新世紀エヴァンゲリオン 〜神断つ牙〜

第一話・前編 降臨

presented by 蒼麒様


その少年には常に一人の少女が連れ添っていた。



その少女は少年を主と認め、そして力を貸した。



少年の周りには二人の王が居た



一人は白き王



絶望を乗り越え、旧神と呼ばれる存在に為った王



一人は黒き王



幾多の絶望より目覚め、観察者と為った王



少年は王達に鍛えられ、絶望を経験し少女と共に力を手に入れた



そして王達と少年と少女は時を遡った








静まり返った都市……その様子はまるで、全てが死に絶えた都市のようでもある。

そしてそこにたたずむ8人の人物

「なぁ、アル」

一人は白の王の名を冠する者『大十字九朗』

「何だ、九朗?」

一人は白き王の従者でありその妻『大十字アル』

「俺達一体いつまで待てばいいんだ?」

「それは愚問であろう、九朗。  迎えが来るまでだ」

答えしは黒き王の名を冠する者『テリオン=フェリル』

「私はマスターの意見に従います」

黒き王に従いしはその従者にして妻『エセル=フェリル』

「あのー兄さん」

「しかし、人を待たせるとはなめておるな。」

「まったく、アル・アジフの言う通りなのである。  このような人を待たせる輩には碌な奴がおらんのである。」

「そうだそうだー、だロボ」

白き王の従者に答えるは狂気の科学者『ウエスト=ハーバート』と科学者が造りし人『エルザ=ハーバート』

「……お前らに言われるのもかわいそうだと思うぞ」

九朗の額に大粒の汗が浮かぶ、さすがに待ち人が○○○○と呼ばれる人種に碌な奴では無いと呼ばれるのをかわいそうだと思ったのだろう。

「だーかーらー兄さん達っ!」

「……ん、どうしたシンジ?」

九朗に呼ばれたのは黒いコートに身を包んだ14,5歳くらいの少年『碇シンジ』である。

「言ってなかったっけ?来る車に全員は乗れないよ。皆に伝えてって言ったはずだけど……なぁ、朱鷺那?」

「はい、シンジ様。
 確かに一昨日に九朗さんに伝えていました」

シンジの事を様付けで呼ぶ白いワンピースを着た14,5の少女『朱鷺那(ときな)=フェリル』である。

「なんだって? ……そういえばそんな事、言っていたような」

その九朗の一言にシンジ他一名以外の視線が九朗に集中した。
まぁ、普通に考えればそうだろう。全員が乗れない車を、ひたすら来るのを待っていたのだから。

「く〜ろ〜う〜、妾はそんなこと聞いてはおらんぞ」

……修羅が居る
アル以外全員が同じことを思いながら、首をカクカクと縦に振る。
そんなこと聞いていないの発言に対して同意しているのだろう。
なお、後にシンジはその時の様子についてこう語った

「いやーあの時のアル姉さんは、どんな邪神の迫力にも勝っていただろうね」

と、

それほどにそのときのアルは恐ろしかったのである。
もちろん九朗がその状態のアルに向かって言い返すこともできるはずも無く、

「ごめんなさい、もうしません、許して下さい」

と、地面に這い蹲り土下座して謝った。

「まぁ、今回は許すが、次回は無いと思えよ九朗」

邪神も裸足で逃げ出すほどの邪悪な笑みを浮かべたアルは九朗にそう告げる。

「イエス、マムッ!!」

軍隊張りの敬礼をアルに向かって行う九朗……
どうやらアルの九朗に対する調教はほぼ完璧のようだ

「さて、こうなっては此処にとどまる必要はない。ネルフとやらに行くとするか。九朗、準備を」

「おぅ」

アルが言った後、すぐさま九朗は転移魔術の準備を行い始める。
ちなみに範囲にウエストとエルザは入っていなかったりする

「待つのである、我輩とエルザはどうなるのである?って言うか置いて言っちゃイヤーン」

「ダーリン、エルザを捨てるロボか?   あの夜は嘘だったロボか?」

必死になって、九朗を止めるウエストとエルザ……ある意味滑稽である。
そんな二人を見ながら九朗は

「悪いなドクター、俺の転移魔術は6人まで位しか移動できないんだ、がんばれよ」

と言って、転移を行った。
後に残るはウエストとエルザ、それと

「博士、なんか飛んでくるロボよ?」

「九朗のバッキャロー、ロリコ〜ン、ってうぉぉぉぉぉ―――!?」

空中から落下してくる戦闘機、ちなみに落下地点はウエストの真上、哀れである。
ちなみに九朗の転移魔術は確かに単独では6人までしか安全に転移させることができない……が、アルの力を借りれば100人でも楽に転移させることができる。
もちろん九朗はこのことをわかっていたりする…………確信犯だ

なお、このときに来ているはずの牛こと葛木ミサトは

「シンジ君何処ー?」

必死になってシンジを探していた、なお捜索している所は書類に書かれてあるところとは別である。
…………何故に?




まぁそんなこんなで牛が騒いで居る時、某髭の住まいことネルフ発令所では

「君達にならできるのかね?」

「その為のネルフです。」

と史実と同じ出来事が繰り返されていた
違うところと言えば、N2が使われていないところだろうか
何故使われていないのか?それは

「レベリオンの奴らさえ口を挟まなかったら、N2を使い使徒を我々の手で倒していたのに……くそっ」

と言うわけである


ここで解説をしておこう
レベリオンとは、10年前に破滅回避と言う理由で京都に作られた国連直属の特務機関である
メンバーは今は非公開、資金元は碇財閥である。
何故そのような物が作られたのか?
理由は10年前から京都で【ナイトイーター】と言う組織が活動を始めたからである。
それだけなら作られるはずも無いのだが、殲滅に乗り出した国連の部隊が全滅したことにより、国連は以前からあった碇財閥の特殊部隊に依頼
その際に碇財閥は特務機関として部隊を登録することを条件にして、依頼を受けた。
仕方なく国連はその条件を飲み特務機関【レベリオン】を発足
発足を確認後【レベリオン】メンバーは、およそ一ヶ月で【ナイトイーター】を壊滅させた
以降、紛争の解決などにレベリオンは出動し解決していることから、かなりの地位を国連の中でも得ている。
今回もN2の使用を却下するように申し立てていたのである。
理由はそんなものを使えば倒せたとしても被害は甚大
それなら、専門であるネルフに任せろ。と
もちろんそれだけでなく、ネルフが使徒殲滅に失敗したと判断すれば、レベリオンがその後始末をするという条件をつけてだが…… もちろん、非難を受けたうえに下手をするとこれから先の関係が悪くなるのを恐れた国連は、N2の使用を却下した。


国連の人員が出て行った後司令室では、髭と電柱の秘密会議が行われていた。

「どうするのだ碇、このままでは1時間後に使徒がジオフロント頭上に到着するとMAGIは予測しているぞ。」

と電柱が言えば、

「問題ありません、初号機を起動させます」

と髭が返す
この後も秘密会議は続いていたが予備だの息子だのと、どこかで聞いた事のある会話が続くだけなので、省略させていただく。




場所は再び牛のところに戻る

この牛、20分周辺を探した後

「ここに居ないってことはシェルターに避難したのよ、そうに違いないわ。」

と自分が場所を間違えていることに気づかずに全てをシンジに押し付けて、さらに

「ちぃ、使徒の進行止まってないじゃないの。
 国連はやっぱりだめね、私みたいな有能な指揮官が居ないから。」

と、近くに国連の関係者がいればすぐに射殺されるようなことを言った後

「この際、レイでもいいわ。」

と言って、ネルフに連絡を入れて、ご自慢のルノーでネルフに向かうのであった。



さてこのミサトの報告で慌てたのが、ネルフ本部、何しろ頼りにしていたサードチルドレンが居ないのだから。
すぐさま、マッドな医者が保安部に連絡を入れて探させようとしたときに、監視モニターに妙な一団が入り口前で映っていることに気がついた。
しかも、その中の一人がサードチルドレンだと言うことに気づいた途端、ものすごいスピードで、入り口に向かった。



さて、入り口前に着いた九朗達一行、

「なぁ、アル来たのはいいけどどうやって連絡を取るんだ?」

九朗の持った疑問
確かにそうだろう、何せネルフは牛がシンジを連れて来ると思っているのだから。……さっきまでは

「どうにかなる」(キッパリ)

「いい加減すぎぃ!!」

大十字九朗とアル……この二人、夫婦漫才で生きていけるかもしれない……


とそこへ、

「碇……シンジ君?」

と、肩で息をする金髪の白衣を聞いた女性が問いかける。

「僕が碇シンジですけど、あなたは?」

シンジが名乗りを上げ女性に声をかける。

「自己……紹介が……遅れたわね」

とそこで一旦、会話を止め深呼吸をする。
どうやら、かなり疲れているようだ。

「私は赤木リツコ、早速だけどついて来てくれる?」

いきなりついて来いと要求する
はっきり言って、怪しいと言うよりも傍目から見れば誘拐そのものである。
いぶかしげに見る視線にリツコは気がついたようで、

「と・とにかく今は時間が無いの。この場所は危険だし、ついてきて。」

「判りました、もちろん兄さん達もいいですよね?」

「……わかったわ、でもこの中でのことは決して口外しないと誓ってもらうわ」

リツコはシンジの問いに対してこう答えた。自分が危険だと言っている場所に置いて行くなどといった日には、シンジの信頼がまったく得られないと思ったからだ。
そのままシンジ達一行はリツコの後ろについていく。



そのままシンジ達がたどり着いた場所は、照明を落としてはいるが、ケージと呼ばれているところである。

「あの、赤木さん? 真っ暗なんですけど……」

「今、電気をつけるわ」

リツコがそう言うとほぼ同時にケージの照明がつく。
そこに佇むのは、一体の紫の鬼神

「何ですか? これ」

「人の作った対使徒用決戦兵器『人造人間エヴァンゲリオン』その初号機よ」

リツコはシンジに向かってそう答える。

「なるほど……これが六文儀の仕事ですか」

「そうだ、シンジおまえが乗るのだっ……シンジ今なんと言った?」

ケージの上方に在るガラス張りの部屋、そこから髭もといゲンドウはシンジに向かって答えた

「そんなところに居たんだ、なんて言ったかって? あんたが裁判所にこないから碇の姓を剥奪したって言っただけだけど」

「なんだとぉ!!」

髭にしては珍しく大声を上げて、叫ぶ。まぁ最愛の妻との唯一の繋がりである碇姓を奪われたのだから、まぁ当然だろう。……煩いが

「そこの髭、落ち着くのである、って言うか髭黙れ、シャラップ髭」

……いつの間に来ていたのか、シンジの横でウエストが騒いでいる。

「いつの間に来たんだ? おまえ……」

「我輩がこんなこともあろうかとひそかにエルザに取り付けておいた、エルザ専用ジェットスクランダー〔ステルスつき〕を使いさらに我輩とエルザと言う言葉を超えた絆を持つ二人だからこそこっそりとついてくることができたのである。」

「実際は博士を持ってダーリン達の後ろをついてきただけロボ」

「エ〜ル〜ザ〜!?」

自分の作ったエルザにまで裏切られネタばらしをされるとは……ウエスト、哀れである。

「……と、とにかくシンジおまえがこれに乗るのだ」

ゲンドウがシンジに向かって言い放つ
此処でゲンドウのシナリオでは、レイを呼んで無理やりにでも乗せるつもりだったのだが

「臆病者に用は無い、冬月レイを「別にいいよ、乗っても」…なに?」

ゲンドウはまさかシンジが了承するとは考えてなったらしい。

「では、あのエヴァの操縦方法を教えてもらえますか?」

「え、えぇ。こっちに来てもらえる?」

「はい」

シンジはリツコについて行って操縦に関するレクチャーを受ける。


そして、

「エントリープラグ挿入、シンクロ率……30.2%エヴァ起動しました」

司令塔と呼ばれるところでオペレーターたちがエヴァの現状を説明する。
ちなみに、いつの間にか、牛も到着している
さらに補足すると、九朗達はゲストルームと呼ばれるところに保護と言う名の監禁をされているようだ。たぶん無駄だろうけど

「司令……構いませんね」

「あぁ、使徒を倒さない限り我々人類に未来は無い」

「エヴァ初号機、発進!」

後に使徒大戦と呼ばれることになる、戦いが今……始まる。






To be continued...


(あとがき)

初めまして、流離の作者(自称)蒼麒と申します。
今回私は初めて投稿という形式で小説を掲載させていただくことになります。
と言うわけで、少々この作品の説明をさせていただきます。
この作品はデモンベインのクロスとなります。
時間軸からすると、九朗の旧神エンド後になり、マスターテリオンともある理由で和解しています。
後このシンジ君は、逆行2回目で1回目の逆行で散々な目にあっています。
そのため、性格が変わっていますが、ご了承ください。
できるだけ更新の速度を上げられるように努力しますのでよろしくお願いします。
作者(蒼麒様)へのご意見、ご感想は、メール または 感想掲示板 まで