正反対の兄弟

第四十八話

presented by 紫雲様


夏休みの思い出CASE①長谷川千雨―
コミケ会場―
 この日、千雨はビブリオンの敵幹部ビブリオ・ルーランルージュのコスプレをして、この場所に立っていた。
 周囲にはカメラを手にした男が円を作り、パシャパシャとフラッシュをたいている。
 「こっちに困り顔お願いしまーす!」
 「え~?こうですか~?分かりません~」
 「伝説の14話のポーズをお願いしますー!」
 少し前まで眼鏡がなければ人前に出られない対人恐怖症の気があった彼女だが、諸々の諸事情によりその精神的な欠点は改善されつつあった。と言うより、今ではコスプレをして人前に出るのを楽しみにするほどである。
 そのキッカケを作ったネギには色々と思う所のあった彼女ではあるが、元来ドライな性格である為、今は結果オーライ的な考えを持つに至っていた。
 そう、この日までは。
 この日、千雨は幸せの絶頂にあった。かつてはヴァーチャルアイドルとしての活躍に全てを捧げていた彼女だが、リアルで注目される事に大きな喜びと充実感を感じていたからである。
 自然と頬は緩み、心に隙ができる。
 「あー!いたー!千雨さんー!」
 ビクウッ!と身を竦ませる千雨。耳に飛び込んできた声は、あまりにも聞き覚えのある声であった。
 ゆっくりと振り向く千雨。視界に飛び込んできたのは、彼女が苦手とする少年と、その友人である。
 「いやあ、凄いですねえ。この漫画のお祭り。イギリスではこんなお祭り、見た事無いですよ」
 「何でお前らがここにいる」
 羞恥と怒りで顔を赤く染める千雨。
 「何でって言われましても、ハルナさんが誘ってくれたんですよ」
 「あ、あの腐れ女子があ・・・」
 「だからみんなと一緒に来たんですよ」
 その言葉に、千雨がピシッと音を立てて固まる。すでにその顔からは、生気が消えうせていた。
 「だ、誰が来ているんですか?」
 「えっとアスナさん、木乃香さん、刹那さん、のどかさん、夕映さん。あと保護者引率役としてシンジさんとアスカさんが来てます」
 「そんな濃いメンバー連れてくんじゃねえよ!」
 思わず絶叫する千雨。ざわめく周囲。慌てて口を塞いだ千雨だったが、自分の叫び声が原因ではなかった事に気付く。
 「何だ?何があったんだ?」
 やがて人混みが割れていく。そこに現れた人影に、今度こそ千雨は声を失った。
 「お、いたいた」
 「兄ちゃん、遅いで」
 「ごめんごめん。着替えに手間取っちゃったよ」
 麻帆良武道会で着ていた狩衣に烏帽子姿、赤の首輪にリードのシンジに、周囲から歓声とシャッター音が聞こえてくる。
 しかし中身の入っていない左袖(義手は外している)と、右手に持った昼食用の重箱の入った風呂敷が、あまりにもアンバランスすぎていた。
 「・・・なあ、一体、早乙女の奴からどんな説明を受けたんだ?」
 「更衣室で狩衣に着替えてくれ、と言われただけだよ。どっか間違ったかな?直すから教えてくれると有難いんだけど」
 「いや、もういい」
 激しい頭痛と疲労を感じた千雨が、盛大に溜息を吐く。まあ陰陽師のコスプレ―首輪は関係ないが―だと言い張れば、疑う者はいない場所なのだから、まあ我慢してやろうと考えた時だった。
 「シンジ!」
 「アスカ」
 その声に顔を上げた千雨が、今度こそ凍りついた。アスカの着ている服が、あまりにも想定外すぎたからである。
 「そ、その服は何なんだ?」
 「これ?ドイツの軍属時代に着ていた礼服よ。サイズが小さかったから、シンジに仕立て直して貰ったんだけどね」
 (・・・本物かよ!)
 内心でツッコム千雨。彼女も麻帆良祭の一件が終了した後に、シンジとアスカの素生についての真実は聞かされていた。だから2人がどんな時間を過ごしてきたのかは知識としては知っている。
 故に2人がコミケと呼ばれる物を知らなくても、それは仕方ない事だと判断できた。だが幾らなんでも、あまりにも世間知らずだと思ったのである。
 「まあハルナから漫画のお祭りだと聞いたから、1度ぐらい見てみたいと思ったのよ」
 「そういえば、アスカは前から漫画雑誌、良く読んでたよね」
 「向こうにいた時、一番、手っ取り早いストレス解消法だったのよ。簡単に手に入るし、邪魔になれば捨てたって構わない。こんな便利な物は無いわよ」
 誰にも理解しやすいアスカの答えに、千雨も納得したように頷いた。そこへ、ネギが近くで販売していた、1冊の本を手にとって小太郎と一緒に覗き込む。
 「へえ、これがビブリオンのパロディ本なんですね。本物より綺麗だよ」
 「確かに綺麗やけど、ライダーはないんか?」
 「み、見ちゃダメだーーー!」
 裏表紙にデカデカと描かれた18禁のマークに、血相を変える千雨。慌てて取り上げ『てめえらにゃ早過ぎんだよ!』と怒声を上げる。
 その反応に、スッと同人誌を取り上げたのはシンジである。肩越しに覗き込んできたアスカと一緒に、パラパラとページを捲っていく。
 微かに顔を赤らめるアスカ。だがシンジはニヤッと笑うと、本を閉じると千雨に手渡した。
 「いやあ、執筆御苦労さま。毎晩遅くまで勉強頑張ってるなあと思ってたんだけど、これを描いてたんだね」
 「バカ野郎!私はコスプレだけだ!早乙女と一緒にすんじゃねえ!」
 シンジの言動はわざとだと言う事は理解しつつも、過剰反応する千雨であった。

 なし崩し的にシンジ達と合流した千雨は、ハルナ達がいる筈のエリアへ移動していた。人混みを掻き分けながら歩き続ける一行。やがて周囲が女性ばかりのエリアへと移動する。
 「この辺りは女の子が多いんだね」
 「そういえばそうよね。男なんていないし」
 女性向けコーナーなのだから当然と言えば当然の言葉に、こめかみを押さえる千雨。周囲からは歓声が上がり、視線が特定のペア―軍人スタイルの少女に、飼犬状態の陰陽師スタイルの少年―に集中している。
 「ねえ、アスカ。僕、何かやったかな?妙に視線が集まるんだけど」
 「アンタのせいでしょ」
 アスカの指摘に、内心で千雨がウンウンと頷いて見せる。
 「だってここってお祭りよね?でもアンタの服は、仕事着なんでしょ?お祭り会場に仕事着を着てくる奴がいたら、そりゃあ白い目で見られるわよ」
 「うーん、確かにアスカの言う通りだよねえ。でもそれを言ったらアスカだって仕事着じゃないか」
 「まあそうなんだけどね」
 『何でそうなるんだよ!そんなに目立ちたくなけりゃあ、まず首輪とリードを外せ!』とツッコミたくて仕方ない千雨。そんな千雨を、ネギが不思議そうに見上げる。
 「千雨さん、顔色が悪いですけど、風邪でも引かれたんですか?」
 「てめえら全員、あの腐れ女に押し付けてやるんだよ!」
 ズカズカと歩き続ける一行。そんな一行の視線が、見覚えのある少女達の姿を捉えた。
 「おい!早乙女!」
 「お、みんな来てくれたんだ」
 ハルナの両脇には、売り子を務めているらしいのどかと夕映が立っていた。その近くには1冊の本を手に、顔を赤らめているアスナ・刹那・木乃香の3人が立っている。
 「どう?調子は。本を売るとは聞いていたけど」
 「ん~、今の所はまあまあかな。高等部や大学部の先輩にも協力して貰っているからね」
 差し入れに持ってきたお重を受け取り『ありがとう』とお礼を言うハルナ。
 「そうだ!早乙女さんはどんな本を描いたんですか?」
 「ああ、俺も興味あるわ。ライダーか?」
 「ん?アスナが持ってるよ」
 その言葉に、無邪気にアスナから本を借りるネギと小太郎。それに気付いたアスナが止めようとした時には遅かった。
 「あれ?何で男の人が裸に・・・」
 「風呂でも入るんかな?」
 「それ以上ページをめくるんじゃねえ!」
 いち早く行動を起こした千雨が、乱暴に本を掴み取る。だがその取り上げた本を、好奇心に駆られたシンジがハシッと取り上げた。
 「ちょ!?」
 「・・・冬の冷たい雨の中を走って来たタカミチはドアを開けると『来ちゃった』と胸の前で両手を組みながら・・・」
 「朗読すんじゃねえ!」
 18禁BL同人誌(小説挿絵あり)を、公衆の面前で朗読するという暴挙に出たシンジに、千雨が遠慮のない飛び膝蹴りを顎に叩き込んで黙らせる。
 こぼれおちた同人誌を、掴みとったのはアスカだった。そのまま、パラパラとページを捲っていく。
 「・・・これって、あまりにも話が綺麗すぎない?古株の軍人に昔の話を聞いた事があるけど、女性の職業軍人が出るまでは、そりゃあ洒落にならなかったそうよ?」
 「誰がリアリティを追求しろと言った!」
 「そういえば、日本でも男同士というのは衆道という名称で、戦国から江戸時代には主と家来の間で見られた物らしいね。恋文が残っていると言う実話もあるし」
 「ちょ、それどういう事よ!?」
 思わず食いつくハルナ。夕映やのどかたちも興味を引かれたのか、説明を要求してきた。
 「まあ有名どころだと、武田信玄と高坂昌信、伊達政宗と片倉重綱といった所かな。実際に相手に送った手紙が残っているんだよ。意味合いとしては『あんまりヤキモチを焼くなよ』みたいな物だけど」
 「ちょっと待て!何でアンタはそんな事知ってんだよ!」
 「何でって言われても、神社の資料の中に記述があったんだよ。当時はその手の関係は隠さず公然としていたみたいだから、意外に資料は現存しているんだよね」
 どうでも良い豆知識に、頭痛を堪える千雨。アスナ達は赤らめながら『あわわわわ』と言葉にならない声を発し続ける。
 「ううん、さすがシンジさん。リアルでBLをやっただけの事はあるね」
 「ちょっと待て!何だそれは!?」
 ハルナの爆弾発言に、一番驚いたのは千雨である。
 「あのねえハルナ。君は自分の恋人になるかもしれない男が、同性愛者になってしまっても良いのかい?」
 「いやあ、渚カヲルさんとシンジさんのツーショットが、あまりにも衝撃的で」
 「だから僕とカヲル君は、ただの親友だって」
 「そう?プロポーズまでされていたのに?」
 その言葉に、ブッとジュースを噴き出す夕映。傍らにいたのどかはオロオロするばかり。一方、刹那は虚空を見つめながら『そういえば・・・キャーキャー』と妄想に耽れば、木乃香は『せっちゃん明るうなったなあ』とズレた感性を披露する。しかしそんな少女達の中にあって、唯一アスカは聞き逃せなかったのか『どういう事よ!』と詰め寄った。
 「2人きりでお風呂に入って『好き』だと言われて顔を赤らめて、同じ部屋で眠る時に『僕は君に会う為に生まれてきたのかもしれない』とまで言われて・・・」
 「馬鹿シンジ!どういう事なのか説明しなさいよ!」
 「だから邪推だって!カヲル君は親友でしかないんだから!」
 シンジの首を締めながら、詰め寄るアスカ。その眦は、怒りで吊り上がっている。
 「みんな。シンジの性的志向が本当にノーマルなのかを調べるべきだと思うの。協力してくれる?」
 「「「「了解ヤー」」」」
 「少しは僕を信用してくれよ!」
 同人誌売り場で始まったリアルBLな長身の美少年(疑惑だが)を頂点としたハーレムという光景に、腐女子達が一斉に歓声を上げた事は言うまでも無い事である。

夏休みの思い出CASE②相坂さよと朝倉和美―
 この日、さよはふよふよと空に浮かんでいた。周囲を見渡しても、その視界のどこにも巨大な世界樹の姿は無い。あるのは無数の山林だけである。
 今、彼女がいる場所は、長きに渡って縛り付けられていた麻帆良学園ではない。今、彼女がいるのは本州の最北端に位置する青森県である。
 珍しく、自由気ままに空の飛行を楽しんださよだったが、足元から聞こえてきた声に気付くと、そちらへと舞い降りた。
 「さよちゃん、見つかった?」
 「はい!もう少し先ですよ!」
 「そっか。じゃあもう少しだけ、頑張ろうか」
 さよがこの世界で、無条件に信用を置く少年―シンジの言葉に、さよは一も二も無く頷いていた。そんなさよ達のもう1人の同行者である和美は、どこか疲れを浮かべながらも、弱音を吐く事無く一歩を歩き出す。
 そんな和美の右手から、急に荷物の重さが消えた。何事かと目を向けると、そこには両腕を真上に突き出し、荷物を持ち上げているアベルがいた。
 「ありがとう、アベル。助かったよ」
 和美の言葉に、アベルが『ぐるるる』と唸り声で応じる。そんなアベルに対して、さよが『アベルさんは優しいんですねえ』とニッコリ笑いかけていた。

恐山菩提寺―
 「へえ、ここがイタコで有名な恐山ねえ・・・ただのでっかいお寺にしか見えないけど」
 和美の一言に、苦笑するしかないシンジである。
 「そりゃそうだよ。本来は最澄の弟子である円仁という人が開いた、由緒正しいお寺なんだからね。恐山=イタコというイメージが強いけど、イタコはお寺の境内を借りているだけなんだ」
 「そうなの?」
 「そうだよ。それにイタコがいるのは7月の恐山大祭と、10月の恐山秋詣りの時だけ。たまに土日に観光客の為に来ているイタコもいるそうだけどね」
 その説明に『へえ』と感心するさよと和美である。そんな2人を引き連れて(アベルは既に、シンジが背中に背負っているナップサックに姿を隠している)境内へと踏み入った。
 そのまま歩いて行くと、1人の僧侶が境内を掃き清めていた。
 「こんにちは。京都の炫毘古社の近衛シンジと言います。本日、面会の予約をしていた者なのですが、御住職はおられますか?」
 「ええ、聞いておりますよ。こちらへどうぞ」
 僧侶の先導に従い、本堂とは離れた場所へと案内されるシンジ達。案内された先は、ちょっとした小休止を取る事ができる休憩所であり、すでに先客らしい2人の老人が待っていた。
 1人は住職らしい袈裟姿、もう1人は質素な服を着たイタコの老女である。
 「初めまして。僕は近衛シンジと言います。後ろにいるのは」
 「あ、朝倉和美です!」
 「相坂さよです~」
 ペコリと頭を下げる和美。さよもそれに倣うが、自分の存在感の無さを思い出し、今更ながらに名乗っても意味が無い事を思い出した。
 「ほっほっほ。元気で何よりじゃ。儂はここの住職でな、隣は儂の古い知己じゃよ」
 「・・・よろしゅうなあ、可愛いお嬢さん方」
 その言葉に、さよがハッと顔を上げる。そのままイタコの老女の前へと漂った。
 「私が見えるんですか?」
 「見えはせんよ、このババは盲目じゃからのお。ただ分かるんじゃよ、お嬢ちゃんがいるという事がのう」
 皺だらけの手をさよの頭へと差し伸べる老女。優しく撫でられるにつれて、さよが『ふええええん』と泣きはじめる。
 「そちらの坊やは背中に何かを背負っておるようじゃのう。さっきから、こちらが気になって仕方ないようじゃが」
 「よく気付きましたね。正直、驚きましたよ。確か御住職は、近衛家の裏の顔を御存知だと伺っておりますが・・・」
 「まあのお。近右衛門の実家が、陰陽師の大家だと言う事ぐらいは知っておるよ」
 「そうですか、ならば構わないでしょうね。アベル、出ておいで」
 シンジの言葉に従い、ナップサックからアベルが姿を見せる。その姿に、目の見える住職は言葉を失い、目以外の感覚で相手を捉える老女もまた言葉を失った。
 「この子はアベル。僕が命を預ける事ができる相棒です。陰陽師風に言いかえるなら、前鬼後鬼と言った所でしょうか」
 「・・・やれやれ。近右衛門もまたとんでもない孫を持ったもんじゃのう。鬼は鬼でも鬼神と言ったところか」
 肩を竦めた住職が、脇に置かれていたお茶を一息に呷ると、熱い茶を湯呑に注ぎながら、シンジ達に椅子に座る様に身振りで示す。
 素直に座ったシンジ達は、お茶で渇きを癒すと早速本題に入った。
 「御住職。ここへ来た目的ですが」
 「うむ。用意はしてあるとも。これじゃよ」
 住職が袖の中から、1つの藁人形を取り出して見せた。
 「・・・シンジさん、これがそうなの?」
 「そうだよ。とりあえず、試してみようか。相坂さん」
 「は~い」
 ふよふよと近づいてきたさよが、藁人形に重なる。同時にさよの姿が消え、代わりに藁人形がスクッと立ち上がった。
 「さよちゃん、調子は?」
 「はい~何か不思議な感じです~」
 ヨタヨタと歩く藁人形。まるで酔っ払いの千鳥足のように頼りない歩き方だが、誰もその姿を笑うような事はしない。それどころか感慨深そうに、さよの歩みを見つめていた。
 「これなら、何とかなりそうだね」
 「そうだね、相坂さん、一度外へ出てくれるかな?」
 その言葉に、素直に外へと出るさよ。するとシンジはメジャーを取り出して、藁人形の寸法を測りだした。
 「あの~何をするんですか?」
 「さすがに藁人形のままじゃ、女の子には辛いでしょ。外装を作って、それを被せるんだよ」
 「おお、それなら良い物があるわい。是非、使ってくれんかの?」
 老女が脇に置いていた手提げ袋の中から、丁寧に折り畳まれた衣服を数点取り出す。
 「このババが持っていても、あの世へ持って行くしかないんでの。良かったら、お嬢ちゃんの新しい服として、使ってやって欲しいんじゃ」
 取り出されたのは数点の和服と、さよの格好と同じセーラー服である。これにはさよが反応して『ありがとうございます~』とお礼を言いながら老女に抱きついていた。
 
その日の夜―
 一行は住職の好意に甘えて菩提寺に宿泊した。だがシンジは気になった事があり、アベルを和美とさよの護衛代わりに置いて行くと、1人、イタコの老女の家へと訪問していた。
 夜の訪問にも関わらず、老女は家族とともにシンジを出迎えてくれた。
 「こんな夜分の訪問なのに、会って下さってありがとうございます」
 「いやいや、そんなに大した事ではないからのう」
 「僕達は明日には麻帆良に帰ります。恐らくこの先、恐山へ来る事は無いでしょうから、どうしてもその前に聞いておきたい話が合ったんです」
 出されたお茶を口に含むと、シンジは早速本題を切りだした。
 「お婆ちゃん。貴女は相坂さんの事を知っていますね?それも僕の推測が正しければ、貴女は相坂さんの個人的な友人、もしくは肉親ではありませんか?」
 「・・・どうして、そう思ったのか理由を教えてくれるかのう?」
 「お婆ちゃんが譲ってくれたセーラー服ですよ」
 ソファーに座り直すと、シンジは意識してゆっくりと話しだした。
 「あれがお婆ちゃんが着ていた物なら、譲ったりはしないでしょう。お婆ちゃんの想い出が籠っている訳ですから。でも、お婆ちゃんは何も言わずにセーラー服を自発的に持ってきてくれていた。その理由を考えてみたんですよ。もしかしたら、あのセーラー服は生きていた頃の相坂さよの形見の品だったんではないか、とね」
 「なるほどのう。確かにその通りじゃよ。ババが嫁に来る前の名前は、相坂あさひと言う名でな、さよは5つ年下の妹なんじゃ」
 さよの姉を名乗る老女―あさひは自分もまたお茶に手をつける。一服すると、あさひは懐かしそうに口を開いた。
 「ババは生まれついて目が弱くてな、あまり外には出ずに家の中で遊ぶ子供じゃった。そのせいか、さよが生まれてからは一日中、あの子の面倒を看ておったよ」
 「可愛かったですか?相坂さんは」
 「勿論じゃよ。じゃがあの子が進学の為に家を出た時、ババも嫁入りする為に家を出たんじゃ。あの子はババを祝福してくれたよ。学校は楽しい、好きな人ができた、そう書いた手紙を送ってきてくれた」
 あさひの目尻に、光る物が浮かび上がる。それをハンカチで拭うと、あさひは話を続けた。
 「だから、あの子が不治の病で死んだ時には、子供のように泣いたよ。今でもよく覚えておる。さよに縋りついて泣いておった男の子の泣き声の事も、形見として渡されたセーラー服の事もの」
 「・・・まさかとは思いますが、お婆ちゃんがイタコになったのは」
 「その気持ちが無かったとは言わんよ。昔から眼の弱い人間が出来る仕事と言えば、按摩か弾き語りじゃった。だがここにはイタコという者達がいた。だからババは、イタコの修業を積んだんじゃよ。いつかさよと、もう1度会いたいと思ってな」
 納得したように頷くシンジ。そんなシンジに、逆にあさひが問いかけた。
 「さよは、今までどうしておったのか、教えてくれんかの?」
 その質問に、シンジはさよを失った近右衛門の過ちから始まった、60年に及ぶさよの時間を教えた。
 孤独の中で生きてきたさよの悲しみ。だが3-Aという仲間に出会い、明るく楽しい時間を手に入れた事に話が及ぶと、あさひが両目をハンカチで覆って嗚咽を漏らした。
 「・・・さよの事を、頼みます」
 「ええ、勿論です。相坂さんは、3-Aの仲間ですからね。それよりお婆ちゃんこそ、明日は見送りに来て下さいね。青森駅を10時に出ますから」
 「ありがとう、ありがとう。絶対に行くからのう」

翌日、青森駅―
 麻帆良へと帰る為、シンジ達は駅へとやって来ていた。見送りに来たのは、菩提寺の住職だけである。
 「・・・おかしいな。御住職、あさひさんが来ていませんが、何か聞いていませんか?」
 「うむ。寺へは特に連絡は来ておらんかったのう」
 首を傾げる住職。どうしても嫌な予感を振りきれないシンジは、あさひの自宅へと電話をいれた。
 しばらくのコールの後、ガチャッと音が鳴る。
 「もしもし?昨夜、伺わせていただいた、近衛シンジですが」
 『近衛さん!?良かった、連絡が取れなくて困っていたんです!』
 「何かあったんですか?」
 受話器から聞こえてきた内容に、シンジの顔が青褪めていった。

病室―
 連絡を受けたシンジ達は、帰還を送らせて、急遽、病院へと向かった。ロビーで待っていたあさひの孫に案内されて、病室へと向かう。
 そこには、酸素マスクをつけたあさひが、家族に見守られて昏睡状態に陥っていた。
 その姿に、さよと和美が言葉を失う。
 「今朝の事なんです。朝ご飯を食べた後、お婆ちゃん、急に倒れてしまって」
 医師の診断によると、原因は持病の悪化。高齢と言う事もあり、無理な延命を望まないあさひの意思もあり、手術をしなかった結果がこの状況を招いたのである。
 「・・・お医者様によれば、もう手遅れだと・・・」
 「そうですか・・・」
 グルッと室内を見回すシンジ。室内にはあさひの家族と住職しかいない事を確認すると、シンジは口を開いた。
 「申し訳ありませんが、これから起こる事を生涯、口にしないと約束して戴けませんか?」
 奇妙な申し出に、あさひの家族達が首を傾げる。だがシンジが真剣な表情である事を理解すると、特に質問を返す事も無く無言で頷いた。
 「相坂さん、出てきてくれないか?どうしても、君に伝えておかないといけない事があるんだよ」
 「・・・い、良いんですか?出ちゃいますよ?」
 スウッと姿を現したさよに、あさひの家族が悲鳴をあげそうになる。だが先手を打ったシンジが、咄嗟に『黙って!』と叱咤する。
 「相坂さん。君に伝えないといけない事があるんだ。君は記憶が無い、そうだよね?」
 「は、はい。そうです~」
 「このお婆ちゃんはね、名前をあさひ。嫁入りする前の本名は、相坂あさひという名前なんだよ」
 自分と同じ名字に、さよが驚きで目を丸くする。
 「あさひさんは、君の本当のお姉ちゃんなんだよ。君が生まれてから、麻帆良に進学するまでの間、ずっと君の面倒を看てきた、たった1人のお姉ちゃんなんだよ」
 白日の下に晒された真実に、住職以外の全員が驚きで体を硬直させた。
 「恐らく、これが最後の機会だよ」
 「で、でもどうしたら・・・」
 「お姉ちゃん。そう呼んであげれば良いんだよ。あさひさんは、君の事をずっと覚えていたんだから。君が生きていた頃に着ていたセーラー服を、形見の品として大切にしていたようにね」
 さよが自信なさげにあさひの耳元へと近寄る。そしてお姉ちゃん、と耳元で囁いた。
 その時、あさひの指先がピクンと震えたのを、全員が目にした。
 「さよちゃん、お婆ちゃんが動いたよ!」
 和美の叫びに、全員が頷く。それにつられたかのように、さよは今までよりも大きな声で、はっきりと呼び掛けた。
 「お姉ちゃん!」
 あさひの閉じられていた両目が、ゆっくりと開く。その白く濁った瞳が、困惑しているさよの姿を捉えた。
 「・・・さよ?さよなの?」
 「お姉ちゃん?お姉ちゃんなの!?本当にお婆ちゃんが、私のお姉ちゃんなの!?」
 あさひの手が、ゆっくりとさよの頭に載せられる。
 「さよ、泣いちゃダメだよ。笑ってなきゃダメだからね。さよは幸せにならないとダメなんだから」
 そう呟くと、あさひの手が静かに重力に引かれて落ちた。同時に、脈拍を測定する機械の数字が0を示す。
 「お姉ちゃん!」
 永い眠りについた姉に、さよが縋りつく。生前の記憶は戻ってこないが、それでもさよは、心のどこかであさひが実の姉であると確信していた。
 なぜなら、あさひは笑顔を浮かべたまま、眠りについていたから。

翌々日、青森駅―
 慌ただしい日程の中、葬儀を終えたシンジ達は今度こそ麻帆良へと帰るべく、青森駅へとやって来ていた。
 見送るのは住職とあさひの家族である。
 あさひの家族達は、当初はさよを引き止めていた。幽霊とは言え、自分達の親族だと知らされた今、知らんぷりは出来なかったからである。何より、あさひの死に顔を思い出せば、さよは自分達にとっても家族だと断言できた。
 だがさよは麻帆良への帰還を選択していた。
 『だってみんなが待ってるから』
 それがさよの返事であった。
 その返事に、あさひの家族達も無理に引きとめる事はせず、いつでも遊びに来るようにとだけ伝えると、それ以上の無理強いをしようとはしなかった。
 動きだす新幹線。いつまでもホームから自分達を見送っている者達の姿に、さよが涙を浮かべる。
 「さよちゃん、無理はしなくて良いんだからね」
 「・・・ふ、ふええええん・・・」
 和美に縋りついて嗚咽を漏らすさよ。その悲しい声に、シンジは亡きあさひから『さよを頼みます』と言われた事を思い出すと、無言のままさよを見守っていた。

夏休みの思い出CASE③残された超包子組―
 「・・・ふう・・・」
 「どうかしたのですか?五月さん」
 隣で包丁を振るっていた茶々丸に声をかけられ、五月は珍しく苦笑していた。
 「超包子って、こんなにお仕事忙しかったかな?って思ったらね」
 「なるほど。超さんの穴を埋める為に、五月さん1人に負担をかけすぎたようですね。申し訳ありません。直ちに私が」
 「そうじゃないって!ただ・・・ちょっと寂しいなって思っただけだよ」
 五月の視線が、超の休憩場所を兼ねていたパイプ椅子へと向けられる。主を永遠に失ったパイプ椅子は、ポツンと片隅に置かれたままであった。
 「五月ー!最後のお客さん、帰ったアルよ!」
 「お疲れ様、五月さん。茶々丸」
 ウェイトレス役を務めていた古菲と聡美が厨房へと入って来る。遅めの昼食を摂りながら、古非がポツリと呟いた。
 「・・・超は今頃、どうしてるアルか・・・」
 古菲の視線が、一同の中核を成していた人物の定位置へと注がれる。そこに陣取る少女は、もう彼女達の前に現れる事は無い。
 「超さんなら、きっと元気でやっていますよ。ちょっとやそっとでへこたれる様な人じゃないですから!」
 「確かにハカセの言う通りです。ところで気になっている事があるのですが」
 茶々丸の言葉に、少女達が『ん?』と視線を向ける。
 「今後、超包子を営むに当たり、やはり4人では現状維持すら難しいという事です。今まで5人だった仕事量を4人で補うのですから、どこかに無理が出るのは明白です」
 「・・・茶々丸の言う事は正しいアルね」
 事実、麻帆良祭以降、超包子組の3人(茶々丸を除く)は遅刻寸前に登校をするようになっていたのである。原因が、仕事の疲労による寝坊にある事は、全員がちゃんと理解していた。
 「でも、どうやって問題を解決しましょうか」
 「手っ取り早く解決するなら、方法は2つです。1つは仕事量を減らす事。もう1つは労働力を確保する事です」
 「葉加瀬の言う通りアルね。私としては、新メンバー募集に1票アルよ」
 古に続いて、茶々丸も賛成票を投じる。遅れて五月や聡美も賛成し、見事満場一致の賛成となった。
 「では次に移るとして、誰をスカウトするのかを決めましょう。出来れば、料理が得意な方が望ましいでしょうね。欲を言えば、経営者的な考えを持つ方であれば、ベストだと思います。超さんは、材料調達の交渉も行っていましたからね」
 「・・・そうなると、第1候補は近衛さんでしょうが・・・」
 「幾らなんでも、無理アルよ。ただでさえ、寮監・ネギ坊主の補佐・魔法使いと3役をこなしているのに、その上、超包子なんてなったら・・・」
 シンジの性格を考えれば、出来る範囲で手伝おうとするのは間違いない。問題なのは、シンジは辛いのを我慢してしまう点にある。
 「優秀すぎるのも問題ですね。そうなると料理上手という点から、木乃香さんと千鶴さんと長瀬さん、次点で早乙女さんという所でしょうか」
 「那波さんは幼等部の子供達の面倒を看る事で手一杯だと聞いた記憶があります。木乃香さんと楓さんは、修業で忙しいようですし・・・」
 「ハルナは頼めば手伝ってくれるアルよ。寮の厨房仕事と重ならない様にする事が条件だと思うアルね」
 その言葉に、ウンウンと頷く五月。
 「ただ問題なのは、早乙女さんの場合、料理人としてはまだまだ特訓中という点です。超さんと同レベルとはいかないでしょうから。それに時間的制約を考えると、労働力を1人分確保したとは言い難いですね」
 「質問なのですが、料理人である必要はあるのでしょうか?」
 茶々丸の指摘に、3人が同時にハッと顔をあげる。
 「純粋にウェイトレス役を募集する、という方法でも良いかと思います。ウェイトレスが増えれば、その分、私達が厨房に入れるようになります」
 「確かにその通りですね」
 「茶々丸の言う通りアルよ。それならこちらも募集しやすいアルね」
 お茶の入った湯呑を持ちながら、全員で『うーん』と考え込む。そんな時に、ハカセがポンと手を叩いた。
 「そうだ!アスカさんに頼んでみると言うのはどうでしょうか?」
 「アスカさんに?」
 「はい。彼女の料理の技術は未知数ですが、明るい勝気な性格はウェイトレスに向いていると思うんです。それに頭の回転も早いそうですし、交渉事にも向いているかもしれません。食材の目利きは五月さんがフォローすれば良い訳ですし」

その日の夕刻、麻帆良女子寮食堂―
 この日、食堂で3-Aメンバーに混じって夕食を摂っていたアスカは、超包子組の要請に目を丸くしていた。
 「私にウェイトレス?」
 「はい。お願いできないでしょうか?」
 シンジ経由で超包子の存在を聞いてはいたものの、そこに自分が組み込まれるとは欠片ほどにも考えていなかったアスカは、デザートについてきたブドウを食べながら呆気に取られていた。
 「アスカ、やってみたらどう?」
 「シンジ?」
 「僕もそうだけど、アスカもアルバイトの経験はないだろ?」
 4歳の頃からエヴァのパイロットとして訓練の日々を送ってきたアスカに、アルバイトの経験等ある筈も無い。
 考え込むアスカ。『もう一押し必要か?』と考えこんだ聡美が、自身の携帯電話が震えている事に気がついた。
 取り出して見てみると、シンジからのメールである。思わず顔をあげると、シンジは思わせぶりに頷いていた。
 メールの内容をザッと確認し、聡美は行動に出た。
 「アスカさん。私達を手伝って貰えるなら、アスカさんにもメリットはあります」
 「メリット?アルバイト代とか、私は欲しくないわよ。お金なら十分あるし」
 「違います。近衛さんを射とめる為ですよ」
 意外な言葉に、目を丸くするアスカ。周囲も聡美の発言に、思わず耳を澄ます。
 「近衛さんは以前、個人的な女性の好みとして、料理の出来る人が良いという事を口にした事がありました。だから早乙女さんは現在、近衛さんの補佐役として厨房に入って料理技術を学んでいる訳です」
 「でもそれなら私だって・・・」
 「確かにアスカさんはここ1年ほど、炊事を担当していたと聞いた覚えはあります。ですが、それだけで良いのでしょうか?」
 キョトンとするアスカ。
 「いっそ、近衛さんが習得していないジャンルの料理を習得すべきだと思うのです。そうすれば、お互いに弱点を補い合う事が出来ます」
 「・・・確かに、一理あるわね・・・」
 「アスカさんには中華の基本から学んで貰う訳です。最初はウェイトレス役中心で、中華の基本を学ぶのは休憩時間とかになるでしょうが、経験さえ積んで貰えれば、いずれは厨房で料理も担当して戴きます。どうでしょうか?」
 理路整然とした聡美の発言に、少女達は言葉も無い。アスカもまた、自分が得られるメリットについて考えさせられていた。
 アスカの料理技術は、決して低くは無い。それはシンジが失踪後、アスカが葛城家の炊事をこなしていた事から断言できる。シンジやヒカリ程ではないにしろ、それなりに料理技術は身につけていた。
 だからこそ、聡美の言うメリットには一考の価値があったのである。単純な家庭料理だけでなく、中華の技術も習得しているとあれば、それはアスカにとって強力な武器になるとも言えた。
 「良いわよ、引き受けてあげるわ」
 こうしてアスカは、超包子新戦力として迎えられる事になった。

 ウェイトレスを務めるアスカの噂は、瞬く間に学園中に広まった。特にアスカは飛び級で大学部へ在籍している事もあり、その知名度は非常に高い。加えて明るい性格と、美少女と呼ぶに相応しい容貌故に、高い人気を保持している。
 その為、勤務初日から超包子はいつも以上にお客が殺到していた。
 そんな大繁盛な時間の中、事件は起きた。
 昔から、超包子では喧嘩は日常茶飯事な出来事である。これは来客の大半が、血の気の多い武道系サークルメンバーである事が原因である。
 そしてこの日も、立ち技最強グループと寝技最強グループとの間で口論が始まっていた。
 このような時に揉め事の仲裁に入るのは、コアラの如き威圧感を持って有無を言わさず喧嘩を収める厨房の主と言える少女である。だがこの日、肝心の五月は揚げ物の真っ最中で、すぐにコンロの前を離れる事が出来ずにいた。
 「五月、私が止めてくるアルよ」
 「はい、お願いします」
 厨房を飛び出る古。だがそこには、呻き声を上げる男達が転がっていた。
 空手着を着た者達は、肘を押さえて呻いている。逆に柔道着を着た者達は、気を失って昏倒していた。
 「・・・これは」
 「落ちろ!」
 聞き覚えのある声に、振り向く古。そこには柔道着を着こんだ巨漢のこめかみ目がけて右回し蹴りを叩き込もうとしている、エプロン姿のアスカの姿が合った。
 その鋭い蹴りを、相手は左腕で難なくブロックし、ニヤッと笑って見せる。そこへ反対側から飛んできた、左回し蹴りが男のこめかみに突き刺さる。あまりにも見事な双龍脚であった。
 ズズンと沈む男。そのままアスカは最後まで残っていた、ボクサーらしい男目がけて飛びかかる。そのまま空中で肘関節を極めながら、地面に男を引きずり倒した。
 見事な飛び十字に、周囲から歓声が上がる。
 一瞬で肘を折られたボクサーは苦悶しながら、地面をのたうち回っていた。
 「あら?」
 「・・・手際が良いアルね・・・」
 「荒事には慣れてるからね。それにしても、日本のウェイトレスは大変なのね。まさか用心棒バウンサーも兼ねるなんて思わなかったわ」
 それは違うと、周囲の野次馬達は心の中で一斉にツッコミをいれたそうである。

 この日以来、アスカは大学部において高嶺の花と呼ばれるようになったが、本人だけはその理由を知らなかったそうである。



To be continued...
(2012.08.18 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回はショートストーリー3本構成です。内2話については完全オリジナルですが、楽しんで頂ければ幸いです。
 個人的に今回の話で一番気に入っているのは、さよの素性に関わる話だったりします。話中、さよが死んだ際に泣いていた男の子は・・・言わぬが花ですね。当時はまっとうな後頭部だったのでしょうw
 話は変わって次回です。
 次回は魔法世界編プロローグと言うべき話になります。
 魔法世界訪問の為、イギリス・ウェールズへ旅立った一行。紆余曲折を経て魔法世界へと渡った一行だったが、ゲートでトラブルに巻き込まれる。
 コッソリついてきた少女達。更にはゲート破壊の為に幹部級魔法使いと月詠を投入してきた完全なる世界コズモ・エンテレケイア
 更にシンジが使徒ではなくなった事を知らないフェイトは、対使徒用に用意しておいた切り札を放つ。
 そんな感じの話になります。
 いよいよ魔法世界編に入ります。最後まで、どうかお付き合いの程宜しくお願い致します。



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