黄昏の果て

第二話

presented by KEI様


ビルの屋上で、VTOLから降りてくる碇シンジを赤木リツコは見ていた。
彼女の愛する男の息子であり、その男の計画における生贄。
彼女は自分が道具でしかない事を自覚していた、そして目の前の少年もまた道具。
自分は男の妄執をかなえるための、辛うじてその能力から代えの効きずらい道具。
目の前の少年は、役目さえ果たしてしまえば即座に用済みの道具。
道具である事を知っている自分のほうが不幸か、それともそれを知らない彼こそが不幸か、そんな事を考えていた。

シンジに続いて降りてくる女性、九条ハルカ。
彼女に関しては調べられる範囲でリツコは調べている。
古き家柄である『碇』、それと同じ位に古い家柄である『九条』の長女。
古く、格式もあり、且つ同じ京都と言う事で両家の関係は深い。
実際、九条ハルカはシンジにとって従姉妹、碇ユイの姉の子という事になる。
実際何処となくユイに似ている所がある、尤も全体的に見れば和風美人の大和撫子と言う評価になるが(ユイは美人ではあるが大和撫子とは言いがたい)。
そしてこれが重要だが、一見たおやかに見える彼女は国連軍に於いて名を知らしめした軍人である。
現在はどういう訳か現場から離れているが、それまでの戦果、影響は馬鹿には出来ない。
ちなみに、当時の彼女の上官も碇、九条と関係の深い人物である。

碇、九条、そして幾つかの日本の有力な集団はここ数年ネルフにも掴ませない、言いかえればMAGIにも掴ませない不審な動きがある。
そもそも、碇はゼーレに一目置かれている財団でもある、華僑との関係も深い、いくらゼーレの後押しがあるとはいえ、昨日今日出来たネルフには荷が重い相手である。
それ故に、リツコは九条の来訪に保護者代理と言う表向き以外の理由を想像してしまう。
ゲンドウはここまでの状況を楽観視しているが、維新前から日本の裏で影響を与えていたと言う名家たちを相手にリツコは油断など出来なかった。
ともあれ二人がこちらに向ってきているので、まずは挨拶をすることとした(まあ、最低限の礼儀って奴でしょう)。

「初めまして、わた「ちょっとアンタ!!なんで約束通り(そんなものはしていない)にこっちに来ないのよ!!おかげで一張羅はダメになるし、車はスクラップだし(これは明らかに自業自得)、どうしてくれるのよ!!」・・・」

いきなりぶち壊されてしまった。
友好的とは言わないまでも、ある程度の信頼と言うか、信用と言うかそう云った物を築いておきたかったというのに。
大体彼女、葛城ミサトは今は作戦部長として使徒への対策の一つでも、二つでも、三つでも立てているべき状況である。
それこそ現状から、ド素人を戦場にたたき出す事は明らかなのだ、勝率を少しでも上げるべきである。
それを、元々は自分が迎えに行くはずだったのだから、そう言って無理やり同行して来たのである。
それに、迎えに行くのだってシンジを手懐けることが目的だったと言うのに、いきなり敵意さらけ出すとは何を考えているのか。
また、道中リツコは散々注意したのだ、シンジに同行している人物がどれほど厄介な人物であるか、シンジの置かれている状況がどれほど油断ならないものかを。
右から左に抜けていたようである。
戦自に居た頃、とある人物から死んだ方がマシなレベルでしごかれていたのだが、喉元過ぎればなんとやら、とでも言うのだろうか。
尤もその人物からすればまだ仕込の段階で、これから本番というところで何故かドイツへの出向が決まってしまった。
惜しい、実に惜しい話である、上手くすれば更正できたのに(どっち道洗脳みたいなものだが・・・・ホント、シリアスさせてくれんな)。

「いきなり何ですか、アナタは?割り込んでくるわ、訳の判らないことを言うわ。最初に怒鳴りつける、それがここの礼儀と言うのですか?申し訳ありませんが、僕は世間一般的な礼儀しか身に付けておりません、そう云った事は通じる人間同士で行ってください」

幾分皮肉気味に、シンジは答えた。
普通ならば、ここで自分の非礼に気付き詫びの一つも入れる所だが、それは普通の人間に限った話である。

「何が世間一般の礼儀よ!!約束を破るのがそうだって言うの!!だとしたら随分と変わった礼儀ね!!ここは普通アンタが詫びを入れる所でしょうが!!大体私はアンタの上司なのよ!!私が白と言えば黒でも白なのよ!!」

打てば響くと言って良いのか悪いのか。
ゲンドウのシナリオもクソも無い事、のたまいやがるかこの女。
上司も何も、エヴァも見せんうちに何を言っているのか、相当にテンパッている。
はっきり言って、関り合いにはなりたくない人種である。

「何故僕が詫びを入れなければならないんですか?大体アナタが僕の上司とはどういうことですか?まったく、初対面でさっきから何を言ってくるのやら。
十年間音沙汰が無かったあの男から、随分と豪勢な出迎えがあるから、態々何か重要な事があるのかと思って来て差し上げたと云うのに。こんな訳の判らないことを聞かせる為に呼び出したと言うのなら、早々に帰らせて頂きます」
「このガキ!!人が下手に出れば調子に「ミサト!!すこし黙ってて!!!」」

さすがに話しは進まないし、時間も無いしでリツコはミサトを止め、本題に入ろうとした、遮られた挨拶と詫びを入れて。

「初めまして、私はネルフの技術部に所属する赤木リツコと言います。
今日、碇シンジ君に来ていただいたのは、シンジ君にある資質が在る事が判り、それが我々の活動上において極めて重要な位置を占めるモノだからです。
先程までの非礼は詫びますので、私達に付いて来て頂けますでしょうか。」
「ちょっとリツコ、非礼って何よ。それは「黙ってて、あなたはさっさと持ち場にでも戻って」」

しつこくグダグダぬかそうとするミサトを黙らせて、相手の反応を待った。
というか、肯定の返事を貰わねば後々問題が大きくなる行動に出ざるを得ない、機密に近い事まで話してしまったのだから。
だが、もしその様な行動を起こして碇、九条、その他をあからさまに敵に回せばあまり楽しくない未来が訪れる。

「どうやら、あなたはまともに話せるようですね。初めまして、碇シンジです。そしてこちらが」
「初めまして、九条ハルカと申します。シンジとは、母方を通じての従姉妹にあたります。一応はシンジの保護者代理で、あとは母の家の方からゲンドウ氏への手紙を預かって参りました」

非礼には非礼、ならば礼には礼をもって返した、まあ当然の事でしかない。
しかし、ミサトにとっての手懐けるとは一体どういったことなのやら、というか明らかに目的忘れているなあ。
手懐けると云うより屈服させようとした?

「ところで、僕は元々父が呼んでいると言うから、ここに来たのですが。赤木さんが父の所に案内してくださる、そう判断してよろしいのですか?」
「少し違いますが、司令もそこで待っているはずです」
「分かりました、では参りましょう」
「後、できれば部外者にはご遠慮頂きたいのですが」
「それは私のことでしょうか?お爺様からシンジの保護者代理を仰せつかっておりますので、私は関係者ではないでしょうか?」
「機密に関わることなので」
「だとしたら妙な話ですね。如何にここの司令の息子とは云え、この組織にとっての部外者であるシンジを、そこに連れていける理由にはならないのではないですか?」
「・・・・分かりました、同行してもかまいません。ですが案内しない場所には行かないでください」
「ええ、私も初めての場所で迷いたくはありませんし」

現在、使徒はすでに動き出している。
本来ならば、挨拶している時間とて惜しいのである。
ここで押し問答してはいられないと、ハルカの同行をリツコは許可した。
ミサトがまた何か言って来そうだったが、睨んで黙らせた。
というかこの女、持ち場にも戻らんと同行する気満々である。

ケージまでの道程、正史と違い自分の縄張りで道に迷うなどという間抜けも無く、比較すると恐ろしいくらい早く辿りついた。
途中、「初号機を動かすの」だとか「パイロットはどうするのよ」とか、しつこくくっ付いて来るミサトがべらべら余計な事を喋っていた。
そして辿りつくは、喜劇の舞台だった場所。

「あら、急に灯りが消えてしまいましたね」
「演出じゃないですか、精神的に優位に立つための」
「ゲンドウ氏なら有り得ますね」

手品とは、種が割れていないからこその魔法。
仕掛けのばれたそれは、無様なだけである。
それでも、その演出を取り止める権限はリツコには無い。

唐突に灯りが灯され、周囲が明るくなる。
一行の目の前にあるのは、紫色の装甲をまとった鬼の顔。
表側では人類の未来を勝ち取る名目で、そして裏側では人類を天なる位階へ導く名目で造られた『神の器』。
そう、ただ一人のために造られた器である。

「エヴァンゲリオン初号機・・・・人類最後の希望か」
「何故これを知っているの。これは如何に『碇』と云えども簡単には知ることができないものよ」
「・・・・これを造ったのは僕の母。知っていますよ、これが使徒に対抗するものである事。或いはあなたたちよりもね。」
(十年前の事を覚えているとでも云うの。でもそれだけでは使徒うんぬんを知っている事の説明にはならない。『碇』たちが企てている何かに関係が?)

シナリオ通りに事を進めるならば、これはシンジにとって未知なるモノで無ければならない。
だが、すでに彼は知っている、問題はどの程度知っているかである。
十年前の起動実験の事を覚えているだけならば、シナリオの修正は容易だろう。
しかしながら、シナリオはもう叶わない物なのだ。
彼はここで行われた“茶番劇”を体験している。
手品の種が割れているわけでもない、情報が漏れているわけでもない。
彼は知っているのだ、本来ここから何が始まり、どのような終末を迎えたか。
彼は戻って来たのだ、歪んだ愛情を抱いて。

『久しぶりだな』

ゲンドウが高見から一堂を見下ろして、スピーカー越しに言った。

「ああ、確かに久しぶりですね。でも、随分とまた礼儀って云う物が出来てませんね。普通、放って置いたからといっても、息子との再会でそんな登場をするものですかねぇ」
「仕方がありませんよ、シンジ。彼はユイ叔母様と結婚をした時も、挨拶回りの一つもしなかった非常識な方ですから。一般的な感性を求めてはいけません」
「やれやれ、とりあえずは例の件を進めておいて正解でしたね。血が繋がっているのは仕方が無いにしても、それ以外の縁は切っておかないと、恥ずかしくて外も歩けませんからね」
『何を言っている』

ゲンドウからすれば、どうにも予想とは違った反応である。
この段階で、シンジは精神的に不安定な状態でなければならない。
それなのに、シンジもそして同行して来た女も明らかにリラックスしている。
そして何やら不穏な事も言っている、確認しなくてはならない。

「アナタのシンジに対する親権と碇姓の剥奪に関してですよ。裁判所からの連絡もいっていることですし、今日はその事の確認に来ました。どうやら、いまだに碇姓を名乗っているのでお爺様がその事に関して憤慨しておられます。申し開きが有るのならば聞くとの事です。それから、これがお爺様からお預かりしたあなたへの手紙です」

そう言って、ハルカは手紙を取り出しゲンドウに見せた。
その後、ゲンドウに渡そうにも彼は上層の強化ガラスに囲まれた場所にいるので、代わりにリツコに渡した。
ちなみに裁判初からゲンドウに対し出頭命令が出ていたが、その時期ゲンドウは綾波レイのある種の洗脳処置の為忙しく、無視して出なかった。
いざとなれば、大概の事はネルフの特務権限でどうにかなると考えていた事も、出頭命令を軽視した理由の一助である。

「さて、こちらの用事は済みました。それで父さん、いや六分儀さんはどのような用件が有って、僕をこんな所まで呼び出したのですか?」

どうにも状況が、ゲンドウにとっておかしかった。
親権はともかく碇姓はユイとの絆、それを奪われるなど想像すらしたことがない。
そしてシンジ、彼の口調からは自分を求めるものが感じられない。
有り得ない、子が親を求めないなど。
だが今は、それを問いただしたりしている暇がないのも事実。
状況はシナリオ通りとは行かないが、最低限の要点は押さえなければならない。

『シンジ、今からおまえはこれに乗り使徒と戦うのだ』

シンジは冷笑した。
細かい事は<前回>とは違うが、結局この男は自分と初号機を結び付け母を目覚めさせる事しか考えていないのかと。
想定した事体とは違うのに、まだシナリオに拘るのかと。

「親権と碇姓を剥奪され、正気を失いましたか?何故ここ、ネルフとは関係のない僕が、ネルフ所有の兵器に乗らねばならないのですか?」
『クッ!!お前しかいないからだ』
「ネルフに関しては知っていますよ。十年近く前から使徒と戦う為に、多額の予算を消費してきた特務機関。それが、肝心の本番になって、全く関係のなかった僕を使わなくてはならないのはどう云う事でしょうかね。」
『説明を聞け』
「人の質問に答えていただけませんか。この十年遊んでいた訳ではないでしょう。部外者に頼っている暇があったら、早く自分たちが動いたらどうなんですか」
『冬月、レイを起こせ』

さすがにこの状況では、説得?は無理と見切りをつけ、脅し、罪悪感に訴える策に出るようである。

『ようやく容態が落ち着いたと、報告が上がったばかりだが』
『かまわん、サードは使えんからな』
『分かった』

シナリオの通りに事を進めようと足掻く二人の男達。
それを尻目に、既に判り切っている事ではあるが、シンジはリツコに聞いた。

「サード?」
「あなたの事よ。エヴァは限られた資質を持つ者にしか動かせないわ、そして世界で三番目に見つかった適合者が碇シンジ君、あなたなのよ」
「限られた、ですか。」
「何かしら」
「いえ別に。ただ、十年かけてこれしか手段を用意できなかったとは、噂もあてになりませんね。言われるほどに優秀な組織ではない様ですね、<我々>と違って」
「<我々>?それは一体どういう「おや、話している間に誰かが到着した様ですね」・・・」

話していると、医療班に連れられてと云うより運ばれて、レイがケージにやってきた。

『レイ、もう一度だ、出来るな』
「・・・ハイ」

レイは見るからに重症だった。
それでもレイは弱々しい声で答え、立とうとする。
だが、立ち上がれずキャスターに崩れ落ちる
ミサトがそれに乗じた。

「見なさい、あなたが乗らないせいであの子がエヴァに乗るのよ。あなた、自分が恥ずかしくないの。あんな子に押し付けて、それでも男なの。」
「彼女に全てを押し付けているのは、あなた方ネルフであり、僕ではありません。恥じ入るべきは、重症の少女に頼らなくては、その使命も果たせないあなた方です」
「逃げちゃダメよ、お父さんから。何よりも自分から、今ここで逃げたら、あなたはここにとって要らない人間になってしまうのよ」
「滑稽ですね。そんなにも、自分自身の負うべき責任から逃げ出したいのですか?もう良いでしょう。現在、あなた方ネルフには使命を果たすべき能力はないと言う事ですね。そしてその自らの無能を棚に上げ、責任を僕に押し付けようと云う訳ですか」
「ちょっ!!私はあなたのことを考えて言っているのよ!!」

・・・・最初の暴言を覚えていれば、こんな事は言わない。
今更理解有る年上の女性を演じようとは、全くもって滑稽である。
と、そこで発令所から通信が入った。

『司令、使徒がジオフロント直上に辿りつきました。現在、進入路を探しているのか建造物を無差別に破壊しています』

それを聞きミサトは、シンジに向き直り言った

「聞いたでしょう、今あなたが乗らなければ皆死んでしまうのよ。それでも良いっての」
「あの子はどうするんですか?まさかとは思いますが、僕を脅し、罪悪感に訴える為だけに呼び出したのですか」
「今はそんな事言っている場合じゃないでしょう!!」

やれやれとため息をついて、シンジはハルカの方を向いて言った。

「ハルカ姉さん、シェルターの方に行っててくれるかな。それから」
「ええ、分かっているわ。予定通りに」
「ありがとう。さて、ネルフの無能な方々。良いでしょう、これに乗っては差し上げましょう、それ以降に関しては文句は言わせませんが」
「乗ってくれるの?シンジ君?」
「ええ」
(それが、こちらにとっても予定通りですから)
「うんうん、男の子はそうでなくっちゃ」

極楽蝶が脳内に飛んでいるミサトはともかく、リツコは不審でならなかった。
彼が自らの意志で乗ってくれるなど、思えなかったのだ。
そして、それはある意味正しい。
シンジはネルフのために乗ったのではない。
元々、初号機を手に入れるのが目的なのである。
だが、ネルフに選択の余地はない。


発令所に、ゲンドウ、リツコ、ミサトが戻ってきた。
ハルカは第三新東京市のシェルターに送られていた。
ゲンドウは気にしていないが、リツコは風評でも記録でも優秀な彼女を危険視していた。
危険視する事は間違っていない、実際彼女は途中で姿を眩ませた。

「手間取ったな」
「問題ない、後はシナリオ通りだ」
「そうだと良いんだがな」

エントリープラグに入ったシンジは、取敢えず大人しくシートに座っていた。
しかし、LCLが注水開始されたのを見ていった。

「何ですかこの液体は? 」
『それはLCLって言うものよ。肺に満たせば直接血液に酸素を取り込んでくれるわ』
「先に説明して欲しかったですね」
『ごめんなさい、時間が惜しかったのよ』

リツコの説明を聞きLCLを掌で掬って匂いを嗅ぎ、少し舐めてみる。

「血の匂いと味がする……」
『我慢しなさい! 男の子でしょう!』
「ジョッキ一杯いかがですか?」
『ウッ』

シンジの呟きにミサトが叫ぶように答える。
しかし、シンジの反撃にあっさり轟沈する。
やがてLCLはプラグ内を満たし、シンジは目を閉じるとゆっくりと肺の空気を吐き出しLCLを取り込んでいく。
呼吸が落ち着くとシンジは体の力を完全に抜く。
そして初号機を掌握していく。

(母さん、大丈夫だよ。僕ならもう、エヴァを自在に動かせる)

シンジには判るまい、ゲンドウらがそれを望まぬ様に、ユイもそれを望んでなどいない事に。
だがユイは己さえも騙しきっている。
シンジにユイの深奥を感じ取る事は出来なかった。

発令所ではEVA初号機の発進プロセスが進められていた。

「主電源接続」
「全回路動力伝達」
「第二次コンタクトに入ります。A10神経接続異常無し」
「思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス」
「初期コンタクト全て問題無し。双方向回線開きます。シンクロ率16.25%、ハーモニクス問題ありません」
「エヴァ初号機、起動します」

シンクロ率に関して、リツコは少々考えた。
シナリオを前提とすれば、低すぎるのだが、現実を受け入れれば、高すぎるように感じる。
だが今は時間がない、思考は後回しにした。
そして、発進準備が整う。
ミサトが司令席を振り仰ぐ。

「構いませんね?」
「勿論だ、使徒を倒さぬ限り我々に未来は無い」
「碇、本当にいいのか・・・?」

冬月の小声の問いにゲンドウは何も答えず、表情を動かす事も無かった。

「発進!」

ミサトの命令により、リフトに乗った初号機が上昇していく。
やがて夜の帳に包まれた第三新東京を映し出したモニターに初号機が現れ、使徒と対峙する。
そして、シンジはモニターに写らないよう笑みを浮かべた。
彼の父親によく似た笑みだった。



To be continued...


(あとがき)

ご挨拶が遅れました。
このたび投稿させて頂いてますKEIいいます。
以前から、エヴァ二次創作を書いてみようと思っていたのですが、思いきってこのサイトに投稿をしました。
さて、基本的にこの作品では髭、牛などをある程度いたぶろうとは思っていますが、最終的にヤルかどうかはまだ未定です。
またそれとなく伏線張っているのですが、ユイも相当外道です。
プロローグの二人は結構重要なんですが、まだ片方しか出せていません(しかも名前もまだ出てない)。
次からは、いろいろと史実と違う動きが出始めるはずです、シンジの言う<我々>とか戦自とか。
なにぶんまだ書きなれていないもので、お見苦しいところも有ると思いますが、見捨てずに付き合って頂けると幸いです。



(ながちゃん@管理人のコメント)

KEI様より「黄昏の果て」の第二話を頂きました。うちの投稿作家様たちは皆、執筆が早いですなぁ〜(汗)。
シンジ君がネルフに着いてからのシーンは原作を踏襲していますが、シンジ君の性格が違うと、ホント滑稽に進みますよねぇ。
相変わらずミサトのクソ女はお為ごかしですねぇ〜。吐き気がしますよ。
鬚もとてもムカつきますね。
さて、シンジ君が初号機を掻っ攫うとのことですが、そうすると第二特務機関モノになるのかな?
でもユイが外道で、それを覚らせていないってことは、暫くはシンジ君も騙されたまま初号機に乗り続けるってことでしょうか?
管理人的には、早々に、コア(ユイ)を握りつぶして欲しいですね(鬚の目前で)。どうせ悪人だし(笑)。
そうだったら、スカッとしますけどねぇ〜、無理かなぁ?(あー、妄想なので、お気になさらずに・・・)。
早く初号機の強奪シーンを見たいですね!(使徒戦はついで?)
さあ、次話を心待ちにしましょう♪
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