第五話
presented by ハンドメイド様
葛: 「あーーーいったぁーーー 今日こそは捕まって貰うわよ」
冬: 「おいおい 葛城君」
葛: 「副指令失礼します! あーーー逃げたーーー おえぇぇぇ」
鬼ごっこの鬼役になっている葛城の姿が見えた途端に、あの2人は挨拶そこそこに逃亡。
大声をあげて追っ掛ける葛城の後姿を見て呆然としている冬月と加持。
赤: 「あの馬鹿」
伊: 「ネルフの恥を自分で宣伝していますね。」
シ: 「あれがネルフ本部の作戦部長ですか… 頭が痛い所ですね。」
赤: 「本当に… (ん?)」
リツコとマヤの隣には、チルドレンたちと同じ年齢の男の子が立っていた。
身だしなみは招待された客たちより、もっと上質のスーツを着ているので、それなりの親がいると思えた。
その男の子は、振り向いて呆然としている加持、冬月の前に移動すると、冬月へと封筒を渡した。
渡された封筒には、『ネルフ本部・経理課宛』となっていた。
シ: 「あの方が破壊した物品の請求書が入っています。」
冬: 「またか… しかし物品だけかね。」
シ: 「医療費などは、まだ清算されていませんので、後日になります。」
目の前に立つ男の子を見て、どこかで見た覚えがあるので思い出そうとする。
そして、思い出すと目を見開き、容姿を、しっかりみてみる。
隣にいた加持は、馴染み深い違和感があり、そっちの方に気がいっていた。
冬: 「もしかしてユイ君の息子さんかね。」
シ: 「お久しぶりですね、冬月先生。 碇シンジです。 今日は、お爺さんの代理で来ました。」
冬: 「おぉ やっぱりなぁ〜 面影が、そっくりだよ。」
シ: 「先生、すみませんが… ちょっと長話はできないので…」
冬: 「どうしたのかね。 なんか表情が青白っぽいが…」
加: 「副指令 この子の足元を見て下さい!」
冬月の前にいるシンジの足元に血の跡がある。
良く見ると、シンジの左袖から垂れているみたいだった。
冬: 「シンジ君 その怪我は?」
シ: 「先程、財団SSの留置場でのトラブルで撃たれまして」
冬: 「なんだと!」
シ: 「前と同じように、あの2人の鬼ごっこで、赤い服をきた女性を止めようとしたら」
加: 「撃たれたんだね (また、やったな)」
シ: 「今回は2発です。 後ろに医療スタッフも来ていますので、これから病院行きです。」
赤: 「どこを撃たれたの… 痛みは…」
伊: (血を見て気絶中)
シ: 「左肩と右大腿部です。 一応、止血はしてますが痛み止めはしてません。」
赤: 「我慢するにしても程があるわ。」
シ: 「だから長話はできないんです。 済みませんが、お先に失礼します!」
シンジは冬月に紳士らしい礼をすると、医療スタッフを引き連れて会場から退出する。
そんな状態を心配そうに見送るネルフメンバー(1名は気絶中)。
冬: 「赤木君、すまんが、シンジ君が行った病院を調べてくれないかね。」
赤: 「お見舞いですか」
冬: 「任務とはいえ民間人を撃ったのだからな」
赤: 「わかりました。 急いで調べて、お知らせします。」
冬: 「そして…」
加: 「判っていますよ。 あの葛城を連行して来い!って言うんでしょ。」
冬: 「どんな手段を使っても構わないから、連れて来てくれ!」
加: 「了解です」
ネルフメンバーが会場を後にすると、残っていたのはレイのお友達たち。
あまりにも急に色々な事が起きて、あれよあれよという間に、呆然状態。
ヒ: 「なんか、すごい事が目の前で起きたわね。」
ケ: 「カメラがあったらなぁ〜」
ト: 「あの旦那… 本当に強いなぁ」
他: 「レイとアスカ… 大丈夫かな」
(みんながいる後ろにある垣根が…がさごそ)
ア: 「もう、いなくなったみたいね。」
レ: 「そうね」
垣根の中から出てきたのは、鬼ごっこで逃げた2人が出てきた。
話を聞いてみると、学園内の区切りで使っている垣根には、人が通れる通路とは別に隠し通路があるらしい。
2人は、逃げる時に隠し通路に飛び込み、学園内に鬼(ミサト)たちがいなくなったのを確認してから出てきた。
ア: 「私たちには地の利があったから、上手に撒けたわ。」
レ: 「でもシンジ君が怪我した。」
ヒ: 「2人とも、急いで病院に行かないと…」
ア: 「大丈夫… 大丈夫… どうせ病院に行っても、入院してないから。」
ケ: 「銃で撃たれたんだろ! 普通なら入院コースだと思うんだが」
シ: 「病院で治療して、宿泊場所で休んでいると思うわ。」
( ♪♪♪ ) 携帯の着信音が、2種類聞こえる。
2人は、それぞれ自分の携帯を取り出すと、受信メールを確認する。
真剣な眼差しで送られてきた文章を読んでいたが、読み終わる頃には、柔らかい眼差しになっていた。
ヒ: 「なにかの連絡だったの」
レ: 「うん♪ シンジ君から」
ア: 「やっぱり、財団のホテルへ退避してるわ」
レ: 「行きましょ♪」
シンジが宿泊しているホテルに黒塗りのワゴン車が停止する。
車からは後ろ手に手錠を掛けられた葛城が降りてくる。
その後から、赤城と加持、冬月も降りてきた。
葛: 「ちょっとぉー加持ー 外してよぉー」
加: 「静かに副指令の、お話を聞け!」
あの2人を見失ってから、学園のまわりを探していた所、加持に呼び止められた。
そして、有無を言わさず、手錠を掛けて保安部の車両へと放り込んだ。
冬月もネルフへ向かっている最中に、赤木からの知らせが入り、途中で合流した。
冬: 「葛城君 綾波レイと惣流・アスカ・ラングレーから何か聞いていないかね。」
葛: 「なにも聞いていませんが」
冬: 「今年の夏頃って、私は聞いたが。」
葛: (なにか言ってたケド… 忘れたなぁ)
冬: 「君からの報告書には書いていなかったが…」
加: 「副指令 葛城に同行した部員からの報告書には書いてありました。」
冬: 「やっぱり…」
葛: 「なに なに…(汗)」
冬: 「あの2人の捕獲任務は監視任務に変更する。 わかったかね!」
葛: 「しかし副指令 至急に確保しろ!という命令でしたが…」
冬: 「監視任務に変わった理由は、今までの報告書を読み直してから言いたまえ!」
葛: (あっちゃ〜ぁ〜 何か失敗したっけ)
冬: 「それと… 葛城君 君は捕獲任務中に関係ない民間人を何人 撃ったのかね」
葛: (えぇ〜と 何人だっけ 何発撃ったっけ)
冬: 「あとで思い出して報告書を出して貰うが、これとは別にあってね。」
葛: (大汗 ダラダラ)
冬: 「今日の財団SSの個室から出るときに、民間人の子供を撃ったね。」
葛: 「しかし任務中の妨害者を排除する為に威嚇発砲はしましたが」
冬: 「君のいう威嚇発砲は、人に当たるのかね。」
葛: (当たったかも) 「もしかして…」
冬: 「その子供はね… 財団トップの子供だったんだよ。 それもネルフでも重要人物の子供でね。」
葛: (財団っていうのは碇財団のことよね… 碇? もしかして)
冬: 「回転の鈍い君でも判ったみたいだね。」
冬月にネチッこく説明されて、ズ太い神経の葛城でも、やっと気付いた。
最初の態度とは違って、一応、堪えたみたいで監獄に入れられる囚人のような感じになっている。
赤: 「副指令 最上階の部屋にいるそうです。」
冬: 「では… 行こうか」
冬月たちの目指す部屋は、すぐに判った。
…というのも最上階に到着して、エレベーターホールを出ようとすると、財団警備員の質疑を受けた。
冬月が代表して訪問の理由を答えると、金属探知機やボディチェックで武器等を取り上げられる。
行き先を示されたので、廊下を進むと、ドアの前にビジネススーツを着た女性が待っていた。
?: 「ネルフ本部 副指令の冬月様ですね。」
冬: 「あぁ… そして…」
?: 「存じ上げております。 特別査察部 加持リョウジ 作戦部長 葛城ミサト 技術部長 赤木リツコ」
加: 「調査済みってことか」
?: 「申し遅れました。 私は加賀ヒトミと申します。 碇財団総帥秘書を勤めさせて頂いております。」
冬: 「総帥秘書というと、 碇の御前が来ているのかね。」
ヒ: 「いいえ 御前様もお忙しい身ですので、私は、いつも発生する騒動の調停役として来ております。」
冬: 「いつも発生…」
ヒ: 「必ず、そちらの女性が乱入してきますので、その後始末ですね。」
冬: 「それは、ご面倒をお掛けした。」
ミサトに取っては耳が痛いセリフをポンポン言われている。
反論しようにも加持に抑えられているうえに、赤木が手に持っている注射器が怖いらしい。
どうも、本部内でも騒がしくなる度に、睡眠薬とか筋肉弛緩剤とかを実験的に打たれている。
加賀から、あの2人についての予定を伝えられたので、今後の捕り物は必要なくなった。
葛城が素直に報告書に書いて提出すれば、余計な騒動が起きなかったのだが…
赤: 「怪我の具合は」
ヒ: 「弾丸による骨折と、周辺の筋が断絶しましたので縫合して、当分は安静です。」
赤: 「筋断絶… ミサト! あんた弾丸に何使ってんの」
葛: 「別にネルフ本部で支給されているのを使っているけど…」
加: 「支給品だったら筋断絶まで起きないと思うが… (まさかダムダム弾かな)」
ヒ: 「ネルフ本部支給は間違いないでしょうが、先端加工は頂けませんね。」
ヒトミは、手術で取り出した弾丸を近くにいた加持に手渡すと、手渡された本人が青くなっていた。
その弾丸は、諜報部内でも最も殺傷力が強い弾丸だった。
加持の説明を聞いて、冬月と赤城は、葛城の感覚を疑う。
ミサトにしてみれば、どうせ撃つなら威力の強いのを選んだのだろう。
ネルフご一行は、ヒトミに促されて、部屋へと入っていく。
部屋へと入っていくと、大きなリビングへと出た。
部屋の中央にはソファセットがあり、大きなガラス窓があり、ベランダへとつながっている。
一同が、それぞれ部屋の中を見ていると、先程は無かった大きな物体が一同の後ろに置かれている。
葛: 「加ぁ持ぃ〜 これって もしかして アレかなぁ」
加: 「あぁ俺も 同じ感じがするが… 黒いのって、あったかな?」
葛: 「今までのって 黄色と白いの2つだったよね。」
加: 「でも 白い奴の縞々を反転させたら、こんな感じにならないかな」
これと同じような物体を見た覚えのある2人は、同じように嫌な感覚を感じ取っていた。
冬月は、何なのか判断がつかず、赤木は冷静に物体について考えている。
みんなが見ている物体は寝返りをうったのか頭が、こちらを向くと…
葛: 「やっぱり…(冷や汗) 黒いトラ縞」
加: 「これもトラなのか」
冬: 「うぅ〜む 珍しい」
赤: 「黒い品種ってあったかしら」
ネルフ一同が黒いトラ縞を見ていると、すぐ近くの扉が開き、赤っぽい縞模様のトラが出てきた。
そのトラの後ろからはパジャマを着て、タオルで髪を拭いている女の子が歩いてくる。
ア: 「あらっ♪ ネルフの面々が、ど〜したの。」
葛: 「あんたねぇー (ドタン)」
後ろ手に縛られていたミサトが、アスカの前で後ろに転倒した。
アスカを見て、突進したミサトを加持が手錠につけたロープを引張って停めようとしたら、そのまま転倒してしまった。
そんな状態になっていた所に、白いトラといっしょに、アスカと色違いのパジャマを着たレイが出てきた。
レ: 「アスカ 何か話があって来たんでしょう。 椅子に掛けて貰ったら。」
ア: 「そうね」
アスカの案内で、リビングの応接セットへと座るネルフ一同。
レイは奥の部屋をノックして、来客を告げてから、ネルフ一同の対面へと座る。
案内したアスカは、各自の飲み物を準備して配膳してから、レイの隣へと座った。
冬: 「さて2人に聞きたい。」
ア: 「なんでしょう?」
冬: 「休職届けを確認させて貰ったが、休職期間は最低1年間。延長の場合は其の都度届け出るとなっていたが…」
レ: 「えぇ その通りです。」
ア: 「ちゃんと昨年、期間が延びそうだったから、追加申請して許可は出ているわ。」
レ: 「えぇ 私も同じように、本部で追加申請しています。」
伊: (確かに追加申請の届出は、本部とドイツ支部に提出されています。)
冬: (ちゃんと届出はされているのか・・・)
ア: 「それに期間の合間を利用して、わざわざ支部まで行って訓練はこなしているわ。」
レ: 「私もです。」
冬: (本当かね)
赤: (本当です。 予定通りに訓練や実験のスケジュールは消化されています。)
冬: (そんな報告は受けていないが・・・)
伊: (報告書は作戦部経由で司令部へと届くハズです。 作戦部には私が直接、部長席へと出しています。)
加: (また読まずに、ほっておいたな。)
葛: (・・・ 大汗 ・・・)
ネルフ一同は、ヒソヒソ話でアスカやレイが言った内容を確認しているが、2人にとってはバレバレ。
この2人の生活拠点は衛星軌道上の空母の中だったので、目的の場所へは各自が直接降りている。
今回の落成式には、各自の機体で直接、第3新東京市近くにある碇財団の空港へと降りていた。
シ: 「お待たせしました。」
2人と色違いのパジャマを着たシンジが2人の間に準備された席へと座る。
パジャマの隙間から見える包帯が痛々しい。
そんな状態をみて、この一団の最上位である冬月が頭を深々と下げる。
冬: 「今回のも含めて、本当に…申し訳ない!」
赤: 「怪我の具合は?」
シ: 「自宅静養も含めて、約1ヶ月っという所です。」
レ: 「静養する時間がないから、前回と同じように約3ヶ月かかる。」
ア: 「仕事が忙しいからね。 1週間後にはフランス行きでしょ。」
レ: 「ヨーロッパ諸国を、まわってからアメリカ行き。 本当に静養できるのは来月末から。」
シ: 「それで区切れるから、本家でノンビリするよ。」
ネルフ一同は、シンジのスケジュールを聞いて唖然。
実際は、通信でも構わない訪問なので、シンジの予定でも通信を使って済ませる予定だった。
ネルフ一同と同じように、シンジ側の方でも、ヒソヒソ話しはあった。
シ: (さっき話し合った鬼ごっこを提案するね。)
ア: (精々、引っ掻き回してやるわ!)
レ: (その間に、シンジ君は任務を済ませてね)
シ: (しっかしタイミング悪いなぁ〜 長期航行テストも兼ねての惑星調査任務なんて)
レ: (国連軍本部から)
ア: (宇宙軍として発足させたいみたいね)
シ: (陸海空…宙… 面倒だけど頑張ってくるよ。)
レ: (頑張って)
ア: (こっちも頑張るから シンジもね)
シ: (うん)
シ: 「さて冬月副指令… 僕たちから提案があるのですが」
冬: 「提案かね (何を要求してくるやら)」
ア: 「簡単なことよ。 ミサトは早く捕まえてたい。でも私たちは花嫁修業も終ったから残りを遊びたい。」
レ: 「うん♪ うん♪」
シ: 「それでルールを決めて、鬼ごっこをしようと思うんです。」
冬: 「それでルールは?」
シ: 「追っ掛けて、逃げる2人を捕まえるのは葛城さんのみ。」
ア: 「今までどおり諜報部などを使うのは、いいわよ。」
レ: 「1人では無理っぽそう」
加: 「アスカと綾波くんが逃げて、ミサトが捕まえるのか」
葛: 「単純じゃない」
シ: 「逃げる地域に制限はなし」
ア: 「寝ている時に捕まるのも困るから、鬼ごっこの時間帯を決めるわ。」
レ: 「午前9時から午後9時の間のみ。」
冬: 「おいおい、それだと追いかけるのも苦労しそうだが」
ア: 「だからハンデがあって…」
レ: 「発信器付き」
シ: 「2人には規定時間内の時間間隔で発信するビーコンを付けます。」
赤: 「こっちのコンピュータを使って追跡してもいいの。」
伊: 「先輩 マギを使うのは・・・」
シ: 「構いませんよ。 午後9時のビーコンが空港だったら調べるのも苦労するでしょうからOKにします。」
ア: 「寝ている時に移動できるから」
レ: 「その間は追い付いてもタッチ不可」
シ: 「鬼ごっこの期間中に訓練や実験がある場合は、そっちを優先。」
ア: 「施設に行くから、近くで待ち構えていたりして…」
シ: 「予定の前後1時間は無効時間帯にします。」
レ: 「遅刻したり、欠席したら、即アウト。」
葛: (妨害して欠席させたら、捕まえなくても… うししししし)
シ: 「妨害も不可ですよ。」
葛: (がっくし)
シ: 「鬼役が自分の手ではなく道具や人で妨害した場合と特務権限を使おうとした場合は、鬼役の罰則。」
加: 「罰則?」
ア: 「その時から24時間の罰則時間が発生するのよ」
レ: 「でもビーコンの発信は続いているから、監視だけね。」
話し合いで決めた内容を文書化して、その場所にいた面々が署名する。
その場にいなかった髭には内容を冬月が伝えて了解を取り、代理署名している。
さて、鬼ごっこの初日。
最初のビーコンが発信される時間が迫ってきているが、シンジたちは第3新東京市近くにある碇財団の空港にいた。
シ: 「ミサトさんたち… ホテルの出入口で待っているらしいね。」
ア: 「無効時間内に移動する…かもという頭がないんでしょ。」
レ: 「そうだと思う。」
シ: 「最初だし… ちょっとヒントをあげようか」
ア: 「そうね♪ あと5分しかないし…」
(Pi Pi Pi) ダイヤルしている音 (Pururu Pururu Pururu)
赤: 「レイね。 おはよう!」
レ: 「おはようございます。 赤木博士」
赤: 「夕べは良く眠れた。」
レ: 「はい。 今は、ちょっと眠いですが、綺麗な空が見れて気分爽快です。」
赤: 「綺麗な空? (ホテル前の天気は、ちょっと曇りっぽいけど) レイ! どこにいるの?」
レ: 「そろそろ最初のビーコンが発信されます。」
リツコがいるのは、ビーコンを受信できる車両をホテル近くの駐車場に停めて、その中でマヤといっしょにいる。
最初のビーコンは、ホテル内から発信されるというミサトの発言で、ホテルの出入口前に陣取り待ち構えていた。
そんな所へ、レイからの電話が入ったのだ。
葛: 「ねえリツコ 最初のビーコンが届いたんじゃないの?」
赤: 「えぇ(怒気) 届いたわよ。 それもレイからの電話付きでね。」
伊: (先輩・・・ 怖いです・・・)
葛: 「やっぱり予想通り このホテルからでしょ。」
赤: 「いいえ 第3新東京市近郊の空港からよ」
葛: 「えっえーーー なんで、そんな所にいるのよ! ルール違反じゃないの」
伊: (休息時間の間に就寝時間もありますが、移動する場合もあります。…って注意書きがありましたよ。)
手際よくマヤがリツコが言いたい箇所にマーカーした文書コピーを手渡す。
その文書をミサトの目の前に突きつけ、マーカーした箇所を読ませる。
葛: 「こんなのあったっけ? これって原本」
赤: 「しっかりと原本のコピーよ。 文句言ってないで、さっさと空港へと向かいなさい!」
リツコの怒鳴り声といっしょに車両から飛び出したミサトは、急いで空港へと向かった。
行った先が財団所有空港なので、当然の事ながら、行き先を教えてもらえなかった。
鶏頭のミサトらしく、いつもの調子で、特務権限を出したが、今回の鬼ごっこ規定について財団内に知れ渡っていて、罰則決定。
最初の罰則だったので、3人からの温情によって、暴れた時に壊した物品の弁償のみで収まった。
冬: 「おい碇 葛城くんが破壊した物品の請求書が回ってきているが、いつも通りに処理するか。」
髭: 「減棒プラス自己負担」
冬: 「そうだな… (いいかげん増え過ぎて困っていた所だ)」
※ 数日後 ※
世界周遊の客船の屋外デッキのカフェで、2人はのんびりとティータイム。
まわりは、とっぷりと暮れて、雲がないせいか星空が綺麗に見えていた。
2人がいるテーブルを影から監視する黒服がいるが、ミサトがいない。
出航寸前で乗り込み部屋を確認したまでは良かったが、周りは海で逃げ道がない。
監視として黒服たちを付けておいて自分は世界中の銘酒が揃っていたので飲んでしまい自分の部屋で爆睡中。
酒でボケた頭のまま、部屋から出たミサトは2人がいるテーブルへと座り込んだ。
ア: 「やっと来たわね。」
レ: 「楽しんでいたのに… お邪魔虫」
葛: 「ここなら逃げ道なしだから、やっと捕まえられるわ。」
ア: 「ふぅ〜ん」
葛: 「まあ規則通りに捕まえに来たけど、今の時刻は午後9時だから、明日ね。」
レ: 「優越感感じているけど、コレ聞いたら、ドン底かも。」
レイが使っている携帯をスピーカーで聞けるようにしてテーブルに置く。
同じようにアスカもテーブルに置いているので、複数接続を行なっている様子。
実際に置いている携帯の画面は4分割。
1つは男の子が映っているので、この2人のお付き合いしている男の子だろうとミサトは思っていた。
残りの1画面を見ると、白髪交じりの年配者が映っていた。
葛: (ゲッ 副指令じゃないの)
冬: 「葛城くん そこまで接近しておきながら、また空振りかね。」
葛: 「時刻的に無理です。 接近した時には午後9時を過ぎていましたので」
冬: 「それは、こちらでも判っている…が、君が部屋に入る前に指示を出したことを覚えているかね。」
葛: 「(酔ってたから覚えていないなぁ) 寝不足でしたので仮眠を取るために、そのまま寝ましたが… なにか」
冬: 「君が寝る前に寝酒をするのは仕方がないとしよう。」
葛: 「はあ… (他に何かあったっけ)」
(だんだんと冬月のコメカミがピクついているのが、携帯の画面越しでも判る)
冬: 「明日の朝に近くの港に入港できるように進路を変更させた事は」
葛: 「(あぁ あれかな) 明日の朝、2人を連行するために必要だと思ったので」
冬: 「君からの指示だね。」
葛: 「はい!」
シ: 「アスカ♪ レイ♪ 近くに迎えがいるから本家においで♪」
レ: 「週末は、いっしょね。」
ア: 「やったぁ〜 ゆっくりできるぅ〜」
葛: 「なぁに言ってるの! 明日から2人とも訓練の毎日なのよ」
冬: 「葛城くん(怒) 碇からの伝言だ」
葛: 「ご褒美ですか(嬉)」
冬: 「減棒追加! それと週末は本部で書類整理だ!(怒)」
葛: 「なんでぇーーー」
冬: 「客船の進路変更に特務権限を使用した。それで罰則だ! とっとと戻って来い!(激怒)」
To be continued...
(2007.09.01 初版)
(2009.07.26 改訂一版)
(あとがき)
今回は第4話と第5話を続けてみました。
…というのも文章下手の作者なもんで、書きまくったら予定容量を軽く超えてしまいました。第3話のように続けて書いても良かったのですが、予想以上に大きくなりすぎ。2話分にしても大きすぎるので、文章を読み直しながら削れる所は削って調整。第3話の投稿から数えて3週間も間が開いてしまったのは、生活費を稼ぐために、現在アルバイト三昧の毎日です。その合間に作っているので時間が予定以上に時間が掛かってしまいました。
さて次の第6話は、やっとこTV版の第1話に入ります。どんな内容になるかは作る方としても楽しんでいます。
作者(ハンドメイド様)へのご意見、ご感想は、まで