第六話 離脱+少女+チルドレン
presented by sara様
前回同様、デモンベインとアイオーンは目標殲滅後現れたときと同様に消失する、忽然と何も無かったかのように。
只、戦いの後として凍結した市街がその存在を主張する。
デモンベインが付けた戦いの痕が。
まぁ、アイオーンは放り捨てたバルザイの偃月刀を用いて、魔法陣を空間に描いていたので、前のように忽然と消えたわけではないが。
この辺は搭乗者の実力の差というか、なんというか、アルがいないのだから仕方が無いとも言える。
バルザイの偃月刀は魔術師の杖としての役割を発揮することでシンジの魔力を増幅しないとなかなか空間転移は辛いのが実情なのだ。
その後、その場に残っていたというか戦闘が終わるまで手出しできず放置されていたスクラップ寸前の二号機に回収部隊が取り付き、二号機パイロット惣流・アスカ・ラングレーが半壊していたエントリープラグから救助された。
ちなみに二号機の表面装甲に周囲の水分が凍結し霜が張っていたそうだが、デモンベインの攻撃の影響で。
アスカには何の影響も無かったが。
回収されたアスカは酷いもので、二号機が刺し貫かれるたびに衝撃が走り、体をぶつけたのだろう、体のあちこちから出血し腫れ上がっていた。
すぐさま応急処置を受けたその体は各所に包帯が巻かれ、事実骨折にこそ至っていないが、数箇所の骨にひびが入り、全身打撲に近い状態だ、包帯が巻かれていないところのほうが少ない。
その姿は未だ幼い少女には痛々しい、その一言に尽きる(初登場時の綾波よりも見た目怪我が酷い)。
事実、全身に痛みが走っているだろうし、加えてエヴァを刺し貫かれた痛みは痛みの記憶として苦痛を与えるだろう。
只、彼女に想定されている問題は肉体的な問題ではない、肉体的問題は時間や投薬、外科的手段によりどうとでもなる。
それにネルフにしてみればエヴァのパイロットに要求されている条件は健全な肉体ではなく、命令にこたえられる思考と従順な服従が求められているのだから。
故にネルフが問題視している問題は肉体ではなく精神、いや心だろうか。
初めて嗅いだ本物の死の臭い、殺される恐怖を骨の髄まで味わったという経験、其処から来る戦いへの拒否感。
彼女の受けた経験は並みの少女ならば心の平衡は保てないレベルだ。
もし発狂しても戦いを拒否しても誰も彼女を責められない、戦いを知らない少女を戦地に送っている組織に責める権利などないのだ。
ネルフは戦い方は教えたが戦いそのものは全く教えていない、只作品を作っただけだ、影が考える理想的な贄となる為に。
よってネルフが懸念したのは、この少女がこれからも従順で優秀な使い捨ての兵士であり続け戦いの道具になるか否かだった。
壊れた道具は必要ないのだから。
只、今はその壊れた道具でさえ使うだろう。
壊れた道具はさらに壊すまで。
それこそ利用価値が一遍も無くなるまで。
少女が息絶えるまで。
緊急処置を受けたアスカは確かに若干怯えのようなものが見え隠れしていたがこの時点では心理的にも肉体的にも大きな問題ないように見えていた、少なくとも表面上は。
受け答えもはっきりと出来るし、反射行動も取れる、肉体的には1ヶ月もすれば問題ない状態になるだろうし、無理をさせれば肉体的には使い物になるレベルだった。
まぁ、ぶっちゃけシンクロさえすれば下半身不随や、全身麻痺とかになっても思考さえすればエヴァは動くんだから、肉体的なものはどうでもいいのだが、本人の生死を考えないなら。
結果最悪脳が無事ならどうとでもなるのかもしれない、利用価値としては。
表面的なアスカの心理は。
身体検査の後行われた簡単なカウンセリングでも、多少問題のある発言は見受けられるが、それほど問題があるようには見受けられなかった。
因みに問題ある発言というのは、主に直属の上司である牛への不信、またネルフへの不信であったが。
発令所の出来事など知らないというか組織全体に伝聞すると拙いので出来るだけ知らされていない、カウンセラーはアスカのカウンセリングの評価欄に少々の問題ありと記入したに過ぎない。
あの作戦指揮を直接受けた人間でここまでボロボロにされてその当事者やそれを雇用している組織に不信を抱かないほうが精神的に問題ありまくる。
事情を知っている人間がその手の発言に目がいって、微妙なほかの問題を見過ごしていたというのもあるのだが、この時点では若干の問題に過ぎなかった。
それに余談だがカウンセラー、もし機会があるなら上層部の人間、特に牛とか牛とか牛を診察してみよう、多分問題ありまくる。
そして、その日にそのカウンセラーはネルフを辞めること請け合いだろう。
只、アスカが、現時点で恐怖に震えずに済んで精神の平衡を保っているのは、目の前で見た圧倒的な力、鬼械神の力のお陰であったが。
そのお陰で、カウンセラーの質問時にはまともに答えられたんだが。
その状態でさえ奇跡には近いのだが。
化け物に蹂躙されているとき心が恐怖一色に染まり、それ以外の感情のない濁りないある意味純粋な無垢な心になった少女の心、実際は一時的な幼児退行に近い状態にエントリープラグ内で陥っていたアスカの心は。
只、純粋な力に魅せられたのだ。
化け物を駆逐する姿に。
あまりに強大な力に。
人間は、自分に及ばない圧倒的な力にある種の感情を抱く。
恐怖、憎悪、嫉妬、憧れ、崇拝、羨望、種々様々だが、このとき彼女が感じたのは安心感だった。
その場に降り立った魔を断つ剣はその名の冠する意味通り、少女に巣食おうとしていた恐怖が具現した化け物、使徒を断った。
それは誰かに守ってもらう、もしくは救われる庇護を求める感覚かもしれない。
自分を苛める悪いやつを退けてくれる保護者、父親に近い慕情かもしれない。
只、本質的に幼い少女の精神は自己の保全のために、その自己の精神の保全の為の感情を本能的に選択したのかもしれない。
真実はともかく。
恐怖の具現は未だ彼女の中に残っている。
一時的に見惚れて拭い去られた恐怖、退けられたその具現たる化け物だったが。
本能に直結した恐怖がそれほど簡単に拭えるわけがないのだ、それも生死の境に立たされた人間が感じる恐怖が。
一度心に刻まれた感情が消え去るわけが無い。
確かに魔を断つ剣は崩壊する少女の精神を守っただろう、その神性によって、その存在によって。
心を蹂躙しようとした魔物は振り払った。
だが心は忘れない、その暖かい神性もそして一度巣食った冷たい恐怖も、忘れることは無い。
それは心のどこかで顔を出し牙を剥き襲い掛かる機会を窺っているのだから。
ほんの僅かな引き金で襲い掛かってくるのだから。
結果、再び顔を出す、機会さえ得れば、その引き金さえ見つければいとも簡単に。
恐怖という感情の魔物は少女を苛む、簡単に逃がしはしない、どこに逃げようと逃がしはしない。
本能に直結する恐怖は少女を守るために存在する魔物なのだから、恐怖という感情が自己防衛につながる感情。
その危険の対象から宿主を遠ざけようとする本能の衝動が恐怖という魔物の正体であり役割なのだから。
よってその生存本能が暴れることに善意は無く害意もない、只、宿主の為に存在する魔物は無垢に牙を剥く。
宿主に向かって、警告を発するために。
癒されない痛みを宿主に与え続ける。
翌日、アスカが何とか起き上がれるようになり、それでも歩行補助は必要で杖をついていたが、幸い足の骨に異常は無かった。
無理して起き上がったのは、一重に強い意志と執着からだった。
スクラップ寸前の二号機を見に行きたかったのだ、紛れもなく彼女の中では譲れない大切なものの一つだったから。
車椅子を使わなかったのは、単純に人に頼るのを嫌う彼女のプライドゆえであるが。
危なっかしいこと極まりない、因みに結局人の手は借りた。
何とかリツコの助けを得てエヴァを見たとき。
彼女は嘔吐した、縋り、自身の象徴としたエヴァンゲリオン二号機を見て少女は吐いた、こらえることなど出来ないというぐらい突然に。
その日、やっと食べた病院食を。
全てを吐き出すように。
胃液すら全て出すように、涙と吐瀉物で顔をグシャグシャにして、恥も外聞も無く泣き喚いた、幼子のように、恐怖にガタガタと震え、顔を青褪めさせて。
少しでもエヴァから離れるように痛む体で這うように逃げた。
それがそのときの本能的行動。
彼女はエヴァから何を見たのか。
それは化け物。
彼女には傷ついたエヴァが化け物に見えたのだ。
恐怖が具現した化け物に。
彼女の心が描いた恐怖の具現に
自分に襲い来て蹂躙していく化け物に。
先の戦闘でエヴァこそが恐怖の引き金となっていたのだ、彼女を戦場に送りつける、怖いところに連れて行く悪魔の使いに。
エヴァに縋る彼女にしてみれば皮肉だろう、彼女の象徴が恐怖の象徴となったのだから。
皮肉極まりないが、このとき彼女は完全にエヴァを拒絶した。
心が完全に拒絶した。
少女の心には醜悪な恐怖を誘う化け物に見えるエヴァを。
エヴァへの拒絶は彼女にエヴァへのシンクロを不可能になるということを意味していた。
トラウマは彼女を戦場から遠ざける理由を作り出したのだ。
恐怖という魔物は、彼女の危険が戦場であると認識し、そこから遠ざけようとしているのだ。
本人の意思とは裏腹に。
戦いを恐怖するようになった彼女にとっては単純な精神の逃避だったのかもしれない。
戦争恐怖症、それとも戦闘恐怖症だろうか、彼女は先の戦闘で既に使い物にならなくなっていたのだ。
戦いの恐怖に、殺される恐怖に最早彼女は耐えられない、戦場に立つことは適わない。
エヴァを拒絶すれば、彼女が戦場に送られることは無い。
それが魔物の選択、故に縋る対象が嫌悪の恐怖の象徴となった。
それが彼女にとって、吉と出るか凶と出るか。
恐らく吉だろうが。
基本的に技術部長であるリツコの当面の仕事は半スクラップとなっているエヴァ二号機の修復、生体兵器だろうから治療だろうか、まぁ修理で統一するが。
まぁ現状で動けるエヴァが二号機しかいないので修理は何が何でもできるだけ早く行わないていけないんだが。
どうしようもないのだ、これが。
と言うか修理のしようがない。
少なくともリツコ本人が手を加えなければいけないところがあまり無い。
急遽、呼び出してネルフ本部に本体だけ運ばれてきた二号機には代替部品などが全く無いのだ。
現在、海路で移送中なのでどれだけ急がしても2週間はかかるだろう。
どれだけ修理を急ごうにも物が無くてはやりようが無い。
これで装甲部分の修理は到着次第で細かいセンサー系や機械部品は軒並み手詰まりとなるので部分部分での修理の平行作業は不可能。
それ以前に切断された、頭部、右腕、左足の再生だがこれも簡単にいくはずが無い。
細かいところは省くが、修理が完了するまで職員が24時間作業させても1ヶ月、完治させようとすると調整を含めて1ヶ月半は使い物にならないのだ。
基本的にリツコが専門とする分野は機械工学と情報工学、ほかにも色々やってはいる蛾、基本的には専門外なので(並みの専門家よりはよっぽど詳しいが)エヴァの生体部品などの部分はそれほど詳しくない、少なくとも設計者である碇ユイや惣流・キョウコ・ツェッペリンや初期にエヴァに関わっていた古参の学者には及ばないのだ。
なのでエヴァの機械部品の来るまで直接リツコがしなければならないという仕事は無い。
作業の指揮はしなければならないだろうが。
また話は変わるが修理費用も馬鹿みたいに高くて、単位は日本円で兆。
只でさえ削られている予算で賄いきれるものではない、と言うか経理課が泣いている。
その手の金銭的な問題は政治的な取引及び経済的な取引では如才ないゲンドウの管轄なので修理するほうとしてはあまり考えなくても良いんだが。
只、それを突きつけられたゲンドウが一瞬、お空に行ってしまうほどの額だった。
ゲンドウポーズで他界していたので、周りには動揺していないように思われていたが。
冬月は痙攣を起こし、総務部の部長はもう少しで檻のある病院に入院させなければと部下が心配するほどの混乱振りだった。
幾らかと言うと、エヴァ量産機一機分とだけいっておこう。
殆どスクラップの状態から直すのでとんでもない額となっているのだ。
勿論修理総額をみてゼーレの老人達は出張から帰ってきたゲンドウ相手に耐久マラソン愚痴大会を気分が向けばゲンドウを真夜中だろうと呼び出し延々行ったそうだ。
ちなみに全員揃わなくても、数人でネチネチと。
一週間で、総計80時間、ギネスに載れるだろう(何の?)。
しかも老眼の癖に妙に目敏く、時たま聞いているか確認するためちゃんと聞いていないと最初からリピートである。
根気があり、暇のある老人である。
なお一日の最高記録は19時間、2,3人ずつ裏で打ち合わせしているんじゃあないかと勘繰りたいほどエンドレスで愚痴を聞かされ、その間食事もトイレも許されず、開いた五時間も連続ではなく何故か一時間くらい開いてから呼び出すので、眠りだしたところに呼び出される。
なお、その日一番最初に呼び出されたのが深夜一時で、最後に呼び出されたのが日付が変わる前でそれから6時間、記録としては日付が変われば翌日扱いなので分かりやすく言うと30時間中25時間を老人に付き合わされたようだ。
なおその後はゲンドウがしなければならない仕事があり、冬月も別の仕事をやっていたのでそのまま眠ることも出来ず。
徹夜と精神的疲労で朦朧としている頭で気力を振り絞って職務に励み。
絶対に寝る休むと帰って来たらまた呼び出され、計50時間中33時間を老人につき合わされ10時間を仕事に費やし4時間睡眠と言う、精も根も尽き果てるスケジュールを味わったようだ。
なお睡眠も総計であり、連続して寝たわけではない一回平均40分くらいで叩き起こされているのだ。
ゼーレの老人たちの気持ちもわからんではないが。
ゲンドウ悲惨である。
今回、ゲンドウ、使徒戦ノータッチであるのにかなりの目にあっている、某牛さんのせいで、独房に放り込まれたほうが多分ましだろう。
恐らくこのときのゲンドウは、この説教地獄から逃げるのなら、望んで独房に入ったことであろう、それくらい精神的に苛められた。
ついでにこの大愚痴大会のせいで、どこかの科学者が恩恵を受けていたりするがそれはまた後で。
それは兎も角。
実際リツコのほうは修理作業をする以前に発した問題。
エヴァの修理よりも可及的速やかに解決しなければならない問題。
トラウマというかPTSD、心的外傷を抱えたアスカのケアが主任務となっていた。
エヴァの修理ではなく。
何故本来チルドレンと直接の関係の薄い技術部の部長で、それなりに多忙であるリツコがそれをやっているのかというと。
これは日本に来て以来、ミサトがあんなのだったので、リツコがアスカの唯一の本部の知人ということで、話し相手になったりしていたのである、しかも前回でアスカがネルフに不信を抱いていたので唯一まだ信用されているリツコが本人に指名された。
ネルフとしては現最強の戦力であるアスカをなんとしても使えるようにする必要があったからだ。
それでリツコ本人もアスカのことを心配していたし、リツコは精神医学に関してもそれなりに秀でていた、並の専門家並には。
で、リツコ本人が渡りに船と買って出たのである、エヴァの素体の修理も何もパイロットが使い物にならなければどうにもならず、冬月もそれを指示したので、ゲンドウはそのような処理が出来る精神状態ではなかった、連日のいびりで少し参っているらしい。
これはリツコが未だ上層部に従う犬と認識されているのもあったが。
アスカに対して最悪の手段を執らせる為に、使いやすい駒と思われているのがあるのだが、それに従うつもりは小指一本分もないが。
結果それからリツコがアスカの担当医として一日の業務の殆どをアスカの病室付近で過ごす事となっていた。
エヴァの修復自体は技術部員が病室に直接出向き指示を仰いでいたり、端末を引いて病室でも作業できるようになっていたが。
因みに長時間付いている必要は必ずしも無かったが、それはリツコの判断である。
そのようなある種のリツコの我が侭も。
エヴァの損傷自体は戦闘をするのだからある程度想定されていたので、マニュアルのようなものを組んでいたので、部長である指揮する立場のリツコが現場にいなくても現場主任あたりで出来るのである。
仰ぎに来るのもMAGI関連のほうが多かったし。
腐ってもネルフは国連組織の中でも大きな組織なので、底辺のほうはまともなのが多いのだ。
上は馬鹿が多いが下が頑張っているから存続しているといってもいい、ゲンドウはそれなりに金銭的や政治的には特定の手段を用いて優秀だったが。
やっぱりそれでも馬鹿が多いんだけれどね。
そんなところで人類の未来のためと信じてその身を捧げている職員が報われない。
で、リツコの当面の職場アスカの病室である。
昨日(第四使徒戦より2日)、エヴァを見て恐慌状態に陥ったアスカを睡眠薬で眠らせ、元の担ぎ込まれた病室にて、未だ肉体的にも問題があるので入院生活を送っているのだが。
何故か妙に広い病室なのだ、エヴァの謎の一つにこの無駄に広い病室だと思うのは作者だけだろうか、広い割に異常なほど殺風景だし、これって精神的に良いとは思えないんだが。
そんなどうでもいいことは置いといて。
アスカも今は落ち着いてベッドを起こして座るような体勢で、見舞い客用の椅子、といってもネルフ内の病院なので見舞いといってもそれほどくるわけでもないのだが、その椅子に座っているリツコと会話していた。
傍目には元気なんだが。
PTSD、アスカの場合はエヴァや戦いを連想させるものがなければ恐慌に陥ることも無いようだ。
それでも無理して元気を装っているのは見れば分かる。
自分のアイデンティティが根底から砕けたのだ、エヴァパイロットという、それで平然としていられるほど人間出来ていまい。
それほど諦めが良くなるほど老成もしていまい、ここの組織の上層部や某老人クラブの老人たちは年を取るにつれて諦めが悪いようだが。
その様子の傍らで、リツコは持ち込んだコーヒーメーカーから注いだコーヒーに口をつけつつ。
以前の状態も問題では有ったけど、今は深刻ね。
と思っていた、以前の状態の問題は、エヴァに縋るという状態だった、エヴァに自分の存在価値があると思い込んでいる節があったのだ、まぁ、これは致し方ない、そのようになるよう調整を受けてネルフドイツ支部で飼育されていたのだから。
チルドレンという名の贄となる為に。
今の状態は、本能がエヴァを拒否し、深層心理に植えつけられたエヴァへの執着がせめぎ合っているといったところか。
そのせいで情緒不安定になっているようなところが見受けられる。
時たま、苛立たしげに髪を弄くっていたり、不安そうにシーツを掴むのがそれをあらわしている。
落ち着きがなく、感情の変化が激しい。
今現在は(表面上)普通に喋っていたが。
といっても内容はなんでもない、それこそ暇をつぶすような内容だった。
エヴァに関しては何も語らず、避けている節がある。
波立つ自分の心に向き合うには時間も彼女の成長も足りないだろう。
今現在においては老人に苛められていることを一時的に免れている、髭面強面親父ことゲンドウはというと。
せっかくの休憩だし、休みたいのは山々だが。
空いた時間にしなければならないことが山のようにあったりする。
殆ど冬月に押し付けるとはいえ、その量がとんでもない為、サボる訳にも行かない。
サボったらサボったでツケが回ってくるのは自分だからしょうがないと、やるしかないのだが、怠けても自分の計画に支障をきたすので本人としてもサボる気になれないのが救いだろうか。
何の救いにもならないだろう。
やはり疲労している冬月、普段よりゲンドウの仕事を多く押し付けられている哀れな老人相手に。
「エヴァ三号機が本部に送られることになった」
ゼーレの老人達の先程の通信の用件だったらしい事を告げている、其処に至るまで5時間がかりで文句を言われ、連絡事項は三分で終わったのだから報われないが。
それはもうネチネチと12人がかりで、傷を抉る様に、それを楽しむように愚痴られたのだからたまったもんではない。
どこからそれだけネタを引っ張ってこれるのか問い詰めたいぐらいに。
ちなみに反論は許されない、只聞くだけだ。
嫌がらせもここまで来ると立派の一言に尽きるだろう。
なまじゲンドウとしても嫌がらせと分かっているんだが、この嫌がらせがどこまで続くのか無限地獄にいるような気分になってくる。
睡眠不足と過労で朦朧とする頭で終わることだけを願って愚痴を聞く地獄である。
そんな陰湿な爺に関わっているゲンドウ自身が悪いのだが。
外見的にかなり痩せてきているし。
ゲンドウの苦労などどうでもいいが、マジで。
「パイロットはどうするのだ、セカンドチルドレンも暫くは使い物にならないそうだぞ」
機体だけが来られても維持費が掛かるだけだからねぇ。
「フォースチルドレンと、フィフスチルドレンの選抜許可は取った、零号機はコアを換装して使う、問題ない」
相変わらず言葉が足りない気がする。
「候補は上がっているのか」
「ああ」
やっぱり言葉が足りない。
冬月の頭の痛いところだ。
で、話に出ていたのだが。
候補というのは前回シェルターを抜け出して血塗れになっていた重傷者、馬鹿もしくはキチガ○少年二名、永遠のジャージ少年と、変態カメラ盗撮性犯罪者もしくはパパラッチ少年である。
アスカに怒鳴られて芋虫のように這い蹲って逃げていったあれである。
一応、エヴァ二号機の少し離れたところで血塗れで恐怖と寒さにガタガタ震えながらも生きていたようだ。
しぶとく、爆発の余波からも逃げおおせて。
チッ。
上の舌打ちは気にしないでおこう、何も生きていたのが残念というわけではない、確かに妄想傍迷惑眼鏡小僧の生死はどうでもいいが。
この二人の現在の状態は。
二号機回収のとき一応助け出され、現在病院のベッドの上である。
何故か、出血だけで重傷というほどでもないのが不思議(作者の都合でもある)。
現在リアルタイムでは、ジャージ少年のほうが、真性キチガ○少年に文句を言って、口論に発展していた。
それはもう醜い幼稚な責任の擦り付け合いである。
体の痛みが無かったら殴りあいになっていただろう。
今は屁理屈で変態のほうが優勢のようだが、この病室について数度目の舌戦だったが口では変態少年のほうが優勢である。
ついでにこの二人、勝手にシェルターを抜け出した罪を被さっていた、まだ自分が何をしたか気付いていないが。
戦闘妨害や利敵行為などの罪状も身に覚えのあるようなことから無いことまでこじつけのように罪がつけられている。
賠償金を支払うとしたら一個人では到底払えない金額に計算されていたりもする。
もしエヴァに乗ることを拒否したときの準備を着々と進められているのである。
それはもう綿密に。
逃げられないように外堀を完全に埋め立てられている。
強制徴兵できなくともこの親父の悪知恵を使えばどうってことないのだ、その手の手段の知識などはいて捨てるほど持っている。
つまり強制ではなく、自分の罪を突きつけて自主的に志願させるのである。
外道曰く「所詮、子供ですよ」と言った所か。
ちなみにこの手法かなり後に、ある少年の証言によりネルフ内の監視団に露見しゲンドウと冬月の叩かれたら埃がでまくる過去を否応無しに調べられることになる。
余罪、前科が無いか。
なお、所属は作戦部。
そう、作戦部、彼等を見捨てるように命令したあの女。
人類の寄生虫、ある意味注目の的葛城ミサト作戦部長(なお、階級が特務曹長まで何故か堕ちており、作戦部長でありながらメインスタッフの誰よりも階級が低かったりする、基本的にエリートである主なネルフ所員中で取り分けエリートとされる作戦部は全員階級が高い為)を上司として持つことになっている。
その結果、シンジのようなエヴァパイロットは基本的に特務准尉(アスカ、綾波は別格で特務二尉と特務三尉)に任命される決まりだったのだが、作戦部長より階級が低いと拙かろうと特務伍長となっている。
これ作戦部の中で最低階級となっている。
勿論支払われる給金、手当て、その他諸々も階級に応じているので低くなっているのだ。
その低くなった保障も満足になっていない待遇で契約させる予定では有るが。
もしかしたら予算が拙いから高額なエヴァパイロットの給金を払わないで済むようにそのようにしたのかもしれない。
予算ないし。
余裕も勿論無いし。
いうなれば弱みを握ったガキに払う金は無いと言ったところか、それでもそこそこはある、中学生としてはがつくが。
予算を削減してくれて、この度自分の手でネルフに大損害を与えた張本人の今現在の独房生活はというと。
前回同様最初はエビチュを出せと喚いていたがどうもやり方を変えたようだ、それとも前より精神状態が危ういところで放り込まれたのでアルコールという名の精神安定剤に対する渇望が強いのかもしれないが。
よほど追い詰められているのか。
恥も外聞も無いのか。
「其処のオジサン、私でやらしてあげるから、えびちゅ持って来てよ、○でも、○でも、お○でも○○○でも使っていいからぁ」
とかのたまっていた、酒のために体とプライドを売り渡す気でいるようだ。
所詮獣以下だろうが。
その本質を知っている保安部の人間はあとが色々と恐ろしく、誰も相手にはしなかったようだが。
性欲よりも、生存本能が勝ったようだ。
ストリップ紛いの事もしてというかしたのだが、若い所員が暴走してしようとしたがほかの所員に止められた、人生捨てる気かと。
説得力抜群だった、その一言で現世回帰できるのだから。
それでも保安部長が部下の今後の人生を鑑みて(其処まで危険視されているらしい同僚に)。
その後看守として女性保安部員が担当に付いた、ミサトはその交代理由を知っている担当女性に獣を見る目で見られ独房生活を送ることになったという。
同じ女性としてこの野獣の存在が嫌なのだろう。
残りの日数は、酒を断たれた依存症患者よろしく、その部員を怒鳴りつけ時たま暴れだし、暴言、妄言を喚き散らしその度に放水で黙らされたらしい。
という以上の新たな伝説を作り上げたネルフの異形。
酒徒、葛城作戦妨害部長殿である。
なお、マジに技術部、眼鏡を抜いた作戦部員にそう呼ばれ。
保安部には。
淫酒魔、葛城性風俗担当特務准尉と呼ばれている。
ある意味怪異扱いである。
それが誹謗中傷ではなく本人を端的に語っているのが凄いところだ。
そんなのが上司になるのだ、馬鹿少年二人に。
まぁ好意的に、楽観的に、希望的観測を交えてさらにどこかいっちゃった思考を混ぜ合わせて、五体満足には一年いられないだろう。
確実に、断固として、一遍の曇りなく、水晶のように澄んだ未来の真実となること間違いない。
因みに、チルドレンの交渉に冬月が訪れ口にした途端、今回死に掛けたのに全く懲りていないキチ○イ犯罪者はそれはもう羽毛のように軽い返事で了承し。
条件も確認せずにサインした為、本部居住で、訓練三昧、各種条件などがかなり都合よく組まれ、学校にさえ行けない状態となってしまった。
本人はそれでもいいのだろうが、訓練が始まって数日で弱音を吐いて、格闘訓練で殴られた後は怯えてまともに訓練にならなかったそうだ。
どうも自分の考えていたネルフのエリートパイロットと現実が食い違っているらしい。
それでも訓練担当官は使えるようにしろと厳命されているので容赦なく扱いたらしいが、それほどの成長はなかったようだ、怯えて。
訓練もまともに出来ない体たらく。
どうも彼の中ではゲームなどと一緒で選ばれたらその才能のみで英雄になれるとでも思っていたのかもしれない。
強くなるための努力など不要なのだと、選ばれたのだから自分ではなんでもできるという愚かな選民思想の極みのような考えの持ち主なのかもしれない。
軽い訓練でメキメキ強くなり、アニメの主人公のように敵を打ち倒していくと、それに何の苦労も無く、甘い汁だけ吸えるものだと。
自分が殺し合いの大地に立つことなど考えずに。
戦いが苦痛に満ちて救いの無いことというのは欠片も理解せずに。
只表面だけを眺めて憧れていただけの愚か者だった。
分かりやすく言うと救いようの無い馬鹿である。
まだ理性の保持していた、ジャージ少年はある程度常識的な判断をもち、それでも冬月の説得と言うか脅迫紛いのことを了承し。
自宅通いで通学も認められ、訓練も常識の範囲内、各種条件も希望通り受け入れられ。
給金と待遇に天と地の大差がついた。
階級が特務伍長というのが同じだけで扱いはかなりの差が出来たようだ。
後、まだ現実的な思考の持ち主の彼は、訓練も短時間ながら成長を見せ搭乗機はスペック的に上の三号機を与えられ、それなりに期待された。
根が素直で変な願望を持っていない分、教えられた事の吸収が早かったようだ。
役に立たない軍事知識等のあるだけ害な変な知識も持っていなかったし。
エヴァの運用に通常の軍隊のノウハウなどあまり役に立たない、歩兵としては役に立つだろうが、本に載っているような知識が実戦に有用な知識かというと少し疑わしい。
役に立ちそうに無い眼鏡少年のように。
冬月の交渉時の評価と印象としてはジャージのほうが格段に良かったと追記しておく。
これが二人の不幸の落差にも差をつけることになっているのだが。
で、再び司令執務室で疲労の色の濃い二人の会話であるが。
先程の会話の続きとなっている。
「しかしセカンドチルドレンが使えないのではどうするのだ、彼女が今のところ最強の戦力だったのだぞ」
不安になるのもわかるが、これからも使徒は第三に向かってくるのだ。
それに一敗一戦放棄という戦積、今でさえ叩かれまくり疲労で倒れそうなのにこれからを考えずにはいられないだろう。
冬月としては、二号機が何とかデモンベインに勝てることを祈っていたのだが、結果はあれである、利敵行為をした部下のせいでもあるが。
「最悪、セカンドチルドレンは使えるように洗脳すれば問題ない、どうせ使い捨ての駒だ、どうということは無い」
確かにゲンドウの人類補完計画ではアスカは予備以下で使徒を狩る駒に過ぎない。
最悪死のうが、発狂しようがどうでもいいのだ。
彼の計画で大事なのはレイであり、初号機だ、それを目覚めさせるシンジは付属品扱いだろう。
アスカにはその露払いを望んでいるに過ぎない、駒がどうなろうと知ったことではないというのが本心だろう。
只発狂する寸前の恐怖を洗脳程度で拭えるかというと甚だ疑問だが、心が壊れてしまえば母を求める心も壊れるだろうからやっぱりシンクロしないだろうし。
そこまでは考えてはいないだろうが。
その肝心の二名が手元に無いのだが。
この男がその二つのピースを諦めるわけが無い
狂気といえる願望を成就するために手段など選ばぬだろう、時として目的のための手段が目的に変わることがままにある馬鹿だが。
「だが、戦力的に不足している、使徒にこれ以上負けるわけにはいかんのだぞ、わかっているのか」
多分分かっている、と思う。
何か再び企んではいるようだし。
さぁ、第二幕終幕を語ろう、未だ落ちていない第二幕未だ終わらない第二幕、二つ目のクライマックス、この喜劇で悲劇のフィナーレを飾ろうじゃないか。
紅の少女と金色の科学者の演じる悲劇のフィナーレ。
悲劇によって閉めよう。
喜劇へと繋がる悲劇をもって。
愚かな、残酷な愚者の楽園のマリオネット、天使の供物たる少女。
愚者に汚され、一度は翼を奪われた、愚者の楽園の頭脳、愚者の贄たる女。
叛旗を翻す時が来たよ。
今まで、君たちをしゃぶり尽くした愚者に叛逆を、愚者のシナリオを崩壊させる一矢を放とうじゃないか。
傍観者はそう、僕ナイアが勤めよう。
観客たる、語り部たるナイアが。
天使の供物よ。
愚者の贄よ。
狂い享楽を貪り奇声を発すそれが許されるこの楽園を、今まで幾万回幾億回、君達を陵辱し続けた狂者を。
踏みつけてしまえばいい。
踏みつけられた狂ったコメディアンはどんな顔をするか。
どんな醜態を見せるか
どんな苦悶を洩らすか。
それが楽しみでたまらない。
そのときの表情が、絶望が、裏切られた憤怒が僕の身を焦がす、快楽に、愉悦に。
そして更なる憎悪が何を描くのか、楽しみでたまらない。
さぁ、その為の仕込だ。
贄よ。
供物を壊しておくれ。
同じように。
君が。
供物を。
壊し再生させてくれ。
残酷に悲惨に無常に完膚無きに壊しておくれ。
それが贄である君の望みだろう。
二幕の幕引きの為に、フィナーレは始まった。
再びアスカの病室。
時間系列では先程より二日経過。
リツコによるアスカの治療、主に肉体的処置が終了し包帯を交換し、今はカルテに何かしら書き込んでいる。
怪我をして四日目なので多少包帯の量も減っているのだが、やはり痛々しい。
しかも今日はどこと無く沈んだ様子なので、それに拍車を掛けている。
朝から会話といっても二言三言で途切れてしまい、何かを思いつめているようだ。
「ねえ、リツコ、私どうなるの」
不意にアスカが口を開いた、この日初めてアスカから口を開いたのだが、リツコがゆっくりとカルテから顔を上げる。
「どうしたのかしら、突然」
「私、これからどうなるのよ、このままだったら」
症状が出た時、目覚めてから説明は受けていたアスカだ、自分がPTSDを患っているということを、これからの扱いがどうなるかなど最たる疑問だろう。
彼女にPTSDを患っていることはもう隠しようが無いと判断し教えられていた。
それは既に自分でもわかっていたことだろうが、自身の存在価値たるエヴァを自身が拒絶しているのだから、この組織ネルフにおいても彼女の価値がエヴァだとアスカは認識している、その象徴たるエヴァを自分が拒絶している。
もし、早期に直らないなら、役に立たないと思われたら、他人からの拒絶を恐れる彼女にしてみれば、自分の価値を他人に認めさせることで、自分の価値を見出してきたのだ、その価値が失われれば。
捨てられる、役立たずわ、価値の無い人間は、病気を知らされてから彼女を苛み、今日の朝、抑えようも無くなった、強迫観念にも似た恐れ。
もう抑えが利かない恐れが、言葉となって出たのだろう。
身近にいる主治医のリツコに向かって。
只リツコはその疑問を口にするのを待っていた、ある提案をするために。
その為に彼女にとって辛い言葉を吐く覚悟決めて。
残酷になる覚悟を決めて、この場にいたのだから。
己の立場を、今を、過去を捨てる覚悟を決めて。
それを彼女に求める傲慢を決めて。
「治らなければ、お役御免ということは無いわ」
表情を柔和なものから真剣な顔に切り替えてリツコが語る。
「只、あなたが考えているものとは違うでしょうね」
いぶかしむ様にアスカが眉を顰める、不安そうではあったが、その聡明な頭脳はリツコの言葉を理解しようと働いているのだろう。
「どういうこと」
「貴女が、もし今の状態のままならどう考えているの」
質問に質問を返している。
その謎掛けのような言葉に疑問も覚えるが。
それでも、答える。
「・・・・・・・・・エヴァは機密の塊だし、私はネルフの10年以上関わっていたから、少しは機密も知っている、だから辞めさせられることは無いわよね、でもエヴァのない私が・・・・・・・・・どうなるかなんてわからないわよ、だから聞いてんでしょ」
段々と声が小さくなり、最後には尻すぼみになる、蚊の鳴くような声となる。
普段の快活さなど微塵も無い。
本当に精神的に参っているのだろう。
自分の存在価値が無くなるということに、今の自分の状態に。
恐慌せずに何とか理性を保っているのは治るかもという可能性に掛けているに過ぎない。
只そのせいで周囲の反応を気にするあまり周囲に当たって発散することも出来ないんだが。
こういう精神状態のときは愚にも付かないことが思い浮かぶのか、彼女としては最悪の予想ばかりが駆け巡っているのだろう。
只、それを認めたくない、だが、彼女の考えている最悪はリツコの考えている最良とあまり大差は無かったが。
「普通なら、これが使徒戦の最中で無ければ、貴女ならエヴァを降ろされても放り出されることは無いでしょうね、それどころか貴女は才能だけなら私以上あるでしょうし、後10年もすれば貴女のお母さんにも迫る可能性がある、ネルフとしても留めておきたい人材でしょうね」
13で大学を卒業した天才児たるアスカ、普通なら放り出すということは有り得る筈も無い。
成果を生むかどうかは別問題だがその可能性は高いのだから。
もしネルフに関わらず成長したなら、それなりに有名人になっていたかもしれないのだから。
只この組織のトップは世界の10年後などどうでもいいだろうが。
その言葉は紛れも無い賞賛、少女の才を認め、存在を認める言葉。
だが、さらにリツコの言葉が続く。
「普通ならそうなるわ」
その賞賛を翻すような口調で。
そう、ネルフは“普通の組織”ではない。
ここにいる限り、普通の扱いは無いだろう、軍事組織にいる子供に普通などありえないだろうが、ここはさらに異質なのだから。
賞賛からそれを翻す言葉。
それを疑問に覚えないアスカではない、リツコが何を求めているかそれを見出そうと頭を巡らせる。
だが、リツコは、そのアスカの考えが纏まる前にアスカの顔を正面から見て。
先程よりも真剣に、そして冷徹に。
アスカはその表情に呑まれた、その何かを決意した、そんな人間が浮かべる意志の宿った表情に、言葉が呑まれた。
今までそんな顔を向けてくる大人はいなかった。
そんな冷たい顔で優しい表情を浮かべた人間なんて知らなかったから。
それが紛れも無く自分に向けられることなんて一度としてなかった。
「ここから話すことは、ネルフの機密に関わるわ、もしこのことを私が口外したと知れたら、司令は間違いなく私と貴女を殺すわ、それでもこれから私の話そうとしていることを聞く?」
それは真剣な声で。
いつしかアスカの中から先程の怯えが、エヴァを降ろされる、存在価値を否定される恐怖が薄らいでいた、わきあがる疑問と不安。
それよりも目の前の興味。
それに目が移る。
そこで気が付いた。
「リツコ、それって、絶対に私に話すつもりなんでしょう、聞くかって聞いておいて私が断れないように今まで会話向けてきているじゃない」
「あら、分かったの」
さも、意外そうに、表情を緩めておどけて見せる、実際にあまり気付くとは思ってはいなかったようだが。
確かにここまでは関心を引くためだ、途中で止めない為の、もう後戻り無く最後まで離す為の好奇心と興味を引く必要があった。
そして僅かに彼女の感情を変える為の。
「で、私に何を話したいの、そんなまどろっこしいことして、聞かないわけ無いじゃない」
「後悔しない」
「聞いてから私が決めるわよ」
そしてリツコは語りだす。
全てを。
「最初に言っておくわ、今私はネルフを裏切っているのよ、まぁこの話をする時点で裏切っているんだけど、情報漏洩のような利敵行為もしているからスパイをやっているといったほうが良いかしら」
The 爆弾発言。
それを先程のおどけた表情のまま変えずに唐突に言うもんだから、世間話の延長の性質の悪い冗談のように聞こえる。
本当に何気ない調子から出た一言のように。
一瞬、呆然としてというか言った言葉が理解するまで時間が掛かり、その後アスカの思考が飛んだ、どこか別の世界と言うか脳内世界、単に気が遠くなったとも言う。
勿論言っている意味は分かっているだろうし、理解もしているんだが、そのあまりの内容が脳の思考を停止したようだ。
言葉を聴いただけなら、趣味の悪い冗談を場を考えずに言ったか、生活に疲れて気が触れたかのどちらかだ。
自分で自分ことをスパイだなどと公言する輩などいるはずが無く、まずそんな人間がスパイなどにはなれないだろう。
しかもネルフで重要な位置にいる技術部長が。
アスカの知る限りリツコはそのような趣味の悪い冗談を言う人間でもなければ、場が分からないどこかのビア樽作戦部長とも違う。
もしある役立たずが同じ事を言ったら、迷い無く精神病院をいくことを進めるかど突き倒すのだが。
先程の話の振り方や、表情にしてもそんな冗談を言える雰囲気ではない。
こうなるとアスカが考えられるのはリツコが気が触れたか、本気かのどちらかだ。
少したって現世回帰してきたアスカが混乱する頭で出した結論は。
「・・・・・・・・・正気」
何気に失礼な聞き方だが、正気を疑った方が信じやすかったのだろう。
アスカとしても未だ戸惑っているので考えがまとまらないのもあるだろうが。
「正気よ、冗談でもないわ、紛れも無い本当の事よ」
正気を疑われたのは仕方が無いと思っているのか突っ込んではいないようだが、普通疑うだろうし。
ただ未だ混乱する頭でアスカがリツコの顔を見た時、その顔は表情こそおどけた風があるが、その目は全く笑ってはいなかった。
何かを求めるような、何かを諭すような、そんな真っ直ぐにアスカを見ていた。
リツコがこのとんでもない話を切り出したのはけじめを付ける準備が既に終わったのもあったが、何より焦っていたのだ。
今のネルフが追い詰められているのは良く分かる肌で感じるほど、それこそ近いうちに暴走を始めるだろう、止められない位に。
ゲンドウが既に自分のシナリオが崩れ、計画通りにいっていないことに焦り、予測の出来ない行動に出ることは分かりきっていた。
ゲンドウの妄執が消え去ることは無い、目的のためならばなんでもするのはとうに分かっている。
ゼーレが裏で計画している人類補完計画を諦めるとも思えない、彼らにしてみても今のネルフの状態に介入してくるだろう。
そうなる前にネルフをぬける必要がある。
ゲンドウが暴走を始める前に、ゼーレの手がネルフに入る前に。
彼女はある程度自分の価値と置かれた立場を理解していた、的確に、今の私をゼーレもネルフも手放すことをよしとするに考えられるほど、楽観視できるなど彼女の知識は赦さない、今にも逃げろと警告を発している。
そしてそれは今が都合がいい。
使徒戦後で通常業務が混乱している今ならばそれも容易いとまではいかないが、それでも平時よりは楽に達成できるだろう。
少なくとも単身でそれを終わらせて、アメリカに逃げるだけなら使徒戦直後が狙い目のはずだった、少なくとも二日前にはその算段はついており、最速ならば既にアメリカの地を踏んでいただろう。
それを遅らしているのは、アスカだ。
リツコの行動を鈍らせているのは、リツコの心の葛藤が、一人でアメリカに行くのを拒んでいた。
今のアスカの立場は危うい。
それは本人が考えていることなど生温いと言えるほどに。
心的外傷を見せ、戦うことに拒否感を持ち、戦うことの出来ない駒にゲンドウ達が何をするか等ネルフの暗部に触れているリツコには火を見るより明らかだ。
まず、間違いなく壊される、使えなくなるまで、死ぬまで壊し続けられる。
基本的に善人ぶるミサトもアスカを守ろうなどとはするまい、今のように追い詰められた状況なら己の駒を増やそうとして嬉々として使えるようにする可能性がある。
壊されて使いでの良くなったお人形さんとして以前より愛でるかもしれない。
現時点でリツコの見立てではアスカに早期の回復の見込みは無い。
人間の心の傷がそう簡単に治るはずが無い。
並の軍隊ならば戦いに対してトラウマを持った兵士は、少なくとも前線からは外されるだろう、除隊も有り得る。
これは早期に復帰する可能性も完全に克服する可能性も低いことを表している。
修羅場を知っている軍人でさえそうなる症状なのだ。
未だ子供の域を抜け出さない人間に症状の完全な回復を望むことは出来ない。
早く言えば二度とエヴァに乗れない可能性のほうが高いのだ、少なくとも数日や数週間で治るようなことは奇跡でも起きなければ有りえず、奇跡とは起こらないか奇跡なのだ。
最早、どれだけアスカがエヴァを求めようが戦場に立つことはまともな方法では叶わない。
既に兵士としてはスクラップなのだ、エヴァ以上に。
只、今の現状から、アスカをエヴァから降ろすということを許すような余裕はネルフには無い。
ゲンドウもミサトも是が非でも乗せるだろう。
自分たちの使いやすいように調整を行って、早く言えば洗脳でもなんでも都合のいい処置を施しエヴァを駆る完全な人形にしたてあげるだろう。
アスカがそのように扱われると分かっている以上、見捨てることが出来なかった、いや出来る出来ないの問題ではなかったと言うべきか。
そしてリツコの考えは当たっている、ちょうどその頃ゲンドウ達はそのことについて話していたのだから。
もし実行されたら今の精神状態のアスカならばその洗脳に耐えられるかどうかも微妙なのだ、最悪廃人となるか狂気のチルドレンになるか、まともな扱いやまともな状態となれるカなど露ほども無いだろう。
数ヶ月だけ使える、戦うお人形に仕立て上げられる。
そんなことをリツコは許容できない。
レイを見捨て、レイに救われたリツコには既にもう子供を見捨てることが出来なくなっていた。
以前なら、下らないと自分に言い聞かせていた甘っちょろい考えが彼女を支配していた。
勿論考えない訳ではなかった、アスカを見捨ててアメリカに行くことが何より安全だと、彼女の冷静な頭脳はそう答えていた、今怪我人であるアスカを連れて逃げるのは、どれだけ危険の増すことか、打算的にそれを考えて。
吐き気がした、言いようの無い自分に対する嫌悪感がしたのだ、その打算に。
また、見捨てるのかと。
今助けなければ確実にアスカは壊される、そんなこととうに分かっている。
確実に壊される。
間違いなく。
二度と微笑めないくらいに、命さえ危険に晒されて。
それを分かって、ここを去るのは見捨てるのと同義だ。
レイを見捨てた自分がアスカも見捨てる、レイに救われた自分がまた見捨てる。
それは強迫観念にも似ていた、アスカを見捨ててどの顔を下げてレイに会えと。
罪に塗れた手でレイを求めるだけでも私は報われているのに、さらにその手を汚してその手でレイを抱きしめろと。
そんなことは許容できない、赦せない自分が自分を赦せない。
これ以上レイを穢すなんてことをしていい訳が無い。
それがリツコの嫌悪感、脅迫概念の正体。
自分に対する嫌悪とそれを持った心でレイと会うという恐れ。
だからリツコはもしこの場でアスカがこれからの提案を拒否しても有無を言わさずにアメリカに連れて行く気でいた。
どれだけのリスクがあろうと、どれだけアスカに怨まれ様と。
自分がレイに笑顔で会う為に。
傲慢な我が侭を押し付ける。
それから話した内容は、すべてを話したとは言いづらいでしょうね、取捨選択し都合のいいことを重点的な話す、相手を信じ込ませることが必要だから。
何もかも全てという訳にはいかない、ネルフを離れるのに都合のいい知識を与え出来るだけ自発的についてきてもらうのが望ましいから。
私は聖人じゃあない、罪人、そして真実を語らないのは嘘ではない、詭弁ではあるでしょうけどね。
話したのは、私の推測するアスカの処遇、洗脳され無理矢理エヴァに乗らされるであろうこと。
私が何故このようなことを話しているか。
何故裏切るのか。
ネルフの闇、セントラルドグマにあるもの。
そして、使徒が何を目指してこの地に来るか。
セカンド・インパクト。
サード・インパクト。
そしてこれから自分がどういうことをするつもりなのか。
更なる疑問が、ネルフに猜疑が向かうようなやり方で。
話の間何度も否定の叫びを上げ、自分の信じる全てを否定されるのを恐れるように頭を振っていた。
自分が英雄ではなくサード・インパクトを行う引き金の予備(ゼーレ側)でしかないことを認められず。
只の生贄に過ぎぬことなど、彼女が認められるはずが無いと分かっていた。
自分が取替えのきく消耗品で誰かの操り人形であっとことなど。
殆どを話し終えた時、アスカは只否定の言葉を繰り返していた。
私の言葉を否定するように。
「嘘よ、嘘よ、嘘よ・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘よ」
只、壊れたようにそう呟いていた。
否定しようの無い疑問を付け加えた私の言葉は口で拒否しても。
彼女の聡明な頭では拒否しきれないと確信して話しているのだから、私も意地が悪い。
ほとほとそう思うわ。
ただ、これでここから逃げ出す意思を見せてくれれば、無理矢理は気が進まないわね、やっぱり。
リツコは呟き続けるアスカをベッドの隣の椅子に座りつつ。
あのときのレイを救おうとした瑠璃と近似した目で、何かを求めるめで少女を見続けた。
このまるで妄言のようなことを口にし、彼女の価値観を叩き壊そうとした自分に対して。
助けて欲しい、という意志の発露があることを。
只、それだけを欲した、それが一番自分にとって最良の答えだから。
それがアスカの為ではなく、紛れも無くリツコが望む答え、彼女がアスカを救いたいという、ある種傲慢な望みのために欲する答え。
それを求めるため、リツコはずっとそのベッドの傍らで座り続けた。
因みに、ある鳥類に分類されるであろう空を飛べない鳥さんは現在飛べない筈なのにお空に存在していた。
腐海と呼ばれる環境からある科学者により救助された知能的に見てこいつ本当に鳥類かと疑問に思える鳥さんは冷蔵庫ごと梱包されて貨物としてお空の旅を満喫中である、本人(本鳥?)はそんなことを気付かず、外に出られない窮屈さを味わいつつ、同じく梱包された魚介類を気が向くたびに冷蔵庫内に設置された冷蔵庫から取り出して以前では考えられない食生活に歓喜の叫びを上げていたそうだ。
なお、同じ人間により手続きされた貨物に猫が入れられた貨物も存在したという。
物品名「生もの」である確かに生物は「生もの」と読めるが。
届け先は合衆国アーカムシティ 覇道瑠璃。
荷物を受け取ったお姫様が開封された貨物をみてポカンとした顔で暫く呆けたのは余談。
因みに瑠璃が驚いたのは、鳥類(本人も何故そのようなことをしたかは不明)が瑠璃の顔を見てペコリと頭を下げ、とってかえし冷蔵庫に余っていたのであろう鮭を一匹丸ごと持って戻ってきて差し出したのが原因だが(引っ越し祝いだろうか?)。
何気に知能レベルが人間に近いんじゃないかと思われるビックリ生物である。
追記、ある科学者に救助されていたとき半死半生となっており、以前の飼い主は既にその存在を忘れているものと思われる。
またその存在を思い出すことも今後あるまい。
で余談の間に時間が暫く流れたことにしてアスカの病室。
自閉症に近い状態でリツコの言葉を拒絶しようとしていたアスカだがある程度脳内で整理がついたのか、先程のような呟きは潜め。
ここ数時間はぼんやりと焦点の合わない目で体を起き上がらしてベッドに座っていた。
傍目にはさらに精神的に患ったように見えるが。
唐突に口を開いた。
「さっきの話本当なの」
どうやら拒絶するのはやめたようだ、理解しようとする行動の現われか、それとも何とか理解しようと勤めているのか。
「今の話が嘘だったら私は誇大妄想狂ね」
確かに、リツコの話した話は人を騙そうとする話としては荒唐無稽に過ぎる、誰が信じるというのだ、悪の秘密結社や自分たちこそがそれを知らずに使われる手先、人類補完計画、そしてレイプ被害者の自己告白。
漫画やドラマ、SFムービーならまだしも、口にするだけで正気を疑われそうな内容。
だからかえって真実味があるんだが、嘘をつくならもっとましな嘘をつくだろうから。
アスカは未だ焦点の定まらぬ目で。
さらに質問を繰り返す。
「何で私に話したの、私に言ってもしょうがないじゃない」
どうやら呆けているのではなく思考にふけっているらしい、時たま口元が考えを整理するためかぶつぶつと何事か呟いている。
それも傍目には怖いのだが。
「只の気紛れかしらね、私のおせっかいと言ってもいいわ、間違いなく酷い目に合うのは分かっていたし、ほっとけなかったというのがいいのかしら」
アスカの問いにリツコは答える、それは紛れも無い本心だろう、全部を語っているわけではないにしろ。
リツコがアスカを助けるのは自分の為なのだから。
驚いたようにアスカがリツコの方を向く、虚ろな瞳に若干の意思を乗せて。
其処からは話が早かった。
意識をこちらに向けたアスカは、リツコのほうに何かを感じたのか、大体はリツコの望む通りなのだが。
いくらかの質問を出し。
リツコがそれに答える。
大体は先程話したことの確認であり。
其処に矛盾は少なかった、今まで考えないだけでアスカならばその方向に考えを向けたら疑問となるような納得の言う事象が出てくる。
それが話の信用を高めていく。
勿論何事にも想定外のことがあり、予測といっても願望に近いのだが願望どおりに行かないのはある種定理であり。
確定事項なんだが。
それがあるから人間人生が面白いといえるのであるが。
この会話の中でアスカは確かにリツコの望む方向に考えを向けたのだが。
リツコとしては想定外だったろうなぁ。
会話の中で焦点の合わない目ではなく普段の彼女を思わせる意志の宿った眼光となる。
のはいい。
生気をどんな理由であれ取り戻すのはいいことだろう、今その瞬間に抱いているが憎悪であれ、復讐心であれだ。
強い感情は生気になり、気力になるだろう。
でも方向性ってもんがあると思う、自分で書いといてなんだけど(作者の声)。
まぁ、ここのところは暫く後にわかると思う、多分。
只、今のアスカの精神的依存の割合に何故かデモンベインがあることを追記しておく。
ネルフを出る理由の中にデモンベインに対する興味があったのだが。
ついでにアイオーンはデモンベインに比べると弱かった為アスカの印象に強く残ったのはデモンベインだった。
そのことを悟ったリツコが微妙に自分の苦労に哀愁を感じなかったかどうかは別の話、もっと楽に説得できたんじゃないかと。
「で、リツコこれからネルフを去るのよね、そして私も連れて行くつもり、あのロボットの部隊に」
これもさっき話たことの一つ、そのときはアスカを連れて行くとは明言してはいなかったが、話の流れで分かるものだろう。
ここまで話しておいて置いていくというのは考え辛いし、独力で逃げるのも満身創痍のアスカには不可能に近い、そしてこんな話を聞いたからといってそぐにトラウマが治るわけでもなし。
つまりリツコの逃亡の手助けがなんとしても必要なわけである。
そして何も助けるつもりも無くこんな話をする奴もいるまい。
「あら、こんな話信じるの」
「信じるしかないじゃない、それにリツコが今のあたし騙してなんになるのよ、私の知っている情報なんてリツコにしてみればたいしたこと無いでしょうし、エヴァにも乗れない、騙して連れて行くメリットが無いもの」
確かに無いな。
ネルフに対する嫌がらせにはなるだろうが、それで犯すリスクにしては危険が高すぎる。
「確かに、でも自分で言うのもなんだけどかなり無茶苦茶だと思っていたから」
そう微笑んでそれから会話は進んだ。
その後、アスカはアメリカ行きを明言(といってもリツコに伝えただけだが)。
翌日、散歩と称して車椅子に乗ったアスカがその病室に戻ることは無かった。
その介助を行っていた科学者共々。
その二人がセントラルドグマにその影を落としたかどうかは定かではないが。
只セントラルドグマにて爆発事故があり、囚われた蒼銀の髪の生き人形達のその身の生を断たれた。
独立したコンピューター内に保存されていた実験データーの類全てが物理的に破壊されて永久に失われていた。
これにて忌まわしき人の業の産物は永久に葬られた。
男の妄執の産物であるおぞましき外道の産物は。
この行動は男の更なる暴走を促進するのだがそれがどうしたというものである。
爆発事故があった同時刻、第三新東京空港にて、アメリカ行きの特別機が離陸し車椅子の少女を乗せ旅立った。
その飛行機の運用会社の親会社は覇道財閥であったが。
追記すると、リツコに付けられていたネルフのガード兼監視員はコンピューターの故障における事故でネルフ本部内で見失い。
その後、第三新東京空港にて映像記録を入手するも、リツコをロスト、セカンドチルドレン行方は不明。
また、複数のネルフ保安部員が半死半生の状態で発見される。
二人を探そうとしたネルフに対して行き先は飛行機会社が保安上の理由に拒否、ネルフはその権限を盾に情報開示を求めるが明確な理由を提示することが無かった為棄却。
その後暫く、消息不明。
なお数十時間後アーカム国際空港にて車椅子に乗った金髪の少女と黒髪の美女がその地に降り立った。
その時、彼女達に付き従うようにしていた漆黒の装甲を纏った影が彼女たちを離れた。
因みに瑠璃に命じられて影でガードしていたサンダルフォンであるが、哀れなのは日本アメリカ間を自力で飛行することに成ったということか。
なお直接の命令伝達者はライカ・クルセイド、瑠璃は一言も跳んで帰れと言っていない。
只、出来るだけ接触するなと命令したのだが、命令といっても依頼に近いのだが。
どこをどう曲解したのか、姿を見せるなと伝えた為、命令違反時の姉のお仕置きを恐れたサンダルフォンは律儀に姿を見せずにリツコたちの乗った小型機を自力で追跡したそうだ。
結果疲労のあまり自宅にたどり着くなり、3日間眠り通したらしいが。
またリツコがアメリカに飛び立つ数日前のアーカムシティ。
なんていうか修羅場。
それとも桃源郷。
早く言うと天国と地獄がセット販売されてそれをダース単位で購入ってなことになっていた。
大十字九郎とシンジにとって。
特にシンジ。
場所は教会で。
何が起こったかというと。
教会六番目の子供と寄生虫が帰還したのである。
どこに行っていたかは不明、何をしていたかは不明、只帰還時に寄生虫の女性のほうが妙にボロボロでもう一方は文句なしの美少女だが。
美少女は黒いゴスロリミニドレスを纏い、カチューシャをつけた長い黒髪、蒼い瞳、陶器のように白い肌、それはもうアル・アジフに良く似ていた。
外見年齢も、勿論胸も。
名前はエセルドレーダ。
もう一人いたくボロボロなのは金髪のショートヘアーに美女と言っていい美貌にアルカイックスマイルを湛え、長身のスレンダーな体型(つまりナイ乳)、服装は漆黒のスーツ。
今はそのスーツもボロボロで殆ど半裸といってもいい状態なのだが、ボロボロなので色香もクソも無い。
女性版マスターテリオンである。
何故か両手に荷物を抱えて、紙袋が多いのだが、少女の付き人のようにも見える。
実際は少女のマスターで手に持った紙袋は行き先のお土産、ボロボロなのは少女の鬱憤晴らしの結果となっている。
で、その美少女のほうが、偶々教会にいた大十字九郎、シンジ、アル・アジフ、エンネア、アリスン、ライカ、エルザ、レイ、ルルイエ、コリン、ジョージ、ナイア、この中に特定の人物の存在を確認した瞬間。
その冷静な瞳を輝かせて走った、それはもう表情を歓喜に染めて、妖艶とも言うのかもしれないが。
ちなみにルルイエとは前回紹介したがアリスンの魔道書“ルルイエ異本”の精霊であり、銀髪にオッドアイの容姿に儀式に着るような服を来た無口無表情のロリッ娘。
一直線にシンジの元にダッシュするエセルドレーダ、腕を広げ抱きつこうと準備動作さえしている。
後少しで届こうかというとき。
進行方向とは逆方向に吹き飛んだ、それはもう見事に。
止めたのはお察しの通り、エンネア、アリスン、ルルイエのお三方ではあるが。
エンネアは恨めしげにマスターテリオン、自分の娘をにらみつけて。
アリスンは頬を膨らまして。
ルルイエ、表情は殆ど変わっていないが、なまじ無表情なので何を考えているのか怖い。
心の声は。
(あの馬鹿娘、もっと引っ張り回せって言っておいたのに、こんなに早く帰って来るなんて折檻)
(邪魔、シンジお兄ちゃんに近寄る女は邪魔、特にこいつは病原菌以下)
(エセル、敵、敵は倒す)
普段思考統一など出来ない三人なのだが、共通の敵には心が通じ合う三人のようだ。
吹き飛ばされたエセルは暫くピクピクしていたが猛然と起き上がり。
何も言わず、只殺す笑みを浮かべ両手を振り上げた。
自分の慕情を愛しき人に伝えることを邪魔する悪魔の使いを滅殺する為に。
愛しき自分の恋人との逢瀬を達成するために。
暫く大変醜い美少女たちの戦いが繰り広げられております。
ついでに残りのメンバーはと言うと。
何時もの事とばかしに、テーブルごと部屋の隅に移動して(運んだのは九郎、ナイア、いつの間にかこちらに来ていたマスターテリオン、この場で立場の低い人間トップ3)、お茶の続きをしていた。
シンジはその戦闘の中心地に置き去りであったが。
シンジをこちらにつれてくると被害がお茶に及ぶので放置の方向で最近決まっている。
このシンジ争奪戦は現在において九郎の小競合いが問題にならないくらい苛烈なのだ。
以前の九郎争奪戦もそれは苛烈だったが。
ただ瑠璃、アル戦などより全員が魔力を持っている分、被害が知れない。
ライカは口で責めるので物理的破壊はあまり振り撒かないし。
ちなみにそれでも飛んでくる流れ弾はアルと九郎が逐一落としている、慣れたものだ(特に九郎)。
「ふぅ、シスター、このなんだ美味いな、これ」
九郎が紅茶を啜りつつ、目の前にあるライカ特性のお菓子、それほど珍しいものでもないが、以前まで貧乏生活が板についていた九郎に、嗜好品である菓子類の知識など皆無に等しいので種類までは分からないようだが。
因みに九朗は自然に無視しているのではなくどうも必至で目をそらしているっぽい、どうも思い出して嫌らしい、自分の体験した地獄を。
「有難う九郎ちゃん、でねいっそうちの子にならない、お姉さんが毎晩お世話してあげるから」
何の世話だろうか。
「駄目だ、九朗は妾と一緒に寝るのが義務じゃ、汝はたまに貸すだけじゃ」
ちなみにアル、軽く睨んで所有権を主張しているようだ。
この程度は日常なのでどうということも無いが。
「ダーリンは博士が今度結納するとか言ってたロボよ、で結納って何ロボか?」
何故に日本の婚姻の風習を知っているドクターウエスト、しかも最近マイナーなのを。
「九郎君、僕は指輪がほしいなぁ、今度買ってくれないかい。
かってくれたら何でもOKだよ」
何気に婚約指輪を欲する這い寄る混沌、独占欲は無いはずなんだが。
ちなみにレイは目の前のお菓子に征服に掛かっていた、ほっぺたについたクリームが可愛いが。
この辺もアルは軽く睨み付け、ナイアには凶眼と呼べる視線だったが。
まぁ、まだアルも指輪は買って貰ってないので完全に駄目だろうが。
ついでに九郎は笑ってお菓子をつついていた、引きつった笑いだが。
マスターテリオンは九郎に色目を使っていたが、九朗は気付いてはいなかった。
その夜、大十字邸にてアルの怒声と裸身のマスターテリオンが夜中の鬼ごっこを繰り広げたようだが。
只この二人意外と仲がいい、九朗ラヴァーズ唯一のナイ乳コンビであるから、奇妙な連帯感があるらしい。
あちら側の争いは完全に無視している。
男の子二人は、普段と生活している少女たちの鬼気を振りまいた争いに震え上がっていた。
で、ある程度経ち互角だったりする戦況は、但し三対一という不公平な戦いだが。
エセルドレーダは最近会えなかった欲求不満か元々のポテンシャルか、それとも覚醒でもしたのか。
ある意味魔人クラス三人を相手にして、エセルが互角と言うか上回っていた。
恐らくパワーの源の第一候補は欲求不満だ、この少女、ほかの三人とは些か状況が違うので。
無理矢理引き離された不平不満は並大抵ではあるまい。
で暫くするうちにまず戦線を離脱したのはルルイエ、ついでアリスン、単純に魔力で負けて吹き飛ばされたのだが、この二名を吹き飛ばすのはたいしたものだ。
魔力の供給源たるマスターテリオンは傍目には分からないレベルで疲労が募っていたが。
彼女は分かっていた今そのことで不平を言えば殺されると、命は惜しいので黙って魔力を供給していた。
結果として残った二名、暴君ことネロ=エンネア。
最古の魔道書“ナコト写本”の精霊、エセルドレーダ。
方や単体生物としては地球最強と方や齢数千年を数える外道の知識の集大成。
最近、エセルが隔離(マスターテリオンに連れて行かれただけ)されて居なかったのでなかったが久々の史上最強決定戦勃発である。
九朗、マスターテリオン戦も最強決定戦に数えられるが、このお話の世界ではやりあったことが無い。
面倒臭いので戦闘シーンは割愛するが。
結果を言うと、エセルドレーダが勝利し、エンネアはすす塗れになって痙攣して気絶していた。
エセルドレーダも満身創痍なのだが、邪魔者は払ったとばかりにすがすがしい顔には、何かを達成した満足感が満ち溢れ。
これからの情欲に対する期待感だとかなんかが、その普段は冷静な表情に浮かんでいる。
外野陣。
こっちは爆音がやんだので其方に意識を向けていた。
只単に作者と同じで争いの過程に興味が無く結果にだけ興味があるのかもしれないが。
「ふむ、今回は勝者がエセルドレーダか、大変だなこりゃ」
九朗の呟きだが、これ満場一致の意見である。
ここにいる人間、シンジとエセルの関係など熟知している、認めていないのは先程まで暴れていた敗北者の三人娘ぐらいだ。
そして、ほかの三人が勝利した場合はたいしたことが無いんだが(エンネアは危険かもしれないが)、最も危険度が高いのがエセルドレーダというか、既にその危険にヤバさがかかっている。
特に事情に詳しい九朗、アル、エルザ、ライカ、マスターテリオンが哀れな少年に冥福を祈っていたが。
まぁ、シンジとエセルの関係ならそれほど、年齢を除けば問題ないんだが。
若干九朗だけが、自分と同じ人生の鎖に現在一本絡まっている弟に同情の祈りだったが。
まぁそんなものがこれから苦難にたつ少年に何の利益にも助けにもなりゃしない。
で、余波に巻き込まれたのか、それとも想定される未来に自分から意識を手放したのかは定かではないが、気を失っているシンジに、ちなみに周囲に3人の美少女が気絶して転がって、破壊の傷痕が目立っている。
なかなかにシュールである。
エセルドレーダは何か宝物を求めるようにシンジに近づき、その頭を抱えて抱き起こすようにして。
その唇に自分の唇を押し付けた+舌もシンジの口内に滑り込ませ、口内を蹂躙していたが。
外見14歳と明らかに年下の少女の熱烈としたディープキス、微笑ましいどころではなく大人顔負けに淫靡である。
しかも一方が気絶し、美少女が助け起こすようなキス、背景を別にすれば絵にもなるかもしれない。
悪魔でかもだが。
その美少女がさらなる欲望を達成せんとする表情を晒していれば、そんなものは台無しである。
それこそ、少年が気がついてもその口内を蹂躙することを止めず、少年の手を掴んで自分の胸元にあるわけも無いくせに直に触れさせて恍惚としている美少女という名の性欲の権化に、そんな絵になる光景など生まれ出わけもない。
で、少年が美少女の舌技で意識が薄まったあたりで少年を引きずり、外野のほうを向いて。
「では皆様、私旅の疲れもあるので早々に休ませていただきます」
と言って、教会内の彼女にあてがわれている部屋に少年同伴で向かっていった。
追記すると、美少女が立ち去って、数分後に敗北者達が復活し嫉妬に染まった情念でダメージを瞬時にリカバーし、美少女の彼女たちからの視点での不当な強奪による愛しき人を取り戻すため第二回戦勃発。
少年は今度は命からがら逃げ出し、姉に保護を訴えたそうだ。
結果はその場所では第二回戦でダブルKOとなり少年は逃げおおせたのだが。
その夜マスターテリオンと同じく夜這いを敢行した漆黒の美少女による寝ているところを全裸でのしかかられ、耳元に。
「シンジ様、エセルはシンジ様のためならなんでもOKです、以前のように私の体を貪って下さいまし」
と美少女に囁かれ、それ以前に既にやってんのかと言う突っ込みはあるが。
シンジ君も男の子というわけで。
さすが大十字九郎の義弟というかなんというか、美味しく頂いたそうです。
翌朝、全裸で共にベッドにつく男女がいたとかいなかったとか。
何気にシンジ争奪戦ではエセルが本命のようだ。
現時正妻候補ナンバー1 エセルドレーダ。
今回登場が多いなと思いつつ、ネルフ本部、司令執務室。
先程、セントラルドグマでの爆発を知り、それこそ取るもの取らず転がるような勢いで其処に駆けつけた髭と老人であったが。
その愚者どもが見たのは破戒され尽くした綾波レイ培養ケースとそのデーターを保存していた独立コンピューター、ダミープラグ関連資料の一切の紛失。
勿論綾波レイの予備体はいったい残らずLCLに還元していた。
そしてこの罪業の産物の成れの果てを見た髭男、六文儀ゲンドウは。
呆然として、只その場に立ち尽くし、目の前にある破壊の後をうつろな目で見続けていた。
遅れてやってきた冬月が来るまでずっと。
その後、この後の対策の為に司令執務室に戻ってきていたのだが。
その頃には何とか自制を取り戻したのか暗い瞳を湛えた男と、疲労した表情の老人が二人いるだけだった。
老人はどこかに連絡を取る為、何事か話していたが、暫くして受話器を降ろし。
「赤木博士が行方不明だそうだ、セカンドチルドレンもな」
「捜索させろ、セカンドチルドレン共々ここに連れてこさせろ」
「無理だろうな、既に日本にいない可能性が高い、MAGIがサポートしたのだろう本部内でロストしてから既に六時間以上たっているすでに身を隠しているよ」
「・・・・・・・・」
「この手際から爆破したのは赤木博士だろうな、裏切られたな六文儀」
まぁ、冬月としては懸念はしていたのだ、この冬月の目の前にいる男の行動がいつ反逆されるか分かったものではないくらい非道で杜撰なものだったのだから。
そう思っていても何もしないこの老人も十分に外道であるが。
そして裏切られたのが今というだけだろう、遅いか早いかの違いしかない。
それでも自分の奴隷が自分の悲願をぶち壊しにしたことなど赦せるはずも無いだろうが。
今この髭面外道男の中ではリツコは数百回なぶり殺しの眼にあっているだろう、悪魔で想像だろうが。
この男にしてみれば、自分の命令を遵守する奴隷に過ぎない犬畜生と大差ない奴隷が、卑しくも飼い主たる自分に噛み付いてきたのだ。
自分の駒が自分の思い通りに動かないことに理不尽な怒りを燃やす馬鹿の中にはかつて無いほどの怒りが燃え盛っていた。
しかも特別に目を掛けてやった奴隷に、今まで生かしてやったという恩も忘れて、使ってやったという感謝も感じず、男が全身全霊をあげて取り組んでいた、唯一愛するものと会うはずの手段を壊しつくした。
その憎悪に燃えた心で今失ったものに対する心の空虚さを埋めんとするように。
裏切り者に対する憎悪を燃やしていた。
「それで、どうするのだ、これでシナリオからはかなり逸脱した、本部には現在のところチルドレンはおらず、ダミープラグも中止するしかあるまい、今動けるエヴァは無いのだぞ」
「・・・・・・・・すぐに二人のチルドレンが入る、レイは何としても奪い返す、サードも生きてさえいれば十分だ」
「どうするというのだ、以前それをしようとして、失敗したのだろうが」
「問題ない、やり方次第ですよ、そんなことは、今度は失敗させん」
何を企んでいるのだろう。
ただ今この男に理性という二文字は絶対に無いだろうが。
どうせろくでもないことだろうし。
「どうするつもりだ」
「何、取引をすればいいのです、そう取引を」
絶対にろくでもない。
その後その内容を耳打ちされた冬月は男同様ニヤリと笑い。
大きく頷いた。
やっぱりこの電柱も同じ穴の狢である。
To be continued...
(あとがき)
今回はネルフパートがかなり大目、リツコ、アスカネルフ離反編でした。
まぁあんな生き地獄のような場所長居する必要なんてナッシングなので早々に。
後エセルは争奪戦で最もシンジに近い存在で恋人に最も近い肉体関係ありです。
二馬鹿の扱いも決まりましたし、この二人の扱いはこんなもんです、特に変態眼鏡は救いようが無いですから。
次回からは髭の計画、どうせろくでもなくくだらないものですがが実行され、アンチネルフをブラックロッジで明確になります、この時点で瑠璃はネルフはゼーレの駒のひとつとそれほど敵視していませんでした、敵視するまでも無かったというところでしょうが。
追記、マスターテリオン女性化ですが、女性でこの名前もなんなので何か別名、愛称未知な感じで何かありませんかね。
後一応考えてはいるんですが、リベル・レギスの召喚祝詞も何かいいのがありましたらお考え願えないでしょうか、真に勝手ですがよろしくお願いします。
(ながちゃん@管理人のコメント)
sara様から「無垢なる刃金を纏う者」の第六話を頂きました。相変わらず凄いテキスト量です。
いやー、ホント面白いですねぇ〜。これが才能の違いというヤツでしょうか?(比較対象→管理人)
よくよく考えると、管理人が一番最初に読めるんですよねぇ、コレ。
まあ、役得とはいえ、一番風呂に入ったような、何か抜け駆けをしたような美味しい気分です♪
いっそのこと、このまま公開せずに、こっそりと人目につかない管理人のプライベート書庫に・・・ゲフンゲフン、いやいや何でもありませぬ(笑)。
ミサトなんて、ついに淫売まで成り下がっているし・・・呆れますよねぇ(笑)。
アルコールが切れ掛かって、あれが「素」だったんでしょうねぇ。
もはや獣以下ですな。さんざ暴れた挙句に檻越しに放水されるなんて・・・無様すぎますな(笑)。
それに、作戦妨害部長・・・実にナイスなネーミングです♪深夜なのに思わず大声で笑っちゃいましたよ。
メガネとジャージ、そうきましたか・・・。狂牛の名(迷?)指揮の下、これからの活躍(?)を期待しましょう♪
リツコとアスカは、ついにネルフを裏切りました。ホッと一安心ですね。
ゲンドウ、良い気味です。
何やら良からぬ事を企んでいるようですが、逆に痛い目を見ることは必定でしょう・・・フフフ(汗)。
それにつけても、シンジ君って、結局は九郎と同類項だったのですね。すでにやることをやっているとは・・・(笑)。
なんともはや・・・凄まじい限りですな(笑)。
某亡命少女も、この苛烈を極めるシンジ争奪戦へと参入するのでしょうか?(生身の人間に出来るのか?)
まあ、そのこと自体に可能性があるのかどうかはわかりませんが、ある意味、楽しみにしております。
最後に・・・二号機のコアの中の人、どうなるのでしょうね?初号機と同じで、このまま蚊帳の外の予感・・・(汗)。
色々と続きが気になりますね。シナリオに狂いが生じたゲンドウの焦燥、暴走っぷりも見てみたいし・・・。
皆さん、作者様に応援・感想メールを送って、どしどし次作を催促しましょう〜♪
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