リターンズ

第六話

presented by ハンドメイド様


ア: 「シンジぃ〜 レイと連絡が、つかないよぉ〜」
シ: 「レイは入院中」
ア: 「まさか実験で怪我ぁ〜」
シ: 「前回もあったアレ」
ア: 「あ〜あ〜 アレね。 でもレイも用心してたんでしょ。」
シ: 「身体の怪我は、あんまり無かったらしいけど、精神に負荷が掛かって、実験後そのまま入院。」
ア: 「…って事は、タイムアウトで」
シ: 「ミサトさんに捕まったよ。」

シンジとアスカの長距離電話。
鬼ごっこの途中で、いつものように実験があったので、レイは本部へ、アスカはドイツ支部へと行った。
しかし本部の髭の策略で、零号機の起動実験中でトラブル発生し、前と同じように実験失敗。
どうせなるだろうと準備はしていたので、即入院コースの怪我はしなかったが、精神に負荷が掛かりすぎて気絶。
気絶して入院していたが、投薬された薬のためか、ぐっすりと寝かされてしまった。
それで、実験予定時間後にある無効時間をすぎても目覚めなかった為に、病院のベッドで御用。
しっかりと記念撮影までされてしまった。

シ: 「まあ、仕方がないから、そのまま本部にいてもらうよ。」
ア: 「予定通りって言ったら、予定通りなんだけど…」
シ: 「次はアスカの番だから、タイミングをみてね。」
ア: 「ちょうど、ドイツにいた頃のご近所さんの誕生パーティーに招待されているから、そこでね。」
シ: 「暴れないでよ」
ア: 「そこそこにしておくわ(笑)」

この会話にあるように、アスカはドイツに住んでいた頃の友達の誕生パーティーに参加。
そこへミサトがやってきて御用となった。
一応、レイと同じように記念撮影となったが、写真の中央には肩を組んだアスカとミサト。
その両脇には、山となった黒服たち… 宣言通り、やってきた黒服たちを全滅させた後、ミサトに捕まった。


その記念写真をもって意気揚々と電話しているミサト。
電話の相手は親友でもあるリツコ。
もちろん、リツコの手元にはミサトから送られてきた写真があった。

葛: 「やっと小娘たちを捕まえて、こっちでも訓練の毎日よ。 んで、そっちの様子は、どうなの?」
赤: 「素直に訓練と実験に参加して、予定通りのスケジュールを進めているわ。」
葛: 「でもねぇー 休職届けの期間中にも訓練やら実験に参加していたんで、予定が余るのよね。」
赤: 「いいんじゃないの。 足りない…足りないで困るよりは…」
葛: 「そうなんだけど… あの娘ったら、妙に生意気になっちゃって、やり難いのよ。」
赤: 「まあ、あの2人って乙女じゃなくて… しっかり大人になっていたわ。」
葛: 「へっ?」
赤: 「定期健康診断で、妙な数値が出たのよ。それで調べてみたら、『経験済』になっていたわ。」

ミサトとリツコの会話は、どこで経験したのか… 相手は誰なのか… 話の内容は脱線状態。
この『経験』について、モグラ2匹は静かな話題にしていた。

冬: 「碇… 綾波くんの診断結果を聞いたかね。」
髭: 「・・・・・・・・・・・・」
冬: 「ドイツにいるセカンドも同じらしい。」
髭: 「・・・・・・・・・・・・」
冬: 「結構、手が早いな。 オマエの息子は…」
髭: 「・・・・・・・・・・・・ (汗)」


※運命の日の、ほんの数日前※

ア: 「そろそろ最初の使徒がやってくる時期よねぇ〜」
レ: 「そう… 第3使徒サキエル」
シ: 「サキの力も不十分だからね… アレで補充しとかないと」

シンジたちがいるのは国連宙軍アース内にある休憩室。
3人は休日をあわせて、軍の仕事を片付けに、ちょくちょく上がってくる。
もともと技術仕官だったが訓練を重ねてきたので現在の階級にまで上がっている。
デスクワークも増えたので、時々上がっては処理するためにやってきていた。

ア: 「そういえば… あの髭眼鏡から呼出しの手紙がくるんだったわよね。」
シ: 「手紙というより、電報っぽい紙が入っているだけだし… ミサトさんの写真が入ってる封筒だけど…」
レ: 「ここに届くのかしら」

ア: 「どうせ本家にいると思っているわ… まさか、こんな場所にいるなんて知っているワケないでしょ。」
レ: 「そうね。」

シ: 「だから、お爺ちゃんに頼んでいて、待合せの場所を変更して貰うようにしているよ!」
ア: 「ミサトのことだから、違いに気付くとは思えないし…」
レ: 「間違えると思う。」

   「「「 あははははは♪ 」」」

3人が同じイメージとなり、大爆笑。
そんな時、廊下の方向から大きな声が飛びこんできた。


女: 「どーいう事ですか!

男: 「まあまあ落ち着きたまえ。」
女: 「部屋が足りないって」
男: 「私たちは一応、員数外なんで予備の部屋を使うんだが、どうやっても足りないんだ」
女: 「それにしても男女混合の部屋にしかならないって…」

シンジたちがいる部屋の近くで言い争いしている人がいるみたいだった。
部屋がどーとか、員数外とか言っている内容で、シンジは外にいる人たちが何なのか一応判った。
現在、アースに所属している関係者の家族を招いて、勤務先の見学をさせている。

シ: 「部屋割りで口論しているみたいだけど、予備… 無かったっけ?」
レ: 「ちょっと待ってて」

端末を出して調べてみると十分に余裕がある。
ついでに廊下にある監視カメラから口論している人たちを調べてみると

レ: 「ヒカリのお姉さん! (びっくり)」
ア: 「マユミ! (驚)」
シ: 「誰?」

ヒカリというのはレイのクラスメイトの洞木ヒカリのことだった。
そのヒカリの姉は病院に勤務していることは伝え聞いていたが、まさかアースに来ていたとは…
更に調べてみると、勤務していた病院から添乗看護要員として派遣されていた。
もちろん姉妹たちも、いっしょにである。

アスカが驚いていたのは山岸マユミという少女。
父親が国連軍に所属しており世界各国をまわっているらしい。
マユミの家族は父親だけなので、いっしょに生活していて、アスカと知り合ったのも学校。
短い期間であったが行動パターンが正反対な2人なのに妙にウマがあった。
現在でもメールで、やり取りしている友達らしい。

今回の見学メンバーの中でも女性は4人だけ。
もめているのは、この4人の部屋をどーするのか…ということ。
あの4人について相談したシンジたちは廊下へと行った。

レ: 「ヒカリ♪」
ヒ: 「綾波さん どうしたの… こんな所で…」

ア: 「ハァーイ♪ マ・ユ・ミ お久しぶり♪」
マ: 「アスカァー 久しぶりだけど… アスカも見学ぅ」

シ: 「はいはい 部屋は僕たちの処に余っている部屋を使えばいいよ。」
コ: 「入れるの?」
ア: 「大丈夫だって だって余ってる部屋だから」
レ: 「もう部屋割りで名前入れた…」

廊下で揉めていた団体を引き連れて居住区へ。
途中で洞木姉妹と山岸親子以外は警備兵に止められてしまい、そこで別れた。

   「ちょっとキミ… このフロアは?」
シ: 「まあ技術者メンバー専用のフロアですよ。」

このフロアの意味を、薄々気付いた山岸父は動揺しつつ、後を付いて行く。
長い廊下の左右にはドアがあり、部屋が続いているが、目指す部屋は突き当たりらしい。
突き当たりのドアを通ると、なぜかリビングルーム。
左右の壁にはドアが何ヶ所かあり個室となっているみたい。

ノ: 「うっわぁ〜広い〜」
ヒ: 「まわりに個室があるのね」

レ: 「正面の2つの内、左がシンジ君の部屋で、右に執務机があるの」
ア: 「レイとあたしの部屋は左側奥の2つ。」

コ: 「じゃあ 左手前と右側が全部空いているのね。」
マ: 「ちょうど4人だから、各自1部屋ずつね。」


各自の個室前にあるリビングに洞木姉妹が集まっていた。
そこに部屋から出てきたマユミがくる。

マ: 「宙軍の制服ってスカートがないみたいですね。」
ヒ: 「全部スラックスみたい。」
コ: 「上着も全部、長袖みたいだし… 何か意味あるのかな?」
ノ: 「なんでだろう?」

4人は、ここに来るまでに女性だけ…という事で自己紹介は済ませている。
各自の個室が決まり、荷物を整理したあと、支給された制服を着てリビングに集まった。
そんな中に、レイやアスカも部屋から出てきて、制服についての疑問について話す。

ア: 「どうしたの?」
コ: 「制服って長袖にスラックスだけなの?」
ヒ: 「というか、2人も、そうみたいだし…」

ア: 「初めてだから疑問に思っちゃうわね。」
レ: 「緊急時には宇宙服に着替えるから、肌に直接当たらないようにするため。」
ア: 「それに私たちはアンダーを着ているから、長袖じゃないと困るしね。」

コ: 「アンダーって」
レ: 「アンダーウェア … 体調を管理する機器が付いている薄手の服。」

アスカがシャツのボタンを外してアンダーを見せている。
レイも袖をめくって、どんなのか見せて説明する。
そんな2人の後ろの部屋からシンジが出てくると、アンダーを見ていたコダマが慌てた。

コ: 「ちょ ちょっと 2人とも急いで服を直して!」
ア: 「慌てない… 慌てない… シンジでしょ」
コ: (へっ)
レ: 「シンジ君だったら、アンダーの下まで見せ合う仲だし、私たちは平気♪」

ヒ: 「ふっ ふっ ふっけっ 不潔よぉぉぉ (レ:旦那様だから) ぉぉぉ えっ・・・・」
ア: 「あははは ヒカリったら 知っているでしょ。 私たちが夫婦ってこと」
ヒ: 「 (えーっっと) 確かに未来の旦那様って聞いていたけど…」
コ: 「ヒカリの同級生がレイちゃんだから、アスカも?」
ア: 「そうよ同じ歳。 ついでに言うならシンジもね。」

コ: 「13〜4歳で夫婦ぅ」
ア: 「日本の法律、変わっていなかった。 結婚年齢未満でも生活収入が一定額以上ある場合は結婚できるって。」
レ: 「複数婚も可能ってことになっているわ。」
コ: 「でもねぇ〜」
ア: 「シンジって碇財団トップだから、年収ン億円どころじゃないもの。」
レ: 「今の収入で計算すると、奥様がダース単位になっても生活収入あるから…」
ア: 「そういうこと♪ マユミやヒカリも同い歳だから、シンジの奥様になることも出来るわよ♪」


見学者の歓迎パーティー会場へと続く廊下。
シンジを先頭に、レイやアスカ、山岸マユミと洞木3姉妹が歩いている。

マ: 「私は見学で来たけど、アスカも見学なの。」
ア: 「それがねぇ〜」
シ: 「2人とも喋っても、いいよ。」

ア: 「シンジの許しも出たから言うけど、 私、国連宙軍の佐官なの。」
ヒ: 「じゃあレイも」
レ: 「えぇ 私たち3人とも国連宙軍に所属しているわ。」
コ: 「年少兵って事かしら」

ア: 「私たちは技官として来たんだけど、新タイプの戦闘機だったから教官もやってて」
レ: 「正式に配置・任官して今の状態に…」
ア: 「まあ所帯が大きくなるにつれて、階級も上がったんで、現在は佐官ってワケ。」

ヒ: 「シンジ君も」
ア: 「シンジも技官というより開発者かな。 あの戦闘機…開発したのシンジだもん。」
レ: 「宙軍空母の設計者でもあるわ。」
ア: 「海上の空母と違って運用が変わっているから、指揮系もやって、私たちの階級より上なの♪」
コ: 「それじゃあ 3人の襟にある階級証って本物 (驚)」
ノ: 「3人って偉いんだぁ〜」

洞木家長女にして一家をまとめているコダマが、ヒカリの方をつかんで列の最後尾に来させる。

ヒ: (コダマお姉ちゃん あの…)
コ: (ヒカリ… あんたの彼氏… シンジ君にしちゃいなさい)
ヒ: (なんで…)
コ: (今回の見学で私たちだけでしょ…女性は)
ヒ: (他にも女の人…いたけど)
コ: (オトコなし…で区分けすると私たちだけになるわ)
ヒ: (それって)

シ: 「身の危険を感じるから、僕を盾にしよう!って事ですか?」
コ: 「そうそう」
ヒ: 「お姉ちゃ〜ん」

ノ: 「お姉ちゃんたち… 声に出てるよ」

いつの間にか廊下で立ち止まっていたらしい。
2人がヒソヒソ話しをしていた会話は、立ち止まって近づけば、バレバレ。
第3新東京市の病院で勤務していた時から、コダマは感じていた事だった。
ハッキリと判ったのは、今回の見学に添乗させられた辺りから…

シンジは近くにある休憩所に入り、その辺の事情を聞く。
奥様ズ(レイ&アスカ)と相談して、洞木ヒカリを候補に入れることにした。
マユミについては、洞木姉妹と相談仲に、休憩所の電話で父親と話し合っていたみたいで、ヒカリと同じように候補ということになった。


歓迎パーティーの会場に到着すると予想通り、席順でバレバレ。
コダマが毛嫌いしている人物の対面にコダマが着席する席位置。
姉妹たちも近くにいるが、同じ学校内で嫌っている同年代の男子の横に席があった。
シンジたち3人は少し離れたテーブルへと座った。

シ: 「コダマさんの予想した通りだね。」
ア: 「あんだけ不機嫌な表情だから、ハッキリ判るわ。」
レ: 「ヒカリの隣って、どっかの議員の息子… 学校の嫌われ者」
シ: 「ヤッパリ… 舞台が終ったら、こっちへと来て貰うよ。」
ア: 「さて、どんな顔するかな♪」
レ: 「怒鳴り込んで来たりして (微笑)」

見学者たちがいるテーブル前には臨時に舞台が設置され、大きなスクリーンを使って紹介している。
部隊紹介の前に映像による紹介が司会者の説明で映されている。
ひと通り映像が終ると、この空母の艦長の挨拶があり、次へのバトンタッチでシンジが呼ばれた。

艦: 「さて空母や主要兵器の説明は専属技官がいるので任せましょう! アンカー来てくれ!」
シ: 「了解♪」

この国連宙軍空母内では、3種類に分かれる。
開発段階から参加してふたつ名を持つ古株と、訓練を受けて配属される者と、教育中の新参者たちに分かれる。
艦長の言葉通りなら、ふたつ名で呼ばれたのは古株となるが、まだ少年と言っても良い者が呼ばれた。
洞木姉妹たちの近くにいる嫌われ者たちは同じように文句を言っている。

シ: 「さて空母及び主要兵器の説明ですね。
    機密部分もありますので、答えられる範囲で説明します。
    質問がある場合は適時お願いします。」
質: 「先ほどアンカーって呼ばれましたね。 年少兵っぽいのですが大丈夫ですか?」
シ: 「はい。 私が、この空母と主要戦闘機の設計・開発をしました。」
質: (驚き!)

シンジが空母と主要兵器の説明を進めていく。
コダマたち洞木姉妹と山岸親子を含む見学者たちは、素直に驚いて説明を聞いている。
時々、質問が入るが、途切れることもなくスムーズに質問に答えている。
しかし素直に済むとは思えない面々が混ざっているので、最後の辺りで質問という形でぶつけてくる。

シ: 「さて、ここら辺で、ひと通りの説明は終わりです。」
嫌: 「カンペでもあるんじゃないのか…」
シ: 「心外ですね… えぇっと…」
レ: 「質問者は、先月、碇財団に参入した会社の重役さん… (ありがと)」
嫌: 「そうだなぁ〜 俺たちと歳は変わらないだろ…」
レ: 「もう1人は、第3新東京市… 碇学園 中等部 2年D組 (おいおい)」

   「「 なんだって! そんなに判るんだ!! 」」

レ: 「碇財団のデータベースで検索したら、すぐに出たから…」
嫌: 「そんなレベルの情報! おまえみたいなガキが見れるのかぁー」
レ: 「見れるわ… 権限持ってるもの」

部隊テーブルと見学者テーブルでの言い争い。
収拾が付かないと判断したのか、艦長が割り込んで、言い争いを一旦止めさせる。
3人が余りに若すぎて、見た目と役割が吊り合わないので艦長が説明する。

3人とも、ふたつ名があり、「アンカー」と「アイス」と「フレイ」であること。
所属は、国連宙軍 第1空母 格闘戦闘機隊所属。
階級は、2人の少女が少佐で、男の子が准将。
地上では、碇学園で中学生しているが3人のうち2人は大学を出ていること。
学園の役職もあり、理事と理事長をしていること。
碇を名乗っている通り、アンカーが財団総帥で、少女たちが伴侶であり副総帥。

艦: 「まあ、こんな処かな… アンカー」
シ: 「まあ大体は… あと付け加えるなら、見学者の中に伴侶候補が混ざっている位です。」
艦: 「伴侶候補か (汗) ついでに発表しておけ (問題が起きる前に)」
シ: 「はい♪ 艦長。」

舞台から降りてコダマの近くに行き、ヒカリとマユミを呼ぶ。
そして家族も、まとめて連れて行く。

シ: 「ヒカリ♪ マユミ♪ 席替えだよ。」
ア: 「コダマ姉さん ノゾミちゃんも」
レ: 「義父さんも移動しましょ♪」

席替えしたあと、レイの言った通りにやってきたが、格闘飛行隊の面々の前ではタジタジ。
個室にも近付けず、見学中も空母内の人たちが見守っていたので問題は発生しない。


※見学最終日※

シンジたちは朝食を食べようと食堂に来ていた。
もちろん周辺は、シンジが所属する飛行隊で固まっており、お邪魔虫たちは近寄れない。
今日のお昼過ぎ、見学者たちは地上へと帰って行く。
朝食をとっているテーブルは順番に並べてみると、アスカ・マユミ・シンジ・ヒカリ・レイが座っている。
反対側には、空きが2つあって、シンジの前に山岸(父)・コダマ・ノゾミとなっている。

山: 「アンカー … いやシンジ君 頼みというか… ウチのマユミを貰ってくれないか」
シ: 「行き成りなんですか、山岸さん。」
山: 「期間中 ずっと見ていたが、マユミの伴侶というか嫁ぎ先として貰って欲しいんだ。」
シ: 「マユミちゃんの気持ちは、どうするんですか。」
山: 「昨夜まで、じっくり話し合って決めたんだ!」

コ: 「シンジ君 洞木家も同じよ。」
シ: 「まさか… (動揺)」
コ: 「ヒカリの旦那様になって欲しいの」

シ: 「2人ともイイの!」
ヒ: 「シンジ君がいいの」
マ: 「私も同じです。」

シ: (ハァ〜〜〜ぁ)

ア: 「シンジ♪ 悩んでいるみたいだけど… 私たちはOKだよ。」
レ: 「昨夜の内に、2人から相談受けて、了承したから。」
シ: (いっ)
ア: 「あとはシンジの決断次第♪」

朝食が終わると、部屋に戻り、リビングから地上へと連絡を取る。
呼び出し先は、碇本家。

加: 「はい 碇本家 代表執事 加賀雄二で御座います。 どちら様でしょうか?」
シ: 「雄二さん シンジです。」
加: 「シンジ様ですか… 空母からとは何用でしょうか。」
シ: 「お爺ちゃんと映像回線をつなげて欲しいんだ。」
加: 「わかりました。 10分後… 専用回線から接続しますので少々、お待ち下さい。 他には?」
シ: 「その時に、お爺ちゃんだけでなく、雄二さんやヒトミさんも同席して欲しいんだ。」
加: 「確かに承りました。 では10分後に」

10分どころかシンジたちが席位置を決めた途端に地上から呼び出しが入った。
画像に映ったシンジの両隣には、マユミとヒカリが座っている。
さらに隣には、アスカとレイが座っていた。
地上からの映像には、中央にシンジの祖父がおり、少し離れた場所に加賀親子がいた。

爺: 「今日は大人数じゃな シンジや」
シ: 「あははは また増えちゃった。」
ア: 「こんの馬鹿シンジ。 もう、ちょっと言い方があるでしょ。」
爺: 「まあまあ… アスカちゃんや」

シ: 「お爺ちゃん紹介します。 山岸マユミさんと、洞木ヒカリさん。」
爺: 「同じ歳かな シンジや」
シ: 「うん♪ そうだよ。」

新たに伴侶として祖父であるイワオに紹介する。
この頃には、裁判所を通して親権を髭親父から奪い取っており、お役所の届けは簡単に済む。
洞木姉妹の住居移転… マユミとヒカリの引越し… コダマの勤務先変更… 等々、色々な手配を頼む。
帰りの専用シャトルまで手配を済ませると、シンジ宛に手紙が届いていたのを聞いた。

イワオが代理として確認するようにシンジに頼まれていたので開けたのだが、予想通りの物が入っていた。
電報のような紙1枚と、迎えの女性の写真が入った封筒。
前々からシンジと打ち合わせていた通り、待合せ場所を変更する文書を送っておいた。


※さて運命の日※

海の中を巨大な物体が進んでくる。
その進行方向にある海岸線にはUNの文字が描かれた戦車の列が待ち構えていた。

   「本日12時30分 東海地方を中心とした関東中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。」
   「住民の方々は速やかに指定のシェルターへ避難して下さい。」
   「繰り返し申し上げます。本日・・・」

青い車に乗った女性が急いで目的地に向かっている。
その車内では…

葛: 「よりにもよって、こんな時に見失うなんて、まいったわねぇー」

待ち人が乗った列車が、突然の非常事態宣言で待ち合わせる手前の駅で停車したため急いで向かっている途中らしい。
しかし、その街中で大きな爆発音が響く。
ふと音がきた方向からはホバリング状態で後退しているUN機。
その山陰からは、先ほど海中を進んできた巨大な物体が歩いてきた。
その巨大な姿を、離れた場所から映像を通して見ている人たちがいる。

   「正体不明の物体は以前、本市に対して進行中。」
   「目標 映像で確認。 主モニターにまわします。」

冬: 「15年ぶりだな…」
髭: 「あぁ 間違いない… 使徒だ。」

街のビルの隙間を通って、誘導ミサイルが歩いてきた巨大な物体へと命中し爆発する。

   「目標に全弾命中… のわっ」

無線で状況報告していたUN機が、使徒と呼ばれる物体の右手から伸びてきた物にあたり墜落した。
そして使徒と呼ばれる物体は軽くジャンプして、墜落したUN機を踏みつけた。
当然のことながら踏み付けられたUN機は爆発… その爆風を避けるように青い車が通り抜ける。
その上空では、ホバリングしていた残りのUN機がロケット砲を打ちまくって爆発の嵐。

   「目標は依然健在。 現在も第3新東京市に向かい進行中。」
   「航空隊の戦力では足止めできません。」

映像を見ている所では、いかにも指揮をしている軍人たちがいる。
しかし表情からみても、焦りがありありと判る。

   「総力戦だ! 厚木と入間も全部あげろ!」
   「出し惜しみはなしだ! なんとしても目標を潰せ!」

航空戦力だけでは不足となったのか地上にあるミサイル車両も火を噴く。
航空機と同じ長さを抱えた誘導ミサイル機も抱えていたミサイルを発射する。
使徒と呼ばれる物体のサイズから見ても、丸太のような誘導ミサイルが接近してくる。
…が、片手で受け止め、進もうとするミサイルが潰れて爆発するが、何の被害も発生していない。

   「なぜだ! 直撃のはずだ」
   「戦車大隊は壊滅… 誘導爆撃も本爆撃も、まるで効果なしか…」
   「なんでだぁ…」
   「この程度の火力ではラチがあかん」

冬: 「やはりATフィールドか」
髭: 「あぁ 使徒に対しては通常兵器では役にたたんよ」

軍人たちが座っている所にある直通回線の電話が鳴り響く。
それを取った軍人は神妙な受け答えをしている。

   「判りました。 予定通りに発動いたします。」

なにか準備されているのか慌しく司令を出している軍人たち。
その軍人たちのフロアから1つ下にいるネルフ・オペレーターたちはタメ息を付いていた。


※地下にある司令室でのやり取りをしている、ほんの少し前※

街のシェルターから誘導された人たちが列を作って、準備されたバスへと乗り込んでいる。
その列を守るように、ちょっとしたビルぐらいの高さがあるロボットが立っている。
よくよく見ると、そのロボットの手には人間と同じように銃を持って、付近の哨戒をしていた。
避難している人たちの中には子供もいるので手を振ると、ロボットの方も手を振り返す。

   「小隊長ぉー 可愛いもんですねぇ 小隊長の子供さん 何歳でしたっけ」
   「おぉ ウチのは3歳になったばっかしだな」
   「男の子でしたっけ お父さんがロボットに乗ってるって知ったら、大喜びじゃないんですか。」
   「この前 小隊で撮影した写真と、デモフライトした時のビデオを持って帰ったら、大はしゃぎでなー。」
   「奥さんも驚いていたりして…」
   「まあな 飛行機乗りって事は教えていたが、普通のじゃないからな… コレは!」
   「そういえば、そうですね。」

   「地上班より哨戒小隊へ ここのシェルターの避難は終了した。」
   「了解 戦略自衛隊のモグラたちがN2地雷を使う前に、さっさと逃げ出せ。」
   「そうさせて貰っているぞ。 モグラたちは使うかな?」
   「移動指揮所からの情報では、日本政府の了解を得たらしいから使用すると思う。」

避難民たちを乗せたバスは満員になった順に、郊外方向へと避難していた。
最後に残っている人たちがいないか確認したジープが同じ方向へと急いでいた。
さっきの会話は、その逃げているジープと、哨戒任務についていた飛行小隊との会話だった。

   「移動指揮所より 哨戒中の各小隊へ N2地雷の設置が終った。 各自担当地域の避難が終った所から順次避難しろ!」

   「…という事は、ここも終ったし逃げ出すとするか」
   「そうしましょう小隊長。 でも戦自の指揮官は何を考えているんすかね。」
   「自分のメンツだけだろ…。 守るべき者たちを忘れて、N2なんか使うんだからな!」
   「予定場所で使ったら、ここのシェルターも巻き添え食うってのに。」

   「ウチの天辺… よく気付きましたよねぇ」
   「あぁ そうだな。 危険範囲に入るシェルターにいる人たちの避難。 それも必要な車両の手配まで。」
   「ちっこい割には、そこらの大人より頼もしいですね。」

   「「「「「 そうなんだよなぁー 」」」」」

   その地域の哨戒していた機体だけでなく、他のシェルターの避難誘導をしていた哨戒機からも通信に参加していた。
   近い哨戒小隊がやってきて、近くへと着陸する。

   「隣も終ったのか?」
   「おぉ 終ったぞ。 それとカウンターの数字 … 判っているのか?」
   「N2地雷が爆発するまでだろ 気付いてなきゃ こんな所で会話してないって」
   「だよなぁー」

   「さ・て・と… そろそろヤバイから、避難するかぁ」

2つの哨戒小隊の上空には、アチコチに散らばっていた機体が飛行形態に戻って飛行している。
ロボット形態になっていた機体が、垂直ジャンプの間に飛行形態に変わり、他の飛行機たちと同じ方向に飛んでいく。
その反対方向にある小さい山向こうでは、大きな火柱が発生し、衝撃波の土煙が地面を走っていた。




To be continued...
(2007.09.29 初版)
(2009.07.26 改訂一版)


(あとがき)

さて第6話です。スカパーで放送されたTV版を見て、「あそこは… ここは…」と考えを整理して、製作してみました。盛り込む内容が多いのか、文章下手が出て無駄文字が多いのか判りませんが、TV版1話が入りきらない。もとからTV版1話ずつを何回かに分けて進める予定なので、話数が多いのは予めご了解下さい。それと時間については、巻き戻すのが面倒なので、なるべく続いている状態になっています。TV版のようにしても下手くそなので、ちゃんと収まりません。さて、次の第7話は、戦闘シーンに入れば御の字でしょう。気長に読んで下さい。



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