第七話
presented by ハンドメイド様
※時間を少し戻して
使徒が山も越えて向こう側に消えると、まわりにホバリングしていたUN機は、いっせいに散らばる。
その様子を双眼鏡で見ていた人物がいた。
葛: 「ちょっとぉ N2地雷を使うってワケぇーーー」
Doooooooooooonnnnn
大きな火柱が上がり、土煙が山を越えて近づいてくる。
車から身を乗り出して双眼鏡を覗いていたミサトは、車の中で身構える。
土煙といっしょに衝撃波が届き、車は横っぱらに衝撃波を受けて横滑りを起こした。
そして道路端まで滑ると横転してしまった。
何回か回転して止まったので、窓から身を乗り出し爆発した方向を見ると、大きな雲が出来上がっている。
同じ頃、地下の司令室では、N2地雷の爆発を見て、感動の余り立ち上がった者。
画面ごしに爆発した状態を見て、後ろにいるネルフ司令と副司令に嫌味な台詞を言う者。
「やったぁーーー」
「残念ながら君たちの出番はなくなったようだな」
「衝撃波… きます」
地下にある施設まで地中を伝わった衝撃波がやってきて、地響きの音が響く。
その衝撃波のせいなのか、爆発する映像を映していた画面もノイズが入る。
「その後の目標は…」
「電波障害のため確認できません」
「あの爆発だ! ケリはついている」
「センサー回復します」
今まで見ていた実映像は、まだ回復していないので、センサー計測値による映像が出る。
N2地雷が爆発した所には、大きくクレーター状態になっていた。
しかし、その中心部から大きなエネルギーが計測されたのか、いきなり表示が変わった。
「爆心地にエネルギー反応!」
「なんだとーーー」
「映像 回復します」
現場からの実映像が映し出されると、爆発による火災の中心に使徒が立っていた。
N2地雷の爆発で被害がでたのか、その場に立ったままになっていた。
「我々の切り札が…」
「なんてことだ…」
「化け物めぇ」
冬: 「予想どおり… 自己修復中か…」
髭: 「そうでなければ単独兵器として役にはたたんよ。」
現場からの実映像は、近くで飛んでいる飛行機から撮影したもの。
画面に映っている使徒が、こちらを向いて光った途端に映像がノイズの嵐に変わった。
冬: 「ほおぉ たいしたものだ! 機能増幅まで可能なのか」
髭: 「おまけに知恵も付いたようだ」
冬: 「再度 進行も時間の問題だな」
髭: 「うむ」
すぐに地上からの映像に切り替わったが、空中で撮影していた機体は撃墜されたようだった。
政府からの直通回線を受け取った軍人が神妙な顔で受け答えしている。
そして司令席にいる軍人たちが、ひとつ下にあるオペレータ席にいる者たちへと告げる。
「今から本作戦の指揮権は、キミに移った。 お手並みを見せて貰おう。」
髭: 「了解です。」
「碇くん 我々の所有兵器では目標に対し有効な手段がないことを認めよう。」
「だがキミなら勝てるのかね。」
髭: 「その為のネルフです。」
「期待しているよ。」
気落ちした軍人たちが退場していく。
オペレータ席にいた冬月や髭は、先程まで軍人たちがいた司令席へと戻る。
それ以外は自分たちの席にいるので、忠実に職務に励んでいる。
「目標は未だ変化なし」
「現在の迎撃システムの稼働率は7.5%」
着々と迎撃準備が整えられるが、この時になってトラブル発生の連絡が届いた。
冬: 「国連軍もお手上げか… どうするツモリだ… 碇」
髭: 「初号機を起動させる」
冬: 「初号機をか… パイロットがいないぞ」
髭: 「問題ない… もう1人の予備が届く」
青: 「現在、パイロット不在です。」
髭: 「・・・・・・・・・・ (汗)」
冬: 「葛城くんや赤木くんは?」
青: 「葛城さんはセカンドを迎えに行ってます。 赤木博士は、たぶんケイジ内と思われますが…」
冬: 「赤木くんを呼び出せ!」
放: 「技術局1課 E計画担当の赤城リツコ博士… 赤木リツコ博士… 司令部までご連絡下さい。」
赤: 「なにか起きたのかしら」
リツコは近くの端末に行くと、司令室にいるマヤへと連絡を取った。
そこには司令と副指令もいるので、連絡がしやすいので、リツコは大体この方法を取る。
赤: 「マヤ 何がおきたの」
伊: 「先輩! 先程、指揮権移譲があったのですが…」
冬: 「赤木くん割り込んですまないが、ファーストとサードの所在は?」
赤: 「サードはミサトが迎えに行っています。 それにファーストも単独で迎えに行っていますが…」
冬: 「葛城くんは?」
日: 「現在、使徒と第3新東京市の中間付近を車両で移動中です。」
冬: 「連絡をつけろ」
燃え盛る爆心地から離れる車両。
横転して壊れた箇所を止めておく為なのか荷物テープで、アチコチ止めている。
その車内は、失敬してきたバッテリーがいっぱいあった。
衝撃で車が破損し、そこらへんにあった車両からバッテリーを頂いて接続したのだった。
葛: 「えぇ 心配ご無用。 こっちも生きているわよ。」
日: 「サードは?」
葛: 「それがね… 駅に行ってもいなかったから… これから付近のシェルターを捜してみるトコなのよ」
赤: 「みぃさぁとぉ(怒)ーーー あんたねぇー 待ち合わせ場所! 間違っているでしょうがーーー」
冬: 「強羅ステーション…という事だったが…」
葛: 「だから強羅駅へと行ったのよ」
赤: 「あんたの事だから、ステーションと駅の違い… 判ってないでしょ」
葛: 「へっ?」
冬: 「そこの間違いに気付かないのか (胃薬…どこにあったかな)」
伊: 「先輩(ちょっと怖い)… レイちゃんから電話です。」
赤: 「レイ! 今どこにいるの?」
レ: 「待ち合わせ場所の強羅ステーション内にいます。」
赤: 「シンジくんとは会えたの」
レ: 「はい…会えました。 それで葛城一尉を待っていたのですが、いつまで待っても来られません。」
冬: 「レイくんは迎えに行きたい…と言っていたから昨日、許可をだしたが…」
赤: 「えぇ 許可を頂いたので、すぐに私に報告してから、第2新東京市経由で出発しました。」
冬: 「そんなに時間が掛かるかね」
赤: 「静止衛星軌道まで上がりますから、定期便に乗って上がるしか方法がありませんし…」
シンジが住んでいる本家には、ネルフ司令である髭親父からの郵便物は届かない。
それで葛城ミサトが変わりに、第3新東京市に来てもらう為の郵便を送っていた。
運悪く、祖父の名代として静止衛星軌道上にある強羅ステーションへのイベントに参加している。
…という事でネルフ宛に待合せ場所を変更する文書が届いていた。
変更された場所については、書類になって、迎えに行くミサトへと渡っている。
実際、車内で会話しているミサトの手元に、この文書があった。
赤: 「レイ シンジくんと、いっしょにネルフ本部まで至急戻ってきて。」
レ: 「わかりました。 (レイ ちょっと変わって)」
赤: 「ん」
シ: 「リツコさん お久しぶりです。 シンジです。」
赤: 「元気だった」
シ: 「元気ですよ(笑) 下では大騒ぎみたいですね。 そっち方面の定期便が止まりましたよ。」
赤: 「そうなんだけど… 第3新東京市に急いで来て欲しいのよ。」
シ: 「判りました。 こっちにいる知り合いに頼んで直通で降ります。」
冬: 「直通で、どのぐらい時間がかかるかね」
伊: 「あそこの機体を使えるなら、約1時間から2時間という所です。」
赤: 「使徒の再進行は?」
伊: 「1時間後です。」
冬: 「間に合うのか」
赤: 「シンジくんの事ですから、ついでに足止めも頼んでいると思います。」
冬: 「さすがに碇家の跡取りだな」
日: 「第2新東京市で待機していた国連宙軍の部隊が第3新東京市に向かっています。」
赤: 「やっぱりね」
髭: 「国連宙軍…」
冬: 「民間要請で動くのかね」
赤: 「あっこで使っている機体は全て碇財団製ですから…」
冬: 「IFSもだったね」
赤: 「私もIFSで、シンジくんと仲良くなれましたから…」
動かない使徒に対して波状攻撃を仕掛けている国連宙軍の機体。
形態を変えて地上から攻撃す機体と、空中から攻撃する機体といろいろ。
修復する端から攻撃による被害を与えているのか、ネルフ本部で表示している再進行予想時刻が進んでいない。
そうしていると、国連宙軍の移動指揮所から問い合わせが入った。
パ: 「ネルフ本部… そちらに葛城ミサトという人物はいますか?」
日: 「はい? いますが…」
パ: 「すみません… 特務権限で機体を徴収するって言ったので1機お渡ししたのですが…」
日: 「はぁ?」
赤: 「墜落したわね」
パ: 「はい…そうです。 徴収するぐらいですから簡易IFSぐらい使えるだろうと思っていたのですが…」
赤: 「ミサトは使えないから… 操縦できなくって墜落したわね。」
パ: 「自力で岸まで泳ぎ着いて、こっちの司令部からジープで、そちらへと向かっています。」
日: 「判りました。」
冬: 「馬鹿が…」
青: 「司令… 葛城さんが墜落させた機体の請求書が届きました。」
髭: 「・・・・・・・・・・」
冬: 「いつものように処理を回しといてくれ」
青: 「了解」
※時間経過※
日: 「葛城さん 現在地は?」
葛: 「それが途中で借りたジープがエンコしちゃってね。 修理してんの。」
日: 「どのぐらいで帰れますか?」
葛: 「直り次第だけど、UN機の攻撃が効いているのか使徒が進んでいないわね。」
日: 「再進行予想時刻は、あまり変わっていません。」
葛: 「ラッキー♪ 急いで直して戻るわ。」
ネルフ本部へと帰ってこようとしている作戦部長と作戦部オペレータとの会話。
そんな会話を聞いていた他のオペレータたちと司令フロアにいる2人は困った顔をしていた。
伊: 「レイちゃんから連絡です。 あと5分程度で到着するそうです。」
冬: 「どこから来ている」
伊: 「監視モニターに入りました。 スクリーンに映します。」
使徒の真上から降下してくる飛行機隊がスクリーンに映っている。
そこからなのかサブ画面には使徒を目指している画像が届いていた。
レ: 「使徒攻撃隊の機体で降りてきました。 使徒攻撃後、本部へと向かいます。」
赤: 「シンジ君は?」
レ: 「いっしょにいます。」
シ: 「リツコさん 使徒の近くにネルフIDの反応があるけど」
赤: 「えぇ あなたを迎えに行く予定だったミサトの反応でしょう。 どうしたの?」
シ: 「あそこって攻撃部隊の引き起こし箇所なんで避難しないと衝撃波が…」
衝撃波と聞いて技術部長でもあるリツコは青くなる。
ご存知のように音速飛行する飛行機が地表に近づくと衝撃波で、地表の物体は破壊される。
シンジたちが乗ってきた飛行機は高高度からの急降下。
使徒攻撃時の時に幾らかは落下速度が落ちると思うが、ある程度は地表に影響を及ぼす。
今回の場合は、シンジから指摘があった箇所へと衝撃波が届くことになる。
日: 「葛城さん 葛城さん その場から急いで離れてください!」
葛: 「なんだっての」
日: 「頭上から攻撃する飛行隊の引き起こしが、葛城さんがいる付近なんです。」
葛: 「飛行機が引き起こし上昇するだけでしょ。 こっちは修理で忙しいんだから緊急でない限り呼び出ししないで!」
日: 「その緊急事態ですから (プチン) あぁ…切られた。」
赤: 「日向君 急いでミサトに連絡しなさい!」
日: 「はぃぃぃぃ」
シ: 「引き起こしのコースを変えるそうですが、少しは余波が行くと思います。 急いでください。」
赤: 「まだ、つながらないの?」
日: 「何回もつなげているのですが、コールしても切られます。」
飛行機隊から送られてくる映像に、地表で止まっていたジープが衝撃波で飛ばされる映像があった。
その映像を見ていた司令室一同は、手を合わせて拝んでいたり、片手で十字を切っていた。
日: 「葛城さんが持っているIDからの生命反応があります。 生きているみたいです。」
冬: 「生きているなら帰ってくるだろう。 それよりレイたちは?」
伊: 「攻撃隊から離れて本部へとコースを変えたのが2機います。」
冬: 「本部近くにある滑走路へ誘導してくれ。 それと赤木くん迎えを頼む。」
赤: 「了解しました… 副司令。」
冬: 「なんとか間に合ったな」
髭: 「問題ない」
冬: (こやつわぁーーーー)
※その頃の碇シンジ宅※
広間に集まってテレビを見ている。
そのテレビには、使徒が大写しになっていて、宙軍の攻撃が映されていた。
マ: 「おっきいですね。」
ヒ: 「あんなのが第3新東京市に向かっているのね。」
ノ: 「お姉ちゃん… 大丈夫かなぁ」
サ: 「付属病院では怪我人で大忙しでしょうね。 コダマさんが帰ってきたら労ってあげましょうね。」
ノ: 「うん♪」
テレビの前には、マユミ・ヒカリ・ノゾミとサキが座って、観戦している。
洞木姉妹の長女コダマは、勤めている付属病院で、搬送されてくる怪我人の治療に大忙し。
シンジ宅も第3新東京市郊外にあるが、周辺地域の避難も、ほっといてテレビで応援している。
ヒ: 「あんなのと戦うんだ… シンジ君やアスカ、レイたちは…」
マ: 「シンジ君 大丈夫って言っていたでしょ。 それより私たちの役割、ちゃんとしないとね。」
ヒ: 「えぇ… 判っているわ。」
ヒカリやマユミには、シンジからやって欲しいことを頼まれていたので、サキに協力して貰いながら手を進めている。
なにをしているかは後日、わかるだろう。
※その頃の国連宙軍の移動指揮所※
奥にある小部屋では部隊配置図を写したデスクの周りに数人の男女が立っていた。
その内の1人は背が低い。
それは国連宙軍の制服を着たアスカだった。
先ほど、あの葛城が出入口付近にいた士官を捕まえて、駐機待機していた機体を飛ばして墜落させた。
また、たまたま目に付く所に置いてあったジープに乗り込むと、そのまま黙って拝借して行った。
ア: 「あれでネルフ本部の作戦部長なのに、都合良く特務権限を使いまくっているわね。」
兵: 「作戦部長ですか… あはははは (ウチとは大違いだな)」
ア: 「今回の私たちは、時間稼ぎに徹するわよ。」
兵: 「了解です。 ステーションに溜め込んでたミサイルを積んだ機体から順に降下中!」
ア: 「あと、 どれぐらい残っている。」
兵: 「現時点で約30%消費。 あと2時間は稼げます。」
ア: 「予定回数をこなした機体から帰艦するように指示を出して!」
兵: 「了解です!」
移動指揮所で指示しているのは、アスカ。
すぐ近くには現場を視察にきた上位階級者がいるが、黙って見ている。
その人の出番は、もうすぐ…
※ネルフ本部 滑走路※
冬月の指示で滑走路へとやってきたリツコが待っていると、目の前に2機到着。
その機体は国連宙軍で正式採用されている格闘戦闘機の指揮専用機。
しかし、降りてきたパイロットは背が低い。
ヘルメットを取ると、国連軍の制服を着たシンジとレイが立っていた。
赤: 「お疲れ様… シンジ君 レイ♪」
シ: 「この前お話しした返事を聞いて良いでしょうか?」
赤: 「モチロン OKよ。」
レ: 「リツコさん … ありがとう。」
赤: 「私なりのケジメとして、レイの素体は、もう処理済みになっているわ。」
シ: 「えぇ 確認しています。 よかったね…レイ♪」
レ: 「うん♪ ありがとうございます… リツコさん」
赤木リツコが、エヴァの操作性をアップさせる為に、国連宙軍で採用されているIFSについて学びに来たことがある。
その時に、IFSの開発を行なった技官としてシンジと会っていた。
ひと通りIFSの利便性を学び、ネルフ本部へと帰る前に、シンジからリツコへ提案を渡していた。
その返事は、また会う時に聞くことにしていたので、最初に返事を聞いたシンジだった。
リ: 「さあケイジで、みんなが待っているわ。 行きましょう。」
レ: 「えぇ あの髭親父が、どんな顔するか楽しみ。 (笑顔)」
リ: 「レイったら (笑)」
リツコが先頭を歩き、その次にレイ。
更に後ろから携帯で連絡をしているシンジが続く。
シ: 「今からケイジへと移動するから、タイミング良くね。」
ア: 「了解。 もう待ちきれなくてスタンバイ状態のままだったもの。」
※ネルフ本部内※
ケイジへと続く廊下を歩く3人。
その様子を監視カメラごしに見ている司令と副司令。
冬: 「どうするかね。 碇」
髭: 「問題ない… たった今、予備が届いた。」
冬: (あの2人の服装は国連軍の制服だが… 上で借りたのか…)
青: 「司令! 使徒が少しずつ進行を始めました。
冬: 「強羅防衛線まで、あと何分かかる。」
伊: 「今の速度ですと、あと30分で突破します。」
日: 「進行方向5度修正。 予測目的地 第3新東京市。」
髭: 「よし! 総員 第1種戦闘配置」
冬: 「碇」
髭: 「冬月… あとを頼む。」
冬: 「わかった (息子との対面か)」
放送で、第1種戦闘配置のアナウンスが繰り返される。
そんな放送があったが、リツコ案内で到着したエヴァの前に3人は到着していた。
シ: 「汎用決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 初号機」
髭: 「そうだ! (もう到着していたのか) 久しぶりだな…シンジ。」
シ: 「リツコさん あの高い場所で喋っている人は?」
リ: 「国連直属非公開組織ネルフ司令で、あなたのお父さんよ。」
シ: 「リツコ姉さんは知らなかったんですね。
僕のお父さんだった六分儀ゲンドウ氏は親権を剥奪されています。
さらに碇本家から勝手に資金を調達して使い込んでいたみたいで返還命令が出ています。
そんな極悪人ですから、碇一族からも碇の姓を使わせないように処置されましたし…」
リ: 「ええっ そんなになっていたの。」
シ: 「知らなかったんですか?
もう何年も前から通知書が送られていますけど…」
リツコとシンジが会話している最中でも、上からの話は続いている。
都合よく混乱して赤木博士に補足説明をしていると勘違いしたらしい。
髭: 「シンジ 私が今から言うことを良く聞け!
これには オマエが乗るのだ!
そして使徒と戦うのだ! (シナリオ通りだな)」
葛: 「待ってください…司令!
レイでさえ エヴァとシンクロするのに7ヶ月かかったんですよ。 (何とか間に合った)」
髭: 「座っていればいい … それ以上は望まん」
葛: 「でもっ」
冬: 「碇! 大変だ!!」
悦に入ってシナリオ通りにやっていた(演じていたかな)髭親父と葛城ミサト。
言葉のやり取りをしている所に、シナリオにない冬月が割込む。
髭: 「なんだ冬月! (シナリオに無いぞ)」
冬: 「国連軍司令部から連絡が入っている。 そっちのモニターへと出すぞ!」
「こちらは国連軍司令部だ。 ネルフ司令 六分儀ゲンドウ氏はいるかね。」
髭: 「名前を間違えていませんか。 私は碇ゲンドウです。」
「まだ、その姓を名乗っているのかね。
日本の裁判所から、その姓を使用することを禁止する通知が廻ってきているが…」
髭: 「そんな事は知りません。 何かの間違いでは?」
冬: 「いか… いや六分儀。 先ほど問合せた所、今年の初めに正式文書で改姓の知らせが廻っている。」
髭: 「そんな文書は知らんぞ!」
冬: 「そうもいかん。 もう数年前から裁判所からの召喚通知書があって、ことごとく無視した結果らしい。」
髭: 「そんな内容はネルフには通用しないと思いますが…」
冬: 「ちゃんと正式文書として国連にも届いていてな。
もう裁判所の通りになっていると返答があった。」
「もう…いいかね…六分儀くん(ちょい怒)
さて国連軍総司令から連絡があり、戦闘終了後、会議の準備をして貰いたい。」
髭: 「会議ですか…」
「そうだ。前々から申請のあった内容について…と言ったらわかるだろう。
内容が内容なので、戦闘終了…即会議で準備して貰いたい。」
髭: 「了解しました。 (面倒な…)」
「それと… (今まで連絡できなかったからな! まとめて済ませておこう!)」
ケイジを見下ろす部屋から国連軍司令部とモニターごしに話している髭親父。
そのケイジにいたミサトは、親友でもあるリツコと雑談中。
葛: 「なんで国連軍司令部から連絡が入るのよ。」
リ: 「会話から判るけど、前から申請していた治安維持の件でしょうね。」
葛: 「うちの諜報部や警備部で、できるんじゃないの。」
リ: 「ネルフだけだったら十分でしょうが、都市全部となると足りないわね。」
葛: 「そうなの」
リ: 「あんた…また書類…読んでないのね。」
葛: 「(汗) 戦闘前に通話なんて非常識にも程があると思うけど」
リ: 「どうせ司令の事だから、今まで連絡とろうとしても連絡取れなかったんでしょう。」
葛: 「どうりで (色々と言われているのね)」
シ: 「リツコ姉さん インターフェイスを渡して下さい。」
ケイジで会話しているリツコとミサトの傍にはシンジもいる。
リツコはシンジに言われて、白衣のポケットから取り出すと、シンジへと手渡す。
シンジは受け取ると、頭に取り付けてから上着をレイに預けてから搭乗位置へと歩いて行く。
リ: 「上の事は、ほっといて準備を始めましょ! ほらほらミサトも発令所に行きなさい。」
葛: 「シンジ君 … 乗るの?」
シ: 「どうせ、その為に呼んだんでしょ。
まあエヴァについてはリツコ姉さんから聞いていますから、大体判りますし…
初めてじゃぁ、ないですから。」
葛: 「そうなの?」
リ: 「資料読んでないのバレバレね。
シンジ君 … もっと小さい時にケイジで遊んでいたわよ。」
葛: 「えぇぇぇぇぇ(驚)」
シ: 「リツコ姉さん … 発進準備、お願いしますね。」
リ: 「わかったわ … マヤ♪ 聞いているんでしょ 初号機・発進準備」
伊: 「了解です」
お偉方の会話など関係なく、技術部の方で初号機の発進準備は進められる。
「冷却終了」
「ケイジ内 すべて ドッキング位置」
「パイロット エントリープラグ内コクピット位置に着きました」
「了解」
「エントリープラグ挿入」
「プラグ固定終了」
「第1次接続開始」
「エントリープラグ注水」
着々と準備が整って、LCL注入まで、シンジは目を瞑って心を落ち着けていた。
足元からLCLが上がってくると、発令所にいるリツコへと話しかける。
シ: 「リツコ姉さん」
リ: 「ん♪ 何かあったのシンジ君」
シ: 「いくら肺がLCLで満たされたら呼吸ができるといっても溺れるのは、ちょっと…」
リ: 「まあ仕方がないわ。 それがないと困るもの。」
葛: 「我慢しなさい! すぐに慣れるわ」
シンジから見ているモニターには発令所のオペレータたちがいるフロア全体が映っている。
いつの間にやら作戦部長という肩書きを持った葛城ミサトが到着していた。
シ: 「リツコ姉さん 今の割り込みは? (知っているけどね)」
リ: 「シンジ君は初めてね。 作戦部長の葛城ミサトよ。」
シ: 「あぁ 迎えに行く!って連絡があった方ですね。」
葛: 「私がネルフでの作戦部長なんだから命令に従いなさい!」
シ: 「リツコ姉さん 僕の現在のポジションは?」
リ: 「司令が召喚したけど、まだ民間協力者という立場のまんまね。」
シ: 「僕の所に来たのは電報みたいな文面でしたよ。
召喚という風に受け止められる物でもなかったですし…」
葛: 「司令の説明では、召喚状って聞いたけど…」
シンジとミサトの言っている事が大きく違う。
ミサトには、司令から召喚状が出ていて、それを受けたのでネルフへとやって来たと思っていた。
当然、ネルフの召喚を受けた…という事はエヴァのパイロットになることになり、自分の指揮下に入る。
しかし、リツコとシンジとの話しを聞くと、どうも内容というか食い違いが大きい。
発令所の同じフロアには、レイもいたので、シンジの上着に入っていた手紙を取り出し、リツコへと渡す。
レ: 「赤木博士 シンジ君の上着に入っていました。」
リ: 「そう…」
シンジに届いていた手紙を見て、大きく息を吐いた。
そして、近くの端末から発令所にいる人たちが読めるように記憶させて表示させると、一斉に声がない。
確かに召喚状というより電報の文面。
名前を入れても、たった7文字。
その文書を見て、ミサトも絶句。
ついでに送られてきた封筒と写真も表示させたので、同じフロアにいるオペレータたちは、あきれていた。
伊: 「せんぱぁ〜い コレって手紙なんでしょうか どうみても電報ですよね。」
日: 「召喚状には見えないな。」
青: 「あとで揉める事になりそうだからマギに記憶させておきますね。」
発令所の様子は、エヴァ内部にいるシンジからも見えていた。
シ: 「これが召喚状って言えるんでしょうか?」
リ: 「確かに電報ね。 単純に来い!って言っているだけね。」
葛: (ぼーぜん)
シ: 「まあ、ネルフの事は大体 … 知っていましたけど…」
葛: 「あんたね… ネルフ知ってるって、情報を見ることは重罪よ! 重罪!」
シ: 「重罪って言ったって … リツコ姉さん マギって元々は本家で開発したアレでしょ。」
リ: 「えぇ… マギは元々、碇本家ホストコンの一部。
サブからメインへデータを渡したりするから、情報を盗んだことにはならないわ。」
伊: 「えぇぇぇぇ 先輩ぃ〜 マギって盗難品だったんですか」
リ: 「最初は、倉庫に保管していたのを司令が持ってきたんだけど…」
シ: 「まあ、母さんが了承したんで、そのまま使っても良い…という形にはなっていたんです。」
冬: 「それは本当かね」
リ: 「えぇ、副司令。 一応、借用物ですので、ちゃんと書類は残っています。」
発令所の最上部にあたる司令フロアに、いつの間にやら司令と副司令がいた。
マギについての書類を見たのか、司令フロアでは副司令が大声で司令を問い詰めている。
リ: 「まあ面倒事は司令や副司令に、まかせて準備の続きをしましょ。」
「主電源接続」
「全回路動力伝達」
「起動スタート」
「A10神経接続 異常なし」
「初期コンタクト すべて問題なし」
「双方向回線 開きます。」
技術部によるエヴァ発進の準備は着々と進んで行く。
エヴァ内部にいるシンジは、目を閉じて瞑想しているように見える。
しかしシンジは、コクピットがLCLで満たされると、コア内部にいる母の意識へと接触していた。
シンジは、過去に起こったことを話し、逆行後の違いについて説明した。
シ: 「…という訳。」
ユ: 「シンジ … ごめんなさい … 本当に苦労したのね。」
シ: 「でもね 今はレイやアスカ、マユミやヒカリもいるから。」
ユ: 「そうね … シンちゃんの奥様たちだものね。」
シ: 「そうそう 母さん。 なるべく早くにサルベージするから、それまでは待っててね。」
ユ: 「判ったわ … そうだ! シンちゃん 外と会話できないかしら」
シ: 「メールという形ならできると思うけど…」
ユ: 「だったら、お願い。 シンちゃんの援護攻撃をしとこうと思ってね。」
シ: 「判ったよ、母さん。 こっちの準備が終ってからになるから…」
ユ: 「えぇ、待っているわ」
シ: 「それじゃぁ」
エヴァ内部にいるユイの意識体との会話が終るころ、発令所ではシンクロ準備を整えていた。
内部にいるユイの意識体とコンタクトし、エヴァ本体との接触も済んでいる。
シンジの意思で、発令所に表示される数値は決めれるので、ちょっとした遊びを思い付いた。
To be continued...
(2007.10.06 初版)
(2009.07.26 改訂一版)
(あとがき)
やっとこ第7話です。
毎週の土曜と日曜に書いていますが、時間がぁぁぁ。下手んちょなので時間イコール文章量になっています。
毎回20KBから30KBに収まるように書いています。それで途中で切れているのも容量制限で途切れているだけです。
まあ、次の話しではシンクロ値で遊んで、戦闘、戦闘後の会議まで書きたいと思っています。
作者(ハンドメイド様)へのご意見、ご感想は、まで