ国籍を保有している、このとっても自分に正直な方の上申など受け入れられるわけが無い。

そもそもその手のことを決める権限など欠片もこの馬鹿女には無いのだから、それに海の向こうでなければ多分事後承諾でそれなりの粗相を引き起こしていた可能性が高い。

誰の命令でもなく、自分の我が侭のままに、それが組織の暴走という問題を引き起こすとは欠片も思わずに、というか何でもその特権でどうにかなると思い込んでいるし。

多分いまだに、都合のいい特権意識など一度身についてしまったら中々抜けるわけが無い、道路交通法に関しては右手を失ったのでもみ消す必要がなくなったのでその手のことに特権を振りかざそうとはしないだろうが。

「どっか行ったって。それに裏切り、本部で何があったんだ」

ついでにこれはリツコが逃げた時にゲンドウが各国の支部に捜索の為に保安部諜報部には伝達した事項なのではあるが信頼の欠片もない髭二号は当然の如くハブにされていた。

ついでに加持は本部がそれなりにヤバイことになっていたり使徒戦でエヴァが一度も倒していないのは知っているし彼の個人的趣味の方面でも覇道を調べようと考えたことは在ったが、まだ手をつけていなかったりする。

覇道が使徒との戦いに絡んでいることは重々承知しているのだが、そもそもそのレベルの情報は各国軍部どころか経済界、政界で周知の事実。

支部でハブにされていようと自然とそのレベルの話は噂話レベルから耳に入ってくる。

日増しにネルフ不要論が国連議会に昇るような事態知らないほうがおかしい。

と、それから八つ当たりなのか不満の当り散らしなのか、現状の不満と、口に出して怒りがこみ上げてきたのか姫さんに対する悪口雑言、勿論リツコ、アスカふくむで、を日本語でわめき散らしていた、この艦に日本語がわかるのはごく少数だったのが救いで。

特務機関の恥部を晒す程度の恥で済んだ、会話内容を完全に聞き取られ日本人の民族性すら疑われるようなスラングを連発しているのを聞きとがめられるよりは遥かにマシだろう。

因みにごく少数の日本語がわかるギャラリーであるトウジとマユミは余りの内容を大声で口走る悪い大人の見本に対して呆れと人間の最下層を見たような表情になり、言葉の内容に顔を真っ赤にして隅っこで縮こまったようだった、追記すると吐き出されていたスラングは大人でも耳を塞ぎたくなるような内容だったとか。

彼らの本心としては絶対にあの席にいる二人と知り合いだとは思われたくないといった具合だろうか、もし知り合いと思われたら自分の人間性まで疑われることは確実そうだから。

トウジの頭の中にかなり長い時間をかけて、隠し持っている武器で恥の根源を取り除くことが母国の国益となるのではないかと普段考えもしないことに頭を悩ませたとか悩ませなかったとか、気持ちは判らんでもないが。

なお、間近で聞いている、髭二号はというと程よい加減に相槌を打ちつつ、その実心の中で余りの内容に冷や汗を垂らしつつ別の思考に、自分の食指が動きそうな思考に頭を傾けていたりする、もしかしたら目の前にいたかつての恋人の現状から目を逸らしたいだけなのかもしれないが、つまりは現実逃避。

(ふむ。リっちゃんとアスカが行方不明。葛城の口調じゃ覇道に渡ったらしいが、判然としないな、今の葛城は。それでも行方不明は確かか、こりゃ一つ調べてみますか)

と、調べる必要も無いことに対して好奇心を持ち上げていた、恐らく近いうちに覇道そのものにその好奇心を向けることになるだろうが、その時この男がどうなるのかは知らん。

(それにアスカがいないとなると本部のパイロットはあの子達か。何か知っているのか、まぁ、それなりに・・・・・)

と何かチルドレンに対しても何かたくらんでいるっぽい、ついでに言うと彼は直接的にチルドレンに関わる権限はこれっぽっちも認められていない、いい所生贄としての精神操作が行われているケンスケぐらいのものだろう。

純粋に戦力となることを期待されている三人のチルドレンのほうには余り余計なちょっかいをかけて欲しくは無いのが実情だろうし、これ以上変なことをされて負けることが増えるとマジでヤバイのだから。

多分これからも、情報の根幹に触れるようなことや、チルドレンに関してはハブにされるのかもしれない、もしかしたら捨て鉢のうまくいけばいいや程度の期待で覇道への何らかのアクションを命令されるかもしれないが。

この男のことだから、嬉々としてその命令を受けるのではないだろうか。





子供達が生き恥に晒されている最中、霧島作戦副部長が戻ってきて、幾分勢いが衰えたがそれでも恥を撒き散らす肩書き上の上司、階級的にはかなり下の露悪癖でもあるんじゃなかろうかと思える醜態に眉を顰めて、彼の部下となっている少年少女を連れて食堂を出て行った、因みに残りの一人の少年は醜態を晒している女の管轄なので勝手に連れて行こうとするとそれはもう凄まじい悪態をつきつつ抗議してくるので連れてはいけないが。

「ケンスケの奴はいいんでっか?」

という質問にも。

「彼は葛城作戦部長の管轄だからな勝手に動かすわけにはいかん」

という杓子定規な返答になってしまう、チルドレンとこの副部長との信頼関係はそれなりのものだが、まぁ、彼としては自分の娘も含まれる子供達、それに作戦指揮官としても現場の叩き上げ、やることなすこと無能と比較すること事態が難しいのだが。

上からの命令で彼はケンスケへの関わりを厳禁されている、その点を、直接的な戦力であるチルドレンを分散した指揮系統に盛り込むのかをいぶかしんだが、宮仕えの辛さか機密、知る必要が無いとの通達で彼はその不当な状態を甘受することとなっている。

まぁ、それはそれとして彼は自分の部下であり、娘と同じ年の子供であるチルドレンには大人としての責任をもって当たってはいたが。

それは少なくとも自分の手が届く範囲では戦いに駆り出された、そして駆り出すのは直接的には自分であるという負い目から守ろうとしているようだった。

それが理不尽な無能だろうと、不気味な上層部であろうと。

追記、その後、髭二号がチルドレンと会話をしようとコンタクトを取ろうとしてくるが(ケンスケではまともな情報源にはならなかった)、霧島作戦副部長の監視の下(実は加持は要注意人物としてリストアップされていたりする、本部在中の監視から)でしか会話出来ず、それこそ挨拶程度で終わってしまった。

どうやら彼は本部に戻っても自分の好奇心を本当に満足させるのは難しそうだった。

いや、多分殆どが身から出た錆なのだろうが。

なお、これ以後恥を撒き散らして日本に到着することとなる。



というより彼女たちは何故態々海の上に来たのだろうか。

とある予定が狂ったとかで老人会やら髭やら電柱が大層頭を悩ませたのだが。

特に予定通りに起こらないことを(予定通りにことが起こると信じている輩に)大層老人会にいびられた髭は。

いびられた原因が「問題ありません」と答弁したことだったりするらしいが。



数週間後、アーカム、覇道邸裏魔術師用地上鍛錬場。

闇夜の中、何もない土地に白い影が二つ、動く。

小さな影は俊敏に。

大きな影は戸惑う様に。

小さな影が地を跳ねる度に踏み込む足が奏でる、ドン、という音、そして放たれる光。

光が放たれればすぐに小さな影は動き、光は大きな影に向かい、光の結果すら知ることではないとばかりに小さな影は動き、跳躍する。

迫る光を腕で払い落とす大きな影。

「そうだ、それでいい。腕に風を纏わせ、反らす。それが汝のやり方、先ずは理解しろ。力を得ても汝は卑小だということを!!非力だということを!!賢しい力の使い方を覚え、卑しいまでに貪欲になり、脆弱たる魔術の術を知れ」

響く声、声、動く小さな影から響く叱咤。

動きながら、小さな影から声が響く、攻撃の最中、それは位置を知らせる行為だが、気にも留めずに叱咤を続ける。

「魔術とはそもそも研鑽と鍛錬の果てにあるおぞましき邪法、この世の理を犯す愚法、世界に逆らう逆法、正道の真逆を行く背徳の道、賢しく、卑しく、薄汚れ、汚物に塗れ、呪われた外道。故に正道なる魔術などない、外道たる道に王道も覇道もあり得ぬ。ただ外道を突き進む、それのみが魔術。・・・・・・・・・・・・・・・故になんでもありだ」

大きな影に突如正面から突き進む小さな影、夜を切り裂くほどの白い影が真っ直ぐに突き進む、まるで番い放たれた矢のように。

大きな影は、魔術師は、己の前に風を召喚、圧縮し、尖らせ、迫り来る攻撃意思に放・・・・。

ダアンッ!!!

突如背中に現れた白い光弾、突然魔術師の背後から生じる攻撃、背中で光が弾け、魔術師の体が前に吹き飛び己から白い影に身を投げ、白い影の拳を胸に受ける。

「立て!!!気を抜くな!!!臆病なほど警戒しろ!!!汝の魔術は風、その身の近くの大気を察知し、感知すれば避けることなど容易い。蜘蛛の巣のように繊細に、狩人のように獰猛に、弱い汝が出来ることを考えるのだ。罵られるほどの無様を晒しても、守り生き残る汝の戦いを完遂せよ」

白い影の拳と、魔術師の吹き飛ばされた運動量を身に浴びて地に頭をつけ痛みに耐える。

「立たぬか!!・・・・・・立たぬならそのままでいろ」

地に這う魔術師に白い影は己の手を輝かせて迫る、容赦もなく、躊躇いもなく、苦しむさまを呈する魔術師に襲い掛かる。

魔術師は痛みに歪む顔を上げ、白い影を見据え、腕を上げ、その足元にある木の葉が渦をまく。

が、白い影の少女は腕を突き出し、渦を霧散させ、魔術師に対して蹴りを放つ。

魔術師は蹴りを腕で更に風の防壁で受けるが、止めきれずに浮く、膝立ちの体が浮き、更に受けた腕に少女の掌が迫り、至近で魔術の光が爆ぜ、その身を宙に浮かばし。

背中から地に落下する。

落下の衝撃が肺に響いたのか咳き込む音。

苦痛に身を捩じらせ、痛みを散らそうとするのか絶えず体が動いている、そんな魔術師に更に降りかかる声。

「ふん、汝の戦い方は手温い。守ると決めたと吼えるならば知恵を巡らせ、手段を問うなべきではない。下賎と蔑まれ様と、最悪に落ちようと、劣った己の力を補う戦いを身につけ、己の力となすように勤め上げよ、汝は薄汚れている、それはもう汝自身が判っておる事であろう、二度と漱げぬ赤に手を染め、おろす事の出来ぬ闇を背負う、堕ちる覚悟は王の昔に聞いた、ならば手段を問わず戦わずして汝程度が魔術で娘らを守れると思うな。汝の覚悟はこれ以後汚れずに歩むことの出来ぬ覚悟。修羅道に近きもの」

響く声、苦しむ吐息。

「苦しむ暇があるなら起き上がれ。諦めの悪さを示せ、戦いにおいて見苦しさこそが美徳、諦めのよさは悪徳。魔術師ならば尚の事、死しても戦える魔術師もおるのだぞ。生きておる汝、妾はまだ一撃も浴びておらん、せめて一撃でも当てて見せい」

そして言葉が終わるか終わらないか少女は己の拳を倒れ付していた魔術師の腹に突き刺した、酷薄と呼べるほどの冷徹さをもって、まだ魔道書に触れて数ヶ月しかたたない見習い魔術師に止めを。

そして魔術師の意識は堕ちた。





「リツコ。汝は弱い、先ほども申したがまずそれを自覚することが肝要。これより修練を重ねれば汝は魔術師、並みの人間では辿り着けぬ業を得る、人よりは、ただ人よりは力を持った存在となる、ただの人間よりは強い存在になれる。だが、それだけじゃ。そして汝は現在において弱い、時を経ればどうなるかは知らんが、今は弱い。ならば弱者の戦いを身に着けねばならん。明日得られる強さに意味はなく、今得られる強さで汝に降りかかる理不尽を退けねばならん汝にとって。弱いということに嘆かず、弱さを踏み越える術がいる。汝は弱く、そして目的があり、覚悟がある、その為ならば、真の外道に堕ちる以外のありとあらゆる手段を選ぶ、綺麗や汚いに拘るほど汝は幼くあるまい」

虐待の二文字が相応しい行為を平然とこなす精霊兼魔術師専属教師、覇道アル。

水月に下段突きを食らい意識を落とした弟子、虐待対象がおきた所で、彼女たちの間では恒例の反省会、正確には精霊が行う馬鹿弟子駄目だしタイム。

毎度毎度徹底的に痛めつけられた後の説教である、因みに九郎が受けていた際にも行われているし、彼女の弟子で同様の仕置きがなされていないのはルルイエのマスターぐらいなものだろうか。

彼女はきつくすると泣くし、泣かすと怖い背徳聖職者が迫ってくるので。

「判っているわ」

横臥した姿勢のまま、答えるリツコ。

体が痛くて起き上がれないのか、連日鍛錬のたびに意識が堕ちるまで続いているが的確に起き上がることすら困難なダメージを体に刻まれ、それで居て内臓器官には深刻なダメージがない、的確すぎるダメージで横になっているしかない。

それでも一日で立ち上がれる程度ではある。

いつものことなら半時間ぐらいかかるし、体を動かせない間は怖い精霊の説教が続く。

「判っているのならば、躊躇うでない。汝は九郎とは違う、あやつは魔術師にしてみれば真っ直ぐに過ぎる、堕ちず、違えず、己の義憤を取り違えず、正しき怒りにのみ身を任せ、剣を振るう。人としては正しいのであろうが、歪でもあるが妾から見ても過ぎたマスター、だが本来の魔術師は九郎のような存在ではない。魔術師は間違えた者だ、この世の理から、この世の道から間違っている存在。そして汝も間違ってしまった存在、判っているであろう。汝が力を得るならばギリギリのところで踏みとどまる外道にならねばならん、堕ちはせぬが堕ちる刹那の羅刹とならねばならん。汝は正義の味方などではなく守護者。万人の為ではなく、特定個人の為。あの娘らを守るのが汝の力の目的」

正しく真理、彼女は正義の味方になる為に力を求めたのではなく有象無象の誰かのために力を使うなどという幻想も抱いては居ない、二人の娘を守る、外敵から苦しませる全てから、己の力を高め二人を守る。

その為だけにその身に魔術を、使える力が魔術であっただけ、彼女の選択肢の中に魔術という項目があり、その力を守るために身につけるべき技術と選択しただけ。

ならば求めるは守る術、目的の為に正々堂々不意を討つ、目的完遂者の戦い方。

なのだが。

アルの言葉どおり彼女にその戦い方に躊躇いがない訳でもない、それは倫理的な問題というよりは発想的な問題、戦いにおいての不意を討つ戦い方がわからないという点もあるが、彼女の中に誰かに軽蔑されるような戦い方を忌避する傾向もある。

間違った生を歩んできたから、これからは間違わないでいようと思ったから、彼女の大切なこの安住の地で彼女自身が忌避されるようなやり方は。

己が汚れるという手段を誰かに嫌われるという恐怖と同一視する。

それが故に正しい戦い方、誰もが認めるであろう戦い方を選んでしまう。

まるで決闘のように、正面から、策も謀略もなく、己の技と力のみ。

だが、それでは足りないだろう。

アルの言うとおり、彼女は判っているが割り切れていない。

下積みもなく、年も肉体的な絶頂期を超え、鍛えるにも限度がある、常識を打破する発想もない、才もない、彼女は科学者としての彼女は天才ではあったが闘争者としての能力など限りなく持っていなかった彼女には何もかもが足りない。

そんな足りなさは正道の戦い方ではとてもではないが時間が足りない、彼女に必要なのはいつか得られる力ではない、もし今この時必要になったなら其の瞬間に行使できる力。

試合などの約束事ではなく、日常に潜む敵意にこそ対応できる力。

それは戦士の力量を身に着けるということ、今其の瞬間に他者の悪意を払い退ける力。

だが、単純な力では足りない、そんな力は身につかない、ならば必要なのは手段を選ばない覚悟、味方以外をなんともしない冷徹、それこそ正々堂々不意を討つ、それほどまでの知謀を凝らした策略、真っ向から戦おうと、相手の裏をかき、必要とあれば寝首を刈る、そんな汚れた戦い方、力の差を、足りない力を手にする方法。

彼女に必要な力はそう言った戦い方から得られる力、誰にも顔向けは出来ないけれど、誇ることなど出来ないけれど、そもそも彼女はそんなものを求めて、そんな対面維持しようとして戦いを望んだわけでもない。

戦いを望んだのは彼女の大切な人に牙が向かないため、其の為ならば、どんな苦労でも負うとした覚悟、どんな不名誉も、どんな悔恨もものともしない決意、そして得られる報酬は守れたという達成、そして其の後に続く大切なものたちの日常の姿。

誰かの知らないところで血を浴びて、誰かの知らないところで怨嗟を浴びて、それで居ても其の誰かを傷つけだます戦い方を続ける。

所詮は誰にも恨まれないで戦うことなんて出来ないのだから、誰かに恨まれてしまう戦い方を選んでも大差は無い、己の望みと自身の生還を望むならば戦いの場では敵を傷つけ、殺し、騙す。

そして血に汚れ続ける、自身が傷つけた誰かに対して哀悼を、己のやり方に嫌悪を、それで居て愚かに、正しく戦いを続けると、戦いを続けるしかないのだと。

修羅道。

その道に足をかけているのに彼女はまだ・・・・・・血に汚れる覚悟が出来ていない。

割り切れていない。

未だ誰かを手にかけたことの無い彼女には、口で言えた覚悟を行動に表すまでの、それを日常としなければならない、戦いの非現実を理解していない。

いや、一度も手を汚していない彼女には理解できるわけも無いことなのかもしれない。

其の辺りが、そして彼女が敵とみなすのが強大なる魔術師、醜悪なる外道ではなく、外道には違いないのかもしれない人間を相手にしなければならない精霊には見抜けている。

攻撃が温く、策謀が甘く、自分より上位である己にも必殺,致死にいたる攻撃が放てない。

本人に其の意識が薄かろうと、本人にそんな躊躇いはないつもりでも、振りかざされる暴力は弱い。

アルより弱い彼女はアルより選ぶべき手段が少ない、それなのにアルのほうが容赦が無い、強いほうが勝つための戦術を取っているのに、弱いほうが勝つための戦術を取れていない。

弱いほうが己の選択肢を狭いものにしている。

それでは温い。

「さっさと起きんか。いい加減にせんとあの娘らを守る以前に妾に殺されかねんぞ」

故に外道の精霊は容赦なく彼女を痛めつける。

殺されるかもしれないという恐怖が彼女の選択を広げるように。

まぁ、殺されてやるつもりは欠片も無いが。






因みに鍛錬場から一番近い建物の屋上では。

白い魔王、最近苗字が変わった覇道九郎とシンジが兄弟子として新たな弟子が師匠に苛め殺されないように様子を伺っていたりする。

下段突きをしようと眉も潜めずに眺めてはいたが、どの程度までやったら彼等は止めに動くのだろう、今のところ屋根の上でのほほんと黒い精霊が入れたお茶を楽しんでいたりする。

「お、シンジ、飛んだぞ。・・・・・・・・・・人間が水平に・おおっ、地面えぐってねぇか、堕ちた人間の体で」

「そうですねぇ。でも壁に向かって飛ばさない辺り手加減しているんじゃありません、姉さん?」

「かもな。俺の時はミスカトニックの時計塔からだったから壁は無かったが地面も無かったしな。何回落ちたっけか・・・・・・・・・・・・・・」

なんか自分と比較してまったりしていた、内容はちっともまったりしていなかったが。

なお、この後何度か普通人死ねるんじゃないかなって程度の攻撃が幾度か出るがそれに対して腰を上げることは無かったりする、彼らの価値観ではこの程度では人間は死なないということなのだろう、それとも半端者でも魔術師ならば死なないという価値観?

まぁ、リツコはリツコで半ば本能的に防御(特に受身)で魔術障壁を展開しているので全ての衝撃が風の障壁越しに伝わっているので見た目よりはソフトなダメージを受けているのだが。

案外、リツコ、生命維持に関しては一端の魔術師になっているのかもしれない、本能的に魔術障壁でも張って防御していないと生きていないというか既に最低でも全身骨折ぐらいにはなっているのだろうから。

因みにオートプロテスのような技術は案外高度だったりするが、外道の精霊の訓練を受けた生徒は初期の段階で取得するとのこと、命と身の保全の為に。





同時期、ネルフ本部、エヴァ試験場。

エヴァンゲリオン、二号機、三号機、四号機、起動実験。

パイロット。

エヴァ零号機(現在胸を貫かれた状態で放置中)、フォースチルドレン・相田ケンスケ。

エヴァ二号機、フィフスチルドレン・鈴原トウジ。

エヴァ三号機、シックスチルドレン・霧島マナ。

エヴァ四号機、セブンスチルドレン・山岸マユミ。

因みに零号機の修理は未着工なので起動実験は無い、尚二号機に関しては素体修理が終了したと言う辺りで実戦配備はまだまだ時間がかかろうかという状態、一応シンクロ実験のほうは何と素体のほうの修理が完了しているので何とかはなる、残っている修理箇所は外装なので戦闘さえしなければ問題無い、逆を言うと現状では戦力にならないが。

勿論零号機が修理さえ手がつけられていないのは戦力的に一番弱いからである、機体も操縦者も、直しても直してもエンドレスで壊されそうだから無駄はしたくないというのが電柱の考えであったりする、根本的にはネルフ本部最大のガン細胞、被害製造作戦妨害部長の手駒を持たせないというのが真の狙いなのだろうが、建前上、彼女の唯一の直接戦力は零号機一機のみ、それが動かなければ実質的には動かせる戦力など無い、勿論陸上戦力や迎撃兵器の運用権限など作戦司令室の誰よりも低い権限しか与えていない、つまりは彼女が認められている戦力は動かないお人形とその操縦者、そして己の肉体のみ(拳銃を取り上げられて使用できるのは自分で調達してきた武器のみ、勿論違法)、作戦妨害部長自身の肉体も案外怖いものだが、その点に関しては妨害部長専属の捕獲班が編成されている。

案外ネルフ身内に対して出来うる限り磐石に対応しようとしている。

但し、配布書類など目も通さず、重要書類でさえ流し読み、そんな誰かさんが自分の権限というのを正しく理解しているかどうかは別の話ではあるが。

お話を元に戻すと、実戦経験の無い三人に対してのエヴァの起動、そしてシンクロ実験が執り行われている、唯一の実戦経験者の経験、貼り付けにされて銃殺刑もどきを実線と数えるならだが、なお、四号機に関しては初起動実験。

現在、パイロット三人はプラグスーツ姿、トウジは赤、一応は男子用にカスタマイズ済み、マナは黒の、マユミは白、尚配色に関して、黒ジャージ愛好家の少年が三号機用の黒を微妙に物欲しそうに眺めたり(赤に関しては微妙に嫌がったが他に男性用は初号機用しかなかったし、こちらもサイズが違った)、同年代の異性のやたらエロいスーツ姿に情欲が沸いたり、まぁ、無理も無いが、諸に体のラインが出る、はっきり言って中学生男子には目の毒。

まぁ、見ている分には悟られない限りは問題ない、というより盗撮趣味の自縛自爆少年がやたら女性に対する肖像権を無視するような行為のほうが目立って顔を赤らめてチラチラ見る程度の方は同年代の少女たちから可愛らしいとか純情とか認識されていたりする、間違ってはいないかもしれないが好意的に解釈されすぎでもある。

普通のローティーンの少女ならばチラチラとでも自分の体のラインを見ようとする少年に対して好意的になるのは少ないだろうが、あからさまな性犯罪者候補、もしくは確定的な性犯罪者を日々目の辺りにしていると、その程度の反応では眦を上げるどころか微笑で対応できてしまうようになったらしい、いや、盗撮少年の目線が視姦されているような気分になるらしいから、恥ずかしがる視線に対しては麻痺しているのかもしれないが。

それと比較されるというか身近な同世代が一般的というかで比例して評価が良くなっているのだが、まぁ、一方が悪すぎるのだからしょうがないのかもしれない。

幸いなのは性犯罪者予備軍エキスパートクラスの少年が半分地下に監禁されるような状態で無為無策作戦部長の薫陶を受けているので、盗撮写真(小型カメラ)が彼の手の中にしかないことだろうか、地上に出られないから捌けないだけの話でもあるが、捌ける環境があれば大いに捌いたに違いない。

主に己の趣味の延長の小金稼ぎのために、尚、本人の許可無しに撮影、販売した場合最悪裁判所から出頭命令が来るので、性的なものならばお巡りさん。

今・の・所、性的被害は盗撮、覗きだが、このまま馬鹿の薫陶を受け続けるとその方向性が悪いほうに増徴しそうな気もするが現状ではこんなところである、少女達曰く時たま身震いがするほど嫌な視線で足やら胸やらお尻やらを舐める様に見られているらしいが、今・の・所、直接的な性的被害が出ていない、因みに監督責任者が誰かさんなのでその手のことを注意するような気配さえないそうだ。

周りが注意しようとすると。

「あたしを無視して勝手に何やってんのよ」「職権乱用する気ぃ〜」「ちっちゃいことで騒いでんじゃないわよ」「大体さぁ、こんな小娘が自意識過剰なんじゃないのぉ〜」とか素晴らしい言葉をほざいてくれた、ほざくだけでなく後で、あたしの才能に嫉妬した馬鹿が手駒を甚振ってあたしの邪魔しているとかなんとか手駒ともども自分を納得させているから性質が悪い。

その少年自身は実験でもないのに黄色(零号機は改装を受けていないので黄色)のプラグスーツ姿で、現在も少女二人の姿を眺めていたりする。

パイロットになるまでは学校内の美少女などをこそこと盗撮するだけだったのだが、最近では堂々と舐める様に視線を投げかけるようになっているのは洗脳の結果か、それとも後ろ盾がいるという強みか、自分の立場を変な風に勘違いしたが上での増徴か。

二つ目と三つ目の可能性がかなり高そうだ。

因みに二人の少女ともに格闘訓練、それはもう身が入って練習しているとの事、何を想定しているのかは、まぁ、彼女達の身の安全という現実的脅威に対するためだ。

霧島副部長のお嬢さんは筋がいいと親御さんが褒められたりするほどに。

自然々々、少女達のボディガード役として付き合わされる関西系は異性と仲良くなれて役得なのか、それとも学校でもそれなりに親しい姿を見せられる雀斑委員長が不幸なのか、一応少女二人は委員長応援なのでそれほどの心配はないのだろうが、四六時中一緒にいるのを知っていると委員長としても気分がいいものではないだろう。

因みに中学校のクラス内で美少女三人との行動時間が多い、関西系少年は他の男子たちに対してかなり壮絶な感情を向けられていたりするのだが、その辺は自意識が無いのか鈍いのかまったくといっていいほど理解していなかったりする。

因みに総意は、手前は委員長がいるだろうが!!!

富の偏在を嘆いていたとのこと、アーカムのある二人の男性を見かけたら彼ら地の涙を流すかもしれない。





で、実験を受ける被験者がいるということは、実験を行う人間がいるわけで、それに関わる人間も大勢いるわけなのだが、色々と。

因みに割りと実験実施を行っている人たち疲労満載。

本当に色々と、こいつ実験の意味わかってんのかと問いたい輩一名を含めて、その一命に関しては肌つやもよく疲労もなさそうな元気さだ、他の方々は大体真面目なのだが約一名不真面目、遅刻して入ってきた時点で問題外、誰もが諦めて注意さえされず、成績評価だけが機械的に下げる、因みに人物評価のほうはもう下がりようが無くあがりようも無い水準にまで落ち込んでいる。

大地に突き刺さりマントルを通り越した評価をどうこれ以上下げたらいいのか、地球を貫通させるぐらいの下方評価、既に牛の為に造語すら必要なレベルか?

いや、彼女為の造語は色々と既にあるのかもしれないが自覚症状の無い本人は、テレビの前のスポーツ選手に対して文句を言う酔っ払いと変わらない行動をとっていた、即ちシステムを理解もしていないのに文句だけをつける。

いや、昼間から酒臭い牛は既に酔っ払いのようだが、そもそも酔っ払い出ない時間というほうが彼女にとっては短いのかもしれない。

曰く、「シンクロ率が低いからアスカぐらいまでさっさと上がんないのぉ〜」「気合入れて真面目にやんなさい、あんたたち」「こんなんじゃあたしの華麗な指揮が曇っちゃうでしょ、あたしのレベルに合わせるようにしなさいよ」「技術部の仕事怠けてんじゃないの」、とか、好き勝手言っていた、周りの人間の額に青筋や井桁マークをつけている人間がかなりいたが、その辺りは無視するというか、技術部職員に対してはあからさまに見下げるような視線を投げかけている。

因みにネルフ劣悪労働条件トップスリーに技術部は入っている、残業、泊り込み、過密労働、休む間も無く働いているのが彼らで、休む間を探してというか作り出して休んでいるビア樽には言われたくはない、というか減俸がなければ彼女が彼らより高級だというのが納得いかないだろう、現在は五桁しか給料が振り込まれてはいないが。

それにエヴァの起動状態は文句を言われるほど酷いものでもない、二号機、三号機、四号機のシンクロ率は、23,25、21、牛の直属の部下の少年はこの半分しか記録していない、それ以後自機に乗ることも無いので単純に倍の数値をたたき出している、アスカの八割越えをアベレージにしている記録と比較するのは酷だろう、彼女のキャリアは十年で、彼等のキャリアは長いので一月以下、初起動の四号機などまだ数時間、大層な数字が出るほうがおかしい。

それに名将兵を選ばず、優れた指揮官は持ちえる駒の力を把握して最大の戦果を挙げる、確かに兵の質がよければ言うことが無いが、名将ならば質の悪い兵をうまく使うもの。

無論限度はあるが、精鋭部隊と新兵では数倍くらいは押し返すかもしれない。

だが、悪い兵でも勝ちを収められる将こそが名将なのである、良質の兵を抱えることが出来るのならばそれは勝てて当たり前なのだ、そもそもは良質の兵を常に常備するのが名将、当たり前を常に実践するのが必勝の策でもある、小細工しなくても準備が完全であれば策謀を打つ必要すらなくなるのだから、それが出来なくて弱兵を抱えても切り抜ける、出来るだけそうなってはいけないが、出来るのが名将。

彼女としては窮地に堕ちて行き当たりばったり、準備段階では手を抜くという言葉が最大限の努力ですかと問い詰めたくなるような状態、名将ではなく迷将である。

「葛城作戦部長、実験の邪魔ですから騒ぐのならば他所でお願いします」

「お、おい」

事務的を通り越して凍れるような声音の言葉、鬱陶しいから出て行け、というニュアンスをたっぷり含めている内容、勿論この場の総意の代弁行為、約一名を除く、因みに髭、電柱、武装した牛専用捕獲班以外では物理的報復を恐れて面と向かって文句を言う輩は余りいない。

権威には逆らわないというか長いものに巻かれろ根性が一応は身についている彼女に意見して無事で済む輩が少ないというべきか。

他には現状、この場では一番階級が下というか、存在することすら疎んじられてはいるが、何故ここに居続ける事に大半は疑問を持っているが居続けている、居続けている事が不気味で文句をつけられないのかもしれない、裏にある汚い力を想像して。

因みに裏の力で真っ先に疑われたのは髭だ、間違いではないが髭も好きで庇っているわけでもない。

「あによ、文句つける気ぃ〜」

言葉を発した長髪の青年、青葉シゲルに対して、殺す眼、弱者を甚振る眼と、鬱陶しいものを見る眼、自分に文句をつける馬鹿に対する怒りに染めた目を向ける中年無能、因みに青葉の言葉を遮ろうとしたのは誰かさんの信奉者、偉大なる妄想男日向マコト、被害者と思われながら加害者の立場にいる、良識風常識破綻男。

ある意味において非常識本能忠実牛よりもある意味性質の悪い男、間違っているとわかっているか判っていないのか、何故か普段は常識を持っているっぽいのに乳牛上司に対して従順な犬に成り下がる馬鹿、その際通常の常識的判断も欠如する傾向がある、なお彼が計上している被害額、上司のお陰で目立っていないが三位に輝いている、尚一位はいう必要はないとして省いて、二位は何時ぞやの誘拐事件を企んだ馬鹿としておく。

その被害額の殆どは一位の人が監査が入る前に築き上げた代物だったりするが、現在は彼が計上する被害は彼が勝手に気を回した手配が殆ど、勿論牛のため。

「邪魔ですので出て行ってくれませんかと申し上げたのです、葛城作戦部長」

顔を向けず、冷たい調子で、当たり前の規定の事実を述べるかのように返答する青葉。

その声は相手を心底、疎んじているように、実際疎んじていない輩は彼らのいる場所にはひとりしかいないだろうが、目の前から消えてくださいと言わんばかりに冷たい。

「あんた、あたしに向かって何言ってるか判ってんの〜。あたしは天才作戦部長様、あんた如きに邪魔なんて言われる筋合い無いの、お分かりぃ〜」

先程より暗い目、それでいて酔っ払い方が上機嫌の方向だったのか二度文句をつけられて激怒していないのは奇跡なのかもしれないが、相手を馬鹿にする口調も険が先程よりきつくなっている、素面だったら既に怒鳴り散らして殴り飛ばしていたかもしれん。

それにしてもこの職場の人間、目の前にこの世全ての堕落を前にして良く仕事が出来るものだ、いや離職者はそれなりに多いのだろうが中心メンバーのほうが悲惨な現状、ある一名が作り出す不始末と立場の低下がわかり過ぎるほどにわかりそうなものだが。

雇用契約あたりで縛っているのかもしれない、勝手に離職しようとすると権限持ち出して軍隊としての拘束を行おうとしたり、いやそうでも思わんと現状のこの立場の組織、世界の金食い虫、無能の宝庫、などと言われているであろう(主に国連軍に)組織に勤めたくないのだが、嫌な見本も目の前にいることだし。

まぁ、嫌な見本は現在、彼女主観の下っ端、でも現実牛の階級は食堂のおばちゃん以下の最下層、勿論給料もだが、彼女的には自分の言葉には逆らわずに従順に従うべき下僕に邪険にされている、実際はこの中で一番地位の低い作戦部長なのだが。

だが、牛も今までに何度も自分専用捕獲部隊(彼女を捕獲する専用というのが愉快というか愉快でないというべきか)、彼女の主観ではやはり下っ端に散々痛い目にあっているのだが、学習能力・・・・・・・・・・・・・・・無いか。

あったら少しずつ成長するはずというか、成長できるならここまで堕ちない、色々な意味で、いやマイナス方面への成長を成長といえるのなら成長なのかもしれない。

それは退化、いや退化は成長に不必要なものを切り捨てる行為でこの場合は劣化か?

「何度も申し上げますが、邪魔なのでこの場から立ち去れと申し上げています」

再び簡潔、因みに今まで青葉が牛に対して顔を向けて喋ってもいない、完全に邪魔だから出て行けと眼中にない相手に苦言を吐く行動をしている。

そしてその苦言を受けている相手がそんな態度を三度も取られて、三度目が会ったのが奇跡なのかもしれないが、怒りを爆発させないだろうか。

実際、先程以上に怒りに染まった目で自分に背中を向けて作業をしている青葉を今にも殺しそうな目で睨みつけている、自分に噛み付いてくる犬が気に入らないとばかりに、実際に周りから見たら彼女自身が知性が疑われている生ものとして扱われているのだが。

因みに、その間眼鏡馬鹿は友人の態度をいさめ様と、彼主観では自分の主人に楯突く行動を注意、している所だったりする、その行動も青葉に無視されていた、眼鏡の立場も地に落ちているか。

「うっさいわね!!あたしが邪魔、そんな訳無いでしょうが。それにしてもあんた上司にこんな口聞いてただで済むと思ってんじゃないでしょうね」

大体においてきれて権威を持ち出すようになれば負けたようなものだが、まぁ、軍隊組織なら上司に、つまりは上官に口出しし反抗するのは問題だ、たとえどんなに無能な上官とはいえ、軍隊という組織では上の人間の指示にしたがはむかうことは許されない。

それが作戦行動中といえど任務を帯びていない時といえど、軍隊という暴力を司る組織において部下が上に反抗するなど組織を崩壊するだけの癌にしかならないのだから。

まぁ、今の場面においては実験中とはいえ、態度を諌める様な発言を部下が行っても問題がないのだが、軍隊でも下は反抗は出来ないが意見を述べる自由はあるのだし。

意見が採用されるかどうかは別の問題だが。

それに役職と階級が釣り合っていないという歪さも併せ持っているし。

この場合役職は上の牛、但し青葉とでは部署が違うので直接の上司には当たらない、それでも階級は上の青葉、どちらが上になるのか。

まぁ、牛のほうは自分が上だと思い込んでいるのだろうが、そもそも彼女の中で字分与利も上だと思っている人間は何人いるのだろうか(彼女よりも遥かに上の人間に何度も噛み付いているし)、いいとこ髭と電柱だけのような気がする。

それはさておき、暴力暴走性主食酒類生物は自分がここまでコケにされて、自分の我侭が通用しないことに対して耐えられる性分ではない、ここまで持ったこと自体が奇跡の産物なのかもしれないが。

都合がいいのかお約束か、作者の意思か、牛さんの怒りが今のところ青葉の方向に晴らされることはなかった。




「小笠原沖方面より入電、使徒発見、使徒発見。二体の使徒が第三新東京方面に向けて進行中」










To be continued...


(あとがき)

久々というか十ヶ月ぶりというか、前も半年くらい期間が開いての投稿だったのに今回は更に開いて、しかも長くなりすぎて収拾がつかないというかなんというかで。

つまりはこの後の使徒戦までも当初は含んでいたのですが。

まだ書いていないあたりを含めまして文字数が八万文字を突破しそうな感じです、もしくはもっといくかも、というか使徒の時期を遅らせる必要があったのかと少々考えたりで完全に繋ぎの回になりました。

遅筆に磨きがかかってきたのを何とかしようと思う一方でなんともならない現状ですが、長い目で見てもらえると幸いです。

で、お話のほうですか、そろそろ未登場もしくは目立っていないキャラも出させようかなと考えての青葉の反乱でした、マヤも次ぐらいで目立つかもしれません、オリキャラの副部長も。

そしてリツコさんの修行、科学者が完全に戦闘技能者になるのはいつのことでしょうか、そろそろ実戦に出させたいなとか考える一方でデモベ次回作が出てから精霊もちにさせようかとか考えていたら遅くなりそうだし、今のところの目安は十二・十三使徒あたりで乗せようかと、生身の実戦はそれより先かもしれません。


(ご要望にお応えして、ながちゃん@管理人のコメント)

お久しぶりです。
お久しぶりすぎて話を忘れました(汗)。脳内年齢がかなり逝ってますので(汗)。
今回、九郎争奪戦も熾烈を極め、でも傷つくのは彼一人だったわけで(笑)。もう好きにしてというか命ばかりはお助けをというか何というか…もうダメポ。合掌。
でも結局、結婚しちゃいましたか(新郎の意思なんて端から無視)。シンジも苗字変更。なるほど前回からの疑問も解消です。
リツコも真面目に頑張っているようだし、うんうん。
いや〜しかしここのミサトって、今さらですが最高ですな。爆笑モンです。
ネルフ内でも有志によるミサト包囲網が着々と進んでいるようだし、楽しみです。
でも、なじぇに加持は(そりゃ最低男だけど)こんなのに惹かれたのでしょう?世界の七不思議ですよ。
マユミとかは初見で毛嫌いしてたけど、やはり決定的な(ミサトにバッチリお似合いの)何かがコイツにはあるのかなぁ〜?フフ、きっとあるんでしょうねぇ〜(笑)。
しかし、何しにクルージングに行ったんでしょうコイツら?(笑)
使徒来ないし(笑)。
でも次はどうやら二体現れるようですね。あ、でも例のヤツが分裂したら正味三体になる!?(笑)
えーと、タダでさえ無理っぽいのに、フフフ、こりゃミサトの見せ場(?)が山盛りですな〜♪
すんごく期待です。
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