さあ、お手をどうぞ






Once Again Re-start

第九話 〔シャル・ウィ・ダンス〕

presented by 睦月様







某月某日・・・第三新東京市

「・・・少々順調すぎるのではないかね?」

暗い室内にぼうっとモノリスが現れた。
立体映像だから暗くしなければならないのは仕方がないとしてもこのモノリスというのはどうにかならないものだろうか。
ただ黒いだけの板など威圧感とか圧迫感しかもたらさない。

たとえばこれが招き猫だったらどうだろうか?

周りをずらりと猫に囲まれてその中心にゲンドウが一人・・・別の意味でいやな光景だ。
強制的に想像をカットしたゲンドウが現実世界に帰還する。

「・・・問題ありません。」(そんなつまらんことを聞くために呼び出したのかこのジジイ!?)

表面的にはいつもと変わらないふうにゲンドウは返事をした。
しかし内心はかなりあせっている。
目の前にいるゼーレの面々にあせっているわけではない。

『しかしこれまでの戦闘でエヴァはあまりにも圧勝しすぎた。』
『さよう、チルドレンを追い込んで精神的にもろくするという計画のはずなのに・・・』
『むしろここまであっさり事が進むとむしろ精神的に安定してしまうかもしれん』

ゼーレは口々に思っていることを口にする。
老人はもともと話が長いものだがまったく会話が途切れない。
彼らとしてもゲンドウがここまであっさり使徒殲滅を遂行していくとは思っていなかったので愚痴るための論点がほかにないのだ。

ゲンドウもそこのところが分かっているために内心にいらいらとストレスのゲージがうなぎのぼりになっている。

(「がたがたうるせえよ!!下らんことをいうくらいなら黙っていろ」・・・そういえたらどれだけすっきりするだろうな・・・)

とりあえず声には出さずに老人達に対する罵詈雑言を考えて時間がたつのを待つ。
本当ならこんな急な呼び出しなど無視したかったのだが受けてしまったあとでは病欠というサボりの言い訳も出来ない。

(冬月・・・覚えていろよ。)

ちなみに受けたのはゲンドウではなく冬月だったりする。

『ではあとは委員会の仕事だ。ご苦労だったな碇君』
(ってほんとうに愚痴を言うためだけに呼び出したんかい!!)「・・・はい」

内心の思いを殺したゲンドウは一礼して退出する。
部屋を出た瞬間、ゲンドウは一目散に走り出した。

「冬月いいイイ!!」
「おお、終わったのか?」
「終わったかではないわ!!」

執務室に入ったゲンドウは目の前にいた冬月を怒鳴り倒す。
さらに目を丸くした冬月の首を掴むとがくがくと振り回した。

「あががが!!」
「何でだ!?よりにも寄って”今日”あんな愚痴を聞くためだけに呼び出されなきゃならん!?」
「し、しかたあるまい!!向こうはスポンサーだぞ!?」
「時間がなくなっただろうが!!」
「そう思うならとっとと行けばよかろう!?」

その言葉にはっと気がついたゲンドウは揺さぶっていた手を離した。

「そうだな・・・こんなことで時間を食っている場合ではない。」

老人虐待の殺人未遂をしておいてそれをこんなことと言うあたりゲンドウの強心臓のほどが伺える。

「では後のことは頼みます。冬月先生!!」

言うや否や疾風となったゲンドウが外に駆け出していった。
なんとも暑苦しい風だ。

「まったく、面倒なことは全部私に押し付けおって・・・前の世界から何も変わっていないな・・・」

変わったのはその面倒ごとのベクトルの方向くらいか・・・

「しかしこの世界に戻ってきてあいつの見知らぬ一面ばかり発見するな・・・」

前回でも十分に長い付き合いだと思っていたのだが、やはり人間同士は完全に理解しあうことはできないということだろう。
まあ何もかもを理解しあったのなら同時に他人に感じる魅力もなくなるだろう。
程よい距離と秘密は人間関係の潤滑剤だ。

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そしてここにも急いでいる者たちがいた。

「急げ、急ぐんだトウジ!!」
「そんなに急かせんなや」

街中をなにやら重そうなリュックを担いだトウジとケンスケが走っていた。
どうやらかなり急いでいるらしいがトウジではなくケンスケが前を走ってトウジをせかしている光景というのは珍しい。

「まだ時間あるやん?」
「何を言っているんだ!俺達にはやるべきことがあるんだぞ!!時間なんていくらあっても足りるわけ無いだろう!!」
「あ〜そうやな・・・」

何か言い返そうとしたトウジだが途中であきらめた。
見た目に目を血走らせている(暑いからというだけではない)ケンスケに何を言っても無駄だろうというのを悟ったらしい。
賢明な判断だ。

やがて二人はわりと見慣れた感のあるコンフォート17の前にたどり着いた。
何を警戒しているのか慎重に周囲を見回すケンスケにあきれたため息をついたトウジだが二人連れだってマンションの中に入っていく。
エレベーターを使って目的の階に到着すると目的の部屋の前に立った。

ケンスケが部屋のチャイムを押す。

「・・・誰だ?」
「俺だ。」

まるでマフィアのようなやり取りの後に扉が開いた。
中から顔を出したのはシンだ。

「遅かったな、ほかの皆はもうそろっているぞ」
「げ、ほんまかいな?」
「だから言っただろう?ちっ・・・間に合うか・・・」

シンの横に滑り込むように体を入れたケンスケはかって知ったるなんとやらというやつで迷い無く玄関で靴を脱ぐと部屋の中に入っていく。
そのスピードは無駄に速かった。

「・・・妙なところでこれまた奇妙な身体能力を発揮するのだな・・・」
「あいつの場合は特別や、ほかの人間もあんなんやと思わんでくれ」
「とりあえずお前も上がれ。」
「うい、お邪魔するで〜」

ケンスケと違って普通に靴を脱いだトウジはシンに続いて歩き出す。
やがて二人がたどり着いたのはリビングだ。

しかし部屋の中に入ってもリビングの状況はほとんど分からない。
真っ暗なのだ。
昼間だというのに外の光が一切入ってこないように窓には暗幕が張ってあるしもちろん明かりもついていない。
そんなくらい室内で活発に動いている人影があった。

ケンスケだ。
自分の背負ってきたリュックを開けて中の荷物を取り出していた。
どうやらリュックの中身はAV機器だったらしい。
ハンディーカメラやデジカメが部屋に設置されていく。
どうやらこれから何かを記録するつもりらしい。

「売れる・・・これは売れるぞ〜」と言っているあたりでどうもケンスケのアルバイト(写真をとって売るあれだ)に関係してくるようだが。

「ケンスケ、これここに置いとくで?」
「ああ、この先は俺一人でやるよ。ありがとうな」

ケンスケはもくもくと作業を続けていく。
カメラもビデオも精密機械だしちゃんと目標を写すためには光等の関係もある。
それにもともとがさつな性格をしているトウジが万が一にも壊してしまったらしゃれにならない。
この機材にしても安くは無いのだ。

最後のビデオを三脚にセットしたところでやっとケンスケが振り返った。
その顔には何かをやり遂げたという満足げな笑みが浮かんでいるのだが・・・傍目にはむかつく笑みだ。

「もういいのか?」
「ああ、ライトの位置、カメラとビデオも配置も完璧だ。つうわけでライトアップ!!」

言葉とともにケンスケがスイッチを入れる。
ライトに照らされたのは部屋の一番奥、なぜかステージのようになっている。

「まにあったか!?」

怒鳴るような大声に室内にいた人間が硬直する。
見ればおそらく走ってきたのだろう。
息を切らせたゲンドウが転がり込むように部屋に入ってきた。
汗だらだらの姿はいつもの数割増しに暑苦しい。

「す、すまん。老人達にいきなり呼び出されて」
「うるさいぞ碇ゲンドウ、まだ始まっていない。静かにしろでなければ帰れ。」
「わ、わかった。」

最後の観客であるゲンドウが座ると同時、曲のイントロが流れ始めた。

みーつめてキャッツ・アイ!!

曲に合わせて暗がりから四つの人影が飛び出してきた。
レイ、アスカ、カヲル・・・そしてシンジだ。

なぜか四人ともタイツのようなレオタード姿・・・

みーどりいろにひか〜あ〜る♪
  あ〜やしくキャッツ・アイ♪♪


曲に合わせて4人は踊っている。
レイはいつもの無表情で、アスカはどこか挑戦的な笑みを浮かべたまま、カヲルはこれまたいつものとおりにアルカイックスマイルでシンジは・・・なぜかやけくそ気味にうつろな笑いを浮かべている。

「いいわよシンジ!!」
「4人とも、ちゃんとデーターは取っているから真剣にやらないとだめよ?」
「やんややんや」

何故か最前列で大はしゃぎしているユイ、ミサト、リツコ・・・

「4人ともがんばれ〜」
「リズム感はばっちりだな」
「皆うまいうまい」
「アスカ、うまいぞ〜」

ユイ達ほどではないが4人を応援する私服姿のマコト、シゲル、マヤのオペレーター3人組と加持・・・ネルフの幹部がそろいもそろって何をしているんだろうか?

「ねえシン君?」

そろそろとヒートアップしている観客を刺激しないように移動してきたヒカリがシンに話しかけた。

「何でこんなことになっているの?」
「最初は普通に次のイスラフェルとの戦いのためにユニゾンダンスの練習だったのだがな、これがあっさりクリアーしてしまったのだよ。」

前回、シンジとアスカの呼吸を合わせるのに時間がかかったのはアスカがそのプライドに固執していたことが原因だ。
しかし今回シンジに対してすでに負けている(惚れたほうが負けというあれだ)アスカのほうが積極的にシンジに合わせたのでユニゾンの特訓は数日で完成した。
さらに今回はラミエル戦で大破した零号機が無傷の状態であるし、初号機レフト(4号機)もあるのでレイとカヲルとでもユニゾンは可能だ。

なのでレイとカヲルも訓練に参加した。
もともと前回でもレイはシンジと呼吸が合っていたので何にも問題は無かったしカヲルにしても数日で合わせることが出来た。
イスラフェルを迎える準備は整ったのだ。

「それでなんでこんな状況に?」
「碇ユイ達がいろいろな状況に対応できるようにダンスのバリエーションを増やそうと言ってきて・・・趣味に走った。」
「ああ、なるほど・・・」

趣味に走った・・・その一言でおおよそのことが理解できるあたりヒカリもこの面子のことが分かってきたということだろうか?
ちなみに元凶達はシンジたちのダンスを見てはしゃいでいる。
いつの間にこの家はコンサート会場になったのだろうか?

「ちなみにこの曲とあの全身タイツのようなレオタードを用意したのもあの三人だ。」
「そういえばこの曲はなんなの?聞いたことが無い曲だけれど・・・」

今流れている曲が分からずに悩むヒカリ・・・歳がばれるぞセカンドインパクト世代・・・
やがてダンスがクライマックスに近づく。

ミステリアスガール〜♪

ジャン!!という感じに決めポーズを取る4人は決まっていた。
このままアイドルユニットでいけるんじゃないだろうかと思うほどに・・・観客から惜しみない拍手が起こる。

「やっぱりレオタードといえばこれでしょう!」
「本当ですねユイさん!前回は片手落ちでした。」
「ふふ、リッちゃんのも十分才能があるわよ。」

ユイとリツコの会話・・・いったいどんな才能がリツコにあるのか・・・それは追求したほうがいいのかしないほうがいいのか・・・なんとなく深く考えた時点で負けのような気もするし

「何より猫がいいですね!!」
「リツコ・・・あんた猫がかかわればなんでもいいワケ?」
「何を言っているのかしらミサト・・・かわいいものは正義、かわいいものとは猫、すなわち正義=猫なのよ!!」
「・・・・・・あとで病院に行きましょう。」

ユイ、リツコ、ミサトはご満悦のようだ。
セカンドインパクト世代には直球ど真ん中だったらしい。

「か、母さん!もうやめてよ!!」

シンジが何か切羽詰ったものをにじませながらユイ達に言い寄った。

「訓練だって言うのならがんばるよ!コンビネーションのために皆の呼吸を合わせるって言うのも分かるさ!!」
「シンジ?」
「でもこれは何か違う気がする。」

シンジは結構必死だ。
本気で嫌らしい。

ユイはそんなシンジを見ながら頷いた。

「シンジ?あなたは私たちが中途半端な気持ちでこんなことをしていると思うの?」
「う・・・」

ユイはこれ以上ないくらい真剣な顔だ。
思わずシンジだけでなくこの場にいる全員が気圧された。

「ち、違うの?」
「4人のコンビネーションの訓練、連帯感の強化、お互いを理解しあうための団体行動とお互いを知るための同居などなど、この訓練によって得られるものは多いわ。」
「そ、それじゃあただ母さんが楽しむためにこんなことしているわけじゃ・・・」
「いえ、もちろん私たちが楽しむためよ。」
「・・・・・・え?」

あっけにとられるシンジの前に立つユイは極上の笑み。

「だから、私たちは真剣にあなた達で遊んでいるの、連携とかそんなのは所詮二次的なものに過ぎないわ、幼稚園のお遊戯会とかも行けなかったからここで損した分を取り戻さなきゃ。」
「最悪だね母さん、僕はもうあんたを母親と思わない。」
「ふふふ、これが碇ユイクオリティー」

もはやワケが分かりません。

「そんなことはどうでもいいわ、次はこの曲で練習よ?」
「まだやらせるつもり?」
「はいこれ」

ため息とともにユイが差し出したMDのタイトルを見た瞬間、シンジの動きが止まった。
それはもうビシッという感じに・・・同時にシンジの目に飛び込んできたタイトルと耳に飛び込んできたメロディー


《もってけセーラー服》

あーいまーいさんせんち、そりゃぷにってことかい?チョ!!



「あ、シンジ!?」

シンジは一目散に逃げ出した。
もはや問答無用である。
振り返りすらせずに出口に向かって駆けていく。

・・・小動物の防衛本能・・・恐るべし

そんなシンジにシンがそっと差し出す右のつま先・・・

ドン!!
「あわ!!!」

見事に足を引っ掛けたシンジが盛大に転んだ。
軽く目を回している。

「何するんだよ兄さん!?」
「何故逃げるんだ?まだ何も肝心なことを話してはいないというのに」
「聞かなくても分かるよ!!セーラー服を着ろって言うんだろう!?」

大正解

「服なんて所詮寒さや暑さをしのぐためのものだろう?獣の体毛の代わりじゃないか。」
「そう思うなら兄さんが着ればいいじゃないか!!兄さんもチルドレンの予備なんだから!?」
「死んでも断る。」

シンの答えは即答
まったく躊躇が無い。
条件反射かと思うくらい見事な一刀両断だ。

「大体なんでセーラー服を着なきゃならないんだよ!?」
「それは日本人は形から入るものらしいしなにより・・・

せーらーふくーだからーです←けーつろーん!!

・・・だからだそうだ。」
「納得できないよ!!」
「だろうな、うらむのなら昔の日本人に言え。」

そもそも何が結論で何を納得すればいいか謎だと思う。
兄が考え込んでいるのを見たシンジがチャーンスとばかりに抜き足差し足で逃走を図るが・・・

ヒュン
「な!!」

再び何かに足をとられて転んだ。見るとシンジの足首に光る紐のような何かが巻きついている。

「だめですよシンジ君?」

紐の反対側の端を持っているのはシエルだ。
なぜかニコニコ笑っている。

「シ、シエルさん!?」
「シエル先輩って呼んでくださいって言っているじゃないですか」
「いや、そんなことはホントどうでもいいんですがこんな紐をどこから!?」
「紐じゃなくて鞭なんですが、今重要なのはシンジ君にセーラー服を着せることですからどうでもいいです。」
「な!?」

信じられない言葉を聞いたとき、思考が完全に止まるのだとシンジは知った。

「夏服が〜いいのでーすーキャワイー♪」
「かわいくなくてもいいですから!!大体ほかの皆だって」
「あ、私はかまわないわよ?」
「なぬ!?」

シンジの希望を断ち切ったのはアスカだった
劇画調になったシンジが絶句して固まる。

「第一中学ってセーラー服じゃないから一度くらい着てみてもいいわよ。」
「私も構わないわ」

そりゃあ女性陣は構わないだろう。
女なのだから、問題はシンジが男だって事だ。
だからシンジはパンドラの箱に残った希望を必死で探した。

「カ、カヲル君はいやだよね!?だって男の子なんだから!!」
「僕も構わないよ。」
「なんでさ!?」

最後の希望までが潰えたようだ。

「ふふ、シンジ君がかわいくなるのならそのくらいのこと」
「カ、カヲル君!なんでにじりよってくるのさ!?近い!!顔が近いってば!!何で舌で唇をぬらすのさ!?マジで怖いって!!」
「君はかわいいね、震えている姿もいいってことさああ!!!」

言葉の途中でカヲルが沈黙した。
芋虫状態のシンジに言い寄っていたためにかがんでいたのだがその後頭部にシンのかかと落としが決まっていた。
カヲルは床に突っ伏してピクリとも動かない。

「さっさと連れて行け。」

冷え切った声はアダムのものだ。
額に手を当てて揉んでいる。
いろいろと気苦労が絶えないのだろう。

・・・ここで禿げるぞとか言ったら殺されるね

「いえっさあ・・・あり?」
「どうかしたか?」
「父様、シンジ君・・・気絶しちゃったようです。」
「なに?」

シンが抱きかかえられているシンジの顔を覗き込んでみるとシエルの言うとおり気絶していた。

「あまりのことに意識のブレーカーが落ちたか?」
「健全な男子中学生には刺激が強かったようですね」
「・・・さっきの渚カヲルの仕草や色仕掛けはなんだったんだ?」
「たぶん昼の連ドラでを参考にしたんじゃないんですか?最近良く見てましたよ。」
「世も末だな・・・」

どうやら天の使いは現代科学とドロドロ形の恋愛ドラマで堕落したようだ。
とりあえずシンジを見下ろすシエルの顔が極上の笑みになっている。

「でも気絶しているのなら好都合・・・」
「ええ・・・本当に・・・」
「今のうちにちゃっちゃとやっちゃいましょうか・・・」

シエルの言葉にいつの間にか背後に立っていたユイとリツコが同意する。
その顔にはとっても素敵な笑顔が張り付いていた。

・・・まるで獲物を見つけた狼のような・・・ずるずるとこれまた気絶したカヲルと並んで荷物のように運ばれていく姿は思わず拝んでしまいそうなほど哀れだ。

「あ、シンも次の曲には参加してもらうわよ?」
「何?」

思わずシンが聞き返した。
まさに寝耳に水だ。

「何をやらせるつもりだ?」
「ハルヒのオープニング」

頭が痛くなってきた。
この連中はジェネレーションギャップという概念が無いのだろうか?
面白ければ何でもありか?
そもそも前回は初号機の中にずっといたために分からなかったがこの碇ユイという女性・・・明らかに”あっち側の人間”だ。

まあ、決戦兵器として人造人間や巨大ロボットなんていう代物を作ってしまう人種なのだから”そういった面”があるのはむしろ当然か・・・とりあえず今は・・・

「確認したい。」
「何かしら?」
「綾波レイはキャラ的に長門有希役だろう?」
「愚問ね、彼女ほどうってつけの人物はいないわ」
「惣流・アスカ・ラングレーは涼宮ハルヒ役?」
「そのとおりよ、ツンデレの彼女には当然でしょう?」
「そして渚カヲルは古泉 一樹だな?」
「もちろん」
「そして我がキョン役と・・・朝比奈みくる役は誰だ?」

ユイの視線はここではないどこかを見ているようで危ない人間がいたらこんなものなのだろうな〜な感じ全開である。
しかも何を想像しているのかその口元に浮かんでいる笑みが怖い怖い。

まあ、あのおどおどしたキャラにぴったりなのは一人しかいないのだから仕方がない。
たとえそれが男でも・・・よく考えれば男でさえなければはまり役なのだ。

「シンジも救われんな・・・」

アダムはため息をついた。
しかし同情はしても助ける気は無い。
なぜならそっちのほうがいろいろ楽しそうだとアダムも知っているからだ・・・十分アダムもユイ達と同類だ

ちなみにユイ達が用意したのはバニーガールに魔法使いの衣装、それと男子用のブレザーが二着・・・んでもってフリフリレースの付いたメイドさん風エプロンドレス(やわらかそうなオレンジ色のロングのカツラつき)あえてどれを誰が着るか追求する必要は無いだろう・・・それを見たシンジはちょっとだけ泣いた。

「碇ゲンドウ?」
「何だシン?」
「いったい碇ユイのどこに魅かれたのだ?」
「全部だ。」
「ああそうか」

それ以上シンは追及しなかった。
他人ののろけ話ほどむかつくものは無い。
・・・たとえゲンドウが話したがっているように見えてもガン無視だ。

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エヴァ4機 VS イスラフェル

無制限一本勝負

会場、海辺

結果、4分57秒、勝者エヴァ4機

分裂したところをダブルバックドロップ、犬神家になったところで足を掴んで頭上に投擲、さらにシンジの初号機ライトとカヲルの初号機レフトによる額に肉のある人のごとくマッスルドッキング、とどめはレイとアスカがタイミングを合わせてコアにプログナイフをさした途端イスラフェル自爆

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そんでもって今回の使徒っ子のお目見え〜

ネルフ司令執務室に主要なメンバーが集まっている。
その中心で・・・

「はじめまして、ラフェルといいます。」

自己紹介したのは大学生くらいの長い黒髪が印象的な女性だ。
少したれ目気味な目はおっとりとした印象を与えてくる。
隣のお姉さん風の女性だ。

「お近づきの記念に一発芸を一つ。」

なかなかノリがいい人のようだ。
それを見ている皆が期待のまなざしを向けるといきなりラフェルが二人になった。
そしてまったく同じ動作で手を掲げると・・・

「「モッスラーや、モスラー♪」」

・・・やはり基本でしょう?

ゲンドウや冬月達にはばか受けだった。
しかもイスラフェルは歌を司っているだけあって無駄に上手い。
これがモスラじゃなくオペラとかだったら絶対に世界を狙えているだろう。
才能の無駄使いと言うのはこういうことを言うのだ。

ちなみにシンジはここにはいない。
どこにいるかというと自分の部屋で呆けていた。

ユニゾンの訓練がわりと役に立ったので複雑な気持ちなのだろう・・・・・・いとあわれ。










To be continued...

(2008.04.05 初版)
(2008.04.12 改訂一版)


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