第四話
presented by 美堂翔様
その日の内にシンジは退院しマナと供にリツコの家へと向かう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここですか?・・・・・・・・・」
「うわぁ・・・・・・・・・・・大きい」
シンジとマナは目の前の豪邸?を見る。
それはマンションのような一軒屋・・・・・・・一階には車が数台止められそうな大きさのガレージ・・・・・・・玄関は2階からとなっている。
部屋数は軽く10室は有るだろう・・・・・・・・・民宿ぐらい楽に開ける大きさだ。
「そう、NERVの高官用に用意された家よ・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・税金の無駄ですね・・・・・・・・」
シンジはメガネを抑える。
「あら?シンジ君目が悪いの?」
リツコは何時の間にかメガネをかけているシンジに尋ねる
「ああ、これですか?これは知り合いの魔女に頼んで作ってもらった俺の眼の力を抑えるメガネですよ・・・・・・・・・・・・・これを掛けている間は心を見る事はできませんから。」
シンジがかけているメガネは通称魔眼殺しのメガネ・・・・・・・・魔眼の能力の幾つかを封印するものだ。
この状態のシンジが使える魔眼は見切りのみである・・・・・・・・
「大変ね・・・・・・・・力が有るのも・・・・・・」
「ええ。」
「2人ともぉ〜早く入りましょうよぉ〜」
既に入り口に立っているマナが二人を呼ぶ。
「行きましょうかシンジ君?」
「はい。」
「きゃ〜可愛い♪」
家の中に入って3人を出迎えた猫を見てマナが叫ぶ?
「私が飼っている猫よ・・・・・・・・左から順にクロ、シロ、クツシタ。」
黒い猫、白い猫、靴下を履いた用に足だけが白く残りが灰色の猫。
「それじゃあ、2人とも部屋に案内するわ荷物は明日には届くと思うから。」
「あ、リツコさん。荷物運ぶのは知り合いに頼むんでキャンセルして下さい。」
「あら、知り合いに運送屋がいるの?」
リツコは以外そうに答える。
「ええ、腕の良い運び屋さんがね・・・・・・・・・・・」
シンジはそう行って徐に携帯電話(仕事用)を取り出し何処かにかける。
「あ?馬車のおっちゃん?実は仕事でしばらく第三に住む事になるんだそれで俺の荷物とVFRにマナの荷物を大至急運んで来てよ・・・・・・・・・・・・・・・・え?引越し屋に頼め?良いじゃんそれ相応の大金は払うからさ、それにマナの荷物は無限城だよ?一般の人に頼むのはちょっとね・・・・・・・マナの荷物は特に多いし・・・・・・だめですか?
・・・・・・・・・・・・OK?サンキュー・・・・・・・・依頼料?50万!?それは高い!!せめて25万・・・・・・・・・分かった30万これでどう?・・・・・・・・OK?それじゃ、よろしく。住所は××××―○○○○だから・・・・・・・・・そ、それじゃよろしく。」
「これで明日の朝には着きますよ・・・・・・・・・・・・・」
シンジは携帯を閉まって答える。
リツコは改めてシンジが裏の世界で生きているのだと思い知らされる。
「ねぇ?リツコさんあたしこの部屋使っても良い?」
マナは既に自分の部屋選びに忙しい。
「ええ、良いわよ。」
「それから隣のヤツも・・・・・・・・」
マナはそう言って隣の大きな倉庫を指差す。
「倉庫?何に使うの?」
「私の仕事道具を入れるんです。」
マナは笑って答える。
「仕事道具?」
リツコは鸚鵡返しに答える。
「マナの仕事道具ってのはPC・・・・・・・・マナは情報屋なんですよ・・・・・・・・・・・・」
「そうなの・・・・・・・・・別に良いわ思う存分使って頂戴。」
「ありがとうございます。」
「それじゃ、俺は・・・・・・・・マナの隣の部屋で・・・・・・・・」
「わかったわ。今夜はもう遅いから2人ともおやすみなさい・・・・・・・・私は又ネルフに戻るから・・・・・・・・・・・・」
「分かりました・・・・・・」
リツコはそう言うと階段を降りて行く。
「・・・・・・・・・・・・じゃあ、マナおやすみ・・・・・・・・」
「うんおやすみシンジ」
二人は各々の部屋に入る。
〜一時間後〜
「・・・・・・・・シンジ起きてる?」
「マナ?起きてるよ・・・・・・・・・」
シンジの答えを聞いて寝巻きに着替えたマナが部屋に入ってくる。
「どうかしたのマナ?」
ベッドに腰掛けていたシンジの隣にマナが座るとシンジは尋ねる
「殺しちゃだめだよ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・マナ・・・・・・・・」
「お願いだから約束して!!私は・・・・・・・私はもうシンジが苦しむ姿なんか見たく無いの!!」
マナはそう言ってシンジに抱きつく・・・・・・・・・泣いている様だ・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・大丈夫だよマナ・・・・・・・・・俺がお前との約束やぶった事はあるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無い・・・・・・・・でも」
「大丈夫・・・・・・・・」
シンジはマナに笑顔で答える。
「うん・・・・・・・・・・・・・」
マナは頷くと再びシンジの胸に顔を埋める。
しばらくするとマナの規則正しい寝息が聞こえてきた。
シンジはマナを時分のベッドに寝かせるとベランダに出た・・・・・・・・・
「そう。殺しはしない・・・・・・・・親父・・・・・・・・あんたには罪を償ってもらうぞ・・・・・・・・・生き地獄でな・・・・・・・・・」
シンジは煙草を取り出して咥えると火をつける。
シンジの口から紫煙が吐き出される。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
シンジは無言で夜空を見上げる・・・・・・・・・・・・
今日リツコが病室を出て行った後シンジは綾波レイに会って来ていた。
「綾波レイ・・・・・・・・・母さんのクローン・・・・・・そしてリリス・・・・・・・・・親父・・・・・あんたは母さんに拒絶されるとは思わないのか・・・・・」
シンジはレイの心を見て来ていたのだ・・・・・・・・・・無論魔眼殺しはかけていた。
シンジの魔眼の『心観(こころみ)』はたとえ魔眼殺しをかけていない状態でも見えない事がある。
感情の起伏が激しい人物になれば成るほどだ・・・・・・・つまり逆を言えば感情が無い人間ほど見やすいという事に成る。
魔眼殺しをつけて居ても見えるという事は感情その物が〇に近いのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼女の心にあるのはお前と絆だけ・・・・・・そして無に帰る事だけが望み・・・・・・・・・・・・・・・・・彼女は俺が貴様の息子だと言う事にだけ反応していた・・・・・・・・・・・・・お前は一体どれだけの人を自らの鎖で繋ぎとめれば気が済む?・・・・・・・・」
シンジはもう一度夜空を見上げた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴様が自らを改めるつもりが無いのなら俺は全力で貴様を止めてやるぞ・・・・・・・・・それが貴様の息子として俺がしてやる最後の事だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シンジは煙草の火を消す。
「・・・・・・・そして葛城ミサト・・・・・・・・・・・・・己の復讐の為にNERVに入り・・・・・・・自分が無能であるのにもかかわらず自らを有能と断言する馬鹿・・・・・・・・・・・・・・」
先程感情の起伏が激しい人物ほど見る事が出来ないと行ったが例外はある・・・・・・・・・ミサトの様にただ一つの感情で動いている人間は別なのだ・・・・・・・・・彼女の心には『復讐』しかない・・・・・・・・・・・そしてまともな状況判断もできず・・・・・ましてや公務での約束の時間に遅れている事でシンジは無能と判断していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺一人の力では無理かもしれない・・・・・・・・・・・・・みんなの力を借りる事に成るかもしれないな・・・・・・・・・・・・」
シンジは何かを決意した表情で呟き部屋に戻る
「・・・・・・・・・・・マナ・・・・・・・・俺はお前が傷つけられたら自分を抑える事が出来ないかもしれない・・・・・・・・・・・・・」
シンジは愛しそうに眠っているマナを観る
・・・・・・・・・・・・何時からだろう彼女が自分の中でこんなにも大きくなって居たのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「きっと初めて会った時からかな・・・・・・?」
シンジは自嘲的に笑う。これが人目惚れってヤツだろうか?
「マナ・・・・・・・・・君だけは護るよ・・・・・・・・・・・何があっても・・・・・・・・・」
こうして夜は更けて行った。
翌朝・・・・・・・・・午前5時・・・・・・・・
ベッドに寄りかかるようにして眠って居たシンジは久しぶりに聞く車のエンジン音で目を覚ます。
「・・・・・・・・・・・さすがは『Mr.ノーブレーキ』仕事が早いね。」
シンジはそう行って立ちあがると窓から外を見る。
未だ辺りは薄暗い。
遠くから巨大なトラックのライトが見える。
「・・・・・・・・・良く眠ってるし俺が一人でやろうか・・・・・・・・・」
シンジはベッドで眠るマナをおいて部屋を出る。
シンジが外に出る頃には既にトッラクは目の前まで来ていた。
「おつかれさん馬車さん。」
シンジはそう行って缶コーヒーを手渡す。
「いきなりな仕事で驚いたぜよ・・・・・・・・」
馬車はそう言って缶コーヒーを受取る。
「あれ?花月さん?」
シンジは予想外の人物がトラックに乗っている事に驚く
「や、シンジ。」
「さっき近くで拾ったけん・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・さては絃で聞いてましたね・・・・・・・・・・・・」
シンジはじと目で花月を睨む。
「まぁ、まぁ、良いじゃないかどうせ呼ぶつもりだったんだろう?」
花月はそう良いながらトラックから下りてくる。
「まったくその好奇心が何時か命取りになりますよ・・・・・・・」
「クス、美堂君にも言われたよ・・・・・・・」
「それじゃ、おっちゃん荷物部屋まで運んでくれるかな?」
「一度受けた仕事じゃけんしゃーないぜよ・・・・・・・・・・・・」
そう言って馬車はトラックから下り後ろのコンテナへと向かう。
「花月さんにも手伝ってもらいますからね・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もしかして未だ怒ってるのかな?」
「もしかしなくても怒ってますよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「クス・・・・・・・・・・君だけは護るよか・・・・・・・・・男なら一度は言って見たいセリフだね・・・・・・・・」
「花月さん・・・・・・・・・一度死んでみますか?」
「さて、荷物を運ぼうか・・・・・・・・・」
花月はシンジの殺気をあっさりと流してコンテナの方に向かった。
〜午前七時〜
「マナ、これはどうする?」
マナが一時間程前から起きてきたので元倉庫ことマナの仕事部屋の制作に取りかかる4人。
「それは0―5に繋げて、カヅチャン。馬車さんはそのモニターをコード01に繋いで・・・」
マナが指示を飛ばす。
マナの仕事道具であるスーパーコンピューター『トライデント』は松代のMAGIコピークラスのコンピューターなど遥かに凌駕している。
MAKUBEXのマザーシステムと直リンしており計算速度と自立回路の質ではNERV本部のMAGI三機の内2機までが相手なら互角の勝負を繰り広げるほどである。
数10分後・・・・・・・・
「よし、これでOK後はMAKUBEXにとっておいてもらったバックアップを送ってもらって終了。」
マナはそう言ってキーボードから手を離す。
「馬車さんご苦労様・・・・・・これは報酬です。少し色をつけておきました。」
シンジは懐から封筒を取り出して馬車に渡す。
「それじゃあ、わしはこれで帰るけん。又よろしく頼む。」
馬車はそう言うと部屋を出て行く。
しばらくしてトッラクのエンジン音が聞こえてそれが遠ざかって行った。
ふとマナが時計を見た。
「あ〜シンジ!!もうそろそろヘブンさん迎えに行かないと!」
ヘブンとの約束の時間まで残り20分。
「え!?もうそんな時間?それじゃ、俺は迎えに行ってくる。マナと花月さんは先にNERVに行ってて、リツコさんに頼めば迎えに来てくれるはずだから。俺はヘブンさんと一緒にNERVに行く。」
シンジはそう言うとジーパンにTシャツに着替えて軍用ジャケット(何処から持って来たのかな?)を羽織り出て行った。
「・・・・・・・・・・・シンジは元気そうだね・・・・・・」
花月は安心したように呟く。
花月にとってシンジは弟子でありまた弟のような存在なのだ。
「・・・・・・・・・・・うん。」
二人は駅へと向かうシンジのバイクを見て呟いた。
To be continued...
(ながちゃん@管理人のコメント)
美堂翔様より「エヴァンゲリオン『福音の魔眼』」の第四話を頂きました。
えぇ〜〜、鬚って殺さないんですかぁ〜〜〜!?(笑)
・・・ま、それでもマナに何かあったら、半殺しくらいじゃ済まないでしょうね、きっと♪
シンジ君たちのアジトも決まったし、これから腰を据えて対ネルフ戦(?)に入るのかな?
空き部屋も結構あるみたいだし、・・・集結するな、コリャ(笑)。
しかしリツコの飼い猫って・・・(汗)。是非、今後も出演させて下さいね♪
最後に一言・・・やはりLMSでしたか!
次作を心待ちにしましょう♪
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