第参章 〔神鳴る光〕
U
presented by 睦月様
シンジは戦っていた、戦況はお世辞にも芳しくない。
今までにない強敵に対してシンジは苦戦していた。
何人もの世界の敵と渡り合い、死線をくぐって来たがこれほどのプレッシャーは感じたことはない。
・・・だが負けるわけにはいかない。
人として守るべき:物・・・そのためにはここで屈するなど選択できるはずはないのだ。
もし屈してしまえばそれはそれでよい物かもしれない、だが・・・・おそらくいろいろな物が終わる。
そんなことを選べるはずないのだ。
敵は自分の中にある。
現実を見据え、この状況を打開せねば・・・あくまで冷静に・・・
シンジは挫けそうになる意識を保つため理性を総動員する必要があった。
それほどに苦しい戦いだ。
だがしかし、シンジは耐えなければならない。
シンジの目の前には・・・・・・・あどけない天使の寝顔・・・・レイの顔があった・・・・・・最強の敵だ。
すべては十分前・・・
「ん?・・・っう・・・」
シンジは眠りから緩やかに覚醒しようとしていた。
まだ目が覚めていないので瞼を開けるのにも一苦労する。
この時間が一日で一番気持ちがいい。
しかし日課のようになったミサトの家への朝食をつくりに行かなければいけない。
シンジは二度寝したい欲求をはねのけて瞼を開く。
「知らない天井だ・・・・ああ、ミサトさんの家か・・・」
シンジは昨日ミサトの家に泊まったのを思い出した。
昨日からミサトはネルフに詰めている事・・・
レイが昨日からここに泊まっていること・・
シンジは寝ぼけた頭で何とか記憶の再生に成功する。
「う〜ん、そろそろ起きて朝食を作ってレイを起こして・・・あれ?」
シンジが起きようとしたところなぜか体が重い。
自分の体を見てみると毛布が妙な形にふくらんでいる。
何かが自分の体にくっついているようだ。
「なんだ?」
よく見ると毛布の端から蒼銀の髪がのぞいている。
「?・・・何かレイの髪のようだな・・・」
シンジが毛布をめくるとレイの顔が出てきた。
すやすや眠る姿は天使のようだ。
「ああ、やっぱりレイか・・・起こすのもかわいそうだし、もう少し寝かせて上げるか・・・」
昨日まで寂しい思いをしていたとすればこの安心した寝顔も頷ける。
シンジは微笑みながらレイに毛布をかけ直してやった。
「・・・あれ?・・・何か今とんでもないことがあったような・・・・・」
寝ぼけた頭に情報が到達するまで数秒・・・
シンジは理解したとたん・・・・真っ赤になった。
眠気が一発で吹っ飛ぶ。
「ちょっとレイ・・・・・・うおっと」
レイを起こすため再び毛布をめくってみると白い物が見えた。
雪のように白い肌と同じように白い下着・・・
「あ・・・」
これはいくらなんでも不意打ちだ。
おもわずシンジはめくった毛布を放してしまい、毛布が床に落ちてしまった。
下着姿のレイが目の前にいる。
「うっ・・ん」
レイはいきなり毛布がなくなって寒いのかシンジに抱きついてきた。
シンジをしっかり抱きしめると安心したのか再び静かに寝息を立て始める。
目の前にレイのあどけない寝顔を見て硬直したシンジはもはや抱き枕になるしかなかった。
・・・そんなこんなで現在にいたる。
(レイは子供・レイは子供・レイは子供・・・・・)
(シンジ君?大丈夫かい?)
(・・・あんまり・・・・って言うかなんでレイがここに?)
(たぶん夜中に寂しくなって潜り込んできたんじゃないかい?)
「ウッ・・・・・ン」
シンジが身じろぎしたのでレイが起きてしまったようだ。
寝起きのレイの赤い瞳がシンジの瞳と交差する。
お互いの顔しか見えない。
「お、おはようレイ。」
「おはようシンジ君、どうしたの?」
「な、何が?」
「・・・顔が赤い・・・・風邪?」
「そ、そうかもしれないね〜〜だ、だから風邪がうつらないように服を着てきてね〜〜〜」
シンジがそう言った次の瞬間・・・・シンジの目の前にレイの顔があった。
いきなりすぎて声も出ない。
彼女はシンジの額に自分の額を会わせていた。
「?・・・熱はないみたい」
「そ、そうみたいだね・・・でも服は着ようね、寒いから」
「わかったわ。」
レイは立ち上がって部屋に行く。
全く自分の体を隠そうとしていないので目の前に下着姿のレイがいる。
シンジはめまいを覚えた。
「レイ、そこの毛布を着て行って・・・・」
「?・・・なんで?」
「お願い!!」
「?・・わかったわ。」
レイはシンジを不思議そうな顔っで見たが言われた通り毛布を羽織って部屋に入っていく。
残されたシンジは朝から妙な体力を使ってしまったので盛大なため息をついた。
ちなみに・・・後で聞いてみるとどうやらレイは私服を持っていないらしい・・・と言うことは今まで家やミサトの家に泊まったときは下着姿で過ごしていたということだ。
おそらくミサトの事だ・・・女同士だからって気にしなかったのだろう。
それどころか自分も似たような格好で徘徊していた可能性は十分にある。
シンジは心底、家を別にしておいて正解だったと思った。
レイの方は自分を男として見ていなくてもシンジの方はそうは行かない。
何とか再起動をはたしたシンジは手早く朝食の支度を整えると制服を着て戻ってきたレイと二人で食べてネルフに向かった
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ネルフ本部・・・・通路
シンジはプラグスーツ姿のレイと一緒に実験場に向かっていた。
「レイ?今日の調子はどう?」
「問題ないわ・・・」
「そう?よかった、今回はきっと成功するよ。」
レイはシンジの横顔を見た。
シンジは軽く微笑んでいる。
「シンジ君は・・・なんで私にかまうの?」
「ん?迷惑?」
「そ、そんな事ない・・・」
思わぬ方向に切りかえされたレイが慌てた。
最初にあったときからは考えられないほど感情が豊かになってきている。
シンジはそんなレイを見て満足そうに微笑んだ。
「理由が必要かな?手っ取り早くいうなら自分のためだよ。」
「・・・・私がいれば危険が減るから?」
「そんなつまらない事じゃないよ。第一レイが危なくなったら助けることに決めてるのに自分の危険を気にしてどうするのさ?」
「・・・・・・どうして?」
レイにはそれが理解出来ない。
自分が人でない事を知るがゆえに・・・自分の代わりがいる事をしるがゆえに・・・彼女は自分と言うものに価値を見出せない。
「・・・知っていると思うけれどぼくには家族と呼べる人がいないんだよ。」
レイは黙ってうなずいた。
シンジから直接聞いたことだ。
忘れるわけが無い。
「でもね、そんなぼくにも一人だけ優しくしてくれて本当の家族以上にぼくを守ってくれた人がいるんだよ。その人のようにいつか誰か守りたいと思える人を見つけたらその人を必ず守ろうって決めたんだ。」
「・・・・・・それが私?」
レイは自分の心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。
理由はわからないが自分がシンジの言葉に軽く興奮しているのが分かる。
「レイもミサトさんもみんなも・・・・・かな、だからレイが起動実験でまた危なくなったら助けに行くよ。」
シンジはレイの手を優しく握った。
手のひらの暖かさがレイに流れ込む。
レイはシンジの暖かさが大好きだった。
シンジが自分を護るというなら自分もシンジを守ろう。
レイは堅く心に決めた。
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実験場に緊張が満ちている。
「レイ、聞こえるか?」
『はい』
「これより零号機の再起動実験を行う。第一次接続開始」
「主電源コンタクト」
その言葉を皮切りにリツコとマヤを筆頭とした技術部があわただしく動くのをシンジはミサトと並んで眺めていた。
目の前の実験場には黄色くカラーリングされた単眼のエヴァンゲリオン・・零号機が拘束具に固定されて起動準備にある。
(・・・・・な〜んであの人が直々に音頭とってるんでしょう?)
(さ〜ね、興味ないが大方人心掌握のためじゃないか?)
シンジは横目でゲンドウを見た。
部屋の中央の机でいつものポーズを取っている。
その斜め後ろにはこれまたいつものように冬月が立っていた。
この二人はセットになっているのか冬月はゲンドウのオプションなのかどちらかだろう。
はっきり言ってこの起動実験にゲンドウと冬月の二人は不要だ。
むしろいるだけ邪魔なのになぜいるのか・・・
(まさかと思うんですがまた暴走させたりしませんよね?)
(やれるもんならやってみるといい。ここに僕らがいるんだ。暴走させたって対応はいくらでも出来る。いざとなれば君の【canceler】を使うよ?)
(了解)
起動準備は着々と進んでいる。
皆、前回のような暴走はごめんなのだろう。
室内にはピリピリした空気が張り詰めている。
「主電源コンタクトっ!!」
「稼働電圧臨界点を突破!!」
「了解!!」
「フォーマトフェイズ2へ移行」
「パイロット、零号機と接続開始」
「回線開きます」
「パルス及びハーモニクス正常」
「シンクロ問題なし」
「オールナーブリンク終了。中枢神経素子に異状なし」
「1から2590までのリストクリア」
「絶対境界線まで、あと2.5・・・1.7・・・1.2・・・1.0」
起動実験は最終段階に入った。
前回はこのあたりで異常が出たためにいっそうの緊張感が全員の間に走る。
「0.8・・・0.6・・・0.5・・・0.4・・・0.3・・・0.2・・・0.1突破っ!!ボーダーラインクリア、零号機起動しました」
零号機の単眼に光がともる。
それを見た全員が喜びの声をあげた。
前回失敗しているだけにその喜びも大きいのだろう。
「・・・・・・」
シンジは握っていた手のひらを開いた・・・汗がにじんでいる。
少し緊張していたみたいだ。
「了解。引き続き、連動試験に入ります」
リツコの号令で次の実験にすすもうとした矢先、実験場の電話が電子音を奏でた。
冬月が受話器をとる。
電話の内容を聞いた冬月の表情が険しくなった。
「六分儀、未確認飛行物体が接近中だ。恐らく第五の使徒だな」
実験場の空気がさっきまでと別の意味で緊張する。
「テスト中断。総員、第一種警戒態勢。零号機はそのまま待機!!」
「零号機はつかわんのかね?」
「まだ実戦にはたえん・・・・初号機は?」
「380秒で準備できます」
「・・・・・・出撃だ」
実験場があわただしくなる。
実験から実戦へ・・・さすがに三回目となると最初のころのような気負いは無くスムーズに作業が進められていく。
そんな中でゲンドウはまだ零号機を見たままのシンジを見つけた。
「何をしている?」
「はあ?レイの零号機を見てるんですよ。見たまんまでしょう?」
「・・・・・・出撃だ」
「出撃?出撃して何をしろと?」
騒がしかった実験場が水を打ったように静まり返る。
その静寂の中心は毎度のことながらシンジとゲンドウだ。
「使徒を倒せ」
「どうやって?」
「・・・・なに?」
ゲンドウの言葉に苛立ちが含まれる。
しかしやはりシンジは平然としたものだ。
だがここにいる全員がシンジのように強心臓ではない。
全員がシンジとゲンドウのやり取りに動けなくなっている。
「使徒を倒すのはおまえ達の義務だ。」
「勝手に押し付けるなよ、自分は親としての義務すらまともに出来なかったくせに、大体相手の能力もなにもわからずに出ていって何をどうやって勝てっていうんだ?」
「シ、シンジ君?」
見かねた冬月がゲンドウとシンジの間に割り込んで来て口を挟んだ。
こっちも手馴れたものだ。
いい加減シンジとゲンドウでは会話そのものが成立しないのを分かっている。
「君のいうことはもっともだ・・・しかし前回の使徒も通常攻撃にはなんの反応もしなかったではないか?」
「今回もそうだと?相手が大砲だったらどうするんです?考えなしに目の前に立つのは勇気じゃなくてアホと言うんです。」
「むうっ」
「大体、勘違いしすぎなんですよ。エヴァだって無敵じゃないんですよ?いきなり情報もなく使徒の目の前に出してやられたらどうするんです?むしろ決戦兵器、切り札なんだから勝てる状況を作ってとどめとして使うべきでしょう?」
シンジの言葉を聞いた皆は自分たちがエヴァに頼り切っていたことに気づいた。
まだ二回だがシンジの操る初号機は圧倒的な強さで使徒を殲滅していた。
そのためエヴァを出せば何とかなる・・・・・そんな思いがあったのは事実、同時にそれはエヴァとシンジに頼った甘えだ。
「・・・・・・・もういい、レイ?」
『ハイ』
「零号機で出撃だ。出来るな?」
『了解』
シンジはその言葉に唖然とした。
いや、シンジだけではなくそれを聞いていた全員がゲンドウの言葉を信じられない思いで反芻している。
「・・・・・・人の話聞いてた?」
「臆病者に用はない」
「またそれ?だから臆病とかそんな問題じゃないと思わない?大体さっき自分で零号機は実戦に耐えないって言ったじゃないか」
「すでに使徒は目前だ。」
「だからすぐに偵察をするべきだろう?」
「そんな時間はない」
「正気か?」
二人の会話は平行線だ。
ネルフがシンジを思う通りに出来ないようにシンジもネルフを思い通りには出来ない。
お互い相手の意見に妥協するという意識が無い以上どこまで言っても交わることは無いだろう。
ここまで来ると意地の張り合いだ。
シンジ達の会話にたまらずミサトが口を挟んだ。
「司令、作戦部としてもまずは偵察をした方が・・・」
「葛城君?」
「は、はい」
「・・・・・命令だ。」
ゲンドウの威圧感に当てられてミサトは反論できなかった。
ネルフに所属している以上、上司の命令には逆らえない。
シンジは舌打ちをすると実験室を出ていった。
そのまま全速力で発令所に向かう。
(不味いね・・・)
(はい・・・・あのヤクザ顔め・・・よけいなことを・・・)
(どうする?)
(出来ることを・・・)
先回りしなければならない、ネルフの行動より早く。
零号機が射出される前に可能な限り打てる手を打っておく事しか今は出来ない。
シンジは自動扉が開くのももどかしく発令所にかけこんだ。
「ん?あれ、シンジ君じゃないか?」
シンジが発令所に駆け込んだときメインオペレーターの日向マコトがいた。
いきなり現れたシンジの剣幕に驚いたマコトが話しかけてくる。
使徒が近づいてきている今、シンジがいるべきはここではなく初号機の中のはずだ。
「どうしたんだい?出撃じゃないのかい?」
「お願いがあります。力を貸してください。」
「え?・・・いったいどう言うことだい?」
「実は・・・・」
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正面のモニターにはクリスタルのような光沢を持つピラミットを上下逆さまにくっつけたような正八面体が映っている。
これこそ第五の使徒・・・・雷を司るとされるラミエルだ。
おおよそ生物とは無縁のその姿は第三新東京市の真上に浮かんでいた。
ネルフ発令所では自分たちの真上にいる神の使いを討つための準備が進んでいる。
着々と進む発進準備をミサトは苦渋の思いで見つめていた。
客観的に見てシンジのほうが正しい・・・そのシンジは自分の後ろで壁により掛かりモニターを見ている。
彼の視線がいたい・・・・自分のふがいなさに怒りを覚えるがしかし、上司の命令には逆らえないのも事実・・・。
「ミサト・・」
「リツコ・・・・」
「今は目の前のことに集中しましょう。シンジ君の予感だってはずれるかもしれないし・・・」
「そうね・・・今は目の前のことに全力で・・・」
そうは言ったがミサトの不安はふくらむばかりだ。
いや、ミサトだけでなく実験場にいた人間は同じような不安を感じている。
そのためミサト達はマコトがシンジのほうを不安げに見たことや、それを見たシンジが頷いて答えたことには気づかなかった。
「零号機発進位置固定」
「零号機発進準備完了」
発進準備が終わり零号機が発進位置に固定される。
それを確認したミサトは背後の司令の席を見上げた。
「・・・・・・よろしいですね?」
ミサトは司令を見上げて最終確認をとった。
一度射出してしまえばあとには退けない。
「問題ない」
「・・・承知・・・しました。」
何が問題ないのか知らないがゲンドウはいつものポーズで不動を貫いている。
ミサトは正面のモニターに向き直ってレイに通信を送った。
「・・・レイ?・・・大丈夫?」
「問題ありません」
「・・・・・・そう・・・」
短い言葉が交わされた。
ミサトはレイの返事を聞くと覚悟を決めた。
「エヴァンゲリオン零号機・・・・発進!!」
ミサトのかけ声とともに零号機は固定されたままリニアレールにそって射出された。
モニターの中のレイは自分にかかってきたGに耐えている。
「目標内部に高エネルギー反応っ!!」
「なんですって!!」
零号機が地上に出る直前、使徒をモニターしていたマヤから悲鳴のような報告が入る。
「円周部を加速!!収束してゆきます!!!」
「・・・まさかっ・・・荷粒子砲?」
少ない情報からリツコが状況を分析して答えを出した。
しかし、だからと言ってラミエルの荷粒子砲は止まらない。
「だめっ!!よけてっ!!!」
ミサトの悲鳴と零号機が射出されラミエルから光が放たれるのはほぼ同時だった。
その光の刃はまさに神罰と言わんばかりに途中にあるビルを貫きながら零号機に迫っていく・・・・・
ほんの数瞬で神の光は衝突し周囲をその余波で破壊した。
神鳴る力は人の矮小さをあざ笑うかのごとく破壊という形で見せつけたのだ。
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レイは誰にも気づかれることは無かったが、少し浮かれていた。
零号機の起動に成功し、自分もエヴァを扱うことが出来るようになったことでシンジとともに戦える。
ゲンドウがごり押しして自分が出撃することになったのもそれほどいやじゃなかった。
シンジに自分の操るエヴァを見てもらえるから・・・そして射出された地上で、レイはその一瞬をひどく客観的に見ていた。
自分に対し突き込まれてくる光の槍・・・・
引き延ばされた一瞬の光景・・・・
恐怖はない・・・・・はずだ・・・
ここで死んでも自分が死ぬことはない・・・・
記憶がとぎれるくらいで綾波レイと言う存在はあり続ける・・・
ただ・・・・シンジ達との記憶がなくなるのは・・・・辛い・・・
レイがそこまで考えたとき、彼女の視界は遮られた。
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発令所
「・・・・・・・どう言うこと?」
ミサトの呆然とした言葉は発令所の総意だった。
ピラミットを上下逆につけたようなクリスタル状の使徒、ラミエルのスリットの部分から発せられた閃光は零号機を貫いている・・・はずだった。
しかし、あらゆる障害物を貫通し、零号機に迫った閃光は零号機に当たっていない。
正確には零号機の前に現れたものにさえぎられている。
第3新東京市は使徒撃退のための要塞都市だ。
そのため兵装ビルを初めとしていろいろな機能が町の各所に配置してある
その中の一つ、戦闘を補助するために盾として設けられた特別製の鉄板が零号機の目の前に地面からせり出してきて閃光をふせいでいた。
しかし長くは持たないだろう、すでに鉄板は荷粒子砲で真っ赤になっている・・・もって数秒・・・
ミサト達が呆然とした思いで視線を下げるとマコトを押しのけるような形でシンジがコンソールを操作している。
シンジはさらにキーボードを操作して零号機を地下に戻した。
零号機が地下に収納されたと同時にラミエルの閃光は鉄板を貫き、零号機がいなくなった空間をなぎ払った。
「ッ、マヤ!零号機の状態は?」
一足早く状況を認識したリツコがオペレーターのマヤに叫ぶように聞く。
その一言が引き金になって発令所のスタッフは現状を理解した。
あわてて確認が行われる。
「は、はい・・・ぜ・零号機は無傷です。若干パイロットの心拍数などが早まってるくらいで問題ありません。」
マヤの報告に一同がほっと一息つこうとしたとき・・・
「・・・・・それで?」
静かな声が発令所に響き・・・一瞬で発令所の体感温度が下がる。
おそるおそる振り返ってみると元の位置で壁により掛かっているシンジがいた。
シンジの顔は怒っていない。
無表情だ・・・・しかし逆にその無表情が怖い
レイのような本当の無表情とは違う・・・・・
怒りすらも通り越した怒りの表情・・・・・・
シンジは確実に怒っていた。
「シ・シンジ君?」
ミサトが意を決して話しかけた。
ここにいる全員の代表として、シンジの最も近くにいる人間として彼女以外に今のシンジに話しかけられる人間はいない。
「なんですか?」
「その・・・・ありがとう、あなたがフォローしてくれなかったら・・・・」
「”葛城”さん・・・・」
「は、はい」
シンジの態度はネルフに来た当初と同じように頑なな物になっていた。
感情の介在しない
抑揚のない平坦な声でありながらその威圧感に反論は許されない。
「初号機専属パイロットとしてネルフに要求します。」
「ハ、ハイ」
「まず作戦部はあの使徒の能力などを解明してください。次にそれを元にした有効な作戦の立案を要求します。」
「り、了解・・・」
「次に”赤木”さん?」
シンジは視線をミサトからリツコに移した。
その鋭利な視線にリツコもひるみかけるが何とか踏みとどまる。
「・・・・・何かしら?」
「零号機の整備と初号機の整備をお願いします。作戦が決まり次第いつでも使えるように・・・」
「・・・・わかったわ・・」
「それから青葉さん?」
「え?・・お、俺?」
いきなり話を振られた青葉があわてるがシンジは気にしない。
どこまでも無表情で話し続ける。
「保安部に連絡してシェルターの管理の徹底を・・・・今回は長期戦です・・・ぬけ出す人がいても保証できませんよ?」
「わ、わかった。」
シンジはそれを確認すると出口に向かった。
その後姿はどこまでも周囲を拒絶しているように見える。
「シンちゃん・・・どこに行くの?」
「ケージへ、レイの様子を見てきます。」
「そう・・・お願いするわ・・・」
「了解・・・ああ、言い忘れていた。」
「?・・・何を?」
シンジは振り返ると司令の席に座っているゲンドウを見上げた。
視線を向けられたゲンドウはじっとシンジを見返す。
「・・・・・・死にたいなら・・・一人で死ね!!」
シンジはそう言った後、今度こそ振り返らずに発令所を出ていった。
後には唇をかみしめたりうつむく者達が残される。
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発令所を出たシンジは無言で歩き続ける
その心にあるのは焦燥、今回はたまたまうまく行ったが何度も同じことが起こると考えるのは楽天が過ぎる。
同時に強行策以外の方法がなかった自分の力の無さも問題だ。
それによってレイが死んでいたかもしれなかった。
一兵卒だからと言う言い訳など意味が無い。
流れ落ちた水が逆流しないように・・・失われたものを戻すことは出来ないのだ。
シンジはそれを良く知っている・・・経験によって・・・
(シンジ君?・・・今は綾波さんのほうが問題だ。自己嫌悪なら後で独りっきりになってから好きなだけするんだね)
「・・・はい」
ブギーポップの歯に衣着せぬ物言いが今はありがたかった。
下手に心配されるよりいいし、今この時に大事なことを思い出させてくれるから。
シンジがケージに到着したとき、ちょうど零号機が固定されエントリープラグから白いプラグスーツのレイが降りてくるところだった。
シンジは素早くかけよって話しかける。
「大丈夫だった?」
「・・・・・・問題ないわ・・・・」
シンジはレイの体に外傷がないのに安堵した。
荷粒子砲が当たらなかったのだから当然と言えば当然なのだが
(何とか大丈夫だったみたいですね)
(・・・そうでもないみたいだ、手がふるえている。)
いわれてみると確かにレイの手はふるえている。
おそらくは恐怖によって・・・レイは自分でそれに気づいていないようだ。
(自覚してないようではあるが・・・・)
(感情が育ってるのがこんな所では裏目に出たって事なんでしょうか?)
(死にたくないって思ったのは確かだろうね・・・・・たとえ自分の代わりがいるとしても・・・・・)
(・・・喜べばいいんでしょうか?)
(悲しむことかね?それよりも・・・)
(はい)
シンジはレイの手を握った。
レイはびっくりしているが関係ない。
そのまま手を引いてケージを出ていく。
シンジは適当な更衣室に連れて行くと椅子にすわらせその頭をなでてやる。
「ごめんね、怖い思いさせて・・・・」
「・・・どうして?」
「何が?」
「・・・私には代わりがいるの・・・なのになんで?」
どうやらレイはかなり混乱しているようだ。
ネルフのトップシークレットに関わるぎりぎりなことを口にしているのに気づいていない。
シンジもそれに気がつかなかった風を装う。
今はどうでもいいことだ。
「だからなに?その代わりの人は今ここにいないじゃない?怖い思いをしたのは君なんだよ?その代わりの誰かじゃない・・・・」
「・・・でも・・・・」
「ここにいる綾波レイは代わりなんていないって、ぼくがそう思っている限りぼくにとっての綾波レイは君だけだよ。それじゃだめなのかな?」
「・・・・・いいえ」
「そう・・・・よかった。」
シンジはそう言って笑いかけた。
レイはその笑顔をまぶしい物に感じた。
思わずシンジに抱きつくとその胸に顔を埋める。
シンジはそんなレイの頭を優しくなでてやった。
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発令所は重い空気に満たされていた。
当初、シンジをいきなり脅迫まがいの方法でエヴァに乗せた経緯などがあり、ネルフ職員はシンジに対し後ろめたい部分があった。
しかし、ミサトとのケージでのやりとりやその後のシンジの行動から彼は決して理不尽な人物ではなく、むしろそのあり方は尊敬に値する物であると言うことがわかった。
そのため彼に好意を向ける者は多かったし、シンジもつとめて良好な関係を築こうとしてくれていたが今回の一件でシンジは再び最初のように自分たちを名字で呼んだ。
それだけでシンジがどんな心境だったか分かると言うものだろう。
そのことが皆の心にくらい影を落とす。
モニターには初号機の姿が映っていた。
しかしこれは1/1の初号機のダミーバルーンだ。
小型艇に取り付けられたそれが水上をラミエルに向けて進んでいくが、ある程度来たところでラミエルの荷粒子砲に貫かれる。
「敵、荷粒子砲命中。ダミー蒸発」
「次!!」
ミサトの号令とともにトンネルから独12式自走臼砲が出てきてラミエルに向け砲撃をする。
だがラミエルのATフィールドは簡単に砲撃をはじき返し、返す刀の荷粒子砲で周囲の地形ごと12式自走臼砲が消えさる。
「12式自走臼砲消滅!!」
「・・・なるほどね」
ミサトの呟きに合わせるようにリツコがエヴァの整備を終えてケージから戻ってきた。
もともと鉄板にガードされていたために零号機にダメージは無い。
それを聞いたミサト・リツコ・日向・マヤで作戦会議が始まる。
「それで、状況は?」
「これまで採取したデーターによりますと、目標は一定範囲内の外敵を自動排除するものと推測されます。エリア侵入と同時に荷粒子砲で100%狙い撃ち。エヴァによる近接戦闘は危険すぎますね」
日向マコトが現状報告をした。
かなり厳しいとその表情が語っている。
「ATフィールドは?」
「健在です。相転移空間を肉眼で確認出来る程、強力な物が展開されています 誘導火砲、爆撃などの、生半可な攻撃では泣きを見るだけですね。こりゃ」
「攻守ともにほぼパーペキ。まさに空中要塞ね・・・。で、問題のシールドは?」
日向がモニターにラミエルの映像を出す。
モニターに映ったラミエルの真下から先端がドリルになった棒が伸びて地面に刺さっていた。
今そのドリルが地面を掘り進んでこのネルフ本部に向かってきているところだ。
「現在、目標は我々の直上、第三新東京市0エリアに侵攻。直径17.5mの巨大シールドがジオフロント内のネルフ本部に向かい、穿孔中です。 敵はここ、ネルフ本部へ直接攻撃を仕掛けるつもりですね」
「しゃらくさい!!・・・で、到達予想時刻は?」
「明朝、午前00時06分54秒。その時刻には22層、全ての装甲防御を貫通して、ネルフ本部へ到達するものと思われます。」
ミサトはモニターの時計を見る。
「あと10時間たらずか・・・」
「どうするのミサト?」
「作戦は・・・あるわ・・・・でも・・・」
「・・・・・シンジ君ね?」
「ええ、正直彼の協力なしにはちょっち・・ね」
ミサトの言葉に皆が暗い顔になる。
彼の力を期待するなというほうが無理な話である。
今までシンジは二体の使徒を殲滅し、さらに戦場において人命救助まで行っている。
その功績は大きい、しかも彼の協力なしでは再び零号機単機での出撃になる。
ただでさえ起動したばかりの不安定な零号機をこれ以上酷使していいものだろうか?
「・・・ミサト・・・最悪の場合零号機だけの出撃になる可能性もあり得るわ・・・そうすればシンジ君も・・・」
「リツコ!!あんたなに言ってんの?そんなこと出来るわけないじゃない、またあの子に脅迫まがいの事するつもり?冗談じゃないわよ!!」
リツコのいわんとしてるところを把握したミサトは激昂した。
何年にも渡って親友を続けている二人だ。
お互い相手が何を考えているかも大体分かる。
「・・・ミサト・・・でも依然使徒は私たちの頭上・・・手段を選んでいられないでしょう?」
「そっちこそ何言ってるの?あんた、これ以上シンジ君の信頼を裏切ってどうするの?それこそシンジ君はこの町を出ていくわよ?その後シンジ君の協力なしで使徒を倒していける?」
「そ・それは・・・」
リツコは言葉に詰まった。
強制的に初号機に乗せることは不可能じゃない。
しかし、所詮そんなもの一時しのぎでしかない。
その後のことを考えればたとえそれが最終手段だとしてもマイナスが大きすぎる。
ここにいたってリツコ達はシンジの存在の大きさに頭を抱えた。
ネルフの本来の目的を考えればチルドレンの存在は最重要人物なのだ。
それこそ司令であっても代わりになる人物を探すことは難しいが可能だろう。
だがチルドレンは?
しかもシンジのような規格外の存在など・・・・・無理だ。
重い沈黙が発令所に落ちる。
皆、議論に集中していたためミサトの背後に忍び寄った人物に気づかなかった。
ペタッ
「わ〜〜〜〜〜〜〜〜っと!!」
ミサトはいきなり首筋に押し当てられた冷たい感触に飛び上がった。
全員が反射的に見ると缶ジュースをいくつも持ったシンジがいる。
シンジはいつもの笑みでほほえんでいた。
「皆さんどうしたんですか?なんかくらいですよ?」
シンジはそう言うと一人一人にジュースを投げ渡していく。
一人一本ずつ受け取るのを確認するとシンジは最後の一本をミサトに差し出す。
「はい、ミサトさんビールじゃないけれどおいしいですよ。」
「あ、ありがと・・・」
ミサトは呆気にとられたままジュースを受け取った。
シンジはそんなミサトに構わずラミエルの映っているモニターを見た。
「それで・・・どんな感じなんです?」
「え?ああ、それはね・・・」
ミサトが現状を解説した。
「なるほど・・・・・要するにあれは砲台の攻撃力と絶対の防御力を持っていると言うことですか・・・」
「そう言うことになるわね・・・・・シンちゃん、レイの様子はどう?」
シンジは不安そうな声に微笑みで答える。
しかしいつもと違って作り笑いの笑みだ。
それが見分けられるだけにミサトも辛い。
「大丈夫ですよ、今は仮眠室で眠っています。」
「そう・・・シンジ君・・・」
「なんですか?」
「ごめんなさい・・・」
シンジが見るとミサトが頭を下げている。
それを見たシンジは笑みを消して無表情になった。
とたんに周囲の空気も重くなる。
「まあ・・・謝ってもらうくらいのことはしたかもしれませんね・・・でも謝るならレイに謝ってください。」
「本当にごめんなさい・・・・」
「・・・・・もういいですよ。謝ってくれたんですからこれで終わりにしましょう。ずるずる引きずるのはお互い楽しくありませんから・・・・」
シンジの言葉にミサトは顔を上げるといつものシンジに戻っていた。
ただそれだけで場の空気が和らぐ。
「そう言えばシンちゃん?」
「なんですか?」
「どうしてあんなフォローが出来たの?」
「あれは日向さんのおかげです。」
「日向君の?」
シンジの言葉に視線が日向マコトにむく。
いきなり注目されたマコトが恥ずかしそうに頭をかいた。
「・・・どう言うこと?」
「まず日向さんに使徒の映像を見せてもらったらあんなクリスタルだったので直接攻撃はないと思いました。そこで第三使徒が目のような部分から光線を出してるのを思い出しておそらくそれに準ずる物かと・・どう防ぐかが問題でしたが・・・後は日向さんにボタン一つで操作できるようにしておいてもらったんですよ。」
「・・・・・・そうだったの・・・・日向君ご苦労様。」
「いえ、そんな」
マコトはミサトの言葉に赤くなった。
すべてシンジの仕掛けだが嬉しいものは嬉しい。
「でもなんでシンちゃんが操作したの?」
「なんでって・・まあ、どんな理由があっても独断専行でしょ?ネルフに所属してないぼくならともかく日向さんが責任とることになったらいやじゃないですか?」
「シンちゃん・・・」
ミサト達はシンジの心使いに胸を打たれた。
たしかに一歩間違うと命令無視か独断専行だったが結果的にレイもネルフも救われたのだ。
それによって罰される可能性は低いがかといって組織の中ではほめられることじゃない。
「それよりジュースぬるくなりますよ?」
「そうね、ありがたくいただくわ後でお金払うから。」
「いいですよ、ぼくのおごりです。」
「あら?生意気なこと言って〜〜」
「ミサトさん?ぼくミサトさんより貯金ありますよ。」
「・・・・・・え?」
「ぼくが10億円持ってること忘れてたでしょう? 」
「・・・・・・・・あ・・・・」
たしかのシンジは10億もの大金を持っている。
ミサトの預金通帳など比べるまでもない。
「シンジ君、ミサトにそんな事言うと酒代たかられるわよ〜〜」
「そうですね、気をつけないと・・・・」
「ウウウウウウ・・・リツコとシンちゃんがいじめる〜〜〜」
シンジ達のやりとりに発令所が笑いに包まれる。
なんだかんだ言ってもシンジの存在がネルフの中心になりつつあると言うことなのだろう。
しばらくしてシンジが表情を引きしめたのを合図に緊張感が戻った。
「それで、実際どうするんです?」
「ええ、この使徒に対しては接近戦をせず長距離からの狙撃で対処しようと思うの。」
「フィールドがあるのに出来るんですか?」
「今回は中和はせず強引に突破しようと思うの、理論上は出来るはずよ。」
「ちょっと待ちなさいミサト」
ミサトの説明にリツコが待ったをかける。
科学者としての意見があるようだ。
「いくら何でも無茶すぎるわMAGIはなんって言ってるの?」
「・・・・確率8,7%・・・でも一番高い確率だわ。」
「これがね・・・。でも、うちのポジトロンライフルじゃ、そんな大出力は耐えられないわよ?どうするの?」
「決まってるでしょう、借りるのよ」
「借りるって・・・まさか・・・。」
「そ、戦自研のプロトタイプ」
ミサトとリツコは何かに思い至ったようだがほかの人間はいまいちわかっていない。
話についていけなかったシンジが代表で質問した。
「センジケンのプロトタイプってなんですか?」
「ああ、ごめんね〜〜実は戦略自衛隊の研究部で自走陽電子砲(ポジトロンライフル)の開発が進められててね、プロトタイプなだけに高出力の実験も出来るように設計されているのそれならあのフィールドを貫くことも出来るはず。」
リツコとシンジはミサトの作戦に微妙な表情を浮かべた。
かなり強引な力技だ。
そういうものはえてして融通が利かないと相場が決まっている。
「しかし、ATフィールドをも貫く、エネルギー産出量は最低1億8千万キロワット。それだけの大電力をどこから集めてくるんですか?」
「決まってるじゃない。日本中よ♪」
マコトの言葉にノリノリで答えるミサトだがシンジの表情は優れない。
それを見たミサトもさすがに不安になってきた。
「?シンちゃん?」
「はい?」
「・・・・・やっぱり不安?」
「そうですね・・やはり10%を切る成功率というのは・・」
「本当にそうね・・・でも時間もないから他の方法は・・・」
ミサトは申し訳なさそうな表情をするがシンジはうつむいて何か考え込んでいた。
隣にいるミサトのことも気がついていないらしい。
真剣に何かを考え込んでいて口を挟めない雰囲気がある。
その顔はただ一心に答えを求める強い意志が宿っており、女性陣が思わず見とれてしまうほどりりしかった。
「・・・長距離からの狙撃自体はいいんですよ。でも・・・そうだ」
「な、なに?」
いきなりシンジに見つめられたミサトが赤面した。
「?・・・・どうかしました?」
「い、いえなんでもないのよ」
シンジが周りを見回すとリツコやマヤも顔を逸らす。
マコトまで顔を逸らすのはなんでだ?
「?・・・まあいいですけれどミサトさん」
「な、何かしら?」
「ミサトさんが引き金を引いて撃ってください。」
「え・・・・なんの?」
「だからその陽電子砲の・・」
発令所の時が止まった。
「え?え?え?あたしが?」
「そうですよ。」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ミサトの絶叫は数秒間続き発令所の職員は耳をふさいだ。
後にはボーゼンとするミサトとよい考えだといわんばかりのシンジの笑顔があった。
「使徒を倒してくださいねミサトさん。」
To be continued...
(2007.06.09 初版)
(2007.09.08 改訂一版)
(2007.09.15 改訂二版)
(2008.07.19 改訂三版)
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