暗闇の円舞曲

第六話

presented by 樹海様


 「EVA初号機発進!」
 その言葉と共に猛烈な速度で地上へと打ち上げられ、サキエルの眼前の装甲シャッターが開き、そこから紫の鬼神が姿を現す。
 後に第一直上会戦と呼称される戦いのそれが始まりだった。
  
 地上へと打ち上げられたEVAだったが、シンジは何やら憮然とした顔をしている。が、それに高揚したミサトは気付かず、リフトオフの命令を下す。ただ突っ立っているミサトを横にリツコからは「シンジ君?まずは歩く事だけを考えて」と指示が飛ぶ。
 「歩く、ね……」
 そう呆れたような呟きが返って来ると、次の瞬間、ズシン、と地響きを立ててEVA初号機は一歩踏み出した。その光景におおお、と発令所では歓声が上がる。
 至近距離にいた使徒はその姿に警戒感を強め、歩き続ける初号機はずしんずしんと使徒に迫り……そのまま使徒の横を無造作に通り過ぎた。一瞬遅れて使徒も「あれ?」という様子で振り向いてEVAを見やる。
 一瞬の空白の後、ミサトが慌ててマイクを引っ掴んで叫ぶ。
 「ちょ、ちょっと!何やってんのよ!」
 『何、とは?』
 シンジの声には冷たさが混じっているが、興奮したミサトはそれに気付かないでいる。これが歴戦の軍人ならもっと冷静に指示を出す事も出来るのだろうが、生憎大規模な軍事作戦の指揮など執った事もなく、実戦経験自体の回数が少ないミサトにはそこまで冷静になっての指示が出来ていない。
 「EVAは対使徒兵器なのよ!戦わなくてどうすんのよ!」
 まあ、ミサトの言う事はNERV発令所においては真実だったが。
 『いえ、自分は何も指示されてませんよ?作戦もないし、指示だって先程リツコさんでしたか?そちらの女性からの『歩いて』以外何も受けていませんが?』
 というか、そもそも動けるかどうかぐらい少しでも時間かけて試すぐらいしませんか?と呆れた様子で告げられて、興奮して頭が真っ白になっていた事にようやっと気付いたミサトやその補佐を務める日向マコトは赤面する。
 シンジにしてみれば、発射するならせめて事前に一言ぐらい声を掛けろ、と言いたいし、そもそも作戦はまだ伝達されていない。動くかどうか、電磁カタパルトに移動させた状態でも腕ぐらいなら試してみるのは可能だったろう、と言いたい事が満載だ。が、今はそんな時ではないと割り切って、その辺りは後回しにする事にした。なにより。
 一足先に我に返ったのか、使徒が動きだしたが故、そんな事で時間をかける余裕が消えたからだ。

 「!いけない、よけて!」
 思わずミサトが叫ぶ、背後で再び動き出した第三使徒がEVAを敵と看做したのか、腕を振り上げるのが見えたからだ。その声に応じて、EVAは素晴らしい動きで跳び退る。
 『……成る程、これがシンクロによる脳波コントロールですか』
 「そう、そうなのよ!」
 興奮しているのはリツコだ。遂にEVAが目の前で(まともに)動いている、という事実に興奮しているようだ。
 『それで作戦は?』
 その言葉にリツコはミサトに視線をやる。だけでなく、周囲から視線を向けられている事をミサトは感じ、焦った。
 「え、えーと実はね…」
 内心焦りながら、今回がEVAが初起動だった事を説明して、戦力分析が出来てない事を伝える。周囲の者、例えばオペレーター達などはそういえば、という表情で納得したような素振りを見せたのだが。
 『……作戦ってひょっとして葛城さん、EVA単体だけで考えてませんか?』
 「え?どういう事よ」
 『……例えば相手をどこそに追い込むとか、現在ある火力はどこにあるからこれをこう使うとか、或いは敵の動力システムは熱とかからここにあると考えられるから、こういう作戦で相手の動きに隙を作るからそこを狙えとか、ないんですか?』
 そう問われて、絶句した。
 そう、作戦とは単体で行うものではない。ミサトはEVAの能力が分からないから作戦の立てようがないのだ、と言ったが、それならEVAの性能を幾つかのパターンに分けて考えれば良かったのだ。何せこれまで時間はそれなりにあった筈なのだから。イメージで言えば、部隊が新兵で構成された場合と、熟練兵で構成された場合とでは当然その部隊の戦闘力は異なる。だが、それでも出来る範囲で何かしらの相手より優位に立てる方法を探る、それが作戦だ。
 が、ミサトにはそうした連携作戦の経験はなかった。彼女にあったのは、歩兵同士による戦いの経験。或いは実戦経験を積む為のテロリスト相手、或いは護衛任務における交戦、それらがミサトの脳裏にあり、当然だが、その場合求められるのは歩兵個人の純粋な戦闘力であり、その場その場における対応だ。じっくり、どうやって相手を追い込むか、なんて現場の人間である自分に要求される事柄ではなかったのだ。
 敵は人間だから、いちいちどこが弱点だなんて分析しない。脳天をぶち抜けば誰であっても死ぬし、他からの火力にしたって狙撃班とかがいたのは確かだが、彼らが動いた場合自分達の出番なんてなかった。
  
 一方シンジは異なる。
 戦術と戦略は違うとみっちり教えられていた。この辺は戦術面より戦略面で互いに、或いは他組織と丁々発止とやり合っているアルトルージュやトラフィムからの影響が大きい。そしてトラフィムからは『如何に効率よく部下を殺すか』それが指揮官たる役割だが、裏を返せば『如何に不要な犠牲を出さないようにするか』も指揮官の仕事だ、と教えられていた。
 そして、自身が置かれた状況は少しでも自身を優位に置く為ならば何でもした。せざるをえなかった。周囲の力を権威を利用し、自身により有利な立場を作る……そうしないと生き残れなかった。今は大分マシになったが……。
 そのシンジの視点から見れば、たとえEVAが使えずとも幾等でも作戦を練る方法はあるものなのだが……そう考えつつも体は動き、相手の攻撃を回避している。
 これは分割思考をある程度取得している為だ……といっても、本職のようにはいかず、せいぜい3分割程度だがそれでも戦闘においては圧倒的なアドバンテージとなる。かくのごとく、基本シンジの業というのは幾つかのいいとこ取り、という面はあるが、短期間で実戦的になるにはそれが一番でもあった。
 閑話休題。
 『とりあえず、作戦がないのであれば、こちらで好きに動かせてもらいますが、よろしいですね?』
 ミサトが沈黙しているのはいい案が思いつかない為だ。さすがに、次はパンチだ、次はキックだ、等といちいち指示を出すなんてのは作戦じゃない事ぐらいは分かる。というか、それでは戦えまい。かといって即座に作戦案は思いつかない、だから。
 「……分かったわ」
 それだけ呟いた。その顔は苦渋に満ちていたが。

 『赤木さん、一つ確認したいのですが』
 「何かしら?」
 ミサトの了承を得て、シンジは尋ねる。
 『相手の動力炉とかエネルギー源とかはありますか?』
 「……一応相手のエネルギー反応が一番高いのは前面についてる球体よ」
 リツコは戦闘開始後、ずっときちんとデータを取っていたから、その辺は理解していた。
 『弱点とも言える部分がむき出しとはまた変わった相手ですね……ありがとうございます』
 そして、戦闘が始まった。

 その戦闘は確かに、NERVの視線を釘付けにした。
 「……リツコ」
 「……何かしら」
 「……シンジ君のシンクロ率って30ぐらいだっけ?」
 「……37.4%よ」
 すかさずリツコが修正する。
 「そう、それ……それでこんだけの動きって出来るもんなの?」
 その質問にはリツコは答えない。
 シンクロ率からすれば、シンジはEVAの全力からはほど遠い部分しか引き出せない筈だ。シンジ自身も思うように動けない感覚がある筈……だが、EVAの動きからはそうしたもたつきは感じられない。それはすなわち……。
 (……シンジ君がそうしたハンデを受けた戦いに慣れているか、それともシンジ君の上限が遥かな上にあるか…)
 その両方だとは思ってないが。

 一撃。
 ナイフを片手に突き出されるパイルをかわし、その腕へと斬りつける。
 踏み込んだサキエルの足先へと叩き込まれた踵がその機先を制し、出足を挫く。
 見た目に於いて圧倒するEVA初号機。けれど、その決着はつかず。
 それは絶対の盾故に。
 崩れた態勢に合わせ、差し込まれるプログレッシブナイフはその前に立つ赤き盾が防ぎきる。
 ATフィールド。
 其は心が生み出す絶対領域。
 如何に汝が我より優れた舞いにて魅せようとも、如何に汝が我より優れた技を奮おうとも。我に全てを防ぐ盾がある限り、汝に勝ちはなし、そう言わんばかりに全ての一撃を防ぎきる。

 「……厄介なものだね」
 つと一瞬の間を活かし距離をとる。
 『どう?シンジ君』
 間が空いたと見て取り、ミサトが聞いてくる。こうした一対一の白兵戦ならばミサトにも理解出来る領域だ――ATフィールドと呼ばれるもの以外は。実際ミサトから見てもシンジの体さばきは優れたものだ。ナイフの扱いもまず満足いくもの……普通なら確かに膂力はあっても動きが単調な使徒は全身を朱に染めて倒れていてもおかしくないのだが……。
 『リツコ、EVAもATフィールド展開出来ないの?!』
 『無理を言わないで!理論上は可能だけど実際に展開はまだなのよ!レイもアスカも』
 ……戦闘中に口論を始めないで欲しいものだ、まあ、現実にもあるらしいが、せめてマイクぐらい切れよ。そうシンジが思ったのは無理もあるまい。
 「えー……とりあえず現状対策はないんですか?」
 『……ないわね。一応その機体も張れる筈だし、張れれば相手のATフィールドを中和可能な筈なんだけど』
 会話していたとて、分割思考故に敵は確認し続けていた。だから、それは情報をろくに与えず前線に放り出した司令部の面々のせいとしかいいようがないだろう。知らなければ対応のしようがないではないか、相手が仮面からビームを撃ってくる等。
 
 「「「ああっ!」」」
 思わず、オペレーター達から声が上がる。メインスクリーン内にてEVA初号機が使徒から放たれた光線の直撃を受け、吹き飛んだ為だった。
 ミサトの表情は苦渋に満ちている。誤解されないように言っておくならば、彼女も出来れば作戦を立てて使徒戦に優位な形を築きたい。けれど、彼女はどうやればこの状態から戦況を変える一手を打てばいいのか分からない。
 リツコは平坦な表情で分析を続けていた。
 彼女はここでもあくまで科学者だった。或いは科学者としての自身に逃げていたのかもしれない。それでも今自分に出来る唯一の事は状況と敵である使徒の分析であり、それは必ず何かに繋がる筈だった。
 冬月は何時も通りの様相で平然と立っていた。
 ゲンドウもまた何時も通りに手を組んで座っていた。
 ……この二人は初号機が吹き飛ばされた時も焦りさえ見せようとはしなかった。――まるで何かを待っているかのように。
 そして、それは起きた。
 吹き飛ばされたEVA初号機が起き上がる。その様を見て……ゲンドウは呟く。
 「勝ったな」、と……。
 だが、生憎それは少々早かったようだった。勝利ではない。彼の思惑が、だ。

 ぐぐ、と頭を抑えるような素振りを見せた後、初号機は。
 顎部拘束具を引き千切って吼える。
 「!まさか暴走!?」
 思わず声が洩れる。
 EVAには実際様々な欠陥がある。滅多な人間とはシンクロせず、パイロットとなれる者が極度に少ないのもその一つだし、痛みがフィードバックとして搭乗者にまで感じられるのもそうだが、その中でも最悪の部類に入るのが、この暴走と呼ばれる現象だ。こうなったEVAは制御を無視して暴れ回る。現在零号機が拘束状態にあるのも、パイロットであるファーストチルドレン綾波レイが重傷なのも、前回の実験で機体が暴走した為だ。
 だが。
 リツコなりが計器を確認する前に、EVAはぐぐ、と体を沈め、ナイフを構える。
 そこには暴走のような形振り構わぬ獣同然の姿勢なぞない。
 「む?」
 ゲンドウも訝しげに唸る。
 だが、それは余りにも碇シンジと呼ばれる少年を侮辱した行為だろう。今の彼はろくに喧嘩も体験した事のない線の細い少年ではない。幾多の命を賭けた戦いすら越えてきた歴戦の強者なのだから。
 ドン。
 そんな音が響いた。
 より早く、より素早く。
 踏み込んだEVAを迎撃すべく再び仮面が光るが、するりと側面へと回り込み、放たれたビームは虚しく街を穿つ。
 そのまま肘打ちが使徒の脇へと打ち込まれ、大重量の一撃に使徒はそのバランスを崩す。
 更に追い討ちと向かうEVAを阻むべく再度展開される赤き盾。
 それを。
 振るわれるナイフが切り裂き更に前へ。
 「え?」
 呟いたのは誰だったか。
 こんな時にも、否こんな時だからこそか。自らの仕事に注視していた伊吹マヤが叫ぶ。そう――それがある意味この戦いの行方を決定づける言葉だった。
 「初号機のプログレッシブナイフ、ATフィールドを纏っています!」と。
 元より戦いの技量自体は初号機が圧倒していた。第三使徒がそれでも尚戦場にて初号機と戦い続けていれたはただ、その絶対の盾があったが故。されど、盾が破られた時、そこに残るは正に幼子の喧嘩と玄人の戦闘。そこに待つ結末はただ一つ。
 それでも懸命に振り回された腕がナイフを持つ腕とは反対の腕で跳ね上げられ、そこに空間が空き。
 突き出されたATフィールドを纏ったナイフは深々と後にコアと呼ばれる球体へと突き刺さった。しかし、初号機はそこで動きを止める事はない。すかさずそのままナイフを引き抜こうとするなどという事はせず、バックステップで距離を取る。肉に食い込んだ刃は想像以上に抜けにくい。魔剣の部類でもない限り、ここまで深く刺さったならば下手に抜こうとする事は相手に好機を与えかねない。
 ……ましてや、相手が通常の生物とは限らない。コアを刺されたからとて、動きが止まるとは限らないのだ。
 だが、幸い。
 使徒にとって、コアとは致命的な弱点だった。
 コアへとナイフが突き立った瞬間、びくりと体を震わせた第三使徒サキエルはぶわりと膨らんでEVA初号機に掴みかかろうとしたが、バックステップで既に逃れていた初号機を捕まえるには至らず。
 そのままぶくぶくと膨らみ、次の瞬間。

 「どうなったの!」
 ミサトの声が発令所に響く。
 先程までの攻防は殆ど発令所では分からなかった。気付けば、懐へ飛び込んだ筈の初号機が再び距離を取り、次の瞬間には使徒の形状が変化したかと思うと、発令所のメインスクリーンが真っ白になったからだ。さすがに地下深くのここまで振動は伝わってこないから、何があったかはこのままでは分からない。
 慌てて操作されたカメラが幾分距離のあるものからの視点へと切り替わる。
 そこには。
 高々と昇る十字の爆炎と。
 悠然と立つ、ではなくあくまで油断する事なく建物を陰として身を潜めるEVA初号機の姿。
 慌てて操作された計器が示す表示は作戦部所属オペレーター日向マコトより発せられる。
 「パターンブルー消滅!使徒殲滅完了!」
 その次の瞬間。
 発令所に歓喜の声が響き渡った。

 喜び一色の発令所において、異なる者が幾ばくか。
 葛城ミサトは何も出来なかった自身に歯噛みしていた。
 どうすれば、使徒とEVAの戦闘をよりEVA優位に持ち込めるか、それが作戦であり、それを立てるのが自分の役割な筈だったが、結局最初から最後までこれといった指示が出せず、自分はただ見ているだけだった。
 自分は何の為にこの地位にいるのだ。
 シンジの実力が分からなかった?EVAがまともに動いたのを見た事がなかった?急な事で作戦を立てる余裕がなかった?
 全て言い訳だ。
 そう、結果が全てだ。私は作戦を立案出来なかった。
 ミサトは悔しさに身を震わせていた。

 赤木リツコは喜色を浮かべていた。
 喜び、という点においては発令所の他の者と同じ。
 だが、彼女は他と一つだけ違う点があった。
 他の者は戦略自衛隊がN2兵器を用いてすら倒せなかった使徒を自分達NERVが倒せた、自分含めた人類が生き延びる事が出来たと喜んでいた。
 リツコは自らの前、コンソールの画面に浮かぶ数値と先程までの戦闘の様子に体の内から沸き立つような喜びを感じていた。
 瞬間的なシンクロ率81.5%。
 信じられない程の高いシンクロをあの一撃の後示し、更にはATフィールドを刃に纏わせる形で展開させてみせた。
 何て興味深いサンプルなのだろうか!
 彼女は歓喜に身を震わせていた。周囲からは赤木博士も矢張りこんな時は喜ぶんだなあ、と思われていたが。

 碇ゲンドウは怒りに身を震わせていた。
 彼の予想ではシンジはもっと惰弱に育てられている筈だった。
 戦闘など知りもせず、故に放り込まれたシンジはまともに戦えぬまま、使徒に弄ばれ、結果としてEVA初号機に眠る彼女の魂を起こすその最初の引き金となる筈だった。
 だが、それは失敗した。
 明らかにあれは制御された動きだ。暴走という形で現れるコア内部の人間の感情に反応したEVAの反射行動ではない。
 怒りつつも、ゲンドウは如何にして自らのシナリオを修正するか、頭の内で考えていた。

 冬月コウゾウは落胆していた。
 だが、絶望も怒りもしてはいなかった。
 確かに今回は初号機は目覚めたとは言えなかった。だが、焦る事はない。まだ先は長いのだ。
 冬月も確かに碇ユイと呼ばれた女性に会ってみたいという気持ちはある。
 だが、ゲンドウのそれとは異なる。
 結局の所、彼は学者だった。確かに彼女に一時恋に似た感情を持たなかったと言えば嘘になる。だが、彼女は別の男を選んだ。
 今の彼は観測者だった。それが故に焦らなかった。

 それぞれがそれぞれに想いを抱え。
 それぞれがそれぞれに決意を抱き。
 そして、時は止まらず進み続ける。
 全てはこの戦いを機に動き出した。 



To be continued...
(2009.04.18 初版)


(あとがき)

当初予定より随分長くなりました。
元々はもっと短いというか、1話分になる筈が気付けばどんどん長くなって、今まで書いてきた分の倍近くに……。仕方ないので分割して投稿です 
んでは、もう一つ感想板から…

Q:ミサトは時間にルーズなのか?
A:推測ながら違います
第1話の印象からミサトは時間にルーズ、自分で起きれない、遅刻魔といった印象が二次創作でも多いです
ですが、本当にそうなのか?と見てみると、案外そうでもない事が分かります
ある意味それを示すのがTV版第七話『人の造りしもの』でのミサトの朝の様子です
この中でミサトはシンジが登校前に起きています
シンジが何時に家を出ているのかは分かりませんが、中学生ですから、大体朝の7時から8時と思われます
ここで肝心なのは
・シンジが特に起こした様子はない
・シンジにミサトが起きて驚いた様子はない
の二点です
確かにシンジはミサトのだらしない態度に眉を潜めています。ですが、驚いた様子はありません。これはペンペンも同様です
一方翌朝、JA発表会の為にパリッとした格好で出てきたミサトの様子にはペンペン共々驚いた様子を見せています
また、シンジを迎えに来たトウジとケンスケの様子からも、ミサトがこの時間に起きているのが常である事が伺えます
これらから導き出されるのは、ミサトは普段自力で朝中学生が学校に行く前に起きてきており、仕事で早起きの必要がある時は時間に間に合うように、きちんと準備を整えて出てくるぐらいは出来る、という事です
では、何故第1話では約束に遅れたのか、ですが……電車が停止した為でしょう
ミサトは電車が本来止まる駅で待っていたが、電車が停止したのが予想外に手前だったのと戦闘の開始による混乱で連絡が遅れた為、それから急ぎ向かった、のだと思われます。何せ、第1話はNERVにしても初めての戦闘になる訳で、あちこちで混乱が起きていたでしょう

こうして点から今回の自作に於いては、ミサトは時間は守れる人間、朝起きれる人間として描く事にしています 



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