殺人鬼と天才と魔術師と

第五話 間劇+最悪登場+シャムシエル殲滅。

presented by sara様


地獄という地獄を地獄しろ。
虐殺という虐殺を虐殺しろ。
罪悪という罪悪を罪悪しろ。
絶望という絶望を絶望させろ。
混沌という混沌を混沌させろ。
屈服という屈服を屈服させろ。


まさしく戯言、何を地獄し虐殺し罪悪し絶望させ混沌させ屈服させるのか、まるで意味不全、まるで不十全、そんな他愛もない戯言、だが所詮戯言だ、理解する必要など無い、戯言は戯言のままで十全、それ以上も以下もない。

戯れ言にそもそも理解など必要ない、聞き流しさえすればいい言葉だ、聞き流すことさえ出来るのならば、意味など最初から無い言葉なのだから。

故にこの言葉に意味はない、この出だしに意味など無価値に過ぎる、そもそも意味が存在しない、意味という言葉すら当てはまらない。

所詮は戯言物語、戯言喜劇、物語の言葉を鵜呑みに理解しても、その理解すら無意味だ、意味などない言葉に理解は無価値、いや理解は通じない、意味なき言葉に理解は通じない。

言葉という言葉を疑え、語ること全てを猜疑しろ、真実など欠片も無いと前提しろ、全てが全て、嘘が事前にあると規定しろ、それこそが詭弁と傲慢と非情と非道と外道と惨劇と強欲と非礼と侮辱と無礼と無法と無知と侮蔑と策略とが渦巻いた、どうしようもない救いようのない世界で生きていくための理だ、これらを踏み越え身に付け見抜き勝利しろ。

とまぁ、これもまた戯言、勿論救いようはないだろうけど、誰もが誰も世界は嘘で満ちているなど知っていることだろう、この世界が強欲という強欲に埋め尽くされているなど子供でも知っていることだろう、そして目に付く人々の殆どが何かしらの傲慢を抱えているのも良く知っているだろう、どれだけの非道が平然とまかり通っているかも知っているだろう、ふと隣を見たときに居る人間が、どれだけ無法かを思い知っているだろう。

故に此度の戯言は、語る必要がなかった戯言、誰もが知っていることなど態々言葉にする価値などない、言葉にしなくとも知っていることに言葉に変える価値はない、故に戯言だ。

まぁ、奇妙奇天烈珍妙快刀乱麻な出だしだ、そして何かを予兆させる文頭の言葉だ、そこからの連想を、そこからの連綿を態々放棄する意味もない。

この度は地獄と虐殺と罪悪と絶望と混沌と屈服を前に押し出した物語、即ちろくでもない物語、救われない物語、血で溢れる物語、死で彩られる物語、殺し合いの物語、殺戮物語。

それともそうなる前準備。

まぁ、何時も通りと言わせて貰えば、何時も通り、殺して解して並べて揃えて晒してやることだ、殺された者達の身体によって、切り刻まれた血肉で、磨り潰された肉塊で、まだ温かみの残る生首で、飾って見せよう、それこそ並べて揃えて晒してくれよう。

それが血で血で血で、死で死で死で、力で力で力で彩られた物語、殺し、殺され、踏みつけ、踏みつけられ、連環の物語、いつも通りに死の物語、面白いように人が死に愉快なほどにくたばっていく、それこその死んでいくのが、いや殺されていくのがはじめから決まっていたかのように、殺されるのが必然だったかのように。

まぁ、端役が死のうが生きようが物語の流れの大勢に影響なし、死んでしまった登場人物などその場で死ぬべきだった端役に違いないのだから、ならば死のうが生きていようが“同じこと”、死んでも代わりはいるのだろう、そしてもし死んだ人間に代わりがいないのならば其処で死ぬのが定められていたというだけ、その役割にはその場で退場が相応しかったというだけ、物語は変わらない、流れは変わらない、あるがままに流していただくだけだ。





人が死ぬのは当たり前、そもそもからして殺人鬼を前面に押し出された物語、それが前提となっている、そして生物と生物のぶつかり合い、それも欲望と欲望のぶつかり合い、それも始末に終えない人間同士のぶつかり合い、これで死が溢れなければお話が成立しない、いや歴史すら成立し得ない、歴史も一つの、いや無数の今へ繋がる物語なのだろう。

人間の歴史は闘争の歴史、殺し合いの系譜、殺戮の連環、殺し殺し合うのが人間だ。

同種間で最も命のやり取りをしていたのが人間だ、他の動物が同種殺しをしないといえばしないわけでもないが、人間の繰り広げてきた命のやり取りの数には及ぶまい、その殺し合いの意味の虚しさも及ぶまい、他の主に比べて情けないほど空虚な理由で殺しあう人間。

地上最低生物、霊長類ヒト科人類、人類はそれ以上でも以下でもない、最も自己種族を敵と認識する生物、同種嫌悪に心血を注ぎ極みに達した人類、そんな生物が繰り広げる闘争の物語だ。

更に殺人鬼という因が存在し地獄という果が成り立つ、これが因果の成立、そういう因果が成り立ってしまっている、そういう前提が既に出来ている、人類が対立するという因があれば、どういう果が得られるだろう、いや導かれるだろう、疑問に思う余地もないか。

それももう決まりきった因果律、因果の法則、もしくは運命、世界の物語。

ならば物語、因果そのものといえる物語においての世界は、お決まりがお決まりでなければ成立しない、物語が成立しない、全てが成り立たない、故に乱すことなどできない、僅かな揺らぎを与えることはできても、僅かな変更を作ることは出来ても、因果と同じ意味を持つ物語は既に定まっている。

故にお決まりの通りに、そのままに、ヒトの争い、殺し合い、これがヒトの因果だろう。

原初より人は人と殺しあうのが定められた生物、人が存在するという因より殺し合うという果が成り立っている、いや力を持つ人が存在するという因から弱いものを踏みにじるという果、それが生物すべてに対して、人間、動物、植物、細菌に至るまで。

そして人はそれを成り立たせた、だがこの世で最も劣った生物、それも最劣等の生物がこの星で最強を手にした、だが劣等であるが故に、劣等であるが故の進化の結果。

『強い』は『弱い』、『最強』と『最弱』は通ずるものがある、最劣等であるが故に『最弱』、『最弱』であるが故に『最強』、弱さと強さの背反同一。

対極ではなく表裏一体の矛盾定理、サイコロジカル。

弱いからこそ生き残り、強いからこそ愚かに走る、その愚かさから弱さを晒す、弱さを知るから強さを得る、まるでメビウスリング、延々と続く弱さと強さの連鎖、『強いは弱い』何処かの最強にて最弱の殺し屋の存在そのものだけど、それこそ人間の真理。

『最弱』こそが『最強』に通じる、その証明はそれを勝ち得た人が既に行っている。

人は自然界で最弱に近い位置に分類されながら最強に位置しているのだから、これ以上の証明は要らないだろう。

生れ落ちた時から他者の庇護を必要とし、立ち上がることも出来ない、救いの叫びを上げるしかない生物、己の肌では体温も保持できない欠陥生物、この生物を最弱と呼ばずして何と呼ぶか、最弱以外はあり得ない。

だが、背反して生物の頂点に立つのも人間だ、成体となってなお生物として弱い人間が最強に位置している、弱さが強さを与え、強さが最強へと導く、弱いから故に最強となる。

ではこの人間同士の争いで生き残れるのは『最強』を自称し弱さを省みない人の守護者、己等を世界の先達と嘯く愚者の楽園の愚者か、それとも己の『弱さ』と『強さ』を自覚する天才奇人変人集団か、答えはこれからの物語だ。

それではいつものように、いつもよりなおいっそう、気楽に砕けて、気負わず背負わず話してみよう、これからの物語、殺戮惨劇残酷絵巻、ヒトが死んでいく物語を、お気楽に。





そして毎度のことだが此度登場するニューフェイス、橙たる種、人類の最終形態、人類最終、人類最強の後継、想影真心。

そしてそろそろ、人類最悪、最悪の遊び人、物語の崩壊を望む逸脱者、人類最悪、西東天、そして彼に付き従う真なる十三階段、此度の登場は未定だが、彼の最悪も出るにはいい頃合か、それとも出待ちはまだまだ足りないか(因みに人類最終は十三階段には組み込んでいません)。





自由奔放、豪放磊落、放蕩無頼、疾風怒濤、自信満々、天下無敵、質実剛健、いじめっ子、性格が悪い、トラブル大好き、人を馬鹿にするのが大好き、事件を見つけると首を突っ込む、そしてトラブルを拡大する、味方に回せば天下無敵、敵に回せば最悪の最悪、嘘吐き、詐欺師、コスプレイヤー、権謀術に長けるが力技優先、カリスマ性有り、頭が切れる(但し使い方に問題あり)、他人からの自分に向けられる感情を一切合財を考慮しない、自分勝手、魅力的、特に女性としてはかなりの段階、自信家、敵を扱う術は容赦ない、でも味方にとっても同一、味方にすれば敗北は考えられないが疲労度は三倍の覚悟は必要、そして敵対者は煉獄を希望しろ、それが最良に近い。

ここまで記述すれば誰のことだかお判りだろう、そう人類最強、赤い彼女、最強の請負人、最強のオルタナティブ(代理人)、彼女に含まれる形容の極々極々一部であるがこれら全てを合致する人間というのもそういるものではない、早々いられては世界がたまらない、彼女のような登場人物は彼女をおいて他はない、彼女程に世界を掻き回せる存在は。

世界から隔絶された筈なのに物語の参加者であることを否定されたのになお世界に影響を放ち続けることが出来ている最強、世界から隔絶された存在は稀と呼べるほどに存在しない、死と等価値の隔絶を受けてなお物語に関われる、そんな彼女が大量にいられたらたまらない、それこそ彼女の後継や模倣者、性悪の大泥棒以外に存在すら疑わしい。

いや、まぁ、結構いそうだし、いなけりゃよそから引っ張ってくるが(ここだけ電波の到来)。

だが、これからの物語に、ここからの物語に、この形容が当てはまる女性がもう一人登場する、もう一人舞台に立つ、彼女は人類最強には及ばない、人類最強とは比べられない、性質すら似通ってはいない、先ず最強は二人と居ないから故の最強、彼女の類似品は存在できても彼女と同じ最強は存在できない。

そして類似品はオリジナルとは異なるから類似品なのだ、少なくとも似通った彼女は物語から隔絶はされてはいない、請け負うことでしか流れに入れない最強とは違う。

だが共通している、それでも共通している、通じるものがある、通じ合っているものがある、どこだといわれても言葉では表せない、しかし通じている、彼女と最強、最強と彼女。

彼女は彼女単独で物語に参加が可能、誰かのオルタナティブにならなければならないという人類最強につけられた制約は無い、物語に組み込まれた一人。

彼女は薬師寺涼子、“正義の味方”足り得ない国家権力の執行者、己がタノシミこそを最大の行動原理に定義する、正解有数の破天荒さを持った女傑、日本警察の癌細胞。

善悪の基準を己の中に持ち、己の行動理念こそを至上の選択基準とし実行する近年まれに見る思想の持ち主、彼女が物語に関わる、彼女が物語に出演する、流れのままに、定めのままに、彼女すらも流されて、流して頂いて、この度物語の本流へと合流する。

彼女は人類最強と同じ、ジェイルオルタナティブ(代替可能)な人物ではない、代替は早々転がっていてはいない、そんな彼女が参戦を表明する、彼女が望んで、そして望まないやり方で、それは彼女の意思など無視して巻き込まれるということ。

人類最強に通じる彼女、薬師寺涼子、日本国警視庁京都県警本部所属刑事部参事官、階級は警視“ドラよけお涼”。

四神一鏡の一つ絵鏡の傍系、この時この度この折に彼女は世界を巻き込んだ大喧嘩に参戦する、そのことを彼女はまだまだ知らないのだろうけど、知らないで踊り続ける彼女でもないだろう、踊らされならば彼女は回りも巻き込んで今度は自分がリズムを取り出すはずなのだから、彼女が爪弾くビートは物語にどんな波紋を投げかけるのか、その波紋すら流れのままかもしれないのだろうけど、もしかしたらイレギュラー足りえる彼女。





その日の彼女ははっきり言って不機嫌であった、何で不機嫌だったとか言う突っ込みは放棄させてもらうが、ぶっちゃけ不機嫌、他人に当り散らさないだけまし、その不機嫌を自分の中で処理させようと試みる程度の自制心は持ち合わせている、らしい。

自身の執務室の自費で購入したマホガニー製の執務机に長く麗しい両足を投げ出し、その絶世と形容していい美貌を不愉快げに歪め虚空を睨んでいる、抑えているとはいえ、表情を完璧に隠せるほど、いや現在隠す意味が無いのかも知れないから隠す必要は無いのだろうが、自分の執務室まで表情を作るほうが異常だろう。

その足を組んだ態度には妙齢の女性としてのツツシミは見られないがそんな横柄そうな態度が絵になるのだから世の中それなりに理不尽なものである、因みに今日の彼女はパンツルック、スカート姿ならばそれなりに問題になる体勢ではある。

美人が凄めばそれなりに迫力が出るというが、それなりというのが間違いであることを彼女は良く教えている、はっきり言ってかなり怖い、美人の利点が凄めば迫力が出るというのを付け加えたい程に。

いやどれだけ不機嫌な気配を撒き散らしていても回りに誰も居なければ何の問題もない、大体彼女が不機嫌な時に近づこうとする人間など居るはずもないのだから、彼女が発する居辛い雰囲気に晒されないのならばそれこそ好きなだけ発散してくださいといったところだ、そう誰も居なければ、誰も居たくはないが、つまりは逆説的には誰かが居るということになっている、彼女の瘴気に当てられる哀れな下僕、因みに彼女の不機嫌な時は誰も近寄っては来ないが上機嫌になると誰もが逃げ出したりする、どちらに転んでも避けられるのにはかわりが無い。

で、哀れな下僕ちゃん、何故に自分が孤軍奮闘しなければならないと疑問を感じているかもしれないが、原因は彼の心優しい同僚、特に彼女以外の上司(正確には彼女の手綱を握れる唯一の人材として上層部から生贄として捧げられている)から人身御供として差し出されたからなのだが、それ以前に彼は彼女の世話係として周囲に認識されてしまっている時点でこの展開は定められたことだったのかもしれないが、彼、泉田準一郎警部補にとっては、なお手綱を取っているというよりは飼い慣らされている、厳密には女王様の好物化。

彼にとっては彼女がスカートのほうが目の保養になって嬉しかったのかもしれないが、多分それも御免被るだろう、色欲を僅かに充足させることで大切な何かを失いかねない。

その大切な何かが、彼の残りの人生である可能性もあるのだから、それが死かそれとも人生の鎖かは彼女が断ずることだろうが。

「泉田君」

涼子が自分の部下の名前を呼ぶ、その麗しい目を僅かに上げて、その口調にと表情に不機嫌が混じっていなければそれなりに彼女に呼ばれることは嬉しいことなのかもしれない、彼女の外見にのみ事前の知識が無い人間にとっては。

呼ばれたほうとしてはその手の事前知識がありまくる、彼女がトラブルメーカーどころか日常破壊者であること等彼女との上司部下との付き合いで嫌と言うほどにわかっている。

トラブル誘発体質、自覚的かつ無自覚的にトラブルを巻き起こす女性、彼女との付き合いもそろそろ長くなってきている彼には彼女がまた何かをやらかす予兆ぐらいは既に読めるようになっている、そんな女性と付き合ってもうまくやっているのは彼の努力ゆえか相性がいいのか微妙なところかもしれない、一部彼女のほうは上司と部下の付き合いを超えているような感じも見受けられるが。

「何ですか。薬師寺警視」

返答はそっけない感じだが、何処か柔らかい感じを含んでいる、不機嫌とわかっている彼女にその機嫌を更に斜め上にさせるようなことを彼は考えていないのだろう。

この手の機微、彼女の扱いに関しての限定だが、が出来てしまうから彼は彼女のお付になっているのかもしれないが、彼は彼女以外ではかなり愚鈍な人間な筈なのだが、どこかのメイドに言わせれば「あなたを愚鈍です」と言ったところか。

で、彼女曰くの僕兼部下兼その他諸々の当たり障り無い反応に対して主人は特に機嫌を更に害した様子も無く続けて口を開く。

「最近、彼方此方きな臭いと思わない?」

唐突に放たれた言葉、その言葉に対して泉田警部補はというと(また、始まった)と内心思いつつ、彼に向けられたであろう問に返答する。

「何がですか。このところ貴女好みの事件は起こっていないと思うんですが・・・・・・・・」

とそこで言葉をとめる、そこまで言葉を出した時点で彼の上司の望む返答をしていないということを理解してしまったのかもしれない、実際涼子は眉を寄せて不満そうな表情をしている、このまま彼が言葉を続けたら怒声の一つくらいは飛んできたことだろう。

もしくは直接的な懲罰が。

そして彼は観念して巷で起こっているであろう“きな臭い”話のひとつを口にすることにしたのだろう。

「はぁ。つまりアレですね。第三新東京市に現われた巨大な化け物、それに特務権限を盾にとった黒い噂が消えない国連組織、それに纏わる諸々。それらがきな臭いと興味をお持ちになったと」

諦めたように、ひとつため息をついてから口にする。

まぁ、口にしている内容は今の日本警察の中にいてその話を知らない人間はいないだろうというありふれたものだ、少なくともまともに目と耳を機能しているならば知りえている情報である、元々彼も彼女が知らないなどと露ほどにも思ってはいないだろう、それでも率先して係わり合いになりたくは無いというのが一般の公務員たる彼の心情である。

火薬庫で銃撃戦をするような行為と同義語となりえる彼女への興味の誘発などはしたくは無い、どれだけそれが無駄だとは判ってはいても、そもそも知らないほうが不思議というレヴェルでもあったりするから儚い望みだろうが。

公的に使徒の存在、表向きは隠されていることとはいえあれほどの巨大生物、公権力を持つ人間の口を封じるまでにはいかない、情報統制を掛けるとしても、その情報統制をある程度は取り締まる立場にいる警察にその手の情報が流れてこないわけが無いのだから。

そもそも使徒の存在は一部マスコミにもすっぱ抜かれており、某組織がその権力を用いて発表を押しとどめていなければ連日ワイドショーの的になっていることだろう。

まぁ、今のところは情報操作、もとい権力のごり押しが利いているのか、謎のテロリストの仕業による市街地での爆発事件となっているが(因みにこの情報統制、シナリオ通りに進めているのだが。このシナリオは情報収集、情報工作能力よりも権力に依存しているものが多く、玖渚機関のようなところがネタを流出させれば止められないのだろう、そもそも情報をばら撒くのならば死線の蒼一人でどうとでもなるのである。流石にSEELEの連中はマギを落せる連中が本気になればどうなるかということに気が付いているのだが、あえて蜥蜴の尻尾きりとばかりにそれに対しては口を出していない。どうせバレても自分達の所にまでたどり着けないような伏線をいくつも敷いているのだろうから、愚者の楽園は時間稼ぎとして矢面に立ってくれていれば老人としては十分だ。後でどれほどの苦難がスケープゴートに降りかかろうと、知ったことではない)。

流石に警察の中までには緘口令のようなものは出されていない、一国の行政にまで口を出すのは老人からのほうの道が口を利きやすいのだが、その分自分たちへの足跡は残る。

話は戻るとして。

それに加えてここ数年間に渡って蔓延している渦中の国連組織から生じる黒い噂、日本警察は今まで見てみぬ振りの態度で目を瞑ってきた節があるが、それは金をばら撒かれたのか、上から圧力を掛けられた上層部での話、泉田警部補のような立場にいる人間ならばその存在を快く思っていないものの方が多い、特に現地警察であるわけでもないから今まで関わりが無かったようなもので現地にいたら多かれ少なかれその噂の実態に触れることになったのではないだろうか。

つまりはある程度は話の種になるほどに某組織は後ろ暗そうで、怪しいことがこの上ない、このような組織の存在に彼女が今まで食指が伸びなかったほうが可笑しいというものだ。

相手が強大であればあるほど、この女傑は叩き潰すことをタノシミとしているのだから、勝てない喧嘩を売るような愚かさは持ち合わせてはいないが、勝てる喧嘩を遠慮する甘さなどは微塵も持ち合わせていない。

だから彼は彼女に話しを降りたくはなかったのだが、どうせ巻き込まれるのは自分なのだから。

「そう。合格ね、流石あたしの秘書だわ、あたしの考えを少しは読めるようになってきたじゃない、優秀よ、よって未来永劫あたしに仕えるように。ここの狸爺どもももう少しその辺の機微を理解してくれると私の思いのままに為るのだけど」

これ以上警視庁を思いのままにする気だろうかあんたは、いや日本そのものを思いのままにするつもりかもしれない、その辺ゼーレの老人と通ずるものがあるか。

因みに未来永劫仕えるようにといったあたりで涼子の頬に微妙に朱が挿したが、それに気付くような男はいなかった、そもそもその言葉に退職するまでこき使う気かと思う時点で救いようがない、彼女の慕情が現時点で報われる可能性はかなり低い。

で、地方県警本部とはいえ第二首都のような地で、その英名(悪名)は警視庁本部に轟き、警視総監以下殆どの重役達のヨワミを握りやりたい放題している。

まぁ、そもそもその暴虐から地方県警本部に部署ごと飛ばされたりしているのが彼女なのであるが、その飛ばされたのもまったく気にせず本部では今度は手の届かないところに行った彼女の時折の可愛いお願い=“脅迫”を受けることになったのだが。

なお、彼女を飛ばしたせいで京都県警本部と警視庁との仲は最悪なものになったとか、厄介すぎる毒を送られたのだから友好を示せというのが無茶の極みなのかもしれないが。

それは兎も角。

「私の呼称に秘書も増えたんですか。まぁ、今更ですが、それで今度は何をしようとしているんです。何かやらかすおつもりでしたら事前にある程度ご相談頂けたら此方の心の準備は出来ますので」

彼女が何かを企んでいるのなら、普段から何かを企んでいるといぶかしんではいるのだが、何をするかの断片でも事前に仕入れようと彼女に伺いを立てているようだ、彼女は味方を欺くのも大好きなので、そう正直に話してくれるかどうかは余り規定しているとも思えないのだが、彼でさえ彼女の企みを最後まで見抜けなかったことは結構あるのだから。

「今のところは何も企んでいないわよ、泉田君。あたしでも早々に手を出せる規模の相手でもないとあなたも思っているでしょう。そもそも今まで手を出せなかったんだから、これから仕掛けるにしても入念な準備が必要よ」

つまりは何か手を出すことは決定事項ですか、貴女にとっては。

まぁ、それでも彼女にしてもきな臭い組織に手を出すのはなかなかに難しい話なのだろうが、上層部のヨワミを握っていてもその上層部のそのまた上の連中だ、彼女は火遊びを愛するがその火遊びで自分が火傷を負うような馬鹿とは一線を画す存在なのだから。

それでも国家公安委員長をあたりはオトシイレたりするのだから、その線引きは曖昧、故に彼の部下は彼女が何も準備していないという言葉にはまるで信用していなかったりする、彼女の部下の信頼がどの程度か判りそうなものなのだが、こと彼女に対して悪巧みをしていないというほうが信じることは難しいだろう、身をもって理解しつくしているから。

それに彼女はトラブルを巻き込む体質、正確にはそのトラブルを巻き込んで台風のレベルへと発展させる体質なのかもしれないが、彼女が何もしなくてもトラブルのほうからやってくることが多い。

まるでそれが必然のように、当たり前のように、物語の流れのように、彼女が渦中に巻き込まれていく、それが彼女の望みなのだとしても彼女は流れに飲まれていくことになる。

今回に限って言えば、彼女の獲物が向こうから体に肉を巻きつけて迫ってきたりしている、どっかの誇大妄想狂のせいで、もしくはお陰で。





で、どっかの誇大妄想狂が京都の町で玖渚のマンションを探しているのだが(因みに詳しい住所などは知っているがそれでもたどり着けなかったりする。そもそも橙子の結界は他者との小さな縁そのものを否定するものに近いのかもしれない)、見つけられるはずも無く、数十台の車を引き連れて京都中をうろうろしていたのだが、堂々と。

まぁ、もともと正義は我にありと思い込んでいるのでこそこそと隠れて探そうという発想がなく、相手が最悪の殺人鬼を抱えていると話では聞いているはずなのにかなり表立って探し回っていたりする、自分が殺されるはずが無いと確信している平和ボケの馬鹿のように、因みにこの手の思い込みをしている輩に限って人道主義だったり死刑反対論者だったり加害者擁護主義だったり、裁判制度を使うこと自体を悪徳としている輩だったりする、この手の思い込みの連中は自分の身内が被害にあった後に同じ事が言えるかどうかで真価が決まる。

追記、個人的に一番嫌いな人種は似非偽善者(偽善者自体が似非だが、それより始末に悪い)、特に某世界の警察を自称する戦争国家が中東のある国が核を保有しているという理由で戦争を始める時テレビに映っていた戦争反対の人達。

何が嫌いってあの人達日曜土曜しか騒がないし、騒いだっても座り込みとか抗議の文書ばら撒くだけ、あなた達は週末のレクリエーションの一環として戦争反対を言っているのですかと突っ込みたい、あれなら直接的に投石ぐらいはしていた中国の反日デモのほうがマシ、本当にその程度で戦争が止まると思っているのかと言いたい。

因みに有史以来戦争反対などの民衆運動がどれだけ過激化しても止まった試しは無いのだが、ベトナム戦争は米国内の世論で止まったように見えるが実態は採算が取れなくなったのと、余りにやり過ぎたため国際間の非難が増えたから、市民が戦争を止めた訳ではない。

大体、戦争の現実すら理解しているのかと言及したい、因みに個人的意見では戦争は過激なビジネス、行き過ぎた経済活動、命を秤にした金儲け、どこまで行き着いてもそこにたどり着くと思っている、故に有象無象が反対運動という名の娯楽をしても止る訳が無いとも思っている。

だって、人間目の前に数百〜数千億、もしくは数兆ドルを超える金のなる木(軍事産業)があり、その木の果実を取る為に他の人間がどうなろうとはっきりいってどうでもいいというのが主流だろう(因みに米国のGDP(国内総生産)のトップは確か軍事産業)。

というか、それが資本主義、利益追求型社会、戦争でなくても会社が利益を得て、その会社が向上することで同業他社が倒産の憂き目に会う会社の事など気に掛けないのと一緒、それで何人路頭に迷おうと、首を吊ろうと、犯罪を犯そうとだ、その過激版が戦争。

で、話を戻してその手のこと(堂々と市街で目的地捜索)をやっては拙いと理解している陸戦隊の部員と諜報部の連中は感じていたりするのだが(そもそも自分達が第三を離れて早々目立った行動に出るわけには行かないといやというほどに理解している)あえて口に出し文句は言っていない、言えばいいのに、いや言ったところで聞き届けられルカは別問題として。

彼らの不幸は、自分たちの命令権をもっている人間のことをあまりよく知らないということだろうか、先日ドイツ支部から転任してきた作戦部長の人となりを多少でも知っていれば不信の一つや二つは、百は見つかるのだろうが、不幸なことに彼女は日本に着任してからはそう目だった行動には出ていなかった。

そのことが彼らの不幸なのかもしれないし上役の命令には盲目的に従う人間が揃えられていたのも不幸の始まりなのかもしれない。

それとも彼らの不幸は仮にも作戦部長に二十代後半の若さで任せられる女性に多少なりとも能力はあるだろうと思ってしまったことにあるのかもしれない。

ただ、彼らの中に一人でも彼女の実態、ドイツ支部での行動を知っていれば彼女の命令を真に受けず、彼女より上の上層部に伺いを立てたことだろう、少なくとも自分の保身に走って言葉を告げないわけにはいかない状態に追い込まれるかもしれない。

何せ彼女のドイツ支部での実績は書類上では見事なものになってはいるが、その実殆どが作られていたりでかなりの誇大表記になっている、つーか別人。

その誇大広告のような実績は彼女を何としても作戦部長にしなければならなかった老人達の思惑なのだろうが、老人達のほうは殆どがサードインパクトの計画を破棄したも同然の状態、今現在では彼女の存在などどうでもいい。

ぶっちゃければ、彼女が無能であるならば、誰か他の人間と挿げ替えてもまるで問題なし、被害の計上を増やすのならば率先して老人達は彼女を切るだろう。

人類補完計画を破棄した以上、使徒の存在は邪魔以外の何者でもなく、それを低い被害で殲滅できる人材のほうが彼らには必要なのだから、因みに彼女がドイツでやらかしたことを箇条書きであらわしてみると(規模の小さいものから大きいものへの順として表記すると)。

・残業時間の誤魔化し、そもそも早退遅刻当たり前なのにそれらすら一日たりとも記録されていなかったりする。
・道路交通法違反、点数切符を切られる+罰金レベルのもみ消し。
・同じく道路交通法違反、飲酒運転、超過50km/s以上(つまり免許が一発で免停)のもみ消し。
・窃盗、ドイツ支部の備品を勝手に売却していたりしていたらしい、酒代稼ぎだと思われる。
・傷害、もしくは暴行罪の揉み消し(気に入らない人間を叩きのめして怪我を負わせた。因みに街中での喧嘩であるのが多数)。
・交通事故の揉み消し(死者が出ているのもある)、飲酒運転やストレス発散の暴走運転。
・殺人の揉み消し、頭に血が上って思慮無しに射殺、殺した時は慌てるそうだが、相手が悪かったと脳内で書き換えて自分の仲では自分が被害者になっているらしい、因みに100%この女が悪い。


これらのことがドイツ支部の彼女の揉み消しをさせられていた者達の間では公然の秘密としてまかりとおっていたようだ、まぁ、知れ渡っていたのは揉み消しをした諜報部員たちだったのだが、これはドイツ諜報部ではかなり有名な話であったりする、因みにこれらは彼女が個人的に起こしたものであって、仕事上で起こしたものではない、勿論この程度は上澄みに過ぎないし仕事上でやらかしたものの中には、この手の個人犯罪レベルが街角の引ったくりレベルに成り下がってしまうものも多分に含まれていたりする。

そんなことを知りはしないで今彼女に使われている人間は不幸の言葉を与えられるところだろうが、そしてその不幸の現実化はもうすぐそこまでに近づいている。

そして彼女自身にも。

彼女は知らない既に自分の我侭を叶える基盤はないのだと、そして誰の守護もないのだと、故に長らく続いた彼女の物語、二十と九年続いた彼女のお話、そろそろ因果の追放を受けてもいいころだ。

理不尽で他人の物語を終わらせてきた彼女だ、その報いを一切支払わなかった彼女だ、彼女へのバックノゾルはどれほどのものだろう、少なくとも彼女に物語を改変する力などない、愚かに愚かを喫した彼女にそんな力ありはしない。

愚か過ぎる女には。

黒いバンの先頭車両の運転席につきつつ、かなり性根が腐っていそうな表情で毒を垂れている女が一人、まるで呪い事をつぶやくような醜悪さで、まるで怨嗟の言葉をつむぐような禍々しさで、意味もない言葉を募っている。

遮光シートで太陽の光さえ遮られた薄暗い車の中がまるで暗闇の儀式場のような雰囲気に変えたその中で自分の考えが通らない、ほんの少し思惑を離れていたことさえに呪いを口にして、まるで世界が自分に悪意を向けているという傲慢さでも感じているように不満を言葉に表している。

その姿は醜く、その姿には何の知性も感じられない、その姿には盲目的な傲慢さしか感じえることなど出来はしない、その毒素のような声は聞き苦しい音の羅列に成り果て、人の作り出した言葉には至らない。

だが、お話の中でこういう表現が出てきたものの末路など決まっているようなものだが、王道、お約束、お決まり事、でも当たり前だから決まっているのだろうが。

「たくっ、何処にいんのよ、私の復讐の駒は。態々迎えに来てやったっていうのに。大体私の駒の分際で、私に逆らって私の命令の聞けないところにいるだなんてどういうつもりなのよ。私の命令は絶対なのよ、その私の命令の届かないところにいるなんて赦されることじゃないのよ。私が態々迎えに来ているんだから三顧の礼をもって迎えるのが当然じゃない。それなのに何処にもいやし無い。大体レイやリツコを攫った連中ってのも頭おかしいんじゃない、私たちはネルフなのよ、使徒を倒す世界の守護者なのよ、その私達の、いや私の邪魔をするなんて万死に値する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

以下色々と現状に対する不満などを垂れ流してくれるということをやってくれている、しかもビール片手に言っているのだから、酔っ払いが管を巻いているのと何の代わりもない。

いやビールの存在が無かったとしてもその言葉を聴く限りではかなり精神のほうに問題がある人格をしていることを否定することは出来ないだろう、、自覚症状は無いだろうが、普通の人間が今の言葉を素面にしろ、酩酊状態にしろ、吐いているのなら、その人物の知人縁者は一斉に関係を切ることを頭に思い浮かばせる筈、思い浮かばない奴は危機管理能力の欠片も持ち合わせていない馬鹿だけだ、ついでに誰も迎えに来てくれと言っていない、それにそうだとしても迎えに武装を施してくる必要はない、見るからに目的は迎えではなく連行、救出作戦を迎えと表現するならいいが、救出でもない。

因みに現在この女がビール片手に車を停車させて、妄言を口にすることが出来るようになっているのは、今は適当に自分の手足(彼女の認識)に命令を下して、目標の建築物の捜索に当たらせているからである、今やることは報告があがってくるまで待機だろうが、それが一応の仕事時間中に酒を飲んでいい理由にはならない。

このようなことを指摘するのは今更過ぎる彼女なのではあるが。

そんな状態で虚空に向かって自分の不満をぶちまける彼女にとってかなり非生産的な時間の中、その彼女の時間を破壊する音、正確には窓を叩く音、ついでに遮光シートを貼り付けてあるので中からも窓の外をそれほど良く見える状態ではない、その音に対して不快気な、自分の酒を飲む時間を邪魔したと考え、まぁ、それでも報告にやってきた駒だろうと、何の確認もせずに窓を開ける。

自分の立場が判っているのだろうか、少なくとも装備その他人員から考えると誰が音を発しているのかを確認してから窓を開けるのが当たり前ではないだろうか。

街中での重装備、一歩間違えれば間違いなくテロリストだ、そして外にいたのはテロリストを取り締まるお仕事を持つ人達(でもテロ関係は日本では確か国家公安委員会だから普通の警官ではないだろうが)。

窓の先にいたのは武装した大量のお巡りさんでした。

そしてそのお巡りさんが(特殊部隊のような装甲服にサブマシンガン、もしくはショットガン装備、一応エンブレムとして桜田門のマークは付いているので一見で警察関係者などとは判るが)、窓を開けた瞬間にその手に持っていたハンドガンを突きつけ。

「降りろ。そして抵抗はするな、抵抗すれば射殺する」

見事なまでの降伏勧告だった。





はてさて、何で警官達に彼女等一行が武力制圧に近い態度で接せられているのかというと、完全に自業自得である、正確には無為無策の結果。

彼女達が停車していたり、探すために徘徊していた地区は、高級住宅街、それこそ京都随一といっていいほどの富豪層が居住する地域。

その車両そのものでもかなりの悪目立ちもするが、その車から出入りする、黒いスーツの男達、さてそんな連中を周辺住民や高級マンションの警備に当たっているガードマンはどのように感じるだろう。

答えとしては周辺住民が通報しないほうが奇跡、ただでさえセカンドインパクト以降犯罪発生率はうなぎ上り、市民の危機管理意識は前世紀の暢気さは持ち合わせていない。

犯罪被害に自分だけは会わないだろう、そんな妄想のような日本の安全神話などとうに吹き飛んでいる、怪しい人間を見かけたら通報するぐらいはすぐにやるし、警察もそれを奨励している、警察は警察としての権威を国内でしっかりと取るためにかなりの厳しさで犯罪者に当たっているのも事実。

その中で、先ずは車から降りてきて、周辺にいた黒服の数人を職務質問の建前の元身体検査、そして出てくるは、拳銃にナイフにその他の諜報ツール、スーツの下に防弾チョッキなどを着込んでいるのも決定的だ、テロリストと思われても何の文句も言えない。

黒服はその諜報部員の性質として身分証の類は持ち合わせていないので、拳銃所持などでそのまま現行犯逮捕、彼等が自分達の所属を言おうと取次がない、そもそも取り次ぐ必要がない、所属している組織が何であれ、それを証明できるものを携帯していない以上はその言葉を信じるほうが馬鹿である、威光を笠にきた愚かなテロリストと同義の扱いを受けても文句は言えないだろう。

加えて、その言葉を聴いていたある女性、この不審者達を取り締まるのを何処からか聞きつけ指揮を取っていたのだが、その黒服達が上に確認してくれと口にした組織の名前を耳にして、向こうから此方に手札が舞い込んできたことに唇をゆがめていた。

それはさも邪悪そうに、そしてさも嬉しそうに、その表情を見た彼女のお付は「また始まった」と諦観のため息をついていたりしていた。

で、話は戻って銃を突きつけられている妄想狂こと、作戦部長葛城ミサト。

告げられた言葉の主たる警察官と突きつけられている拳銃を交互にほうけたように眺め、事実現実認識に途惑っているものだと思われる、暫し呆然としていた。

因みに他の車両のほうでも同様の光景が見られ、警察官複数人に車両ごと囲まれて、投降する、正確には地元警察との無駄な折衝による問題の発生は避けるべきと判断した賢明な人種が車から降りてきたりしていた。

物分りが悪い連中は何事か言葉をぶつけているが突きつけられているサブマシンガンや拳銃の発言力の前にその言葉も意味を成してはいなかったりしている、それでもその面子の殆どが彼らの現在の指揮官である女性が乗っている先頭車両に目を向けていたのだが、何らかの対処、拘束を解かせるような取次ぎをしてくれることを期待して。

だが実際は、その上司様は物分りの悪い連中と比べても、いや比べるだけ失礼というか冒涜というか人間として大変不名誉な比較をされていることになるだろうが、比較対象としての差が開きすぎており、比較対象にさえなることが存在の侮辱となる女性のほうは、激しく物分りが悪かった、もしくは愚鈍の数十乗ぐらいは馬鹿だったのかもしれない、いや馬鹿に失礼か、馬鹿を通り越した超越した何かが彼女だろう。

こともあろうにこの女、自分に突きつけられている銃とその持ち主に対して怒鳴り返していた、それはもう理不尽なことを。

「あんた、私に何突きつけてんのよ!!!!この私に武器を向けていいと思ってんの、私に傷一つついたらどうしてくれんのよ、私は人類を救うための英雄よ!!!その私に銃を突きつけるだなんてあんたただで済むと思ってんの」

己の行為を邪魔され加えて不機嫌なところに警察の正当な対応に癇癪を立てた国際公務員は、妄想と現実を履き違えたような怒声を上げていた。

まるで自分に悪意を向けることが神に逆らうことであるかのように。

救いようのない馬鹿とは彼女のような存在をさすのだろうか、先ずただで済むと思っているだろうか彼女は、自分が何をしていたのか理解しているのだろうか、いやその疑問は無為で無価値、問うだけグルコースの無駄遣い、思考するだけ時間の無駄だ、彼女の脳内定義ではすべての自分の行動は正しいと可決されている。

そんなことはさて置き、彼女に銃を突きつけている警官も、この頭がおかしそうな女の妄言に付き合ってやる暇はない、そもそもこの手の頭のおかしそうな人間にまともに対処する気などさらさらない。

この荒れた時代に警官、しかも武装警官のようなことをしていればこの手の頭の可笑しい輩など彼も嫌というほど見ている、そしてそんな輩の言葉など聞いてやる価値もないと十分に承知している。

「黙れ、大人しく従うならば危害は加えない両手を挙げて車を降りろ」

事務的に対処する武装警官、だが、そんな警官の取り合う気もなさそうな態度が気に障ったのか、拳銃を突きつけられている馬鹿は、こともあろうに、恐らく視界の死角に置いていたのだろう拳銃を抜き打ちの速度で警官に向けて乱射した。





「まぁ、私が戯言遣いのお兄ちゃんの奴隷というのは間違いではないのですが。それにいずれ性奴隷にもなることでしょう。私としては七年程お待ちして欲しい所ですが。因みに私、性奴隷の意味判っていますから、少女ですし」

世界が凍った、凍結した、凝固した、停止した、その他諸々の表現を用いて停滞した。

ついでにいーちゃんの人間性の株価は大暴落だ、元々それほど高くはないだろうけど、なお暴落させたのは、巫女子ちゃんとみいこさんだ、潤は気にしないし理澄も気にしない、というかどうでもいいし、潤は実態知っているし。

で、救いの手、救いかどうかはわからないが、そもそも救いになるのかこの男、更に地獄に突き落としてくれそうな気がするが、一応は今の凍結した空気を紛らわすぐらいの役にはたつ、というか立たせるいーちゃんが、そうしないと後が怖い。

「――傑作だぜ――」

顔面刺青がニヤニヤした表情を貼り付け、抱腹絶倒を前にしたように肩を震わして、いーちゃんの前に立っていた、何の気配もなく、何の予見もなく。

恐らく彼の接近に気付いていたのは哀川潤だけだろう、それほどまでに気配がなかった、みいこさんも崩子ちゃんも理澄も殺気を放たない殺人鬼の接近に気付かなかった。

匂宮兄弟に匹敵するプロのプレイヤーでありながら零崎最低にて零崎の中の異端の殺人鬼、それでいて殺し名としては最高に近い殺害技能を保有している、人間失格零崎人識。

凝固した雰囲気の中、その楽しさ満点のような言葉を投げかけた当人にいーちゃんは。

「よぉ、人間失格。何が傑作だ」

「ああ、欠陥製品。傑作だから傑作なんだよ。今のお前の状態で傑作以外の何が思いつくってんだ。でだ、これもまた思いついたんだが、今この状況を見るに人間失格はお前のような気がするんだが。美女美少女に囲まれて、最後は性奴隷かぁ、何かが常識はずれ、人道外れもここに極まれり。そういう人間、大抵は性格が悪くて平気で人を騙す素敵じゃない奴だと決まっている。そういう人間を人間失格って言うんだぜ。知ってたか?」

「知っているよ。でも僕の目の前にいる平気の当たり前で人を殺す背の低いやつってのも性格が悪くて格好が悪くて素敵じゃないやつだと決まっているってことは知ってたか?」

「知らねえよ」

カハハと人識といーちゃんは笑い、一瞬で笑いを引っ込め会話を続行する。

「で、人の為に嘘をつく優しい人間である僕に何理不尽を言っているんだ。大体僕の人間関係が複雑になってトラブル続きになってきたのはどう考えても、とある京都連続通り魔が現れてからだ。あれから僕の人生災難続きだ」

「成る程、俺の人生がとある連続戯言遣い遭遇してから、更に無茶苦茶になっちまったのと同じようにか?そりゃ大変だ。その苦労は判るぜ。心より同情しないが」

因みにいーちゃんは今現在においても左右にみいこさん崩子ちゃん、首に理澄ちゃんをくっつけたまま人識と会話している、多分必死に話題を性奴隷発言から逸らそうとしているのだろう、幾らなんでも戯言で逃れるには内容にインパクトが在りすぎる、戯言が無理ならごり押しだ、話題を逸らしているだけかもしれない。

それでも突然始まった怒涛の会話の量で誤魔化し尽くすしかない、少なくとも巫女子ちゃんを煙に巻くくらいには、と考えているのかもしれない、いやみいこさんも誤魔化せるなら誤魔化したいのだろうけど変に鋭いところは承知の上だろうから端からあきらめているだろうし。

というわけで殆ど周りを無視して会話を続けようとするいーちゃん、それにのっかってくれる人識、こちらのほうは素直に乗ってくれているかどうかは怪しい限りだが。

「やだなぁ。やめてくれ、君と同じ考えだったなんて悲しすぎて自殺でも衝動的にしてしまいそうになるぞ。どうしてくれる」

「あん、やるってんなら快く無償で手伝ってやんよ。丁度お前が死んでくれたら気持ちがいいだろうなぁって、思ってたところなんだ。気が合うじゃねーか」

「おおっと。それこそおぞましいが奇遇だ。僕も君が死んでくれたらと以前から愉悦しいだろうにと常々思っていたんだよ。逆にこっちが無償で手伝ってあげようか」

「お、そーか。でも、楽しみは後にとっとかねーとな」

「それにも同感。まさしくその通り」

奇妙奇天烈会話もここに極まり、言葉の応酬底が無し、その先にあるのは黄泉の果て、と。

「で、だ。人識、何でお前がここに戻ってきてんだよ。確か帰りのヘリ降りた時からフラッと何処かにいってたんじゃねーか」

因みにこの台詞は哀川さん、その言葉の通り人識は帰ってきてから行方不明だったのだが、彼に関して命の心配などする必要がない、恐らく尋ねたのはただの知的好奇心だろう。

人類最強を相手にしての追撃戦それを交わして生き残っている殺人鬼に命の心配などするだけ疲労が募ろうってところじゃないか。

行方不明になろうと彼の家族の、正確には兄貴の見解は軽いものだ「放浪癖」その一言で済んでしまい、実際それが事実であるからそれで捨て置く。

「んー。暫く京都周辺じゃ殺しちゃなんねぇって兄貴に言われててよ。俺って殺さねぇと見入りないのな。それで一週間ほど京都の観光名所ブラブラしてきたんだが、前に来たときにゃそんなに回ってなかったし。まぁ、ぶっちゃけ金が尽きた。つーことで欠陥製品とこの青い奴の家で厄介になろうと思ってな」

何も悪びれずに言い切りやがった、ヒモ宣言、男としてはどうなのだろう、零崎最強。

いや、まぁ、男とか女とか玖渚には枠に入れるには規格外だろうし、その手の小さな倫理道徳世間体、そんなことで揺らぐような奴でもないだろうが、彼の商いは殺人なのだから。

因みに金銭の入手方法だが、適当単純短絡的の極み、でも警察には尻尾どころか陰すら見せない、まぁ、判りやすくいえば通り魔、もっと判りやすく表現すると連続強盗殺人。

それが収入の殆どであった、殺しを断たれると途端に生活力がなくなるわけである、殺人が生活能力というのもどうかと思うが、収入があるのなら何であれ生活力だともいえる。

で、今の今まで京都にいなかった彼を顔さえ知らない人間がいるわけで、でもその正体、世間的には有名人である彼の所業を知っている人間がいるわけで、それでいていーちゃんそれが誰のことであるかを言っちゃった訳で、言っちゃう辺りいーちゃんも結構てんぱってたのかもしれない、普段ならその詭道八百を使って逃れきるだろう。

因みにその知らない一人以外は人識が何をやらかしたか、どういう人種かを知っているのであしからず、実際二番目に一般人に近いヒトは「そうか」の一言で済ましてしまったつわものだったりする。

知らない一人は巫女子ちゃんである、完全無欠に一般人、斜め情報から観察しても普通人。

「ねぇねぇ、いっくん。その人誰なのかな!!何かさっきとんでもない言葉が聞こえた気がするようなしないような気がするんだけど」

因みにだが、人識のやらかした京都連続通り魔事件、最終的には十二人を殺戮し、殆ど一日一人のペースで殺したことになる、古都を震撼させる殺人鬼とかというタイトルでワイドショー、週刊誌、新聞の一面を飾ったことがある、京都の最近の大事件で前代未聞の連続殺人鬼なのである、治安が悪くなったこの時代でも特定範囲で十二人の惨殺、ジャック・ザ・リッパ―の再来とか週刊誌に書かれるほどの話題性はある。

普通の範囲内にいる巫女子ちゃんにとっては早々容易く理解できるようお話でも無い、それでも最近麻痺してきているのか、多分何処かの人類最強か、それとも歩く逆鱗のせいだろうが、いーちゃん、いっくんがそれがどうかしたのかという風に。

「ん、巫女子ちゃんはそういえば会ったこと無かったっけ。零崎人識、一応は神識や舞織ちゃん、神識君のファミリー」

まぁ、他の面子を知っているならこういう紹介がベターか、因みに殺人鬼だとは紹介してない、というか普通は性質の悪い冗談で片付けられるものだろう。

それでも。

「で、さっき確か連続通り魔って」

恐る恐るというのはこういう態度の表現なおかなぁと思えそうな微妙にビビッタ、ビビらないほうがおかしい、態度で確認のような言葉を出してくる巫女子ちゃん。

ちょっと可愛い、微妙に怯えた感じがなんともまぁ、萌える。

「ああ、こいつ五月の連続通り魔事件の犯人、一応捕まってないけど。とっとと捕まってくれると僕はかなり嬉しい。嬉しくて警察に電話しそうなほどに」

でも、しないのだろうに、しても逃げ切るだろうし。

で、仮定であったらいいなぁと多分思っていたんだろう巫女子ちゃん、肯定されてしまった後の反応は、と。

「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!」

まぁ、驚くのが当たり前。

「えっ!!ええっ!!!えええっ!!!!どうしてそうなの!!そんなヒトと知り合いなの!!!和気藹々と会話しているのっ!!!!しかも普通に楽しそうにしているしぃ≪殺人犯とダンスパーティ。でもパーティメンバー全員が犯罪者≫みたいなっ!!!!!でも、いっくんなら。ほら犯罪者一歩手前のような感じがプンプンするし。いっくんの友達だもんね、だから連続通り魔もあり。なわけないー!!!!どうして、どうして!!!!」

でもこの口上は当たり前だろうか、ちょっと疑問、しかもかなり支離滅裂、因みに彼らの素性を知らないという点では貴宮むいみという巫女子ちゃんの友達しか同類がいなかったりする、確かに保護はしているがそれほどあっち側の情報を教える必要も無かったから。

アパートメンバーには何故かバレた。

まぁ、巻き込んでしまっていたら遠からず近からず知る事にはなっていたのかもしれない。

だがこれからの説明に苦労することは必至に違いない、それでも性奴隷保有疑惑、余り疑惑でもないような気がしないでもないが、そちらのほうは巫女子ちゃんからは払拭されたようである、飽くまで巫女子ちゃんから離れたというわけだけであるが。

疑惑でしかない性犯罪者、実際とした現実として存在する殺人鬼、さてどちらのほうがインパクトがあることやら。





でも、この時この折この度は運命に遊ばれ流され翻弄される戯言遣いに更なる助けが舞い降りる、それとも堕りる、この事が助けに為るかならないかは別として、問題の先送りに対しては役に立つ。

日常から逸脱した話題と、日常に彩を加えるトラブル、この面子の中では後者を選択する輩が少々ならず存在する。

銃声が響いた。





葛城ミサトが放った乱射した銃弾、ものの見事に目の前の警官の腹を打ち据え、それ以外の弾も他の警官に当たっていた、いきなり、抜き打ちで、警官に向かって、国連職員が。

因みに使用した銃は趣味なのかMK23 SOCOM (Special Operation COMand 訳:特殊作戦司令部) PISTOL、装弾数12+1、45ACP弾使用、H&K社製、特殊作戦用として米軍が無茶苦茶な要求を突きつけて作らせた銃でメーカーはその無茶にすべて答えたという努力賞をあげてもいいような銃なのだが、はっきり言って使えねぇ。

先ず重い、デカイ、複雑、再装填にすら時間がかかる、整備も面倒と現場の人気は甚だ悪い銃、金を出した開発したわりには二十年以上前に米軍正式採用を外されたガバメントのほうがマシだと言われる始末、但しメーカーに罪は無い、要求そのものが滅茶苦茶だった、故にこの拳銃を現場で使おうと考える輩は余程の物好きと考えられる、特に拳銃がサイドアームとして扱われる軍隊であればこの手の扱いが困難な拳銃よりもアサルトライフルやSMGを用いたほうが手っ取り早いからである。

で、その物好きがここに居たりする、しかもその装弾数の十二発を撃ち尽くしていたりするが死者は零、当たり前であるが防弾装備ぐらいはしてきている。

そしてそもそも45ACPは貫通性が高い銃弾ではない、だが衝撃性はかなり高い銃弾であるストッピングパワーが高いとも言うが、つまりは撃たれた人間に遺憾なくその打撃力を発揮し命中した数人の肋骨を砕き、頭部に当たれば脳震盪を起こさせる、因みにこれが人体に当たれば砕けるような命中痕になる。

衝撃が肉を滅茶苦茶にする為、はっきりいって貫通性の高い銃弾より性質が悪く、確実に相手を殺す必要がある場合に選択される銃弾、当たり所が悪かったり複数発弾丸を集弾させれば殺害も可能、死因は撲殺、つまりは防弾装備をしていても殺害武器になる代物。

何を考えているのだろうか、この馬鹿女、そもそも神識を連れてくる為に来た筈ではないのか。

そりゃ戦闘を想定していのは納得出来る、銃を持つのも当たり前の相手だ、素手で挑むなど自殺行為、近接すら恐怖を煽る相手には拳銃など生ぬるい、それこそ分隊支援のような弾をばら撒くような広範囲武器のほうが相応しい。

だが、目的は抹殺ではなく確保、致死性高い弾丸使うような銃は避けるだろうが普通!!!!

死んだらどうすんだよ、つーか一発当てて無力化して連行つったって、どこに当たっても出血多量死が付きまとうような殺傷力は持たせるなよ、目的上。

まぁ、その辺の疑問は考えていなかったというのが真実っぽそうだし、まぁ、意味の無い個人的趣味を前面に押し出した文章はここまでにしておいてと。

馬鹿女が多分癇癪起こして撃ったのは紛れも無く日本警察に対する宣戦布告、ひいては日本の国家権力に対する国連組織の宣戦布告となる、判りやすく言うと喧嘩を売った、国連組織が一国の治安行政機関へと、なお憲法九条などは今の日本通用しないのであしからず。

絶対にそうなるようにサイコロをこの女は何の思慮も無く投げ上げた。





で、再び、いーちゃん。

「ん、今の銃声みたいだ」

「見たいじゃなくて銃声だろ。あれ」

「そのようです。お兄ちゃん」

「ああ、このあたりでは珍しい。抗争ということも無いだろうに、何かあったか」

「今のは45口径か。さてと、見物でも行くかね」

で、見物に向かっていた、因みに台詞が無い理澄ちゃんはいーちゃんの背中でおねむだった、道理で静かだと思ったら、巫女子ちゃんのほうはまだまだてんぱっているのが持続して更に銃声で、てんぱりに拍車がかかっていたりする、宥めながら進むのはいーちゃんの役目だけど、内心これで完全に話はそらしたといーちゃんは確信したかもしれない。

唯一銃声に感謝しているのが不謹慎ないーちゃんなの。

そんなこんなで。

歩いて少し、どころかものの数十秒、発砲されて一分と経ってない、まぁ角を曲がったところにいたのだが、何でその辺の都合がいいところにいたかとすればご都合主義、もしくは宇宙意思(GS)、それで済ませよう、済ませるしかない、因みに角の所に警官が立っていたが今の銃声で注意はそちらにいっているので、さりげなく潤が意識を奪っていたりする、見物の邪魔にならないように、ナチュラルに危険人物。

「あん、あれは薬師寺涼子か」

遠目に写る人影の中一際目立った涼子を潤が目視する、知り合いか、知り合いだと絶対に気が合わないような気がする、ぶっちゃけ犬猿だろうが、コブラとマングースだろうが虎と龍の関係だろうが納得する、親友だけは理解しない、つーか出来ない、絶対あの性格とこの性格でそりが合う筈が無い、因みに気を失った警官を物陰に隠しながらだ、本当に自然に悪事を行える人って一番怖いと思うのは作者だけだろうが、いや零崎がその筆頭なのだが。

気が合わないのは、哀川潤は性格が悪く、薬師寺涼子は性悪だからだろう、似ているが異なるこの表現、この二つは相似していて決定的に違う。

浅く付き合う分にはどちらも大差が無い、どちらに転んでも災難、振り回されて、遊ばれて、疲労のみが募っていく、主に精神的に。

だが深く付き合うとして性格が悪いと性悪どちらがマシかといわれれば恐らく前者だろう、性格が悪いのは許容の範囲だが、性悪は許容の範囲外だ、性根が悪いというのはある意味で救いようが無く、根っこの合わない人種とそりが合うはずも無い。

性格が悪いのは持ち味だが、性悪は持ち味足りえないから。

「潤さん。お知り合いですか」

いーちゃんも彼女が呟いた相手が誰だか判ったのだろう、それに彼女が警察関係者と知り合いでも何の不思議も無い、実例として斑鳩数一や佐々沙咲という京都の刑事さんが知り合いにいる、まぁ、いーちゃんも知己にはなっているのだが、こう見ると案外知り合いが多いぞ欠陥製品。

見るからに警察関係者に囲まれている女性を指して潤が呟いたのならその類かと類推ぐらいはする、勿論その時の潤の表情で楽しい知り合いじゃなかろうとも思っていたのだが。

下手に無視すると絡まれるから彼女に対しては突っ込み必須、いーちゃん限定。

「知り合いっつーかな。前に仕事の最中に出会ったんだが、あいつ小唄に似てんだよ。いや性悪具合なら小唄以上か」

「それはそれは」

「それはそれは何だ」

「つまりは仲が悪いと」

「ま、そのとーりだ。が、面白そーな展開になっているっぽいんであたしは観戦にいってみようと思うんだが、付いてくるかい、いーたん」

絶対に観戦では済みそうに無い、彼女の観戦は一般人の日本語の観戦ではない、その辺は彼女に関わる誰もが理解していることなのだろうけど、問答無用で巻き込まない方針を打ち出した今のほうが稀有だといえる。

だが裏側を知らない面子がいるからその辺で手加減しているのかもしれない、身内に甘いのが彼女の本質で、それが彼女の欠点だ、人類最強である以上たいした欠点ではないが、それでも彼女のスキルを劣化させる数少ない欠点。

それは身内への甘さ、徹底的に完全無欠に一意専心に、それが一度二度敵対しようと裏切ろうと攻撃を加えようと、一度身内と認めた以上はその甘さの対象になってしまう、甘くて甘くて甘すぎるそれが人類最強、性格が悪いがその本質は非情になれない甘さ、なりきれない甘さ、故に欠点、故に人類最強ではあるが最恐にはなれない彼女。

彼女に比べれば無機的な零崎や闇口のほうがどれだけ恐ろしいか、無意識的殺人鬼と機械的殺戮兵、甘さなど欠片も無い彼等、その筆頭は零崎双識と闇口濡衣、彼等こそが最凶。

「遠慮しておきますよ。巫女子ちゃんもいますし、みいこさんもいますしね。危ないところは控えておくべきでしょう」

まぁ、こちらは妥当、それにここでイエスとでも言えば無闇に危険に飛び込むことで不機嫌になる奴隷ちゃんもいることだし、意見を求めたほうは変な遠慮は無用な存在だ、それこそ適切な判断を下したほうが納得する、我侭だが物事を見据えて無茶を通すのが彼女だから、但し、それでいじるかいじらないかはまた別の話になるのだが。

「それじゃ。あたしが危ないところに飛び込んでもいいみたいな言い方じゃねーか。いーたん冷たい、お姉さん苛めたくなっちゃう」

いや、あんたリッターバイクに轢かれても無事ならショットガンぐらいは平気で弾き返そうなんだが、というか避けそう、音速の弾丸を。

実際1080度立体攻撃を貴女かわしてますし(参照クビツリハイスクール)。

「洒落でも止めてください。それに似合いませんよ。そんな口調」

「少しは心配しろっての。一応あたしがファーストキスの相手だろうに」

因みにマジ、いーちゃんのファーストキスのお相手は人類最強、中々体験できない相手との初めて、恐らく悪い意味で、しかも今現在においては更に悪い意味で、だって、両脇の女性達に睨まれていますよいーちゃん、笑顔で。

まぁ、そっちはスルーして、いい加減幸せ男を書くのもムカついたので加速するとしよう。

「欠陥製品苛めんのやめて、さっさと行こうぜあっちはそれこそ物騒になってきたしよぁ。鬼殺し、観戦するっつっても残り滓を見てもしょうがないぜ」

微妙にわくわくした感じの殺人鬼零崎最強+いつのまにか登場した殺し屋、殺し名最強。

「んー、んー。久し振り、つっても先週にゃ会ってっか。でも騒動の空気を感じて出てきた出夢君でーっす。こんだけ短期で姿現すの珍しいっちゃ珍しいが、最近理澄のほうも戦いの最中なのに平和そのものだろー、おにーさんも一向に妹に手を出してくんないしさー。最中で登場しようと楽しみに待ってんのに期待外れー。でだ退屈してんだから僕も行くぜ」

なんか突っ込みどころ満載の言葉で登場してくれる、殺戮奇術最強の出夢君、因みに台詞の一部のせいでいーちゃんへの睨みの笑顔が凄絶と呼べるレベルにクラスチェンジしていたり、これからいーちゃんがどうなるかは、かなり愉快かな?

「んにゃ、無しだ。あの女の相手している奴、ネルフの連中みたいだし。こっちに重りがある時に態々関わることも無いさ、相手は駄人間だろうとね。それに無理に警察には関わらんほうがいいだろ、お前等。一応戦争中だから安全第一でいくぜ。まぁ、なんか奢ってやっからお茶で我慢しとけ」

そして彼女たちはここできびすを返すことになる、これが彼女の甘さ、僅かでも僅かでも巫女子とみいこという銃弾に対抗できない人間を気にして我を通さない。

己が図抜けていることを不本意でも理解しているが故に、下には甘い、勿上などいないのが彼女なのだろうけど、一部の例外を除いて。





賽は投げられた、十二発の銃声をもって、戦いの銅鑼は鳴らされた、もしくは虐殺の命令。

確かに十二発の弾丸は命を現時点では誰も奪ってはいない、飽くまで現時点ではあるが、折れた骨が内臓を傷つけていれば治療が遅ければ死ぬだろうし、頭部にヘルメット越しとはいえ被弾すれば脳挫傷、脳内出血も考えられる。

それに死者云々が問題ではない、地元警察に対して国際組織が何の名文も無く攻撃を下す。

戦争を起こす気か、もう一度言うが憲法九条はこのお話では改定されている、因みにこのお話の中での日本は常任理事国、つまりは安全保障理事会に敵対組織を提言し国連の名の下に制裁を発動する権利を持っていたりする。

無論、国連での全会一致での承認は必要となるだろうから、他国の承認は必要不可欠なのだが、幾らネルフ支援国家といえど名目なしでの反対議決など出せようはずも無い

因みに制裁が発動する条件は、国家、組織が他国に対しての侵略、もしくは武力行使を行う、もしくはそれらの懸念があるということ(他にも色々ありますが)、つまりは国際組織がそれを行った場合、しかも軍事組織、は理事会の採決をとれば日本は世界の正義の名の下にネルフへの攻撃を認められかねない(些細なことでと思うかもしれないが、過去どこかの国がオリンピックだかワールドカップの試合結果が不満で戦争を始めた(理由がそれだけではないが表向きの理由がそう見えた)ケースよりはかなりマシ)。
現時点で警察のほうも発砲した側がネルフだとわかってはいないからそれは後日の問題となるだろうが、現時点では身内が撃たれたということだ。

テロリストともなんとも言えない連中に、撃った瞬間にテロリストに格上げされたが、まぁ、街中で武装していればテロリストと扱いが変わらないといってもいいが。

そして銃声から一拍後、再び銃声が響き。

今度は馬鹿女が握っていた拳銃を打ち落とす、打ち落としてのは数メートルはなれたところにいたパンツスーツの美女、この中では防弾装備をしていない数少ない人間で目立つのだが拳銃のみを狙って打ち落とすとは中々の腕前。

更にその銃声が響くのと同時に武装警官のほうも動き出す、発砲音が響いた瞬間銃をバースト射撃に切り替え車から引き摺り出そうとしていた馬鹿女以外の連中へと押し当て、諜報員達の不幸がだんだん始まってきている、馬鹿女のほうには複数人の銃口が突きつけられる、中々生きた心地がしないはずの素敵な状況に追い込まれる、主に本人のせいだが。

で、その素敵な状況に追い込まれた馬鹿女こと妄想狂兼現実認識能力欠如女兼アル中。

弾き飛ばされた時手首を傷めたのか、手首を押さえながら発砲した方向を睨みつけ怒鳴りつけていた、痛みはあるのだろうが怒りを優先したのか中々の怒声である、言葉に欠片も聞く価値は無いが、というか真面目に聞くと多分耳が腐る、もしくは言語中枢が壊れる。

「痛いじゃない!!何てことすんのよ、あんた等。私を撃つなんてどういうつもり、私は世界の財産なのよ」

恐らく本気で自分が撃たれたほうに対しては怒りを抱いているっぽい、撃ったら撃ち返される、そんな世界の前提すら忘れたか、相手を殴れば殴られる覚悟をしろ、踏みつけるならば踏みつけられる覚悟を、罵倒するならば罵倒される覚悟、殺すなら殺される覚悟。

当たり前を建前でも判っていないのだろう、判っていたら自分が撃った後にはそんな言葉は出てきはしない、例え嬉々として力を振るう連中でもその程度の覚悟は遥か彼方で済ましている、力を振るうという行為には恨みを買うという因果が付き纏うのだから。

例えどれだけの正義を振りかざそうと、力には報復という返しがあるのが物事の成り立ちだ、どれだけの悪を後ろに持とうと怨嗟という念を背負うのが力の原理。

その因果を理解していない。

だが、理解していようと理解していなかろうと同じこと、この女が徹底的に恨みを買い、怒りを買い、反感を買う、そして戦いの劇鉄は既に落とされ、会戦の引き金は絞られている、ならば同じことだ。

言葉と共に、無言で周囲の警官隊が銃の照準を絞り、引き金に力を加える。

警官に対する銃撃を行った時点で、いや銃器の所持を認められた時点で射殺は認められている、容赦する余地は無い。

女の怒声以外にも周囲には銃声で扱いがいきなり悪くなった警官に地面に引き倒される諜報部員の音が響き渡り、僅かな苦悶の音が上がり始めている、この時点でこの部員達は自分たちを率いていた上司がどれほど愚かなことをしているのかを理解しているだろうか?

理解していなければそちらも救いようの無い馬鹿だろうが、それもあるまい。

馬鹿でも、阿呆でも自分たちの今の状況が判れば理解など出来る。

で、更に強硬な圧力、主に命の危険に関するを叩きつけられている馬鹿女は少しひるんだ様に、恐らく気圧されたのだろう、妄言、妄想、狂気それらは熟成されるほどあるが彼女に己が何かを成そうとする覚悟はまるで無い。

本当の殺し合いなどしたことがない、一方的な殺戮、お膳立てをされた戦いの舞台、権力を用いた暴力、己の身体一つで何かを成せるほどの強さなどない。

「もう一度言う。車から降り、手を上げ地面に伏せろ。抵抗の素振りを見せれば射殺する」

最後通告、手に武器がないからこその通告、これで武器の所持が確認されれば、射殺。

と、言われて素直に聞く女でもない、だが今の状況で抵抗しても無駄だと位は判っているか、判っているのかなぁ?

怪しいところだ。

それに、今まで無言ではあったが、彼女の拳銃を打ち落とし、一応はこの警官隊の上司に位置する女性、彼女が口を開く、彼女なりの打算を含めて、悪辣に辛辣に。

彼女薬師寺涼子が。

「さて、抵抗はしないのかしらテロリストさん。貴方達の目的は何かしら、あたしに教えてくださらない、それがあたしのトクというものよ。あなたのトクかは知らないけど」

完全に喧嘩を売っている、まぁ、そもそもご機嫌を取るような相手でもないが、生殺与奪の権利に至るまで彼女の側が握っているのだから、どれ程の傲岸不遜も赦される、赦されなくても「薬師寺涼子」であればやってのけるだろうが。

だが、やはり状況を弁えていないのだろう、挑発的な言葉で一気にスタンピートする馬鹿、この馬鹿には鉛球の教育も伝わらないのだろうか。

「私達がテロリストですって。こちとらネルフ、正義の味方よ。何で私があんたらみたいな有象無象にこんな目にあわせられなきゃんなんないのよ。たかが警察の分際で。身の程を知りなさい」

こちらも喧嘩を売っていますな、ついでに立場的には馬鹿でもこんな言葉を吐かないだろうに、自分の立場がある程度命の補償をされるものなのだから。

大体、たかが警察といってはいるが、治外法権でも成立していなければ刑法は国連法よりも国内法が優先である、特務権限はその権限の行使が認められる状況にならなければ意味がない、常時使える万能特権のはずが無い、それでは治外法権と同義。

この馬鹿はその辺りを理解せずに万能特権と思っている節があるが、確かに戦時ならばある程度は振るえるだろうが、今のような状況で、書類も無く事前通達もない場合には認められない、拳銃ひとつの持ち出しに関しても日本国に帯銃許可を取った人間だけが赦される、そしてここの諜報部員は銃を保持しており許可証を持っていない。

どれだけの権限を持っていようと銃刀法違反である、後で揉み消せばいいだろうかもしれないが現在のところ現場の人間に関係があるわけでもないし、上層部に近い唯一のキャリアはその手の揉み消し行為を己のタノシミのためにしか振るわない。

この手の法律ではこの馬鹿は有事の際に何も出来ないじゃないのよ、とでも吼えそうだが、身分のしっかりしていない存在に銃の所持を認めるほど甘くなく、軍隊といえどお役所、規律、規則、軍律などに雁字搦め、書類、身分証、権利と義務、その手のことはいやというほどに付きまとう、そしてそれらが為されていなければ、所属を証明できなければ警察権力のほうが遥かに上なのは物の道理、当たり前。

その辺を弁えてはいないだろうが、つーか、弁えていたらもう少し隠密に動くとか、根回しをするとかいろいろやりようはある、やっていない以上その辺り思い浮かんでもいないのだろう。

それに叫ぶだけの反論で、目の前にいる性悪に勝てるものか、低脳と鬼才、猪突猛進と深謀遠慮、実力を伴わない傲慢と伴った傲慢、器が違う存在の位が違う。

「ミノホドそれは貴女が知る言葉よ。テロリストさん、セイギノミカタのテロリストさん。貴方方がその正義の味方なんて証がどこにあるのかしら。貴女のオナカマはその手の証を一つも持っていなかったわ(当たり前です)。それでどうしてテロリストではないと。街中でテッポウを持ってはいけないなんて、オコサマでも判っていることだわ。貴女がそうなら身分証を出してくださらない」

どうでもいいが彼女の言葉はどれもが慇懃無礼で発音に至るまで相手を挑発する意図が見える、感に触る言い方であろうが相手が冷静であれば通じない、馬鹿には存分に通じるだろうが、そもそも彼女は馬鹿ではない相手には別のアプローチを志すのだが。

そしてこの台詞はあからさまな挑発だ、だがその挑発を受ける相手は完璧に乗せられているがここまで乗せられていると挑発するほうとしてもしがいが無いのかもしれないが、挑発といっても子供騙しのようなもの、どうやら相手の頭の中身に合わせたのかもしれない。

「証拠。証拠なら見せてやるわよ。これでどうよ、私はネルフの作戦部長、葛城ミサトよ。判ったなら銃をどけなさい、命令よ!!!」

と言って突き出してくるが、なんで持っているんだろう、本人は迎えとはいえ殆ど攫う気満々で来ているのだろう、もってくるなよ身分証、ついでに命令権は無い。

本物持ってきたら上は蜥蜴の尻尾切も出来んぞ、させるつもりも無いのかもしれないが。

涼子のほうは笑顔でそれを受け取り。

「これの何処が身分証なの。こんなものは身分証として通用しないわよ。だから俺は没収、豚箱に行ってらっしゃいな。テロリストさん」

身分証、体重、年齢、その他諸々のパーソナルデータの所が塗りつぶされた身分証として効力をなくしてそうなものを取り上げ、そして彼女は銃を突きつけている警官、階級的に部下に命じ拘束させた。

彼女が取り上げた身分証をどう使うのかは謎である、まぁ、彼女のタノシミの為だろう、絶対。

因みに素直に拘束されるわけが無く、抵抗をしようと予備の銃だろうを持ち出したところで一斉射撃、帰らぬ人となったのでした・・・・・・・・・・・・・・・・ではなく案外しぶとく数発食らった筈なのに生きていたりする。

重傷であることには間違いないが、悪運が強く突きつけられていたセブマシンガンがセミオートにされていたのが命を繋いでいたのだろう、フルオートだったり死んでいるところを(残念!!)。





暗い闇の中、暗い暗い闇の中、たった一つのモノリスが浮かび上がり、一人の男と対峙している、いやモノリス自体は立体映像、其処に誰かがいるわけではないのだから対峙するという言葉が成立するわけでもないのだろうけど。

「くっくっくっ。お前は俺の娘と“悪”の出来損ないの零崎と戦えと。それに俺の敵。お前は因果の追放を受けた俺を表舞台に立たそうということか。俺と同じく因果の追放を受けた俺の娘と同じように。俺に請負人になれと」

狐面の男は答える、立体映像から放たれる声に、その声には喜悦が混じっている。

「そうだ」

「『そうだ』、はっきりしない答えだな。だが−はっきりしようと同じこと。話した以上は俺に受けさせる気か−それならばどんな言い方でも差は無い。いいだろう、請け負ってやる。但し、俺のやり方で敵対する、俺の目的の為に。今一度俺が俺の敵と戦うのもいいだろう。あの時とは違う、俺が介入する、そうなればどうなるか。面白い」





狐面の男、人類最悪西東天、目的“世界を終わらせること”。

ER3の前身ER2にて所属暦ありMS計画提唱者、人類最強の父親。

十三階段、最悪が、因果の追放を受けた最悪が物語に関わるための代替、彼の手足となるオルタナティブ、彼の手足の代わりとなるオルタナティブ、だが自律で動く手足のオルタナティブ。

一段目  一里塚木の実“空間製作者”。
二段目  宴九段“架空兵器”。
三段目  古槍頭巾“鍛冶師”。
四段目  時宮時刻“操想術師”。
五段目  右下るれろ“人形師”。
六段目  闇口濡衣“暗殺者”。
七段目  澪標深空“殺し屋”。
八段目  澪標海“殺し屋”。
九段目  奇野頼知“病毒使い”。
十段目  荒耶宗蓮“魔術師”。
十一段目 園山赤音“贋作師(元七愚人、元天才画家)”。
十二段目 天吹音祢禰ネネネ“掃除人”。
十三段目 終野イズミ“ミュータント”。





世の中不条理だ(ここから暫く書き方が変わります)。

お茶ということで、皆でミスタードーナツに入ったのはいいのだけど、やはりというべきか、当然というべきか、哀川さんの放った言葉は僕に影響して、正直楽しいお茶会とは言えなかった。

楽しんでいた人はいるけどね、誰とは言わないけど、それにしても何で皆怒るんだろう、みいこさんが怒るのは判るんだけ、特に崩子ちゃん、痛いよ。

それは兎も角として、世の中不条理だ、あの人の性格を考えて僕があの店に行ったことを知ればどうなるかは判る、判るからこうやってお土産も買ってきたのだけど。

いやお土産を持っていっても「そ・・・それで。私は仲間外れ。お土産で気をひこうった・・・・だ、駄目なんだから。・・・・や、やっぱり、ああ、あたしと一緒にお散歩とかしたくないよね」と、いきなり泣かれることも考えたんだけど。

あの人用にフレンチクルーラー奮発して20個、他の人の分は流石に、一人二個としても相当な個数になるのでお土産にするのは無理だったのだけど、あの人の分を忘れるほど僕の記憶力も頼りないものではない、一応学習能力はある。

それにあの人、性格からしてマンションの中でやっていけそうな人少なそうだからなぁ、時間を掛ければ何とか為るかもしれないけれど、引っ越してきてまだまだ数日、あの人が他人に馴染むにはまだまだ時間がかかるだろう。

早々あの人が他人と打ち解けているのを想像するのは困難だ、口に出したら泣かれるだろうから口にしないけど。

そうして玖渚のマンションで僕に宛がわれた部屋の扉を開けて、当然の如く自室に居座っている白衣の女性にお土産を。

「絵本さん。お土産です」

と渡した。

何故かここに住み始めて殆どを僕の部屋で過ごす彼女に、なるだけ何気なく、この人下手に気を遣うと、それはそれで厄介だ、どうもナチュラルに気を使うというやり方で無いと。

僕の心配は杞憂に終わり、差し出したドーナツの袋を嬉々として受け取り満面の笑顔で「・・・・・フレンチクルーラー?」と聞かれたので「全部です」と。

「うん。いっくんに付いて来て良かったんだね。ドーナツは食べられるし、友達(いっくん)と一緒だし。来てよかったみたい。こんなに幸せなの、初めて」

両手に一つずつフレンチクルーラーを持って、そして口の中にも一個詰め込んでいるようだ、膨らんだ頬が・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛い、確か27歳のはずで僕より年上のはずなんだけど、正直妹みたいで可愛い。

この人、本当にフレンチクルーラーを食べてる時幸せそうだ、いつ見てもこれ以上幸せそうな人はいないんじゃないかってぐらい、これは奢りがいがあるってもんだ、案外この人のこと好きかもしれない、やばいくらいに僕のつぼを押さえている。

「この世にあるもので神様がお創りになられたのは。整数とフレンチクルーラーだけだよ」

本当にこの人フレンチクルーラー好きだなぁ、いやそんな疑問はどうでもいいんだけど、それより優先する疑問があるわけだし。

笑みを浮かべてフレンチクルーラーを貪る絵本さんの後ろのベッドの上で少女がうつ伏せに倒れていた。

強張りそうな声を何とか立て直して、この人案外人の動揺とかを見抜く、そして見抜いた先には手がつけられない、人の機微を見抜く目を持っているのにその機微がどういう方向性を持っているのかは見抜けない、本当に微妙な人だ。

鋭いのに鈍い、そんな感じだ、正直、手には余る、嫌いではないが扱いが困難、別の意味で危険物指定、今まで聞くの我慢していたのだから声が硬くなるのは何とか成りそうだけど。

「絵本さん」

僕の声に反応して顔を上げてく絵本さんだったけど、口の中にドーナツが入っているのか言葉が聞こえない、必死に飲み込もうとする姿も可愛いけど。

この人本当に二十七だろうか、いやあのサド教師の前例もいるから、気にする程でもない、あっちは完全に此方の年下に思えてしまうほどの容貌だ、それにあの人に比べるってのは失礼ってもんじゃないか。

「ええと。飲み込んでから喋ってください」

そして飲み込むまで待つ、なんだかやっぱり急いでいる、好きなものを食べているんだから食べ終わるまで待つべきだったろうか、ちょっと罪悪感。

「な・・・・何かな。全部食べたら駄目だったかな。・・・そ・・それなら後で買って返すから、お、怒らないで。ご免、ちょっと調子に乗っていたね。駄目だね、あたしって・・・・本当に駄目だよね。あたしより駄目な人って、きっとどこにもいないんだよね」

しょぼんと擬音を付けたくなるほどの落ち込む絵本さん、相変わらずやっぱり感情の起伏が激しい。更に罪悪感が募る、こういう人だとはわかっているんだけど。

「いや、全部食べて結構ですよ。それは貴女に買ってきたんですから。それにだめなんかじゃないですから。それより、そこの女の子は誰なんですか」

「励まされちゃった。・・・・・嬉しい」

うん、段々この人の扱いが判ってきた。

「その子はね。あたしが散歩していたら見つけたから拾ってきたんだ」

いや、拾ってきたって、捨て猫や犬じゃないんだから、そう平然と答えられても。

この分じゃ、通報もしてないな、いや今現在はこちらも早々通報することが出来る立場じゃないから、通報していなくて正解か、今は警察とは相性が悪い人間が身近に多すぎる。

でも、絵本さんも警察嫌いそうだ、何となくそんな気がする、常識無さそうだし。

「何処でですか」

「うん。このマンションの前で、だから拾ってもここに縁がない人じゃないんじゃないかなって。・・・・・・・・・・それに放っておけないから。倒れているから放っておけないから。・・・・・・・・・・・あたし医者だから。その病気かもしれない人・・・・運び込んだら迷惑かもしれないけど・・・・見過ごせないから」

そういうことか。

こういうところが、この人の嫌いに成れない、いや好きになれるところかもしれない、暴走すると本当に手が付けられないけど。

同じ学者でも彼女はまだマシなほうだ。

「気にしないでいいですよ。まぁ判っていますから」

まぁ、判ってはいるんだけど、どうしたものかな、行き倒れ、顔は確認していないけど、早々ほうっておいていいものではないだろうけど、自分から関わるのは避けたいものだ。

関わってしまってからでは遅いのだろうけど。

「いーちゃん」

唐突にそう呼ばれた、呼ばれることのない呼び方で、この呼び方で僕を呼ぶのは世界に二人だけ、少なくとも友好的に僕をその呼び方で呼ぶのは、青いサヴァンと・・・・・・・・・橙なる種。





ベッドに寝かされていた少女が跳ね起きて叫び、いーちゃんに突進する、言葉の通りに突進、言葉通りに突進、一目散という言葉が相応しい態度で突進、何が何でも突進、望むがままに突進。

突進するのは橙、オレンジの髪で、その髪を太い三つ編みにして後ろに垂らし、三つ編みで前髪も横髪も纏め、きれいな可愛らしい額を露にしている。

意志の強そうな太い眉、輝くようなオレンジの瞳、挑戦的な吊り目、小柄な体躯、余りにも小柄な体躯、少しの力で折れてしまいそうな小柄な体躯、ほんの少しで壊れてしまいそうな小さな体躯、矮躯、それでいて柔軟、猫のような、虎のような、獅子のような柔軟、どれだけ壊れてしまいそうでも壊れそうにない体躯、矮躯でありながら強靭な体躯。

その身体をスパッツとティシャツに包まれているオレンジの少女、橙なる種、想影真心。

ここに居るはずのない少女、生死不明だった少女、少なくとも、いやその可能性の検証すら彼女には意味を成さないのかもしれないが、存在すら疑われた彼女、だがやはり彼女に対して、一度は存在していた彼女に対して、世界からいなくなった可能性というのは無意味なのかもしれないけど、いーちゃんにとっては行方不明だった彼女。

そして人類の最終存在たる彼女、人類の終わりの形を象った彼女、そうなるべくして作られた少女、そうなるように飼育されてきた彼女。

無戦無敗、誰に対しても戦いを成立させず、故に敗北を知らない少女、無敵存在想影真心。

そして彼女といーちゃんの物語が一時閉幕した時から姿を消した彼女、いーちゃんの帰国と同じくして姿を消した彼女、いーちゃんがER3から中退した時から姿を確認できなくなっていた彼女、それは外部にいるいーちゃんが連絡が付かなくなったのではなく誰もが彼女の姿を認めることが出来なくなったという意味において、彼女はいーちゃんがER3から姿を消したその時から表から消えた。

無論、そのことなどはしがない戯言使いは知っていた、いや知らなかったのか、だがどちらに転んでもそれは同じこと、結果目の前にいるならそのどちらであろうと現状は変わらない、目の前に想影真心がいるという現実は変わらない、ならば同じこと。

それはともかく、そんな彼女、そんな少女を、そんな橙を振り返りながら視界に入れたいーちゃんが言葉を発する前に、橙に押し倒されていた、少女の突進の勢いのままに、倒され床に転がる、そのまま、床に転がったまま橙の少女はいーちゃんに馬乗りになり、馬乗りになったまま。

「いーちゃん」

橙は嬉しそうに、心底嬉しそうに、心から嬉しそうにいーちゃんをもう一度呼んだ、満面の笑顔で、満天の笑顔で、満点の笑顔で、万点の笑顔で、喜びを湛えた笑顔で、まじりっけのない無垢なる笑顔。

「ははははっ。久し振りだぞ!いーちゃん」

「ま、真心か?」

「そうだぞ!俺様だぞ」

搾り出したようないーちゃんの声に満天の声で返す真心、幼き少女のような笑顔を浮かべた真心、純粋無垢な真心、心から名前の通り真っ直ぐな心、真心。

彼女の心はとんでもなく真っ直ぐだ、裏表がない、打算がない、謀略がない、素直で無垢。

真っ白だ。

「どうして、ここに」

「んー、いーちゃんに会いたかったからだぞ。会いたかったから来たんだぞ。俺様が会いたかったから来たんだぞ」

「いや、そうじゃなくて。僕と離れてからどうやってここに来たんだ。行方不明だって聞いてた」

「うん。色々あったんだぞ。話すと面倒くさいし、煩わしい、それでも聞きたいか!?」

「いいや。色々なら色々だろう」

「そうだぞ、色々だぞ」

馬乗りになるほうとなられるほう、どちらも互いに笑い合い、無用な詮索はせず、再開を祝し喜び合う、しがない戯言遣い、到着した存在、双方共に。

「じゃ、まぁ、久し振りだな、真心。会えて嬉しい」

「そっか。いーちゃんも嬉しいか。俺様も会えて嬉しかったけど。いーちゃんも嬉しいなら俺様は二倍嬉しいぞ」





まぁ、それから何時までも馬乗りにさせておくわけにも行かず、何せ真心は身体の起伏がダイレクトに現れるスパッツを着ていたのだし、矮躯であろうと少女である、その服装で男であるいーちゃんに馬乗りというのは絵的に不味い、感触的にも拙いのかもしれないが、だって馬乗りというと男性の腹か腰の上に跨る事だから。

加えて絵本さんをそれほど放っておくわけにもいかない、長時間他人に放置されると自分が何か悪かったかと自虐に走る人だから、長時間の放置は現金な人だなかなかいーちゃん大変かもしれない。

この人の場合、一人で放置しても何をしているかわからない怖さもあるが、因みにストレス解消にはリストカットらしい、本人曰く「即効性のストレス解消。リストカットで気分スカッと」らしい、中々に病んでいる、それなりに自傷行為は病んでいる人にとっては精神安定に繋がるらしいが(曰く性欲よりも、食欲よりも、金銭欲よりも、どれを充足させるよりも刹那的な快楽を得られるらしい。薬物のトリップと似たようなものだろう、多分。因みに理由的には痛みによる自己の存在確認、自己虐待による満足、体験談的にはかなり気持ちいいとのこと+リストカットでは中々覚悟がある人で無いと死ねません、因みに自傷行為は体に傷を残します)。

と、いうことで。

真心を腹から退かして、座らし、絵本さんとのご対面、どうやら意識不明のところを拾ったらしく、両者ともに名前も知らなかったらしい、絵本さんのほうは助けたので知ってはいるが真心のほうは完全無欠に知らない人。

いや、絵本さんにしても殆ど初対面だから患者として連れてきたのだとしてもまともにコミュニケーションを取れるかは妖しいのだが、絶対に初見の人と仲良く出来そうにないタイプだし絵本さん、つーか、彼女の性格は十中八九初見で引かれる。

よく医者をやっていられると思う、しかも専門なしのオールマイティ、精神科まで出来るというがその辺の能力はあるのか疑わしい、先ず自分の精神異常をどうにかしてほしいところだが腕は一流、死にかけすら蘇生するその能力は間違いなく超一流、現在は起きた真心の診察を終えて二人でフレンチクルーラーを食べていた、驚きなのは初見で真心と絵本さんが打ち解けることが出来たことだろうか、まぁ、無邪気な真心ならば何らストレスを感じることがなかったのかもしれないが。

「で、どうするんだ。真心、ここに来たってことは僕に会いに来たんだろうけど、これからどうする。お前がここに来ているってことは逃げ出してきたんだろうER3から、まさか戻るわけにもいかないだろうし」

「うーん、俺様いーちゃんと一緒だったら別にどうでもいいぞ、いーちゃんに会いにここまで来たんだからな。出来たらずっと会っていられたら俺様嬉しい」

「うぃ、てことでお前をみんなに紹介するからそれ食べたら行くぞ、一応心視先生はいるからお前がまったく知らないって訳でもないし」

因みに真心の心は心視の心だったりする。

その後は、絵本さんは基本的にいーちゃんの部屋に棲息しているので、そのままにしておき真心の紹介に出るが、ここで一騒動があるのだがそれはまた別のお話、もしくは後のお話、本当にいちいち紹介していたらきりが無い。





因みに京都府警本部において身分不詳、自己申告国際公務員の取調べが行われていたりするが、基本的にこの世界のテロリストに対する扱いは悪いので中々苛烈な取調べになっている模様である、最も直ぐにペラペラ喋ったのではあるが。

因みに一応は病室のようにあつらえた部屋で拘束具をつけた状態での尋問である。

なお、彼女が引き取られるのには微妙である、完全に戦争の引き金を引いた彼女を擁護する老人達は既にいないわけであるし、国土ででかい顔をしている組織に対しても意趣返しの出来る状況を作り出してくれた馬鹿を日本政府が引き渡すかは微妙。

現在的には愚者二人は未だに馬鹿が老人達に必要と思い込んでいるようだが、トカゲの尻尾きりにされているとは気付かずに。





さてはて話は少し脇にそれよう殺戮の舞台へと。

今までの誰も死なない物語など触りにしか過ぎない、人が死んでこその物語、殺戮喜劇残酷物語、少しは少し端役には命を懸けてもらおうか、端役にすらなれない有象無象には命を賭してもらおうか、そうでなければ面白くない、ちっとも面白くない。

死の舞台は、殺される殺す舞台は愚者の楽園、愚物の巣窟、今や死臭蔓延る穴倉、ここで再び殺される、意綾ここの人物に行われる、殺しが行われる、殺しが進む、でも血を噴出すのが殺しではない、心臓を止めるのだけが殺しではない、脳を停止させるのが殺人ではない、それだけが殺人ではない。

意思、思想、願望、希望、想念、執念、怨恨、希望、渇望、欲望、その他諸々を奪い去って、略奪して、蹂躙してしまっても人間は、人間というものは死んでしまうものだ。

命と等価に大切なものを奪われた人間は死んでしまうしかないのだ、生物学的に生きていようと、死んでしまうのだ、たとえ呼吸をしていようと、たとえ心臓を動かしていようと、たとえ脳が活動していようと、何も望まない人間、いや生物など生きているとは言い難い。

そんな“もの”は所詮蛋白質の集合体、有機分子機械といって相違ない、生物は何か、最低限“欲”を持つから生物、自己保存本能を持つが故に生物、それが植物であれ細菌であれだ、自己を増殖し成長させようという“根源”を持っている。

それすら持ち得ないなら、それすら持ちえることが出来ないなら、それは既に死者だ。

そうなりたくなければ抵抗しろ、有象無象よ、愚物よ、愚者よ。





唐突だ、唐突に、唐突、突然に、突然に、突然、突発に、突発に、突発。

そんな何の予兆もなく、予見もなく、予知もなく、予測もなく、予報もなく数台の車が、周りから姿を消した、消えるように、まるで自然に、当事者に何も悟らせずに、警戒した様子で走る移動中の車が忽然と・・・・・・・・・消えた。

無論、本当に消えたわけではない、本当に霧消してしまったわけでもない、物体は消えない、これは当たり前だ、物が消えるなどありえない、それは消えるように見せかけただけで消えることなんてあるわけがない。

実際にその車は数時間後に現れた、いや表れたのではなく当初の目的地、国連議会へと出席する為に移動していた車は会場たる第二新東京の国際会議場に現れていたのだから。

だが、空白の時間はある、消え去ったという事実もある、その間を埋める何かがない、それならば消え去ったということ自体が見失ったと始末をつけるべきなのかもしれない。

消えるなどという在り得ない事よりも、見失ったという過失にしてしまえばいいのかもしれない、そちらのほうが現実的で納得が出来て当たり前の回答、万人が享受できる答え。

だが事実として消えた、そう認識させられた、無論消滅したわけではないが、ちゃんと現れたが。

但しちゃんと現れたのは二台だけ、その他数台は行方不明のち大破で発見、二台に乗っていた重要人物ネルフ司令及び副司令共に何の変調もない、何の変化もない、いつもの通りだ、いつものままだ、でも二人は既に死んでいる。

勿論行方不明になった車の中身も死んでいる、こちらは物理的に。

はてさてこれからどうなることやら、誰が暗躍したことやら。





一週間後、第四使徒襲来。

前日、エヴァンゲリオン三号機、アメリカ第一支部より移管完了。

同日、フォースチルドレン、フィフスチルドレン本部就任。

フォースチルドレン病院坂黒猫、三号機専属パイロット。

フィフスチルドレン櫃内夜月、零号機予備パイロット。
三号機、苦戦の末使徒撃退、但し三号機中破。

戦死者、民間人二名、鈴原トウジ、相田ケンスケ。

作戦指揮者、某暴走女で非ず。










To be continued...

(あとがき)

この度は人類最終のお披露目、人類最悪の登場となっていますが、黒猫さんに台詞がありません、つーか使徒戦すら描写が在りません、時間的に加速を促した回です。

まぁ、元々作者の傾向として戦闘シーンは優先しない傾向があるんですが(無垢なるでもかなりちゃっちゃと戦いのシーンは終わっています、サキエルなんて一発で終わりですから)、でも現実の戦いで数分以上戦いって続くものでもないんですよね、しかも殆ど白兵戦以下の一対一の格闘戦、殴り合いなら三分続けば上等です。

で、ネコソギラジカル(中)赤き征裁VS橙なる種が発売されたので人類最終が登場です。

十三階段も出揃ってきた感があるので登場です、ある程度出てこないと出せなかった連中ですから。

因みに本来十三階段でない人やら多分出ることないだろうなぁって人は省いて補完しています、で、その紹介。

十段目  荒耶宗蓮“魔術師”魔術師で分かりそうですが空の境界からです橙子さんのライバルみたいな位置づけの人でした、式を狙うかどうかは未定です。

十一段目 園山赤音“贋作師(元七愚人、元天才画家)”クビキリサイクル(戯言一巻)に出てきた人。

十二段目 天吹音祢禰ネネネ“掃除人”オリジナルキャラ、戦力の偏りが現在でもすごいことになっているけど一応は強い人をこちらに側にも入れてバランスをとらせようとして結果“掃除人”の中では最強。

十三段目 終野イズミ“ミュータント”、恐らく最後のクロス作日からの登場キャラ“消閑の挑戦者”より、“天才”人類最終の代替になるかと作者が勝手に選抜。

そして展開としては最初から考えていた、戯言連合VS最悪連合です、まだまだ最悪側が弱いように感じますが、そこそこ使えるのはいますし、まず老人が全てを最悪に任せるはずもありません。

では今回は対談は無しの方向で。

てぇぇぇぇ、言ってるのにぃ、何故かいーちゃんが座った目で刀子を持って迫ってくるので逃亡します。

では皆さん、次回に再会を。

次は無垢なるで、出来るだけ早くには。



(恒例の個別リクエストにお応えして、ながちゃん@管理人のコメント)

今回も大作をありがとうございました。
しかし何と言うか、吾輩なんかとは、さすがにレベルが違いますなぁ〜。
それと、またまたクロスしてきましたね〜。これで最後だとか。相変らず、元ネタは知りませんけど…(おい)。
新顔も出てきたし…整理するのが結構大変になってきました(汗)。
さて、ここで懺悔です。先にゴメンなさいと謝っておきます。
えーと、ミサトのお話の中、幾つかの挿入話(?)の所で、マウスのホイールボタンを素早く回した吾輩って、…最低っすか?(滝汗)
いえ、モチロン後で全部読みましたよ!面白かったッス!(フォ、フォローになってねぇ〜)
う……し、しかしミサトって、どうなるんでしょうかね〜?(苦しい話題転換)
神奈川県警に移送?
殺人罪諸々で起訴?
まさか国会の証人喚問(テレビ中継)に引き出されて、その有能さ(?)を全国のお茶の間の皆さんに漏らさずアピール?そしてネルフあ然?(見てみたい♪)
処刑?獄死?釈放?それとも生かさず殺さず?
欲を言えば、今話で痛い目にあってるシーンが見たかったですかね。
(吾輩も人様のことは言えませんが…他人事♪他人事♪)
後日談があるのかな?
まだ出番があるのなら、神識とも絡ませてみたいですねぇ。ええ、きっと笑えるでしょうから♪
最後に、あっさり、トウジとケンスケは死亡っすか?
エヴァに潰されたんでしょうね。運悪く(良く?)ミサト不在だったし(笑)。
きっと、ダンプに轢かれたカエル状態だったんだろうね〜。も〜グチャッと♪
遺体と対面出来ないお葬式……ヒカリ号泣……そこまで想像を膨らませる吾輩って、もしかして異常?(汗)
無垢共々、次話も期待して待ってま〜す♪

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