―罪悪感を感じたことなんかねえ。
―反省?謝罪?何に謝れってんだ?
―理性ある行動?理性なんざ人間にあるわけねだろ。
―愛?恋?結局はヤりたいだけだろ、クズ共が。
―理性ってのはな弁護士さん、本能をごまかす言い訳のことを言うんだよ。

                                        連続強姦殺人鬼 ルルド・ディケンズの裁判での最後の言葉



僕は『]V』

第三劇    『よい子の皆さんこんにちは』

presented by Bonze様




―沖縄


「いやあ、パイナップルがおいしいね〜」

サーティはのんきな声でフルーツをかじっている。

「あたしはお前が平気な顔で日本にいれることにびっくりだよ、サーティ」

机の対面にいる、よく日に焼けた女性が答える。
黒いビキニの覗く、大きく開いたアロハシャツと激しい切れ込みのカットジーンズ。いかにも夏!暑!といった感じの女。だがその細めのサングラスに隠された両目には縦に傷が走り、明らかに光を失っている。

「いやみは止めてよノーラ。実際美味しいんだから」
「いやサーティ、お前がNERVに目を付けられたって噂を聞いてな」
「ああ、それは本当だよノーラ。それに何か問題が?」
「いや、問題ってサーティお前・・・」

ノーラと呼ばれた女性は、目の前にいる少年の情報を頭から引き出す。

「そうだな。お前なら問題ないか。ところであたしにもパインよこせ」
「どうぞ。で、ノーラ、僕に何の用?今は休業中だけどノーラからの依頼なら引き受けちゃうよ、僕」
「うわ、ほんとにうまいな。仕事引き受けてくれるのか?なら助かる。何、簡単な仕事だよ」

パインを食べつつ、ノーラは告げる。

戦自の腐れ外道を6・70人ほど、始末してもらいたい。追加の条件があるからな、報酬はドルで5億」
「へえ」
「依頼人は霧島財団の総帥だ」

その夜、少年兵という条約に違反した部隊を作っていた戦自の沖縄基地が壊滅、戦自上層部のほとんどが失脚した。
後日何故か霧島財団の管理する孤児院に入居者が増えたらしいが、まあそれはまた別の話

「ところで・・・今晩暇か?」
「もちろん!・・・ただし仕事の後でね?」


ハッスル!ハッスル!




―第三新東京市


「レイ、グレープフルーツを食べなさい。回復が早くなるわ」

リツコはレイに世話を焼いていた。

「・・・リツコさん、すっぱいのは苦手です」

自己主張が出来るぐらいになったレイ。リツコの努力は実を結んでいた。
彼女がしたことは簡単、レイに零号機起動実験失敗の真相を教えた、ただそれだけだった。
レイは混乱し、当惑した。
だが冷静に考えることが出来ればわかることである。

 何故室内でエントリープラグがイジェクトされたのか?
 何故エントリープラグのロックがかかっていなかったのか?
 何故エントリープラグの射出燃料が入っていたのか?
 何故一番遠い発令所にいるはずのゲンドウが、一番早く駆けつけられたのか?
 そして何故、零号機は発令所に、ゲンドウに向けて拳を振ったのか?

冷静な思考状態を取り戻し、正確な情報を与えられ、事実を考えさせられる。
レイはただ一筋涙を流し、リツコの胸に顔をうずめた。


―人は、自分の望む真実だけを知ろうとする生き物である―


けだし名言である。

その後のリツコの行動は、冷静で正確で確実であった。何せMAGIの管理者、いや、NERV本部の管理者と言ってしまってもいい。少なくともNERV本部内において、リツコに管理できないことなど無かった。

監視カメラの映像をごまかし、ゲンドウのスケジュールをごまかし、病院の管理システムをごまかし、自分の情報をごまかし、さらにはレイに関するすべてをごまかし、レイの素体の管理設備にまで仕掛けを施す。ゲンドウがレイの見舞いを出来ないようにすることなど、少しも難しいことではなかった。
それでもレイへの刷り込みを行おうとするゲンドウを止めるため、リツコはある情報を流す。

曰く、“碇司令は、ファースト・チルドレンに対して『光源氏計画』を行おうとしている。しかも零号機の起動実験の失敗は、つり橋効果を狙ってのものだった”というトンでも情報。

一部に間違った情報があるかもしれないが、後半はぶっちゃけ事実である。加えて普段のゲンドウの、レイに対する態度が噂の信憑性を上げた。

そのためNERVの下位職員たちが総出でレイの援護に回ったのである。
この後ゲンドウのNERVでの、もともとあまり無かった信頼は地に落ちた。


⇒病院にいけばIDカードのエラー。
⇒エラーを解決しようにもリツコに連絡は取れない。
⇒やっと解決したと思い入っても、怪我のため面会謝絶。
⇒司令権限を行使するも、頑なにドクターストップ。“何故そこまで?”と性犯罪者を見るような目で見られる。
⇒恫喝し、やっと入れると思ったら冬月から連絡。
⇒“仕事をせんか!国連から不信任案が出かかっとるのだぞ!自分の立場を自覚しろ!”
⇒あわてて戻り書類仕事。冬月に押し付けようにもなぜか連絡が取れず。(なおそのころ冬月は、リツコとコーヒーを飲んでいた)
⇒やっと終わりレイに会いに行こうと思ったら既に面会の時間は終了。
⇒司令権限で入ろうとしたら、またもIDのエラー。
⇒やっぱりリツコに連絡は取れず。
⇒仕方が無いのでレイの素体を愛でようと地下に行くと、カプセルには頑丈な覆いがかけられている。
⇒リツコに問い合わせると安全のための措置とのこと。むしろ何故こんな時間に見る必要があるのか?と問われ答えられず。言い訳に管理のためというも、自分の作業が信じられないのか!と逆切れ、慌てて電話を切る。
⇒少し落ち込んだ後、もう一度レイに会いに行こうとするも、既に病院は閉院時間。
⇒愛人で我慢しようとリツコに連絡を取るも、やっぱり通話できず。
⇒部屋に戻ろうにもなぜかIDがエラー、カートレインなどの連絡設備を利用できず。
⇒結局そのまま通路で疲労のため睡眠。
⇒翌日その姿を職員に見られ、さらに支持率ダウン。
⇒イメージ的にはカリスマ−10?


その後も続けられたレイへのしつこい訪問、レイへのしつこい接触、レイへのしつこい会話、レイへのしつこい監視。
リツコの指示でレイは、ゲンドウと冬月の前だけでは以前の無表情のままでいたため、さらに噂の信憑性がアップ。

ゲンドウは職員に裏で『ロリコン変態色付き髭眼鏡』などと呼ばれるまでになった。

自業自得と無自覚も、ここまでくればもはや感心するしかない。

ゲンドウは己のミス、というか自爆行為により、リツコとレイという重要な手札を失った。

なお、ゲンドウのところに回ってくる監視映像や報告書はリツコが手を回したものに変わっており、ゲンドウが一人でこっそり見ていたレイの監視映像(風呂、トイレなど)は“原因不明のオーバーフロー”で破壊されたことを明記しておく。もちろんオーバーフローの原因は見つからなかったし、データの回復も出来なかった。

どっとはらい。




―京都


「お久しぶりです、おじい様」

シンジは碇本家にいた。

「うむ、久しいのうシンジ」

“碇ゲンイチロウ”、彼はセカンド・インパクト後の日本を、ひいてはアジアを救った老獪である。
彼は高いカリスマ、高い商才、非常に優秀な頭脳、そして頑強な体を持つ、指導者になるべくして生まれた経済界の天才であった。
彼の唯一の欠点は、家庭能力の欠乏。それがセカンド・インパクトを招いたと言ってもいい。
彼は今でも悔いていた。己の権力を使ってでも、碇ユイを引き止めるべきだったと。

ちなみにゲンドウは当の昔に碇家を追放されている。本人は裁判所からの書類を見ていないので知らないが

「シンジや、NERVから、あの腐れ外道から使者がきおっての、おぬしの居場所を知らんかと言ってきおったわ」
「はは、相変わらず自分が中心だとでも思ってるんですかねぇ、あの人は」
「思っとるのではないか?まあ、権力を与えられたチンピラの粋がる見本みたいな男じゃからなあ」
「ま、心配ないですよ。どうせ大した能力も無いんですから」

ぼろくそに言われる誰か。まあ、丸分かりだが。

「ところでのう、シンジや」
「はい、なんでしょうおじい様」
「先日沖縄の戦自の基地が何者かに襲撃されての、えらいことになっとったわ」
「へええ、それはそれは、怖いですねえ
「うむ、まったくじゃ。まあわしは袖の下を要求する軍人気取りに会わんですむようになったし、傘下の霧島のところに貴重な子供という人材も入った、言うこと無しじゃ。誰か知らんが礼を言いたいぐらいじゃ」
「良かったじゃないですか、この時代子供は貴重ですから。その誰かに会うことがあったら僕からも礼を言っておきますよ」
「うむ、頼んだわい」

そう言って懐から包みを取り出す。

「これはわしからの、その“誰か”への礼じゃ。会うことがあったら渡しといてくれ」
「ええ、確かに。お預かりします」

年老いた狸と若い狸の化かしあい。そう表現するにふさわしい、そばにいる秘書が胸焼けを起こしそうな光景がそこにあった。

「ところでシンジや、NERVの件はそうするつもりなんじゃ?必要ならわしが手を回すが・・・」
「ご心配なく。既にプランは進行中ですよ。おじい様の手を煩わせるほどのことではありません」
「わしとしては煩わせて欲しいぐらいなんじゃがのう・・・孫が優秀だと頼られんで寂しいわい」

そこで一息をいれ、二人は抹茶を飲む。

「それはそうとおじい様」
「なんじゃ?」
「おじい様の手を煩わせるような頼みがあるのですが」
「おお!言うてみい!何じゃ何じゃ?」
おじい様は『綾波レイ』という女の子をご存知ですか?

シンジ、いやサーティの、ゲンドウいじめが始まった。




―国連日本支部、ていうか出張所。むしろ大使館?


ゲンドウは焦っていた。もう今までで一番焦っていた。突然の国連からの呼び出しに招かれてみれば、一週間後に査察が入るという。
それぐらいならばリツコに命じれば何とかなる(とゲンドウ だけが思っている)と楽観視していると、次の台詞に思わずサングラスがずり下がった。

『ファースト・チルドレンとして登録されている綾波レイの全データを提出し、彼女を国連の医療機関へ出頭させろ』

「何故いきなりそのような!?」
「垂れ込みがあったのだよ。彼女が君の亡くなられた奥方のクローンだというな」
「な!?」
「一緒に添えられていた彼女のものらしき毛髪をDNAチェックにかけたところ、まあ一部破損はあったが保存されていた君の奥方、碇ユイ博士のDNAパターンと8割以上の一致を見せたのだよ」
「な、な、な、NA!?」
「クローンにももちろん人権は認められる。もし垂れ込みが本当なら、君を処分せねばならんのだよ」
「そそそそれは!」
「もちろん今は非常時だ。君を更迭することは無いが、それでも責任は責任だ」
「ああそうだ碇君、この命令に拒否権は無いよ。とっとと資料をまとめに戻りたまえ」

唖然としたままのゲンドウをしりめに会議は終了した。




―NERV本部


無理です。不可能です」

開口一番、リツコは告げた。

「赤木博士、これは命令だ」
無理なものは無理です」

会話になっていない。
簡単に言うと、レイの国連行きの件を何とかしろ、ということである。

「私にはどうしようもありません。替え玉を用意する時間も無いんです。レイの出頭への対策は不可能です。一応私も同行はしますが、検査に口を出せるわけではありません」

その言葉にゲンドウは押し黙る。

「一応ご命令どおりレイに関する今までの扱いについてはごまかせるように用意しておきますが、DNA検査についてはどうしようもありません。その辺は司令から委員会に直接上申してください」

そういって返事を待たずにリツコは退室、ゲンドウは慌てて委員会、SEELEへの通信をつないだ。

『碇君、無理だよ、不可能だよ』

ちなみに行っておくとキールの発言である。

「しかし議長!」
『碇君、ファースト・チルドレンの件は私も初耳だよ。君の奥方のクローンだ、なんていう話はね』
「いえ、それはその・・・」
『まあそれは置いておくにしても、こうなった原因を君は分かっとらんのかね?』
「は?」
『は、ではないよ、は、では。君の使徒戦でのミスのおかげでどれだけNERVの支持が失われたとおもっとるんだね?委員会が何と言おうと今回の件は止められんよ』
「あ、いえそれは・・・」
『ともかく!対策はしておくように。一応口出しはしておくがあまり期待はするな』

それだけ行って慌てるゲンドウを無視し、キールは通信をカットした。

国連のレイに関する調査の結果はクロ。ゲンドウは、ひいてはNERVは綾波レイに関する保護権を失い、そのすべては碇ユイの父親である碇ゲンイチロウに移された。
ゲンドウの罪状に関しては使徒戦のため保留、委員会の口利きで現状維持となった。

だが今回の査察で思わぬ副産物が発生する。それはゲンドウと冬月だけでなく、リツコにとっても思わぬことであった。
その原因はリツコが科学者であり、事務作業に不慣れであったことが原因であった。

“NERVの使途不明金と予算の横領、加えて犯罪のもみ消し”

次々と明らかになる多額の横領と使途不明金(ダミープラグの研究費など)、司令以下その部下の犯罪履歴。
使途不明金については『研究費』『機密』でごまかせたが、ゲンドウとその直属の部下の保安諜報部員達は、退職後の刑務所行きが決定した

査察の結果を大福を食べながら聞いていたゲンイチロウとサーティは、顔を見合わせてニヤリと笑った。

なお査察の途中でゲンドウは、自分の戸籍上の苗字が六分儀になっているという連絡を受け、妻との絆の一つがなくなったことをはじめて知った。




―沖縄


「マンゴーがおいしいねえ」

サーティはノーラと一緒にマンゴーを食べていた。

「なあサーティ、結構大事な話があるんだが、いいか?」

正面でマンゴーを食べながらノーラは口を出す。

「内容によるなあ。何?また戦自?それともNERV?」
「いんや、すんごい個人的なことだ」
「プライベート?君の?僕の?」
「両方、かな?」

皮だけになったマンゴーとスプーンを置き、ノーラは話を切り出す。

「あんたとはじめてしたのっていつだったっけ?」
いきなり下ネタ?確か1年ぐらい前じゃない?」
「だな。それから結構してるよな?」
「まあ、会うたびに、ね」
「で、だ」

そこで息を吐き、水を一口。

「あんたの子供、出来たんだけど産んでいいよな?Noって言われても生むけどさ」

時が凍った。
なぜか周りの雑音が消えたような気がする。

「え〜と、僕の子供?」
「うん」
「まじで僕の?」
「この一年、あんた以外としてない」
「僕父親?14で?
「別に認知しろとは言ってないだろ?ただ知っといてもらいたかっただけ」

震える手で、ノーラは水を飲む。

「それとも・・・堕ろせってのか?言っとくけどあたしはあんたがなんて言「いや、違う違う」・・・え?」

言葉を遮り、サーティは笑顔を浮かべた。

「確かにびっくりだけど、やっぱうれしくてさ。僕って先天的な病気で子供が出来にくいから。ああ、遺伝はしないよ」
「サーティ・・・」
精子欠乏症、だったかな?それにしても僕がお父さんかあ。ちょっと感動だな〜」
「あ、あのサーティ、あたし・・・」
「認知する?全然OKだよ。表の戸籍もあるし、好きな国籍選んでくれればいいけど。あれ?14で認知なんて出来るのか?」
「今は少子化の問題で若年婚も許可されてるしいけるはずだけど・・・ってそうじゃなくて!サーティ!」
「なな、何?」
「その、いいの?産んでも」

ふう、とサーティはため息をつく。

「あのねノーラ、僕はかまわないんだよ。てかうれしいし」
「それじゃ・・・」
「でもねノーラ、僕はいろんなやつから狙われてる。君と君の、僕の子供が狙われるかもしれない、そっちのほうが心配なんだよ」
「あっ・・・」
「どうするノーラ。生むんなら僕の持ってる戸籍の一つと入籍してほしい。この戸籍の名前はあの碇グループに大きな貸しがある。身の安全は保障できるんだ。入籍しないのなら、悪いけれど君のためのも、その子のためにも堕ろした方がいい」

告げるサーティと目を合わせ、ノーラは一粒の涙を流した。

「結婚、してくれるの?あたしと」
「君が望むなら」

その日、斡旋屋のノーラ、二つ名『No Light』は死に、『シン・アンカー』の妻『ノーラ・アンカー』が誕生した。
ちなみに日本国籍。

ハッピーマリッジ!

「ところでいくつも戸籍があるって言ってたけど、他に奥さんいないでしょうねぇ?」
「HAHAHA!イナイイナイ!ダイジョウブダYO!今のところはね
「聞こえてるよぉ、サーティィィィィィ?」
「うひい、勘弁して!」


ちゃんちゃん♪




―京都、碇本家


「おめでとうじゃな、お父さんや。くくく」
「おじい様、もう勘弁してくださいよ」

妊娠をネタにからかわれることはや百数回、サーティは珍しく精神的に参っていた。

「かかかかか!珍しく手に入れたおぬしの弱みじゃ、我慢せい」
「おじい様・・・」
「それはともかくノーラ君じゃが、確かに碇のほうで預かったゆえ安心せい」
「ありがとうございます。助かりましたよ、ほんと」
「なぁに、こんなときで無ければわしに甘えたりせんのじゃ。存分に助かれ」
「いえ、実際僕だけでは限界がありますし、本当に助かりました」
「いやいや、気にするでない。わしが床に臥せったら当主を引き継いでくれれば良いだけじゃ」
「おじい様、まだそのような・・・」
「彼女を守るにはそれしかないぞ?おぬし以外の当主候補には彼女を守る理由など無いしのう」
「むぅ・・・」
「ま、じっくり考えれりゃええ。後を継がんのなら彼女を連れてどこへなりと行きゃええんじゃ」
「はあ、まあ・・・」
「それはそうとサーティよ」

突如ゲンイチロウが口調と故障を変える。

「は、何でしょう」

サーティもそれに合わせ態度を変える。

「NERVの件だが、うちの馬鹿娘が残した訳書、使徒の名前と順番ぐらいしか分からんかったが、正しいのなら4番目が来るのは明後日じゃ」
「それはそれは、なんとも急ですね」
「ふん、あの外道めがどういう末路を行くか、楽しみでならんわ」
「ふふ、ご依頼どおり、ちゃんとしっかりかき回してごらんに入れますよ、当主殿」
「期待しておるぞ、サーティ。あの外道とボケ爺どもに一泡吹かせてやれい!」
「一泡といわず二泡でも三泡でも、吹かせてご覧に入れましょう」

「「くははははははははははは!!」」

老人は笑っていた。生まれてはじめての愉快さに。

少年は笑っていた、否、嗤っていた。楽しいからこそ嗤っていた。恨みも妬みも無い、楽しみから来る嗤い声。

人生のゴール間近の失うものの無い老人と、一度壊れて組みなおされたどこかいかれた少年が、底抜けに明るい笑い声を上げた。



To be continued...

(2006.08.12 初版)
(2006.08.20 改訂一版)


(後書きっぽい何か)

前話の続きですが、キャラクター分析。


あわれなこども編

碇シンジ
    非常に内向的な少年。目的は結局はっきりしないが、補完計画のおそらく制御キーとして扱われた。
    性格や行動パターンはおそらくゲンドウによる条件付けが働いている。
    愛される、ということを知らないため、愛する、ということを理解できない。
    幼少期の性格育成環境の影響の悪い見本その1。
    基本的に周囲にあわせて行動し、決して頭が出ないように行動するタイプ。
    全体的に平均を取る、というのは非常に困難なことなので、全力で行動すればかなり優秀であると考えられる。
    ただし切れると手に負えない。

綾波レイ
    碇ユイとリリスのハイブリッドクローン、実は娘、などいろんな説があるがはっきりしない。
    碇ユイが夫か息子の為に用意した自分の代わり、などという説もある。
    一般的には『人形のような少女』『司令の着せ替え人形』などの話がある。
    自分でも『人間ではない』というコンプレックスがあったようだが、客観的に見ればただの甘え。
    0.11%程度の違いは遺伝子治療で何とでもなる範囲の誤差である。
    何かにすがることで自分を確立するその態度は、人間以外の何者でもなかった。
    なお、ゲンドウに抱かれていた、という説があるが、低確率。
    臆病者の彼が、妻の面影を汚すことが出来た可能性は低い。

惣流アスカ・ラングレー
    シンジと違い、非常に外向的な性格。とりあえず八つ当たりをするのが彼女のスタンスである。
    母親が目の前で死んだというトラウマがあり、それはおそらく彼女のマインド・コントロールの影響している。
    典型的なマザコン少女。精一杯背伸びをするお子様、という感は否めない。
    見た目はいいが非常に魅力に乏しい性格。性格ブス。
    エヴァへの並々ならぬこだわりは、おそらくマインド・コントロールによるものと思われる。

鈴原トウジ
    直情単純熱血ジャージ馬鹿。自分の正義を他人の正義と同一視する傾向がある。
    重度のシスコン。簡単に言うと頭に血が上りやすい馬鹿、である。
    本人は無自覚だが、自分の都合や気分を他人よりも優先する傾向がある。
    他人の懐に入ってきやすいので、彼をシンジに傷つけさせることでシンジを壊すつもりであったと思われる。
    妹の怪我はNERVの仕込みか戦自のミスの可能性が高い。
    彼の最大の失敗は、エヴァに乗ることをシンジに相談しなかったことである。

相田ケンスケ
    欲望に忠実なミリタリー馬鹿。が一番ふさわしい。
    英雄願望があり、自分の欲望を抑えるのが非常に苦手である。というか抑える気がない。
    実際シンジが殴られるようのあおったのは彼である。
    また、戦闘の邪魔をしてシンジとトウジを殺しかけても平気な顔をしているある意味ゲンドウレベル。
    チルドレンに選ばれたとしても、ヨリシロとしてならともかく戦士としては役立たずであっただろう。
    盗撮写真を撮ることにも売ることにも罪悪感を抱けない、おかしい若者の見本のような性格。
    正直私は彼が嫌いだ。

洞木ヒカリ
    トウジに恋をする微妙なキャラ。
    そばかすで分かりにくいが、結構な美少女として描かれている。
    エヴァキャラの中では珍しく、家族の名前の公式設定が存在する。
    最終的のどうなったのか分からないが、常にアスカの理解者としての立場にあった。
    家族の母親役をしていると思われる、非常に家庭的な少女。
    彼女の性格上チルドレン適正は非常に低かったと考えられる。
    ペンペンを引き取って疎開、その先は結局分からない。映画では人類が滅んだ。
    正直エヴァキャラの中で一番まともだったように思われる。

渚カヲル
    組み替えると『シ者オワル』となる。
    ドイツ生まれの癖に日本語のアナグラムで名前を付けられたわけの分からないキャラ。
    一説ではキール・ローレンツの孫、なんて話もある。
    自由を冠する使徒ダブリスとのハイブリッド。
    シンジの心を壊すためと、焦った委員会がスケジュールを繰り上げるために送られてきた。
    ものすごく耽美なキャラで、SS書きの間では『ナルシスホモ』といわれる。
    実際初期プロットではシンジとのキスシーンがあったらしい。うへえ。
    ホモというわけではなく、おそらく感情が未発達だっただけだと考えられる。
    能力はATフィールドの操作、なんて話があるが、信憑性は低い。
    どこかの情報では電気信号を操作する能力、となっていた。そのほうがらしい。


まだまだありますが、それは次回で。
にしてもまともな大人が居ない・・・
子供を助けるのにオリキャラを作る作家さんたちの気持ちが分かるなぁ。

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