リターンズ

第十三話

presented by ハンドメイド様


※元第1中学2年A組がいる教室※

教室の隅では異様な雰囲気を出している生徒がひとり。
ミリタリーオタクで有名になりつつある相田ケンスケである。
ケンスケの手には、何やら1枚の紙があり、それを読みつつ奇声をあげている。
まあ、毎度の事と雰囲気を気にしないトウジがやってきた。

「なに馬鹿っぽい声だしとんのや、ケンスケ。」
「いやぁ この募集要項が書いている用紙を読んでいると、ついつい・・・ なぁ〜。」
「なんや、この前行った部屋に掲示していた紙やないか? 盗ってきたんか?」
「いいや、同じ物が出入り口にあったから貰ってきた。」

2人が仲良く読んでいる物を気にするのか、まわりの男子生徒たちも集まってくる。
そして、口々に要項の内容について意見を出し合うと、「面白そうだから応募してみるか」と興味本位の馬鹿が出る始末。
代表してケンスケが、みんなの分も含めて申し込みすることになった。

( 男子全員を書いても人数足りないんだよなぁ。 まあ人数合せに女子も入れてしまおう。)


※ネルフ広報部※

「部長ぉ 碇学園の端末から、候補生の応募が入りましたよ。」
「なんだぁ 国連が募集したアレだよなぁ ウチも賛同しといたんか?」
「窓口がウチになっていたみたいです。 ど〜します・・・コレ。」
「団体応募らしいから、関係各所へとまわしとけ!」
「はぁーい、了解です。」


※ネルフ技術部※

「せんぱぁ〜い 広報部から回ってきた書類なんですけど。」
「どうしたの?」
「コレって、シンジ君・・・ 知っているのかなぁ〜って内容なんですが。」
「どれどれ?」

広報部から回ってきた書類を見て、リツコは思案顔。
この応募者の名簿が、ある所に回ると、どーなるか考える。
生徒ひとりが代理で書いた名簿だが、了解を取ったのか問題になりそうな名前まで書かれている。

( まあ作戦部に回ったら、あの直情馬鹿が暴走するでしょうね。 )
( ついでに 司令部も同じかも・・・ねぇ )

募集要項に則って、いろいろな検査があるので、それの準備をすることにした。
そして、しっかりとシンジへの連絡も忘れずに行なう。

(Prrrrr Prrrrr Prrrrr カチャ)

「はい シンジです。」
「シンジ君 リツコよ。」
「リツコ姉さん どうしたんですか?」
「広報から回ってきた書類でねぇ〜 面白くなりそうな物があったのよ。」
「広報からって何でしょう。」
「国連とネルフ協同でって言ったら判るかしら。」
「協同で・・・ 候補生の件でしょうね。」
「どうするの。 生け贄に誰か使う?」
「寸前までで大丈夫では?」
「そうね。 その方が効果的だよね。」
「えぇ そうして下さい。」
「じゃぁ、その方向性で進めるわ。」
「宜しく御願いします。」


※ネルフ作戦部※

作戦部長オフィスに珍しく住民がいた。
・・・というより始末書に追われて帰れないと言った方が正しい状態。

この人物、何枚も始末書等を書いているのに階級が落ちていない人物と言ったら判るであろう。
もともと、この人物のいる組織・・・トップ自体が学者からの転向者。
罰といったら文書が先で、立場的な物は後回しになっている感じ。
その為、始末書で山が出来ているのに、階級が下がらないのも道理である。

部屋の中では部長である葛城ミサトと、部下である日向マコトが部屋へ閉じ込められていた。
扉の外には司令部からの御目付け役である黒服が門番よろしく立っている。

「もぉーやだー 日向くん あと何枚あるのぉー」
「葛城さん、 頑張りましょう。 あと1ヶ月分で、1週間缶詰になった苦労も報われます。」
「もう自棄よ。 あと1箱頑張るわよ!」

こんな調子で爆発している作戦部長。
実際は部下が、ひと通り確認して、判子マシーンと化している作戦部長へと渡しているだけ。
重労働を引き受けているのが、日向マコトであった。

〜 そうしている内に 〜
机上の山積みになっていた書類の山が消えてしまい、あと少しの状態。
広報部から回ってきた書類を読んでみて、まず日向が驚いた。

「 はい! はい! あと数枚ですがぁぁぁ (なんだ、コレは?) 」
「 どったの? 」
「 ちょっと待ってて下さいよ (どこに行ったぁ〜この要項は!) 」

日向が最後の書類を持ったまま、処理済みになっている書類の山を崩して何かを探している。
保留になっている書類を引っ手繰って読んでみると、ミサトも大声をあげてしまった。

「 なんですってぇー 」
「 葛城さん! 注意事項があるんで、読むだけ読んどいて下さい。 (どこ行ったぁ) 」
( なに ・・・ なにぃ〜 )

都合の良い所しか記憶しない作戦部長らしく、単純に使い勝手の良い駒が増えたと喜んでいた。
やっと書類の山から要項書を探し当てた日向だったが、肝心の部長がいなくなっている。
部屋の外で門番と化していた黒服も居なくなっており、部屋に放置されてしまった。

さて黒服を引き連れた作戦部長は、どこぞの道路をかっとんでいた。
道路の先には、何があるのだろうか。


※ネルフ本部 初号機ケイジ※

照明が点けられたケイジ。
初号機の顔の前には、中学生のグループがいた。
エントリープラグの傍には作戦部長である葛城ミサトが立っていた。

「さて、候補生の皆さんは順番にエントリープラグでのテストを受けてもらうわ。」
「「「 えぇーーー 候補生って何ぃーーー 」」」
「応募者名簿の通りにいこうかしら・・・ えぇっと最初は相田ケンスケ君ね。」
「はい♪」

ケンスケは応募したのもあるが、クラスの名簿順でも1番だったので、呼ばれるのを心待ちにしていた。
そして予想通りに呼ばれて、テストとなったので有頂天になっていた。
しかし、技術部主催の落とし穴が準備されているのは知らなかった。

意気揚々とエントリープラグに入って、説明の無いまま、シンクロテスト。
このシンクロテスト、しっかりとLCLも入っている。

「うわわわ 何んですかー 衝撃吸収ジェルじゃないですし。」
「あぁー それLCLって言ってねぇ 呼吸できるから肺まで入れて!」
「はい・・・ って、溺れろ!って事ですか」
「まあ、有体にいったら、そうね。」
「いやだぁぁぁぁぁ 出してくれぇぇぇぇぇ」
「つべこべ言わず、さっさとやる!」

こんな、やり取りを目の前で、やられたら、他の見学者はドン引き。
無意識のうちに、ゲージの端っこへと避難してしまう。

『候補生となって英雄になるんだ』と軽い気持ちで受けたケンスケも冷や汗ダラダラ状態。
説明されていない内容で怒られるわ、LCLで溺れさせられるわで散々。
なんとか準備が完了し、テストが始まったのだが、外ではパニックが発生していた。

何というか、このテストに係わっている人たちは全員作戦部と司令部のみ。
肝心かなめの技術部が、ひとりもいないので準備完了するまで行ったのは奇跡だろう。
実際に、実験開始すると、異常警報が出てしまい対処できないままパニック状態に陥っていた。

放送で技術部を呼び出し対処させるも、設定不十分で開始したために、止めるのもひと苦労な状態。
LCLの強制排出を行ない、テストに入った中学生を引きずり出して、強制停止させた。


※ケイジ近くの会議室※

相田ケンスケを含む中学生たちは、そのまま近くの会議室へと連れて行かれた。
会議室に到着すると、候補生について争論となった。

「 候補生って、ネルフが持っている兵器のパイロットのことだろ! 」
「 そんな応募した覚えないのに・・・ 」
「「「 そうだ そうだ 」」」
「 誰が応募したんだ! (怒) 」

結局、会議室内にいる中で、実際に希望したのは約半分。
要項を読んでみると、確かに会議室内にいる人数が募集人数になっている。
しかし希望者は半数なので、だれかが人数合せのために書き込んだのがバレバレだった。

希望者が吊るし上げにあうと、口々にケンスケの名前が出た。
あとは予想通りに、人数合せになった方々からボコられて、ボロ雑巾状態で放置。

そこへ今回の実験の主犯である作戦部長の登場・・・ というか司令部の黒服たちによって連行されてきた。
あとに続くは、技術部のE計画関係者。

「 さて、ミサト・・・ 何か申し開きある。 」
「 申し開きって、 候補生たちのシンクロテストをやっただけじゃないの。 何か問題ある? 」
「 また、要項書を読んでないんでしょ。 」
「 べぇつにぃ 」

順番に説明すると・・・
申込者の身体状態のデータ取りを兼ねた健康診断。
基礎体力を測るための運動能力テスト。
模擬体を使用しての各種テストを行ってから、最後のシンクロテストを行うことになっていた。
こんだけ段階を踏んでいるのには訳があるのだが、作戦部長は、面倒で済ませていた。

「 まあ、ミサトの責任で、シンクロテストをするのなら、技術部は参加しないわ。 」
「 そんなぁ〜 技術部がいないと調整できないでしょ 助けてよぉー 」
「 よりにもよって初号機でシンクロテストだなんて、死亡確実のテストなんてする気はないわよ。 」

「「「 死亡確実 !!! 」」」

「 死亡確実って大袈裟なぁ 」
「 じゃぁ さっきのシンクロ異常は何なんでしょうね。 」
「 それこそ調整不足から来るんじゃないの 」

またもや注意事項を読んでいない作戦部長だけでなく、軽い気持ちで参加した中学生たちにも聞かせる。
もともと 初号機や零号機は実験機。
弐号機でさえ、正式版のプロトなので、候補生たちが乗る予定の機体は参号機から。

「 初号機のメインパイロットのシンクロ率って、どのぐらいか知っているの? 」
「 最初の起動時に 現在の弐号機と同じぐらいって。  」
「 あれからの訓練で、90%後半から下がらないのよ。  」
「 うっそ・・・ (汗) 」

「 あの後、専用機の調整をしたから、予備機のシンクロテストで数値越えしないと、吸収されるわ。 」
「 だったら候補生たちは・・・ 」
「 エヴァの滋養になるだけね 」

事の重大さに、頭の回転が鈍い作成部長でも判った様である。
しかし、さらに追い討ちを掛けるように、過失による重大事項を伝える。

「 ミサトが要項を、ちゃんと読んで暮れれば良かったんだけど・・・ 」
「 なによぉー 」
「 この子たち、どうするの? 」
「 どうもこうも、要項に則って、テストするわよ。 」
「 もう遅いわ 」

正規の手順を踏んで候補生となりケイジへと案内されれば問題はなかった。
重要機密の固まりであるエヴァを見た為に、希望していない生徒たちも組織的に組み込まないといけない状況になっていた。

「 ミサトが要項書通りに手順をふんでいたら、この子達の1割ぐらいで済んだんだけどね。 」
「 1割でもパイロットでしょ。 」
「 はぁ〜 読んでないのね。 」
「 なによぉー 」
「 その1割が候補生ギリギリなのよ。 」
「 ギリギリって、なに? 」
「 候補生になれるか、なれないかの、ギリギリってことよ。 」
「 ギリギリでも、1割はパイロットでしょ。 」
「 ミサトが思っているパイロットは、メインだけよ。 その下がサブ。更に下が候補生なの。 」
「 それじゃぁ、エヴァは・・・ 」
「 シンクロ値はでるけど、動かせないってトコロかしら。 」
「 それじゃぁ、意味ないじゃない。 」
「 要項書に書いてあるわよ。 そんな基本なことは! 」

日向から渡された要項書を読み進めると、ミサトの顔の色が変わる。
興奮状態の赤から、ドン底の青色。
最後には、バックに縦線が見えるほど、真っ白になっていた。

要項書によると、戦闘機動ができるシンクロ値を出して、尚且つ戦闘訓練を積んでいるのがメイン。
同じように訓練を積んでいて、シンクロ値が不安定だが、稼動できる水準なのが、サブ。
最後の候補生は、シンクロ値はでるが、稼動できる数字に達していない子供たちである。

今回のシンクロテストは、作戦部長の強引な方法で、途中の段階を、すっ飛ばし。
本来の手順通りなら、シンクロできない9割は、初期検査段階でアウト。
機密のキの字の知らないうちに帰ることになっていた。
しかし手順を、すっ飛ばした為に、帰る事ができない。

「 応募者リストを、ちゃんと読んでいないのも問題なんだけど。 」
「 なんで 」
「 ほら ココ読んでみて 」
「 (ココって) なぁにぃぃぃぃぃ 」

ケンスケは人数合せにクラス名簿を、そのまま出したので、シンジたちが入っている。
問題の箇所を指摘されて、馬鹿丸出しの大口開けてミサトは固まる。
そんな部長の後ろから肩越しに読んでいた日向も大汗だらだら。

「 赤木博士・・・ このメンバーは? 」
「 日向クンだったら判ったみたいね。 でも、これだけじゃないのよ。 」


※同じ会議室にいる子供たち※

ケンスケをボコ殴りにして、これからの事について、お互いにヒソヒソ。
仲良しメンバーで固まっている中には、シンジたちも混ざっていた。

「 いきなり黒服たちに連行されたけど、『また』みたいだね。 」
「 『また』作戦部長の暴走 」
「 なんや、その作戦部長って、あの映像の人かいな。 」
「 ネルフ名物…牛/猪/馬鹿/アホ/能無し…で有名 」

  ( おいおい 増えてるぞ )

「 まあ、ケンスケの馬鹿で、ここに来たけど、これから、どうなるんやろ? 」
「 普通なら説明に来ると思うけど、ここって普通じゃないからね。 」
「 どういうこっちゃ? 」
「 だって何も言わずに、リスト突きつけて連行する! 」
「 そういえば、そうじゃのぉ。 」
「 良識ある人が説明してくれるでしょ 」

子供たちがヒソヒソ話しをしている会議室に入ってくる大人たち。
顔を見ると、テストに立ち会っていた大人たちだった。

会議室は正面にスクリーンがあり、中央に演台。
そのまわりを囲むように席があった。

最初に到着した子供たちはスクリーンの正面を指示されたので座っている。
後から来た大人たちは、空いている左右の席へと座った。
よく見てみると、片方はネルフの制服たちで、反対側は白衣や作業着を着た人たちが座っている。
白衣の人たちは、テスト途中からきて、暴走した機器を操作して停止させたので、子供たちも薄々気付いていた。

「 さて、ミサト・・・ 何か申し開きある。 」
「 申し開きって、 候補生たちのシンクロテストをやっただけじゃないの。 何か問題ある? 」
「 また、要項書を読んでないんでしょ。 」
「 べぇつにぃ 」

  ( また読まずに始めたんだね )
  ( 読む…てのは何じゃい )
  ( ケンスケが持っていた用紙に説明って書いてなかった? )
  ( あれの事かいの 細かく書いてあったけど )
  ( あれって簡単に書いているけど、そのテストをする為の手順書があるんだよ )
  ( じゃあ あのネーチャンは・・・ )
  ( ちゃんと読まずに、テストしたみたい )

「 まあ、ミサトの責任で、シンクロテストをするのなら、技術部は参加しないわ。 」
「 そんなぁ〜 技術部がいないと調整できないでしょ 助けてよぉー 」
「 よりにもよって初号機でシンクロテストだなんて、死亡確実のテストなんてする気はないわよ。 」

  ( 死亡確実 ! )
  ( 死亡って、実験なのにか? )
  ( ケンスケ・・・ 気付かなかったの? )
  ( 軍事機密の実験で、失敗例はど〜なるか )
  ( 普通は、何も起きないだろ? )
  ( ここって普通じゃないからね )
  ( 失敗したら・・・ あははは 隠蔽かぁ ははは )
  ( ・・・・・・・・・・・・ )

もう会議室中央では、2人の女性が言い合いしている。
内容を聞いていると、暴走状態で実験を強行し、問題になっている話である。
さらに問題なのは、知らず知らずのうちに、その実験に参加していた事だった。

事の重大さを簡単に考えていた代表はケンスケたち男子メンバー。
もともと軍事オタクが集まっていた子供ばかりで、憧れが強く現実は考えていなかった。

大人たちの口論はヒートアップ。
なんでも手順通りに色々なテストを受けて、今日あったテストを最後に受ければ問題はなかったらしい。
この段階を、すっ飛ばして最重要機密を見てしまったのが問題らしい。

  ( ケンスケ どーすんだ。最重要機密って、アレだろ? )
  ( ああ エヴァって呼ばれる、あの機体だよ。 )
  ( 家に帰れるんだろうなぁ )
  ( どうせ子供だから、口止めして、帰宅になるだろ。 )
  ( そう簡単に行くんか! )
  ( 黙って様子見してろって、大丈夫だから )

正規の手順を踏んで候補生となりケイジへと案内されれば問題はなかった。
重要機密の固まりであるエヴァを見た為に、希望していない生徒たちも組織的に組み込まないといけない状況になっている。

「 ミサトが要項書通りに手順をふんでいたら、この子達の1割ぐらいで済んだんだけどね。 」
「 1割でもパイロットでしょ。 」

  ( やったぁ〜 パイロットになれる )
  ( 1割って なんだぁ )
  ( その1割に入っていないかな )

「 はぁ〜 読んでないのね。 」
「 なによぉー 」
「 その1割が候補生ギリギリなのよ。 」
「 ギリギリって、なに? 」
「 候補生になれるか、なれないかの、ギリギリってことよ。 」
「 ギリギリでも、1割はパイロットでしょ。 」

  ( 候補生? パイロット? どういう事だぁ )
  ( どっちにしても、あの機体に乗れる )
  ( はぁ〜 憧れのパイロットだぁ〜 )

「 ミサトが思っているパイロットは、メインだけよ。 その下がサブ。更に下が候補生なの。 」
「 それじゃぁ、エヴァは・・・ 」
「 シンクロ値はでるけど、動かせないってトコロかしら。 」
「 それじゃぁ、意味ないじゃない。 」
「 要項書に書いてあるわよ。 そんな基本なことは! 」

  ( それでも パイロットは パイロットだぁ〜 )

左右に分かれている片方の側。
副官らしい眼鏡をかけた男性が書類の束を、わめき散らす女性へと渡している。
手元に届いた書類を読んでいる人を見ていると、どうも様子が可笑しい。

「 応募者リストを、ちゃんと読んでいないのも問題なんだけど。 」
「 なんで 」
「 ほら ココ読んでみて 」
「 (ココって) なぁにぃぃぃぃぃ 」

学者風の女性が会議室正面のスクリーンに、ケンスケが提出した応募者リストを表示させる。
そして指摘した名前のみ、色付けされた状態になると、片方の表情が一気に変わった。

「 赤木博士・・・ このメンバーは? 」
「 日向クンだったら判ったみたいね。 」

スクリーンに表示されたリストが分かれて、左右2分割になると、特徴が判る。
子供たちも同じ表示を見て、左右に分かれた理由が、すぐに判った。
もともと碇学園にいた子供たちと、転校してきた子供たちに分かれている。
ちょっと違うのが、綾波や委員長が碇学園のリストに加わっている程度。

「 でも、これだけじゃないのよ。 」

左右2分割されていたリストが、さらに分割されて5分割になった。
左側は上下の2分割になり、右側には上中下の3分割になっている。

「 さて説明しないと、ミサトには判らないでしょうね。 」
「 なんでよ ( なによ勿体ぶっちゃって ) 」

スクリーンに表示されたリストの左側が、転校組である第1中学の子供たち。
反対側には、綾波や洞木の2人を含めた碇学園の子供たち。
左側の上が調査で判明した応募メンバーで、下は人数合わせで書かれたネルフ所属の親を持つ子供たち。
右側の上は空欄になっていて、中には国連軍の子供たちで、下は財団の子供たち。

「 聞き取り調査で判ったんだけど、今回の応募希望者は左側(第1中学)の上(ケンスケ含)だけなのよ。 」
「 じゃぁ、テストの続きは、そっちにいる子供たちだけね ( ラッキー 面倒が消えたわ ) 」
「 問題なのは、残りの子供たちが最重要機密を見た為に、ネルフ所属にしなければならない事よ。 」
「 そんなの簡単じゃない。 さっさと書類作って登録させるだけでしょ。 ( やったー 増えるぅ〜 ) 」
「 じゃあミサトの方で書類作ってね 」
「 日向くん♪ お願いね♪ 」

お願いされた日向たち作戦部所属の面々は、リストを見て固まっている。
ネルフ側の子供たちの場合は、候補生の前段階である練習生ということにすれば面倒は少ない。
国連軍の方も、要請という形で参加させることはできるが、今回の不祥事は流れてしまう。

最も問題なのは財団の子供たち。
チルドレンとして認められていない限りネルフ強制権は使えない。
練習生という状態では、要請しても断られる率が高い。
しかし、勾留してしまうと、表沙汰になり、さらに問題は大きくなる。

問題点を挙げていく日向を筆頭に会議室内は、さらなる問題発生で沸騰中。
逆に子供たちは冷静で、諦めムードになっていた。
さて、どういう所に落ち着くのだろうか。




To be continued...
(2009.08.16 初版)


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