リターン・オブ・エンジェルズ

第参話 凶王の出現

presented by クマ様


「ちょっとあんた、なに命令無視してんのよ! あんたはチルドレンなのよ、あたしの命令に従う義務があんのよ! わかってんの!?」

NERVの救助隊にエントリープラグから助け出され、施設内へ搬送されてきてすぐ、これからシャワーを浴びて検査を受けてという説明を、駆けつけた技術部所属の女性仕官から聞いていたシンジに、何もしなかった作戦部長、葛城 ミサトのかけた第一声がこれであった。

「命令無視ってどういうことですか? 僕は誰かの指揮下に入った憶えはありませんよ?
それにチルドレンってなんですか? それはまあ確かに僕は子供ですけど、子供は葛城さんの指揮下に入らなければならないなんて、どこの国の法律なんです?」

凄まじく不機嫌そうなシンジ。 理由はすぐそこにミカがいながら、乾きかけたLCLとこの説明のせいで、いつもの挨拶(ただいまのキス)がまだなうえに、まともな事を何も言わなかったはずのミサトに、いきなり怒鳴りつけられたからだ。

「あに言ってんのよ、エヴァに乗った以上はあんたはチルドレンなのよ! わかったらあんたさっさと独房行きなさい、命令無視で三日間臭い飯食ってくんのよ!!」

この独房入りというセリフに、シンジにミカ、技術部員や居合わせた保安部員達はそろって唖然とした。

それはまあ正規のパイロットがまともな作戦を無視し、危機に陥るなり負けるなりしたならわかる。 しかしシンジは正規のパイロットではない上に、作戦なんぞは提示されていない。 更には動かないことは技術部の折り紙付きという状況で、司令の命令で無理やり射出した作戦部長が、何を言う?

それに、エヴァの操縦方法についてはナオコがレクチャーしていたが、指揮系統については何の言及もしていなかった。

これはナオコが、発進前にミサトの方から作戦共々説明すると思っていたのと、シンクロ率の異常な低さに慌てていたのが原因だった。

まあ指揮に関してはおくとして、何の知識もない筈の少年を、ほとんど何の説明も無しにエヴァに乗せておいて、起動していない機体を動かせと喚くだけだったミサトのこの物言いには、さすがの保安部員達もあきれ返っていた。

「あんたら、この餓鬼独房に放り込んできなさい!」

引き連れてきた保安部員にそう声をかけるが、彼等もその命令には顔を見合わせる。

それもそのはず、保安諜報部は司令部直属の組織にされていて、司令部以外には指揮権がない。 これは、組織内の監視を強化するために、保安部全体に憲兵隊的な職務をやらせた為、ほかに指揮権があると色々とまずいこと(ゲンドウの行った性犯罪等を揉み消させた)が表沙汰になりかねないためだ。

そして彼等からしてもこの命令は不当なものであり、シンジがゲンドウの息子らしいことは噂で知っており、ゲンドウの思惑と今現在の心理を知らない以上(初号機の起動失敗と大破で、独房どころか殺しかねない怒りよう)は自身の保身のためにも司令の御子息を独房になんぞぶち込めない。

戸惑っている保安部員達にミサトが更に怒鳴ろうとした時、救いの声がかかった。

「その必要はありません。 赤木副司令よりの命令です、碇 シンジ君はこの後シャワーを浴び、検査入院。 今日中に私が簡単な検査を行い、明日精密検査を行います。
また、命令無視に関しては、今回の出撃は民間人の善意の協力という形になる上に、指揮に関しての説明が一切なされていないため、命令無視には該当しません。
葛城二尉、副司令から提出期限の切れている書類を明日中に提出、直ちに作業にかかれ。 なお未提出の場合減俸10%を三ヶ月追加、とのことです」

現れたのはNERVの実質bR、技術部長補佐、伊吹 マヤ二尉。 童顔で可愛い見掛けながらもさすがはナオコの補佐を任せられる人物、重要な会議に出て佐官と渡り合うこともあるだけあって、引き締めた表情からは威厳すら漂わせ始めている。

更に付け加えると葛城 ミサト、今回の減俸でNERVの内規ギリギリの累積減俸50%が半年を超えた。

「なんで命令無視がって、二尉? ちょっとなんで降格してんのよ!? あんた間違ってんじゃないわよ!
大体格下の分際であんであたしに命令してんのよ!」

「葛城作戦部長は二尉に降格、さらに命令は副司令から下されたものを伝えているだけです。
副司令、いえNERV司令部に逆らいますか?」

「グッ! わぁったわよ! 命令通り書類整理してきますわよ、伊吹二尉殿!!」

捨て台詞を残し、肩を怒らせドスドスとがに股で立ち去るミサトを、安堵の表情で見送る一同。

余談になるが葛城 ミサト、必死に(?)なって書類整理をやったものの結局大半が間に合わず、提出された物も今までやらなかった付けがでて、書式が違うだの署名がないだの押す印鑑が違うだのでほとんどが無効になった。

ミサトと引き連れられてきた保安部員が立ち去ると、シンジとミカを除く職員の視線が、マヤに集まった。 そのマヤは、

「い、行ってくれた〜〜、ふえ〜〜、怖かったです〜〜」

ミサトがいなくなった途端に、見掛け相応の素が出てしまった。

「ご苦労さん、マヤちゃん。 な〜に、あの女が暴走したら俺達が助けてやるさ!」

「おいおい、いいのか? 俺達保安部の者でも、あの女に勝てる奴なんていやしないぞ?
ありゃ人間じゃネエ、使徒だぜ、絶対。
だがまあもしもの時は俺達に任せな」

「そうですよ、レスキューの方たちに何かあって困るのはあの女じゃないんです。 無駄に怪我をしないでください」

有能で見た目が可愛い為、下部職員達からはアイドル視されているようだ。 それにどうやらここに残っている保安部員達、数少ないまともな保安部員のようだ。

「ありがとうございます。 あ、シンジ君、でいいのかな? お久しぶりですぅ。
第二では色々お世話になりました、なかなか御礼に行く暇なくてごめんなさいです。
シャワールームと検査場所までは私が案内します。
それと、暇が出来たら副司令に会ってもらえませんか? ケイジで圧死したレイちゃん、綾波 レイって言う、ファーストチルドレン、チルドレンっていうのはエヴァのパイロットのことね、そのパイロットの娘を可愛がっていたんです。
使徒が殲滅されて落ち着いたら、やっぱりショックを感じたみたいで、今すごい落ち込みようで。 私も始めてみたけど、赤木部長が泣いてました。
だからシンジ君からも慰めてあげてくれませんか?」

「わかりました、じゃあ検査を手早くやって顔を出しましょう」

堅いような、くだけたようなマヤの話し方だが、これは仕方ないだろう。 旧知の間柄、しかし相手は碇の御曹子、更には司令の息子なのだから。

そんな話を終えて、シャワーを浴びに行く段階になって初めて、シンジはミカと話をすることが出来た。

「ごめんね、ミカ、心配かけちゃって。 まさか動かない上に武器もない、そのうえ動かないのに発進させて、動かないエヴァンゲリオン、だっけ? あれで使徒ってのを殲滅しろなんて、あの部長も司令もなに考えてるんだか、わからないよ。」

「いいえ、無事にお帰りくださったのです、私はそれだけで何も申し上げることはありません」

そう答えて微笑を浮かべるミカ。

「ところでシン様、武器がなかったというのはどういう意味でしょうか?」

「うん、赤木さんがぼやいてたけど、なんか作戦部の書類が出来てこないせいで部品すら買えないらしいよ。
予算が下りないんだって」

少し眉を寄せ、訝しそうに問いかけるミカに、苦笑を浮かべて返すシンジ。

しかしこの二人、周りには救助隊員や技術部員、保安部員がいる中でよくこんな話をする。 完全に『ここのトップ(副司令を除く)は無能です』と言い切っているようなものだ。 まあ事実だけど。

そんな話を終えたあと、最初からきていた技術部員に案内されてシャワーを浴び、マヤの研究室(!)で検査を受け、そのまま医療区画の病室で、二人で同じベッドに収まった。 ミカが寝付いた後に、気になるセリフを残して。

「さて、碇最後の一日、どんな気分だったかな? クックックックック、明日会うのが楽しみだよ。 そう思うだろう? ミカエル






エアフォート内

かなりの騒音の中、長い黒髪に眼鏡の少女が一人、格納庫内の一角、使徒と呼ばれるものが保管されている場所に歩いていくと、作業をしている軍人達の指揮官に話しかけた。

「コアの状態はどうでしょうか? 殲滅が最優先でしたので、問答無用で切り伏せましたから気になりまして」

「ああ、お疲れ様です、ヤマギシ大佐。
どうやら話に聞いていた通り、外殻以外の部分は空気に触れると急速に劣化するようですな。 事前に真空保管庫を用意できてなかったら、どうなっていたかわかったものではありません。
下手に砕かずに真っ二つにしていただいたおかげで、使えるところが多くて助かります。 マイト達が喜びます」

「私に敬語はやめてください、同じ大佐で、私のほうが若年なんですから」

にこやかに語り合う初老の大佐と美少女。 双方が軍服などを着ていなければ、親子の語らいに見えなくもない。

ここにいるのは本来はMHの整備部隊、生物(?)である使徒の保存などは管轄外の為、悪い意味で緊張している。 マユミはそのことを予想していたのだろう、微笑みながら、コンコードと一緒に持ってきた大量のクッキーを渡した。

「なれない任務でお疲れでしょう、出来合いの物で申し訳ありませんが、休息の折にお召し上がりください」

「ありがとうございます。
オウ、野郎供! マユミ嬢ちゃんから差し入れだ、礼言っとけよ!!」

「ありがとうよ、嬢ちゃん!!」(×多数)

出来合いなどと言ってはいるが、その量や形、入れ物から察するに手作りだろう、おそらくは日本への移動中に焼いたものだ。

整備部隊員の礼の言い方は、上官相手としては軍事組織として問題だが、当のマユミが嬉しそうな表情で赤くなって俯いているのだから、よしとするべきだろう。

どうやらロシア方面軍、使徒戦があることも、使徒戦に介入することも、使徒を回収して返ることも予定内のことだったらしい。 でなければ真空保管庫など事前に用意できない。

重苦しい緊張感を軽くした功労者は、そのまま艦橋に移動していった。



艦橋に移り、外の光景に気付いたマユミは驚きの声を上げた。

「まだ移動を始めてないんですか!?」

「ああ、ヤマギシ大佐、すまないが暫くここに留まる事になった。 モスクワへ帰還途中のスクリティ隊がこちらに来る、到着次第我々はそちらに移動、そのまま新設部隊の中核となれ、とのことだ」

「新設部隊ですか?」

そう答えるバルンガに疑問の声をかけるマユミ。

呪われた騎士と呼ばれ、それが故に大佐という階級以上の情報と権限を(それと同等の義務も)与えられ、今までこなしてきた彼女にしても、新設部隊などというのは初めて聞く事だ。

ただ、それ以上に気になったのがバルンガの口調、どことなくあきれ返っている。

マユミの疑問に気付いたのか、それとも同じ思いを共有できると思ったのか、あっさりと答えが返ってきた。

「どうやらもともと国連はNERVを疑問視していたらしい。 新設部隊は対使徒戦を第一とした部隊にするつもりらしい。
信じられるか、マユミ? 日本を管轄するのは上海に本部を置くアジア方面軍、そしてここ第三新東京市郊外に本部を置くのは、極東方面軍だ!
しかもオレは、今日付けで大将に昇進ときた! どうやら逃げ道をなくしてから押し付けようって腹だったんだろう、ギラ様らしいぜ。
それとマユミ、おまえも今日付けで准将、明日付けで少将に昇進、A・トールは今まで通りにスバース隊の機体を使うが、スクリティ隊の指揮を取れ」

「了解です」

口調が変わったことでこれが本当のことと察し、今になるまでバルンガにも知らされていなかったことで、ことの重要さを理解したマユミは、一気に緊張の面持ちになる。

それを感じたバルンガは、肩の力を抜かせようと声をかけた。

「面倒ごとは後だ、お友達がぐれちまわねえうちに戻ってやれ」

「(クスッ)ありがとうございます、では失礼します。」

そう断ると、既に艦橋まで来ていた二人と一羽に向かって歩き出す。 その表情は、セカンドインパクト以降親子の関係を続けるバルンガにもほとんど向けない、満ち足りた微笑だった。






NERV某所

薄暗い会議室のようなところに、数人の老人が集っている。

ここにいるのは国連の機関のひとつ、人類補完委員会のメンバー達だった。

集まっている理由はただ一つ、今回の使徒襲撃、そしてその撃退について、そしてNERV、というよりもゲンドウについて。

『使徒再来か、あまりに唐突だな』

『十五年前と同じだよ。 災いは何の前触れもなく訪れるものだ』

『幸いとも言える。 我々の先行投資が無駄にならなかったなら、だがね』

『そう、無駄にならなければ、だ。 どういうことか、説明してもらおうか、ロクブンギ君』

最後に締めくくったのは、ゲンドウの正面に座る男、キール・ローレンツ。 この人物の言葉に、ゲンドウは即座に反応した。

「委員長、私は碇です、六文儀ではありません」

『? 何を言っておる、日本はもう日付は変わっておろう? それなら貴様はロクブンギだ』

『さよう、第二の、最高裁判所からそういった命令書が来ておろう?』

「!? そのようなものは知りません!」

驚愕し、反論するゲンドウ。

『そんなはずはない、私は裁判所に問い合わせて確認を取ったぞ?』

『私は事務総長に知らせるように言っておいた』

『NERVの存亡にも拘りかねんと言っておいたからな、知らせは行っておるはずだ』

彼はミサトに輪をかけて書類を見ない。 最高裁判所からの重要書類、さらには国連からの重要書類まで溜め込んでいる。

今まではそれで済んできた。 なぜなら一部の書類はナオコが代行し、出来ないものは事務総長がうやむやにしてきたのだった(そのせいもあって解任案が提出されていた)。 それ故にこのことを知らなかった。

「・・・・・・」

冷や汗を流しながら何も言い返せないゲンドウ。 そこに更に追い討ちがかけられる。

『今回の命令は、最終命令だ。 今後一切公式、非公式の場で碇の姓を使用することは許さん。
もし違反した場合、NERV総司令であろうとも逮捕、収監することとなる。
無論、収監中の職務はきっちりと監獄の中でやってもらうが、犯罪者に給料は払えんのが国連職員法だ、正式に結審するか、後任の総司令が選出されるまでは、ゴールデン・プリズンで無給で職務についてもらう』

ゴールデン・プリズンは別名ローズ・プリズンとも呼ばれ、世界中の犯罪者がある意味で最も恐れる刑務所。 日本のどこかにあるらしいのだが、廃坑を利用し、官公庁の庁舎の地下からしか出入りできない、光の差さない刑務所。
その中では囚人は野放し状態、某世界のタバシリとは違い、出所は出来るが、まず間違いなくまともでは帰ってこれない。 理由は、人間誰しも煩悩は抑えきれない、更には看守も某特殊な趣味人ということで理解してほしい。
そんな目にあい、そんな趣味に目醒めて逝き続ける(誤字にあらず)位なら、作者としては死刑の方がまだなしのような気が・・・・・・

「・・・・・・ですが私が碇と縁を切れば、碇財団からの資金が途切れます。 委員会から手を回していただきたい」

『そのために何度も貴様には書簡を送ったであろうが、この馬鹿者が』

『碇なら心配するな、本部は信用ならんというから、支部が個別に交渉して資金提供を受けておる』

『さよう、それよりも貴様には、その碇財団から横領した資産の返還要求が出ていたはずだ』

『いや、それは命令に変わっていたはずですぞ』

『おお、そうでしたか。 確かあれは給与の差し押さえが決まったのでしたか?』

『個人資産も、な。 既に口座と不動産は差し押さえ済み、給与も最低限の二十万エンのみ支払いで、他は差し押さえだ』

『碇 ユイ博士の遺産、あれは確か額が増えておりますな』

『さよう、ちゃんと交渉していたならば入ってきたであろう本来の特許料分が、加算されるはずです』

『総額で、いくら位になりますかな?』

『さあ、いかほどか・・・・・・遺産だけで二千億エンは超えていたのでは?』

なかなかに厳しい状態のようだ、ゲンドウにとっては受け入れられないほどに。 特に碇家から横領した資産、ゲンドウからすれば、碇家次期当主の父親にしてNERV総司令という激務(?)をこなす、彼に対する正当な報酬のつもりだったりもする。

更に給料の天引きの宣告、毎日三食共に高級レストランで取っているゲンドウにとって、容認できない。

「二十万程度では、生活できません。 せめて現状の生活を保障していただかねば」

今の生活、衣はすべて高級ブランドのフルオーダーメイド(NERVの制服ですら)、食は上記のごとくすべて高級レストラン、住は第三新東京の高級ホテル(第三で二番目の格式の。 最高級でないのは、オーナーが○、だから)の、ロイヤルスウィートルーム、という暮らしを送っている。

それをいきなり二十万の生活費は確かにきつい。 しかし委員会は厳しかった。

『今までそれを警告してきたろうが。 無視しておいて今更何を言う? 二十万でも生活は出来よう。
ジオフロントの官舎は貴様自身、住みたいほどの出来なのだろう? そこに住めば家賃はタダだ。
職員食堂も、三ツ星レストラン並みの味を保障しておるというではないか。
それならば今の生活は維持できよう』

官舎や職員食堂については、ゲンドウ自身が国連にそう報告している。 福利厚生の予算を大きく取って、自分の懐を暖めることが目的だった為、今更否定できなかった。

無論のこと、官舎は住み心地は最悪(壁は薄く、冷房は効かず、狭く薄汚れている)、食堂は不味い上にやたらと高い為、官舎に入った職員はすぐに外のアパートなりマンションなりに移り、職員の大半が弁当なり自炊(各部署の休憩室内に簡易キッチンを自分達で据付)するという状態だった。

(くそ、こうなったら予算の横領額を増やしてやる!!)

ゲンドウ、やはり外道だった。

『さて、それよりも問題がある』

『さよう、使徒戦について、だ』

『NERVは勝てなかった、そして国連軍のMHが殲滅した』

『待ちたまえ、君。 NERVは勝てなかったのではない、勝とうとしなかったのだ』

『確か起動していない状態で射出、でしたな』

「その件については、後ほど報告を上げますが、作戦部長の暴走です。 初の使徒戦の為、興奮状態であったためかと」

自分が発進命令を出したことなど完全に棚上げして、ミサトの所為にしながらそれとなくミサトをかばっている。 部下に責任を押し付ける時の中間管理職のやり口そのものだ。

しかしこれは通用しない。 なぜなら

『ロクブンギ君、責任逃れならもっと旨くやりたまえ。 発令所内での会話は、君達が放送してくれたおかげでここにいる全員が知っているよ。
君は国連に喧嘩を売っただけでは飽き足らず、我々まで愚弄する気かね?』

国連に喧嘩というのは指揮権移譲なしのエヴァ発進とギラ大将に対する暴言だろう。 国連からの報告が上がるまでの間に手を回すつもりだったゲンドウとしては、思いっきり当てが外れた。

もっとも事務総長と総司令官が更迭された以上、情報操作は難しかっただろうが。

「(くそっ!)ですが、使徒殲滅が第一ではないはずです。 NERVの存在意義の第一は人類補完計画のはず、私はそのためにこそこの地位におります。
使徒殲滅は国連軍がやるなら任せればよいのでは?」

『貴様は阿呆か? 補完計画を表沙汰に出来んからこそ、対使徒迎撃機関NERVを立ち上げ、それを隠れ蓑にして補完計画を遂行しようとしておるのだろうが』

『さよう、そのためにNERVには必要な予算を、審査に圧力をかけてまで出させておる』

『にもかかわらず、対使徒迎撃機関が使徒戦を戦わずに国連軍にゆだねる? そんなをしてみたまえ、即座にNERVは解散、君達上層部は責任問題だよ』

『そうなれば、最悪は予算の返還を求められかねん。
ただでさえ、君の道楽で人造人間の開発をしていると言われているのだからな』

「しかし、最近の予算は減額に次ぐ減額で、かなり乏しくなっております。 対使徒戦用の兵器開発にも支障が出始めております。
なにとぞ修理費及び兵器開発の為の特別予算の認可をお願いいたします」

「(怒)・・・・・・たしか数種類の兵器関係の特別予算を、組んでなかったかね?』

『・・・・・・(汗)』

そう、ナオコがパレットガン等の設計の目途が付いたと報告してきた二ヶ月前、そのことを報告して予算を取っている。

もちろんその予算の大半は、いろいろなところを経由してゲンドウの裏口座に入り、株や貴金属、不動産に化けている。

『・・・・・・兵器関係の予算は認められん、だが都市部の復興予算は出そう。
後は委員会の仕事だ、ご苦労だったな』

次々に消えていくホログラムの中で、最後まで残っていたキール・ローレンツは、去り際に言い残した。

『ロクブンギ、後戻りは出来んぞ』

「・・・・・・時間が要る、裏資産を隠し、増やす時間が・・・・・・」







どこかの会議室。

そこには補完委員会のメンバーのみならず、SEELEの中枢にかかわる者、十二使徒を始めとする幹部数十人が集っていた。

「今回の、いえ、最近のイカ、ロクブンギの所業、目に余るものがありますまいか?」

「左様、国連予算委員会からも、会計監査局からも苦情が来ておる」

「予算の使用状況を監査しようと赴いたところ、ほとんど黒塗りの、枠の回り以外白いところが無い書類が出てきたといいますな」

枠の回り以外、つまりは文字はすべて黒塗り。 はっきり言ってそんな物は提出する方の正気が疑われる。

「私の手の者が調べましたところ、架空実験の予算申請があったり、購入していない備品の領収書が存在するそうです」

「こちらの調査によりますと、購入した資材についても、最低で一割増し、平均三割四分三厘増しで予算を計上してきています。
付け加えるならば、なにやら正体不明の資材購入時には、三倍以上の額を計上」

まず黒人男性が、次いでアラブ系の男性が独自に行った調査結果を報告すると、会議室に集っていた全員が難しい顔になる。

「・・・・・・議長、ここはロクブンギの更迭も考えた方がよろしいのでは?」

「いや待て、それは不味いのではないか? あの男、確かに事務処理能力は壊滅的で、フユツキ君に見捨てられてからは尻拭いも大変だったが、あの強引さと悪党ぶりはまだ使える。
いかにMHで使徒が倒せるとはいえ相手は未知の生物兵器、対応できぬこともあるやも知れん、もし万が一エヴァンゲリオンが捨て駒として必要になったときのことを考えると、これから先も、あの男の強引さは必要ではないかね?」

「左様、奴ほど人に恨まれ、嫌われようとも平気な男は少ない。
事が終わった後の贄を考えても、あの男は残すべきでは?」

どうやらゲンドウを使い続ける理由は、強引に事を推し進められて、その上での事後処理の、罪を押し付けるための生贄らしい。

しかしSEELE、ほとんどエヴァとNERVに期待していない。

「ですが、予算に関しては?」

「その点は考えてある。
丁度いい具合に、極東方面軍が立ち上がった。 あそこの中核部隊は警察騎士団であるスクリティ隊だ、監査部の極秘部隊を送り込んでもうまく使ってくれよう」

「・・・・・・当面はあの男を外す訳にはいかんだろう。 予算の監査に関してはその方向で行く。
NERVから上がってくる予算案に関してはこちらの専門に判断させた上で、妥当な額のみ支給、年間予算はこれに加え、今まで通り前年の使途不明金を差し引いた額及び各支部に分配されたはずの額を差し引いた分を支給とする」

ゲンドウの更迭を提案した男の疑問に、最初に異議を唱えた者が答え、それをキールが追認することで話が決まった。

「ところで議長、例の騎士、第三に向いましたが大丈夫でしょうかな?」

「左様、日本にはカンサイ・エリア以外では騎士は滅多に見られません。
その上第三はNERVの影響力の所為で騎士やマイトにとっては鬼門です、良くないことも起こりうるのでは?」

突然第三新東京市に向かった騎士の心配をはじめるSEELEのメンバー達。

彼等の懸念も当然といえる。 セカンドインパクト後の日本では、当時のゲヒルンの圧力で、騎士狩り、マイト狩りが公然と(記録上は存在しない)行われており、碇財団の影響力の強かった京都とその近郊以外ではかなりの数が惨殺された。

国連からの非難を浴び、仕方なくやめた時には生き残りの騎士やマイトはほとんど京都・奈良・大阪・滋賀といった関西エリアに逃げており、いつ殺されるか判らないからという理由で離れようとしない。 その為、この二府二県では異常に騎士、マイトの比率が高くなっている。

しかし彼等の懸念は、騎士の身の安全ではなかった。

「・・・・・・う〜む、たしかに騎士は珍しかろう。 下手をするとクラスに馴染めず、孤立してしまうやも知れん。
う〜〜む・・・・・・、? まて、たしか第一中学校には私の妹の孫がいたはずでは?」

ひとしきり悩んだ末思い出したキールは、隣に控えていた秘書に確認をとらせる。 どうやら騎士とは中学生のようだ。

「議長の妹と言いますと、日本人と結婚した為、縁を切ったという、あの?」

「うむ、最近その娘二人、といっても一人はその夫とだが、和解してな。 黄色人種などと結婚して、王家にも連なるローレンツ家の血を汚すつもりかと思ったのだが、人種差別などどうかしておったわ。 実によく出来た者たちだ。
それに、息子に先立たれた私にとっては孫が出来たみたいでうれしくてのう、よくメールのやり取りをしておる」

目を細め、爺馬鹿丸出しのキール。

「ふむ、やはり第一中学校か・・・・・・
同じ歳でもあるし、同じクラスになるように圧力をかけておこう。 孫に頼めばうまくクラスを取りまとめてくれるだろう。
では諸君、各々の調査・監査を強化、あ奴から目を離すな」

そう言うと立ち上がるメンバー達。

「すべては全人類のために!!」(×多数)






ゲンドウが委員会を相手に自業自得の苛めにあっていた頃、ナオコはドグマの奥深く、レイの素体が安置されているエリアにいた。

もちろん、レイが三人目に変わることを見越して、ゲンドウにへんな刷り込みをされる前に助け出す為だったのだが、素体維持プラントの前で絶句していた。

そこにあったのは濁ったLCLとその底の方に溜まった何かの残骸。 そう、レイの素体は既に崩壊していた。

「・・・・・・なによ、これは?・・・・・・なにが、どう、なったの?・・・・・・」

暫く、といってもそれほど短く無い時間凍りついていたナオコは、呆然と呟くとキーボードに向かった。

そしてメンテナンスの履歴を調べると、そこにあったのは驚愕の事実。 そう、ナオコが出張に行ったその日に一度チェックされただけで、その後は一度たりともメンテナンスされていない。

本来ここのメンテナンスはナオコの仕事だが、出張とそれに続くレイの看病&零号機の暴走の原因究明の為、ここには降りてこれなかったのだった。

このことを知ったナオコは、空ろな視線を漂わせ、ドグマを後にした。






総司令執務室。

補完委員会の不当な精神攻撃を受けた(本人談)ゲンドウは、さっさと帰って不貞寝してしまおうと思っていた。

しかしそこに、ナオコがふらりと現れ、何も言わずに俯きながら目の前に立ち続けている。

「・・・・・・(ええい、鬱陶しい! さっさと追い返すか)赤木君、一体なんの用だ、私は忙しい、用が無いなら帰りたまえ。
第一君には、三人目のレイの調整という仕事があるはずだ」

ピクリ

「れ・・・・・・・かん・・な・・・・・なかっ・・・・・」

小さく反応し、問いかけるナオコ。 しかしまだショックが残っており、かなり声が小さい。

「声が小さすぎて聞こえんぞ。
欲求不満か? ならほかを当たれ、年増に用は無い」

女性に対して、しかも外見年齢三十そこそこのナオコに対して、言っていいセリフではない。

「レイの素体の管理を、なぜ行わなかったのですか」

「な、何?(汗)」

何とか聞こえたセリフが、認め難いものだったのだろう、思わず問い返すゲンドウ。

「レイの素体の管理を、なぜ行わなかったのですかと言っているんです!」

「な、なんだと!? そ、それは貴様の管轄だろう! 職務怠慢だぞ、副司令!!」

ぷちん!

「出張中と、レイの看病中は管理を頼んだら、問題ないと返したのはどこの誰ですか!
そんな玉虫色の口癖があるから『髭のペテン師』だの『蠅の王』だの『役立たず』だの言われて、NERVごと軽視されるんです!!
少しは自分の言葉に責任を持ったらどうですか、この役立たずの無能無責任総司令!!!」

そう絶叫すると、無意味に広い執務室を泣きながら飛び出すナオコ。 そこには呆然と立ち尽くすゲンドウが残された。

なお、この時の泣いているナオコと執務室まで来る時の空ろなナオコを見かけた職員達によって、『レイを亡くした傷心の母、ナオコ』という噂がNERV中(支部を含む)に流れ、同情をかっている。






NERV病室内

顔に当たる日の光に、心地よいまどろみから覚めたシンジは、目覚めの時の、お気に入りの体勢(全裸のミカの胸に顔を埋める)から寝ぼけた面を上げた。 どうやらいつも通り、全裸で寝たらしい。

「おはようございます、シン様、九時五十分です。
結界の為、入って来られませんが、伊吹様が扉の前でお待ちになっておいでです。
いかがなされますか?」

シンジの頭部を抱きとめたまま、若干の羞恥の為、薄く頬を染めながら微笑み、小声で挨拶をするミカ。

その仕種に愛おしさがこみ上げたシンジは、自身も微笑みながらミカの背中に回した腕に力を込め、至福の表情で再度ミカの胸に顔を埋める。

そして名残を惜しみながら顔を離し、ミカに声をかける。

「もう少しこうしていたいけど、待ってるなら仕方ないよね。
早いところ服を着て、御飯、はお昼と兼用かな? まあとにかく、髭のところに行こうか、ミカエル」

御飯のところで苦笑を浮かべつつの、ほのぼのとした口調に言葉なのだが、ミカは青くなっていた。

そう、シンジはミカのことをミカエルといった。

天使たちをリリン名で呼ばずに天使名で呼ぶ、それはシンジが暴走状態、あるいは復讐に染まっていた過去へ回帰してしまっていることを示している。 今回は後者だろう。

「? どうしたの? ミカエル。 早く服を着ないと、マヤさんが入れないよ?」

「は、はい、ただいま」

青くなり、僅かに震えているミカに背中を向けたまま言うシンジに、震えのとまらないまま下着に手を伸ばすミカ。

彼女は気付かなかった、シンジの笑みが、暗く、醜悪で禍々しいものになっていることに。






シンジの病室前

そこにはマヤが手持ち無沙汰な表情で立っていた。

実は彼女、一度本来の職場である技術部に顔を出し、発令所に顔を出し、自身の研究室で書類の量だけ確認して最優先任務であるシンジ達を総司令執務室に連れて行く、を実行するためにここまで来た、筈だったのだが、結界の所為でなんとなく起こすのが気が引けてしまい、もうじき三十分ここに立ちっ放しだった。

「ふえ〜〜、やっぱり起こした方がいいのかな〜〜、でも、昨日は大変だったんだし、ゆっくり休ませてあげたいし、けど司令は八時から執務室で待ってるらしいし〜〜、どうしたらいいの〜〜?」

どうやらゲンドウ、シンジを執務室で待っているらしい。 ちなみに現在九時五十五分、この間仕事はどうしているんだろうか? この男も給料泥棒のようだ、公金横領だけでなく。

ガチャッ

「あっ、シンジ君!」

「おはようございます、マヤさん。 こんな時間から、どうしたんですか?」

もっと早くからいたのを知っていながら、けっこうひどいことを言う。

「あ、あの、司令が執務室で待っているもので、一緒に執務室まで来てほしいんですぅ。
朝一から待たせているもので、出来ればこのまますぐ、一緒に来てくれませんか?」

「う〜ん、でも僕も今起きたばかりだし、朝ご飯もまだだし、ここから遠いんでしょ? その執務室。 そこまでいって話をして、更にまた戻ってをしていたら、お昼過ぎますよ? それまで僕ら御飯抜きですか?」

そう、総司令執務室は遠い、洒落にならないくらい。 というのもこの男、ここを作った当時から上の町や職員を執務室に攫ってきて犯罪行為に及ぼうと企んでいた。
そしてその行為中に、不意に来客などが訪れても痕跡を隠すことが出来るよう、部屋は二重構造だし廊下や階段は馬鹿みたいに長い、更には他に部屋はないくせに何箇所かのゲートで身分照明が求められる。
そしてゲンドウ自身は専用エレベーターを使って楽及び犯罪のし放題だった。

最もこの構造、テロ対策と言ってはいるが。

「でも、大至急って言われてるんですぅ、すぐに行かないと怖くて、どうしたらいいんですか〜」

泣きそうな顔をして、なぜか持っていた書類を胸に抱きしめながら上をむくマヤ。

この光景、まるでシンジがマヤを苛めているみたいに見える。

「大丈夫ですよ、僕の命令だったことにすれば、ね? 司令には僕から言っておきますよ」

「あっ、そうですね! 分かりました、じゃあ私の研究室で御飯にしてから執務室に行きましょう!」

シンジの提案に、喜色満面で返事を返すマヤ。 彼女もどうやらできるだけゲンドウと関わり合いたくないらしい。






司令執務室

コンコン。

「伊吹二尉です。 碇 シンジ君、神癒しんい ミカさん両名をお連れしました」

「・・・・・・(怒)」

ピッ、プシュッ

無言でドアを開けるゲンドウ。 どうやらかなり頭にきているらしい。

「伊吹二尉、今まで何をしていた」

「ヒッ!」

視殺出来そうな視線に、思わず悲鳴を上げるマヤ。

まあそれも仕方ないかもしれない、なんせ今は十二時五十分、この間ずっとこの薄暗い、趣味の悪い部屋で、黒服の男を控えさせながらゲンドウポーズを取り続けていたのだから、仕事もせずに。

「僕が先に御飯にしようって言ったからだよ」

「シンジ貴様、何様のつもりだ!」

「碇 シンジ様のつもり、かな? クックックックック」

冷酷で危険で、それでいて心底楽しそうな笑い方、そう評したくなる笑みを浮かべるシンジ。

「ふん、まあいい、昨日付けで貴様はサードチルドレンとして徴兵された。 拒否は認めん。
葛城二尉の指揮下に入る、詳細は作戦部に聞け、以上だ」

「徴兵令状は? 昨日付けということはルース事務総長代行とギラ国連軍総司令官代行の署名・捺印がいるよ?
あの御二人がそんなことをするはずが無い、それ無しに強制徴兵しようというのなら、この国の首相の令状と保護者、本人の承諾書がいるよね? そっちかな? ろ・く・ぶ・ん・ぎ ゲンドウさん?」

ギリギリギリ!

のどを鳴らしながらいたぶるように言うシンジに、歯軋りしかでないゲンドウ。

最初はこの男、事務総長と総司令官の署名・捺印入りの白紙の令状を使うつもりだったが、その二人が職務停止になりその後更迭、その為すぐにばれて無効となる手段はやめて、首相の署名入りの令状(偽造)と自分の承諾書を用意してあった。 無論シンジは『脅せばどうにでもなる、所詮子供だ』などと考えていた。

しかしすでに碇家から放逐された身の自分の物が通用するわけもなく、また碇 シンゾウがそんな物を認めるわけも無い。

両代行の筆跡の偽造も考えたが、この二人、就任と同時にサインを変えてしまったらしい。 その為資料がなく、偽造が間に合わなかったのだ。

「ああ、そうだった、忘れてはいけないことを言い忘れてた。
私は国連軍国連本部警備軍教導軍団軍団長兼教導騎士団々長 シンジ・イカリ大将だ。
六分儀君、貴官の態度は上官に向けるものではないな? 最低限のマナーは心得たまえ。
ああ、伊吹二尉、ここまでの案内御苦労だった。 職務に戻りたまえ」

「・・・・・・ぁ、ハッ! 伊吹二尉、退出いたします!!(ピシッ)」

「なあっ!!」

ガタッ!!

シンジのその言葉に愕然となるゲンドウ。 その視線の先、シンジの腰には確かに光剣がある。

まあゲンドウが愕然となるのも仕方の無いことだろう、教導騎士団といえば、同じ台湾に本部を置く事務総長直轄軍団(ということになっている)所属の遊撃ランナバウト騎士団と並んで、世界最強戦力とまで言われる騎士団だ。 遊撃騎士団長が、戦闘行動を楽しむ悪癖の持ち主であること、多種多様なMHをバランスよく運用していることなどから、『最強にして最高の騎士団』の称号を持っている。

ちなみに遊撃騎士団は、『最凶にして最悪の騎士団』と呼ばれる。 理由は、部下は上官に似る、以上。

「さて六分儀君、貴官はチルドレンの選出前にちゃんと碇 シンジに対する身上調査を行ったのかね? 少し調べればわかったことだ、騎士名簿にちゃんと載っているのだからな。 ああ、確か選出はマルドゥック機関の担当だったね、NERVのダミーの。
一体、何をやっている? 捨てられた女に固執して、職務放棄を続けるならこちらとしても考えがあるが?」

「!! シンジ貴様ぁ!!」

『捨てられた女』発言に激昂するゲンドウ。

ゲンドウからしてみれば、エヴァに取り込まれた妻・ユイを取り戻すためなら形振り構っていられない訳だし、その為にはあらゆる物、全人類ですら犠牲にするつもりでいる。 それなのに、事故(謀略)で取り込まれたユイは実はゲンドウを捨てるために取り込まれたと言われているようなものだ、ゲンドウからすれば怒って当然だ。

しかし怒り方が不味かった。 ゲンドウは銃を抜いてしまった。 

銃を抜く、それは命のやり取りを示す。 それがどのような状況下であれ。

ヒュッ、パシッ! フッ ブッ!!

「!!」

こうなることは予想してしかるべき、そして予想できなかっただろう。 シンジはあっという間に間合いを詰め、冷酷で狂おしいほどの殺気の炎が燃える暗い瞳を、ゲンドウの顔の間近に持ってきている。

そして銃を持つゲンドウの手は、シンジの左手に押さえられ、さらに

「・・・・・・(今動けば死ぬ、確実に!)・・・・・・」

ゲンドウの左脇腹から吹き出した血。

ゲンドウは考えていた、光剣なら焼けるから血は出ない、真空剣メイデン・ブレードなら真っ二つになっている、ならばこれはストラト・ブレード? 馬鹿な、馬鹿な! そんな馬鹿な!! シンジにそんな高度な技が使えるわけが無い!!

「・・・・・・シンジ、貴様何をした・・・・・・」

「わからないの? 今の技をストラト・ブレードって言うんだよ」

ギリッ!

ブッ!

ゲンドウの問いに挑発で答えるシンジ。 その所為で思わず力の入ったゲンドウの脇腹から、また血が吹き出す。

痛みと怒りの為小さく震えだしたゲンドウに、最後の挑発をした。

「クックックックック、まさかこんなことも分からないほどボケたの? それでもマイト? そんな無能者が、よく三賢者の一人、マイトの家系である碇の家の娘と結婚できたね?
ああ、そうか、そんな無能者だから碇家から絶縁処分食らったんだっけ、こんな無能者と結婚するなんて、母さんもなに考えてるのかな? ねえ、捨てられた、オ・ト・ウ・サ・ン」

「シンジ貴さ (ブボオッ!!) ガアッ!!」

挑発に怒り狂い、怒声を上げようとしたため腹が裂け、血と臓器を床に撒き散らしながら倒れるゲンドウ。

クックックハッハッハ、アーハッハッハ!、なんだよ、それは? こうなる、ことぐらい、分からなかったの? そんな、無能でよく、NERV総司令、なんか勤まるね? ここはそん、な無能者の、集団なの? 無様だねえ、ハッハッハッハッハ。」

唸りながらもなんとか臓器をつぶさないよう床に這う男をあからさまに嘲笑う。

あまりに笑いすぎて、会話が途切れ途切れになっている。

その光景を青い顔のまま見ていたミカに振り返りシンジは言い放った。

「こんな所にいたら無能が移る。 帰るよ。」




「大丈夫ですか? 司令。」

「・・・・・・保安部を動員し、シンジを拘束しろ。、拷問してサード就任を了承させるんだ。
女はどうしようと構わん、保安部の自由にさせろ!」

あまり心配そうには見えない態度と口調で問いかける男に、脂汗をにじませながらも、あくまで傲慢極まりないことを命ずるゲンドウ。

「・・・・・・了解。
(ピッ)こちら司令執務室、保安部から騎士をまわし、碇 シンジを拘束せよ。 相手は騎士だ、手段は選ぶな。 連れの女については実行者の判断に任せる。
それと執務室に医療班を急行させろ、司令が重症だ」

冷静に連絡を入れる保安部長だが、その表情はあきれ返っている。 その横顔に向けられた不審気な視線に気付き、理由を説明する保安部長・扶桑 アキラ。

「もうすこし、国連関係の情報を集めるべきでは?
歳が歳ですから公表はされていませんが、NERVの職員なら、A級のレベルで簡単に閲覧できるデータに彼が載っています。
さらに、我々レベルの者なら知っている事実として彼等の裏の名前もあります。
おそらく彼は虐殺の天使、狂乱の貴公子と呼ばれていたシンという少年でしょう。 それにあの少女、私は会ったことがあります。 彼女は間違いない、黒の聖母・ミカですな」

「な、なんだと! 黒の聖母!?」

「?」

突然叫び、その後は震えるだけとなったゲンドウに扶桑は不審気な視線を向けるが、その後彼が何か話すことはなかった。






NERV本部廊下

「クックックックック、髭のあの醜態、なかなかに面白かったよね、ククク、けど大丈夫かな? まあ、あの程度では死なないだろうけど、ククク、クックックックック」

まっすぐ前を見据えながら楽しそうな、暗い笑みを浮かべ続けるシンジの後をミカが俯きながら青い顔で着いていく。

「さて、あの髭がどう動くかな? 僕のことを気付かずに手を出してくるならそれもよし、引き返して終わらせようか。
手控えるなら、ゆっくりといたぶってやろう、クックックックック。
どう出るか楽しみだよね、ミカエル。 ? ミカエル?」

普段ならばどんな問い掛けにも何らかの反応を返すミカが、何の反応も示さない上に気配が離れているのに気が付いたシンジは、眉を寄せて振り返った。 そこにいたのは、俯いて立ち止まっているミカ。

「どうしたの? ミカエル?」

「・・・・・・私はミカエルなんですか?」

「? ミカエルはミカエルでしょ? どうしたのさ?」

「ミカは、シン様に御仕えするリリンたるミカは、もう必要無いのですか?
リリンたるミカは必要なく、僕たるミカエルのみ必要なのでしょうか?
それならそうはっきりと仰って下さい、そのほうが諦めが付きます!」

「!」

涙を流し、悲痛な叫びを上げるミカに愕然となるシンジ。

自分が過去に帰っていることに気が付いていなかったため、ミカが何を悲しんでいるのか理解していなかった。

シンジとミカは暫く見つめ合っていた。

シンジは自分の言動のあまりの迂闊さに声も出せず、ミカはミカでシンジに捨てられると思い込み、以前のように自分のからの中に閉じ篭りかけ、シンジに対し恐怖の視線を向けだしている。 はっきり言って危ない傾向だ。

「・・・・・・「見せ付けてくれるな、サードチルドレン、碇 シンジ」誰?」

意を決してミカに話しかけようとしたところを邪魔され、不機嫌そうに振り返るシンジ。 そこには黒服を着た保安部員が十数人、立っていた。

「何の用?」

「貴様は既にサードチルドレンだ、司令に対し暴行を働けばどうなるか、体に教えてやる。
もちろんそっちの女は、俺達が男ってものを教えてやるぜ、俺達無しじゃ生きていけないほどにな」

そのセリフに下卑た笑いを上げる保安部員達。

「僕はサードチルドレンなんかじゃないよ」

「そのセリフも、そのうちサードに就任させていただきます、に変わるさ」

シンジを怒らせるセリフを吐き続ける男に、段々気配を冷たくしていくシンジ。 

「ミカは下がってて、この馬鹿は僕が片付けるから」

「シン様!?」

自身にかけられた声に驚くミカ。

以前のシンジが、彼女をミカと呼ぶようになるのには帰還後八年かかっている。 というのも四年間、自身の不幸の元凶であるゲンドウを見続け、怨嗟の念を熟成させ続けてきたため、天使たち(特にルーシー)のメンタルケアがなかなか思うようにいかなかった。

更にはミカに対しては、京都移住後に恋心を持ち、過去のレイプが重なり素直になりきれなかった。

そのシンジがあっさりとミカエルをミカに変えた。 驚くのも当然といえば当然だろう、完全に過去に帰ってしまったと思い込んでいたのだから。

「片付ける? この人数を?
言っておくがこの中には騎士もいる、一対多数の戦いで勝てるつもりか?
狂乱の貴公子や狂犬ならともかく、貴様みたいな小僧に勝ち目は無い。 女の前だからといって無理をするな」

「そうだぞ、おとなしく着いてくれば、その女の抱かれているところを見せてやるぜ、おなさけ((ドサッ))」

全てを言い切る前に、音を立てて落ちた二つの首。 もちろん無駄吠えをしていた二人の首だ。

ゆっくりと倒れる二人の後ろ、保安部員の只中で、大きく広げた両腕に双振りの光剣を構えたシンジは、冷たく微笑みながら呟く。

「ブラック・ナイト、碇 シンジ、参る!」

「なっ! ブラックナイトだとぉ!?」(×多数)

「???」(×多数)

驚愕の声と疑問の表情が入り混じる中シンジの姿が消え、騎士の目に僅かに残像が見えるたびに二人の命が消滅していく。

「くそっ! 冗談じゃねえ、ブラックナイトって言やあ、狂乱の貴公子のことじゃねえか!
(ガシッ!)動くな!! ちょっとでも動けばこの女の命はないぞ!」

保安部員のうち、ミカを挟んでシンジの反対側にいた者たちがミカを人質に取り、シンジを脅す。 が、これははっきり言って無謀にして無知、更には自殺行為だった。

「君達、正気?
僕のもう一つの通り名、虐殺の天使を知らないのかな? 知ってたならこんなことは出来ないよね?」

そう、騎士の中でもちょっとでも裏の名前を知ることの出来る、ある程度の地位にいる騎士団員や傭兵騎士なら誰でも知っている事実、虐殺の天使は黒の聖母とワンセット。 そして保安部員の中には・・・・・・

「・・・・・・ま、まさか、黒の聖母? 京都でうちの組をつぶした?」

「・・・・・・(汗)」

最後の一人を切り伏せ、反対側を振り向いたシンジは、聞こえてきた言葉に冷や汗を流す。

ミカがつぶした暴力団、それは二年ほど前に起きたある事件による。

その事件とは、その当時二人がよく顔を出していた教会付属の孤児院にいた一人の少女が、レイプされた上殺されたものだった。

殺された少女がシンジとミカ、特にミカに懐き、二人をお兄ちゃん、お姉ちゃんと慕っていたこと、そして神癒家で引き取る話が出ていたことなどから初めてミカが暴走、犯行が噂された暴力団と捜査をお座成りに終え、さっさと迷宮入りにして捜査を打ち切った警察を襲撃、どの事務所がどの組のものかわからない為手当たり次第に潰した結果、京都から暴力団が消滅してしまった。

はっきり言ってしまうと犯人は別にいて(おそらく想像通りの人物)、暴力団はとばっちりを受けただけなのだが、その切れ方は凄まじいの一言、シンジですら恐怖を感じたほどだ。

そしてミカはそれ以来、その事件絡みでは簡単に暴走する。 特にその時潰した暴力団関係者が未だに裏の職に着き、自分の前に現れると。

「そうですか、あなた方はあの時の関係者ですか」

「? (グチャッ!)・・・・・・ギェヤァ〜!」

ミカのつぶやき、それが聞こえた直後、羽交い絞めにしていた男の足が潰れていた。

ゆっくりと振り返ったミカの顔に浮かんでいたもの、それは穏やかで自愛に満ちたものだった。 まるで聖母マリアのように。

「さあ、皆さん。 悔い改め、裁きを受けなさい」

「ヒイッ!」

「?」(×多数)

恐怖に引き攣った悲鳴を上げたのはただ一人、そのほかの面子は訳が分かっていない。 どうやらここでも、とばっちりによる被害者が多数出るようだ、まあ犯罪者達だから自業自得だが。




「・・・・・・ミカ、終わった?(汗)」

いつものようににこやかに微笑むミカに、シンジは冷や汗を流しながら問いかける。

「申し訳ありません、シン様。 つい取り乱してしまいました」

若干曇らせたものの、その表情は晴れ晴れとしている。 その足元には痙攣を続ける保安部員十数人。

全員生きている。 生きてはいる、が、まともな生活は無理だろう。

シンジは切れると徹底して殺す、まるっきり手加減せずに。 爪をはがしたり耳を削いだり歯を一本づつ引っこ抜いたりはしても、最後にはきっちりと息の根を止めるのがシンジの切れ方。

しかしミカは違う。

ミカは絶対に殺さない。 間接を潰し、顎を潰し、歯を砕き死なない程度に内臓を破裂させはするが、絶対に殺さない。 そしてその瞬間にも、その笑みを絶やさない。

常に黒いメイド服の所為だけではない、慈母の笑みといわれるその微笑のまま行われる凶行、この所為で黒の聖母、ごく一部では暗黒のマリアなどと呼ばれている。

惨状を見渡し、監視カメラに視線を向け、歩き出しつつミカは呆れ返った声を漏らす。

「あの髭はシン様のことを調べなかったのでしょうか?
国連のデータベース内には、シン様のことも私のことも乗っていますでしょうに。
仮に騎士という可能性を考慮していなかったとしても、シン様の黒衣にその巴紋を見れば、最年少騎士団長・黒騎士バッシュである可能性ぐらい気付くべきでは?
かつてはマイトとして学会でも知られた髭であったと伺っておりますが、知能退化されたのでしょうか?」

「違う、それは違うよ、ミカ。 あれは退化じゃない、劣化だよ。
いいかい、退化というのは使わなくなった器官なんかが起こすものなんだ。 でも髭の場合は違う、職務上本来は必要なはずの能力が皆無だ。
何もやらないから、使えば伸びたかもしれない僅かにあった能力も消滅したんだ。
必要なものを消滅させる、こんな状態を退化とは言わないよ、これは劣化だよ。
偉大なる御先祖様たちは必要な能力を進化させ、要らないものを退化させたんだ、髭の場合は要る能力だよ? これを退化なんていったら御先祖様たちに申し訳ない、劣化で十分だよ!」

言い始めは苦笑混じり、やがては嫌悪に染まった表情で言い放つ。

「まあ髭外ん道ヒゲンドウのことはどうでもいいよ、それよりもミカ、今日の晩御飯、一体何かな? ミカは何か聞いてる?」

あっさりとゲンドウを切って捨て、ミカの心を思いわざと軽いことを言い出すシンジ。 ミカはそんなシンジが嬉しく、それこそシンジの前でしか見せない表情、至福を浮かべながら答える。

「さあ、一体なんでしょうか、私も存じません。
ですが郊外に購入してある邸宅には、昨日のうちにほかのメイド達も移っておりますし、何よりお客様もおいでです。
きっと美味しい料理の数々が私達を待っておりますわ」







To be continued...

(2005.02.27 初版)
(2005.04.16 改訂一版)


あとがき言い訳&謝罪コーナー

??? ついに、ついに出番が回ってきましたわ! ああ、愛しのシン様、私にお任せくださいませ、シン様に仇成すすべてに恐怖と絶望を、そしてすべての女性に陵辱快楽シン様と共にあたえ(グシャアッ!)
??? まったく、姉上は何を考えておられるのやら、この御話はわたくし達の『暗き王の帰還』ではありませんのに・・・・・・そこの作者・クマ、姉上をそのあたりに放置してきてください。
クマ ガゥ!
??? よう、シェラ姉貴、一体いつの間に作者調教したんだ(汗)? それにサキ姉は大丈夫なんか?
シェラ 羅魅さんですか、簡単ですわ、三日ほどおあずけをした後、言うことを聞かせた後で鮭を数匹与えただけですわ。 SをMに、MをSに軽く調教できるわたくしにとって、この程度造作もありませんわ。
自己紹介が遅れましたわね、わたくし壱話の原作となりました『暗き王の帰還』のキャラクターで、使徒随一の調教師、シエラ・御塚ことシャムシエルでございます。
姉上については御安心くださいませ、クロモリ(クローム・モリブデン鋼)の40o径6o厚の鉄パイプでど突かれた程度では死にませんわ。
ラミ (作者は犬じゃねえぜ・・・・・・)おう、オレはラミ・御塚、一応漢字で羅魅とは書くが、ラミでいいぜ。 わかってるだろうがラミエルだ。
ついでにさっき作者・クマに引きずられて逝ったのは姉貴の天塚 沙希サキ、いわゆるサキエルだな。
それにしてもクマ、シン様もミカも、大して活躍してねえぜ? どうなってんだ?
シェラ ああ、それはクマにとっても予定外だったそうですわ。 なんでもSEELEの皆さんが暴走されたとかで、御二人には涙をのんで控えていただいたとか。
ラミ へ〜そうなんだって、姉貴にゃクマの言葉がわかんのか!?
クマ ガゥ! ガルルルゥ!
シェラ そうですか、穴を掘って埋めてきてくれましたか、御苦労様です。(鮭を投げ与えるシェラ)
ラミ (ほんとにわかるんかい! その上クマ、マジで調教されてんぜ、こいつ)とりあえず作者がやるはずだった細かい設定の説明を代行すッぜ。
強制徴兵に関してだが、NERVに対する嫌がらせで有効期限が一日しかねえんだ。
更にその間に本人の署名が、国連のしかるべき地位にある職員の立会いの下必要。 髭は自分が立会人も兼ねるつもりだったんだが、ンなもんは当然無効だ。
シェラ その上事務総長の職権の制限が、不信任案と同時に発令、その為徴兵礼状は発行できない状態でしたわね。 もっとも軍人、それも教導騎士団長をNERVごときが徴兵など、夢物語ですが。
ラミ 碇 ユイの遺産についてだけど、そっちの世界じゃどうか知らんがこっちじゃ特許も相続される上、特許には相続税が掛かんねえんだ。
シェラ それと水増し額ですが、最高三倍以上にしては平均が低いようですが、ちゃんと理由がございます。
それは事務用品ですわ。 さすがに定価のわかっている物を水増しできませんので、水増しせずに架空請求を行っております。 相変わらず小悪党ですわね。
ラミ 平均水増し率は某野球選手の最高打率(04‘現在)だな。 作者はこの球団好きなんだが、この選手のファンじゃねえ。
シェラ マユミ様のところに居られました一羽、どのような役割を持つ存在かわかる方がいらっしゃいますでしょうか。
あの鳥様はペンペンではございませんわよ?
ラミ きっちり正解する奴が出たら、今作者が書きはじめてる外伝を完成次第送らせるぜ。
けどわかる奴なんているんか? どんな鳥かはともかく、これのもつ役割までなんてよ。
説明はこんなとこか? 忘れがあったら肆話でまたやるぜ。
シェラ では言い訳と謝罪ですわね。
まずは投稿が遅れた理由、仕事の忙しさといわゆるスランプだそうですわ。
ラミ 読む方オンリーの時はスランプなんて言い訳しやがってって言ってなかったか?
シェラ 仕事疲れで帰宅後数行書き込んでも、次の日に読み返してあまりの稚拙さに書き直し、を繰り返したそうですわ。
そのくせあまり御上手な文章とは申せませんが。
ラミ そのわりにはナデシコとかのSS読んでたよな、『こっちも書こうかな?』なんていいながら。
シェラ 当然この御話優先ですわ。
スラスラと書けるようになったらナデシコも、と思って、ネタだけは蓄えております。 乞う(?)御期待、ですわ。
ラミ そういやこいつ、文体少し変えたよな?
シェラ はい、どうやらナデシコSSで、同じ書き方を管理人さんに指摘されていた方がいたそうですわ。
その為急遽変更いたしました。
壱話、弐話については後ほど改訂するそうです。
謝罪はこの程度でしょうかしら?
シェラ・ラミ では、第肆話『騒乱の日常』、期待せずに待て(お待ちください)!
ベルゼバブ 私、自分の言葉には責任持ちます、ペテン師じゃありません、シン様のお役に立ってます、シン様が『いつも助かるよ』って言ってくれました、私、髭の同類はヤです・・・・・・

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