暁の堕天使

聖杯戦争編

第四話

presented by 紫雲様


2月4日、衛宮邸―
 パシーン!
 道場に響く甲高い音。続いて何かが倒れこんだような音が聞こえてきた。
 「さあ、もう一本です!」
 「ああ、頼む!」
 零れおちた竹刀を手に、再び立ち上がる士郎。気勢をあげて正面から突撃していく。
 上段から振り下ろされた一撃を、横に弾いてかわすセイバー。そのまま最少下限の動きで、鋭い一撃を士郎の脳天にお見舞いする。
 「防御が疎かになっています!さあ、もう一度!」
 その光景を、凛は黙って見ていた。ちなみに傍らには、水を入れたヤカンが置かれている。
 「おはよう、上がらせてもらったよ」
 「あら、早いわね」
 ランサーとともに入ってきたシンジに、凛が挨拶を返す。
 「士郎の調子は?」
 「アイツ、化け物ね。昨日、アイツの魔術回路の悪い癖を直すために、思いっきり強力なショック療法してやったのよ。普通なら明日までは寝込むはずなのに、セイバー相手に朝稽古だもの」
 「士郎って頑丈なんだね。それで稽古の方は?」
 肩を竦める凛。わざとらしく頭を左右に振る。
 「剣の英霊であるセイバーに勝てる訳ないでしょ」
 「辛辣だね、だったら止めればいいのに」
 「別に、そういう馬鹿は嫌いじゃないから」
 再びセイバーに打ちのめされ、それでも歯を食いしばりながら起き上がる士郎。その姿を見る凛の表情は、暖かいものがあった。
 「そういえば、士郎って恋人いるのかな?」
 「ん?何かあった訳?」
 「いや、昨日、間桐さんを送ってきたでしょ?少し話したんだけど・・・あの子、士郎の事が好きみたいだね」
 「へ、へえ、そうなんだ・・・」
 凛の顔が険しくなる。いかにも『失敗したわ』という感じである。人間関係において、凛は決して鈍感ではない、どちらかといえば敏感な方である。
 昨日の状況を思い出し、もし桜の立場だったらと、省みたのである。
 血縁関係でも何でもない凛が『士郎の家に来ないで』という発言をし、それを受け取った桜が、士郎に恋心を抱いていたら?
 間違いなく『凛と士郎はそういう関係になっているかも?』と考えてもおかしくはない。
 「機嫌が悪かったのは、間桐と喧嘩中だから、と説明しておいたけど」
 「まあ、嘘じゃないわね。いいわ、あとは上手く言い訳しておくから」
 「多分、問題はないと思うよ。あの子、前向きに捉える事にしたみたいだから」
 凛の顔がシンジに向く。シンジの傍にいたランサーは、その様子をニヤニヤと笑いながら眺めていた。
 「士郎の家に顔出せない時間を作って、手作りのマフラー作ってプレゼントしたら?って助言したんだよ」
 「ほ、ほほおおおおお」
 「士郎、プレゼントする側に立つ事はあっても、貰う側になる事は少なそうだから。割と効果はあるんじゃないかな?」
 「そ、そうねえ。その通りかもしれないわねえ」
 士郎とセイバーの鍛錬をジッと見つめているシンジに、全く悪気はない。そんなシンジだからこそ、いつの間にか隣に赤い悪魔が降臨していた事にも全く気がつかなかった。
 「それじゃあ、僕はお昼御飯の材料買ってくるよ。遠坂さんは留守番していて貰えるかな?」
 「良いわよ。あと買ってきてほしいのがあるんだけど」
 「何?」
 「豆板醤、タバスコ、唐辛子、ハバネロ、山葵、辛子・・・」
 「何を作るつもりか分らないけど、とりあえず買ってくるよ」
 この後、士郎の悲鳴が衛宮邸に轟く事になる。

マウント深山商店街―
 頼まれた物を買い終えたシンジは、買い物袋片手に、帰路につこうとしていた。
 その時、ふと目についた。
 小さな鯛焼きのお店。その前に、小学生ぐらいの女の子が、実に暖かそうな防寒具を着て、不思議そうに眺めていたからである。
 「・・・あの子供がバーサーカーのマスターだ」
 ランサーの囁きに、シンジが驚いたように女の子―イリヤを見つめる。
 イリヤは自分が見られている事にも気づかず、ひっくり返される鯛焼きの姿を、飽く事無くジッと見つめていた。
 「ちょっと話してみるよ」
 「マジか?顔、ばれてもいいのか?」
 「いいよ。だって僕が危なくなったら、ランサーは守ってくれるでしょ?」
 霊体化しているので分らないが、多分、ランサーは肩をすくめて苦笑しているだろうな、と思いつつ、シンジは鯛焼き屋に寄った。
 「おじさん、鯛焼き下さい。8つ入り2袋」
 「あいよ!それより教会の方はどうだい?」
 「相変わらずですよ。父は墓地が荒らされて、頭を抱えていましたが」
 その言葉に、イリヤがハッと顔をあげる。
 「こんにちは、イリヤスフィールさん」
 「貴方・・・」
 「良かったら鯛焼き、食べない?ここの甘くて美味しいよ?この先の公園なら座れるとこがあるから行こうか」
 少し考えた後、イリヤは開き直ったように、大きく頷いた。

 もうすぐ雪が降ってきそうな曇天の空模様。
 小さい公園に相応しい、小さいブランコにシンジとイリヤは座っていた。
 「はい、どうぞ」
 差し出された鯛焼きを素直に受け取るイリヤ。一口齧ると、驚いたように鯛焼きを見つめ、今度は口一杯に大きく齧った。
 「甘いでしょ、あそこ人気あるんだよ」
 コクコクと頷くイリヤ。その姿にシンジが笑顔を浮かべる。
 「温かいね、これ・・・」
 「でしょう?もう一つどう?」
 「・・・良いの?ありがとう!」
 鯛焼きを受取って喜んでいたイリヤだったが、突然、ハッと顔をあげた。
 「そうじゃなくて!貴方、ランサーのマスターなんでしょ?私を殺そうと思わなかった訳?今ならバーサーカー、いないのよ!」
 「あ、そうだったんだ。全く気付かなかったよ」
 平然と返すシンジに、霊体化していたランサーがクックックッと押し殺した笑い声を上げている。
 「僕は言峰シンジ。分かっているとは思うけど、ランサーのマスターだよ。君の事は何と呼べばいいのかな?」
 「そうね、私の事はイリヤって呼んで」
 「分かったよ、よろしくね、イリヤちゃん」
 子供扱いされたのが気に食わなかったのか、イリヤがムッとした顔をする。
 「イリヤでいいわ!ちゃんづけされると子供っぽいから嫌なの!私はレディなのよ!」
 「そっか、ごめんね、イリヤ」
 「うん、よろしい。貴方の事はシンジと呼ぶわね」
 満足そうに頷いたあと、イリヤは真剣な顔でシンジを見た。
 「ねえ、シンジは人間じゃないわよね?」
 「うん、そうだよ。僕の正体がわかるの?」
 「そうね・・・正直、信じられないけど、神の側に属する存在、天使とか神の眷属とかそんな所かしら」
 「すごいね、そこまで分かるんだ」
 感心するシンジに、当然でしょ、とばかりにイリヤが胸を張る。
 「でも内緒にしといてよね。あまり他人に知られたくないからさ」
 「いいわよ、さっきの鯛焼きのお礼ってことで」
 「ありがとう、助かるよ」
 鯛焼きを2つ食べ終えて満足したのか、イリヤはブランコを漕ぎ出した。
 「シンジはどうして聖杯が欲しいの?」
 「僕は聖杯なんて興味無いよ。ただ巻き込まれる人を助けたいだけなんだ」
 「ふうん・・・そうだったんだ・・・」
 シンジを見るイリヤの視線は、真剣、その物。その視線を、シンジは正面から受け止めていた。
 「イリヤは、どうして聖杯が欲しいの?」
 「私は聖杯なんていらないわ。聖杯が欲しいのは御爺様、アインツベルン家が欲しいだけなの。私は聖杯じゃなくて、シロウが欲しいのよ」
 「シロウが欲しい?それってどういう意味?確か、君は士郎を殺そうとしていたよね?」
 イリヤは曇天の空を、寂しそうに見つめた。
 「シロウのお養父さん、キリツグの事は知ってる?」
 「名前ぐらいなら知っているよ」
 「キリツグはね、私の本当のお父さんなの」
 その言葉に、シンジは口を開けて呆気にとられていた。
 「本当よ。でもキリツグは私を捨てた。アインツベルンのお城に帰ってきてくれなかった。私、寂しくて、辛くて、悲しくて・・・その内、キリツグが死んだ事を聞いたわ。その時にシロウの事も聞いたの」
 「そうだったんだ・・・」
 「私はシロウが欲しい。だってシロウは私の弟だから。私もね、人間じゃないの。アインツベルンが生み出した人造人間―ホムンクルス。見た目からは信じられないかもしれないけど、これでも20歳ぐらいなの」
 気軽な口調のイリヤ。彼女にしても、信じて貰えるとは思っていなかったらこその、セリフであった。だからこそ、シンジの言葉には意表を突かれた。
 「信じるよ。僕にもそういう人が身近にいたから」
 「え?」
 「僕の傍にはレイという女の子がいたんだ。見た目は僕と同い年だったけど、本当の年齢は10歳ぐらいだった。詳しい事は言えないけど、その子も遺伝子的な意味では人間とは言えなかったら。でも心は人間だったよ、イリヤと同じようにね」
 「そっか、そうだったんだ・・・」
 ブランコから降りたイリヤが、シンジの正面に回りこむ。そしてジッとその眼を見つめた。
 「貴方は、そのレイって子、好きだった?」
 「好きだったと思う、でもそれは家族みたいな意味で好きだった。レイはね、僕のお母さんの遺伝子を基にして、この世に生まれてきた。そういう意味では、彼女は僕の妹みたいな存在だったよ」
 「恨んだりしなかったの?私はシロウが好き。だってシロウは私の弟だから。でも私の心の中には、シロウを憎く思う気持ちも存在するわ。キリツグを独り占めしたシロウを、憎らしく思う気持ちが」
 「・・・僕はね、最初は嫉妬した。何で父さんは、レイの事ばかり見て、僕を見てくれないんだ、って。本当にそう思ったよ。でもいつの頃からか、そうは思わなくなったんだ。多分、レイが僕の事を少しずつ見てくれるようになったからだと思う」
 真剣に応えるシンジの対応に、イリヤは満足したのか大きく頷いた。
 「シンジって良い人ね。マスターとしては甘いけど、貴方の事は嫌いじゃないわ」
 「ありがとう。そういえば、キミの素性については、士郎には黙っていた方が良い?」
 「そうね、喋らないで欲しいな。できれば自分で伝えたいから」
 「分かった、士郎には話さないでおくよ。代わりに1つだけ、お願いを聞いてほしい」
 キョトンとするイリヤ。そんなイリヤに、シンジは真剣に頼みこんだ。
 「ライダーの一件が解決するまで、僕達を標的にするのをストップしてほしいんだ。君は知っているかどうか分らないけど、今、ライダーのマスターが暴れてるんだよ。すでに学校の生徒や教師が犠牲になった。今回は何とか表沙汰にせずに済んだけど、今度も上手く誤魔化せるとは限らない。だから僕達はライダーの件を最優先に解決したいんだ。手を貸してほしいとまでは言わない。せめて敵対する事だけは、止めてほしいんだ」
 「・・・へえ、そんな事してたんだ、ライダーのマスター。キャスターもそうだけど、ライダーも無茶苦茶してくれるわね。それで、いつまでに解決してくれるの?」
 「今晩、いや明日までには解決する。アイツ、我慢が出来ない性格だから、必ず向こうから出てくると思うんだよ」
 「いいわ。それじゃあサービスして明後日までは、シンジやシロウ達には手を出さないであげるね。もしライダーを見かけたら、魔術師として私も協力してあげる。貴方達は見なかったフリをしてあげるから」
 「ありがとう、助かるよ。それじゃあ、そろそろ戻らないとな」
 「そうね、私も帰らないと。そろそろバーサーカーが起きる頃だし」
 2人揃って公園をでる。やがて分れる所で、シンジが声をかけた。
 「これ、あげるよ」
 「いいの?」
 「もともと、その為に買ったからね。おやつに食べてよ」
 「ありがとう!」
 鯛焼きの入った紙袋を胸に抱くと、イリヤは元気よく駆け出した。
 「シンジ!またね!」
 「またね、イリヤ」
 その小さな背中が曲がり角に消えたのを確認すると、シンジは衛宮邸へと歩き出した。

 「ただいま」
 「随分と遅かったわね、言峰君」
 玄関で仁王立ちする赤い悪魔の機嫌が宜しくない事を見てとると、即座にシンジは頭を下げた。
 「ごめん、でも、その甲斐はあったよ。お昼食べながら説明でも良いかな?」
 「ふーん、良いわよ。これでどうでも良い事だったら、ナックルパートお見舞いしてあげるからね」
 「はいはい、とりあえず昼食作るから、士郎達に12時に居間へ来るように伝えてくれるかな?」
 「オーケー、それと衛宮君の分は私が作るから、手を出さないでね。頼んだの買ってきてくれたでしょ?」
 赤い悪魔の宣言に、シンジはコクコクと頷く事しかできなかった。

 昼食のメニューは、手早くできるものであった。
 野菜を煮込んだかけうどんが主食。おかずとしてソーセージを使った野菜炒めである。
 「ごめんね、時間が無かったから簡単なのしか作れなかったよ。代わりに夕飯はたくさん作るから」
 「いえ、そんな事はありません。これは、とても美味しい」
 満足そうに箸をすすめるセイバー。その横では、うどん初体験のランサーが、珍しそうにうどんを見ながら食べていた。さらにその横には、珍しい事にアーチャーが現界化し、見張りを止めて食事を供にしている。
 そしてただ一人、真っ赤なうどんと真っ赤な野菜炒めを提供された士郎が、水を飲み干しながら必死に食事と『戦って』いた。その正面に陣取っているのは凛。彼女の機嫌が悪い事を察知したのか、賢明な事に、士郎は文句ひとつ口にしない。
 「温かいうどん、寒い日には一番だな」
 「あっさりしてるが、なかなか旨い食いもんだ」
 ズルズルとうどんをすする赤と青の騎士。ある意味、とてもシュールである。
 「シンジ、ごめんな。昼食まで任せちゃって」
 「いいよ、これぐらい。士郎の苦しみに比べれば、大したことじゃないから」
 全員、昼食を摂り終え、デザート代りの鯛焼きとお茶で一服にはいる。
 「それで、言峰君。報告したい事があるそうだけど」
 「ああ。商店街でバーサーカーのマスターにあったよ。イリヤっていう小さい女の子」
 ランサー以外の視線が、一斉にシンジへ注がれた。
 「ちょっと!どういう事なのよ!」
 「いや、鯛焼き奢りながら少しお喋りしてきた」
 「あのねえ!私はそう言う事を聞いてるんじゃないの!」
 怒髪天を突く凛を、士郎が必死に押しとどめる。
 「簡単に言うと、条件付きの一時休戦を結んできた」
 「どういう条件な訳?」
 「期限は明後日まで。それまでは僕達には手を出さないってさ。もしライダーを見かけたら、魔術師として協力してあげる、そう言ってたよ」
 考え込む凛。傍らに立っていたアーチャーと、士郎の隣に座っていたセイバーは、面白そうにシンジを見た。
 「つまり、私達はバーサーカーに用心せずに、ライダーに専念できるという訳ですか」
 「ふむ。凛よ、私は賛成だ。バーサーカーに用心する必要がない分、ライダーに専念できるのは有難い。加えてバーサーカーもライダーを敵に回すとあれば、これ以上の方策はないだろう」
 「そうね、確かに戦略的には申し分ないわね」
 鯛焼きを2つ手に取り、片方をセイバーに渡しながら凛が頷いている。
 「よし、それじゃあ今晩はライダーと慎二を捜すわよ。言峰君には悪いけど、午後はあいつらの目撃情報とか調べてきて貰えないかしら?私は衛宮君の指導があるし、アーチャーはここの見張り番。そうなるとセイバーがいるけど」
 「私はシロウの傍にいます」
 「となるので、悪いんだけど、ランサーと2人でお願いできる?」
 「いいよ、それじゃあ明るいうちに行ってくるよ」
 席を立つと、シンジは霊体化したランサーとともに部屋から出て行った。

夜、衛宮邸―
 シンジの集めた情報。その中にあった、慎二の目撃情報を基に、一行は新都へと向かっていた。
 「けど、この辺りも変わったよなあ・・・」
 「へえ、そうなんだ」
 「言峰君は冬木の生まれじゃないから、知らないのは当然よ。この新都も、少し前までは辺り一面、畑だったんだから」
 「ほお、それが今ではこのような近代的な街並みに・・・」
 感心したように呟くセイバーに、凛が苦笑している。
 「そういえば、最近、新都も騒がしいよな?」
 「ガス中毒事故の事?」
 「そうそう。毎日起きてるからな」
 「あのねえ、衛宮君。毎日、ガス中毒が起きるなんてありえないでしょうが!何でキャスターの仕業だ、とか考えないわけ!」
 「え!あれってキャスターの仕業だったのか!」
 ズルズルと崩れ落ちる凛を、セイバーが肩を貸して引き上げる。
 「アンタはもう・・・言峰君は気付いていたでしょ!」
 「・・・てへ」
 「てへ、じゃないいいいいいい!」
 今すぐにでもコメカミに浮かび上がった血管が切れそうなほどに、頭に血を上らせる凛である。
 「イリヤから忠告はされたけどね。キャスターも無茶苦茶やってるって」
 「その無茶苦茶がそれよ。一般人を昏倒にまで追い込むほど、生命力を奪って己の魔力に転換し、貯蔵しておく。キャスターも早めに倒さないとマズイわ、協会に来られたら、目も当てられないわよ」
 「そうなんだ。でも今日は、ガス中毒事件だけは無さそうだね」
 シンジの言葉に、凛と士郎が怪訝そうに見つめる。その傍らに、3騎士が現界化した。
 「3人とも下がってください」
 「セイバーの言う事に従えよ。キャスター自らの御出陣だからよ」
 「そうね、その通りよ」
 その声は空から降ってきた。頭までスッポリと覆い隠す、ローブを纏った人影。
 「キャスター、独りで来るとは良い度胸だ」
 「誰が独りだと言いましたか?」
 ガシャガシャという音。一行を包囲するように現れたのは、竜牙兵の集団である。
 円陣を組む一行。セイバーとランサーは愛用の武器を、アーチャーは一対の陰陽剣を、士郎は木刀を、凛は魔術刻印を稼働させて左手にガンドを集中させる。
 「かかりなさい!」
 全方位から襲いかかる竜牙兵の群れ。それを迎撃に入るが、そこを見透かしたかのように、キャスターが詠唱を開始。天に巨大な魔法陣を浮かび上がらせる。
 「散れ!」
 マスターとサーヴァントがペアのまま、全く別方向へ強行突破を図る。そこに僅かに遅れて降り注ぐ、光の雨。
 「シロウ、大丈夫でハッ!」
 咄嗟にセイバーが背後に剣を振るう。同時に、剣に重い衝撃が走った。
 最初の一撃はかわしたものの、2撃目3撃目は体勢が崩れかけた状態への追撃の為、さすがのセイバーも被弾を許してしまう。
 頭部への一撃をくらい、セイバーの膝がガクンと落ちる。そこへ掬いあげるような鋭いショートアッパーがセイバーの顎を捉え、冗談のように空中へと舞い上がる。
 「・・・葛木・・・先生?」
 「衛宮か。まさかお前もマスターだったとはな。遠坂に言峰も同様か」
 「そんな、アンタがマスターだって言うのかよ」
 竜牙兵とキャスターの光弾を隠れ蓑に、セイバーへ奇襲攻撃を仕掛けたのは葛木宗一郎である。
 「ちょ、ちょっと待てよ!それじゃあ、アンタがキャスターに指示して、何の関係もない人達を襲わせたのかよ!」
 「どういう意味だ?」
 「連続ガス中毒事件の事だ!どれだけ被害がでてると思ってるんだ!」
 「それは本当の事か?キャスター。どうしてトドメを刺さなかった」
 極々当たり前の事のようにキャスターを叱責する宗一郎の言葉に、士郎の顔が怒りで赤く染まっていく。
 「申し訳ありません、宗一郎様」
 「ふむ。まあいい、その件は後回しだ。まずはこいつらを始末する」
 宗一郎の至近距離にいた士郎が木刀を構える。ランサーやアーチャーは、マスターを竜牙兵から守るので手一杯。セイバーが倒れている事を考えると、士郎の命は風前の灯であった。
 「同調開始トレース・オン!」
 士郎に向けて放たれる、変則的な軌道の拳の一撃を、士郎は木刀を強化して受け止める。だが数合と撃ち合う間に、木刀は鈍い音を立ててへし折れた。
 「そんな!」
 「・・・死ね」
 再び襲いかかる宗一郎。対する士郎の脳裏によぎるのは『死』という光景だけ。
 (ふざけるな!俺はこんなとこで死ぬ訳にはいかないんだ!)
 咄嗟に折られた木刀の先端部分を拾い、即席の二刀流を構える。強化の魔術を施し、宗一郎の攻撃を受けていくが、今度は木っ端微塵に粉砕された。
 襲い来る拳の一撃。
 (もっと、もっと強い武器が欲しい!アイツが使っていたような武器が欲しい!)
 「投影開始トレース・オン!」
 ガキンと音を立てて、宗一郎の拳が受け止められる。士郎の手に握られていたのは、一対の陰陽剣―干将・莫耶であった。
 「ほう?」
 宗一郎の追撃が走る。だが士郎は考えるよりも早く、体を反応させていた。常に退路を考慮に入れた、しぶとい戦い方―アーチャーのスタイル。
 瞬間、宗一郎が咄嗟に後ろへ飛び退く。同時に宗一郎のネクタイが途中で切られ、下から上にうっすらと赤い線が走った。
 「セイバー!」
 「申し訳ありません、シロウ。ですが、もう二度と不覚は取りません!」
 剣を構えるセイバー。だが迂闊に攻め込む事も出来ない。下手に攻めに出て、士郎をキャスターに狙い撃ちされては終わりだからである。
 千日手の様相に、戦線が膠着する。宗一郎は自分の攻撃方法を熟知するが故に、セイバーに対して討って出られない。キャスターは戦況の打破を狙って、虎視眈々と様子を伺っている。シロウは身を守るのに手一杯。凛は士郎の投影に驚愕しながらも、キャスター同様に隙あらばと戦場を伺っている。そしてアーチャーとランサーはマスターを竜牙兵から守るのに力を割いていた。
 唯一、攻撃手段を持たないシンジ。だがそのシンジが動いた。
 「ランサー!僕を士郎の所へ!」
 「正気か!?」
 「早く!」
 敏捷性を活かして、シンジとともに一気に移動するランサー。
 「ランサー!好きなように暴れろ!」
 「おいおい、本気かよ?」
 「大丈夫。ここならセイバーが守ってくれる!」
 咄嗟に閃いたランサーが、魔槍を構えて宗一郎に躍りかかる。セイバーをはるかに上回るランサーの神速に危険を感じたのか、キャスターが動いた。
 「おらおらおら!」
 「宗一郎様!」
 冷静に状況を判断し、後ろへ飛び退く宗一郎。そこへしつこく追撃を仕掛けるランサー。そこから放たれる神速の刺突の嵐は、キャスターの障壁に阻まれ、威力・速度ともに大きく減衰される。
 その隙に、さらに大きく後ろへ飛び退く宗一郎。するとランサーとの間を、無数の竜牙兵が壁となる様に埋めていく。
 「キャスター、ここは引くぞ」
 「宗一郎様?」
 「襲撃は失敗だ。引けるべき時に引くのは生き残る為の鉄則だ」
 キャスターが大きく手を振る。同時に、キャスターと宗一郎が光に包まれる。
 「言峰、良い判断だったな。褒めておこう。それは加持の仕込みか?」
 「加持さん?加持さんを知ってるんですか!」
 「昔、ブラックリストで見ただけだ。あれに仕込まれたかと思ったが、その様子では、どうやら違うようだな。まあいい、いずれ再戦する」
 「待って下さい!葛木先生、あなたは一体何者なんですか!サーヴァントと正面切って戦える人間なんて・・・」
 「ただの朽ち果てた殺人者。それだけにすぎん」
 宗一郎とキャスターが姿を消すと同時に、周囲一帯を埋め尽くすように存在していた竜牙兵の集団も、全て地面に溶け込むかのように消え去った。
 「・・・本当に撤退したのか?」
 「間違いない。気配は残っていない、本当に撤退したようだ」
 アーチャーの言葉に、ホッと肩の力を抜く3人のマスター。ライダー探索の筈の偵察行動は、思わぬ遭遇戦という形となって終わりを告げた。

同時刻、イリヤside―
 「バーサーカー、街にでるわよ。シンジとの約束があるから、まずはライダーを最優先にするわ」
 小さな主を左肩に乗せた狂戦士が、無言のままアインツベルンの森を出る。
 その歩みが、突然、止まった。
 「こんばんは。今日も美しい月ですわね、アインツベルン家のマスター殿?」
 「へえ、アタシの事を知ってるんだ」
 「ええ、イリヤスフィール=フォン=アインツベルン殿。私はルヴィアゼリッタ=エーデルフェルト、時計塔からの参戦者です。今宵は御挨拶に伺わせて頂きました」
 スカートの裾を持ち上げて、ルヴィアが軽く会釈する。
 「貴女、礼儀正しい人なのね。リンとは大違いだわ」
 「お褒めに与り光栄ですわ。でもあのトオサカと一緒にされてしまっては、我がエーデルフェルト家の恥です」
 「面白い人ね、それで御挨拶は済んだの?それならどいてほしいんだけど、私、約束があるから」
 バーサーカーがズイッと一歩、歩み出る。だがルヴィアは一歩も退かない。
 「聖杯戦争の挨拶など、唯一つですわ。出番ですわよ、アサシン」
 ルヴィアの前に、青い侍が顕現した。その手には、すでに抜き身の長刀―備中青江が握られている。
 「私はアサシン。真名は佐々木小次郎。バーサーカーのマスターよ、そなたの下僕に命じるがいい。私と戦え、と」
 「ふーん、そうくるんだ。ランサーのマスターも面白かったけど、貴女達も最高だわ。いいわ、やっちゃえ、バーサーカー!」
 イリヤを下ろし、咆哮とともに狂戦士が突撃する。その巨大な斧剣が、唸りをあげて横薙ぎにアサシンを襲う。
 触れれば一発で微塵と消し飛ぶその一撃を、アサシンは愛刀の峰に左手を添え、更に自身を跳躍させて受け流した。
 クルッと一回転し、再びその場に降り立つアサシン。
 「惜しい、惜しいぞ、バーサーカー。そなたに術理を扱う理性があれば、さぞや楽しめたものを」
 「な、何言ってるのよ!たった一回凌いだだけじゃない!ただの偶然よ!」
 「ふむ、そう思うか?ならばもう一度見せてやろう」
 今度は反対側から、横薙ぎの一撃が飛んでくる。それを全く同じ原理で、アサシンは綺麗に受け流して見せた。
 イリヤはおろか、アサシンの実力の一端を知るルヴィアですら、この結果には驚愕の一言しかなかった。
 「いかに巨大な一撃であろうと、舞い落ちる鳥の羽を叩き潰す事は叶わぬ」
 バーサーカーが斧剣を両手で持ち、さらに背中にまで持っていく。狙いは1つ、真っ向からの振り下ろす一撃。
 「よかろう。ならば見せてやろう」
 咆哮とともに振り下ろされる一撃。轟音が大地に巨大なクレーターを穿つ。
 「確かにそなたの力は脅威。だがそれだけよ」
 紙一重でかわしていたアサシンが、愛用の備中青江を縦横無尽に振るう。
 瞬く間に血だるまと化すバーサーカー。それに驚いたのは、イリヤであった。
 「どうして!バーサーカーの十二の試練は、Aランクに満たない攻撃は、全て無効化するのに、どうして!」
 「ふむ。私がそなたのバーサーカーにとって、天敵となりうる能力を持つが故。つまりは相性が原因よ」
 ヒュッと涼やかな音を立てて、アサシンが無行の位の構えを取る。
 「私には『斬鉄』の心得がある。これは刀をもって鉄を断つ、古流の技法なのだが、それはあくまでも表向き。真に目指すべきは斬れぬ存在(もの)を斬る事にある。私の通常の攻撃はせいぜいCランク程度。本来なら十二の試練に通じないのだが、十二の試練によるAランク未満を無効化する特性により、バーサーカーは斬れぬ対象となってしまった。つまり斬れない者であるが故に、斬れぬ存在を斬る『斬鉄』の一撃が通じてしまったのだ」
 「で、でもそれだけならバーサーカーの敵じゃないわ!十二の試練は同じ攻撃を2度と通さないんだから!」
 「確かにその通りだが、私にはそれが当てはまらんのだ。我が剣の心得の1つ『宗和の心得』。これは相手に己の技を見切らせぬ事を真髄とする。つまり十二の試練であっても、我が剣は常に初太刀と同じ扱いになるのだ」
 イリヤの顔がみるみる青ざめていく。アサシンの言葉が正しいとすれば『斬鉄』の剣は十二の試練による無効化能力を無視してダメージを与え、バーサーカーは無効化できないことになるのだから。
 アサシンの剣閃が夜闇に煌く。同時に鉛色の巨体から、真紅の血飛沫が四方八方に飛び散る。
 「苦しめはせぬ。楽に送ってやろう」
 鋭く、疾い一撃がバーサーカーの喉笛を切り裂く。苦悶の声すら上げる事無く、バーサーカーが大地に突っ伏した。
 「バーサーカー!」
 「少女よ、これも戦の習い。許せよ」
 アサシンの刃がイリヤを襲う。目を閉じ、死を覚悟するイリヤ。
 だが―
 「何だと!」
 鋭く速い一撃を食い止めたのは、岸壁と見間違うかのような巨大な斧剣であった。
 「バーサーカー!」
 十二の試練により蘇生したバーサーカーが、再び立ち上がる。
 イリヤを左手で下がらせ、右手で斧剣を構える巨大な守護者の姿に、アサシンは相変わらず無行の位を崩さない。
 「クックックッ、これは私も他人の事を偉くは言えぬな。まさかこの私が見誤っていたとは思わなかったぞ」
 「アサシン?」
 「マスター、下がっておれ。このバーサーカー、理性が残っておるわ」
 イリヤが驚きで目を見開く。その視線は自身を守ろうとする、彼女の守護者に向けられていた。
 「本当に狂っておれば、マスターの事など心配せぬよ。それを心配したのは、バーサーカーに理性が残っておる証拠」
 「・・・バーサーカー」
 バーサーカーは無言のまま、イリヤを背後に前へ出る。
 「見せてもらおうか、バーサーカー」
 無行の位をとるアサシンに、バーサーカーが再び横薙ぎの一撃を放つ。対するアサシンは同じようにかわそうとしたが、今度はアサシンが吹き飛んだ。
 近くに生えていた樹木に叩きつけられるアサシン。その威力の大きさは、へし折られた樹木が示している。
 「アサシン!無事ですか!」
 「・・・何の、まさかこれほどとはな・・・」
 ユラリと立ち上がるアサシン。その姿はまさに幽鬼そのものである。
 「バーサーカーよ、やはりそなたは狂いきってはおらんかったな。あの瞬間、そなたは剣の軌道を咄嗟に変えた。故に私の回避が役に立たなかったのだから」
 イリヤを背後に守るバーサーカーの前に、アサシンが進み出た。
 「マスター、一つ訊ねたいのだが?」
 「・・・何かしら?」
 「今宵は挨拶だけと言っていたが・・・倒してしまっても構わぬか?」
 その言葉にイリヤとルヴィアが目を見開く。
 「どうなのだ?マスター」
 「・・・アサシン、貴方、私の事をちゃんと理解していないようね?」
 不満そうな表情のルヴィアが、令呪を刻み込んだ左手を掲げる。それが意味する物は唯一つ。マスターによる絶対的命令権。そしてこの状況であれば、退くのが常識的な判断であった。
「令呪をもってマスターとして命じます!」
 ルヴィアの左手に刻まれた令呪が輝き始める。
 「バーサーカーを正面から蹂躪し、完膚なきまでに屈服させなさい!見事、バーサーカーを討ち取ってごらんなさい!我が騎士であるならば、その忠義を剣をもって示しなさい!貴方と私の誇りを、この2人に見せつけなさい!コジロウ!」
 「承知!」
 常識を無視した判断をルヴィアが下す。コジロウの全身から魔力が溢れ出す。先ほどのバーサーカーの一撃で負っていた傷が見る見る回復していく。そして一番違うのは、その貌だった。
 喜びに満ち溢れた表情のまま、コジロウは最高のコンディションで、切り札たる秘剣の構えに入る。
 対するバーサーカーも斧剣を構える。すでに初日の外人墓地におけるアーチャーの奇襲攻撃と、先ほどのコジロウの攻撃により、命のストックは残り10回。コジロウの攻撃がいかなる物であれ、1度に10回も殺すほどの攻撃ではないのは分っていたが、バーサーカーには微塵の油断も無かった。
 そしてバーサーカーの瞳を垣間見たイリヤは、決断を下した。
 「バーサーカー、私、信じてるよ。だから」
 イリヤの左手に刻み込まれた令呪が、同じように輝きだした。
 「バーサーカー、射殺す百頭ナイン・ライブズを使いなさい!」
 バーサーカーの全身が魔力に包まれる。
 斧剣を担いで、一気にコジロウの間合に飛び込むバーサーカー。
 対するコジロウは、限界までバーサーカーを突撃させる。
 「射殺す百頭ナイン・ライブズ!」
 「秘剣、燕返し!」
 状況によって千変万化する技の宝具・射殺す百頭と、第2魔法である並行世界への干渉キシュア・ゼルレッチと同等の効果を持つ3方向からの同時斬撃・燕返しが正面から激突した。

衛宮邸、土蔵―
 キャスターとの遭遇戦の後、彼らはライダー探索を中断し、帰還していた。
 ランサーやセイバーは続行する気満々だったが、士郎が干将・莫耶を投影した事による後遺症を心配した凛から撤退案がでたからである。
 もっとも士郎一人がリタイヤするだけなら、捜索は続けても良かった。そうならなかったのは、アインツベルンの森の方から迸った、巨大な魔力の気配が原因であった。間違いなく令呪によるブーストの気配。そしてそこから感じた気配から、彼らは誰と誰が戦っているのかを想像する事が出来た。
 バーサーカーとコジロウの激突。
 これだけの大激突が起きているにもかかわらず、ライダーは全く動きを見せない。
 『どうやら今晩は動くつもりがないらしい』
 アーチャーの言葉に、彼らは捜索を強行せず、体を休めようと引き上げる事にしたのである。
 帰るなり、凛の診察を受けた士郎だったが、結果は問題なし。いつも通りの健康体であった。
 宝具の投影を行っても、問題は無いらしいと判断した士郎は、土蔵にこもり、さっそく陰陽剣の投影の練習にはいった。
 自分が納得いくまで、何本も複製を続ける。
 だがどうしても納得のいく出来にはならず、さすがの士郎も疲れを感じ始めた時だった。
 「ふむ。私の双剣を複製しているのか」
 「何だよ、何か用かよ?」
 「何、不本意ではあるが、お前と凛は同盟中の間柄。それならば、少しぐらい助言してやろうと思ってな」
 真剣なアーチャーの顔に、士郎が正面から見返す。
 「お前は作る者だ。戦う者ではない。真にお前が戦うべき相手は、己自身だ」
 「どういう意味だよ」
 「衛宮士郎は、勝てる相手が存在しない。ならばせめて幻想の中では最強の自分をイメージしろ。イメージするのは最強の自分。その事を忘れるな」
 踵を返したアーチャーは、夜闇の中へと静かに消えた。

サーヴァント・ステータス
クラス:アサシン
マスター:ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト
真名:佐々木小次郎
性格:中立・悪
身長:176cm 体重63kg
特技:剣
好きな物:花、鳥、風、月
苦手な物:特になし
天敵:間桐臓硯、間桐桜
筋力:C  魔力:E 耐久力:E 幸運:A 敏捷:A+ 宝具:???

クラススキル
気配遮断:D サーヴァントとしての気配を絶つ

保有スキル
燕返し:宝具と同等にある対人魔剣。同時に発生させる3つの斬撃の円によって、相手を断ち切る絶技。ゲイボルグとは違った意味で回避不可能な技
斬鉄:A 暁の堕天使オリジナル設定であり、剣豪物に必須のスキル。目安としてはDで石灯篭、Cで兜割。この辺りまでが常人でも習得可能な領域。Bで非実体、A以降は特に恩恵なし。だが、魔術や宝具に関しては同ランク以下であれば斬る(或いは破壊)事が可能。十二の試練はBランクなので、斬鉄はAランク以下の十二の試練を上回った、と考えて下さい
心眼(偽):A 視覚妨害への耐性。第六感・虫の知らせとも呼ばれる天性の物
透化:B+ 明鏡止水の境地。精神面への攻撃を遮断する精神防御。また武芸者としての無想の域により、気配を絶つ事にも使う事ができる
宗和の心得:B 同じ技を同じ相手に何度使用しても、見切られない様にする特殊技能

宝具 無し



To be continued...
(2011.02.26 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回のテーマは『遭遇戦』です。入念に計画を練っても、不確定要素によって邪魔をされる事はよくあります。それを今回は遭遇戦という形で書いてみました。
 キャスター・葛木組は奇襲という形で、コジロウ・ルヴィア組は決闘という形で、各々らしい遭遇戦にしたつもりですが、楽しんでいただければ幸いです。しかし、コジロウ強すぎたかな、すっかりバーサーカーキラーになってしまいましたw
 ルヴィアも今回から、少しだけ変化します。貴族という出自、正面からの決闘を好む気質を考えると、やはり『アサシン』というクラス自体が、ルヴィアには馴染みにくい所があると考え、今回のバーサーカー戦に繋げた面もありました。これからのルヴィアの変化に気付いて貰えれば、書く側としてこれほど嬉しい物はありません。是非、探してみて下さい。
 次回ですが、原作序盤の山場ライダー戦と、コジロウ・ルヴィア組に話になります。チョイ役ですが我様も御登場の予定w
 それではまた次回も宜しくお願い致します。



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