「・・・ねえシンジ君?」
「・・・・・・なに?」

シンジは正面にいるマナを見ながら体を起こした。

「・・・能力って・・・どうやったら使えるようになるの?」
「・・・・・・は?」

マナの真剣な質問に対してシンジは半眼で聞き返した。
その目は充血している・・・・・・眠いのだ。






天使と死神と福音と

第拾弐章 外伝 〔Awaking〕

presented by 睦月様







草木も眠る丑三つ時・・・時計の針が指すのは午前二時・・・

シンジの部屋に来訪者が三人いた。

「・・・マナ、どういうこと?ムサシにケイタも一緒になって・・・」

レイの暴走による破壊からようやく復興したシンジ邸の寝室で三人とシンジは向かい合っている。
ちなみに改装によってシンジの家は無用な部屋の仕切りを取り払い、シンジの部屋以外は物置だけと言う感じで開けている。
みんなの集まる食堂と管理人のシンジという感じだ。

「この前の使徒戦で俺達はお前達の力になれなかった・・・それどころかお前を危険にさらしちまった・・・」
「・・・それは仕方ないよムサシ、むしろガンヘットがあの影に飲まれなくてよかった」

実際、あのときに飲み込まれたのが初号機だったのは僥倖というべきだ。
ガンヘットはあくまでも戦車の発展型でしかない。
虚数空間に放り込まれて無事でいるのは無理だろう。
その点、エヴァは宇宙船のように密閉されていて生命維持装置であるLCL循環器があったために耐えることが出来た。

「でも・・・」
「ケイタ・・・自分の力不足なのが悔しいのはわかるけれどだからって安易に能力に頼るのはどうだろう?」
「「「う・・・」」」
「能力は必ずしも人を幸せにしないよ・・・」

シンジの脳裏に世界の敵として戦ってきた者達のことが思い出された。
彼らの中には自分の能力に押しつぶされたり能力に魅入られて自滅した者もいた。
大きすぎる可能性は時として人には操る事が出来ず諸刃の刃となることもある。

「・・・マユミさんが能力で苦しんできた事は知ってるんでしょ?」

三人は黙って頷いた。
本人はそのことを話したがらないが時々能力を使うときに見せる沈んだ表情を見れば分かるというものだ。

「他の人にない何かを得るという事は他の人にない何かを背負うという事でもある・・・その覚悟はあるのか?」

かってシンジの能力の発現に巻き込まれて消え去った少年がいる。
彼のクラスメートも友達も両親さえ彼の名前も顔も覚えていない。

しかしシンジにだけはその記憶がある。
それはもしかしたら消滅させてしまった事に対するシンジへの罰かもしれない・・・

たとえどれほど罪の意識にさいなまれようと許されることはない
シンジを許す事の出来る者達はこの世界に痕跡一つ残すことなく消え去った・・・
それはシンジが死ぬまで許されることがない証・・・

シンジは断罪されることはないのだ。
その代わりの最も重い罰・・・己がやったことを自分の心に焼き付けて生きるという罰・・・
シンジは死ぬまでこの記憶を忘れるわけには行かない・・・
なぜならばシンジが彼らのことを忘れてしまえば・・・彼らの痕跡は本当になくなってしまうのだ。

「・・・どの道ぼくにはどうする事も出来ないよ。だってぼくは能力を発現させる事なんて・・・」

そこまで言ったシンジは大きな見落としに気づいた。
ここには”そういった事が出来る物(者)”があるのだ。

『ヒヒヒッ俺の出番か〜』

聞こえてきた声にシンジがあわてて部屋に備え付けの机を見た。
正確にはその上にある・・・アンクを・・・

「ね、ねえシンジ君・・・」

背後からかかったマナの言葉にシンジがあわてて振り返る。

「・・・誰かいるの?」

マナの両隣でムサシとケイタも周囲を見回している。
わずかに残っていた眠気が吹っ飛んだ。
爆弾は投下されたのだ。

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「・・・迂闊だなシンジ」
「あれってぼくのせいなんですか?」
「他に誰がいる?」
「あんまり言わないでくださいよ、そうでなくても猛省中なんですから・・・」

翌日の放課後
シンジはマユミを連れて凪の保健室に来ていた。
理由は昨日の夜のことを相談するためだ
もちろんマナ達がエンブリオの声を聞いたことについてである。
マユミが同席しているのはシンジの記憶を読んだときにエンブリオの存在も読んで知っていたからだ。

「何とかごまかしましたがエンブリオの声が聞こえたって事は・・・」
「そうだな、あの三人には能力が発現している事になる。おそらくまだ自覚はしてないんだろ?」

凪の言葉に三人はため息をついた。
シンジがカッターシャツの襟元に手を入れて鎖につながれたそれを出した。

「シンジ君、それがエンブリオですね?」

マユミがまじまじと見たのはエジプト製の十字架、アンク
シンジの記憶を読んではいたが実際に見るのは初めてだ。

『ようお嬢さん久しぶり』
「きゃ!!」

思わずマユミが後ずさった。
いきなり装飾品から声をかけられればそれは驚く。

『ひひひっ連れね〜な』
「余計な事はしゃべらなくていいです。」

シンジは机の上にアンクを放り投げた。
かなり乱暴な扱いだ。

『おいおい、もう少し丁寧に扱えよ。いてーじゃねえか』
「・・・その有様で痛みを感じるほうが脅威ですよ。それより昨日はなんでしゃべったんです?」

シンジの声はどこまでも冷え切っている。
視線もガラス片のように鋭い。

『求められれば答えるのが男だろう?』
「アンクに男も女もあるか・・・」
『どの道あいつらには才能があったんだ。しかもこれだけ能力者が集まってりゃあ相乗効果でいつ発現してもおかしくはなかったんだよ。妙な形で出てこなかっただけいいじゃねえか』
「そりゃあそうですがね」
『大体あの三人のうち一人はとっくに発現してるじゃないか』
「「「な!!」」」

エンブリオの言葉にシンジ達3人が同時に驚きの声を出す。
予想もしていなかった言葉だ。

『あん?気づいてなかったのか?あのケイタって呼ばれた小僧は結構前から発現しているようだぞ?』

エンブリオの言葉に3人が顔を見合わせる。
3人とも混乱した顔をしていた。

「き、気づいてました?」
「いや、まったく気づかなかったぞ?」
「私もです。」

狼狽している三人を見てエンブリオが笑い出した。
再び三人の視線がエンブリオに集まる。

『ケケケッな〜んだ、誰も気づいちゃいなかったのか?』
「そ、それでケイタの能力はどんなものなんですか?」
『さあね〜』
「・・・・・・」

シンジは半眼になるとエンブリオの鎖を掴んで凪に差し出す。
それを見た凪は無言でエンブリオの下に人差し指を突き出して指先に炎をともした。

「ソーセージの作り方って知ってます?」
『うお!!燻製にするつもりか!!ちょっと待てよ、話し合おう!!』

エンブリオの言葉を聞いた凪が手を引っ込める。
シンジはエンブリオのアンクを視線の高さまで持ってきた。

『・・・お前・・・俺の扱いぞんざい過ぎねえか?』
「ちゃんとしつけはしとかないとね、その点アンクってまず壊れたりしないから便利だな〜」
『ペット感覚かよ!!』
「きびきびしゃべればいいんですよ。ドゥ・ユウ・アンダスタン?」
『・・・どうやら乗り物に関するものらしいな、乗った物の能力を完全に自分のものに出来るってところだろ・・・覚えがあるんじゃあねえか?』
「・・・・・・なるほど、あれか・・・」

エンブリオの言葉でシンジはケイタがレリエル戦で見せたケイタの操縦技術が思い出された。
凪とマユミは一般人だったため知らないが確かに人間業ではない。
あれは技術とかそういう次元じゃなかった。

「・・・マナとムサシの能力は?」
『さあな』
「消滅させますよ?」
『過激だな・・・』
「余裕がないんですよ、マナ達はどんな能力に目覚めかけてるんですか?」
『そこまではわからなねえよ。しかしそろそろ発現の予兆が出てるんじゃねえか?』
「「「なに!!」」」

その時、校舎の何処かで悲鳴が上がった。
シンジ達は顔を見合わせると保健室を飛び出して行く。

「どこだ!!」
「あっちです!!」

校舎の中を勘を頼りに三人は走った。
声の方向がいまいち曖昧だったのでなかなか特定できなかったがやがて三人は一つの教室の前に辿り着く

「ここか!!」

シンジは扉に手をかけると一気に開けて・・・あけたのと同じくらい素早く閉めた。

「い、今のは・・・」

取っ手に手をかけた状態でシンジが硬直している。
その手にはじっとり汗がにじんでいた。

「どうしたんですかシンジ君?」
「・・・いや、見間違いのはずだ・・・」

シンジはふたたびゆっくりと扉を開く
その先にあるものをシンジが見た瞬間・・・時が止まった。

「な、なんじゃこりゃ!?」

そこにあったものは・・・きらめく太陽系が見えた。

「う、宇宙空間だと!!」

教室の中は銀河系まで確認できるほどの宇宙空間が出来上がっていた。
まるでプラネタリウムだ。

「そんなバカな!!」
「ちょっとまて、教室に入るのは危険だ。」

凪が教室の前で呆然としているシンジを横に引っ張った。
同時に反対の手で教室の扉を閉める。

「く、空間をつなげたんですか?」

マユミがシンジ達の横に来てしゃべった。
本好きの彼女らしくSFチックな発想だが実際見た後では馬鹿にも出来ない。

「いや、あの宇宙空間は教室から外に影響が出ていないようだ。」

凪が指摘したとおり教室の外にはこれといって影響は出ていない。
どうやらどこでもドアとは違うようだ。

「空間をつなぐとかゲートのようなものじゃないな・・・もっと別の何かだ・・・」
「確かに、まだ完全に覚醒してない状態でそんな大きな力を使うなんって出来こない・・・」

能力の正体がまったくつかめない。
こんな状態でほうっておけば学校が混乱するのは目に見えている。
シンジと凪が真剣に話していると駆け足で近づいてくる音が聞こえた。

「シンジ!?」
「え?ムサシ?」

足音の方向を向いたシンジが見たのはムサシだった。
その後ろからケイタもかけてくる。

「ど、どうしたのさムサシ?」
「え?・・・ああ、よくわからないんだが何かここでとんでもない事が起きそうな気がしたんだ。」

ムサシはそう言って首をひねっている。
自分で言っていることの意味を理解してないらしい。

『ヒヒヒッどうやら目覚めたようだな〜』
「な、何?」
「だれだ!!」

ムサシとケイタが周囲を警戒するが人影はない。
聞いたことのない声に二人がうろたえる。

『ここだよ、ここ』

二人が声の方向を見るとそこにいたのはシンジだった。

「シンジなのか?」
「・・・違うよ」

シンジはため息をつくと首にかかっていたアンクをはずす。
そのままアンクを二人に突き出した。

「この人?」
「「・・・へ?」」

ムサシとケイタは差し出されたアンクをじっと見詰めた。

『よう!!あんまり男に見詰められても嬉かねえぞ?』
「「うわ!!」」

二人はエンブリオの声に驚いて飛びのいた。
最初にエンブリオの声を聞いた人間は大抵こういうリアクションをとる。

「し、シンジなんだこれは!!」
「後で説明するよ、それで?ムサシの能力は何かわかったんですか?」
『ああ、予知じゃねえな、おそらく予測だ。』
「予測?」

エンブリオの言葉にに凪とマユミも真剣な顔で聞き入る。
場合によっては危険な能力かもしれない。

『どうやら五感からの情報を集積、理解してこれから起こる状況を予測しているらしいな、ここに来たのもおそらくそれが原因だろうさ』
「でもムサシは”起きるような気がする”ってしか・・・」
『そりゃあそうだろうよ。人間の脳みそでそんな処理をしたら一気に廃人だ。おそらくそうならないように無意識にリミッターがかかってやがる。今のそいつは勘や虫の知らせみたいな感じでこれから起こることを予想してるんだよ』

それを聞いたシンジ達三人の視線がムサシに集まる。

「な、なんだ?」

どうやら少しパニックになってるらしい。
装飾品がしゃべってシンジ達と真剣な話までこなしたらそれは驚かないほうがどうかしてる。

「・・・待てよ、ムサシがここにいるって事はこの現象を起こしているのは霧島って事か?」

凪の言葉に全員が教室を見る。
シンジが恐る恐る扉を開けると教室の中には猫がいた。
白くてきれいな猫が一匹毛繕いをしている。
なんともほほえましい光景だ・・・猫の大きさが熊ほどもなければ・・・

「・・・・・・」

シンジは黙って扉を閉める。
ほのぼのとしすぎていて突っ込む気も起きない。

「・・・・・ムサシの能力って五感から受けた情報を理解、統合して先に起こることを予想してるんですよね?」
『まっそういうこったな〜』
「・・・ってことはムサシはこの起きている状況のことも理解しているってことだよな・・・」

シンジはムサシに近づいた。

「ムサシ?」
「なんだ?」
「あれどう思う?」

そう言ってシンジは後ろの教室を指で示す。
意味が分かっていないムサシは当然困惑している。

「ど、どうって言われてもな・・・」
「何でもいいんだ。いやな感じがするとかないか?」
「・・・いや、しないな・・・なんつうか現実感がないって言うか・・・」
「・・・・・・おっけ〜わかった」

ムサシの答えを聞いたシンジは凪たちに向き直る。

「どうやら危険は無いみたいですけれど・・・」
「・・・なるほどな」

凪は教室の扉を睨んだ。
たとえ危険がないとしてもここをこれ以上こうしておくわけには行かない。
放課後とはいえまだ校舎内に他の生徒や教師が残っている可能性がある。
このままの状態でほうっておけば・・・問題山積みだ。

「っと言うわけでシンジ?」
「はい?」
「お前の出番だ。」

凪はシンジの肩を掴んで教室の前に突き出す。

「ど、どうしろって言うんですか!?」
「これはどう見ても能力だろ?しかも物理的なものじゃない。だったらお前の便利な左手の出番だ」
「あっなるほど・・・」

シンジは左手を掲げると白く輝きだす。

右手で教室の扉を開けて左手を使おうとしたシンジは・・・そのまま硬直した。

教室は再び一変していた。
何処かのホテルのような部屋、その真ん中にあるベットで一組の男女がディープなキスをしている。
下半身は布団で隠れているが上半身は裸だ。

「「「うわ!!」」」
「見ちゃいけません!!」

マユミの鋭い声とともに打撃音が三つ響いた。
その勢いのままにマユミが扉を閉める。

「・・・山岸、お前一体どこに六法全書なんて仕込んでた?」

マユミがその手に持つぶ厚い本の名前は六法全書・・・
日本のあらゆる法律が明記された一品で法律家の必須アイテムだ。
間違っても打撃武器ではない。

「女の子には秘密が多いものです。特にメガネの文学少女に本は付き物でしょう?」
「・・・お前キャラ作りすぎじゃないか・・・少なくとも凶器に使っていいものではないと思うが・・・」

凪は冷や汗をかきながら地面で昏倒している三人を見た。
どうやらカドが当たったらしい・・・

凪はため息をつくとシンジの首もとのエンブリオに話しかけた。

「ムサシの直感で避けられなかったのか?」
『ケケケッ奴さん目の前のものに気を取られちまったらしいな、何かに気を取られていると使えねえらしいぜ〜』

エンブリオはそういうとケタケタ笑った。
そんなエンブリオに構わず凪はシンジの肩を揺さぶって起こす。

「う〜ん、凪さん?」
「起きたか?」
「はい、何があったんですか?えらく頭が痛いんですけれど?」
「さあな・・・」

凪はあえて知らん顔であさっての方向を見た。
マユミもそれに習う。

「・・・とにかくこいつをいい加減どうにかしよう。」
「そうですね」

シンジは頷いて立ち上がると右手で教室の扉を開いた。
すでにそこは夕日の沈む海岸線になっている。
どうやら最近見たラブストーリーのシーンらしい
テレビで見覚えのある顔の男女が海辺で見詰め合っている。

「・・・これを邪魔したら馬に蹴られるかな?」
「つまらん事言ってないでさっさとやれ」
「了解」

シンジは教室に左手を突っ込んだ。
すでにその手は白く輝いている。

「・・・【Left hand of denial】(否定の左手)」

次の瞬間、シンジ達の目の前の世界が砕けた。
後には普通の教室とその真ん中ですやすや寝ているマナがいた。

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「え?光?」

マナが驚いた声で聞き返す。

『そうらしいな〜お譲ちゃん』

それに答えたのはエンブリオだった。
シンジ達はあの後、寝ているマナを背負って保健室に運んだ。

そこでエンブリオに目覚めたマナに話しかけさせると案の定エンブリオの声を聞くことが出来たというわけだ。
アンクが話すなど脅威以外の何者でもないがマナはすんなりこれを受け入れた。
シンジ達と付き合っている間に相当図太くなったらしい。

最初は知らないうちに能力者になったことに驚いていたが程なく受け入れた。
もともと能力を使えるようになりたかったのだからこういうタナボタはウエルカムだろう。

「どういうことなんですか?」
『自分の周りの光を屈折させる事が出来る見てえだな、あの教室でお前さんの意思に従って周りの光を屈折させて記憶にあるもんを映し出したんだろうよ。』
「・・・何であたし寝てたのかしら?」
『いきなり能力が一気に発動して気絶したんだろ?どうやら能力が一人歩きしていたみてえだな〜』
「なるほど・・・」

マナは自分の手を掲げる。
同時に能力を発動させた。

「わっすごい!!」

次の瞬間、その腕が歪んだ。
不定形に手の形が歪んでいびつに見える。

「なるほどな、光を使うというのはこういうことか・・・」

凪が興味深げにマナの手を見ながら頷いた。
目とは光を見る器官だ。
光を操るという事はそのものの見え方を操る事が出来るということでもある。

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【Spectacle of fantasy】(幻想の光景)

エンブリオとの接触によりマナの中に生まれた能力
自分の周囲の光を屈折させる事ができる。
光を作り出しているわけではないのでまったく光の無い暗闇では使えない。
逆にわずかでも光があれば発動可能。
自分を中心とした半径10mほどが射程圏内である。
周囲の風景の見え方を自在に操る事が出来る。

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「「う〜ん・・・」」

マナが自分の能力に驚いていたとき、保健室のベットで上がったうめき声に気づいたものはいなかった。

ベットにはムサシとケイタが寝ている。
マユミに一撃でのされたまま目覚めてない
ちなみに彼らはマナと違って凪が”引きずって”来たので頭のところどころにこぶがあってさらに深く眠っているようだ。
後日凪に聞くと”二人いっぺんには背おえんだろ?”との事だった。

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【Logical intuition】(論理的な勘)

エンブリオとの接触によりムサシの中に目覚めた能力
予知ではないが虫の知らせとも言うべき直感を感じる能力
その正体は五感から感じるあらゆる情報を総合する事でこれから起こることを予想するというものだ。
ただしその情報をまともに受け取ろうとした場合その過負荷に脳が耐えられないために”なんとなくそんな感じがする”というように漠然と感じる事しか出来ない。
あくまで予測でしかないので不意の事態が起これば外れることもある。
何かに強く気を引かれているときには能力が阻害される。

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「ところで霧島?」
「はい?」
「あの宇宙空間やら猫はなんだったんだ?」
「ああ、多分昨日見た映画のせいですね」
「映画?」
「宇宙空間から飛来した巨大猫の愛くるしさに猫好きな人類は萌え死んで行き、犬好きの人たちが何とか反撃しますが猫好きの生き残りと激しく衝突、さらに生き残った犬好きの男と猫好きの女の二人は真の萌えに目覚めて愛し合うという話です。」
「・・・一歩どころか駆け足で境界線を越えてるじゃないか・・・見たくないな・・・」
「え?結構面白かったですよ?」
「・・・まあ個人の自由は大事だと思うが・・・」

凪は曖昧な笑い顔を浮かべた。
子供たちの趣味を理解できないのは年を食ったからだからだろうかと結構どうでもいいことを真剣に考えながら・・・






To be continued...

(2007.08.11 初版)
(2007.10.13 改訂一版)


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