リターン・オブ・エンジェルズ

第肆話 幕間の日常

presented by クマ様


第三新東京市郊外

ドロロロロロロロロロロロロロロッ

ゆっくりと走るマスタング・コブラ GT500KRの中には、ステアリングを握りシフトノブに右手を置くシンジと、その右手を嬉しそうに両手で包み込むミカがいた。

NERVでのひと騒動の後外に出た二人は、少し離れたところに止めておいた車に乗り込んで、帰宅途中だった。 まあ行ってみたら保安部員が車を盗もうと悪戦苦闘、二人の腰の光剣を見て、頬を引き攣らせながら『盗難されるといけないと思いまして、NERVの駐車場へ移そうとしておりました』などと言い訳をしていたが。

なんせこの車、まともな車はただでさえ少なくなっていたところにセカンドインパクトだ、いまやプレミア付いて数千万という値が付く。

NERV内での一件は、ほとんどが昼を回ってからの出来事だったため、すでに夕刻になっている。 もっともこの二人、二人きりのドライブを楽しみながら帰ってきたが。

そして見えてくる大邸宅。

凄まじくでかい。 御殿というべきだろう。

母屋は見事な数寄屋造りだ。 向かって右手にこれまた大きなガレージ、左手に大きな離れ。 母屋の後ろにも大きな離れがあり(小さな旅館クラス)、その周りにも一戸建てクラスの離れがいくつかある。 そしてその全てに渡り廊下が張り巡らされている。

表門からゆっくりと入ったコブラは五百メートルほどを走らせガレージに入る。

その隣に滑り込んだ一台の車、ジャガーXJR−15。

コブラから降りたシンジはこの車に誰が乗っているのか、この後どうなるのかわかっていたのだろう、何かの包みを取り出しながら微笑んでいる。

ガチャッ、スタッ。

「お帰りなさいませ、義経様、魅華様」

「静こそ、お帰り」

「お帰りなさいませ、御前」

そこにいたのは和服の女性。 年の頃は二十の半ば、鴉の濡れ羽色の髪を腰まで伸ばした、それこそ日本人形のような絶世の美女がそこにいた。

彼女は静御前、源 九朗義経の側室で、妻と間違われることも多い彼女だった。

なぜこんなことになったかというと、SEELEが変わってしまった為復讐対象が減ったシンジは、京都に移り住んだ後、その身に燻ぶる復讐心と破壊衝動をもてあましていた。 そんな時、この世界は複数の世界に分けられ、それぞれに管理者がいることを知り、ほかの区域の担当管理者から支援要請を受け、憂さ晴らしにその世界へ赴いてその世界で暴れまわった。

そしてその世界で暴れまわった後、この世界に帰ってきた訳だが、その時時代を間違えてしまったのだった。

そして出た先の鞍馬の山の中で、寺での苛めに耐え切れずに自殺し、息を引き取る間際の牛若丸と出会い、歴史を変えないために、死を選んだ彼に代わって義経となったのだった。 その為未だに彼女からは義経と呼ばれている。

ちなみにシンジは時空音痴らしく、その後も色々な時間に間違えて飛んでしまい、何人もの英雄・犯罪者を連れてきてしまっている。

一応は夫婦同然に暮らしていたため、一部ではシンジの本妻候補の一人、ミカの対抗馬と見られている。

「はい静、来る途中の浜名湖で買ってきた『夜の御菓子・ウナギパイ』だよ。
へんな名前だけど美味しいんだ」

「夜の御菓子? 夜の、夜、よる・・・・・・!(ポッ)よ、義経様!? そのような淫らがましい御菓子など、御土産にするものではありません!」

ウナギパイは名前が名前だけに、知らなければそう考えても仕方あるまい、御菓子業界の変り種だから。

「?・・・・・・!(ボンッ)ち、違うよ! これは極普通の御菓子! 甘くて美味しいんだ!」

「え? そ、そうでしたか、取り乱してしまい、申し訳ありません」

このやり取りの中、二人は真っ赤だ。 いや、聞いていただけのミカまで赤くなっている。

そんなこんなで和みかけたこの時、

キュルルルルッ、ボォッボボボボボッ!

突然の轟音に耳を抑える三人。 そこに重なる楽しそうな声。

「ハッハッハァ! やっとなおったァ!! まっさか燃料パイプ詰まらせるなんて、それに気付かないなんて、らしくないことやっちゃったぁ!」

その声と共に、ガレージの中に最初から止まっていた車、ボンネットを開け、マフラーを外したACコブラの陰から、一人の少女が歩いてきた。

そこにいたのはツナギを着た少女。 ショートカットでオイルにまみれ、薄汚れているが、まぎれもなく美少女。

三人は顔をしかめて耳を押さえているが、この少女は平気らしい、ニコニコ笑っている。 ガレージのシャッターが自動で閉まっていなかったら、近所迷惑極まりない。

ちなみにガレージは、防音断熱冷房完備、工作機械までそろっており、後にラファーナ工房と呼ばれることとなる。

「ラ、ラファーナ、エンジンを止め「よ〜し、いっちょ吹かしてみよっか!」!!」

「!!!」

三人は意識を手放した・・・・・・






碇邸・居間

「いや〜ごめんごめん、さすがに徹夜明けで、ハイになってたわ。 帰ってきたのに気付かないとは、このラファーナ一生の不覚、ハッハッハ(冷や汗)」

「一生と申しますが、これで幾度目になりましょうか?」

冷や汗を流しながら詫びを入れるラファーナに、未だ続く耳鳴りに眉間に皺を寄せたままの静御前が突っ込む。

「まあまあ、静、気にしていたら、ここではやっていけないよ?」

「(クスクス)そうね、この程度でとやかく言ってたら、ラファーナとは付き合いきれないわ」

「それは承知の上でございます。 ですがこのようなことが続くとなると、たしか、くれえむというものを付けたくなるのは人の情というものではありませぬか? 義経様、リツコ殿」

この程度のことはどうやら日常茶飯事のようだ。

今この部屋にいるのはシンジ、ミカ、静御前、ラファーナとリツコがいた。

なぜリツコがここにいるのか? 答えは簡単だった。

彼女は碇総研就職後、その才能がシンゾウに認められ、何度も碇邸に招かれていた。 当然そうすればシンジと顔を合わせることもあり、その結果親しくなったのだ。

そして今、彼女は国連軍の仕官服を着ている。 新設された極東方面軍の技術顧問団の一員として、出向先の台北の国連軍中央技術本部から再出向、しかしこの使徒騒ぎの所為で未だに任地(?)であるエアフォートにいけないでいる。

「さて、シンちゃん? 初号機の中にある、リリスのコアの、中核は持ってきてくれたかしら?
あれさえあれば、シンちゃん専用MHのファティマが作れるはずなんですけど?」

好奇心と期待に瞳を輝かせながら、シンジに向き直るリツコ。

「え〜と、こっちの痣がコアですね。
あ、一応渡しておきますけど、こっちのは僕の母さんのです。 どうするかはリツ姉が決めてください。
あ、これ来る途中で買った御土産です」

右手の掌から二つの痣を赤い珠にして取り出し、御土産と共に渡すシンジ。ユイの珠を見る目の輝きようは、マッドそのもの。

よく聞いていると、「ふふふふふ、もう鬼籍に入っているんだし、どんな実験しようかしら」などと呟いている。 就職先は違っても、マッドはマッドのようだ。

しかしこれを普通に受け取るところをみると、リツコはシンジが人間でない事を知っているのだろう。 もしかしたらリツコも人をやめているかもしれない。 どうみても若すぎる、三十路のはずだが二十歳過ぎにしか見えない。

「あらシンちゃんありがとう、台湾じゃ手に入らないのよこれ(♪)」

手渡されたものは信濃ワイン・葡萄交響曲。 それほど高価な代物ではないが、何を隠そう作者をワインにはめた主犯だ。

ちなみに作者は、なんとなくワインが好きというだけで味はわからない。

リツコはそれこそ、頬擦りしそうな喜びよう。

そんな時、ミカがあることに気が付いた。

「? そういえば皆様、ルーシーさんはどうされたのでしょうか?
シン様が御帰りになったなら、一番に出迎える方です。 それにお酒には目のない方、強いものを好まれるとはいえ、お酒が出てきて現れないというのはどういうことでしょう?」

「そういえばそうだね。 普通なら物欲しそうな目で見てくるのに、どうしたのかな?」

シンジも気が付いたようだが、二人とも何か肝心なことを忘れていないだろうか? 京都で何があったか知っているはずの三人が首を捻っている。

「う〜〜〜ん、・・・・・・アッ! なぁ、シン様、確か朝の騒動の御仕置きで、待ち合わせ場所に縛り付けたんでなかったか?(冷や汗)」

「へ?・・・・・・そういえば、そんな事をしたような気が、しない、でも・・・・・・(滝汗)」

「あきれた、あの娘まだシンちゃん諦めてないの?」

「あの者は絶対にやめませんでしょう。 なんといっても義経様との行為自体が目的ゆえ。
快楽を得られるのは認めますが(ポッ)、それだけが目的とは、不潔な」

「まったくでございます、御前。 ルーシーさんには、よい御薬となることでしょう」

上からラファーナ、シンジ、リツコ、静、ミカの順だが、最初の二人以外、全然心配してない、というよりまるっきり別のことを言っている。 特にミカ、何気に嫉妬が混ざっているような・・・・・・、自覚はないだろうが。

「と、とにかく探しに『ズ・・・・・・ン』なんだ、今の振動!?」

死にはしないから平気とはいえ、一応探さないと後がうるさいし、NERVに先に見つけられて実験材料にされたら、証拠隠滅に無駄に人を殺さなければならないため、そんな面倒なことはしたくないから探しに行こうとした途端、謎の振動が碇邸を襲った。

「いまのは、奥!? まさか、みんなはここにいて!」

そう叫ぶと、シンジの姿はその場から掻き消えた。




シンジはその身体能力をフルに発揮し、母屋からその真裏の離れ、通称『奥』へ入ると、迷わず地下へ降りた。

そして地下倉庫の奥の扉を開くと、そこにあったのは広大な大地と、はるか上空にシンジの目をもってしてようやく見える壁。 そこは真円の空間。

それはとてつもなく大きな空間だった。 そう、NERVのあるジオフロントなど比較にならないほどの。

シンジが立っているのは、ここを管理する女性の一人にせがまれてアステロイドベルトからもってきた、空中に浮いている巨大な岩塊に建てられた宮殿の入り口だった。

ズドオーーン!!

「! 迎賓館!? まさか、やっぱりナツミちゃん!?
この気配、そんな、旧人類なの!?
クッ! 確か騎士とか、ダイバーだという報告はなかったはずだよ!? まさか眠っていた?」

シンジは爆発があった方に全力で走り出す。 そんなとき、シンジの頭の中に声が響いた。

『全MH起動!
天騎各騎、MH搭乗!
宮殿内戦闘!! 戦闘に伴うあらゆる行為を許す!!
相手はルシェミを使えるダイバーだ、数を出してくるやもしれん、MHとはいえ油断するな!』

この浮遊城を管理する女性の、配下の騎士達(すべて天使又はそれに順ずる者)に命じる念話がシンジにも流れ込んでくる。

この声にシンジは青くなりながら念話を割り込ませた。

『シンの名において命令を撤回する!
少女は錯乱状態にあるだけなんだ、攻撃はしないで! 各ダイバー・魔導師は迎賓館前に集って閉じ込めて!
僕が抑える!!』

『シンジか!?』

『彼女は錯乱しているだけなんだ、自分の身に何が起こったのかを思い出して、ここがどこかわからずに、そして、いきなり覚醒した、旧人類の血に・・・・・・ 運びこまれてから、初めて意識が戻ったんじゃないの?』

ルシェミは死海写本にすらかつて存在した力としてかろうじて記載されていて、遥かな太古に使い手がいたという言い伝えが、あるという噂がある程の能力、使えたとすれば文句なしに旧人類だろう。 シンジですら、使い方は知っていても使えない。

そして旧人類である以上、その記憶を操作することは出来ない、頭の痛いことに。

無論完全に無理なわけではない。 が、困ったことに一定以上の能力を持つ天使が、本来の姿に戻る必要がある。 天界に天使がいないわけではないが、シンジが管理職を離れている以上、今以上に引き抜くことは出来ないし、こちらから引き抜くのは、何人もの天使たちが(ルシフェルの指示で)個別に介入してしまったこの世界を考えると、あっさりと崩壊を招きかねない。

『確かに、その通りだな。
聞いての通りだ、各騎士はMH内で待機、戦闘に備えろ、これくらいは構わんな?』

『ありがとう!』

念話を交わすうち、シンジはようやく迎賓館へ到着した、が、そこはまさしく廃墟。 京都御所に似せて作り上げた和風迎賓館だったが、今は完全に建築廃材の山だ。

そこに直立する、十四、五mほどの漆黒の存在。 魔導生命体。

ルシェミはダイバー個人のイメージで作られる。 おそらくナツミの恐れる存在のイメージなのだろう、黒い肌の比較的凹凸の少ない巨大な鬼だ。 その胸元に掲げられた左腕に、ナツミが震えている。

ナツミの存在を確認した時、周囲の気配が変わった。 どうやらダイバー達が結界を張ったらしい。

周囲を見回し、数人のダイバーの姿を確認し、結界が徐々に強くなっていくのを感じると、シンジはためらいもなく鬼に向かって跳んだ。

「ナツミちゃん!」

ルシェミは創造者にコントロールされる、だったら自分を認識させ、攻撃しないでもらおう。 そう考えて声をかけたのだが、錯乱しているのを考えに入れていなかった。

「ひいっ!」

ゴオッ!

ドゴッ!! バシッ!!

「ガアッ!」

突如自分の左側から迫ってくる鬼の拳に、咄嗟に受けをとるシンジだが、サイズがサイズだ、あっさりと弾き飛ばされ、物質化をはじめた結界に叩きつけられてしまった。

ゆっくりと地面に落下していくシンジ。

そこへ、追い討ちをかけるかのように鬼の口が開き、光の奔流がシンジを襲った。

「!? クッ! WHホワイト ホール機関ドライブ、リミッターT・U解除!
A−フィールド!!」

シンジは咄嗟に、天使以上のものが持つ特殊なエネルギー機関・WH機関のリミッターを二つ解除し、普段はAT−フィールドで代用しているため使わないA−フィールドを張った。

普段のシンジは、管理者としての力のほとんどを封印している。 普段開放されているのは、この世界の維持に必要な分のみ、それ以外にはリミッターがかかっている。 その二つを開放したのだ。

いくらなんでも天使級の力を使うのはと思わないでもないが、結果としてそれは正解だった。 なぜなら、

ドゴオォーーッ!!

「!? なんてパワー!」

凄まじいばかりの熱量に、驚愕の声を上げるシンジ。 しかし、着地したシンジを、更なる驚愕が襲う。

ゴゥッ! ズンッ!!

一瞬にして間合いを詰めたルシェミに踏み潰されるシンジ。 その巨体にかかわらず、凄まじく早い。

「グ・・・・・・ウ。 強・・・い。 今の僕は、力天使レベルなのに・・・・・・
けど、チャンスだね・・・・・・崩壊

土に踏み込まれた状態で、ルシェミに直接触れながら、シンジはその力を放った。 無論のこと、ナツミがルシェミのダッシュに耐え切れず気絶したらしく、意識がないのは確認済みだ。

暴走状態にあったルシェミが、徐々に崩れ去っていく。 サラサラと。

腕が消えた時、ナツミが落ちてきたが、シンジが優しく受け止める。

「フウ、とんでもない目にあっちゃったよ・・・・・・」

「大丈夫か?シンジ坊や」

「僕ももう見かけ十四歳ですよ? 坊やはやめてください」

いきなり後ろからかけられた声に、苦笑しながら振り返り、笑いかけるシンジ。

そこにいたのは、背の高い女性だった。 西洋風の甲冑を纏い、その身にそぐわない大剣を持つ、金髪碧眼の美女。

「私から見れば十分子供だよ。
それよりその少女はどうするつもりだ? シンジ」

「僕もこれから忙しくなります。
申し訳ありませんが、ここでしばらく落ち着かせたあとで、僕に知らせてもらえますか?
社会に戻るも消滅を願うも、落ち着いてからです」

「人をやめるも、だな。
よかろう、私が預かり、教育しておこう。
たまには私のところへも遊びに来い」

最後のところだけ、冗談めかして言う女性。

それに対しシンジは、

「近いうち、必ずね、ジャンヌ」

そう言うと、光となって消えていった。







少し前・地上、母屋・けやきの間

そこでは女性陣がお茶を楽しみながらシンジを待っていた。 あのシン様が自ら赴いたのだから大丈夫、そんな雰囲気だ。

欅の一枚板のテーブルについた面々は、ほうじ茶を呑んでいた。

そんな中に一人足りなかった人物、ミカが着替えて帰ってきた。

ミカはなぜかメイドという職にこだわる。 おそらくは、自分はシンジに仕える者という意識が強いためだろう。
そして洋間もある奥ではともかく、ここ母屋では着物を着る。 そして彼女は日本人の血が入っているヨーロッパ系、という顔立ち、スレンダーなプロポーションを選んだため、たいして違和感なく、否、絶妙な美をかもし出している。 振袖を着ようものなら美女振りが増すことだろう。 ちなみに面立ちのベースはシンジだったりもする。

ちなみに髪型も着物に合わせてある。 いつもは背の中ほどまでの金髪をまっすぐ垂らすか、ポニーテールにしているのだが、着物にするとちゃんと結い上げている。

なお、作者の偏見といわれてしまえばそれまでだが、着物はスレンダーな女性の方が似合う。

「皆様、今夜の夕飯はいかがいたしましょうか?
本日はリツコ様も御出でくださいました、またナツミ様もこちらにこられるでしょう。 久方振りに御一緒なされては?」

この中で、京都の邸宅の頃から、いつもシンジと夕食を取るのはラファーナだけ。 ミカは「私はメイドですから」といって夕食の時だけはテーブルに付かないし(朝昼と大勢で食べる時は別、寂しそうなシンジに負けた)、リツコは外に(台湾と京都双方)家がある、それに静御前は離れに住んでいる。 まあこの人は時々食べに来るし、シンジが離れに泊りにも行く(そこで何をするかは、想像の通り)。

ルーシーは仕事もあって、いるかいないかわからない。 いたなら一緒だが、いないことの方が多い。 ベルゼバブは、『私は裏に生きる者です』だそうだ。

まあほかにも、教導軍団司令としての職務や教導騎士団団長としての職務などで、食事の時間が不規則になりがち、というのもある。

しかしこれだけ大きな邸宅で、二人での夕食は少々寂しい。 その為に出たセリフだ。

「そうですね、いただいて行きましょう」

「まあ、あいつも仕事でこっちにいないし、ホテルって言うのも・・・・・・車を取りに来るのも面倒だし、今日は泊めてもらえるかしら?」

「はい、喜んで」

これでにぎやかな食事(飲み会?)が決定した。

そんな時、シンジが戻ってきた。

「ただいま、みんな」

「お帰りなさいませ、シン様。
? ナツミ様は?」

「うん、気を失っている。
ナツミちゃん、ダイバー、それも旧人類だったんだ。 ルシェミを操ったよ。
しばらくは浮遊城で落ち着かせて、それからだね」

シンジの言葉に状況を理解し、場の空気が沈み込む。

「(う〜〜む、暗い!)シン様! 今夜は宴会! みんなで呑もう!!」

「(クスッ)そうだね。 今夜は楽しもう!」

ラファーナの一言に、みんなが明るく笑う。

全員わかっているのだ、暗くふさぎこんでいても仕方がない、この先精神的につらい戦いにもなるだろう、抜ける時に抜いておく、こんな状況でも、いや、こんな状況だからこそ・・・・・・







同時刻、台湾・台北市・国連軍総司令部総司令執務室

そこには二人の人物がいた。

一人は総司令官代行ギラ大将、もう一人は透き通るような綺麗な白髪と、強い意思の光を湛える漆黒の瞳を持つ、二十台半ばほどの美女。

この二人は、先日の使徒戦の記録映像を、ダイレクト版、NERV編集版の双方を見ていた。

「さて、大佐。 貴官はこの記録を見て、どのような感想を持つかね?」

記録を見終わると同時に、女性に話しかけるギラ大将。 その表情はあきれ返っている。

というのもNERVの映像、改竄されまくっている。 初号機の不起動は起動したことにされ、打ち出された途端に遠距離攻撃で沈黙したことにされているし、ミサトの(ギラ大将に対する)暴言はなかったことにされた上に、そのときのミサトはシンジの安否の確認でとてもそんな余裕はなかったことにされている。

無論取り直しの映像な為動きはギクシャクし、演技なのがバレバレ、マヤは露骨に顔をしかめ、ミサトに沈められた筈のマコトはどこにも倒れていない。 そして最後のシーンにはきっちり担架で運ばれるマコトが映っている(マコトは取り直しを拒否、その為ゲンドウの嫌がらせで減俸及び独房入り)。

この映像は病床の、薬で少々頭が怪しいゲンドウの指示で国連安全保障理事会に提出されたもので、本来はこれが事実であり、これ以外はすべて偽物なのだが、真実の映像をNERVが垂れ流してしまった為完全に墓穴だった。

この双方の映像を見た女性士官は、別段表情を変えずに返す。

「NERVはどうやら映画業界に進出するつもりのようですが、俳優には恵まれていないようですね。
使えるのは葛城一尉、今は二尉でしたか、位のものでしょうか?
それは措くとしまして、無為・無策・無能の三拍子そろっています。
実際使えるのは、事前データ通りならば副司令、技術部長補佐、作戦副部長くらいかと。
ただ、データ通りならば使える筈の作戦部長があのざまでは、どれほどのものか・・・・・・」

作戦部長の批判のところでは若干自嘲気味の笑みが浮かんだが、ギラは事情を知る一人、しかたあるまいと納得する。

「作戦部員や技術部員は、使えんかね?」

「作戦部は、指示されなければ一切動こうとしません。 それでは緊急時に、作戦指揮官に情報の開示及び助言ができません。
技術部員は、MAGIのオペレーター以外は技術者というよりは研究者ですね。 使徒の外殻などの考察を述べ合っていたようですが、どのような装備が有効かという事に気が回っておりません。
戦場の技術者としておくには本人にとっても組織にとっても危険です」

ギラ大将は満足気に頷いた。 情報通りだ、あの姉とは違う。

「・・・・・・貴官には辞令が出ている。
明日付けで准将に昇進、アジア方面軍から総司令部へ転属、その後NERVへ作戦部顧問として派遣される。
これに際して貴官には国連軍法、騎士団法に則った特務権限が与えられる。
身内が敵となるやも知れんが、カツラギ大佐、貴官ならばこの任務をまっとう出来るものと信じている」

「重責、謹んで拝命いたします!」

ギラ大将の言葉に、隣に座っていた女性士官、葛城 ミユキ大佐は直立不動になって返答した。






碇邸・奥

シンジはほろ酔い加減で歩いていた。

あの後本当に宴会になり、かなり呑んだ。

ここのメンバーはとにかく強い。 シンジ一人で泡盛数本、隣のミカは日本酒をこれまた数本開けたがまだこんなものだ。

そんなシンジ達の隣を何人ものメイド姿の美女・美少女が通り過ぎる。 そしてその女性達は顔立ちや肌の色は違うが、みな銀髪に朱眼。

美女よりも美少女の方が多いが、それには訳がある。

実は彼女達、ゲンドウの被害者ばかりなのだ。

ゲンドウは、気に入った少女、女性を片っ端からレイプしてきた。 そしてその中でも更に気に入った者を監禁していたのだが、飽きると無造作に子飼いの部下に下げ渡し、その後は薬漬けの挙句売り払われ、殺されるか自殺するか。

無論シンジ達もゲンドウの妨害はしてきたが、あまりに介入しすぎるとどのような反動があるか予測できないため、どうしても控えざるを得ない。

そして死を選んだ女性達の魂に、シンジ達は問いかけてきた。 『人としての生を(記憶を消して)全うするか、人を捨て、傍観者として存在し続けるか、消滅するか』と。

そんな女性達の中で、傍観者、つまり使徒化することを選んだ女性達が彼女達だ。

そんな中、この家では少数派になる栗色の髪にエメラルドグリーンの瞳の、極普通の美少女が声をかけてきた。

「シンジ様、湯殿の支度が整いました」

「ああ、メアリーさん、ご苦労様。 それじゃあ一風呂浴びて休むとしようか」

そう受け答えをすると、湯殿、つまりはお風呂に向かって歩き出すシンジ。 そしてその後ろを当然のごとく付いていくミカとメアリー。

この少女、名をメアリー・バーラムといい、イギリスの貴族の出身だった。 また、彼女の祖父は名をウィリアム・バーラムといい、イギリスSEELE代表で12使徒の一人、更に大叔母はベルギーSEELEの幹部だということを彼女がシンジに話したのは、極最近のことだった。

三人は連れ立って浴室に向かっていく。 そして何の躊躇いもなく、そしていたって自然に三人とも脱衣所に入っていった。

脱衣所に入ると、さも当然といった感じでシンジの服を脱がせる二人。 若干頬が赤くなっているが、慣れた手つきだ。

そしてシンジを全裸にすると、自分達も脱ぎ始めるが、下着だけになったところで、若干俯きながらシンジに背を向けた。

すると、シンジが初めて赤くなって下着を脱がせる。

実はこれ、ルーシーがミカにした余計な入れ知恵の一つで、『女性の最後の砦、ランジェリーを脱がせるのは男の浪漫なのよ!』を実践しているのだった。

シンジは毎日誰かの下着を脱がせているのだが、脱がせなれているミカが相手でも赤くなる。 これが来たばかり、つまり始めての女性ならどうなることやら・・・・・・

赤くなりながらも全裸になった三人は、タオルで前を隠しながら露天風呂に入り、掛け湯をして湯船に浸かった。 

そこはかなり大きな、一度に二十人は入れる岩風呂だった。

「は〜〜、いい湯だね〜、やっぱり温泉はいい」

「はい、シンジ様。
数日前から使っておりますが、肌が滑らかになるような感じもします」

「シン様、メアリーさん、このあたりの温泉は、一般的には美人の湯として知られております。
それにこの温泉は源泉の掛け流し、レジオネラ菌を心配することなく二四時間三六五日いつでも利用可能ですわ」

「美人の湯、ですか?
温泉というものは、神経痛などの治療効果しかないと思っておりましたが・・・・・・」

「それは泉質によります。
ここの源泉は炭酸水素塩泉でして、神経痛や関節痛、消化器病に冷え症、疲労や病後の回復に効能がありますわ。
美人の湯というのは、お肌の保湿・洗浄効果があることと皮膚の角化を促進するからではないでしょうか。
美人の湯というよりは美肌の湯というべきですから、メアリーさんの言うことは正しいと思います」

「そうですか、私はてっきり美しくなれるものかと・・・・・・」

「(クスッ)メアリーさんは十分お美しいですよ?」

などということをシンジを挟みながら話す二人。

ミカは酔ったときの悪い癖、説明が始まってしまったが、某説明おばさんほど長くもしつこくもないし、ダメージも残らない。

シンジはそんな二人を幸せそうに見ている。

アルコールが入り、こんな幸せな状態な為シンジは気が付かなかった、湯船から生垣に向かう雫の跡に。 そして生垣からこちらをのぞく視線に・・・・・・






少し前、洞木邸

「ふう、お茶碗もお湯飲みも粉々、買い揃えるのにいくらかかるのかしら。
噂だとこの先もこんなテロが続くって言うし、落ちてもいいように割れないお茶碗にしようかな?
そうなると漆器は高いからプラスチックか〜」

こんな生活感のにじみ出るセリフを呟きながら自室に入ってきたのはこの家の次女、ヒカリ。

彼女達一般市民は、シェルターに一泊したあと、今回の避難中にN2まで使った大規模なテロが発生、市街地にかなりの被害が出た、ということをNERVの保安部員から宣伝(説明ではない)されていた。

大半の市民はこの宣伝を真に受けて色々と噂をしており、ヒカリも夕方に何とか再開したスーパーで、顔なじみの小母様方とこのテロについて噂話をしてきたのだった。

無論この宣伝は、後々NERVの首を絞めることとなるのだが。

実際のところを言うと、ヒカリは父親がしばらく帰れそうにないと言ってきたため、NERVが今回の事件にかかわっている事に感付いており、そうである以上は只事ではないと思っているが、彼女は某盗撮眼鏡ではない、そんなことを話して小母様方を無用に心配させたり噂のネタを与えたりはしない。 もっとも小母様方の耳の速さは伊達ではない、冬月が居らず、ヒカリの父親の抜けた抜かれたNERVからなら、あっという間に情報を引き抜いて噂にするだろう。

ともあれ、どれだけの出費になるのか、その予算をどこから出すのか、自身を含めた三姉妹のお小遣いをどれだけ削ろうか・・・・・・などと考えながら、ノートPCを開き、起動する。

「? メール? ドイツ・・・・・・キールお爺様!?」

そのメールは、一度だけ会ったことがある母の叔父にあたる人物、SEELE議長キール・ローレンツからだった。

メールを開くと、そこには時々おかしな仮名使いや漢字があるものの、僅か数ヶ月の間で日本語を覚えたとは思えないほど流暢な日本語の文章で、洞木一家を心配する文面があった。

ヒカリはこの大叔父が好きな為、最初は嬉しそうに、そしてぼかされてはいるものの事件の真相に蒼褪めながらメールを読んでいく。

そしてその後半に差し掛かったとき、

「? 第一中に転校生?
・・・・・・そう、騎士なんだ・・・・・・大変だろうなぁ〜、・・・・・・私にみんなを!? 騎士を受け入れさせるなんて、できるかしら。
添付ファイルはっと、・・・・・・うん、優しそうな人ね、こんな人もいいかも。 これなら大丈夫、うん」

そのファイルに入っていた画像の人物、それはシンジだった。






翌朝、奥・シンジ寝室

大きな布団の上に、全裸の三人が眠っている。

いわずと知れたシンジとミカ、この二人に挟まれるように眠っているのはメアリーだった。

空が白み始めたばかりの早朝、ゆっくりと目を覚ますミカ。

よく眠っている二人を慈愛に満ちた眼差しで見つめると、二人を起こさないように起き上がり、そのまま隣接してある浴室に移る。

温泉の元栓を開け、五人ほどは入れそうな檜の浴槽にお湯を張り始めながら、昨夜の残滓を丁寧に落とすと、そのまま別の出入り口から出てメイド服に着替え、厨房に向かった。

途中すれ違うメイド達にあれこれと指示を出すミカ。 長年メイド長を務めるだけあって手馴れたものだった。

厨房に立つと、この碇邸の数少ない男性、銀髪朱眼でヤクザ顔の料理長に向かって問いかける。

「阿賀野料理長、本日の献立は?」

「おう、嬢ちゃん。
昨日市場でいい鯵が手に入ってな、開きにしてある。 それを焼いたのと、後は出汁巻きに白出汁、和風サラダにほうれん草、後はしらすおろしかのう。
納豆と温玉は付けとくが、あのシン様が納豆を食うてくれるとはおもえんのう」

「そうですわね、シン様もなんでも召し上がるようでいて好き嫌いの激しい方ですから・・・・・・」

そういって苦笑しあう二人。

この男、名前を阿賀野 ライゾウといい、シンジやミカ、ルーシーとタメ口をたたける数少ない、そしてミカを嬢ちゃん呼ばわりできる唯一の使徒だ。

実はこの男、以前は京都最大の暴力団の組長だった。

それがなぜ使徒化してここにいるかというと、ミカが殴りこんだ時、やっていないと確信できる子飼いの組員を守るため、無謀にも騎士でもないのに長ドス一本でミカに挑んだのだった。

結果は惨敗、瀕死の重傷を負ったものの、組員達もこの男を助けようとしたことからシロと判断、シンジが組長を使徒化して助けた。 そして厳つい外見からは想像できないほど繊細な和食を作れるという、ヤクザらしからぬ(本職の方、ごめんなさい)特技から、シンジ専属の料理長として(組員諸共)再就職していた。 もっとも、今でもシンジは料理をする為、けっこう暇だったりもする。

そんなことを料理長と話した後、ミカは後ろを振り返り、彼女とほとんど同じメイド服か着物姿の美女・美少女・使徒達に向き直る。

しばし頤に指を当て考えると、

「今日はエルフリーデさん、イザベラさん、メイシンさんの三人が食卓についてください」

と、指示を出した。

その言葉に喜色を浮かべる三人。 特にイザベラは大喜びだった。

彼女はブラジルの、あまり裕福ではないインディオの地方政治家の末娘で13歳、一週間ほど前からメイドとして碇家で働き出したばかりだった。

この家で働く以上はシンジと共に食事をする機会もあれば、一緒に入浴する機会も、その先もありうる。 両親に言われた通り、国連軍高官にして碇家次期当主の愛人にでもなれれば、父の中央政界進出のいい後押しになるだけに、機会を逃したくないのだった。

ただこういった少女は、別に珍しくない。 何人かは京都においてきたが(愛人争いからは落選?)、シンジの立場が立場なだけに、この家のメイドの中ではこういった少女が大半だった。 メアリー(一目惚れして追いかけてきた)やメイシン(御見合いをした後、居座った)のような例外もあるが。

そんな理由で喜び合う少女達を微笑みながら見やりつつ、うらやましそうなほかの女性陣に食後の指示を出し、ミカはシンジの寝室に向かった。




シンジの寝室の控えの間に着くと、ミカはおもむろに着衣を脱ぎ、音を立てないようにそっと部屋の中にはいる。

そして二人を起こさないように布団に入りなおすと、優しくシンジの頭をその胸に抱きしめた。

三人の体勢はというと、メアリーはシンジの鳩尾の辺りに額を当て、左腕でシンジの腰に抱きついている。 そのシンジは、メアリーの頭を両腕で抱きしめ、優しそうな笑みを浮かべている。 そしてそのシンジを抱きしめるミカ。 全員が全裸だ。

極僅かの至福の時の後、シンジがゆっくりと目を覚ます。

「おはようございます、シン様。 六時二十分でございます。
湯殿の仕度、朝食の仕度共に終わっております。 本日の朝食は、メアリーさん、エルフリーデさん、イザベラさん、メイシンさんの四人が同席いたします」

「・・・・・・うん、わかった・・・・・・。 めありー、おきて・・・・・・」

寝ぼけているシンジ。

以前はこうではなかった。 布団から出ようとすればすぐに目覚め、入ろうとしてもすぐに目覚めていた。

今でもここまで無防備な寝起きを見せるのはミカだけだ。 それがある意味ミカの、誰にも教えない誇りであり、無自覚ながら楽しみだった。

「<・・・・・・ふわ、シンジ様? おはよう・・・・・・はわぁ!?>」

「え?・・・・・・!ご、ごめん!! あ、いや、<ごめん!!>」

寝ぼけ眼をようやく開けたメアリーは、『女』になってから僅か数週間、こういったことの経験がまだ浅いため、お腹に当たった大きくなっているシンジのモノに驚き赤くなるが、それは男の子の正常な生理現象、仕方がない。

ちなみに<>内は英語。

「(クスクス)<さあ、御二人とも、汗を流してしまいませんか? このままでは、夜の跡を残したまま朝食の食卓に着くことになりますよ?>」

「「<そ、そうだね(ですね)>」」

こうしてシンジの、優雅でうらやましい夜が明けた。






食事を終えたシンジはいつもの装甲服を纏うと、エアフォートにきていた。

シンジの所属は国連本部警備軍、規模から方面軍を名乗らずに軍を名乗るが、格は方面軍と同等だった。 この軍は国連軍総司令直卒であり、今まではすか閣下が直卒していたことになっているが、実はほとんどの職務をシンジが代行していた。

これはすか閣下がどのような人物か知るシンジが、警備軍を健全に保つ為にやっていたことだが、これがシンジの事務処理能力と人身掌握術の評価をかなり高め、結果として次のような辞令が、極東方面軍経由で総司令より届く羽目になった。

『シン・ミカミ大将、貴官を極東方面軍新設騎士団、仮称『東方第一等幻像騎士団』通称ミラージュ騎士団の団長代行に任ず。 なおこの任務期間中は、教導軍団司令及び教導騎士団団長の任はそれぞれ騎士団副団長ラリー・ビンセント中将、同副団長ビーン・バンデット中将を代行とする、以上だ(ヴツン!)』

騎士団の新設は只事ではない。 団員は自身で一からスカウトしなければならないのだから。

無論ほかの騎士団から引き抜くことも出来るが、それをしたら後に尾を引く。 万年中堅どころ、といった騎士や軽視されている騎士ならそれほどではないが、幹部クラスを引き抜いたりしようものなら、今後の共同作戦等に影響しまくる。

そういった理由でなり手の少ない新設騎士団の団長を、押し付けた途端に通信を切ったギラ大将、シンジの恨みを買ったのは確実だ。 事実シンジのこめかみには青筋が、口元は引き攣っていたのだから。

なお、シンジの騎士名簿、記載は碇 シンジだが、軍人としては御神 シンを名乗っている。

そんなことがあったシンジ、取りあえずは騎士団新設関係の書類を提出する為に執務室を用意してもらい、そこで書類作成の真っ最中なのだが、そんな時にバルンガ大将がたずねてきた。

「(コンコン)バルンガです、よろしいでしょうか?」

「どうぞ、司令」

「僕は司令の部下なんですから、わざわざお越しいただかなくとも呼びつけていただいて結構ですよ?
それで、司令自らどのような用件で?」

「何を言われます、教導騎士団では御世話になった教官殿に、わざわざご足労願ったなどと知れたら、世界中の騎士団員から袋叩きに会います。
それはそうと、NERVが国連にクレームを付けてきたようです」

「?」

苦笑しながら問いかけたシンジに、苦笑を交えながら冗談で返すバルンガ。

「NERVの高官から、副司令は自失状態との事ですので、おそらくは保安部長あたりと思われますが、ミカミ大将とヤマギシ少将が就学していないことに対するものです。
少年兵を採用していながら義務教育を受けさせないのはいかなることかと。 自分達はチルドレンをちゃんと就学させていると」

「・・・・・・させて見せていた、でしょう?
それもファーストチルドレンを中学から。 セカンドチルドレンは、当時は無理やり大学に通わされたと言っているはずでは?」

「厚顔無恥、ですな。
おそらくはロクブンギ司令のゴリ押しで保安部長が仕方なく抗議した、というのが真相では?」

ほぼ的中だった。

真相はゲンドウの命令で最初はミサトに抗議させようとしたのだが、そこは諜報部の長でもある彼だ、ミサトが仕事をしない為技術部の仕事が滞っている等の状況を知っていて、しかも今は書類整理が嫌で脱走を画策中、抗議の話を持っていけば、まず間違いなくNERVを飛び出してエアフォートへ(酒屋経由で)押しかけただろう。 実際、後に似たような行動をとる、この女は。

もっとも抗議したのは今朝、そして朝からこの女が出勤していたとはとても・・・・・・

そういう理由で、自分の事が表に出ないように抗議したのだが、こういうことが出来る人材が限られている為ほとんどの組織が誰によるものか見抜き、彼に同情していた。 そう、ここでも。

「確か、扶桑 アキオ大佐でしたっけ? 彼も大変ですね、髭のお守りは」

「アキラ一佐です、最近は駅前のドラッグストアの常連客らしいですな、胃薬の。 彼のために胃潰瘍の専門医と精神カウンセラーを、第三で開業させましょうか?」

「それよりも、健全な組織に引き抜くべきです。 きっと引く手あなたですよ」

やけにしんみりとした二人。

すでにお気付きの方も居られるようだが、かつては冬月が担っていたゲンドウの無茶の尻拭いをやっていたのはナオコと彼だった。 今はナオコが自失状態の為、彼一人が尻拭いに奔走する羽目になっている。

ちなみに医者とカウンセラー、バルンガは本気で言っている。 実際に医者は名医を派遣するのだが、後日彼の気配りは、足繁く通う(?)扶桑一佐の姿という形で報われる。

「まあいいでしょう、今更ですがあまり変えすぎるのもよくありません。
第一中はNERVのお抱えですし、確か第三には江田島学園の分校がありましたね、あそこなら融通が利きますからそこにでも通います」

「?」

シンジの変えすぎる発言に?なバルンガだが、彼には伝えなければならないことがあった。

「学校ですが、人類補完委員会から要請が来ています、校区内の第一中学に登校してほしいと。
どうやら国連軍の高官が学校にのんびり通っていられるというポーズを見せて、市民を安心させるのが目的とか」

「そう、第一に、ね。
了解しました、バルンガ司令。
ザ・ジコチューズと付き合うのは疲れそうだよな〜、まあ突っかかってきたら適当にあしらって遊ぶかな? まあ2−Aになることはないだろうけど

シンジはNERV経由で入学するわけではない以上、2−Aに転校することはないだろうとふんでいた。 それが浅はかな考えだとは気付かずに。






ほぼ同時刻、NERV発令所脇休憩所

そこには数人のオペレーター、技術仕官が談笑しながら休息していた。

作戦部の人間はここにはいない、というより恥ずかしくて入れない。 なぜなら、こんな彼女の部下だから。

プシューッ

「は〜〜、ちかれたちかれた」

妙なセリフを吐きながら入ってきたのは葛城 ミサト。 彼女を見た発令所員は、いっせいに白い目を向ける。

実はミサト、書類整理がまだほとんど終わってないのに昨日は定時で帰っているのだった。 そして今日は少なくとも午前中には出勤していない。 書類を持っていった技術部員と作戦部員が確認済みだ。

更には酒臭い息と傍目でみてすぐわかる赤い顔、更に更に片手に持ったエビチュの缶。

「(ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ)プハ〜〜、ひと仕事した後の一杯は格別だわ〜〜、あ、そこのあんた、このエビチュ冷蔵庫入れといて」

そういって脇に抱えたエビチュの箱三つをドンッ!と置く。

「今来たばっかでなに言ってやがる」

「休憩所は禁酒禁煙です。 冷蔵庫にはアルコール類は料理用以外入れられません」

至極もっともなお言葉、しかしミサトには通用しない。

「え〜〜いいじゃんちょっとくらい。 あ、じゃああたしの掌紋も登録して! そしたらあたしが自分で入れるから」

「総司令及び副司令と総務部長、生活課長と保安部長に内警備課長の許可を自分で貰ってきてください。 でなければ登録できない仕組みになっています」

「え〜〜、しょんにゃ〜〜」

そういって睨みつけるのは、巨大な冷蔵庫。

それはここのメンバーの昼食(朝食や夕食になることもある)を保存しておく為の物で、登録された掌紋のみで開閉するように改造されている。

なぜこんな事になっているかというと、ミサトが赴任した次の日、すべての食材が捨てられ、エビチュに変わっていたためだ。 監視カメラで犯人を特定後、普通の鍵をつけたのだが、ミサトはこの鍵を最初はピッキングで、電子ロックに変えられると破壊してエビチュを入れた。 その為仕方なくエヴァの装甲を流用した外板と掌紋識別方式に変えたわけだ。

ミサトがそのデフォルメされた虎毛の犬のマーク付きの掌紋照合機を睨みつけていると、聞き捨てならないセリフが飛び込んできた。

「うちの広報部、かなり叩かれてるな〜」

「仕方ねえよ、あんな嘘発表したらさ」

その声に目を向けると、そこにあったのはTV。

そこに映っていた光景は、報道関係者から詰問される第三新東京市の広報官。 かれは本来はNERV広報部の人間だ。

彼が責められている理由はただ一つ、なぜテロなどと嘘をついたのか。

彼等はただ単に、指示通りにシナリオB−22に沿った報道をしただけなのだが、国連関係はそんな必要を認めなかった。 なんせ通常兵器(?)で倒せたのだから。

NERVの報道と同時期に、台湾の本部で極東方面軍新設の記者会見を行った国連事務総長代行は、使徒と呼ばれる巨大生物の存在を暗に認め、その為の極東方面軍と言い切っていた。

当事者の自治体は認めないものの、国連が認めた上で、その為に最強レベルの騎士を集めた精鋭騎士団を設立することなどを発表したため、諸外国では国連発表を真実と認め、定例記者会見で問い詰めている最中だった。

無論ミサトはそんなことは知らない、いや朝から国内と海外のメディアの報道の違いを疑問視するニュースが流れっぱなしなのだから、昼をまわっている今現在知らない方がおかしいが、それは葛城 ミサトということで勘弁願おう、少し前まで寝ていて、起きたばかりでまた一杯(?)引っ掛けてきたばかりの酔牛なのだから。

そういうわけだからこのTVをみたミサトの反応は、

「なッ! 何で機密事項を記者ごときが知ってんのよ! 防諜はどうなってんのよ、防諜は! あたしみたいにちゃんと仕事しなさいよ!!」

メンバー全員が唖然としている。 マヤから聞いた話では、午前中にそのことで部長級会議があったはずだからだ。

そしてその結果、想定外の現状がどう動くかわからない為しばらくは静観、という結論になり、各部の部長から通達が出ている。

そして作戦部からの出席者はその報告書をミサトの執務室の扉に貼り付けてきたのだった。 中は未決済の、緊急を要するものを多量に含む書類の保管庫だったから。

ちなみに作戦部、部長が遅刻で副部長は八つ当たりで独房内、よってその下の課長級職員が出たのだが、真っ白な目で見られたのは言うまでもない。 (他の部は一佐又は二佐の部長職、作戦部は二尉の課長職)

周りの白い視線にまるで気付かずにひとしきり騒いだ後、ビールを放置したままどこかへ立ち去るミサト。

「あの人、何のためにここにいるのかしら?」

「仕事の邪魔、じゃないのかなあ、どう思う?サツキちゃ〜ん」

「カエデも言っうわね〜、でも私もそう思うわよ?
それよりこのビールどうする? アオイ」

「あれと一緒に総務へ提出。 私達まで減俸はごめんよ」

うんざりした表情で指差した先には監視カメラ。 そう、MAGIオペレーターズが言う通り、休憩所での飲酒は減俸対象、犯人の証拠がなければ利用する全員が。 その為にここには技術部によって監視カメラが据え付けられている。

最上 アオイ二尉はいきなり口元を手で隠すゲンドウポーズを取ると、

「葛城二尉、減俸10%三ヶ月。 フッ、問題ない(ニヤリ)」

「キャ〜〜、アオイちゃん、そっくり! でも不気味〜〜!!」

「プッ! ほんと、不気味よ、プククッ」

眼鏡を指であげて治す仕種まで交えたアオイに、そういって笑い出す阿賀野 カエデ二尉と大井 サツキ二尉。 つられてみんなが笑い出す。

休憩所は、ミサトがいなければおおむね平和で楽しいところのようだった。






同時刻・碇邸付近

疾走する一台のUNFのHumvee。 そのドライバーはベルゼバブ、後部座席にはルーシーがいた。

「は〜〜、まったくもう、危うく実験材料だったわね。
さすがにクビチョンのうえ左足もなくなっているのに生きてたら、怪しすぎるものね。
まっ、帰ればリッちゃんかシン様にこの戒めも外してもらえるからいいかしら?」

「はい、このまま放置するのは危険と判断、独断で救出いたしました、ルシフェル様」

このやり取りからわかる通り、ルーシーは左足が太腿半ばから先がなくなっている。 首は丁度真ん中あたりで千切れて膝の上。そして全身擦り傷だらけ。

そして戒めというのは、その胸に下がっていた。 広げた翼とその掌を、磔にされた天使のロザリオ。

その力は、定められた場所を動こうとすると、全身に激痛が走る。 今回のように誰かに運ばれているなら痺れる程度だが、身動きは取れなくなる。

ただ、これを外せるのはシンジとリツコのみとプログラムされているのだが、リツコは既に碇邸を出ており、シンジはエアフォートで面倒な書類作成の最中、当分、少なくとも今日中には帰ってこれそうになかったりする。

「しかしよろしいのですか? ルシフェル様。
首と足の癒着・再生はともかく、擦り傷は治せますが?」

「ああ、そのこと? 、いいのよ、い〜の! これで再生槽に入れるのよ!!
そうすれば堂々とわっかい肌よ、若い!十代後半の張りと艶に変更もできるのよ!!」

そんなことを言っているが、二十代後半の美貌のルーシーに、わざわざそんなものが必要とは思えない。 やはり女心というものか?

「それよりもベルゼバブ、調べは付いた?」

「はい、まずはメアリー・バーラムですが、祖父ウィリアム、大叔母エリザベス共にメアリーの行動を把握していなかったようです。 完全に自身の思慕の情による行動かと。 バーラム家はイギリス王室の血を引きますし、議長と協議の上、計画の修正をかけた様子。
黄 メイシンは、清朝の他漢・隋・周の王族の血までを確認、見合いのセッティングに動いた人物は、アラブSEELEのエージェントでした。
イザベラ・クリスティナ・ダ・シウバは、入手した毛髪のDNAダイヴの結果、インカ王族の末裔であることが確実かと。 こちらを送り込んだのは12使徒入りを狙うブラジル代表です」

その報告に表情を引き締めるルーシー。

「ブラジルかや? 白人以外のメンバーは今現在居らぬゆえのう。 能無き身の野心は、身を滅ぼすぞえ。 特にあの者、次席の者の才が抜けておるゆえのう。
ふむ・・・・・・堕したるとはいえ我等天使より先に、インカの末裔を見つけよるか・・・・・・リリンの能、あもう見ておったわ。 堕天使共、鍛えなおさねばならぬかの?
したがSEELE、なかなかにやりおる、そうは思わぬかや?
まあよい、わらわのはかりごとに、華を添えさせてやろうぞ」

「御意のままに、ルシフェル様」

ベルゼバブに話しかけるルーシーの表情と口調は、いつもの軽いものではない。 艶然とした微笑みすら浮かべる彼女は、威厳と妖艶さを兼ね備えた支配者のものだった。 そう、暁の天使長と呼ばれた頃のような。







To be continued...

(2005.04.16 初版)
(2005.08.06 改訂一版)


あとがき言い訳&謝罪コーナー

クマ ・・・・・・
ラミ よう、クマの奴、どうしたんだ? 檻ん中ぶち込まれて、パソに突っ伏してよぉ。
サキ ああ、それは逃走防止らしいわ。 なんでも『グレが〜、チヌが〜、オレを呼んでる〜〜』とか言って釣りに行こうとしていたらしいわ。
シェラ 取りあえずは書き上げるまで釣り厳禁、ああ、大丈夫ですわ、エサだけはちゃんとあげておりますわ。
クマ 『のっこみのチヌが〜、グレが〜、オレを呼んでいるんだ〜、磯がオレを待ってるんだ〜』
サキ・シェラ・ラミ !! クマが人の言葉をしゃべった!?
イローナ ・・・・・・あれ・・・・・・じどーほんやくそーち・くびわがた・・・・・・とりつけた・・・・・・
ちぬ・・・・・・ひょうじゅんわめいくろだい・・・・・・ぐれ・・・・・・ひょうじゅんわめいめじな・・・・・・おながめじな・くちぶとめじな・おきなめじなあり・・・・・・きゅうしゅうではくろ・・・・・・
サキ イローナ!? あなた一体なに作ったの!? それになに説明してるの!?
イローナ ・・・・・・ほんやくき・・・・・・くまごばーじょん・・・・・・いぬごとねこごもある・・・・・・とっきょしゅつがんちゅー・・・・・・めざせねんしょういちおくゆーろ・・・・・・
せつめいはいろーなのらいふわーく・・・・・・
じこしょうかいまだ・・・・・・わたしいろーな・・・・・・もといろうる・・・・・・よろしく
サキ・シェラ・ラミ ・・・・・・
ラミ と、とにかく、謝罪から行くか。
まずサブタイトルが変わったことだが、騒乱部分がホームコメディーになっちまったんだと。
んでそこ削ったら、騒乱が意味なくなっちまったとよ。
サキ ダーク・シン様をお待ちの皆様、申し訳ありませんが次話までお待ちください。
次話ではシン様の暗き衝動がひとかけらとはいえ出ますので。
そして私と二人で、2−Aの女生徒達を陵辱し! 快楽の虜とし!! 全員をシン様のハーレ(ドゴッ!)キュウ〜〜
シェラ (ポイッ、ガランガラン) 相変わらず淫乱ですわね、姉上は。
続いて言い訳でございますわ。
騒乱部分がコメディー化してしまったことと関連いたしますが、そこを削りましたら御話が1/3ほど減ってしまいましたの。 その分の追加を書き増ししていたために少々遅れましてよ。
ラミ 静御前とジャンヌだがよ、二人とも情が移ったりしたわけじゃねえ。 ただなんとなく拾ってきたんだと。
シェラ 御二人にはこの先ちょくちょく出番がございますわ。
髭苛めに一役、御二人ともシン様のお役に立てるのですから、多少イメージが崩れるのも我慢なさいませ。
ラミ WH機関だが、あれは原理はわからんがS2機関以上に使い勝手のいい半永久機関らしい。 半ってのは、先代管理者がこれ持っていながら消滅してるからだ。
シェラ メイド達でございますが、この先ちょくちょく登場予定だそうですわ。
通学先は江田島学園。 碇家が財団系の社員や騎士・マイトとその子弟用に作った学校。
ゲヒルン暗殺部隊から生徒を守るため、セキュリティは完璧、そして教え上手な教師以外は即、首のおかげで、英才教育を施しながらもゆとりがありますわ。
ラミ あと、NERVの冷蔵庫はすべてああだっていう設定だ。
でねえと酔牛がエビチュだらけにしちまいやがるからな。
シェラ サキさん、飛ばしてますわ。
シン様のメイド達でございますが、ほとんどの方がすでに入浴までは経験済みですわ。 その先は極一握りのみ。
シン様は来るものも去るものも拒まず、ですが鈍感ですので、自分から手を出すくらいの積極性がありませんと辛いですわよイザベラさん。
ラミ これも忘れてたぜ、扶桑一佐だが、まだ普通の胃薬で間に合ってっぜ。
まあこのさきゃあ保証の限りじゃねえ、てえより、まともな部分の尻拭いは副司令がやってる設定だから、まともでない部分の尻拭いやってるのがこいつだ、そのうちワンちゃん印の胃薬の御世話、だろうな。
シェラ MAGIオペレーターズの揃い踏み、ここで出たビールは後々発令所員の皆様に分配されますわ。
酔牛は御心配なく、すぐに忘れますわ。
ラミ しっかしルーシーが豹変してっが、あれが本来の素らしいぜ、設定じゃ。
ほんとのとこはどちらになるのやら・・・・・・
シェラ こんなところでしょうか? では、(ガチャッ、ズルズル) 憂さ晴らしもかねまして、逝きましてよ!!(バサアッ!)
オーホッホッホッ! さあクマ、『暗き王の帰還』の改訂を進めなさい!! そしてわたくしの華麗なる! 鞭捌きと! 美麗なる! コスチューム姿と! 麗艶なる! シン様とのベッドシーンを(ポッ)、描きなさいませー!! オーッホッホッホッホッホ!!!((-_-)/~~~ピシー!ピシー!ッ!)
クマ 『ギャワ〜〜!! 書く、書きます、いえ、書かせていただきますから、お許しを〜〜!!』
ラミ (マント姿はこのためだったのか。
そういや某作家のとこのあとがきに出れなかったんで憂さ溜まってたんだっけか)
イローナ 『くらきおうのきかん』・・・・・・いろーなもでる・・・・・・よろしく・・・・・・でもいたすぎる・・・・・・ここにだせる?

おまけ

真・クマ (ズ・ズ〜〜)ふ〜〜、お茶がうまい。
ゼナ (ズズズ〜〜)はふぅ、ほんとですぅ。
でも、よろしいんですか? あっち行かないで。
あっちのニセクマ、調教されてますぅ。
真・クマ 気にしなくていいよ、ちょっとやそっとじゃ壊れないように、わざわざコディアック・ベアーの体をベースに作ってあるからね、彼は。 (モグモグ) オ、これいける。
ゼナ あ、それで三重の出身なのに月の輪じゃないんですか〜。 (ハムハム) はふぅ、お茶にはやっぱり羊羹ですね〜〜
真・クマ そういうこと、『暗き〜』の改訂とかで、僕も忙しいしねえ、それに僕はマゾじゃないし。 それにこういうの、見てるほうが楽しくないかい?
真・クマ、ゼナ ・・・・・・だよね(ですね)〜〜!(=⌒∇⌒=) 

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