第二十六話
presented by 紫雲様
放課後、エヴァンジェリン邸の近く―
崩れかけた煉瓦造りの廃墟が存在する一画に、ネギ達は来ていた。ネギの前には、ネギと仮契約を交わしたアスナ・のどか・刹那・木乃香が立っている。更にその前には、茶々丸を従えたエヴァンジェリンが立っていた。
「では始めろ。刹那、お前は気を押さえておけ。相応の練習をしなければ、気と魔力は互いに反発しあうものだからな」
「は、はい」
少女達を見守るように、古と夕映、更には和美とハルナの姿もあった。4人は、魔法という存在についての知識を得る、課外授業の一環としてここに来ている。と言うのも、先日の図書館島での一件において、ペナルティとしてネギ・夕映・のどかには近右衛門自らによる魔法についての講義が課されていた。その顛末を聞いた魔法教師の一部から、そこへ古と和美、ハルナも参加させるべきだという意見が出たのである。
よく考えてみれば、和美は厳重監視対象の身でありながら、その日の内にカモと組んで大騒動を起こしている。それに対するペナルティが決まっていなかったので、これ幸いと放り込まれてしまったのであった。
古は問題こそ起こしていないが、今後、何が有るか分からない。何よりネギにとっての武術の師である以上、いずれは魔法と深く接する事になるのは容易に想像できる。その時に最悪の事態を引き起こさない為、という名目で参加が決まったのであった。
そしてハルナに至っては、魔法関係者としては問題児扱いされているシンジの仮契約相手であるから、という理由で参加が決められた。この辺り、いかにシンジが信用されていないかが、如実に表れている。
ちなみに、彼女達の講義への参加については、普段から仕事をサボりがちな近右衛門に対して、『もっと真面目に仕事してくれよ』という魔法教師達のささやかな嫌がらせも混じっていた事は、彼らだけの秘密である。
そうとは知らない少女達の前で、エヴァンジェリンによる修業は続けられていた。
「契約執行180秒間 !」
ネギが手にした4枚の仮契約カードが、ボウッと光に包まれる。同時に4人全員に、契約執行の魔力が流れ込んだ。
「よし、次だ。対物・魔法障壁 全方位全力展開。及び対魔・魔法障壁 全方位全力展開」
「ハイ!」
ブオンッと音を立てて、ネギの全身が光に包まれる。だんだん辛くなってきたのか、額にはウッスラと汗が浮かんでいる。
「そのまま3分間維持。その後北の空へ向けて魔法の射手199本。結界は張ってあるから、遠慮せずにやれ!」
「うぐ・・・ハ、ハイ!」
3分という時間の間に、ネギが肩で息をするようになる。
「光の精霊199柱集い来りて敵を射て 」
キュバアアアッという音とともに、光の魔法の矢199本が放たれる。全てが結界に衝突し、キラキラと雲散霧消していく。
その幻想的な光景に少女達から『きれー』と呑気な感想が上がるが、ネギはそれを聞く余裕も無く、パッタリと倒れ込んだ。
慌てて駆け寄る木乃香とのどか。
「この程度で気絶とは、話にもならんわ!巨大な魔力も、使いこなせなければ宝の持ち腐れだ!」
「エヴァンジェリンさん、1つ質問があるのですが、宜しいでしょうか?」
「刹那か。何を聞きたいのだ?」
紙パックのトマトジュースを飲みながら、エヴァンジェリンが視線を向ける。
「この修業は、ネギ先生が瞬間的に解放できる魔力量を、上昇させる事が目的なのでしょうか?」
「正解だよ。限界まで使い続ける事で、大出力に順応させるのが目的だ。坊やの魔力量は、あの程度で枯れるほど少なくはない。では、何故倒れたのか。それは魔力を扱う為の精神力が貧弱な為に、脳が危険を感じて、意識をブラックアウトさせたのだ。分かりやすく言うなら、電気を使い過ぎて、ブレーカーが落ちたのだと思え」
「それで順応させるという訳ですか。これぐらいなら危険ではない、と体に覚えこませるのが目的と」
「そう言う事だ。これは術の効率化とならんで、魔法使いの修行としては、基本中の基本といえる。これを疎かにしていると、本当の意味で強くはなれんからな」
ピッと指を立てながら、説明するエヴァンジェリン。その後ろでは、気絶したネギが木乃香に膝枕をされていた。
「私の知る限り、これをやらなくていいのはシンジぐらいだな。あれは攻撃魔法を習得していないが、馬鹿者と怒鳴りたくなるほど勿体ないぞ」
「そ、そうなのですか?」
「当たり前だ!あれは詠春に3ヶ月ほどしか修業を受けていないのだろう?どう考えても見習いの卵の癖に、あいつは封印から解放された全力の私が使った切り札相手に、破術で互角の力勝負をやってのけたのだぞ?才能をドブに捨てているような物だ!」
『勿体ない!』と激昂する最強の魔法使いに、言葉も無い刹那である。そんな当の本人はと言えば、EVANGELINE’S RESORTの中で、茶々ゼロに見守られながらヌイグルミ相手に奮闘中であった。
ちょうどそこで、タイミング良くネギが目を覚ます。
「坊や。私を師と呼び教えを請う以上、生半可な修行で済むと思うな。いいか、今後私の前ではどんな口応えも泣き言も許さん。少しでも弱音を吐けば、貴様の生き血、全てを飲み干してやる」
「はい!宜しくお願いします!エヴァンジェリンさん!」
「む・・・わ、私の事はマスターと呼べ。それと今日は解散とする」
修業終了と言う事で、各自が寮へと帰宅する中、ただ1人アスナだけが不満そうにその場に残っていた。
「・・・ネギ、どうして昨日図書館へ行った時、私に声を掛けなかったの?やっぱり、私が反対していたから?」
「それもあります。でも僕は、アスナさんをこれ以上、巻き込みたくないんです。アスナさんは、元々僕達とは無関係ですし・・・」
その言葉に、カチンとくるアスナ。咄嗟にネギの胸元を掴み、腕力に物を言わせてネギを片腕で持ち上げる。
「無関係って何よ!私が時間が無い中、わざわざ刹那さんから剣道習ってるのを何だと思ってんのよ!」
「僕、別に頼んでないですよ!」
「アンタが私の事、そんな風に思ってたなんて知らなかったわ!」
互いに『ガキ』『怒りんぼ』『チビ』『おサル』と罵り合う2人の姿に、エヴァンジェリンと茶々丸が思わず足を止める。近くにいた刹那はどうやって仲裁しようか悩み、木乃香は『あの2人、久しぶりにやっとるなあ』と苦笑いするばかりである。
「毛も生えてないガキの癖に生意気言うんじゃないわよ!」
「アスナさんだってクマパンでパイ○ンの癖に!」
「なっ!・・・この、アホーーーーッ!」
アスナの呼びだしたハマノツルギが一閃。『はうーーー』という悲鳴とともに、ネギが気持ちよく吹き飛ぶ。
同時に走り去るアスナ。吹き飛んだネギは、修業の疲労も重なりアスナを呼び止めるような余裕も無い。
「おい、坊やと近衛木乃香。お前達には話がある。帰る前にウチへ寄っていけ」
エヴァンジェリン邸―
リビングに用意された黒板を前に、楕円の眼鏡をかけたエヴァンジェリンが即席の魔法講座を開いていた。
それはネギと木乃香が魔法使いとして歩んでいく為に、必要不可欠な知識である。だが
「話を聞かんか!貴様ら!」
しっかり話を聞いているのは刹那1人。ネギはアスナとの口喧嘩が後を引いて、リビングの片隅で『の』の字を書いていじけ、木乃香はそんなネギを慰めていた。
「うじうじしてるとくびる ぞ!ガキが!」
「うう、でもアスナさんが・・・」
「貴様らの仲違いは、私にとっては良い気味だよ。お前とアスナのコンビには、辛酸を嘗めさせられているからな」
『あうう・・・』と落ち込む弟子から視線を外すエヴァンジェリン。そのまま隣にいた木乃香に視線を向けた。
「木乃香。詠春からこう頼まれた。『真実を知った以上、本人が望むのであれば魔法について教えてやって欲しい』とな」
「お父様が?」
「お前なら、偉大なる魔法使い を目指す事も可能だろうな。時間はあるんだ、よく考えておくんだな」
むむむむむ、と考え込む木乃香。いつになく真剣な表情に、刹那も静かに見守るしかない。
「あとは坊やだな。お前には今後の修業の方向性を決める為、スタイルを決めて貰う。前衛を従者に任せ、後方から強力な術を放つ安定したスタイル『魔法使い』。もう1つは自らも前に出て、速さを重視した術も使う変幻自在のスタイル『魔法剣士』だ」
「まるでゲームみてえだな」
「あくまでも、これは修行の為の分類だからな」
カモの言葉に、エヴァンジェリンは肩を竦めてみせる。
「どちらにも長所・短所はある。私が見た所、小利口なお前は『魔法使い』タイプだとは思うがな。シンジと同じでな」
「お兄ちゃん?」
「ああ、そうだ。奴の場合は、白兵戦に全く才能が無い、という欠点を考慮すれば、魔法使いタイプしか残されていなかった、というのが本音なのだがな。ところが攻撃魔法は習得しないわ、有り余る気を有効活用する為の格闘技術に才能が無いわ、とことん師匠泣かせな奴だよ。あれでは詠春も困り果てただろうよ」
心底詠春に同情しているようなエヴァンジェリンのシンジに対する評価に、刹那は乾いた笑い声をだすしかない。
「マスター。1つ教えて下さい。父さんのスタイルは?」
「・・・言うと思ったよ。奴のスタイルは『魔法剣士』。それも従者など必要としないほど強力な、だ。まあ、ゆっくり考えるといいさ。あの馬鹿の後を追いかけるも、自分の向き不向きで考えるも、それはお前の自由だからな。それと木乃香、お前にはもう少し話しておきたい事が有る。下へ来い」
木乃香とエヴァンジェリンが去った後、ネギは1人で古から習った中国拳法の自己修練に励んでいた。
「魔法使いと魔法剣士かあ・・・アスナさんはどっちが・・・」
振りむくネギ。だがそこにいたのは刹那1人である。
「そうだ!アスナさん、怒らせちゃったんだ!」
「立ち直りがはえーと思ったら・・・」
「忘れていただけみたいですね・・・」
冷たく突っ込むカモと刹那である。その一方で、ネギは滝のように涙を流していた。
「紅茶をお持ちしました」
「ありがとうございます。ところで、何故、葉加瀬さんが?」
茶々ゼロを頭に乗せた茶々丸とともにいたのは、聡美であった。ちなみに茶々ゼロが茶々丸にしがみ付いているのは、シンジが厨房仕事の為に、今日は帰宅してしまったからである。
「こう見えても、茶々丸の生みの親は私なんですよ」
「そ、そうだったんですか!?」
「ええ、色々な方に手助けはして貰いましたけどね」
テーブルにつく聡美。そこへ茶々丸が紅茶を淹れていく。爽やかな香りが、ログハウスの中に漂っていく。
「そういえば葉加瀬さん。東方の三賢者という異名を聞いた事がありますか?2000年から2003年に活躍した女性の科学者らしいのですが・・・」
「ええ、知ってますよ。正確には、赤城ナオコ博士だけは1980年代から活躍していますけどね。他の2人に比べて、20歳ほど年上でしたから。私にとって赤城博士は、一番、敬意を払うべき方ですね」
聡美の言葉に、刹那が感心したように頷く。
「では、碇ユイ博士の事は?」
「知ってますよ。3人の中で、一番才能に溢れていたと言われていますね。ただ、正直な話、私にとっては一番、敬遠したい方ではありますが」
「どうしてですか?」
「何と言えば良いんですかね。私にとって『努力』という物はもっとも価値が有るんです。別に碇博士が努力しなかったと言うつもりはありません。でも彼女のように才能に物を言わせて、好奇心の赴くままに畑違いの分野にまで手を出すと言うのは、あまり好きになれないんです。だから私は、20年以上もの間、コツコツと実績を積み重ねてきた赤城博士を尊敬しているんです」
聡美の思わぬ一面に、ネギと刹那が思わずパチパチと拍手する。それに照れたように、聡美が俯いた。
「でも、葉加瀬さんの言葉は、シンジさんには黙っておいた方が良さそうですね」
「そうですね」
クスクスと笑う2人に、聡美が首を傾げる。すると茶々丸が口を開いた。
「ハカセ。実は近衛さんの母親は、碇ユイ博士なのです」
「・・・ホント?」
「はい、事実です。これは碇ユイ博士と古くから付き合いのあった、新田先生や木乃香さんの父親の証言によって、裏付けは取れています」
唖然とする聡美。だがすぐに気を取り直す。
「まあ、彼の母親が誰であろうと、彼の評価が変わる訳ではありません。驚いたのは事実ですがね。ところでネギ先生。話は戻りますが、先ほど神楽坂さんの名前が聞こえたように思うのですが、何かトラブルでも?」
「じ、実は・・・」
「なるほど、そう言う事ですか。でしたら、まずはネギ先生から神楽坂さんに謝る事をお勧めします」
「はい、ありがとうございます!」
仮契約カードを取り出しつつ、外へと走っていくネギの姿にクスリと笑いあう刹那と聡美である。
だが彼女達は想像もしなかった。
ネギが直接謝りたいばかりに、個室でシャワーを浴びていたアスナを召喚。さらにそこへ詠春からの贈り物をエヴァンジェリンへ届けに来たタカミチと、修行場を使わせてもらっているお礼という事でデザートを持ってきたシンジの2人に遭遇。そのショックで、アスナが逆上し、ネギと冷戦状態に陥る事など、欠片ほどにも予想していなかった。
数日後―
先日のアスナとの一件で、冷戦状態が続いているネギ。そんなネギを見かねたあやかの発案によって、3-Aメンバーは雪広グループが管理しているリゾートアイランドに1泊2日の旅行に来ていた。
初めての南の島ということで、ハイテンションな少女達である。
そんな中、あやかは1人拳を握りしめて、歯噛みしていた。
「ネギ先生を慰めつつ、2人っきりでのパラダイス計画が・・・」
「和美とハルナに漏れたのは、マズかったわね」
「それは嫌みですか!?」
同室の友人である千鶴の感想に、突っ込むあやかである。同じく同室の夏美は、呆気に取られて見ている事しかできない。
「お金の無い中学生に、こんなステキな御招待ありがとー!」
「朝倉さん!」
両手を天に向かって突き上げ『ムキー!』と激昂するあやか。千鶴が窘めようとするが、全く効果が無い。
「雪広さん。みんなの分の食事を作りたいんだけど、砂浜で調理しても良いかな?」
そう声をかけたのは、引率役としてついてきたシンジである。肩から下げたショルダーバックには、愛用の包丁とまな板が仕舞われている。
「・・・近衛さん。いつも食べる側の私が言うのも何だけどさ、たまには仕事から離れたら?」
「僕なりに適当に息抜きはしているから大丈夫だよ・・・お、さすが南の島だね。甘そうな果物がたくさんあるなあ・・・」
飛行機から下ろされてくる大量の荷物。そこからテーブルをくみ上げると、早速、果物に包丁をいれ、バッテリータイプのミキサーへ放り込んでいく。
「本当は牛乳やヨーグルトなんだけど・・・」
「おお、ひょっとして?」
「村上さん、正解。炭酸水割のトロピカルジュースだよ。マンゴーとパッションフルーツとグァバの3種類を作ってみたから、飲んでみなよ」
その場にいた3人が、即席のトロピカルジュースに手を伸ばし、顔を綻ばす。そこへ『あー!何良い物飲んでるのよー!』と風香の叫びが響いた。
「欲しいならおいでよ。材料はあるからね」
「ホント!?史伽、行こう!」
「待ってよ、お姉ちゃん」
瞬く間に群がる少女達。やはり甘い物には目が無いらしい。
「しっかし、南の島まで来ておいて料理担当って・・・」
「僕の分まで遊んできてよ。はい、どうぞ」
差し出されたトロピカルジュースに口をつけるアスナ。その隣にいた夕映達図書館探検部メンバーや刹那も、新鮮な果物を使ったトロピカルジュースを楽しんでいる。
「そういえば、ネギ君がいないな?どこ行ったか知らないか?」
「・・・知らないわよ・・・」
「まだ怒ってたんだ。気持ちは分からなくもないけど、そろそろ勘弁してあげたら?」
む、と考え込むアスナ。当事者であるネギはと言えば、カモを頭に乗せて、1人寂しく海を泳いでいる。
「・・・考えておきます」
「りょーかい。それとみんな、お昼はバーベキュー形式にするから、あまり遠くへ行かないでよ!」
少女達から、一斉に『はーい』と声が上がる中、風香がニヤニヤと笑いながらシンジへ近寄ってくる。
「ねえねえ、シンジさん。随分と役得だよね?初々しい女子中学生の水着姿を堪能できるなんて?」
「そりゃまあ、僕だって木石じゃないからね。適度に目の保養をさせて貰うよ」
「そういう切り返しでくるなんて!?予想外だよ!全力で否定すると思ったのに!」
そう言いながらも、シンジはお昼用のバーベキューの材料の準備に忙しい。包丁を手早く使いながら、野菜を手ごろな大きさに刻んでいく。
「シンジさん、私も手伝うよ。玉ねぎは輪切りで良いよね?」
「ありがとう、早乙女さん」
「良いの良いの。ところでさ、何でシンジさんは水着じゃない訳?」
ハルナの指摘通り、シンジはTシャツに短パン、腰にパーカーを巻き付けて縛っていると言う恰好である。
「水着なら履いてるよ?これの下に」
「おお!いつの間に買ったの!?昨日、一緒に買い物行った時には、買ってなかったよね?」
「うん、買ってないよ」
その瞬間、ハルナと夕映の顔がピシッと音を立てて強張った。その場に居合わせた刹那やアスナ、のどかも『まさか』と互いに顔を見合わせる。
「そっか、褌は水着兼用やしなあ」
「こういう時は便利だよ。荷物が少なくて済むからね」
「待った!その発言、ちょっと待ったあああ!」
包丁片手に、ハルナが吠える。確かに彼女は恋する乙女である。意中の男の水着姿に興味を惹かれても仕方が無い。だが褌姿は、水着姿とは違う意味で破壊力が有りすぎた。
「本気!?本気で言ってるの!?」
「本気も何も事実だよ。別に何も問題はないだろ?」
「「「「「ありすぎます(るです)!」」」」」
一斉にシンジへ入るツッコミ。だが問題はそれだけではなかった。
「「「「「「褌いいいい!?」」」」」」
遠くから聞こえてくる悲鳴。良く見ると、先ほどまで傍にいた風香の姿が無い。
「ああ!情報漏洩!?」
ハルナが叫ぶが、すでに手遅れ。少女達は恥ずかしそうに、チラチラとシンジを見ていた。平然としているのは、楓と真名ぐらいである。
「ちょっと、楓姉!何で平気なの!?褌だよ?お相撲さんが着けているアレだよ!?」
「力士が着けているのは褌ではなくマワシでござるよ。それはともかく、拙者の実家でも、褌は当たり前のように使っていたでござるからな。水練の最中に、何度も見た事はあるし、別にどうと言う事はないでござるよ」
価値観の違いに、風香がクラッと倒れかけ、史伽に慌てて支えられる。その一方で、裕奈がもう1人の冷静な少女に食いついた。
「たつみーも平気なの!?褌だよ!?」
「・・・私の父も、褌を使っているんだ。既に見慣れているよ」
「何とクールなお返事!」
どよめく少女達。そこへ刹那を引き連れた木乃香がやってきた。
「2人の家も褌使うてたんやな~」
「木乃香殿の家もそうなのでござるか?」
「そうやえ。お父様は褌使うとるよ。家で修業してる人達も、半分ぐらいは褌使うとるなあ」
絶句する少女達。そこへ躊躇いがちな刹那の声が聞こえた。
「思うのですが、女子中学生が集まって『褌』を連呼する方が、よほど問題があるように思うのですが」
その言葉には、全員が頷かざるを得なかった。
昼食後―
カナヅチという事がバレたシンジは、ハルナに海へ強制連行され、泳ぎの指導を受けていた。その意外すぎる欠点に、普段からシンジに玩具にされがちな鳴滝姉妹や夕映、美空がこれ幸いとばかりに囃したてながら周囲を取り巻いている。
「でも、シンジさんがカナヅチとは知らなかったよ」
「浮く事が出来なくてね。沈む事なら得意なんだけど」
「「オイオイ」」
同時にツッコム風香と美空。2人ともスポーツは全般的に得意で、特に水泳は大好きだったりする。
「僕にしてみれば、ネギ君が泳げるっていうのが驚いたよ。ネギ君の出身地は、水泳はあまり盛んじゃないところだからね」
「そうなのですか?」
「山奥なうえに、冬になると村が雪で閉ざされるそうだよ」
「なるほど、天才少年の面目躍如ですね」
そんな視線の先では、まき絵・亜子に抱きつかれ、慌てているネギの姿が有る。さらにそこへあやかも参戦して、なし崩し的にネギ争奪戦が開始される。のどかは木乃香と一緒に浜辺で遊んでいたのだが、この事態にオロオロするばかりで参戦する気配が無い。
「おでこちゃん。宮崎さんの背中を押してきてあげなよ」
「誰がおでこちゃんですか!まあ、良いです。ちょっと行ってくるですよ」
スイーッと離れていく夕映。夕映は運動は比較的苦手なのだが、水泳は数少ない例外だったりする。
だが夕映がのどかの背中を押すよりも早く、事態は急変した。
あやか達3人から逃れるため、ネギは必死で泳いだ。無意識のうちに魔力が供給されて筋力が強化された為か、凄まじい水飛沫が上がっている。だが―
「ガポッ!?」
「あらあら」
3-A最大のバストの持ち主、千鶴の胸にネギは埋まっていた。ビキニの水着と、豊満な谷間に挟まれ、逃げる事も出来ないでいる。
「千鶴さん!ネギ先生を胸の谷間に挟みこんで何をする気ですか!?」
「いえ、これは先生の方から。あら大変。抜けませんわ」
「バスト勝負!?」
慌てるネギ。困っているようには全く見えない千鶴。嫉妬したあやかが突撃し、さらに野次馬が群がっていく。
「あーあ」
「ああ!出遅れた!」
呆れたようなシンジの隣で、風香が悔しがっている。そして―
「ああ!ネギ先生しっかりして!」
「お、溺れてる!?」
「息は!?息はしてますか!?」
1時間後―
「良い男の条件、ねえ?」
「だってさあ、最近の男って情けないっていうか、カッコ悪いっていうか、元気が無くない?」
「やっぱり目標に向かって戦ってないとね」
トロピカルジュースを傾けながら、数名の少女達が休憩がてら雑談をしていた。
「目標、夢か」
「て事は、つき合うなら年上ってことかにゃー?」
「でもなあ、先輩とか兄貴も、将来なんて分からんとか、良う言うてたけど」
テーブルを囲んで話しているのは、亜子・裕奈・アキラ・まき絵の4人である。隣のテーブルではハルナ・夕映・のどかの3人が寛ぎ、更にハルナに強制連行されたシンジが夢の世界の住人と化していた。
「パル。その辺り、シンジさんはどうなのよ?」
「シンジさんは将来の展望は持ってないみたい。まあ、改めて聞いてみた事も無いんだけどさ。第一、下手に根掘り葉掘り聞く事には躊躇いが有るし・・・」
「ハルナの言う通りです。シンジさんの場合、藪を突いて蛇を出す、を地で行く人ですから」
「んん?それはどういう意味なのかにゃ~?」
好奇心を刺激された裕奈が、ニヤリと笑いながら詰め寄る。しまった、と慌てる夕映とハルナであったが、時すでに遅し。
裕奈の隣にはまき絵がニヤリと笑いながら立っている。その後ろには亜子とアキラが裕奈達ほどではないが、やはり好奇心を刺激されてジッと視線を注いでいた。
逃げられない。そう観念した夕映は、自分の失言が原因だった事もあり、自分が説明しようと口を開いた。
「絶対に誰にも言わない事を約束するですよ?一度だけ、あの人の初恋相手の話を聞いた事が有りました。ですが酷い話だったです。絶望して自殺しなかったのが不思議なほどですよ」
ストローでジュースを吸い上げる夕映に『どういう事よ』と裕奈達が詰め寄る。
「掻い摘んで説明すると、その女の子が、シンジさんを守ろうとして命を落としたそうです」
その瞬間、裕奈達が気まずそうに視線を逸らした。どう考えても好奇心から訊きだして良い様な話ではなかったからである。
「それは幾らなんでも、過去をほじくり返す気にはならないな・・・どんな過去が出てくるか、分かった物じゃない」
「パル、頑張るんだよ~」
まき絵の声援に、ハルナがヒラヒラと手を振って応える。そのシンジはと言えば、完全に眠りこんでいた。どうやら普段の疲れが、ドッと出たようである。
ちなみにシンジだが、ハルナの肩を枕代わりに眠り込んでいる。これはシンジが眠り込んだのを、これ幸いとハルナが引き寄せた為だったりする。
「そうなると比較対象としては、ウチらの場合はネギ君になる訳だ」
「この前のエヴァちゃん弟子入りテストの時は、見直したからにゃ~」
「そうだよねえ。あれには驚いたよ」
裕奈と亜子の意見に、アキラもウンウンと賛同する。
「おお、亜子もよーやくネギ君のカッコよさに気付いたかな?」
「でもネギ君、10歳やし・・・」
「アスナさーん!」
バタバタと傍を走り抜けていくアスナ。その後ろを追いかけるネギ。アスナはネギに追い付かれまいと必死で走っている。
ネギとしてはアスナと仲直りをしたいのだが、どうしても上手くいかないらしい。すでに半泣き状態である。
「話を聞いて下さいーーーーっ!」
「うるさいわね!ついてこないでよ!」
「待ってくださーーーーい!」
少女達には目もくれず、バタバタと走り去る。それを見送った少女達が、一斉にタラーッと冷や汗を流す。
「ま、まあ10歳だしねえ」
「情けない時もあるよね、うん」
「カワイイと思うけどなあ」
夕陽が射す中を、トボトボと歩くネギ。その頭にしがみ付いているカモは、ネギを慰める事に懸命だった。
「兄貴、そう落ち込むなよ。その内、機嫌を直してくれるさ」
「そんな無責任な事言って・・・」
水平線の向こう側に沈み始めた夕陽を眺めながら、ネギが『ハフー』と溜息を吐く。そこへ水着姿の夕映とのどかが近寄った。
「まだ仲直りできてないですか?」
「・・・あう・・・」
「相談に乗るですよ。ところで、そもそもの発端は何なのですか?」
「実は・・・」
エヴァンジェリンの修業直後から、仮契約カードで召喚するまでの一部始終を説明するネギ。最初の頃はともかくとして、最後に至ってはさすがの夕映も言葉を失っていた。
「まあ、最後の裸も致命傷だとは思いますが、それ以上に致命的な事をネギ先生はやっているですよ」
「そ、そうなんですか?」
「ネギ先生は『アスナさんは元々、魔法使いの世界 とは関係の無い人間だから、危険な目に遭わせたくない』と、そう言いたかったですよね?」
コクコクと頷くネギである。そんなネギに『10歳児にそこまで深く考えろと言うのも酷ですね』と思いながら口を開いた。
「ですがネギ先生の言い方では、受け取る側―つまりアスナさんにしてみれば『アスナさんは無関係な中学生だから、首を突っ込むな』と否定されているように聞こえてしまうですよ」
「ええ!?僕そんなつもりは!」
「つもりはなくとも、そう聞こえてしまえばショックを受けるでしょう。これまで一緒に戦ってきたんですから」
ガーンとショックを受けたネギだったが、それでも原因が判明した事で、顔に明るさが戻ってくる。
「ありがとうございます、夕映さん!僕、全然、分からなくて!」
「女心、分かってんな!ゆえの姉貴!」
「いえ、常識の範囲内だと思うですが・・・誰かに相談はしたのですか?」
その言葉にカモが『神鳴流の嬢ちゃん、真祖のパートナー、科学者の嬢ちゃん、真祖のとこの殺戮人形』と指折り数えていく。
「桜咲さん、茶々丸さん、葉加瀬さんですか。最後は良く分かりませんが、どう考えても相談相手を間違えているような気がするですよ・・・ところで、折り入って相談が有るのですが、宜しいでしょうか」
「ぼ、僕にですか?」
「はい。良いですよね、のどか」
夕映の確認に、のどかがコクンと頷く。
「私達も魔法使いになれないでしょうか?仮契約 というのをお願いしたいのです」
「・・・で、僕に相談と?」
「はいです。先日の一件と、学園長先生による講義―これはまだ終わっていませんが、色々と考えたです。魔法に対して、好奇心が無くなりました、等と言うつもりはありません。ですが、私には魔法が必要なのです」
ネギに呼び出されたシンジは、夕映とのどかの相談内容に面喰っていた。先日の一件から一週間と経ってないのに、こう来るとは想像もしていなかったのである。
「あ、あの。私達、ハルナも交えて相談したんです。ハルナはシンジさんの力になりたいと言う意地を通した、そう聞きました」
「・・・それで?」
「私もゆえゆえも、木乃香とハルナを守りたい。私達はずっと仲良くしてきました。誰か1人でも欠けるなんて、嫌なんです!」
「のどかの言う通りです。ハルナはシンジさんの傍に、木乃香は大きな力を持つが故に危険に巻き込まれる可能性がある。だから私達2人で、あの2人を守りたいのです。のどかを含めた3人は・・・お爺様が死んで以来、世界全てが灰色に見えていた私にとって、色を取り戻してくれた人達だから」
フーッと息を漏らすシンジ。気持ちは分かるが『はい、そうですか』と了承できる事でも無い。
「全く、次から次へと厄介事を持ちこんでくれるね」
「あ、あうう、すいません」
「どちらにしろ、その頼みは僕ではなく、ネギ君に頼むべきだと思うけどね」
『何でですか?』と訊ねる夕映に、シンジはアッサリと返した。
「僕は仮契約相手 をこれ以上増やすつもりは無いからだよ」
そこへザバーッと音を立てて、水中から人影が浮かんでくる。
「盗み聞きは良くない趣味だね、朝倉さん」
「まあまあ。シンジさんだって、私がいるのには気づいていたんでしょ?さよちゃんとつるむ様になってから、どうも霊感って言うのかな?そっちの方が鋭くなっちゃってね。見えてたよ、シンジさんの式神。この下を警戒させてたでしょ」
そのままシンジに近寄ると、和美はテーブルの上に置かれていたミネラルウォーターに手を伸ばした。
「ところでさ、ゆえっちは仮契約 ってどうやるか知ってるの?」
口を×の字にして首を傾げる夕映。そんな夕映に『実はね・・・』と和美が耳打ちする。
「え・・・ええええええ!?」
「ま、そういう訳なんだわ。いっちょ行っとく?」
「キャーーキャーー!」
全身を赤く染めて、和美の言葉を遮ろうとする夕映。
「まあ、その程度の覚悟なら、踏み入らない方がマシだよ。それじゃあ」
立ち上がるシンジ。慌てて夕映がしがみつく。
「ち、違うですよ!今のはそういう意味じゃないです!私がネギ先生とキスをするというのは・・・その・・・のどかに悪くて・・・」
「そう思うなら、尚更僕は必要ないだろう。ネギ君と宮崎さんを交えて、3人で話し合うべきじゃないかな?」
シンジの正論に、言葉も無い夕映である。シンジに仮契約 を結ぶ意思が無い以上、残る相手はネギしかいない。ならば当事者同士で話し合うのが当然である。その事は理解できたのか、夕映ものどかも素直に頷いた。
「ネギ君。この件は自分で考えて判断するんだよ。かかっているのは、おでこちゃんの命なんだ。僕は敢えて自分の意見を言わない。じっくり考えて結論を出すんだ」
「・・・はい、分かりました」
「10歳のネギ君に、他人の命を背負わせるというのが重すぎる事は分かってる。助言はしてあげるし、手助けだってしてあげる。でも決断の意思と、それに伴う責任だけは肩代わりしてやれないんだ。僕の言っている意味、分かるね?」
コクンと頷くネギ。シンジに愛想を尽かされて放り投げられた訳ではない事に気付き、緊張感を漂わせている。
「そう言う事だ。あとはネギ君の意見が固まってから、3人で話し合うんだね」
夕映とのどかも、無言でコクンと頷く。そこへドタドタと木乃香が刹那を連れて走ってきた。
「ネギ君、しつもーん!パクテオーてキス以外にやり方ないん?」
突然の言葉に、ステーンと転ぶ夕映。あまりにも気楽な物言いに、今までの緊張感が根こそぎ吹き飛んでいた。
「木乃香さん、一体、どうしたんですか?」
「ウチな、魔法使いになることにしたんよ。それでな、ウチはせっちゃんにパートナーになって欲しいんやけど、せっちゃんが女の子同士でキスするのはアカンゆーんよ」
『いえ、その・・・』と顔を赤らめながらモジモジする刹那。そんな刹那に和美が笑いながら近寄っていく。
「いいじゃん、みんなふざけてキスくらいするぜ?」
「し、しかし節度という物が・・・」
「だったらシンジさんとネギ君はどうするのさ?事故とは言え、ディープだよ、ディープ」
刹那、夕映、のどかの顔が、耳たぶまで瞬時に赤く染まる。
「なあ、お兄ちゃんはどう思う?ウチがせっちゃんと仮契約 する事」
「・・・個人的には賛成かな。桜咲さんなら木乃香を守ってくれるだろうし。何だったら木乃香の婿養子として近衛刹那になるというのも・・・」
「シンジさん!」
ガーッと吠える刹那。その隣では木乃香が『せっちゃんがウチのお婿さん?』と嬉しそうに笑っている。
「いや、そうしてくれると本気で助かるんだけど。僕は近衛家を継ぐつもりなんて全く無い。でも桜咲さんなら木乃香を安心して任せる事が出来る。そうなると、いっそ結婚して貰っても良いんじゃないかと」
「悪ふざけは止めて下さい!」
「・・・詠春さんなら、認めてくれそうだけどなあ」
とは言った物の、さすがに刹那の怒気が洒落にならない領域に達した為、シンジは素直に自分の意見を引っ込めた。
「けどね、桜咲さん。真面目な話、仮契約 をするなら早い方が良いと思うんだ。仮契約 の機能の1つ『召喚』の事を考えればね。それがどれだけ木乃香の護衛役として有利なのかは、言わなくても分かるだろう?」
「そ、それはそうですが・・・」
「無理にとは言わないよ。ただ真剣に考えておいてくれればいいからさ」
その言葉に、コクンと頷く刹那。木乃香は『楽しみにしてるな、せっちゃん』と笑顔で返す。
「なあ、旦那。旦那は仮契約相手 をもう作るつもりはないんだよな?」
突然のカモの質問に、シンジが小さく『うん』と返す。
「じゃあ前衛は誰に任せるんだ?」
「「「「「あ」」」」」
シンジ以外、全員の声がハモった。確かにシンジもハルナも後衛型なのだから、ある意味致命的である。
「それについては考えているよ。何も前衛は人間だけとは限らないからね」
「ふーん、色々考えてるんだな、旦那は。でもよ、兄貴みたいに前衛は多いに越した事は無いと思うぜ?」
「否定はしないけどね。でもまあ、そこら辺は上手にやるよ。それじゃあ、僕もそろそろ失礼するよ。ネギ君、神楽坂さんと早く仲直りしなよ」
翌日、早朝―
昨日の内にアスナと仲直りできなかったネギは、コンコンと言う音で目を覚ました。
何だろうとキョロキョロ見回すが、周囲にそれらしい音源は無い。そこでもう一度、コンコンという音が聞こえてきた。
「・・・アスナさん?」
窓の外で、水着姿で立っているアスナ。人差し指をクイクイと動かして、ネギに出てこいと合図を送る。
素直に出てくるネギ。その前に突き出されたのは、小さいバックに入った、ネギの水着である。
着替えてきたネギの手を取ると、グイッとアスナが引っ張っていく。そのまま海へ直接降りられる階段を下りだした。
「こんなところに階段が?・・・あああ!?」
突如、ブンッと投げられるネギ。ジャッポーンッと盛大な水飛沫とともに、ネギが着水する。
「な、何をするんですか!?アスナさ」
「無視して悪かったわね、謝るわ、ごめん」
ネギをギュッと抱きしめるアスナ。ネギもしばらく呆けた後、その言葉の意味に気がついた。
「ぼ、僕の方こそ関係ないとか言って、ごめんなさい!」
「良いわよ、もう。ただね、どうしても譲れない事が有るのよ」
視線を合わさないよう、顔を俯けたままアスナが続ける。
「私はね、アンタが心配なのよ。アンタが大怪我するんじゃないか、死んじゃうんじゃないか、そう考えたら、不安で仕方ないのよ。修学旅行でシンジさんが死にかけたのを目撃してから、ますます、そう思うようになったの」
ネギの頬に、水滴がポタッと落ちる。
「止めろっていっても、お父さん追うの、諦めるつもりないんでしょ?だからさ・・・」
グイッと目元を拭ってから、アスナはネギから少しだけ身を離す。
「アンタのちゃんとしたパートナーとして見て欲しいのよ、ネギ」
To be continued...
(2012.03.17 初版)
(あとがき)
紫雲です。今回もお読み下さりありがとうございます。
今回はネギ修業編になります、と言うかネギ&アスナのコンビによる、しばらくぶりのドタバタ喜劇です。ただそれだけでは物足りない為、色々と追加してみました。聡美がナオコを尊敬している話とかがそうだったりします。
話は変わって次回ですが、ヘルマン編(3話構成)になります。
エヴァンジェリンの下で本格的に修業を始めたネギは、ひょんな事からアスナとシンジに己の過去を見せようと決意する。
一途に父親を慕い続ける幼いネギ。そんなネギの姿に、シンジはかつての自分を重ね合わせていく。そんな感じの話になります。
それでは、また次回も宜しくお願い致します。
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