ストレーガ Scarlet Strega

第十一回 Search Me (注1)

presented by ぶるー・べる様


(1)

 リツコを加えた三人での話し合いで、とりあえずリョウジの知りたかったことの答えは得られた。
「なるほどとりあえず過去の謎は現時点で俺たちに分かるのはこのくらいか」
「俺たちって、加持さん。ほとんどリツコさんの知識じゃないの」
「まあ、そういわれればな。このグループでは赤木が頭脳で俺は手足ってことで」
「ちょっと、私は?」
「マスコットガールかな」
「え! ちょっと、それって」
三人で集まって初めてリツコの顔に笑みが浮かんだ。
「アスカがいなければこの会は存在しないもの。リーダーよ」
「加持さん、リーダーの言うこと良く聞くようにね」
「はいはい」
「じゃあ、そろそろミサトのことを聞きたいな。アスカはその場にはいなかったけど、あの時レイが……」 リツコはアスカが戦っていたときに話し合った内容を説明した。 「というわけなの。アスカも同じようなことを感じたんでしょう?」
「はっきりとは、わからないけどね」
「消去法と言ったってとっぴ過ぎないか。もっとすっきりした答えはないのかなあ」
「ねえ、リツコさん。使徒がジオフロントを目指すというのが正しいとしたら、それはなぜなの?」
「恥ずかしながら、私も正式に委員会やネルフから説明は受けていないの。地下のアダムを目指すと聞いてたわ」
リツコが少し顔を赤らめたのでリョウジは少し驚いた。そして近いうちにターミナルドグマへ遠足と洒落こむ決心を固めた。
「地下の存在がアダムならどういう理論に?」
「そうねぇ、私が考えたのはアダムも生物である以上自己生殖のような行動ね」
「うへぇ〜、気持ち悪いぃ」
「なんだぁ? どうしたアスカ」
「だから、ここって深部へつながる中央大垂直溝の奥の名前もターミナルドグマって言うじゃない。だからジオフロント全体が一つの細胞というか卵でね」
「でっかい精子が使徒ってわけか」
「もう、加持さん最低!」
「いてっ!」
「加持君が悪いわ」
「そうよ、思ってても言わないでよ。戦う身にもなって!」
「悪かった」
「ほんとに男って! しかし、そういうことなのか」
「アスカ、何かわかったの?」
「だってゼーレは行き詰った人類を何とかする計画にアダムを使おうとしてるんでしょう?」
「ええ」
「だからね、使徒を全部やっつけないとアダムは異種族たる人類の種を受け入れないんじゃないかな」
「なるほどって言いたいが、アダムの真の卵は南極じゃないのか?」
「使徒の種は既に放出されていて代わりのものを探して突進してくるのよ。卵じゃ目標にならないんでしょうね」
「ターミナルドグマの存在がアダムじゃないとすると碇司令はどう考えてるの? それにゼーレは?」
「ゼーレを碇司令が欺いている可能性があるぞ」
「どういうこと?」
「ほら俺の運んだアダムのサンプルさ。結構危ない橋だったんだ」
「ゼーレはネルフにアダムがあると思ってるってことか」
「地下の巨人がアダムでないならアダム計画はゼーレへの偽装なのね」
「じゃあゼーレの補完計画は既に挫折か?」
「それは分からない。碇司令の方式が成立するなら他にも手があるのかもしれない」
「まあ、どちらにしても使徒は邪魔で片づけなきゃいけないってことね」
「それはリーダーの仕事だな」
「任せなさい」
「で、葛城とはどうつながるんだ?」
「アスカは?」
「良く分からなかったけど、リツコさんが碇司令の計画でレイを巻き込むって言ったのを聞いて思いついたことがある。シンジは後から呼ばれたので別にして本来のエヴァパイロット、私とレイは同年令の少女でしょう? ミサトさんもインパクト時そのくらいの年令だった。リツコさん、巻き込まれたレイはどうなるの? ミサトさんはひどいめにあったようだけど……。まあ生き残っただけいいのかなあ」
「どうなんだ、赤木博士」
「皮肉なの? アスカの説は面白いわ。一時的にせよ南極のアダムとミサトが結びついたというわけね。本物のアダムは卵のまま、おまけにアダム計画は偽装なので使徒はアダムが過去につながったミサトを目指すわけか」
「ちょっとまて、碇司令はそれを知っているんだろう? じゃあミサトが目標って知ってるのか?」
「地下の巨人、アダムに似てるからそれを目指すと考えているんじゃないかな。ミサト説は加持君の言うように突飛な考えだもの。今回の使徒で気づけば別だけど弐号機を目標と考えるわね、きっと。起動していなければ分からないというのはパイロットにしかはっきりとは分からないもの」
「うぅ〜ん」
「どうした、アスカ?」
「加持さん、本当に味方なんでしょうね」
「おいおい、ひどいな。なぜだ?」
「だってミサトさんを目指してるでしょう。ひょっとして使徒?」
「アスカ、それ面白い。加持君は全身精子ってことね」
「勘弁してくれ!」

(2)

 ミサトは成功したはずのアスカ攻略計画の結果がどうも自分の狙いから外れてしまった気がしてしょうがなかった。リョウジと婚約させられたのは実の所たいして気にしていない。やっと捕まえた気がするくらいだ。問題はアスカと会うときリョウジ、それにたいていリツコまで参加することが多い点だ。おまけにミサトが当直の時も三人は会っていることが多い。それにミサトにはもう一つ不満があった。今日も大学時代のメンバー3人でアスカを待っているのだが……。
「ねえ、昨日私が当直の時はフランス料理の店だったんでしょう?」
「ああ。生もう1杯!」
「へい、まいど!」
何で今日は、屋台なのよ!
「親父悪いなあ」
「良いんですよ。安くても美味いが売りですから」
「ミサト、いい加減にしなさいよ。あなたの予算に合わせてるんだから。それに、ここ美味しいらしいし、貸切だもの良いじゃない」
「加持ぃ、おごってよ」
「いやぁ、それは、ちょっとな」
「けち!」
「葛城の分まで出してちゃ、結婚資金がたまらないってアスカに怒られちゃうのさ」
「ミサト、あんたちゃんと貯金してるんでしょうね!」
「も、もちろんよ。だから金欠なんじゃない。飲まずにいられるかってやつね。親父! 私も生!」
「へい! 姉さん、元気良いね」
「あたぼうよ!」
「やれやれ」
「あら、アスカが来たわ」
アスカは訓練で遅れた。
「ごめんなさい。どうここ、良い感じでしょう?」
「ああ」
「アスカ、上手に選んだわ」
「はいはい。私には、どうせ屋台がお似合いですよ
「おじさん、これお土産」
「わるいね。サービスするよ」
 食事が始まるとミサトの機嫌は見る見る良くなった。量も味もなかなか良い。もちろん普通の味覚の三人にも充分美味しくいただける味の店なのだ。しばらくすると余分に料理を作った店主は加持の合図で屋台から少しはなれたベンチに移動した。
「今日の訓練はどうだった?」
ミサトの質問にリツコは顔をしかめた。口を出したいなら訓練計画にも参加すべきだと思ったのだ。
「えーっと、やはり3機でのコンビネーションが難しいわ。機体の特性も違うしパイロットも個性豊かだしね」
「今日の訓練って?」
「徒手格闘技の講師にお願いしていろいろ試してみたのよ、リツコさん」
「でも機体の特性ってなによ?」
ミサトにはピンと来ないらしい。
「いろいろあるけど、分かりやすいのはエヴァの身体能力の様なもの。まあ、火事場のバカ力を別にすればある程度わかるでしょう? それにエヴァの場合は考えれば体が動いてくれる部分もあるから難しいの」
リツコはピンと来た。
「シンジ君の訓練ね」
「ええ。シンジの場合は初号機に搭乗したときは私とレイとの差は少ない。跳んだりはねたり、バクテンでさえできると思う」
「アスカは自分でもできる動きね」
「ええ。エヴァにやってくださいとお願いするような思考なしに直接自分の体を動かすようにね」
「リツコ、それってハーモニクスであらわされるんでしょう?」
ミサトにも分かったらしい。
「そうよ。その数値はシンクロ率と並行して動くことが多い。でもエヴァの制御にはまだ良く分かってないところもあるの。A10神経を介した接続はパイロットとエヴァがまるで一つの生き物になったような状態なんだけど、問題になるのはフィードバックね」
「エヴァが殴られるとアスカも痛いってやつね」
おい、葛城
「うん。めっちゃ痛い」
「アスカが言いたいのは、エヴァでの動きが同レベルに見えてもシンジ君はフィードバックを受けやすい経路を使っているんじゃないかってことと、エヴァなしの訓練ではアスカとレイに比べてシンジ君の動きが相対的に劣るから訓練が難しいってことよ」
「エヴァに乗って訓練……とはいかないんでしょう?」
「まあ、起動してから冷却終了までに恐ろしいくらいお金がかかるからね。ミサトの外食が屋台になるのと同じで、シミュレーションがせいぜいね」
「げ、この料理、ホログラムじゃないでしょうね」
「ミサトさん、ホログラムで実現する方が予算かかるよ」
「一安心」
「ばか」
「やれやれ」

(3)

 シンジには全てが順調に思えた。もちろん使徒との戦いの最前線にいる恐怖感が消えたわけではない。それでも少し前に比べれば明るい話題が多い。
 ネルフでは最近リツコがパイロットの訓練計画や環境整備に積極的に関わってくれるようになり見違えるように改善された。ミサトは使徒戦での作戦立案や指揮について細かい注文を出したが平素の訓練にはもともと余り興味を示さなかった。リツコはパイロットの状態を以前から正確に把握していたので、理由は不明だったけれどその積極的参加をシンジは喜んでいる。
 学校ではアスカと東ミチコの仲が進展して本人の意見はともかく、アスカがますます明るくなった。これには、つんけんしたアスカにめげそうになるミチコを励まし続けたレイの働きも大きい。レイが一生懸命ミチコを助ける姿をシンジは可愛いと思っている。そのアドバイスが本で読んだりリツコに聞いたものなのは、いかにもレイらしかったが。

『碇君』
『なに?』
『中学生くらいの少女が同性に憧れるのは異常じゃないの』
『そ、そうなの? それをミチコさんに説明していたんだね』
『そう』
『アスカには言わなくて良いの?』
『アスカは知っているはず。思春期において過渡的に同性愛的傾向が現われるのは一般的な現象であり、この行動は同性愛に直接つながるわけではない。もちろんそれを差別するわけではないが、後天的条件で変化するものではない』
『ど、どういうこと?』
『問題ないわ』
『そうなの?』
『定めなのよ』
『はいぃ?』

 最近の学校での話題は修学旅行のことが増えてきた。わずか2泊3日とはいえ沖縄まで行けるようになったのはセカンドインパクトの影響を脱した最近になってからであり、生徒たちにもあちこち旅行をした経験があるものは少ない。
 本部からの三人揃っての登校でシンジは修学旅行ことをアスカに聞いてみた。
「ねえ、アスカ。修学旅行中の僕たちの予定だけど、学校で自習になるのかな? それとも訓練? でも、できればリツコさんに頼んで休暇にしてほしいなあ」
「え?」
「まあ、当たり前だけど修学旅行のメンバーに入っていないじゃない、僕たちは。もう皆にはパイロットってばればれだから良いけどさ」
「驚かすつもりだったけどもう良いかな。一緒には無理だけど沖縄には行けるよ」
「ええ!」
「え?」
「民間機に同乗して一緒に行って、非常事態で途中で引き返したりしたら一生恨まれるでしょう? 少し古い機体だけどUN極東軍のU-125と護衛機を手配してもらったし、現地でも同じホテルだから遊べるわよ」
「やったぁ!」
行けるの?
「そうそう、それに護衛は無敵の村雨涼風スズカ二尉だから安心よ」  (注2)

 そのまま旅行の話をしながらしばらく歩くとアスカは無意識に立ち止まり、ビルのガラスに自分の姿を映して髪とスカートを調えた。レイとシンジは気づかない振りをして黙って歩みを止めて待つ。次の角はいつもミチコが待っている場所である。
 案の定……。
「おはようございます。シンジ君、レイさんそれにアスカ様ぁ」
「おはよう。東さん」
「おはよう。ミチコさん」
「おはようだけど、ミチコ。その 『様ぁ』 っての止めなさいよ! この前ミサトに知られて5分くらい笑い続けられて参ったんだからさあ」
「じゃあ、お姉様ぁ〜」
「うぐぅ。それならアスカの方が良いわ」
「はい。アスカ様ぁ」
やれやれ
 いつものことなのでシンジはレイと少し後ろからついていく。二人はしばらくコンピューター関係の話題を続けた。孤独なミチコが見つけた初めての友人がアスカだったのは幸運だとシンジは思っている。ミチコの一番得意な話題に少しでも付いていける中学生はそうそういないのだから。
「アスカ様ぁ、そういえば修学旅行の時はこちらに残られるのでしょう? 何をして過ごされるのですか? お仕事じゃなければ私もご一緒したいのですが」
「ご一緒って、あなた旅行は?」
「いじめには慣れていますから、アスカ様がいかれるなら我慢して参加するつもりでしたが……」
シンジはアスカがレイと自分を驚かそうとしたことが裏目に出たことに気づいた。アスカの存在で減少しつつあるがミチコは以前からいじめにあっていた。アスカはこれを予想すべきだった。アスカは素早くシンジとレイに目配せすると続けた。
「私はネルフにいなきゃいけないから休暇をとって本部のプールで過ごすつもりだけど、あなたの入構許可を取ってあげられると思うわ」
「本当ですか!」
「アスカは嘘を申しません」
アスカはすぐに携帯をかけた。親しい村雨を通じて手配している。シンジと目を合わせたレイもすぐ携帯を出した。アスカとミチコを心配するレイは雛を守ろうとする親鳥のようだ。
 先にアスカの話しがついた。
「OKよ、ミチコ。私たちか護衛と一緒ならLevel1までの許可をもらえたわ」
応答の速さから見てミチコの身分は村雨に徹底的に調べられていたのは間違いなさそうだ。加持のネルフ保安諜報部への評価は低いが村雨とMAGIをシンジは信じている。喜ぶミチコの興奮が冷める前にレイの話も終わった。
「アスカ」
「どうしたの、レイ? ちょっとミチコ、往来で恥ずかしいじゃないの!」
ミチコはアスカを抱きしめたまま話さない。
「リツコさんに頼んだ。村雨さんの許可があるなら、作戦中でなければ私たちと沖縄まで行動を共にして良いって」
状況が分からないミチコにシンジがアスカの友情の説明をした。その結果、ミチコの感情爆発的行動で四人は完全に遅刻してしまった。

(4)

 リツコはレイの頼みを単なる同情で許可したわけではない。村雨を通じてミチコのことは調べ上げて興味を持っていた。セカンドインパクト前にいたといわれるような伝説的なクラッカーや違法ハッカーの存在はMAGIの出現で一掃されたと一般には思われているがそれは正確ではない。常に穴は存在するし、MAGIのアドバンスもMAGIコピーの存在によりいまや絶対的なものではない。
 東ミチコは既にネットでは有名な大物のハッカーである。クラッキングの容疑者になったことは無いがその能力はよく知られていた。そのネット上で知られていた人物がミチコだと分かったのはアスカたちと知り合って偶然村雨が調査したからでミチコが足跡を残したわけではない。
 村雨の調査は徹底していた。ミチコの母親は亡くなっており、ネルフの科学調査分析部に籍を置く父親は進化発生生物学が専門で発生工学チームの主幹をしている。コンピューターに特異な才能を発揮する以外明るく育ったミチコがいじめられた原因は、彼女が告白した相手がそれを嫌い、全てをクラスメートに打ち明けたためだ。相手の少女も最初から悪気があったのではないかもい知れないが、異分子を嫌う仲間たちからミチコは相当酷い目にあっている。その詳細が、どうやって調べたのかリツコには見当もつかないが、目の前にあった。

 リツコは村雨を部屋に呼んだ。旅行の件も伝えなければいけない。村雨二尉はエヴァ部隊所属護衛隊の指揮官であり32名編成の特殊部隊を率いていた。彼女はUN軍出身でミサトと同年輩だが特殊訓練を受け実戦を潜り抜けたばりばりの軍人である。護衛隊はドイツからスッタフを呼ばない代わりにとアスカが出した希望を司令が許可した結果作られた。

「赤木博士。村雨二尉、ただいま参りました。お呼びですか?」
村雨スズカはとても平然と人を殺せるとは思えないような和風の美女で頭も切れる。
「ええ、村雨さん。私は民間人ですので良ければざっくばらんにお願いするわ」
「はい。御用ですか?」
「東ミチコにネルフのIDを出す許可をしたそうですね」
「手続きは私がしましたが惣流二佐の権限内です」
「アスカはそう呼ぶと怒るんじゃなくって?」
「ですから、居ない時にたくさん呼んでおこうと思って」
「なるほどね」
「私の知らない問題点が東さんにありましたか?」
「そうじゃないの」 リツコはレイの願いを受けてミチコの沖縄への同行を許したことと、アスカと本人の同意も得てミチコの力を技術部で借りたいと考えていることを話した。
「それは良いことをされました」
「ありがとう。それでどうかしら?」
「東さんの協力ですか?」
「ええ、もちろん」
「惣流二佐は望まないでしょうが可能です」
「どうして断言できるのです?」
「エヴァ部隊に所属という条件なら可能でしょう」
「なるほどね。良いアイデアだわ。でもアスカの望まないことをどうしてあなたが?」
「東さんのことです」
「ああ」
「彼女を惣流二佐の庇護下におくのが私のひそかな希望でした。私は陰惨ないじめは嫌いなのです。喧嘩なら止めませんけどね」
「そういえばアスカの不良退治のとき、酷い目にあったグループがあったそうね」
「きっと平素の行いが悪かったのでしょう」
「因果応報ね」
「いえ天罰覿面です」
「なるほど私の間違いだわ」
リツコは詳細を打ち合わせてから改めて村雨に東ミチコ受け入れの準備を依頼した。村雨は実際の実行はアスカの許可を得てからになると告げた。ネルフ本部では余り権限のないアスカだがエヴァ部隊内では問題なく最高指揮官なのだ。

 夕方になりリツコが最近のレイのデータを整理し終えて一息ついたとき、はかったように加持がドアから顔をだした。
「やあ、きょうび喫煙者はどこでも肩身が狭いなあ」
「それで顔だけ出して安タバコの煙を私の部屋に入れる気なの?」
「許可がいただければ下半身も」
「全身精子なんだから同じでしょう?」
「おい、もう許してくれよ」
「珈琲は自分で入れなさいよ」
「ほい、きた」
コーヒーカップを持った加持のもの問いたげな視線にリツコは答える。
「音声はダミーを流せる。カメラは私の背中側よ」
「なあ、リッちゃん。俺の愛の告白を聞いておくれぇ〜」
「あら、ミサトに言いつけるわよ」
加持は大げさな動きでリツコの後ろに回り肩を抱いた。
「ああ〜、地下深くまで俺の愛を届けたいぜ」
「使徒が本部近くに来た時、MAGIを黙らせてあげるわ」
「俺一人に生かせる気か?」
「ビルとテッドじゃあるまいし地獄へは一人で行くのね」
「真面目な話、ミサトは?」
「今のところ判断は難しい。加持君の気持ちは分かるけどお互いのため止めた方が良い」
「運命の女神の仰せのままに」
「はいはい」
「えーっと、リーダーには?」
「私が言っておく。たまには疑われぬようにミサトと二人で過ごすのね」
「はいな」
「言っとくけどあなたの口座は払い戻しの制限をかけて自動積み金始めたわよ」
「え!」
「MAGIをなめないことね。しっかり貯金しなさい」
「しかし、デートが……」
「屋台に予約しておくから」
「とほほ」


脚注
@ search me :((話))(質問に対して)『さあわからないね』という意味もある。
A 村雨と涼風は大日本帝国海軍の初春型駆逐艦。



To be continued...


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