第二十話
presented by ミツ様
関東中部・真鶴方面
戦略自衛隊。
2000年に勃発した南沙諸島における中国とベトナムの軍事衝突を機に発足された国防相直属の組織である。
国連に編入された日本自衛隊とは趣を異にし、日本国内の治安維持の為に存在するそれは、未確認飛行物体の侵攻を阻止すべく防衛線を展開していた。
使徒の侵攻ルート上の小高い丘に陣形を敷いて整列している戦車群。
東部方面軍第3師団に所属する第21戦車大隊隊長・東雲マサル三佐は、指揮車両の上部ハッチから片眼用ゴーグルで上空を浮遊する物体を目視している。
「……来たな、バケモノめ…」
ヘルメット越しから低い声で東雲が呟く。
望遠と赤外線の二種に切り替えが可能なスコープは、空を覆うほどの巨躯で聳える異形の神の姿をはっきりと捉えていた。
「隊長!本部より攻撃許可が出ました!」
「よし…攻撃目標、未確認飛行物体!全弾撃てぇッ!!」
各部隊からおびただしい数のミサイルが一斉に火を噴く。
飛び交う砲弾!
激震する大気!
轟く爆音!
瞬く閃光!
しかし幾筋も爆炎が立ち昇る中、黒煙を裂いて現れ出でた神の御遣いには傷一つ付いていなかった。
「バカなッ!?効果無し!敵侵攻止まりませんッ!!」
「うろたえるなッ!各砲弾再装填!!一瞬も手を弛めるなッ!!」
東雲はそう言って味方を叱咤し、再び攻撃を命じた。
地上の戦車部隊に呼応するように上空を旋回していた重戦闘機もミサイルを発射する。
爆撃が雨あられの様に炸裂し爆発するが、やはり使徒に対し有効的なダメージを与えるまでには至らなかった。
そんな光景を苦虫を噛み潰した表情で見詰める東雲のもとに通信が入る。
「隊長!本部から緊急連絡です!」
「わかった!」
部下から奪い取るように通信機を受け取った東雲は統合作戦本部に現況を報告した。
「…こちら第21戦車大隊!現在、陣形を立て直し攻撃を継続中!必ずや戦果をあげて……はッ!?」
一瞬、東雲の顔が険しくなる。
「し、しかしッ!!?……いえ!…………わかりました」
「どうしたんです、隊長?」
通信を切った後も微動だに動かない上官を不審に思った一人が怪訝な面持ちで尋ねてきた。
「…我が隊は現時刻をもって戦闘を中止、撤退作業に移れとの命令だ」
「そ、そんなッ!」
東雲から発せられた言葉に騒然とする車内。
「仕方あるまい…敵に攻撃が効かなければ話にならん。もうNERVへの権限委譲も時間の問題だ…俺達の仕事は終ったのさ」
「隊長…」
「命令だ、急げよ……」
「は、はっ…!」
心配する部下達の視線を他所に、東雲は憮然とした表情で空を悠然と飛翔する異形の神を見詰めた。
怒りが卒然と湧き上がる。
日本政府の強い要望により、国連から指揮優先権を得ての出撃だった。
だが結果はどうだ?
東部方面郡すべての戦力を投入して挑んだ戦闘が、相手に何のダメージも与えていない……いや、そもそも戦いにさえなっていない。
この事実は日本の国土を防衛してきた自分達の士気とプライドを打ち砕くのに十分だった。
しかし、屈辱感と比例して戦争のプロとしての冷静な判断が、現状での戦力不足を弥が上にも認めていた。
(あのバケモノに通常の火器では役に立たない……。我々には新たな力が必要だ、そう…あのNERVの決戦兵器の様な力が……)
東雲はふと何かを思い出したように傍らに立つ部下に話し掛ける。
「…オイ、鈴谷!確かウチでも機動兵器の実験プランが上がっていたな?」
「ああ…何でも6年後の世界大戦を想定して計画されてるっていうアレですか?…確か開発コンセプトは『戦車以上の機動力に巡洋艦並の火力を搭載した陸戦兵器』とか言った……」
鈴谷と呼ばれた戦自兵は記憶を手繰るように額に手を当てて答えた。
「以前、試作機が数機ロールアウトしたという噂を聞いたが?」
「ええ。ですが操縦系にいろいろと問題が多いみたいで…開発は頓挫してるとか……」
「だがこの際四の五の言ってられん、事態は急を要するんだ」
東雲は撤退作業を続ける自軍に一瞥を送ると、急いで指揮車両に乗り込む。
(確か『T兵器』というコードネームだったな?そいつの早期実戦投入…上にかけ合って見るか……)
疾走する車両の、頬に受ける風を感じながら、彼の思考はその一点に集中していた。
NERV本部・技術研究室
「…じゃあ、武装変更はしなくて良いのね?」
「はい、それで構いません」
技術研究室に来たシンジは、青を基調としたプラグスーツを着込みながらリツコに答えた。
エヴァ搭乗時に着用するそれは、身体全体を包み込む構造になっており、搭乗者の生命維持や神経接続のサポート機能を併せ持つチルドレン専用の戦闘服だ。
シンジが左腕のフォットスイッチを押すと、「シュッ!」という音を立てながらスーツは身体にピッタリ合うように収縮した。
「本当に良いの…?今回の使徒を相手にライフルとナイフのみでは明らかに不利だわ」
リツコは更に念を押すように確認するが、シンジは無表情に頷くだけだった。
使徒の力は強大にして未知数である。いかに前回倒した相手とはいえ、油断ならない敵には違いない。
ましてあの音速を超える攻撃は完全には見切れていなかったはず。
…もしあの時、使徒の触腕が初号機の胴体の中心を捉えていたら?
…もしあの時、内部電源が一秒早く途切れていたら?
あれはまさに薄氷を踏むような勝利だったと言えよう。
それなのに……。
リツコは真剣な面持ちとなり、以前から感じていた疑問をシンジにぶつけた。
「シンジ君……貴方まさか、死ぬつもりじゃないでしょうね?」
自分の存在自体がこの世界に対する罪、と彼は言った…。
ならば…自らの命を絶つ事でその罪を償おうなどと考えているのではないのか?
これから起こり得る災厄から逃れようなどと考えているのではないのか?
だが、彼女の言葉に反応して振り返った少年の表情を見た瞬間、リツコは思わず息を飲んだ。
そう、その貌は人前では決して見せることのない…あの狂気と紙一重の微笑を浮かべていたからだ。
「そんなつもりはありませんよ…」
嫣然とした口調で呟くシンジ。リツコの身体は震えていた、その震えを抑える事が出来なかった。
あの時…この部屋で見せた少年の壮絶な笑みが目に焼きついて離れない…。
心に罅を入れ、脳髄を蝕むような壮絶な嗤いが耳について離れない…。
それは闇の刻印でも押されたように、彼女の心に深く刻み込まれていたのだ。
「でも…」
「…………」
尚も言い募ろうとした彼女に少年の強い視線が向けられる。
その眸の光に射竦められ、リツコはこれ以上言葉を紡ぐことは出来なかった。
第三新東京市・第334地下避難所
第三新東京市各所に設けられた避難所の一つ。ここにはシンジ達の通う第一中学校の学生をはじめ、大勢の住民が避難していた。
周りは不安を語り合う大人達や泣き出す赤ん坊の声やらで、繁雑とした雰囲気を醸し出しており、第一中学の生徒達も思い思いのグループを作ってお喋りに興じていた。
その姿はやや緊張感に欠ける。
戦闘避難という意識はあるのだが、未だ戦場という現実性は乏しく、不安がる大人達とは対照的にどこか楽観している。「授業潰れて良かったね」などという会話も聞こえてきた。
「チッ、まただ!」
そんな中、ハンディカメラのモニターを覘いていたケンスケが舌打ちをして声を上げた。
「なにがや」
彼に向かい合うようにして座り、天井を見詰めていたトウジが尋ねる。
「見ろよ、ホラ」
ケンスケが液晶カメタをトウジの方に回転させる。トウジがそれを覗き込むと、お花畑の静止画像に
【東海地方を中心とした関東中部地方の全域に特別非常事態宣言が発令されました。詳しい情報は入り次第、お伝えいたします】
という字幕と、ただ音楽が流れているだけだった。
「なんや、コレ?」
「報道管制ってヤツだよ……我々民間人にはなんも見せてくれないんだ。こんなビックイベントだっていうのに〜〜!!」
「お前、ホンマ好っきゃなぁ、こうゆーの……」
トウジは溜め息を吐いて呟くと、再び天井に視線を戻す。
時折、爆発によるものと思われる微震が避難所に伝わってくる。
その度に、子供を抱えた母親達が不安そうに話し合っていた。
「うう〜〜っ、一度でいいから見てみたい!今度はいつ敵が来てくれるかわからないし……」
手を組んで神様に祈るようにしていたケンスケが何かを思いついたように押し黙る。
静かになってくれてほっとしたトウジだったが、そうではなかった。
「……なあ、トウジ」
ケンスケがトウジの耳元に囁きかける。
「…なんや?」
「ナイショで外出ようぜ…」
少年の眼鏡がライトの光を反射して無意味に光った。
「あ、アホかっ!!外出たら死ぬやないか!?」
「バカッ!し〜〜〜〜っ!」
吃驚して大声を上げたトウジの口を慌てて塞ぐケンスケ。
周りから訝しげな視線が集中したが、二人は愛想笑いを浮かべて誤魔化した。
「ケンスケ…、お前なぁ……」
取り合えず落ち着いたトウジが、呆れて親友の顔を見る。
「この機を逃したら、あるいは永遠に!…なぁ、頼むよ。扉のロック外すの手伝ってくれ」
「だから死んでまう言うとるやないかっ」
「ここに居たってわかりゃしないさ。どうせ死ぬなら、見てから死にたい!」
ケンスケが更に力説する。
「何の為に『ねるふ』がおんねん。心配あらへん、ワシらは死なん」
「そのNERVの決戦兵器って何なんだよ?あの転校生が操縦するロボットだろ?この前だってアイツが俺達を守ってくれたんだぜ?…それを良く考えもしないで殴ったりして……アイツが機嫌損ねてロボット動かさなかったら、俺達死ぬぞ?」
「ぐッ……」
痛いところを突かれて黙り込むトウジ。
「いわゆる『借り』ってモンがあるんじゃないのか?トウジにはあの転校生の戦いを見守る義務がある」
無茶苦茶な論理の飛躍だが、何故かトウジは観念したように頭をかいた。
「……ったく、お前…ホンマ自分の欲望に正直なやっちゃな」
「へへ」
「ふぅ…、しゃ〜ないな。…イインチョ!」
得意げに笑うケンスケを従えて、トウジは女子の輪の中にいた洞木ヒカリに呼びかけた。
おさげの少女がくるりとこちらを振り返る。
「何?」
「ワシら二人、便所じゃ」
デリカシーの無い言葉にヒカリは羞恥で頬を赤らめ、周りの女子は眉を顰めた。
「んも〜〜。ちゃんと済ませときなさいよね」
お小言交じりの忠告を受け、二人は揃って通路から出て行った。
NERV本部・A-2通路
発令所とケイジへ向かう通路の途中、シンジとリツコの間には会話らしい会話は何も無かった。
しかし、前方二股の分かれ道に差し掛かった時、シンジの方から話し掛けてきた。
「リツコさん……後悔してるんですか?」
振り返った双眸に狂気の色は無く、いつもの無機質で冷たい表情に戻っており、そこから少年が何を考えているのか窺い知ることはできない。
「いえ…所詮は血塗られた手ですもの。そこにあと数滴加わったところで、如何ほどの痛痒も感じないわ……」
「そうですか…」
その答えに満足したのか、シンジは薄く嗤うと踵を返してそのまま歩き出した。
そんなシンジの背中に向かってリツコが声をかける。
「…ねえ、シンジ君。…もし今私が躊躇うような事を言ったら、どうしていた…?」
「…………」
「私を、殺していたかしら……?」
少年はそれには答えず小さく呟いた。
「…そろそろ行きましょうか?……時間です」
後姿で貌の表情は見てとれないが、それが嗤っているだろうということは何故か確信が持てた。
一瞬、恐怖で身震いするように両肩を掻き抱く…。
だが同時に、下腹部に熱い疼きにも似た渇きを感じたりもした…。
リツコは自分の身体に戸惑いを感じる。
何故ならその渇きは、満たされても尚貪欲に貪ろうとする情欲の渇きだったからだ。
…確かにシンジとは関係を持った。
だが、一度肌を重ねただけで愛してると感じるほど彼女も子供ではない。
情欲は感じていたが、それが愛情と結びつくものでない事はわかっているし、シンジもそんなつもりで抱いたわけではないだろう。
彼はただ単に自分を利用しようとしているだけだ……父親のように。
それを責めるつもりはない。いや、その事は自分にも言えることだった。
…リツコはリツコで、ゲンドウへの呪縛から逃れたいが為にシンジを利用したのだ。
体裁を取り繕わない言い方をすれば、愛人の息子を寝取る事で、愛人とその母親に復讐を果したのだ。
それが倫理的に間違っていることも論理的に何の意味もなさないことも知っていた。
だが、あの時の自分には必要なことだったと今でも思っている。
言うなれば、自らを縛っていた忌まわしい鎖を断ち切る為の”儀式”のようなものだったのだ……。
(でも……)
リツコは自分の前を歩く少年の後ろ姿をじっと見詰める。
果たしてただ復讐心のみで抱かれたのだろうか…?
”サビシサ”から心の隙間を埋めようとしただけなのか…?
ひょっとしたら私は……?
「…ほんと、ロジックじゃないわね……」
何故かその先へ思考を進めることを恐れ、リツコは軽く頭を振ったあと発令所に向かって歩き出した。
NERV本部・第一発令所
「…税金の無駄遣いだな」
発令所の上段部でモニターに映し出されている攻撃を見詰めていた冬月が、独り言のように呟く。
NERV総司令であるゲンドウが不在の今、現時点では彼が現場の最高責任者となっていた。
もっとも元々は学者の身、畑違いは自覚しており、迎撃準備を指示した後は作戦部長のミサトに一任していた。現在は司令席の横で黙って直立している。
下ではミサトの指示で迎撃態勢が着々と進行していた。
「総員、第一種戦闘配置。迎撃用意」
「第三新東京市、戦闘形態に入ります」
サイレンが鳴り、市街地の信号が一斉に赤に変わる。道路の電光掲示板も通行止めを表示した。
自動的にシャッターが降り、道路にバリケードが作られていく。
「中央ブロック、収容開始」
一般のビルが地下に収納され、高層ビルには防御壁が貼られていく。
ジオフロント天井へ姿を見せるビル群。天蓋を覆っていく装甲シャッター。
「第六ブロック、閉鎖。全館収納完了」
「第五から第七管区まで、迎撃システム、スタートします」
偽装ビルへ装填されていくミサイル群。
山間部からもミサイルランチャーが現れた。
こうして第三新東京市が戦闘形態を完了した時に、技術主任のリツコが発令所に顔を出した。
ミサトが腕を組んだまま怒鳴りつける。
「遅いわよ!」
「ごめんなさい」
素直に謝罪したリツコはデータ収集担当のマヤの席へ向かって歩いていった。
それを横目で見ていたミサトが話し掛ける。
「…シンジ君は?」
「ケイジに向かったわ」
「相変らず仲のよろしいことで…」
やや棘のある口調でそう皮肉った。
シンジに対するリツコの不可解な対応の事もあるのだが、作戦部所属のはずのパイロットが、自分よりも他の部署のリツコに懐いているように見えるのが何となく面白くないのだ。
「何を勘違いしているのか知らないけど、彼に新型のプラグスーツの説明をしていただけよ」
「そう、だったらいいわ…」
「それよりも状況は?」
半眼のミサトの視線を歯牙にもかけず、マヤの椅子に手を置いて話し掛ける。
「目標、第三新東京市B-15エリアに出現しました」
「以前超低高度で侵攻中です。コチラの攻撃は全く効いていません」
「国連軍でも歯が立たなかったのを、戦自がどうこう出来るワケないでしょうに…」
ミサトが憮然として無駄弾を撃ちまくった戦略自衛隊を酷評した。
「前回のN2の所為でしょうね。政府・財界関係からかなりクレームが上がったらしいッスよ」
「大人の面子ってヤツか…」
「ったく、それで人類が滅んだらどうするつもりよ!」
ミサトが憤慨した時、国連本部から通信が入る。
それを受信したオペレーターの青葉が振り返った。
「葛城一尉!国連から通達、戦自より指揮権の委譲が報告されました」
「同時に委員会からもエヴァンゲリオンの出撃要請が来ています!」
「五月蝿いヤツらね。…言われなくても出撃させるわよ」
漸く指揮権譲渡に踏み切った戦略自衛隊と、自分勝手な言い分の委員会に多少の忌々しさを込めて吐き捨てると、ミサトはパイロットの回線モニターを見やる。
そこには黒髪の少年が静かに瞑想をしている姿が映し出されていた。
「シンジ君、用意はいい?」
『はい…』
ミサトの言葉にゆっくりと目を開けるシンジ。
その眸には些かの気負いや動揺も無い。これならイケると判断したミサトは、今度は傍らで機動シーケンスの指揮をしているリツコに話し掛けた。
「リツコ。シンジ君のシンクロ率はどう?」
「…前回と同様よ。何とか起動数値は保っているわ」
「あれから三週間でほとんど伸びは無し…。一体どういう事よ?前回の戦闘の時は90%を超えたじゃない?」
連日のようにテストを重ねても一向に上がらないシンジのシンクロ率にもミサトは不満を感じていた。これでは自分の指揮通りに動いてくれる以前に作戦行動自体が危うい。
「あの時は半分暴走に近かったって言ったでしょう?…それにレイだってシンクロするのに七ヶ月かかったのよ、こんな短期間でどうなる訳もないわ……」
冷静に答えるリツコに対してミサトは僅かに眉を寄せる。
「…と言う事は、接近戦は無理か……。パレットライフルによる中距離の攻撃をメインにするべきね」
パイロットからのコントロールではなく、MAGIのサポートによるインダクションモードでの機械操作なら、低シンクロでも安定して使用できる。ミサトはそう判断した。
「ミサト…前にもいったけど、パレットライフルじゃ使徒に有効なダメージを与える確率は極めて低いわ。しかも敵はあれが戦闘形態とは限らないのよ」
「じゃあ他に何か方法があるっていうの?アンタが造っているポジトロンライフルとかはまだ完成してないんでしょ?」
僅かにイライラしたように訊き返すミサト。その表情に余裕はなかった。
「…ええ」
「代案が無いのなら赤木博士は黙っていて下さい。作戦部長は私です!」
必要以上にキツイ口調で返すミサトに、リツコはそれ以上何も言わず「…わかったわ」とだけ答えた。
傍らでマヤが心配そうな表情で見詰める。
リツコは視線で大丈夫と告げると、再び作業に取り掛かった。
ミサトの現在の心情はリツコにも理解できる。
おそらく前回の戦闘で何も成す術がなかった自分の不甲斐なさを責めているのだろう。
責任感と使命感…、作戦本部長としての重圧が重く彼女に圧し掛かっていた。
「シンジ君、地上に出たらA.T.フィールド展開と同時にパレットの一斉射。練習どおり、目標をセンターから逃さないでね」
『…了解』
ミサトの言葉に静かに答えるシンジ。
「よし!エヴァ初号機、発進ッ!!」
号令と同時に初号機が射出された。
地上に打ち出され、人類の天敵と再び合い間見える紫の巨人。
「射撃開始!!」
初号機の銃口が火を噴く!
一瞬、世界が閃光に包まれた……。
To be continued...
(あとがき)
こんにちは、ミツです。
遅ればせながら私の拙作をこちらのサイトに投稿させて頂いて有難うございます。
展開の遅い作品ではありますが、完結に向けて頑張っていきますので宜しくお願いします。
最後に、
感想メール下さった方、有難うございます。
感謝感激です、
ではでは。
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