暁の堕天使

聖杯戦争編

第二話

presented by 紫雲様


2月2日、穂群原学園―
 大きな欠伸を噛み殺しながら、士郎は校門を潜った。夜遅くまで起きた上で、早くから朝食の支度をしていたのだから、睡眠不足に陥るのも当然である。
 加えて、朝早くから彼はセイバーと喧嘩をしていた。主を守る為、護衛としてついていく事を主張するセイバーに対し、昼間から襲撃なんてしてこないよ、と楽観視する士郎。2人の意見は平行線のまま、一度も擦れ違わなかった。
 (まあ、いざとなったら令呪があるし)
 欠伸をしながら、階段を上る士郎。その前に立ちふさがった影。
 「・・・ああ、おはよう、遠坂」
 「・・・衛宮君、あなた・・・」
 険しい表情のまま、凛は踵を返し、その場から立ち去ってしまう。
 「・・・何だ、何があったんだ?」
 その原因が自分にあるとも知らずに、士郎は眠気を追い払う事に必死になっていた。

昼休み、音楽室―
 誰もいない、無人の音楽室。そこがシンジの安息場所であった。
 自作の弁当を広げ、黙々と食べるシンジ。その前には、同じく御相伴に与るランサーが座っていた。
 「ふう、旨かったぜ。ごっそさん、マスター」
 ゴロンと横になり、午睡にはいるランサー。その横で、シンジは鞄から本を取り出して、読書を始める。
 そこへドアが開いた。
 「言峰君、いるんでしょ?」
 「・・・久しぶりだね、元気だった?」
 「ええ、おかげさまで・・・」
 硬直する凛。シンジの傍で、ランサーが昼寝をしていたのだから、驚いて当然である。
 「お?なんだ、嬢ちゃんじゃねえか」
 「・・・アンタら、何してんのよ」
 「お昼食べて休憩」
 マスターの言葉に同意するサーヴァント。凛が思わず額に手を当てて、うめき声をあげる。
 「それで、今日は何の用なの?遠坂さん、僕に近寄りたくなかった筈じゃないの?」
 「時と場合によりけりよ。どうしてもはっきりさせておきたい事があるの。貴方の目的は何?どうしてランサーに、私達を襲わせたの?どうして、そんな事をしておきながら、バーサーカーから私達を助けるように指示をした訳?」
 「・・・僕は共闘できる人、同盟者が欲しいんだ。目的は聖杯戦争に巻き込まれて、意味もなく命を散らす、不幸な犠牲者を生み出さない事だよ。それには実力以上に、性格的な面が大切になると思うんだ。だからランサーに、マスターの人物評価を兼ねた偵察をお願いしたんだよ」
 「ま、そう言う事だ」
 「遠坂さんとは、僕が冬木市に来て以来の付き合いだ。僕から見れば遠坂さんが信頼できる人間であるのは分かっていた。でも遠坂さん、父さんにアーチャーさんと契約した事を報告に来ていなかったでしょ?だから僕も『アーチャーの主従は無視していいよ』と指示ができなくて、偵察攻撃しちゃったんだ。それについては謝るよ、ごめんね」
 真剣なシンジと、気軽なランサーの応対に、凛は脱力したように座り込む。その横にアーチャーが現れた。
 「大丈夫か?」
 「何というか・・・疲れただけよ。けど、そこまでサーヴァントを信用してどうするのよ?ランサーが貴方に悪意をもっていて、間違った報告をしたらとか、考えた事はなかった訳?」
 「そんな事、ランサーはしないよ。僕はランサーを信じる。それだけで十分だ」
 シンジの言い分に、アーチャーが感心したようにシンジを見直す。
 「それはともかく、あまり寝てないんでしょう?ハーブティーで良ければどうぞ、疲れを取ってくれる配合にしてあるから」
 シンジの差し出したお茶をアーチャーが受け取り、それを凛に渡す。受け取ったそれを凛は飲み干すと、ふうと息をついた。少しは楽になったのか、かなり気力が戻ってきていた。
 「どうしても疲れが酷ければ、心霊治療するよ?」
 「いいえ、いらないわ。でもとりあえず、貴方の言い分は分かったわ。少なくとも、即座に私達に敵対するつもりはない訳ね?」
 「そうだね。僕が優先するのは、一般の人に魂食いを仕掛けるような、非道な連中だから。ランサーとの約束もあるから途中降板はするつもりないけどね」
 「いいわ、しばらくの間は、私も貴方達に敵対しない」
 スッと立ち上がる凛。そのまま音楽室から出ようとして、静かに振り返る。
 「言峰君。悪いけど、今日だけは早めに帰宅して」
 「何かある訳?」
 「いいから、頼んだわよ」
 そう言い残すと、凛は音楽室を立ち去った。

 音楽室を立ち去った凛は、その足で屋上へ来ていた。
 「アーチャー、彼を見て、どう思った?」
 「予想外だったな。まさか幻想種とは・・・」
 現界化したアーチャーは更に続ける。
 「聖骸布による眼帯、間違いなく弱点の補強だな。あとは、無理に敵対する必要は無い点か」
 「アーチャーの言う通りね」
 「まあ最も気をつける点は、アレのランサーへの信頼の強さだな。ランサー、いやクー・フーリンは特に忠誠を大事にする騎士だ。あれほど無条件に主から信頼されたら、奴は騎士として最高のモチベーションを得る事になる」
 厄介極まりない、とばかりに肩を竦めるアーチャー。
 「だが凛よ、君も迂闊だぞ。あのハーブティー、もし毒が入っていたらどうするつもりだったのだ?」
 「・・・あ」
 「うっかりすぎるぞ、もっと気を付けたまえ。まあ、特に危険な物も入っていなかったから、素直に渡したわけだが」
 あっちゃあ、と額を押える凛。
 「それで、凛よ。先ほどのアレとは、同盟を結ぶのか?実力的にも性格的にも、問題ないと私は思う。何より心霊治療の使い手というのは、特にポイントが高い」
 「まあ同感だけど、別に焦る必要はないでしょ。それより重要な事があるわ」
 凛の真剣な眼差しに、アーチャーもまた真剣な表情で返す。
 「凛、君が辛いのならば・・・」
 「いえ、これは私がつけるべきケジメなの。自分でやらなきゃいけないのよ」
 
放課後―
 凛は昼休みのうちに準備しておいた、簡素な人払いの結界を発動させながら、昇降口へ通じる階段の踊り場で待ち受けていた。
 一言で表現すれば、彼女は怒っていた。
 サーヴァントを連れもせずに、ノコノコと単独行動をとる、見習い魔術師に。折角、自分が虎の子の宝石を使ってまで蘇生してあげたのに、そんな事など露と知らずに、相も変わらずノホホンとしている男に。
 「遠坂?」
 「衛宮君。言ったわよね。何で1人で出歩いている訳?」
 「何を言ってるのさ。まだ放課後だ、校内にはみんながいるじゃないか」
 「どこにみんながいると言うの?」
 言われて初めて気がつく士郎。その有様に、怒りだけでなく失望すらも感じる凛。
 「私が貴方を教会へ連れて行ったのはね、貴方にマスターとして戦ってほしかった訳じゃないの。聖杯戦争という現状を認識してもらうのが目的だったのよ。そうすれば、貴方だって無謀な行動は避けてくれるだろう、私はそう信じていたのよ」
 「・・・遠坂?」
 「言った筈よね?今度会ったら敵同士だって!」
 凛が魔術回路を発動させる。同時に、左手に呪いの弾丸―ガンドが集中する。
 「あれだけ忠告したのに、全く聞いてくれなかったのね」
 「ま、待て!遠坂!俺はお前と戦う気なんてないんだ!」
 「選びなさい!令呪を捨てて聖杯戦争から離脱するか、それとも、私の手にかかって死ぬかを!サーヴァントを連れ歩く最低限の事すらしない貴方に、戦う資格なんて無い!」
 同時に遠坂から放たれるガンドの嵐。そのガンドを、士郎は手に持っていた鞄を犠牲にして、階段下ではなく校舎の奥へと逃げていく。
 「読みが外れたか・・・」
 てっきり昇降口へ向かうだろうと考えて、階段下へ撃ったガンドは無駄になってしまった。だが気持ちを切り替えると、即座に追撃にかかる。
 「待て、凛。ここは私が代わろう。いったん情の移った相手を倒すのは難しいだろう?」
 「黙ってなさい、アーチャー。これはアタシの役目だと言ったでしょう!」
 士郎が教室に飛び込んだのを確認すると、凛は躊躇いなくガンドによる掃射を行った。例えどこに隠れていようとも、問答無用で倒すつもりでしかけた攻撃である。
 しばらくして静かになったのを確認すると、凛は教室へ入った。
 舞い上がる埃のおかげで、視界もろくに確保できない。
 (・・・どこ?どこにいる?)
 その瞬間、押し倒される凛。背中を強く床に打ちつけられ、一瞬だけ息がとまる。
 「遠坂!頼むから止めてくれ!」
 「ふざけたこと言わないで!昨日、あれほど教えてあげたのに、それを無視するような奴なんて知らないわよ!」
 「確かに、それは俺が悪かった。聖杯戦争を甘く見ていたのも認める。でも、だからと言って、俺はリタイヤする訳にはいかないし、遠坂を殺したくもないんだ!」
 必死になって説得する士郎。だがそんな士郎を、凛はあざ笑った。
 「無駄よ、ここで貴方を見逃すメリットなんて無いわ」
 「俺は聖杯戦争に巻き込まれる人達を救いたいだけだ!新都でも深山でも、マスターが犯人らしい事件が起こっている!俺はそんなマスターを許せないだけだ!」
 「・・・ホント、おめでたい男ね」
 暗い笑みを浮かべた少女に、士郎が呆気にとられる。
 「私がその犯人だと考えた事は無い訳?『魂食い』といってね、人の魂を食らえば、サーヴァントは強くなる。魔術師にとって、目的の達成こそが最も重要。その為なら、手段は問わない。それこそが魔術師なのよ」
 「何を・・・言って・・・るんだ・・・」
 「私も勝つ為なら、何でもするって言ってんのよ!」
 両足に力を込めて士郎を蹴り飛ばす。距離を取りながら起き上ると同時に、ガンドの狙いを定める凛。
 そしてガンドを放とうとして、凛は動きを止めた。
 目の前の士郎が、自分を見ていない事に気付いたから。
 「遠坂、今の、聞こえたか?」
 「何を訳の分からない事を!」
 「だから!今の悲鳴が聞こえなかったのか!そう言ってるんだよ!」
 凛を無視して士郎が教室を飛び出す。
 「待ちなさい!衛宮君!」
 その後を追う凛。士郎を無力化するには絶好のチャンスだったが、凛はそれもせずにひたすら士郎の後を追いかけた。
 階段を駆け下り、1階の廊下を走る。
 「見つけた!」
 士郎が廊下で倒れていた女子生徒を抱き起こす。
 「おい、大丈夫か!」
 返事のない女子生徒。追いかけてきた凛が、手早く診断していく。
 「・・・生命力を吸い取られているわね。致命傷ではないから、しばらく休ませておけば」
 「伏せろ!」
 その声に、凛が顔を上げる。同時に、温かい液体が凛の顔に飛び散った。
 「・・・衛宮君?」 
 「遠坂!その子を頼む!」
 凛に向かって投じられた物体は、士郎の左手に風穴を開けていた。だが士郎は苦痛の呻き声すら上げずに、廊下の外へと飛び出していく。
 その時、士郎の脳裏に強い違和感が生じた。
 勘に従い、校庭の隅にある雑木林を目指して士郎が駆け抜ける。
 雑木林の中で士郎を待ち受けていたのは、両目を眼帯で閉ざした美女であった。
 「・・・驚いた・・・まさかマスターが単独で来るなんて・・・」
 「お前、遠坂の顔を狙っただろ。どうしてあんな事をした!」
 「ふふ。これは聖杯戦争なのですよ?勝たなければ意味など無いのです」
 妖艶な美女は、士郎を面白そうに見つめていた。
 「私はライダー。サーヴァントを連れずに出歩く、その蛮勇。あの世で後悔なさい」
 突如、距離を詰めて接近戦を仕掛けるライダー。
 戦闘技術その物は習得していないのか、その動きや行動には無駄がありすぎる。はっきり言ってしまえば稚拙と言っても良いほどである。だがただの人間である士郎にしてみれば、サーヴァントのもつ身体能力の高さ自体が、圧倒的なまでの差となって士郎を苦しめる。
 「同調開始トレース・オン!」
 士郎の選択は強化の魔術。自分が着ている制服その物を強化する事で、ライダーの猛攻を凌ぐ事を選択した。
 実際、強化された制服は役に立っていた。ライダーは短剣で攻撃していたのだが、サーヴァントの力で振るわれているにも関わらず、掠り傷程度ですんだからである。
 「必死ですのね。諦めていれば、苦しまなくても済むのに」
 短剣での攻撃を諦めたライダーが、咄嗟に前蹴りを放つ。
 その威力の大きさに、吹き飛ばされた士郎が立ち木に叩きつけられる。強化された制服でも吸収しきれなかった衝撃が、士郎の内臓にダメージを与えていた。
 「俺は・・・俺は認めない・・・罪もない人達を手にかけて、陰でコソコソ動き回って、そんな連中が英雄だったなんて俺は認めない!」
 無言のまま、ライダーが士郎の左腕に短剣を突き立てる。
 飛び散る血。士郎の口から苦悶の声が上がった。
 「私は反英雄。忌み嫌われ、恐れられるあまり崇拝の対象となったもの。自らの悪行によって、結果的に世に善をなしたもの。私はそういう存在なのですよ」
 短剣の切っ先が、士郎の左目に突きつけられる。
 「その目玉を抉り出し、マスターへの手土産としましょう!」
 ライダーの短剣が弾き飛ばされる、咄嗟に飛び退いたライダーと、士郎の間に人影が立ちふさがる。
 「坊主、何でセイバーを連れて来ねえんだ」
 「ランサー!」
 「全く、これで俺のマスターに貸し2つだ、あとでちゃんと清算しろよ?それより」
 ランサーの両目がライダーに向けられる。
 「良い女じゃねえか。お前、クラスは?」
 「私はライダー。貴方はランサーですね?」
 「その通りだ。少し、遊ばせて貰うぜ?」
 ランサーの槍が、ライダーに襲いかかる。だがライダーは交戦しようともせずに、すぐに後ろへ飛び退いてしまう。
 「おい、てめえ、どういうつもりだ?」
 「さすがに2対1では分が悪いですから」
 ライダーの視線の先、そこには弓を構えるアーチャーと、凛がいた。
 「それに、今の私では正直、勝てる気がしません。いずれ、また」
 戦線から離脱するライダー。そこへアーチャーと凛が駆け寄る。
 「やれやれ、余計な事をしてくれたな。折角、楽しめると思ったのによ」
 「ならば次は貴様もろとも、滅ぼしてくれよう」
 「おうおう、威勢が良いねえ」
 言葉の応酬を続けるサーヴァントを無視して、凛が士郎の様子を見ようと近寄る。だが士郎は同じだけ後ずさった。
 「ああ、もう!別に今さら、襲いかかったりしないわよ!」
 「そ、そうなのか?」
 「当たり前でしょ!第一、さっき庇ってくれなかったら、今頃私は死んでたのよ!だから、さっさと傷を見せなさい!」
 グイッと引っ張り、左手の風穴を確認する凛。だがその傷跡は、きれいさっぱり塞がっていた。
 「あ、あら?」
 「俺、昔から傷が治るの早いんだよ。まあここまで治りが早かったのは初めてだけど」
 「早いって限度があるでしょ!」
 全く、と呟きながら校舎へ戻ろうとする凛。そこへ近づいてくる足音。
 「セイバー?」
 「シロウ、嫌な予感がしたものですから、来てしまいました」
 「そっか、ありがとうなセイバー」
 一安心したセイバーだが、今の士郎はズタボロである。鞄は廊下で捨て、制服は強化したとはいえ、ライダーの攻撃でズタズタ。特に血の跡が生々しい。
 「マスター、やはり言わせて頂きます!」
 「うん、遠坂にも言われたよ。もう二度としないからさ」
 「全く・・・」
 セイバーに凛が『貴方も苦労するわね』と同情的な視線を向けた、その時だった。
 セイバーの姿が霞む。一瞬で武装したセイバーは、士郎の背後から襲いかかっていた剣を、その不可視の剣で食い止めていた。
 「アーチャー!背後から切りかかるとは、貴方はそれでも騎士なのですか!」
 「何を言っている。私達は聖杯を巡って争う敵同士なのだ。こうして剣を交えるのに理由などいらん。それにな、不用意に敵へ背中を見せるような愚図相手に、騎士道等不要!」
 再び襲いかかる夫婦剣をセイバーが迎撃する。数合の激突の後、夫婦剣は木っ端微塵に砕け散った。
 「アーチャー、引きなさい。貴方のマスターも、今は戦う意思がない。これ以上は無益な争いにしかならない」
 「ふん・・・I am the bone on my sword」
 再び現れる一対の夫婦剣に、セイバーが馬鹿な、と呟く。同時に、復元された一対の夫婦剣を目にした士郎は、自分の中で何かが動いた事を自覚した。
 その間にも、アーチャーは戦闘の続行を決断し、セイバーに襲いかかる。
 再開される剣戟の嵐。
 「どけ、セイバー、用があるのはそこのマスターだけだ!」
 「させはしない!貴方の相手は私だ!」
 「ならば、押して通る!」
 「やめとけよ、お前ら」
 割って入るランサー。真横からの神速の突きには反応しきれなかったのか、アーチャーが夫婦剣を犠牲に後ろへ飛び退った。
 「なあ、アーチャーよ。俺はマスターから、嬢ちゃんと坊主を守る様に頼まれているんだ。ここでお前が坊主を殺そうとするなら、俺はお前の敵に回るぜ?今すぐにな」
 「む・・・」
 彼我戦力差を冷静に判断したアーチャーが構えを解く。幾らなんでも分が悪いと見たのか、アーチャーは無言で霊体化して消えた。
 「やれやれ、頭のかてえ野郎だ」
 「ランサー、そういえば貴方は私が来るまでの間、士郎を守ってくれたようですね。昨夜の事といい、感謝します」
 「何、別に構わねえよ。マスターからも頼まれてるんでな。それじゃあ、俺は失礼させて貰うぜ」
 霊体化し、その場を離れていくランサー。
 それを見送った後、凛は口を開いた。
 「衛宮君。そういえば、どうして貴方はここに来たの?ライダーの気配でも感じたと言うのかしら?」
 「そうじゃない、ただ違和感を感じたんだ」
 「違和感?」
 「ああ、ちょうどあの辺りかな」
 少し離れた立ち木の根元を指差す士郎。近づいた凛は、思わず顔色を変えていた。
 魔術刻印を稼働させ、念入りに詳細を調べていく。
 「やられたわ。連中、これが目的だったのね」
 「遠坂?」
 「衛宮君、お手柄よ。これは結界の基点なの。今朝から学校全体を覆っていた、結界の基点。今、調べたおかげで分かったわ。この結界、内部に存在する全ての生き物をドロドロに溶かして、自分の内に取り込む為の代物よ」
 血相を変える士郎とセイバー。
 「恐らく、ライダーの仕業ね・・・アーチャー、出てきなさい!」
 「・・・何用かね、マスター」
 「セイバーも聞いてちょうだい。私は今から、衛宮君と共同戦線を張るわ!」
 意味が分からず、呆気に取られる士郎とセイバー。
 「理由を説明してもらいたい、凛」
 「衛宮君は、どうも結界の基点を正確に察知できるみたいなの。そして私の実力なら、基点を正確に破壊していく事ができる」
 「ふむ」
 「恐らく完全に潰すのは無理、腐ってもライダーは英霊なのだから。でも不完全な結界であれば、起動までには時間がかかる。もしライダーが欲ばって、完全な状態での起動を望み、基点の再構築を始めれば、それこそこちらのチャンスよ」
 「確かにな。分かった、マスターの言う事に従おう」
 満足した凛は、機嫌良く士郎に振り向く。
 「ライダーを倒すまで、私達は一時休戦。その間、敵に関する情報は共有する。他のサーヴァントが来た時も、一緒に迎撃。あと私が言いだした事だから、貴方の面倒も見てあげるわ。魔術師としての基本的な事も含めてね」
 「お、おい」
 「勿論、賛成してくれるわよね?」
 満面の笑みを浮かべる凛。セイバーは異論は無いらしく、黙って士郎の返答を待つ。
 「1つだけ確認したい。遠坂、お前言ってただろ。マスターの中にはサーヴァントに魂食いをさせてでも勝利しようとする連中がいる。自分も勝つ為なら、何でもするって。それが本当だとすれば、俺はお前とは組めない」
 「・・・ほう・・・凛、そんな事を言ったのか」
 「この馬鹿!魂食いなんて外道のやる事よ!誰がそんな事するもんですか!あれは芝居を打っただけよ!ふざけないで!」
 「そっか、疑って悪かったな。その話、乗るよ、遠坂」
 本気で怒った凛の姿に、信じられるものを感じて士郎は同盟に同意した。

 「それじゃあ、今から結界の基点を捜そうと思うんだけど、その前に寄っていく所があるわ。約束を無視されたのは腹がたつけど、結果オーライだったしね」
 彼女が向かった先は音楽室である。すると音楽室から微かなチェロの音が聞こえてきた。
 「やっぱりいたわね。セイバー、これから会うのはランサーのマスターよ」
 「なるほど、2度も窮地を救われた礼を言わなければなりませんね」
 「・・・ちょっとまて、遠坂。ランサーのマスターって」
 士郎の言葉は無視して、音楽室へ入る一行。そこには夕陽に照らされながら、一心にチェロを奏でるシンジと、その足元に座り混んで音色に聞き入っているランサーがいた。
 チェロを奏でるのを止めると、シンジは振り向いた。
 「お疲れ様。大分騒いでいたみたいだね、念のためにランサーを張り付けておいてよかったよ」
 「あら、どの辺りからランサーがいたのかしら?」
 「遠坂さんが人払いの結界を稼働させた辺りから。遠坂さんって過激だね」
 クスクスと笑うシンジに、凛が『そんな事はどうでもいいの!』と方針転換を図る。
 「士郎、今度はあんな真似しちゃ駄目だよ。ライダーと一騎打ちなんて、いくらなんでも無茶がすぎるよ」
 「分かった、気をつけるよ」
 「シロウ!貴方はそんな事をしていたのですか!」
 セイバーの雷が落ちる。
 「落ち着いてセイバー。そんな事をしに来た訳じゃないんでしょう?」
 「そ、そうでした。ランサーのマスター、昨夜の事といい、今日の事といい、2度に渡り助けてくれた事に感謝します。我が名はセイバー、士郎の剣です」
 「僕は言峰シンジ。ランサーのマスターです。士郎とは友達、遠坂さんとは父を通じての知人です。見ての通り、士郎は思いついたら即行動する性格なので、手綱を取ってあげてください」
 ペコリと頭を下げるシンジに、セイバーが納得したように頷く。
 「でも、まさかシンジがマスターとは思わなかったよ」
 「それは僕のセリフだよ。ランサーから報告を受けた時は、本気で心配したんだよ。お願いだから危険な事はしないでよ」
 「ああ、それは無理。俺は正義の味方になりたいんだから」
 何を言っても無意味と諦めたのか、笑うしかないシンジ。そこへ凛が口を挟んだ。
 「それより言峰君。私達と手を組む気はないかしら?貴方、同盟者を捜しているんでしょう?」
 「そうだけど?」
 「私と衛宮君は、ライダー討伐までの期間限定で手を組む事にしたのよ。貴方もこの結界は気付いているでしょう?こんな外道を放っておく訳にはいかないわ」
 シンジが無言でランサーに視線を向ける。向けられたランサーはといえば、ニヤッと笑うだけで何も口にしようとはしない。
 「いいよ、そういう事ならこちらからもお願いするよ。ただ、できれば期間を延ばしてほしいな」
 「いつまで?」
 「少なくとも、バーサーカーを何とかするまで。その後についてはその時次第って事でどうかな?」
 その言い分に納得する一同。3:1という戦力差に関わらず、互角以上の戦闘力を見せつけた、狂戦士の姿は強く焼き付いていた。
 「そうね、私は賛成しても良いけど、誰か反対する人はいるかしら?」
 反対意見が無い事を確認すると、凛は大きく頷いた。
 「よし、それじゃあ同盟成立ね。じゃあ早速だけど、言峰君にも手伝ってもらうわよ」
 「僕に?」
 「そう。衛宮君が基点を調査。私が解呪。アーチャーとセイバーはその護衛。貴方達も護衛に入ってほしいの。特に言峰君の力は重要だからね」
 「リン、彼はそれほどの使い手なのですか?恵まれた体格であるのは認めますが、多少痩せているのでは?」
 剣の英霊らしく、単純に力=戦闘力と考えたセイバーに、凛が笑いながら答える。
 「言峰君は心霊治療―治癒魔術の使い手なのよ。仲良くしておいて損は無いわ。彼の治療があれば、例え重傷を負っても、助かる事ができるのだから」
 「それは素晴らしい。ランサーのマスター、我がマスターが怪我をしたら、その際には是非、お願いします」
 「俺限定かよ、セイバー」
 士郎の呆れたような声に、笑い声が上がった。

外が暗くなる頃になって、3人はやっと学校から出てきた。
「大分、解呪できたわね。ライダー、あれ見たら驚くわよ」
ストレスが解消できたのか、満面の笑みである。もっとも、その笑みはいじめっ子のそれに通じる物があったのだが。
そんな凛に、シンジが声をかける。
「さて、それじゃあ僕は用事があるから、また明日ね」
「え?今から?」
「うん。これからキャスターの所に行く予定なんだよ。情報は多い方が良いでしょ?」
驚きで目を剥く凛。士郎とセイバーも似たり寄ったりである。
「本気なの?」
「大丈夫。単なる偵察だから、軽く手合わせしたら引き上げてくるよ。それと僕の方でも、まだライダーのマスターが誰かは分かっていないんだ。余裕があったら、そっちも調べてくるよ」
「気をつけなさいよ。間違いなく言峰君が私達の要なんだから」
「ありがとう、それじゃあ、またね」
1人離れるシンジ。その後ろに霊体化したランサーがつき従う。
「さて、私も用事があるから、ここで失礼させて貰うわ。詳しい話は、また後でね」
「ああ、またな遠坂」
「リン、お気をつけて」
士郎達から離れた凛。やがて人気のない路地に差し掛かったところで、アーチャーが現界化した。
「アーチャー、衛宮君との共闘が不満なの?でもあの現状では、これがベストよ」
「セイバーのマスターが、足を引っ張らなければな」
「随分、突っかかるわね?」
「単に与しやすい相手だからだ。敵の弱い部分から突き崩すのは戦略戦術の基本だ」
アーチャーの言葉に凛が笑い返す。
「貴方、衛宮君が嫌いなの?何か恨みでもある訳?」
「気のせいだ」
「ふうん、そうは思えないけどね・・・」
凛が向かった先は、冬木の街を一望できる高台だった。すでに暗くなった街並みには、家から漏れ出る灯りがチラホラと見える。
「私はこの街を管理する遠坂家の当主として、この10年を過ごしてきた。魔術協会からこの土地の管理を任された者として、魂食いなんて外道を許す訳にはいかないのよ!」
「それほどの覚悟があるのなら、何も言わんよ」
「ありがと、キャスターの方は言峰君が偵察するそうだし、私達も動くわよ!」
凛は元気よく宣言すると、自宅へ向かって駆け出した。

衛宮邸―
 台所から聞こえてくるカチャカチャという音。台所で夕飯の支度をする士郎の背中を眺めながら、セイバーが口を開いた。
 「シロウ、あのランサーのマスターなのですが」
 「シンジの事か?良い奴だろ、アイツ」
 「それは認めるに吝かではありません。ですがシロウは知っているのですか?彼が人間ではない事に」
 思わず振り向くシロウ。セイバーは足を崩すことなく、正座したままで話を続けた。
 「彼は幻想種。私達、英霊に近い存在です。何故、こんな所で聖杯戦争に参加しているのか知りませんが・・・」
 「実を言うと、俺もアイツの過去は知らないんだよ。中3の冬に、転校生として引っ越してきて以来の付き合いだからさ」
 話しながらも、士郎の包丁捌きは止まらない。
 「ただ気になる事があったんだ。セイバーはサーヴァントとして召喚される際に、その時代の常識を理解して召喚されると言ってたよな?」
 「はい、その通りです」
 「それなら今から3年ほど前に、第3新東京市で起きた使徒戦役って奴を知ってるか?」
 キョトンとするセイバー。
 「いえ、それは知りません。恐らく、聖杯戦争には必要ない事と認識されたのでしょう」
 「そうなのか、使徒戦役ってのは使徒と呼ばれる謎の生命体と、人類を守る為に作られたエヴァンゲリオンというロボットの間で行われた戦争なんだよ」
 「そのような事があったのですか・・・」
 愕然とするセイバー。
 「気になるのはアイツの名前なんだよ。アイツの本名は碇シンジ。これは間違いないんだよ。でもな、同じ名前の奴がエヴァンゲリオンの操縦者として選ばれていたんだ。でもそいつは4歳の時に交通事故死している」
 「それならば、ただの偶然ではありませんか?」
 「アイツさ、エヴァンゲリオンを作ったNERVという組織に保護者がいるんだよ。おまけに、エヴァンゲリオンに乗って戦ったパイロットが、アイツの母親のお墓へ花を供えに来ていた。しかもアイツの母親と、4歳で死んだ子供の母親は、同じ名前なんだよ。これは本当に偶然なのかな?」
 そこまで言われてしまうと、さしものセイバーも『まさか?』と疑問を抱いてしまう。
 「まあ、アイツが人間かどうかなんて、俺には関係ないよ。セイバーだって、アイツの事、良い奴だと認めたしな」
 「確かにそうですが」
 「俺はそれよりも遠坂が気になるよ。あれは猫の皮を被った悪魔だ。俺が憧れていた清楚な遠坂凛とは、えらい違いだよ」
 そこで障子が開く。
 「へえ、衛宮君は私の事を、そう見てくれていたんだ。光栄だわ」
 「遠坂!どうして、おまえここに!それにその荷物は!」
 「ああ、しばらくこちらに厄介になるから。言ったでしょ?貴方の面倒も見てあげるって、魔術師の基本的な事から始めてね」
 凛の笑顔に、思わず調理の手を止めた士郎であった。
 「でも、やっぱりセイバーね、言峰君が人間じゃない事に気付くなんて」
 「凛は何か知っているのですか?」
 「綺礼は正体を知っているみたいだけどね。正直言って、私も知らないのよ」
 
柳洞寺―
 シンジとランサーのコンビは、柳洞寺へと来ていた。一成の自宅であるここにキャスターがいると知り、一成の事が心配になったからである。
 とは言え、偵察は身軽さが大事である。
 結局、シンジは寺の外でランサーの帰還を待つしかなかった。
 「周囲は霊体をこばむ結界。入口は正面の山門だけか」
 肩に槍を担ぎながら、鼻歌交じりに階段を登っていくランサー。
 「おっと、おでましか」
 山門の奥から出てきたのは、剣と楯をもった骸骨の群れであった。
 「確か、この国じゃ虎穴にいらずんば虎児を得ず、って言葉があったな!」
 ランサーはそう決断するなり、力任せにゲイボルグを振り回しながら強行突破を図る。骸骨の群れは一撃で木っ端微塵に砕かれ、瞬く間にその数を減らしていった。
 「キャスター、出てこいよ。この程度の門番じゃ、準備運動にもなりゃしねえ」
 「・・・ふん。人の家に土足で踏み入ってきた割に、随分と態度のでかい事」
 咄嗟に飛び退くランサー。僅かに遅れて、天から光が降り注ぐ。
 (ほお、詠唱した様子は無かったな・・・それでこの威力かよ・・・)
 内心で感嘆しながら、攻撃を全て回避していく。いつまで経ってもランサーを捉えられない事に苛立ちを覚えたのか、キャスターが一際大きな光弾を作り上げる。
 「おいおい、でかい花火じゃねえか?」
 「くらいなさい!」
 キャスターから放たれる光弾。炸裂する閃光と爆音。
 ランサーがいた場所には、一際大きなクレーターが姿を現していた。
 「やるねえ。あれを食らってたら、俺でもやばかったな」
 慌てて声の聞こえてきた方向へ視線を向けるキャスター。そこには余裕を浮かべるランサーが立っていた。
 「ランサー、貴方、いつの間に!」
 「お前の魔力が随一なら、俺は速さが随一なんだ。この程度の芸当で驚くなよ?」
 そのままランサーは山門へと飛び移る。
 「マスターも隠れいてるようだし、これ以上、戦う意味もないな。俺は帰らせて貰うぜ」
 「クッ!」
 天から降り注ぐ光の雨。だが一瞬早く、ランサーは霊体化して姿を消していた。

新都、繁華街―
 「という訳だ」
 「そっか、ありがとうランサー」
 霊体化したランサーから報告を受けながら、シンジは新都の繁華街を歩いていた。時間は夜の11時。まだまだ人通りの多い時間帯。残業帰りのサラリーマンや、濃いめの化粧をした女性、黒服を着た呼び込みの男性の姿が目に付く。
 私服姿のシンジは、長身と眼帯の影響もあって、とにかく目立つ。呼び込みを『高校生ですから』と断りながら歩き続ける内に、その足が止まった。
 「ランサー」
 「ああ、奥だな。俺が前に立つ」
 路地裏の奥は、闇に呑まれて一寸先も見通す事はできない。現界化したランサーを前に奥へと進んでいく。
 「これはこれは、まさかこのような場所で・・・」
 「ふん、ライダーか。てめえ吸血種だったのか」
 立ち上がるライダー。その足元に崩れ落ちる、制服を着た少女。
 「美綴さん?」
 「ほう。そちらの方が貴方のマスターですか。まさか幻想種とは、それも神に近い高位の幻想種と見受けましたが・・・」
 短剣を構えるライダー。その矛先は、シンジにも幾分、向けられている。
 「ランサー、待って。ライダー、一つ聞きたい。どうしてその娘を狙ったんだ?」
 「マスターの命令だからです。でも私好みの可愛い子ですから、死ぬほどには吸っていません。が、もしこのまま放っておけば・・・」
 「ランサー!ライダーを撃退して!」
 同時に飛び出すランサー。神速の突きをもってライダーを牽制する。学校の時は顔合わせだけだったので、いまだに令呪の縛りは有効。だがそれでもライダーを追い詰めるに相応しいだけの速度はあった。
 「クッ!」
 「おらおら、どうした?魔力の補充は十分じゃねえのかよ!」
 「目障りな!」
 短剣を振るい、必死でランサーの猛攻をかわすライダー。ライダーもまた速度を身上とする英霊である。だからこそ、防御に徹する事でランサーの攻撃を防ぐ事が出来た。
 「まあ良いでしょう、命令は達成しました」
 大きく後ろへ飛び退くライダー。ランサーも令呪の縛りが残っているので、まだ殺す訳にもいかず、敢えて見逃すしかない。
 「ライダー、学校の結界、あれもあなたの仕業だね?」
 「ええ、そうですが」
 「それではあなたのマスターに伝言を。『僕はお前に敵対する』と」
 ランサーが背中に感じたプレッシャーに驚き、慌てて振り向く。ライダーもまた、呆然としていた。
 シンジの残された左目が赤く輝きだし、全身から体内に留めておけないほどの力が溢れかえり、靄のようにシンジの体を取り巻いている。
 「ちゃんと伝えてください。それさえ約束してくれるのであれば、今は見逃します」
 「・・・生意気な事を、と言いたい所ですが、その力を見ては何も言えませんね。ええ、確かに伝言、承りました」
 闇に消えるライダー。それを確認した後、シンジは美綴の首についた、吸血の痕を心霊治療で治す。
 綺麗になった首筋を確認すると、シンジは美綴を抱き上げた。
 「病院へ連れて行こう。他には怪我も無さそうだね」
 「・・・だな。護衛は任せておきな」
 「うん、頼むよ」

サーヴァント・ステータス
クラス:セイバー
マスター:衛宮士郎
真名:アルトリア=ペンドラゴン
性格:秩序・善
身長:152cm 体重42kg
特技:器械運動、賭けごと全般
好きな物:きめ細かい食事、ぬいぐるみ
苦手な物:大雑把な食事、装飾過多
天敵:ギルガメッシュ、悪戯好きの老人
筋力:B  魔力:B 耐久力:C 幸運:B 敏捷:C 宝具:C

クラススキル
対魔力:A Aランク以下の魔術無効化。事実上、現代の魔術では傷つける事は不可能
騎乗:B 大抵の動物を乗りこなす。幻想種(魔獣・聖獣)を乗りこなす事は不可能

保有スキル
直感:A 戦闘時、未来予知に近い形で危険を察知する能力
魔力放出:A 身体や武器に魔力を纏わせて強化して戦う技能
カリスマ:B 戦闘における統率・士気を司る天性の能力。一国の王としては十分すぎるカリスマ

宝具
風王結界インビジブル・エア:C 対人宝具
約束された勝利の剣エクスカリバー:A ++ 対軍宝具



To be continued...
(2011.02.12 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回はキャスターとライダーお披露目&3騎士陣営の同盟成立の話です。もっとも、このままスンナリと終わらせるつもりはありません。もし宜しければ、色々と展開を想像してみるのも楽しいかもしれません。
 次回ですが、ライダー陣営の暴走と、それを止める為に動く3騎士陣営がメインの話しになります。ただ衛宮邸へのセイバー・凛の居候生活に纏わる、大河や桜の話もあるので、戦闘一色という訳ではありません。ちなみに臓硯も登場する予定です。
 それでは、また次回も宜しくお願い致します。



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