リターンズ

第十二話

presented by ハンドメイド様


※碇学園・正門前※

「まさか、この学校に通うことになるとは思わんかったな。」 (トウジ)
「親父らの関係で第壱中しか入れなかったから。」 (ケンスケ)
「学校がなくなったんだから仕方が無いんじゃない。」 (ヒカリ)

正門の前で入るのを躊躇っている3人。
レイと仲良しのトウジ・ケンスケ・ヒカリが校門脇に立っていた。
その後ろには同じクラスの面々だけでなく、第壱中と第壱高の生徒たちが集まっている。
入ろうにも今までと違う雰囲気に呑まれて、なかなか校内へと入れない。
そんな3人組の後ろから忍び足で近付く人影。
すぐ後ろに辿り着くと大きく息を吸い込む。

「 わっ! 」 (レイ)

「「「 わわわわ・・・ (驚) 」」」
「 あっははは 驚いたぁ〜 」 (レイ)

ヒカリは近付いたレイに気付いていたので、両耳を塞いで難を逃れている。
気付かなかった2人は、後ろから急に声を掛けられたので、驚いて跳び逃げる。
後ろを振り向くと、碇学園の制服を着たレイが立っていた。

「 綾波きゃーぁー 驚かすなよ 」 (トウジ)
「 びっくりしたぁー (んむむむ 綾波の制服姿) 」 (ケンスケ)

驚かそうと声をかけた本人は、予想通りに驚く2人を見ている。
そして、まわりに集まっている人々をみて、思い付いた。

「まあ、みんなの表情から考えてみて」 (レイ)
((( ん 判るのか )))
「入りずらいんでしょ」 (レイ)
((( そう そう )))
「だってねぇ〜 第3の面々だけでなくって、後ろには第2の面々までいるんだもん。」 (レイ)
((( なに? )))

驚いてコケた状態のまま、同じ中学校の面々の周りには高校だけでなく、他の人たちもいた。
これも同じように、「入るにしても…」で歩みが止まっていた生徒たちだった。

「まあ、今日は学校の教育システムや通学方法などガイダンスがあるから聞いてみれば。」 (レイ)
「だけどさー 中学と高校が混ざっているんだぜー」 (ケンスケ)
「ほんまや いっしょにガイダンスって言ってもな」 (トウジ)
((( そう そう )))

固まっている人たちの前で説明しているのはレイ。
それに答えているのは、主にレイのクラスメートたち。
その他は、聞き耳を立てて聞いている。

「立ち止まっていても何だから、ガイダンスがある総合会議場へと行こうね。」 (レイ)
((( 総合会議場? )))

碇学園内には他の学校と同じように生徒会がある。
一応、各学校単位で運営されているが、学園全体の行事などがある。
各学校の生徒会がいる部屋や会議する場所として総合会議場という建物がある。
その他にも色々な使用方法があるが、今日は転入生のガイダンス場所として使用することになっていた。

「綾波さん 場所…分かるの?」
「えぇ ここって私ん家から近いし、ちょくちょく図書館に来ているから。」 (レイ)
「綾波さん家って?」
「うん 学園が建っている山の真裏。」 (レイ)
((( 知らなかった )))

K i i i i i i i i i i ・・・・・・

甲高い金属音と爆音を響かせた飛行機が学園上空を通過する。
学園を中心に周回するコースを飛行している飛行機。
真っ黒の飛行機のシルエットを見て、ひとり喜んでいるのは、ミリタリーオタクの相田ケンスケだけだった。

「すっごーい すっごい 宙軍戦闘機をナマで見れるなんてぇぇえ!」 (ケンスケ)
「なんで 宙軍が来てんだぁ」
「非常識ね! 低空飛行するなんて!!」

レイたちの後に続く塊から口々に文句が出てくる。
周辺の学生たちは慣れっこになっているのか、立ち止まることはあっても、ほとんどが急いで教室へと歩いている。
周回する飛行機に向けて鏡で合図を送るレイ。
その様子を伺うヒカリ。

「ねぇレイ あれって?」 (ヒカリ)
「うん シンジ君の機体。」 (レイ)
「向こうからも光っているけど、何って伝えているの?」 (ヒカリ)
「会議場で合流するって。」 (レイ)

レイが了解したことを鏡を使って伝えると、周回していた飛行機は飛び去って行く。


※総合会議場※

レイを先頭に、転校組がガイダンス会場に到着すると一同、呆然。
会議場と聞いたので、講堂ぐらいと思っていたのか、あまりの広さに驚いている。
正面に大きな画面があり、ガイダンスの席順を表示している。
それを見て、各自の席を探して着席する。
どこかで出席状況を確認していたのか、ガイダンスが始まった。

碇学園は前期・後期の2学期制度。
各自の時間割りは、各教科単位で選択し履修するようになっている。
その為、基本的な時間割りはあるが、人によっては上位レベルの科目が入ってくる。
各自の時間割りを見て、授業が行なわれる教室へと移動する。
一応、HRはあるので時間割りの始めと終わりには各学年単位で集まる教室が決められている。

ひと通りの説明が終わり、休憩に入ると、仲良しグループ毎に集まって雑談。

「トウジ ちょっと時間割り見せて」 (ケンスケ)
(ん ホレっ)

トウジの時間割りを受け取ったケンスケは並べて、各教科を比べてみる。
しかし比較に選んだトウジの知識レベルは、同じぐらいなのか時間割りも、ほぼ同じ。
まわりの人のも見てみるが、ほぼ一緒だった。

「なんだ、みんな同じか。」 (ケンスケ)
「そりゃそうだろ。 同じクラスだからな。」 (トウジ)

男子グループの隣には女子グループがいて、そこから驚きの声が上がった。
驚きの原因となっているのは、みんなが持っている時間割の用紙。

「ねぇ ちょっとちょっと。 ヒカリの時間割り。 私たちのと違う!」
((( どれどれぇ )))
「これよ これ! 国文系だけ高Tになってるの!」
((( えぇ〜 うっそぉ〜 )))
「こっちも驚きよ! これレイのだけど…」
((( うっわぁ〜 高校の科目ばかり )))

驚きが渦巻くグループの中心にはレイとヒカリがいる。
そんな所へとシンジが遅れてやってきた。

「なに驚いているの?」 (シンジ)
「なんやシンジか」 (トウジ)

トウジたちは綾波とシンジの関係は、ちょい前から知っているので友人付き合い。
当然の事ながら、シンジ・トウジと名前を呼び合っている関係になっていた。

「なんか綾波と委員長の時間割りが、ちゃうっちゅうて騒いでいるだけじゃ」 (トウジ)
「そういえば高校の教科が混ざっているんだっけ。」 (シンジ)
「そうらしいけど。 そういえばシンジの時間割りは?」 (ケンスケ)
「僕のは時間割りってないよ! 全部、研究室行きってなっているし。」 (シンジ)
「大学院出てたって言ってたな。」 (トウジ)


んだとぉ〜
そんな事も知らないのか!

なんか下の広い場所では、在校生風の学生とガイダンスを受けていた学生と争っている。
その両方に分かれて、同じようなグループもあり、言い争いをしていた。

「ちょい、待ちぃや」 (トウジ)
「みんなも、どうしたの?」 (シンジ)

見かけによらず世話焼きのトウジが間に入ると、在校生との間にはシンジが入り込む。
そして、取っ組み合いをしていた学生達を別けると、それぞれの言い分を聞いてみる。

「こいつら国連報道をウソの報道だと言い切りやがった。」
「この町の報道とは違うから、言ったんだ!」
「だ・か・ら… それが違っているんだ。」
「報道は、どこも同じだろう!」

((( そうだ! そうだ!! )))

双方の理由を聞いて見ると、先日あった第3と第2で報道された内容。
どうも原因とされる内容が違っているために、喧嘩へと発展したらしい。

「なんで、そがいな事で暴れるんや?」 (トウジ)
「だって双方の代表者が、国連とネルフだもんなぁ。」 (シンジ)
「原因って何だったっけ?」 (トウジ)

「ネルフの報道って都合の悪い所を隠しているからねぇ。」 (シンジ)
「それって! 本当か!!」 (ケンスケ)
「うん。 ネルフの報道担当官って、ケンスケの親父さんだよね。」 (シンジ)
「あぁ… 今回の原因は国連が提供した武器にあったって聞いたけど…」 (ケンスケ)

「じゃあ 原因を辿ってみようか。」 (シンジ)
((( たどる…って、ど〜すんだ? )))

第2と第3の学生が学園に引っ越したのは?
通うべき学校が無くなったから。

なぜ、無くなったのか?
ネルフの実験で学校が破壊された。

なにの実験だったのか?
武器関係の試射実験だった。

試射実験で失敗した原因は?
試射兵器が暴発して爆発した (ネルフ側)
試射実験の程度を間違えて発射した (国連側)

「なんや 試射実験での失敗が原因なんか。」 (トウジ)
「でもさぁ、暴発と程度の間違いって何なんだろ?」 (ケンスケ)

((( うぅ〜ん? )))

「だったら、実際の映像を見て判断したら!」 (シンジ)

シンジの提案を聞いて、一同は驚きの表情を見せた。
それもその筈、ニュースで放映された映像の中には、試射実験の映像はなかった。
その映像を見てしまおうというシンジの提案に素直に驚いてしまった。

「そんな映像あるのか!」 (ケンスケ)
「実験だからねぇ〜 記録として残って当たり前だし。」 (シンジ)

ちょっと離れた場所ではヒカリが記録媒体を機械にセットしていた。
準備が整うと、機械の操作をするリモコンを持ってきて、ケンスケへと渡した。
みんなの顔色を伺ってから、手渡されたリモコンを操作する。

※第11話の映像※

映像を食い入るように見ていた一同の反応はない。
映像の内容が問題といったら問題なんだが、理解できないのが真実だろう。
しかも、みんなが見ている映像は、事故発生の翌日にあった会議室での映像。

実験の映像や、事故で被害を被った内容を全部、映像として見ることができた。

((( ネルフの作戦部長って、アホ/馬鹿/能無し…なのか! )))

やっとこ理由が判ったのか、国連側の学生がネルフ側の学生に優しい言葉を掛けている。

( 親父ぃぃぃ なんで真実を報道しないだよぉぉぉ ) (ケンスケ)
( 綺麗なネーチャンで頭イイと思っといたけど、中身はカラなんやな。 ) (トウジ)


※学園内にある公園のベンチ※

校舎をつなげる道には休憩できるようにベンチが設置している。
もちろんベンチの脇には植樹されている木があり、適度の日陰を提供している。
その1つのベンチにトウジは引っ繰り返って、脇にいるケンスケと話していた。

「う〜ぅ〜 あっちぃのぉ〜」
「仕方が無いよ。 気候が夏なんだから、暑いのは当たり前だよ。」
「でもなぁ〜 日陰でコレやけど、近くに涼しい場所ってないんかいな。」
「あることは、あるけど…」
「あるんなら、移動せんかぁ〜」

あまりの暑さでバテている2人に近付く、ちっこいの。
よくよく見れば、小学生だろう。
小学生グループが、団体で移動していたが、そのうちの1人が、ベンチで休んでいる2人組に近付いた。

「兄ちゃん、何しとるの?」
「なんや、夏美かぁ。」
「どーせ、暑いのと面倒っちいから、寝てるだけやろ。」
( うっ 図星やなぁ )
「けっ ほっとけやぁ 暑いもんを暑いって言って何が悪いねん。」
「お天道様に文句言っても、涼しくなるわけないよ。」
( まあ 確かに )

「おいおい トウジ 涼しい所に移動するんだったら移動しようぜ。」
「そうやな んで、どこに行くんや?」

「ウチらんとこ来る?」
「夏美んとこ、涼しいんか?」
「うん♪ ラルちゃんが良く行っている場所が、涼しいんよ。」

夏美が紹介したラルをトウジたちが見る。
一見しただけでは夏美たちと同じような小学生だが、外国人っぽい。
確かに綾波のように肌が白くて特徴的だが、さらに金髪は目立つ。
そんな容姿なのに自分の背丈より長い筒状の鞄を肩から掛けていた。

風変わりな小学生を混ぜたグループの後に続く中学生2人。
涼しい所に行けるなら・・・と、愚痴りながらも小学生グループたちの後を付いて行く。
色々な建物を通り抜けて行く先には、シェルターのようなゲートが見えてきた。

「おいおい、この先ってシェルターじゃないのか?」
「兄ちゃんの眼って悪いんか。 良く見てたら違いが判ると思うけど。」
「扉に文字があるから読んでみたら。」

夏美やラルが言っているゲートには大きな英文字で何か文章が書いてある。
トウジも見えているが、そこは中学生でも赤点スレスレでは判る訳ない。
代わりにケンスケが読んで、この先に何があるのか判ると、眼をキラキラさせていた。

「トウジぃ〜 すっごい所だよ。 ここはぁ〜。」
「(気持ち悪いやっちゃな) んで、どこなんねん?」
「ここって射撃練習場なんだよ。 うぅ〜ん、感激だなぁ〜。」
「射撃練習場って、軍や警察の施設じゃないんか?」

「兄ちゃん、パンフ読まんかったんか! 学園内の警備は財団がやっているから、警備部も隣接しているって。」
「そういやぁ、そんな事も書いてあったな。」

文句を言いつつ、そのままゲートを通過すると、どこかの役場みたいな部屋へとなっていた。
使い慣れているのか、小学生グループは、壁際に置いている用紙を1枚ずつ取っている。
初めて入った場所だったので、夏美が兄たちに説明した。

「今いる場所だけど、射撃練習場に入るための許可証を作る部屋なんよ。」
「許可っているんか?」
「当たり前やないか。 中では実弾・・・撃っているから、入退室制限しているんよ。」

目ざといケンスケが、用紙を取って来て、早速、近くにいる小学生たちが書いている内容を確認して、自分も書き込みしている。
トウジも夏美に指導されながら、用紙に必要な内容を書き込んだ。

「用紙の準備が終わったら、学生証といっしょに窓口に提出して。」
「お・・・ おう。(なんや勝手が違うのぉ)」
「提出したら、どうするんだい。 夏美ちゃん。」

夏美たち小学生グループは、さっさと書き終えて窓口に提出。
窓口近くの椅子に座って大人しくしていた。
トウジたちも言われた通りに、用紙を提出して、同じように座って待っていた。

少しの間、待っていると、窓口の担当者が、ラルの名前を呼んでいた。
呼ばれたラルの隣にはケンスケが座っていて、椅子から離れる時に、ラルの荷物を預かった。
・・・が、預かった荷物が重すぎて動けない。
傍目には、膝の上の荷物を持ち上げようと悪戦苦闘して、ジタバタと暴れていた。

「トウジ、 ちょい、手ぇ貸して。」
「何やっとんのじゃ、ケンスケ。」
「ラルちゃんの荷物が重すぎて、立ち上がれないんだ。」
「アホぬかせ! 小学生が持っといた荷物じゃろうが。」

ケンスケの膝上にある荷物を持ち上げようとするが、持ち上がらない。
何が入っているのか判らないが、ちょうど椅子の肘掛の上に載っているので、膝には重さが伝わっていない。
2人が力をあわせて持ち上げようとするが、荷物はびくともしない。

「兄ちゃんら、何しとん?」
「ラルちゃんの荷物が重すぎて、動けないんだ。」
「あっははは・・・ やっぱりね。 この荷物って、ラルちゃんが来ないと持ち上がらないよ。」
(( なんで? ))

トウジとケンスケは暴れ、もがいている。
その様子を夏美は面白そうに眺めている。
いっしょに来ていた夏美のクラスメイトたちも肩を震わせて笑いを堪えていた。

「ほい、 夏美の許可証。」
「うん、ありがとう。」

窓口から帰って来たラルは、ひとりひとりの名前を確認しながら許可証を渡していく。
荷物を持ち上げようと格闘している2人にも許可証を渡すと、事も無げに荷物を持ち上げて歩いていった。
2人がかりで持ち上がらない荷物を軽々と持って行く姿を見て、茫然自失。


※射撃練習場の個室※

許可証を貰った役場のような部屋から次の部屋へと移った。
扉を抜けると、壁際を真っ直ぐに置くまで続く廊下があった。
壁とは反対側を見ると、マンションのように一定間隔をおいて扉がある。
扉には番号が付けられており、扉の横の掲示板には使用者の名前が表示されている。
先を歩く小学生グループは、部屋の名前を探して、どんどんと先へと歩いて行った。

「今日は、12号室だから、真ん中ぐらいだね。」
「それじゃ、開放的でいいねぇ。」

「奥まで、なんぼあるんじゃろうか? 夏美」
「さぁ〜ね。 ラルちゃん判る?」
「確かレンジ1個で幅2m、個室1個で5レンジ、この建物は20部屋あるから、計算して・・・」
「「「 200m 」」」

あまりにも大きい建物に驚きつつ、割り当てられた部屋へと到着。
部屋の中へと入ってみると、部屋の真ん中に大きなテーブルがある。

テーブルの席に着くと、荷物の中から教科書やノートを拡げている。
夏美も、友達といっしょに今日、出された宿題と格闘していた。

「兄ちゃん、何しとん。 ここだったら涼しいでしょ。」
「まあ、確かに冷房が効いちょるから、暑くはないが・・・のぉ。」
「涼しいなら、いいんじゃない。」

部屋に入った扉とは反対側に、もう1個、扉がある。
その扉は透明になっており、練習場の様子が見えたが、的までの距離があるのか奥行きが判らない。

「のう、ケンスケ。 ここの奥って何んぼあるんじゃろうか?」
「普通の射撃練習場だったら、50mないけど・・・壁が見えないなぁ。」

「説明しよっか?」
「お願いします、ラルちゃん。」
(ケンスケ 小学生に頭下げるか? 普通せんぞ)

この施設は、学校に隣接する財団警備部の施設だが、更に奥は軍の施設になっている。
その為、この奥に進むと、さらにゲートがあり、軍の射撃場へとつながっている。
財団の警備部が使用する武器は、軍が使用している物と同じ物。
拳銃からライフルまで練習するので、奥行きが深い。
まあ、民間施設になるので、一番遠くても200mぐらい。
ちょうど、この部屋には、遠距離の的が準備されている。
さっそく、的をみようと備え付けられた双眼鏡を取り出し、的を探すケンスケ。

「さて、ボクも練習しよっと。 (おい・・・しょ)」
「あの重い荷物の中身は何なんじゃ。」
「ボクの道具だけど・・・ 重いかなぁ。」
「十分、重いぞ。 ワシら2人でも動かせんかったし、何が入っとるんじゃ。」

ラルは荷物の鍵を外して、中身を取り出すと、そこには・・・
黒光りする長くて無骨な物が入っていた。
使い慣れているのか、どんどんと中身を取り出し、レンジへと運び込む。
レンジに運び込まれた物を眺めていたケンスケが正体に気付いて、びっくりしていた。

「ラルちゃん・・・ コレって、対戦車ライフルだよね。」
「うぅ〜んっと、 ちょっとハズレ。」
「この長さで、ライフルっぽいのは、対戦車だと思うけど・・・ (むむむ)」

ラルは棚から3つの弾を持ってきて、ケンスケへと手渡す。
未使用の弾なので、薬莢付きだが、3個とも長さが違う。

「1番小さいのは拳銃の弾だけど、他の2つは?」
「2番目が、対戦車ライフルの弾。」
「ええぇ コレが! (だったら、もっと長いコレは?)」
「1番大きいのが、ボクの長々距離ライフルの弾。」

「対戦車ライフルの弾より、細くって長いけど・・・ 長距離用なのか?」
「そうだよ! 一応、対戦車ライフルの弾も使えるから、兼用になるのかなぁ。」
「これで練習って・・・ 使えるのか?」
「まだまだ上手に使えないから、練習してんの。」

準備を終えたラルは、淡々と的めがけて練習を始める。
ラルがいる隣のレンジでは、双眼鏡を持ったケンスケが的を注目している。
2人とも耳栓をしているので、声は聞こえない感じだったので、トウジは夏美がいる部屋へと戻った。

「よう、夏美。 あのラルって娘・・・ 何者なん? 銃なんか持っとるし。」
「ラルちゃんって、警備部の一員だからだよ。」
「警備部って碇のか?」
「ラルちゃんの苗字は、渚って言うんだけど、碇家に御仕えしているんだって。」
「でもなぁ〜 小学生に銃はどうかと思うけどなぁ〜」
「だったら兄ちゃんも志願したら・・・ 募集しとるし。」

夏美が指差す壁には1枚の掲示物。
ラルの射撃で満足したのか部屋へと戻ってきたケンスケも、いっしょに掲示物を読む。
そこには国連軍とネルフが募集している内容が書かれていた。




To be continued...
(2009.07.26 初版)


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