第十一話
presented by ハンドメイド様
※初号機ケージ※
実験日の早朝からケージ内は大忙し。
実験用の計測機やら、外部から運び込まれた機器などがタラップ上に配置されている。
床を見ると、その機器と接続するためのケーブルが無造作に置かれて接続されている。
「観測機の接続終了しました。」
「接続装置との調整、急いで。」
「おぉーい 電圧、足りないぞ。 出力上げろぉ。」
「これ以上、出力上げると、またブレーカーが。」
( Don ) 「「「 あぁ〜ぁ〜 落ちたぁ〜 」」」
どうも接続する機器が多いのか、ケージ内で使用する電力が圧倒的に不足気味。
使える範囲内で調整しているが、不安定この上ない。
それでも不足している部分を上げると、毎度のようにブレーカーが落ちる。
そんな状態なので、実験開始を心待ちにしている人物はイラついていた。
「うぬぬぬ まだ、実験開始できんのか。」
「そう慌てるな六分儀。 慌てて開始しても失敗しては。」
「判っていますが」
「まあ、出力不足を補う方法を考えないと実験のしようがないな。 (困ったもんだ) 」
そこへ、ひょこりとシンジがやってくる。
技術部を指揮しているリツコの傍へとやってくると実験の状況を聞いた。
「リツコ姉さん。 どうしたの?」
「あぁ シンジ君。 いいタイミングで。 電力不足で実験機器が使えないのよ。」
「おっかしいなぁ。 今日の実験の為に移動型のバッテリーを降ろしておいたハズなんだけど。」
「マヤ、どこに行ったのか調べてみて。」
「はい、先輩。」
リツコに言われて、マヤは急いで各部署へと連絡を取り確認している。
シンジの言うとおり、運ばれてきたコンテナ全部、ジオフロント内の試射実験場所へと運ばれていった事を突き止めた。
試射実験場所では、なんで2種類の電源コンテナがあるのか不思議がっていたらしい。
マヤは急いでケージへと運ぶように指示を出す。
「それが届くまでにソフトの調整を済ませておきましょう。」
「だったら、こっちに端末を準備しておいたわ。」
リツコの案内で準備された端末へと移動するシンジ。
リツコの部下であるマヤは、電源コンテナを置く場所と接続機器の準備をすすめる。
「電源コンテナ、届きましたぁ。」
「了解です。 急いで各機器の接続を進めて下さい。」
「マヤ! 接続が終ったら、各機器の調整をしてね。」
「はい。 先輩。」
上の展望室から、そんな様子を見下ろす2人。
副司令である冬月は、シンジや技術部の面々たちの動きを見て感心していた。
「ほっほぅ 赤木君に負けず劣らずだな… シンジ君は。」
「・・・・・・・・・・ (イライラ) 」
「イラついても何の得もないぞ。」
「判ってはいるんですが…」
ふと2人がいる部屋を見て、近くにいるマヤへ、持ってきた荷物について尋ねる。
シンジが聞いてきた機器について確認するとケージの端っこに置いたままになっていたらしい。
シンジからの指示で、エヴァの真ん前に置いて、指定通りに接続を施す。
「接続完了しました。」
「電源も安定状態で供給しています。」
各機器の調整を行なっていた技術部の面々から作業完了の報告が上がってきた。
それを聞いたリツコはシンジの準備が整ったのを確認して実験開始を宣言する。
実験開始の声が掛かると各機器といっしょにエヴァの電力供給も開始。
両眼が薄く灯っている状態で、リツコがいる端末から呼びかける。
始めは弱かったエヴァからの反応も、こちらからの信号に合わせる様に返ってくる。
その反応を見て、実験用に準備された文章を送ると、返事が返ってくる。
そんな状態を見て、実験担当であるリツコが成否の宣言をした。
「実験成功よ!」
「「「 やったぁ〜 」」」
実験成功に喜ぶ技術部の面々。
その実験を見守っている部屋では、成功の言葉を待っていた2人が喜んでいる。
喜び溢れるケージでリツコは更なる実験開始の宣言をした。
「引き続いて第2段階の実験に入ります。」
「「「 第2段階ぃ? 」」」
「こっからは極秘実験なので、連絡済み人員以外は速やかに退室して。」
リツコの説明だけでは退出しない技術部面々。
その面々を追い出そうとマヤからの追加説明と言うか、ひと言。
「みなさん、ここに残っていても実験内容次第では地上へと戻れなくなるかも知れません。」
その言葉を聞いた技術部員たちは急いでケージから退出する。
技術部員たちが急いで退出する状態を見た副司令は、ケージへと接続されているマイクを手に取る。
「赤木君 実験の第2段階とは何かね。」
「副司令 映像を見たいとは思いませんか?」
映像と聞いて2人は、お互いの顔を見合っていた。
しかし何を考えたのか、先を争うようにケージへと走り出した。
そして、息を切らせ、どこかで転倒したのか、擦り傷だらけの身体でやってきた。
実験を行なう場所にはリツコとマヤ、シンジだけが残っている。
「赤木君 映像が見れるのかね」
「シンジ君からの提供で立体映像装置を接続していますので、見ることは可能だと思います。」
「実験に関係ないサードは退出しろ。」
「それは出来ません司令。」
「なぜだ。」
「立体投影装置だけでなく、ソフトの調整もシンジ君がいないと出来ないんです。」
「 (ムムッ) 仕方がない。」
「早速、見せてくれ。 (ゼェ〜ゼェ〜) 」
「はい、司令、副司令。 (無様よ2人とも) 」
シンジの操作で、エヴァ前に置いている投影装置が光りだす。
装置の上に光が浮かび上がり、だんだんと人の形になってくる。
これで、まわりの照明がない状態だったらオバケと呼ばれても可笑しくない。
やがて映像が安定し始めたのか、映像装置の上には、若い女性が浮かんでいる状態になった。
端末装置ではシンジとマヤが装置の調整を行なっている。
「映像安定しました」
「状態を維持」
「維持状態になりました」
「外部リンクと接続」
「接続確認しました」
「よっしっ さて誰が最初の声をかけるの?」
シンジからの質問で、装置前で固まっている人物。
髭の前には、シンクロ実験で取り込まれる前のユイが浮かんでいる。
その髭は固まったまま、涙を隠すことなく泣いていた。
「ユイ・・・ユイ・・・ユイ・・・」
その声が聞こえたのか、浮かんでいる人物は薄っすらと眼を開ける。
ちょうど寝起きの状態を、浮かんだまま再現しているようにも見える。
「あらっ どなたでしょうか? (知っているけどね) 」
「ユイぃぃぃ」
「(周りを見て) あらあら ナオコじゃないの、お久しぶり。」
「申し訳有りませんが、娘のリツコです。」
「あらあら 御免なさい。 (シンジが言った通りね) 」
「ユイ君」
「あらっ 冬月先生 お久しぶりです。 (えらくシブくなったわね) 」
「ああ 久しぶりっと言えば久しぶりだが。」
「随分と白髪が増えて、お年が…」
「確かに、もう10年たったからな。」
「先生、済みませんが今年は何年でしょうか?」
「2015年だ。」
「あら…まあ… でしたら、目の前にいるのがゲンドウさんなんですね。」
「ユイィィィ (大泣) 」
目の前にいながら無視されていた髭は大泣きで恥かしげもなく男泣きしていた。
そんなゲンドウを目の前にしたユイは、親父をあしらう女子高生に見える。
積もり積もった会話なのか、大泣きしたまま、色々と話している髭。
蚊帳の外になった冬月副司令、リツコ、マヤ、シンジはケージから出ていた。
そしてケージ近くにある休憩所で、ひと休み。
「あのゲンドウが大泣きするとは・・・」
「用心して人払いしといてよかったですぅ〜」
「そうよね。 あんな状態を見せ付けられたら、後でどうなるやら。」
「以外にも、あんな表情を見せるんですね。」
「「「「 わっはっは 」」」」
和やかな会話が弾む所へ地響きと共に何かが破壊される破壊音が響く。
少し遅れて、ケージの中でも大きな音が起こり、さらに遅れて水へと落下する音が聞こえた。
休憩所にいた4人は急いでケージの中に入ると、ケージ内は滅茶苦茶状態。
ケージ内に満たされていたLCLに、うつ伏せの状態で浮かんでいる髭。
いち早く状況を理解したリツコが司令を発見し、マヤ経由で医療班を呼んで貰う。
浮かんでいる髭を、冬月とシンジが引き上げ作業を行なっていた。
呼んでいた医療班に意識不明になった髭を引き渡し、ケージ内の損傷を確認する。
「赤木君 どうかね?」
「ジオフロント内で行なっていた試射実験で事故です。」
「どんな状況かね。」
「現場からのデータを見る限りでは、出力最大で試射したみたいです。」
「予定では、最大でも20%で抑える予定だったのでは。」
「誰かが出力最大で発射して天井部を貫通。 試射台が反動に支えきれずに転倒したんです。」
「天井部を貫通… (真っ青) 」
「被害状況の確認と対処を頼む」
「判りました。 シンジ君、手伝ってね。」
「急いで行きましょう。」
※時間を少し戻して、ジオフロント内※
「日向君、これが宙軍が使用しているライフルなのね。」
「はい、葛城さん。 宙軍戦闘機専用ライフルです。」
「これを作戦部で評価してみて、エヴァ用の武器になるかどうか確認するのね。」
「えぇ、ただし地上で使うときには冷却器を、こちらで作る必要があります。」
「なんで?」
「もともと冷却効率など考えなくても良い空間で使用する武器なんで、地上だと過熱しすぎて。」
「もしかして、爆発するとか (汗) 」
「可能性があります。」
技術部が準備している中に作戦部のミサトと日向がやってきている。
今日の試射では、メインが技術部だが、威力の評価は作戦部で判断するようになっている。
いつもだったら日向だけが立ち会って評価を行なうのだが、今日は珍しくミサトがいる。
初めはエヴァの実験に立ち会おうとしたのだが、司令部と技術部で行なう実験。
それで、ケージ内に入れなかったので、作戦部で評価する試射実験の方へとやってきたのだった。
宙軍戦闘機が持つライフルなので、エヴァが持つにはサイズが小さい。
しかし試射実験で上々の結果が出れば、技術部の方でエヴァ用に製作する予定の物。
どんな物かと冷やかし半分で、試射実験に立ち会う魂胆でやってきた。
試射実験ができるようになったのか準備をしていた技術部員が端末を日向に渡す。
操作方法の説明を受けて、いざ試そうとすると、引き金を引かせて欲しいと言ってきたミサトへと渡した。
( どうせ実験するんだから最大出力にしないとね。 1発ぐらいじゃ爆発しないでしょ。 )
日向から渡された端末にあるレベルを最大に上げた。
計測器を見ていた技術部員が気付き、注意の声を上げたが、静止も間に合わず引き金を引いてしまった。
出力最大で発射された光の弾丸は、的を貫き、そのまま天井部の最下段に突き刺さる。
運悪く、ミサトが引き金を引いたままだったので、出力最大のまま発射され続けた為、天井部を貫通。
発射の反動に支えきれなくなった土台が悲鳴を上げて壊れた。
壊れた反動で銃口が上に向いて、天井部を切断。
真上を向いた状態になった時に、ライフル後部にあるカートリッジが土台と衝突し、爆発を起こした。
※事故翌日…とある議室※
手錠をかけたまま、両脇を保安部で抑えられたミサトと日向が部屋へと連行されて入ってくる。
そこで待っていたのは、包帯男となったネルフ司令と、疲れが見える副司令。
両脇には第3新東京市の議員たちと軍上層部の将校たち。
「なんなのよ。 この扱いは!」
「葛城さぁん 大人しくしとかないと不味いですよ。」
「いったい、何処なのよ。」
ミサトと日向の目の前にいる人物が自分たちネルフのトップとは気付いていない。
それはそうだろう、包帯でぐるぐる巻きになっているので、顔の判別が付かない。
トレードマークとなっている眼鏡だけがあり、一層不気味に見える。
包帯で声が出ないのか、隣にいる副司令が議長役を勝手出た。
「さて… 昨日の事件について説明しましょう。 まずは映像をご覧下さい。」
部屋にいる各自が見える所へとスクリーンが準備されており、部屋が暗くなると試射現場の映像が映し出される。
その映像が流れ出すと、副司令が説明を開始する。
映し出されている映像は、ジオフロント内にあるマギの監視カメラからの映像で、しっかりと音声まで記録されている。
試射実験の準備段階から記録されており、試射実験の爆発。
その後の救護活動まで、しっかりと記録されて映し出された。
「さて次ですが被害の報告です。 これはネルフ内部と第3新東京市の両方から報告願います。」
まずネルフ内部の報告が始まった。
技術部が用心のために試射会場から的がある方向のブロックには避難勧告が前もってあった。
もしもの場合、的の後ろにある遮蔽物を貫通する場合もあった為の処置だった。
その為か、人的被害は死亡・重傷者は無しで、怪我人が少々発生したぐらいだった。
しかし物損は数えるのも馬鹿らしくなるほど、被害が大きい。
現在も急いで修理を行なっているが、ジオフロントの天井部に大きな裂け目が出来ている。
貫通部分の幅が小さいので修理に時間は掛かるが、修理は出来ると報告があった。
次は第3新東京市からの報告だったが、こっちの方が深刻だった。
ネルフとしても困ったことに、チルドレンが通っている第壱中学校が貫通先にあり全壊状態。
そこから第壱高校へと続いて引き裂かれて、こっちも全壊状態。
間にあった避難シェルターも巻き込まれて使用不能となり、装甲ビルや防衛ビルも同じように破壊された。
まだ、ネルフと第3新東京市だけだったら良かったのだったが、付属被害として議会から報告があった。
「第2新東京市から報告があったのですが、貫通した余波で、軌道上の衛星が数個巻き込まれました。」
「なんだとぉー」
「(おいおい六分儀。実験要綱にも書いてあったぞ) そこまで、届いたのかね。」
「えぇ、運悪く地表へと落下した物があり、第2新東京市郊外に落下。」
( 郊外だったら被害は少ないか )
「そこにありました第2新東京市第参中学校に直撃しました。」
「幸いにも大気圏突入時に落下予想範囲の避難は完了していましたので、こちらも人的被害は無しですが…」
「建物は全壊だろうなぁ (どんだけの被害額になるやら) 」
「その通りです。 建物どころか敷地内はクレーターになっています。」
映像が終ってからの被害報告が上がる度に、写真付きで説明が行なわれている。
その被害があがる度に、日向の表情は、どんどん暗くなっている。
それとは関係ないと言いそうなミサトは我冠せずという感じで聞き流している。
議会からの報告に対して、ネルフのトップが受け答えている。
なんとかして被害額の請求を抑えようとしているのか、冬月が主に話していた。
( 髭は包帯巻きで喋れないから、いつも通りに、任せっ放し。 )
「しかし、衛星の方は宙軍の方で、なんとか出来たのではないかね。」
「これに関しては宙軍から報告がありまして」
「なにかね、言い訳だったら知らんよ。」
「薙ぎ払われた時に、宙軍の教育練習艦が巻き込まれて航行不能に陥りまして」
「巻き添えを食ったのか!」
「もともと第2新東京市のド真ん中に落下する予定だったのです。 衛星が!」
「それが郊外に落下したのは… (まさか) 」
「考えている通りで、同じように被害を受けて落下する練習艦からの攻撃で落下コースが変わりました。」
「うぬぬぬ (練習艦の被害も加わるのか) 」
「練習艦の方も海上に軟着陸して、現在は海中で修理中です。」
「沈んだのか (余計に不味いぞ!) 」
「海上では邪魔になる巨体なので海中で修理すると連絡が入っています。」
「巨体とは?」
「海上空母の約3倍の大きさらしいです。 現在は駿河湾の海底にいます。」
ひと通り事件の概要説明と被害報告が終了し、今度は尋問に入る。
しかし、最初の質問から自分には責任はない、実験準備を行なった技術部のせいだとミサトが喚き散らす。
ミサトのフォローをする筈の日向は、心ここに在らずと意識が跳んでいる。
もともと初期段階で日向が引き金を引く予定だった。
その時には当初予定の出力に設定された状態になっており、そのままなら被害は起きなかった。
被害は発生したのは、引き金を引きたいと予定外の行動を取った作戦部長である葛城ミサト。
もともと実験の注意事項などを予め読んでから参加しなければならなかったのだが、尋問で読んでいなかった事が判明。
さらに出力をあげると、どんな事が発生するのかを実践してしまった。
「葛城一尉 キミは実験要綱は読んだのかね?」
「いつもの試射実験なら起きない事件でしょ。」
「聞きたいのは、読んだのか! 読まなかったのか! だ!!」
「どうせ、通常の試射実験でしょうがぁ 判るわよ。」
「という事は読んでいないな。」
「読んでいたら、事件は起きなかった…とでも言うの!」
「そうだ! もともと出力20%を越えると、的を貫通してしまう事が先に判っている。」
「なんですって (焦) どーいうことよ (日向は気絶中) 日向君、起きて!」
「ここは何処…って言ってる場合じゃないな。 なんでしょう葛城さん」
「試射実験の出力設定って」
「はい 今回の試射実験は出力20%までになっていました。」
「なんで、そんな中途半端な出力で」
「事前に試射実験の説明書に書いていた通り、それを越えると的を貫通する可能性があると書いていましたが…」
「んな (不味い) 」
「ま・さ・か… (大汗) 知らなかったんですかぁー」
呆れて言いたい言葉が思い付かない将校たち。
各部署から上がっていたクレームが実際に判ったネルフ司令部。
(主に技術部が上げていたクレームで作戦部長は書類を読まない…という内容だったらしい)
議員たちは、原因を作った作戦部長を睨んでいた。
「(コホン) あー 当事者への処分等についてはネルフに任せるとして問題は子供たちだ。」
「あ・あぁ そうだな。 第2新東京市の方は受け入れ先が見付かるのかね。」
「それが (汗) 一部の者がコッチの学校を希望している。」
「まあ、コッチの方も分散させれば大丈夫だが、受け入れられるか。」
第3新東京市の議員たちは、受け入れ先である学校の分散受入れができるが検討するが…
「もともと高校は1校だけだったのと中学校もキャパの関係で無理。」
「という事は、学園しか受入れ先が無いという事か (困った)」
「まあ、そっちの交渉は議会の方で交渉する事にしよう。」
「あの2人についてはネルフに任せるので、我々は退出させて貰おう。」
議員たちは、退出して行く。
ネルフからの要請で、ある条件の中学生たちが意図的に同じ第壱中学校の同じクラスに集められている。
その点を変えないように、学園の中等部へと受入れて貰う様に交渉しなければならない。
また、破壊した建物などについても詳細に調べた後、請求書を作成しネルフへと送らなければならない。
やらなければならない問題を抱えて帰って行った。
残った軍上層部とネルフ司令部で、処分が決められる。
結局は、ネルフの更に上から通達が回っていたみたいで、降格は無いが減棒で済ませることになった。
また、作戦部長の経歴を調査したところ、色々な不都合が明るみにでて、軍上層部は頭を抱えた。
( 特務権限を都合良く使いまくった内容がボロボロと… )
この件については、現在も調査中で、まだまだ出そうな雰囲気。
現時点で判明した件は、まとめて減棒処分に混ぜることにして、以降はネルフ副司令に一任された。
( 司令である髭は、いつも通りに、丸投げしたワケだ。 こういうのも問題なんだが )
※気持ちよく晴れた第2新東京市※
郊外にある第参中学校の校門前では登校してきた生徒たちが呆然としていた。
それはそうだろう。
緊急事態で市外へと家族ごと避難して帰ってきたら、学校がなくなっていた。
理由は、第3新東京市の特務機関ネルフの実験で衛星が落下して中学校がなくなった…と知れ渡っている。
第3新東京市からネルフが政府報道を操っているのだが、それ以外は抑えようとしても抑えきれないほど大小さまざまある。
特に信頼性が高いのが碇財団の報道機関。
情報次第では、財団が動くこともあるので、情報の細かさや信頼性は高い。
同じように落下した練習艦からの生映像もあり、第2新東京市だけでなく、その他の都市にも広まっている。
「学校 なくなったね。 あ・ははは…はぁ〜 これから、どーしょっか?」
「どーしょっかもないけど、まあ、先生から何か連絡か説明があるでしょ。」
校門前に集まっている生徒たちの口々から溜め息と言うか、いろいろ話している。
遠くから重機を積んだトラックがやってきて、次々と学校内へと入っていく。
どうやら中学校の建て直しにきた工事関係者らしく、工事のお知らせの看板を立てていた。
その看板の中に、生徒たちを隣にある第弐中学の体育館へと移動するように知らせる物もあった。
※第2新東京市・第弐中学校・体育館※
「…という訳で、第2新東京市と第3新東京市へと分散という事になりました。」
とりあえず第参中学校は建て直しするのだが、その間は学業を停止させることはできない。
それで、第2と第3にある中学校へと分散することになった。
第2へ分散するのは、通学距離が伸びたので、通学バスが準備されるが、第3の場合は遠すぎる。
それで第3については希望者のみで、向こうにある寮へと住むことが説明された。
第3にも中学校が幾つかあるが、受入れ先は最先端の学校で有名な碇学園。
それも学園敷地内にある寮が準備されており、転校して、そのまま卒業しても良いことになっていた。
To be continued...
(2008.03.15 初版)
(2009.07.26 改訂一版)
(あとがき)
左半身麻痺中のハンドメイドです。
一応、退院したんですがパソコンの使用時間に制限がかかったまま。
作るのに夢中になりすぎて、睡眠時間が減るのを防止する為なのか担当医時間から時間制限が付けられています。
一応、その時間内に片手で書いているので、1話作るのにも、ひと苦労しています。
作者(ハンドメイド様)へのご意見、ご感想は、まで