IFストーリー1 風間レイです
presented by 蜜柑ブタ様
※レイが風間の義理の妹になったIF展開です。
※本編とは関係なく、平和な日常です。
※オリキャラ・椎堂ツムグが覗きとセクハラの常習犯。
綾波レイは、その出生のため肉親も親族もいない。
遺伝子的には、碇ユイのコピーであるため、ユイの息子である碇シンジの血のつながった親類となるのだが…、使徒と人間のハイブリッドということでこれまたややこしいことになっている。
このかなりややこしい出生のうえに、彼女に関する情報が一切抹消された状態でエヴァのパイロットであるチルドレンとして登録されていたため、地球防衛軍に保護されてから彼女の今後についてどうするべきか大人達を悩ませた。
人造人間とはいえ多少外見が普通じゃない部分はあるが人間とほとんど変わりないため、このまま人間として社会的身分の保証を発行するのは決まったが、14歳という未成年をそのまま社会に放り出すわけにはいかない。施設に預けて学業が終わり自活できるようになるまで生活させるという選択もあった。
レイの選択にかかったのだが、しかし思ってもみない展開で、レイの件については解決することになった。
M機関のミュータント兵士である風間勝範の義理の妹として、風間の家族になったのである。
なにゆえこうなった?っと事情を知らない人間達は首を傾げる。
きっかけは、エヴァから離されて喪失感のあまり投身自殺しようとしたレイをシンジが咄嗟に助けようとしたものの一緒に高所から落下し、それを風間が二人を助けたことだったらしい。
風間はM機関所属のミュータント部隊トップクラスの強者。不器用だし、戦いに容赦のない性格から、根っからのお人好しで優しい尾崎とは対照的で、時に衝突することもあるため、ある意味で有名な風間が、まさかレイを妹として受け入れるとなど誰も想像していなかった。
風間が保護者で大丈夫なのか?っという心配があったが、なんだかんだあって風間とレイの仲は良好であり、レイも風間によく懐いている。心配は無用であったようだ。
こうして綾波レイは、風間レイとして生きることになった。
風間が遠征訓練で長く防衛軍の基地から離れていた時であった。
「碇君、いまいい?」
「なに?」
「あのね…、お兄ちゃんがもうすぐ帰って来るんだけど、ご飯…何作ったら喜ぶ?」
「えっ?」
もじもじするレイの言葉に、シンジは、困った。
そこでシンジは、レイを連れて尾崎を訪ねた。(尾崎は基地で待機してた)
尾崎は、風間と同期でM機関に保護された幼少期からずっと一緒にいる人物である。風間は、かなり一方的に尾崎をライバル視しており、戦闘訓練では必ず最後には尾崎との一騎打ちを所望するほどである。
「なるほど。風間の好き嫌いか…。」
「お兄ちゃんがベジタリアンだっていうのは知ってる。」
「まあ、風間は、自称ベジタリアンだけど、食べようと思えば何でも食べるからな。生まれたところがかなり過酷だったらしいし、訓練で野外訓練(サイバルで食料を入手し調理する)もあるから好き嫌いをしてたら戦いにならないって本人も言ってるしな。」
「自称…ですからね。本人は認めたがりませんけど。」
「お兄ちゃんは何が好き?」
レイの直球な問いに、尾崎は腕組をして真剣に考えた。
「う〜〜〜ん……、ラタトゥイユ…。」
「らた…?」
「トマトの野菜煮込みですね。確かフランス料理。」
自炊できるシンジが補足を入れた。
「あと野菜料理なら別に選り好みはなかったと思うな。ああ、でもよくパスタを食べてるかな? バイキング形式の時なんか、ステーキ取らずに付け合わせの人参のグラッセとか茹でたブロッコリーとか山盛りで皿にとってたからみんなびっくりしてたのを覚えてるよ。熊坂教官に筋肉のもとが決定的に足りない!ってヒレ肉盛られてたな。」
「風間さんって洋食好みなんですか? 付け合わせ山盛りって…、あんまり味付けしないで野菜の味そのままのほうがいいんですか?」
「そうだと思うよ、俺が見た限りじゃ。」
「お兄ちゃん、私の料理…何も言わないで食べる。美味しいってまだ言われたことないの…。」
「そうか…。あいつも素直じゃないからな…。顔にも言葉にも出さないけど、きっと君に作ってもらった料理が食べれて嬉しいはずだ。俺も風間も、親がいなくてM機関の食堂の料理で育ったようなものだから。」
「そういえば、そうですよね…。M機関のミュータントの人達って……、セカンドインパクトで被害が酷かったところで覚醒したとか、生まれた人が多いって聞きました。」
シンジがハッと思い出して口にしたM機関所属のミュータントの事情。
尾崎も風間もであるが、セカンドインパクトによる大災害による被害が酷かった地域でミュータントの覚醒率と出生率が高い。被害が酷く、また治安の問題などもあり身内がいない者が大半を占めている。
ましてや血のつながった兄弟というのは…。
「あっ。」
シンジが気付いた。
「どうかしたいかい?」
「あ…、いえ……、なんていうか……、今、どうして風間さんが綾波を妹にしたのか分かったような気がして…。」
「?」
シンジの推測に、シンジの隣にいたレイは、分かってないのか首を傾げていた。
「レイちゃん、風間が帰ってきたら、まず『おかえりなさい』って言ってあげるといいよ。」
「そしたらお兄ちゃん、喜んでくれる?」
「風間は素直じゃないけど、もしそっぷを向いたら間違いなく喜んでるって思えばいいよ。」
「分かった。やってみる。」
レイは、グッと胸のあたりで拳を握って力強くそう言った。
その表情は真剣そのもので、初めの頃あんなに表情がなかった少女が、ずいぶんと変わったものである。
***
風間帰還まで残り半日。
「は〜あ、いいねぇ。血のつがなりながらなくたって精神、法律で家族になれるなんて素晴らしいよね。もう可愛い可愛い、あの子メッチャ可愛くなっちゃって、もう。これだから目が離せないんだよ!」
「だからって覗き見はダメよ?」
風間の妹になったレイのことで可愛い可愛いとクネクネしながら言うツムグに、音無が呆れ顔で言った。
ツムグは、その能力ゆえに他人のプライベートが丸見えなのである。見ないようにすれば見えないのだが、マイペースに生きてるこいつを注意してもあまり意味はない。ツムグが発見された当時からいる大ベテラン研究者すら匙を投げているのだ。
「失礼な! エロい意味で見てるわけじゃないよ! 美雪ちゃん。」
「そう言うなら覗き見は控えなさいよ。」
「いいじゃ〜ん。見てて楽しいし、別に悪いことするわけじゃないんだからいいじゃん。俺にとって地球防衛軍は、家だし。そこにいる人らは家族みたいに思ってるんだから。」
「もう、ああ言えばこう言う…。覗きもセクハラも立派な犯罪よ。」
「最近、尾崎ちゃんと夜がご無沙汰だからって、そんなにムカムカしないでよ。」
「っ!!」
ツムグのセクハラの一言に音無は、思いっきり吹きだした。そして激しく咳き込みツムグに背中をさすられた。
「…み、見て……。」
「見てない見てない。見たとしても、尾崎ちゃんが最近美雪に構ってやれてないってため息ついてるのを見たぐらいだから。っていうか、合ってたの? 最近、尾崎と美雪ちゃんからお互いの匂いがあんまりしないと思ったら…。」
「ツムグーー!」
「うひゃー、美雪ちゃん怒らないでよー。コーヒー熱い! 良い子は、夜がご無沙汰とかって言葉は大人になってからだからね! 人に向かって言っちゃダメだから!」
ツムグは、音無に追いかけられながらどこかの誰かに向かって最後の部分を言った。
こんなやり取りもいつものことである。
他の研究者仲間が騒動に気付いて止めに入るまで音無とツムグのドタバタは続いた。
To be continued...
(2018.03.17 初版)
(あとがき)
ハーメルンで未完で終わってるIFでした。
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