第一話
地球防衛軍、復活!
presented by 蜜柑ブタ様
第三新東京に襲撃した、使徒サキエルは、東京湾より上陸してきた復活したゴジラにより一方的にやられ、そして熱線で殲滅された。
碇シンジの初陣も、エヴァンゲリオンの初戦かつ、勝利で終わるはずの戦いは、ゴジラの乱入により阻まれた。
ネルフが国連や戦略自衛隊に偉そうにお前達が出る幕じゃないと態度を取っていただけに、使徒どころか、ゴジラの乱入に対応すらできなかったことは、赤っ恥なんてもんじゃないすごい大恥をかく結果を残したのだった。
ネルフは当然だが、あの戦いで来たゴジラに似た赤と銀の巨大兵器や、緊急通信で伝えられた言葉にあったM機関のこと、そして解体されたはずのメーサータンクのことなどで猛抗議してきた。
これについては、国連も戦自も、数日後の国連会議で伝えると通達しただけで答えなかった。
今までネルフに尻込みしていた国連や戦自が急に強気に出てきたことにネルフ側は驚いたが、ここでなめられてはいけないと抗議を続けるも何も回答は得られなかった。
そして、数日後に予定通り国連会議が行われた。
「ご覧になっていただいた映像がゴジラが第三新東京に上陸し、そしてネオGフォースの最新兵器、メカゴジラ、4式機龍コードフィアの成果です。」
会議場の大型モニターに映し出された、あの夜の戦闘の映像が終わった。
いつの間にっと、会議に参加していたネルフの代表者達が顔を赤くしたり、青くしたり忙しかった。映像を徴収して削除したくても、ここには各国の要人達や軍部の人間達が集まっていて、すでに全部視聴した。
地球防衛軍司令官・波川玲子の声が議会場に響いた。
「波川司令、ゴジラの復活はすでにネオGフォースは知っていたのですか?」
国連議員の一人が挙手して質問をした。
「国連の管理下にあるG細胞完全適応者、椎堂ツムグの言葉からゴジラが生きている可能性が非常に高いと見て、ネオGフォースは、数年前からゴジラを探索し続けました。」
波川は、部下に指示を出し、モニターに資料映像を出した。
「アフリカの対岸に巨大な生物に腹を噛みちぎられた形跡のあるクジラの死体が発見され、歯型を照合したところ、ゴジラのものとほぼ一致したのです。それから太平洋を横断する放射能物資を輸送していたタンカーが海中から浮上してきた巨大何かによって真っ二つに破壊されたという情報が生き残った乗り組み員の証言で得られました。背びれのようなものと太くて長い尾が海面から出たのが見えたと証言しています。ゴジラは、怪獣王の異名の他に水爆大怪獣という異名を持ちます。これはゴジラが水爆実験で突然変異したジュラ紀の恐竜であることからそう呼ばれるようなったのです。ですからゴジラは、常に行く先々で放射能をまき散らし、放射能による熱線を攻撃手段としていて、さらにゴジラは、放射能物資を捕食する習性があります。過去、ゴジラは、原子力発電施設を襲撃した事例も多く報告されており、放射能物資を輸送していたタンカーを襲ったのも放射能物資が目当てだったと考えればゴジラの犯行であることは間違いないでしょう。また同じ海域を潜航していた原子力潜水艦が二隻、消息を絶っています。」
「ゴジラの姿を映像に収めたり、居場所は特定することはできなかったのですか?」
「ゴジラは、深海を常に泳いで移動しており、またその速度も速く捉えるのはゴジラを封印した35年前から困難でした。ゴジラとの戦いはいつもゴジラが上陸してからがほとんどで…、私達は、市街での戦いを余儀なくされ続けてきました。そんな中、G細胞完全適応者の出現が一筋の光をもたらしたのです。彼は、一定の範囲内でならゴジラの居場所、どこを目指して移動しているのかを感じ取ることができたのです。南極でゴジラを封印できたのも、彼の協力があったからこそです。」
しかしっと波川は、苦しげに表情を歪めた。
「彼は、人間とゴジラの中間という非常に不安定な存在でした。ゴジラが移動する場所が分かると言うことは、ゴジラの気持ちが分かるということなのです。彼がもしゴジラに同調し、ゴジラと同じ人間への怒りに染まってしまったら、彼はゴジラに並ぶ最強最悪の敵となっていたでしょう。ですから、我々は彼をできる限りゴジラと接触させたくなかったというのが本音なのです。彼が今日まで我々人類の味方でいてくれたことに心から感謝しています。」
「では、G細胞完全適応者が今後敵となる可能性はないということですか?」
「あります。」
波川がキッパリ言うと、会議場がざわついた。
「だが新型メカゴジラには、そのG細胞完全適応者がパイロットだったと聞いているぞ! これは矛盾だ!」
議会に参加していた軍人の一人が席を立って叫んだ。
その言葉に同調した者達が口々にそうだそうだと声をあげはじめた。
「そのことについては、今からお見せする映像とお手元にお配りする資料をご覧になっていただきながら説明します。」
モニターに新たな映像が映し出された。
それは新型メカゴジラである、機龍フィアの解剖図のような画像だ。
「機密上の問題ですべてとはいきませんが、これが新型メカゴジラ、4式機龍コードフィア……通称機龍フィアです。」
波川が席に座り、今度はネオGフォースの技術者が説明を始めた。
スクリーンに映し出された機龍フィアの資料映像に、機械関係の技術に携わるか、それを好み認識がある者達が驚嘆の声をあげた。
「機龍フィアの前の機体に当たる3式機龍に導入されていた、DNAコンピュータは、3式機龍に利用されていた一代目のゴジラの骨髄幹細胞を使用したため、二代目のゴジラ、つまり現在のゴジラに共鳴してしまい暴走し大惨事となりました。そこで3式のDNAコンピュータをゴジラのものとは別の物に変えることで暴走を防ぎました。しかし3式は、ゴジラとモスラを交えた混戦の際に自我を持ち、モスラの幼虫の糸で拘束されたゴジラを抱えてゴジラと共に日本海溝へ沈むという最後を迎えました…。」
そこまで説明して、一旦言葉を置いた。目をつむり何か耐えるように。
技術者は、メカゴジラの開発に携わったベテランの技術者であるため機龍への思い入れがあるのだ。哀悼の意を込めているのだろう。
「話がそれてしまいましたな。話を戻しましょう。この新型メカゴジラ・機龍4式コードフィア型と名付けたメカゴジラは、3式がゴジラの骨を使用したのに対し、G細胞完全適応者・椎堂ツムグの細胞を使って開発したものです。」
「G細胞完全適応者の細胞を!?」
「それは運用の問題はないのか!?」
「資料の5ページをお開きください。」
5ページには、G細胞完全適応者である椎堂ツムグと、機龍フィアの開発に利用された経緯が書かれていた。
「G細胞完全適応者の細胞は、G細胞を取り込んだ人間の細胞なのです。割合は、見事に半分半分。まさに理想。G細胞の良い部分だけを手にした超人! しかも人間の細胞が混ざっているためゴジラとの共鳴で暴走する率も極めて低く、ゴジラの居場所を割り出すレーダーとしての力もあり、G細胞の特徴であるエネルギーを吸収し変換する能力もあり、ゴジラの熱線を被弾してもエネルギーを吸収、無効、拡散させることができるのです。此度の戦闘では披露することはありませんでしたが、ゴジラの熱線を吸収、飛散させる事も可能です。が……、完成形とはまだ言い難いのです。」
えっ?完成じゃないのかっという空気の中、グスッ…っと涙ぐんだ技術者は涙声で語り出す。
「なにせ初陣……、そして何より、少ない予算を絞りに絞って……、ネルフの馬鹿どもの目に引っかからぬよう隠して開発は非常なんてもんじゃないほど難航しましたとも。理論上から言えば、3式の数十倍の機体性能が期待できただけに、初陣で負ったこのダメージ!」
技術者が、モニターに映った戦闘後の機龍フィアの有様と、ダメージデータを指差した。
「泣きましたよ…。そりゃもう!」
「これは酷いな…。」
「確かに…。」
堪えきれずとうとうワーっと泣き出した技術者に同情の目が集まる。どれだけ彼らが苦労してこの機龍フィアを作ったのか…、地球防衛軍の現在の扱いと待遇を考えると容易に想像できる。
「グス…っ…、失礼しました。なお、この機龍フィアには、7つほどパワーを押さえるためのリミッターがかけられております。今回の初陣においては、リミッターはひとつも解除廃していません。解除していたらどうなっていたか……想像したくもありませんがね。」
「なぜリミッターを? フルパワーで戦えれば苦労はしないでしょうに。」
「理由のひとつは、エネルギー暴走による爆発を防ぐためです。……機龍フィアのリミッターは、G細胞完全適応者の椎堂ツムグにしか解除できないようにしてるのです。その理由は、椎堂ツムグと機龍フィアのDNAコンピュータが近親間のシンクロで他のパイロット以上の性能を発揮するからです。しかしそのシンクロが問題なのですよ。シンクロ率が上がれば上がるほどにシンクロしている椎堂ツムグに負荷がかかり、最終的に機龍フィアのダメージが椎堂ツムグも感じるようなってしまいます。7つのリミッターをすべて解除した時、それはもうエネルギー暴走です。デストロイアの時のゴジラのようにメルトダウン寸前のゴジラと同じです。数百万度近い灼熱を纏った最強の状態になります。灼熱に焼かれ続ける機龍フィアの暑さの苦しみを椎堂ツムグが味わうことになり、長くは持ちません……。そして暴走のあと最悪大爆発を起こす可能性が高いのです。その爆発は日本国を分断できるぐらいの威力はあるとネオGフォースのスーパーコンピュータは割り出しています。ですから機龍フィアがリミッターを解除するのは、極力避けたいのです。機龍フィアに変わる新しい兵器が開発される目途がつくまでは機龍フィアには、ゴジラと戦ってもらわなければなりません。ですから、機龍フィアを一番うまく操縦し、パワーを引き出せるのは…、機龍フィアの素体にした細胞の提供者である椎堂ツムグが一番なのが現状なんですよ。そのために第三新東京での初陣では、あらゆる方法で記録をとり、それを機龍フィアの改良に生かし、椎堂ツムグ以外でもゴジラを相手にできるほどの力で戦えるようにします。もちろん新しい兵器の開発にも生かしていきます。」
そこでなのですが…っと、技術者が言う。
すると波川が立ち上がり、会議場にいる人間達を見渡す。
「現在、ゴジラと渡り合える戦力として存在する機龍フィアの修繕、改良において、皆様に折り入って頼みたいことがあります。」
「言われずとも…。」
国連の代表者達は、何を頼まれるか分かっている様子だ。
「波川司令。資金については、ネルフに出資している資金を、ネオGフォースに回します。いや、ネルフの維持費も最低限に抑え、そちらに。」
即決である。
「なっ!?」
ネルフの者達が目を見開き驚愕した。
「ありがとうございます。」
「そんなことは許さないぞ! たかが旧時代の守護者だった燃えかす共が!」
「その旧時代の守護者の燃えかすが、今この時をもって、再熱するのですよ。」
国連の者達の冷たい視線がネルフの者達に向けられ、ネルフはゾッとした。
「エヴァンゲリオンがゴジラに対してまったくの無力だと分かった以上、その開発、維持に金を割く必要などこれっぽっちもありませんからな!」
「復活を果たした、あの怪獣王との戦いのため、存分にお使いください。」
もう言いたい放題である。これまでのネルフの態度(主にゲンドウのせい)に鬱憤がたまっていたのだ。
何か言いたげなネルフの使い達だったが、口出しできる状況ではないし、口出ししても無視されそうな雰囲気を出していた。
「話に水を差すようで申し訳ないが、どうやら使徒は、第三新東京に襲撃してきたものだけじゃなく、これから先何体も現れると小耳に挟んだのだが…。」
「つまり今後ネルフに、いや第三新東京に使徒が現れると…、ゴジラが来る口実が第三新東京に集中して現れるのか。これは、使わない手はありませんな。波川司令!」
「はい。あの日の夜、ゴジラが接近していることを緊急で知らせたにもかかわらず『バカバカしい』っと切ったあげく、通信拒否した彼らにはお灸を据えねばなりません。そしてゴジラをおびき寄せるだけの餌となった彼らご自慢の兵器エヴァンゲリオンの開発のために湯水のごとく使い続けた多額の国債と用途不明の資金繰りについても、彼らに払っていただきましょう。ゴジラをおびき寄せる的(マト)として!」
冷静な指揮をすることで有名な波川だが、よっぽどネルフに恨みでもあるのか珍しく声を荒げ、机をバーンッと叩いた。あまりの荒っぽさに、議員達や、特にネルフはビックーっとなった。
「皆さん。お話は、一旦ここまでにして、大事な宣言を忘れてはいませんか?」
国連の代表の一人が、優雅な声でそう言った。
「おお、大変なことを忘れていましたな!」
議会に参加している者達がざわざわと囁きあった。
「では、ここは日本の議会場なので、私が代表して宣言を言う大役をさせていだきます。」
日本の首脳が立ち上がると拍手が起こり、そして静まった。
日本の首脳の宣言を今か今かと待つ全員の真剣な眼差しが首脳に向けられる。
「今この日、この時をもって! 地球防衛軍の復活を宣言する! 諸君! 35年前の戦いの続きの始まりだ!!」
首脳の宣言が終わると同時に議会場にいた者達が席を立ちを手を上げて力強い声援上げた。
その頃には、ネルフの使い達は、誰にも見つからないように会議場から逃げていた。
2015年。地球防衛軍は、15年の歳月を経て、復活した。
縮小され続け、やがて消える定めといじめられていた地球防衛軍は、水を得た魚のように活気づき、表向きは解体されていた対怪獣用兵器を次々に表に出した。
ネルフ側は、今まで解体されていた兵器類が贋物だったとこの時始めて気づいたが後の祭り。
実は牙を抜かれてたように見せかけていただけで、地球防衛軍は、来たるべきこの時(ゴジラ復活)に備えて弱っていくフリをしていただけだったのだと知らしめたのだった。
地球防衛軍の復活はすぐに大々的に報道され、地球防衛軍の復活を根強く待ち続けた一般人や、ネルフに強く出られず歯がみしていた者達や組織が歓声をあげたのだった。
なお、ゴジラや怪獣を教材程度にしか知らない若者達は首を傾げたとか?
そして地球防衛軍の復活の報せと同時に、15年前にセカンドインパクトで死んだと思われていたゴジラが第三新東京に上陸し、ゴジラが完全復活したことを報じた。
ゴジラの恐怖を知る年代の者達は、最悪最強の悪夢の復活に竦み上がり、ゴジラを本や学校の授業などでしか知らない若い世代はゴジラに純粋な興味を抱くか、無関心だった。その若い世代も間もなくゴジラの恐怖を身を持って味わうこととなる。ゴジラは、現在、使徒とエヴァンゲリオンの破壊に固執しているが、本質である人類への敵意は変わっていない。だから街に、都市に上陸し、破壊の限りを尽くすのだ。
セカンドインパクトの爪跡がまだ大きく残された地球に、まだセカンドインパクトが起こらなかった頃に殺すことができず封印するのが限界だった最強の怪獣王が降臨した。例え激変した地球の環境であろうとゴジラがやることは変わらない。ただ使徒とエヴァンゲリオンを破壊するのにやたら固執するのを抜けば。
しかしそれでも人類は戦う。生き残るために戦うのだ。
ゴジラの復活は、かつて地球防衛軍の誕生の時と同じように、セカンドインパクトでバラバラになっていた人類を一致団結させるきっかけにもなるのだ。
使徒を倒さなかったら…、エヴァンゲリオンが動かなかったら…、負けたらサードインパクトという滅亡がどうとかいう話は、ゴジラという存在一つでクラッシュされたのだった。
***
地球防衛軍の復活。このことで一番嘆いているのは、恐らく……、人類の歴史を操り、現在は国連を隠れ蓑にしてネルフを裏で操っている秘密結社ゼーレであろう。
どこかの位部屋の空間にモノリスが浮かび、中央にバイザーを身につけた老人が座って頭を抱えている。周りのモノリスは、11個。
『キール議長……、お気持ちはお察ししします。』
お通夜みたいなムードの中、モノリスの一つが中央にいるキールという老人に向って弱々しい声で慰めの言葉をかけた。
「慰めの言葉などいらぬ!」
ガバッと顔を上げたキールは、顔を怒りで歪めていた。
「ゴジラだと…、太古に滅んだ種が人類の愚かな行為(核実験)で怪獣となり、人類を断罪するかのように都市の破壊をしているシナリオにない最悪のイレギュラーめ。南極で起こしたセカンドインパクトでエリアGもろともLCLに還元されたと思っていたが、まさかあの状況で生き延びていたとは…、しかも使徒とエヴァを狙っているだと!? そんな馬鹿な話があるか!」
『落ち着いてください!』
『そうです! まだゴジラが使徒とエヴァを狙っていると決まったわけでは…。』
『何を言っておるのだ! G細胞完全適応者が、ゴジラから読み取った感情からゴジラが使徒とエヴァを狙っているからこそ、ゴジラは第三新東京で使徒を殺し、さらに初号機を破壊しようとしたではないか! 初号機を破壊される前にああもタイミング良く地球防衛軍の奴らが駆けつけれたのもすべては地球防衛軍どもがゴジラの行動目的を確かめるために使徒とエヴァを餌にしたからだ! ゴジラは、知恵が高い怪獣だ。何か目的があるのは間違いない!』
『貴様! 地球防衛軍の肩入れをするというのか!』
『そういうことではない! 問題なのは、ゴジラがなぜ使徒とエヴァを狙うかなのだ! 非常に考えたくないことであるが…、ゴジラは、セカンドインパクトの真実と人類補完計画のことを南極消滅の際に知ったのではないか?』
『放射能で突然変異した怪獣王などと大げさな二つ名を持つ畜生がか? バカバカしい。怪獣ごときが我々の崇高なる計画を理解し、それを阻止するために使徒とエヴァを狙っていると言いたいのか?』
『しかもゴジラは、ATフィールドを持つ使徒に対し、力業でメチャクチャにした挙げ句、得意の熱線で跡形もなく焼き尽くしてしまった…。ATフィールドが通用しないとは、一体どういうことなのだ?』
『あの映像を見る限りでは、使徒はゴジラに怯えていたように見える。そして逃げようとしていた。』
『ゴジラがATフィールドかアンチATフィールドを持っているとは考えられぬ。単純に奴の力が絶対領域を簡単に破壊できるほど強いだけだとしたら……。すべての使徒が束になってゴジラと戦ったとしても勝ち目は、ゼロだ。』
『それは、エヴァシリーズも同様だ。確かメカゴジラといったか。あの兵器は。」
『機龍フィアという、3式機龍の次世代機らしい。』
『そうその機龍フィアというロボット…、あれは使徒が手も足も出なかったゴジラを相手に互角に渡り合っていた…。解体したはずの地球防衛軍が有する対怪獣用兵器、そしてM機関のミュターント部隊、どれをとってもエヴァなど足下に及ばない優れた力を秘めている。武器についてまだ開発段階のエヴァにゴジラに対抗する手段は全くない。』
『さらに第三新東京にゴジラが襲撃した時、初号機にサードチルドレンの碇の息子が乗っていたらしいが、M機関のミュータントどもが初号機のハッチをこじ開けて碇の息子を救出、現在身柄は地球防衛軍に保護されている。』
『なぜネルフは、初号機を戻さなかった?』
『映像の通りだろう。射出機を戻す前にゴジラに投げられた使徒と衝突してもろとも倒れたのだ。なんたる失態! 貴重な依代の候補をみすみす地球防衛軍どもの手に渡してしまうとは!』
『ゴジラの復活など裏死海文書にも記されていない。そもそもゴジラが最初に現れた1900年代のあの時からすでにおかしかった…。ゴジラに続き多く怪獣の出現。ゴジラは一匹目は殺せたのに、二匹目が現れた。一部では、ゴジラを人類の犯した罪を断罪する者だと考えている者がおり、中には神と呼ばれることすらあるらしい。確かにあれほどの不死性と巨大な力を前にすれば恐怖のあまり崇拝したくなってしまうのも致し方ないことであろうな。』
『ゴジラのおかげで我々のシナリオは、大幅な修正をせねばならなくなった。ゴジラが南極で我々の目的を知ったと想定したうえでこれがすべて偶然でないとするならば、ゴジラは、我々の神への道に進むための儀式、人類補完計画を阻止するつもりか? だからこそ人類補完計画の要である使徒とエヴァを自らの手で破壊しようと…。』
『怪獣などという畜生に、人類を新たな段階へと導く偉大なるこの計画を理解できるわけがない!』
「そうとは言い切れぬ…。」
『議長!?』
「人類補完計画がどのような形で遂行されるかを知っているからこそ、ゴジラは、核実験以上の人類の罪と判断し、わざわざ第三使徒が出現した時に姿を現した。そうとしか考えられぬほどタイミングが良すぎる。セカンドインパクトを生き延びたゴジラがセカンドインパクトが我々のシナリオに沿って行われたことだと知っていたとしたら、あれは我々に見せつけるためでだったのではないか? おかしいと思わぬか諸君?」
『ぎ、議長! 議長までそのようなバカバカしいことを…。』
「黙れ! バカバカしいと切り捨てた結果、我々はゴジラの生存にすら気づくことができず、地球防衛軍の復活をみすみす許してしまったのだぞ! 人類の歴史を陰から動かしてきた我々が…、我々が表舞台の者共に出し抜かれたのだ!」
『その通りだ! 我々は、M機関が単なるミュータントの社会的奉仕機関だと認識していたが、真実は対怪獣戦闘部隊で、ネオGフォースの新たな戦力を育て上げるための組織だった! それ以前にGフォースが地球防衛軍解散後も密かにゴジラを警戒して我々の目の届かぬところで活動していたことが問題だ!』
『なぜだ! なぜ我々は、奴ら(ゴジラ含む)の行動に気付くことができなかったのだ!? 国連…、いや地球防衛軍は、我々の隠れ蓑としての役目を放棄した! 怪獣どもを一掃するために黙認して、地球防衛軍は再び我々の隠れ蓑に戻ったかと思いきや裏切りおって!』
『おのれゴジラめ! おのれ地球防衛軍め!』
暗い空間にゼーレ一同の怨む叫び声が木霊し続けた…。
機械化している彼らに涙を流す機能があったなら、きっと血の涙を流してるに違いない。
To be continued...
(2020.08.23 初版)
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