プロローグ
presented by tai様
夕暮れの光が一つの影を照らす。
影―――――小学生低学年くらいの少年だろうか―――――は自分の通う小学校の屋上にいた。
下校時刻をとっくに過ぎているため、他の人影は見えなかった。
ジャリ
少年は一歩外へと、フェンスの更に外へと踏み出した。
もう数歩前に進めば少年は間違いなく転落して地面に激突し、死ぬだろう。
「夕日…………キレイだ」
少年は何の感情も見せず呟いた。
ただ、そこにあるがままの世界を慈しむその声に恐怖の色はない。
ジャリ、とまた一歩少年は前に踏み出す。
「僕が死ねば…………お父さんは悲しんでくれるかな? お母さんの所に行けるかな?」
誰かが聞いているわけでもないのに少年は問う。
少年は生きているということが孤独だった。
妻殺しと言われている男の息子。
「真実」は違うものであっても、その「事実」は少年に重くのしかかり彼の今までの短い人生に多大な影響を与えた。
疎外、嫌悪、無視―――――その一切の正の感情を含まない周囲の人々の態度は少年の幼い心にはとても耐えられるものではなかった。
今より更に幼いころに母親に先立たれ、父親に捨てられ、預けられた親戚の家でも愛情を与えられず過ごす毎日。
その上で向けられるこれらの感情はこの幼き少年に死を選択させたとしても何も不思議ではない。
死んで母親のところに行きたいと思ってもおかしくはないのだ。
最も、こうなるように仕組んだ少年の父親は少年が死を選ぶなどとは全く考えていなかったが。
「ああ、高いな。きっと痛いんだろうなぁ…………」
また一歩踏み出す。
もはや少年の前に踏みしめるべき足場はなかった。
だが、少年にためらいの色は感じられなかった。
何故ならば―――――心の痛みがすでに体の痛みを凌駕していたから。
「次に目を覚ました時は…………」
少年は目をつぶり、そのまま身体を前に倒した。
―――――どうか、僕に優しくしてくれる誰かに出会えますように
一陣の風が―――――吹いた
To be continued...
(ながちゃん@管理人のコメント)
tai様より「新世紀エヴァンゲリオン 〜The place at which a wind arrives〜」のプロローグを頂きました。
長いタイトルなので、便宜上、略して「風エヴァ」と呼称して欲しいとのことですので、以降はその略称で統一します。
当SSは以前、別のサイト様にて掲載されていたものですが、今回、とある事情により当方で預かることになりました。
今後ともよろしくお願いしますね。
さて、肝心のコメントですが・・・って、イキナリの投身自殺ですかっ!?
恐らく、この傷心の少年がシンジ君なのでしょう。なかなか辛い幼少時代を過ごしてきたようです。
続きが気になるところですね。多分死んではいないとは思いますけど・・・心配ですよね。
さあ、本編へと進みましょう♪
P.S.プロローグに関してはタイトルロゴは特に不要とのことでしたが、・・・すでに作っちゃいました。ゴメンなさい(汗)。
作者(tai様)へのご意見、ご感想は、または
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その際、さり気なく、「ジゴロ」の執筆も頑張って♪・・・という程よいプレッシャー(おい)を掛けて頂けると、ファンである管理人の利害とも一致します(テヘ♪)。・・・済みません。管理人の世迷言です(汗)。