暗闇の円舞曲

第十話

presented by 樹海様


 空を巨大な何とも形容しがたい色合いの物体がゆっくりと飛んでいた。
 その威容をメインスクリーンに映した状態であれこれと弄っていた日向が背後のミサトに告げる。
 「間違いありません、使徒です」
 「司令の居ぬ間にご登場、か……」

 「前回は14年、今回は2週間……こっちの都合はお構いなし、か…女に嫌われるタイプね。で、どうなの?」
 スクリーンを睨んでいたミサトが真剣な視線を日向に向ける。が……。
 「あんまりいいデータは取れてませんね」
 相手の装甲値といったデータが攻撃の様子から取れるという指摘を受けた事から今回試してみているのだが……。
 「前回で相当懲りたんでしょう、今回遠距離からのミサイル攻撃のみですね。見た目は派手ですが…」
 「貫通力はないものね……」
 ミサイルという兵器は命中精度は高い。が、反面貫通力という面では余り高くはない。命中した瞬間に爆発するから運動エネルギーが正面へと集中するのではなく拡散してしまうのだ。さすがに近接信管は外しているようで、命中前に爆発、という事態は起きていないが……例えば、戦艦大和の徹甲弾は本体重量1460kgに対し、その炸薬重量は33.85kg。これがハープーン対艦ミサイルとなると本体重量515.25kg――砲弾部分に相当する弾頭部に限るなら222kg――に対して炸薬量97.5kgに達する。つまる所、硬い装甲の相手をぶち抜く為の徹甲弾とは金属の塊であり、一方ミサイルとは弾薬の塊なのである。
 「ミサイルとかの方が徹甲弾とかに比べて派手ではあるんですが」
 徹甲弾の場合、命中しても火花が散るだけか、もしくは小口径のものだと火花すら散らない。まあ、攻撃した対象の搭載した爆薬なりに引火すればそれなりに派手だが…生憎今回の相手は爆薬なんぞ搭載しているとは思えない。これがミサイルだと自身が炸薬の塊だから派手に爆炎を吹き上げてくれる。見た目は派手だが、成型炸薬弾頭とかバンカーバスターのような対装甲専門の弾頭でなければ、相手の装甲を抜く、という効果は余り期待出来ない。そして、成型炸薬弾頭が通常使われるのは対戦車ミサイルや魚雷であり……現在使われているような対艦ミサイルではない。
 「前回、相当な被害受けたものね……」
 先の使徒戦に措いて、最初に迎撃の任を負った戦略自衛隊は相当な被害を受けた。
 海岸線で迎撃を最初に行った戦車部隊や火砲はその殆どが損害を受け、スクラップ。戦闘機も多数が撃墜されるという被害を受けた。羹に懲りて膾を吹く、ではないが、今回は被害を受けないよう遠距離からの攻撃に徹しているようだ。まあ、実際、前回の戦闘で受けた損害から単純に回復しきれていない、という事情もある。
 第二次世界大戦の頃、アメリカは週刊空母カサブランカや月刊空母エセックスとも呼ばれた短期間での空母の大量建造を成し遂げたが、現代では航空機や戦車もそのお値段に精密度が大幅に上がり、そうほいほいと大量生産出来る状態ではなくなっている。セカンドインパクトで沿岸部の工場が壊滅した現代となっては拍車がかかっている。
 「まあ、どのみち戦車では飛んでる敵を狙うのにはちょっと無理がありますからね」
 従って、徹甲弾を使うとなると航空機かヘリの機銃となる。そして、機銃の性質上、使徒の視界に入るのは確実だ。
 「どっちかというと、政治家への説明用って趣が強そうですね、我々も迎撃はしたんですが、と」
 けど、ダメでした、という訳だ。前回が前回だから、見た目派手な今回の戦闘振りは政治家には受けがいいだろう。損害ゼロで弾薬消費はしたが、人的物的損害はそれ以外はなし、となれば尚更だ。
 それを聞いていた冬月が呆れたように呟いた。
 「税金の無駄遣いだな」

 結局、予想通りというか、そのまま迎撃は終わってしまい、NERVの管轄空域に入るなり、攻撃はピタリと止んだ。
 「あちゃ〜…結局、ろくなデータが集まらなかったわね」
 「次回用に弾薬抜いて、弾頭を金属の塊にでもした使徒の表面硬度分析用のミサイルでも発注しますか?」
 「いいわね、案外使えるかも」
 笑っていたが、実際の所は困惑で一杯だ。
 相手の装甲強度は今回硬いのは間違いない、幾等ミサイルが装甲貫通力に劣る兵器とはいえ、ATフィールドすら張らずに悠々と飛行してきた使徒。だが、それがパレットライフルでも貫通出来ないのかどうかまではデータ不足で不明。更に今回は相手の武器すら判明していない。何せ、完全に戦略自衛隊の攻撃を無視してきたのだから。
 「とりあえず、どうします?」
 「……うちで情報収集しながら戦うしかないわねえ」
 作戦部の責任者二人は揃って溜息をついたのだった。

 「……って訳なのよ」
 それから幾ばくかの時間が過ぎ、NERVへと到着したシンジとレイを交えてミサトが状況を説明していた。ただし、既に使徒がNERVの管轄空域に入っている事もあり、シンジはEVAに搭乗した形での参加だ。
 「それで、とりあえず情報収集しながらの戦闘になるわ」
 まず、三点射(バースト)で攻撃、粉塵が上がるかどうかを確認するという。
 「粉塵が上がれば、貫通してないって事だから、その時点でパレットライフルは今回の使徒には通じないって事は分かるわ」
 『そうですね』
 「で、問題なのはパレットライフルが無用の長物となった場合、代わりに使える銃器がないって事なのよね」
 そう、電磁砲であるパレットライフルの火力は通常の火薬による加速を遥かに越える加速を生み出し、そこから生まれる破壊力はこれまでの銃器の比ではない。まあ、反面再装填がその場で出来ないという致命的な欠陥を持っているのだが。
 EVAの武装としてはこれ以外にもポジトロンライフルなどが製作中ではあるが、その完成にはもう少し時間がかかる。
 「だから、パレットライフルが効果なし、って分かったらその時点でライフルは放棄して、接近戦闘に突入って形になるんだけど」
 問題は、相手の武装が分からない点だ。
 「今回の相手って見た目殆ど空飛ぶイカでしょ?」
 可能性としては幾つかあげられている。一つは変形しての接近戦闘型、一つはあのまま速度を上げての一撃離脱型、もう一つは横向きの砲身に見立てての狙撃型だ。
 「形状から判断するのは危険だけど、構造を考えると余り長距離攻撃専門って感じじゃないわね」
 これはリツコからの分析結果だ。
 「長距離砲撃を行うとなると、さすがに粒子加速を行う為の機関が必要と思われるけれど、その為の構造が見た限りではないの。あの体を長い銃身と見立てた質量弾という可能性もない訳じゃないけれど、質量弾だと自身の重量を削る上発射の孔が必要だから――」
 「はい、はい、それは戦闘終わった後にしてね」
 長くなりそうだと早々にミサトが打ち切る。
 「とりあえず――」
 「どうやら決まったみたいですよ、タイプ」
 ミサトの言葉を遮る形で日向が告げる。
 え?とスクリーンを確認したミサトの目に、体を起こす使徒の姿があった。さすがにこの状態で高速による一撃離脱型はないだろう。すなわち……。
 「接近戦闘型、か……後は飛び道具を持ってるかどうかね」
 

―Another point1―
―避難シェルター―
 そんな状況が行われている一方で暢気な事を抜かしている者もいた。
 「くそっ、まただ」
 報道規制によって何も映らなくなった携帯のTV画面に相田ケンスケは文句を呟く。
 「何や、またかいな」
 「こんなビッグイベントなのに…」
 そんな事を呟く事が彼が戦闘というものを根本的に理解していない事を示しているのだが……生憎今はその事を指摘する者はいない。しばし考えていたケンスケは一つの考えに至った。見せてもらえないなら、見に行けばいい、と……それが何を招くかも理解しないままに。
 「なあ、トウジ。ちょっと相談があるんだけど…」
 「しゃーないな。委員長!ワシら便所や」
 もう、ちゃんとすませておきなさいよ!という声をバックに、二人は内緒の話が出来る場所を求めて、トイレへと向かった。

 「それでなんや?」
 連れションしながら、トウジがケンスケに語りかける。
 「上のドンパチを見たいんだ、手伝ってくれないか?」
 「はあ?アホか!死んでまうぞ!」
 そう答えたトウジはまだまともな頭が残っていたと言えるだろう。
 「頼むよ!死ぬ前に一度でいいから生の戦闘って奴を見てみたいんだ!」
 そこを何とか、と両手を合わせて拝む。
 「それにトウジだって、あの機体のパイロットが誰か知りたくないか?実際に見てみれば……」
 ぐっ、という表情になるが、それでも頭を横に振る。
 「あ〜せやけどな、そんなロボット見たかて誰が乗っ取るかなんてわかるかいな。大体出入り口にはガードマンがおるやないか」
 ぐ、という表情になる。確かに外から見たぐらいで誰が乗ってるかなんて分かる訳がない。
 ケンスケも戦闘機パイロットが機体に乗り込む際どんな装備を身につけているかなんて事は分かっている。酸素マスクにヘルメットとバイザー、あれでは顔も分からない。大型ロボットのパイロットがどんな装備を身につけているか分からないが、顔さえ分からないという可能性は高いし……加えて、トウジが言ったように、現在出入り口にはガードマンというかNERV派遣の警備がついている。これは今回保安部が作戦部からの依頼と前回の反省から試験的に派遣したものだった。
 「う〜〜なら、頼む、俺が見に行く手伝いだけしてくれ!」
 そう頭を下げる。
 しばらく腕組みして黙っていたトウジだったが、やがて溜息をついて言った。
 「はあ……分かったわい。パイロットが誰か分かったら教えろや?」

 その出入り口付近についていた警備の人間はきょろきょろと周囲を見回しながら近づいてきた黒いジャージの少年に気付いた。
 「どうした?この階段は今使えないよ?」
 「あの〜すんまへん。病院とかの人らはどこに避難しとるんでっしゃろか?」
 話しかけると少年は少し躊躇ってからそう問いかけてきた。
 「病院?」
 「あ〜はい、前の戦いん時に妹が怪我してもうて……入院しとるんですわ。無事に今回は避難しとるんやろかと不安になって……」
 不安そうなその様子に、気のいい中年のその警備員は無線で確認を幾つか取ると、少年と共にその場を離れると、シェルターの警備室に当たる所を指差した。
 「あそこなら、他のシェルターの事も分かる筈だからね、あっちで確認してもらえるかな?」
 「おおきに!ありがとさんです!」
 笑顔で頭を下げると少年はそちらに床に座っている人を避けて向かっていった。
 警備員はそれを確認すると、また元の位置へと戻って警備を続けた。
 ……彼が背を向けていた間にそこを一人の少年が通った事など気付く事もなく。無論、監視カメラさえ据えつけられていなかった以上、誰も気づく事はなかった。

 ケンスケが頼んだのはトウジに、妹であるナツミちゃんの安全確認だけして欲しい、その時警備の人間をそこから少しだけ離れさせて欲しい、という事だった。
 妹の事を出されて、ケンスケの言う通りきちんと避難出来ているか不安になったのだろう、確かにそれは気になる、と本心から聞きに行ってくれたお陰で警備の人間にも疑われなかった。当然だろう、トウジは実際本気で気にして事を聞いたのだから。本心からの思いだからこそ、疑念を持たれる事なく行動してくれた、とも言える。
 後は……こっそりと背を向けている間に、その後ろを通るだけだった。
 (いよいよだ、戦闘を見れるんだ!)
 そう思い、途中からは駆け上がるようにしてシェルター出口に向かって階段を上がっていった。
   

―Another point2―
―セントラルドグマ―
 発令所が使徒との戦闘の為にフル稼働しているその頃――。
 使徒が迫る中、広大なシャフトの内部をゆっくりと降下するものがあった。
 それは、NERV各所にばら撒かれたというか、各所に少しずつ浸透していったモノ達の一つだった。
 NERVが侵入者対策に設置した、あらゆるセンサーの網もそれが探知するように求められているものは、或いは侵入者としての人影であったり、設置された盗聴機器などが発する電波である。さすがに、知能を有するかのように壁際に沿ってゆっくりと降下していく蟲などというものは想定外だった。
 それでもさすがにカメラがあれば誰か気づいていたかもしれない。
 或いは、誰かがセンサーに注視していれば、気付く者がいたかもしれない。
 だが、ここにはその双方ともなかった。
 NERVの機密と闇双方が混在するこの空間の深部には間違ってもカメラを据えつける訳にはいかなかった。よしんばつけていたとしても、ミサトさえ見る事が出来ない機密情報の開示許可を持つ者など極一部でしかなかっただろうが。
 そして、使徒が出現し、戦闘が何時始まるか、という時に屋内のセンサーの反応を注視している者などいなかった。完全にいなかった訳ではないのだが、彼らもパターン青と侵入者にのみ警戒していた。
 故にそれは気付かれる事なく――最下層へと到達した。
 そこに待っていたものは二つの路。
 一つは巨大な扉―ヘブンズドア。
 一つは人工進化研究所。その跡。
 そこで蟲は更に二つへと別れた。
 どちらか片方ではなく、その双方へと向かう為に。
 そう、そのどちらも、そしてここでも――人の侵入は想定されていても、人より遥かに小さな蟲の侵入は想定していなかった。完璧に密閉された空間というものはありえない。シェルターであっても外部へと通じるダクトは存在する。蟲は誰も気づく事なく、その中へと侵入を果たしていった。

 
―再び発令所―
 作戦というか、接近戦闘になってしまうと作戦の立てようがない、と既に散々やったシミュレーションの結果判明しているので、ミサトとしては忸怩たるものがあるというか、物凄く不満ではあるのだが、こればかりは仕方がない。接近戦闘においては、実際に戦闘を行う当人の判断と動きに任せるしかない。
 当初は作戦に従えと言っていたミサトだったが、では、とばかりにシミュレーターで彼女の指示通りに動いた結果として、接近戦闘ではボコボコにされる様を見せ付けられ……それに文句を言ったらシミュレーターだからミサトにも出来るだろう、とミサトが逆に同じ状況で試す羽目になり……やっぱり接近戦闘で敵が攻撃してくるのを見てから、指示を受けて反撃する、では反応が間に合わず自分もボコボコのサンドバッグにされてからは、さすがに言わなくなった。
 幸い、シンジの接近戦闘に関する技量は極めて高く、実際に訓練をつけた、というかつけるつもりだったミサトが逆に一緒に参加した保安部の猛者共々死屍累々と転がる状態になった程だ。
 「シンジ君って……スペックからして違うって感じなのよね〜」
 「あら、そうなの?」
 シンクロの準備と発進シークエンスの手順に入るとミサトにはやる事がない、というか、今回戦闘前にはあれこれ調べていたが、結局何をやるにも今の第三新東京市と完成しているEVAの装備ではやれる事が少ない、としか言いようがない。
 「ええ、と言っても技量もことナイフ戦闘に関しては達人級よ?それに……」
 「それに?」
 急にミサトは声を潜めた。
 「あれはおそらく、実戦を経験してるわね……おそらくは相手を殺した事もあるわ」
 さすがにぎょっとした顔でリツコはミサトを見る。
 「……何故そう思ったの?」
 「そうね、あの子、躊躇いがね…ないのよ」
 先だっての使徒(サキエル)のような人型の使徒もいる。故にナイフ戦闘の訓練の一環として、人形に切り込むという訓練をさせた。マンターゲットを射撃の訓練で使用するように、人という形に対しての躊躇いを無くすのは重要な訓練の一環なのだが……ミサトが言うには最初からその人形の―人で言えば致命傷になる場所へ的確に一撃を与えていくのだという。
 それを聞いてリツコは当初ゲンドウがゼーレより指摘を受けた、シンジがヴァン・フェムの手駒の一つではないか、という話への信憑性が高まるのを感じていた。……下手をすれば、ゲンドウなりへの暗殺者へとなるのかも、とも考える。もっとも暗殺者ならば既に動いているだろうし、ここで暗殺を行った所で逃げ場がない。ヴァン・フェムがどのような強化を手駒にしているのかを掴まれる危険を早々冒すとも思えない。ならば情報収集役か?
 「まあ……詳しくはまた後でね」
 リツコが思考の淵に沈んでしまった。そう感じたミサトはそう言って、再びスクリーンに目を向けた。その画面の中ではEVA初号機が電磁カタパルトへと移動しつつある。
 「シンジ君、準備はいい?」
 画面の中で頷くのを確認する。
 「日向君、パレットライフルと初号機の射出位置は合ってる?」
 前回はサキエルの真正面、それも至近といっていい距離に射出してしまった。今回は銃器という武器を使う関係上、そしてその銃器には生憎そのまま格闘戦へ突入可能な銃剣は装備されていない以上、ある程度の距離を取る事が重要になる。
 「大丈夫です」 
 日向の声と共に示された射出位置を自分の目でも確認する。大丈夫だ、これなら問題ない。この画像はシンジのエントリープラグ内にも表示されている。その中で目の合ったシンジが頷くのを確認する。
 他の武装、特にナイフは……大丈夫、カメラでも装備が確認出来た。
 最後にミサトは冬月を見上げ、彼が頷くのを確認する。
 『発進!』
 その言葉と共にEVA初号機が地上へと打ち出される。
 そしてこの瞬間。
 NERVは、第二の使徒との戦いが始まったのだった。  



To be continued...
(2009.05.16 初版)


(あとがき)

第四使徒シャムシエル来襲
と、同時にシンジも別方向でも動いてます
シンジ単独だとまだまだ動きづらいですが、この戦闘終わった後、新たな訪問者参上予定です

さて、今回は…
『第四使徒戦において、劣化ウラン弾が砕けるのは予測出来たか?』
です
念の為に言っておきますが、劣化ウラン弾は元々砕ける兵器ですので、ここで言っているのは煙が上がるだけ、というのが予測出来ただろうか、という点に絞っています
さて、劣化ウラン弾は硬く、自己先鋭化現象を起こす為、タングステン合金よりも高い貫通能力を発揮すると言われています
(まあ、硬さそのものはタングステン合金の方が上なのですが、上記の自己先鋭化の為により高い侵徹効果を発揮します)
また、圧力によって1200度まで温度が上昇する為焼夷効果も期待出来る、タングステンが中国に偏在している為、兵器の原料を中国に依存する問題などもあり、NERVが劣化ウラン弾を採用した事自体は純軍事的な観点からはおかしな事ではありません
劣化ウランの毒性に関しては、未だ議論が続いている状態であり、結論が出ていない問題なので、ここでは省略します

さて、元々劣化ウラン弾は砕けながら、ただし通常はそのまま装甲を貫通して内部へ侵徹していく弾です
ただし、第四使徒シャムシエルに対しては砕けたものの、そのまま相手の装甲を抜いて中へ浸徹していく事が出来なかった為、表面で煙が上がるだけ、になってしまいました
この結果をNERVは予測出来たのか、という事です

さて、シャムシエルは空を飛んできました
これは裏を返すと、戦車とかでは狙いようがない、もしくは狙うにしても相当困難である事を示しています
戦車が狙うものって空を飛ぶものではないですからね、せいぜい低空に降りてきた対戦車ヘリぐらいでしょうか
この為、戦車の徹甲弾などはシャムシエル迎撃には使用されていなかっただろうと思われます
空を飛ぶ相手への攻撃となると、可能なのは戦闘機及びヘリ、対空車両と対空ミサイルとなります。目標のサイズがサイズなので対艦ミサイルなども使えるでしょう
しかし、ここで問題なのは対空車両などに使われている砲弾は近接信管であり、また小口径だという事です
これは、高高度の敵に対してはミサイルが用いられるようになり、嘗てのような高射砲はなくなった為です
結果、徹甲弾を使って攻撃する可能性があるのは、戦闘機と戦闘ヘリの機関砲ですが……これぐらいなら、ミサイルで攻撃した方が破壊力は高いですし、遠距離から狙えるので安全です
こうした判断から、第四使徒シャムシエル戦においては、徹甲弾の出番はないままに終わった、としました
そして、徹甲弾が使われないのでは、相手の装甲が果たして劣化ウラン弾が侵徹可能なものなのか、に関しては分からないと判断しました

また、パレットライフルは対使徒戦において余り役に立ってないので、そんなに強い兵器というイメージがないかもしれません
ですが、本来パレットライフルはレールガン形式の砲であり、120ミリであってもその音速の数倍という速度故に戦車砲を遥かに越える破壊力を叩き出します
再装填が出来ないとはいえ、これまでの火力と比べれば段違いに強力な兵器であり、その火力であわよくば、という期待を持ったのは正直仕方ない面もあるかと思われます
したがって、あの場面でただ煙が上がるだけ、というのは予測出来たかは怪しく、パレットライフルを劣化ウラン弾芯で使用した事に関しては仕方ないと言えると思われます
ただし……命令に従って、フルオートかまして、その結果を『馬鹿』呼ばわりした行為に関してはフォローのしようもなくミサトの大ミスなので、これに関しては省略致します



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