正反対の兄弟

第五十一話

presented by 紫雲様


バウンティハンターギルド―
 カナリア村の近くに出没した魔族達を撃退しおえたゲンドウとキョウコは、偶には休みを取ろうという話になり、ギルド付設の酒場で羽を伸ばしていた。
 キョウコの前にはフレッシュジュース、ゲンドウの前には湯気の立つ紅茶のセットが一式置かれている。そして2人の間―丸テーブルの中央には露天市で購入したばかりのお菓子が鎮座し、それを肴に2人はダラダラと時間を潰していた。
 だがギルドの酒場など、骨休めには不向きな場所である。にも拘らず、何でこんな場所にいるのか。真剣に骨休めをするのであれば、少し離れた観光地に行くべきだからである。そして2人も、最初はそのつもりでいた。
 その予定を変更しなければならない理由。それは南の帝国―ヘラス帝国と、メガロメセンブリアを盟主とする北の連合との間で起きた戦争である。
 戦場は連合の領域ではあるものの、だからといってノンビリ骨休めの旅を楽しめるような状況でも無い。それ故に、ゲンドウ達は渋々ではあるものの、酒場でダラダラするしかなくなったのであった。
 「戦争ねえ・・・事の発端は、結局の所は何なの?」
 「要は文明発祥の地オスティアの奪還が目的らしいね。僕達旧世界の人間にしてみれば、エルサレムを巡ってユダヤ教徒とイスラム教徒が争ってるような物だよ」
 「とっても無駄極まりない戦争ね。そんな事に労力注ぎ込むぐらいなら、もっと他の事に注ぎ込めば良いでしょうに」
 クッキーを口にしながら、キョウコが呆れたように呟く。周囲からは、あまり好意的でない視線が注がれているのは事実だが、2人が魔法世界の生まれでない事と2人の実力が抜きんでている事もあり、誰も正面切って啖呵を切れずにいた。
 「やれやれ、ヘラス帝国の人間にしてみれば、悲願と言えるんだがなオスティア奪還はよ」
 「意外ですね、カインさんがオスティア奪還派だったなんて」
 「そこまで強硬じゃねえけどな。ただよ、それでも自分達の御先祖様の出身地が他国の支配下にあるって言うのは、正直複雑なのさ」
 肩を竦めながら、カインが椅子を引いてゲンドウ達と同じテーブルに着く。彼は地ビールと自分で作った肴を持参していた。
 「それによ、元を正せば最初に侵略戦争仕掛けてきたのは連合だからな。こいつは歴史書を紐解いてみれば誰にだって分かる事だ」
 「だからと言って、今を生きる人には関係ない事ですよ。仮にヘラス帝国がオスティアを奪還したら、現在オスティアで生活している人達をどうするんですか?全てを奪い尽くしたら、間違いなく報復の対象にされますよ?」
 「・・・まあお前の言う通りなのは分かってるんだがな。だからと言って、今更、停戦する訳にもいかねえだろうが」
 「いえ、今すぐに停戦すべきでしょうね。ヘラス帝国首脳部には、政治的・戦略的に物事を考えられる人間がいないようですから」
 ゲンドウの言葉に、カインが目を丸くする。それは周囲で耳を澄ましていた者達にとっても、決して聞き逃せない一言であった。
 「キョウコ。君なら分かるだろ?僕がどうして、そう判断したのか」
 「まあね。そう言う意味では、今回のヘラス帝国の侵攻作戦は最悪の一言に尽きるわ。グレート・ブリッジを占領してしまったのは、最悪の一手だもの」
 「な!?そんな馬鹿な事がある訳ねえだろ!どう見ても、最高のタイミングだったじゃねえか!オスティアへの2度に渡る侵攻作戦。誰がどう見ても本命だった侵攻作戦を囮にして、メガロ・メセンブリアの喉元へ刃を突きつける最高の妙手じゃねえか!」
 カインの判断は、ギルドメンバーの総意と言って良いほどに全員の気持ちを代弁していた。誰がどう見ても、成功としか考えられないからである。
 「ふふ、貴女達は気付いたみたいね?」
 その言葉に全員が振り返る。そこには、遅い昼食を摂りにセシリアが姿を見せていた。
 「セシリア。やっぱり気付いたのね?」
 「当然よ。ヘラス帝国陣営の目的は『聖地オスティアの奪還』なのよ?なのにそのオスティア奪還を囮にグレート・ブリッジを攻めてどうするのよ?グレート・ブリッジはメガロ・メセンブリアを落とす橋頭堡にはなっても、オスティアを攻める橋頭堡にはならないわよ?第一、グレート・ブリッジなんか手に入れてみなさい。そこを守る為に、どれだけの戦力を回さないといけなくなると思う?全長300kmに渡って屹立する要塞を死守する為の戦力なんて、馬鹿馬鹿しくて考えたくも無いわね。私が指揮官なら、グレート・ブリッジなんて無視するわよ」
 「セシリアの言う通りよ。ヘラス帝国はアリアドネー・アルギュレー大平原・シルチス亜大陸と3方向同時侵攻作戦なんて馬鹿げた事をしている。戦力の分散は、戦略的に考えて絶対にやってはいけない悪手よ!そこへグレート・ブリッジの防衛戦力を割くなんて、どこから捻りだすつもりなのか、理解に苦しむわ!」
 「僕も同感。僕は戦争反対派だけど、万が一、僕が首脳部の一員ならアリアドネーは外交交渉で中立を約束させる。その上で聖地オスティアを全戦力を使って電撃戦で攻略するね。その際、オスティアの全住人は1人の例外も無く皆殺しにする」
 ゲンドウの過激すぎる発言に、全員が言葉を失った。戦争反対派でありながら、戦争推進派を上回るほどの過激な意見だったからである。
 「皆殺しにすれば、オスティアの現在の住人に対する補償問題は考えなくて済む。その上でオスティアを全滅させた事実をもって、周辺諸国を降伏勧告により支配下に組み込んでしまう。立派な侵略戦争になってしまうけど、これが一番犠牲者が少なくて済む」
 「・・・賛成はしたくないけど、ヘラス帝国の国益だけを考えるならば、それが最善でしょうね。なのに現首脳部は、無意味に戦火を拡大する事しか考えていない。これじゃあ無能呼ばわりされても、抗弁なんて出来ないわよ」
 「そう言う事。そもそもどんな大義名分があろうとも、侵略戦争を仕掛けたら侵略される側に恨まれるのは当たり前の事なの。その恨みの総量を減らすのが首脳部の責任だと言うのにねえ」
 3人の見解に、他のギルドメンバーは声も無い。
 「しかしグレート・ブリッジは拙過ぎるな。オスティアは昔から、帝国と連合の狭間で揺れ動いてきた歴史がある。今回の一件で、オスティアは間違いなく連合と手を組む。アリアドネーもそこに参加するのは間違いない。そうなれば、確実に戦線は泥沼の膠着状態に陥るぞ」
 「3方向同時侵攻作戦が、3方向同時防衛作戦に切り替えられるのは時間の問題ね」
 「2人の言う通りよ。そうなれば周辺諸国も連合に加わるでしょうね。誰だって負け戦なんてしたくないんだから」
 肩を竦める3人。セシリアは軽い昼食を用意して貰うと、自分でトレイを持ってゲンドウ達と同じ席に着く。
 そんな時だった。
 ギーッという音とともに、ギルドの扉が開く。そこに立っていたのは、小さな子供の集団であった。
 「おいおい、坊主ども。ここは酒場だ、お菓子が欲しいなら余所へ行きな」
 「ち、違います!僕達、依頼に来たんです!」
 意外な言葉に、目を丸くするカイン。それは子供の声を聞いた他のメンバーも同様である。
 「これが依頼金です!僕達のお兄ちゃんを助けて下さい!」
 「・・・依頼ねえ・・・まあ話ぐらいは聞いてやる」
 「はい!僕はセシルと言います。この街の孤児院に住む者です」
 セシルの依頼は実に単純な物であった。セシル達が兄と慕う人物―ジェイルは、徴兵の対象となって最前線に送り込まれたのである。ところが問題なのは、ジェイルは兵士に志願した訳ではないと言う事であった。孤児院出身の人間故に、仮に戦死しても遺族に補償しなくても良いという打算的な理由で、強制徴兵されたというのである。
 「お願いです、ジェイル兄さんを助けて下さい!依頼金はみんなで働いて作りました!」
 「・・・坊主、お前達が頑張ったのは理解できる。だがこの依頼は受けられねえ。お前達はヘラス帝国相手に喧嘩を売るような仕事を持ちこんだんだ。この程度の金額で、命を賭ける連中はここにはいねえ」
 「そんな!?お願いです!ジェイル兄さんを助けて下さい!」
 「帰んな。誰もそんな依頼、受けやしねえよ」
 興味を失くしたかのように、カインは踵を返す。セシルは足にしがみついて必死に訴えるが、カインがそれに応じる気配は無い。
 依頼料も少ない上に、危険性は段違い。最悪、ヘラス帝国から裏切り者扱いされかねない依頼を受ける者などいる訳が無い。
 「しつけえぞ、小僧。どこにたかが100ドラクマ程度の金で、帝国相手に喧嘩を売る馬鹿がいると思ってやがる!」
 「お金が足りないなら、必ず作って払います!だから!」
 「帰れ!」
 ドカッとセシルを蹴り飛ばすカイン。周囲で状況を見ていたギルドメンバー達も、セシル達を馬鹿にするかのような発言を声高に言いだす。それでもセシルと子供達が必死に訴えた時だった。
 「ま、そうだろうね。流石に今回は、カインさんの言う通りだ。これじゃあ賭けにもなりゃしない」
 「当然だ。誰も成功に賭けたりしねえ」
 不機嫌そうなカインの言葉に、酒場に集まっていたギルドメンバーが一斉に同意の声を上げた。
 「よし、じゃあ賭けにしようか」
 「「「「「「・・・は?」」」」」」
 「カインさんを始めとした、バウンティハンターギルドメンバーは、全員今回の依頼失敗に賭けるんだ。本命も本命、絶対に外れる訳が無い程のド本命の賭け。まさか賭けに乗りません、なんて言ったりはしないな?」
 いつもと口調の変わったゲンドウの言葉に、全員が『まさか?』と内心で疑惑を募らせる。
 「私は依頼成功に賭けさせてもらう。セシリアさん、僕達が預けたままのお金、どれぐらいになってますか?」
 「そうねえ。ざっと概算で2000万ドラクマってとこかしら」
 「それを全額ベットしようか。だからカインさんを筆頭に、この場にいるギルドメンバーは全員で2000万を掻き集めてくるんだ。買った方が賭け金を総取り。まさか100%勝てる賭け事から逃げ出すなんて愚か者はいないよな?」
 「ゲ、ゲンドウ!お前本気か!?第一、誰が依頼を受けると言うんだ!」
 絶叫するカイン。周囲も事の成り行きに、呆気に取られるばかりである。
 「無論言いだした私が行く。キョウコ、賭けに勝てば2000万ドラクマを山分けだ。大仕事になるけどね」
 「勿論、付き合うわよ。面白そうじゃない」
 2人の発言に、セシリアは口元を隠して笑い声を抑えるので精一杯である。ゲンドウがどうしてこんな発言をしたのか、その真意に気付いたからである。
 (雉も鳴かずば撃たれまい。確か旧世界の諺だったわね。あの子達を馬鹿にするような事さえしなければ、ゲンドウを怒らせずに済んだのにねえ。それにしても、ゲンドウもよくやるわね。無報酬に近い依頼を、2000万の高額報酬依頼に変えてしまうなんて)
 「ギルド長!笑ってないで止めて下さい!」
 「止められる訳がないでしょう?ゲンドウは個人的に頼み事を引き受けているだけだもの。そもそも、その子供達の依頼については、バウンティハンターギルドの受付窓口である貴方自らが断っている。違うかしら?」
 「だ、だったら!その依頼を賭けにすると言うのは!」
 「賭けが嫌なら降りれば良いじゃない。それとも賭け事は御法度だとでも言うつもりなのかしら?」
 アッサリ切って捨てたセシリアの発言に、カイン達は言葉も無い。確かに賭けから降りる事は可能である。だがそれは、彼ら自身が愚か者だというレッテルを張られかねない。
 何せ誰がどう考えても、この依頼は失敗に終わる筈なのである。そんな絶対に勝てる賭けから逃げるなど、愚か者以外の何者でもない。
 だがゲンドウとキョウコの実力を良く知るが故に、彼らは迂闊に賭けに飛び乗る事が出来ないのも事実であった。
 「2人とも。ギルド長として、今回ばかりは貴方達を支援はできないわ。でも貴方達が無事に帰って来ると信じています。だから精一杯、やってきなさい」
 「勿論よ!終わったら、美味しい物食べに行くわよ!セシリア!」
 「それじゃあ依頼内容について詳しい話を聞こうか。中へ入っておいで、まずは君達のお兄さんの居場所を確認したいからね」
 強面どころか悪党面をしたゲンドウの、予想外すぎる優しい物言いに面喰いながらも、セシルはオズオズとジェイルの現状について話し始めた。

翌日、バウンティハンターギルド―
 既にギルドを発ったゲンドウとキョウコが残した賭けの波紋は、未だにギルド内部を飛び交っていた。
 各自のプライドを守る為、ギルド構成員全員合わせて2000万ドラクマを掻き集める事には成功した物の、内心では『何でこんな事に・・・』と頭を抱える事しきりである。
 大半のメンバーは虚勢を張って『どうせ無理に決まっている』と口には出している物の、ギルドにおいて『最強』の称号を欲しいままにする2人組の実力を考慮すれば、声色がどこか上ずるのも仕方ない事であった。
 そして、その筆頭に位置するのがカインである。一晩眠った事で落ち着いた頭で良く考え、自分達がゲンドウに良いように踊らされた事には気がついた。だが気付くのがあまりにも遅すぎたのである。
 今更ながらに後悔したカインであるが、最早、諦める他なかった。不幸中の幸いか、2000万ドラクマは彼1人で負担する訳ではない。全員での負担故に、1人当たりの損害額(既にカイン自身は、賭けには負けたと判断していた)はまあ我慢できる範囲に落ち着いたからである。
 それでもストレスが消えてなくなる訳ではない。内心で募らせているストレスを、今晩は酒でも飲んで憂さを晴らすかと考えた時だった。
 「ちと訊ねるが、ここがバウンティハンターギルドで良いのかの?」
 可愛らしい声に、全員の視線が集まる。そこにいたのは、まだ幼いヘラス族の少女である。そしてその後ろには、帯剣姿の正騎士が3名、ピッタリと寄り添っていた。
 「・・・確かにバウンティハンターギルドだが、ここは嬢ちゃんのような子供が来る所じゃないぜ?」
 その物言いに、正騎士達がピクンと反応する。だが事前に何か言い含められていたのか、行動に移そうとはしなかった。
 「妾はここのギルド長、セシリア殿に話があって来たのじゃ。セシリア殿に取り次いで貰いたい。テオドラが来た、とな」
 少女の名前に、一斉にギルドメンバーが口に含んでいた酒を噴き出した。
 「まさか、テオドラ皇女殿下!?」
 「そうなのじゃ。それで、セシリア殿はいるのか?アポイント無しの非礼は詫びる故、早急に取り次いで貰いたいのじゃ。先日、こちらに所属するゲンドウ殿とキョウコ殿に命を救われた礼をしておらんのでな。それに2人に対してしてしまった誤解の詫びもしなければならん」
 テオドラの言葉に、カインは自分の胃に穴が開いた事を自覚しながら、セシリアに全て押し付けて楽になろうと即決した。

ゲンドウ・キョウコside―
 「ここがグレード・ブリッジか」
 セシルからジェイルの所属部隊に関する情報を集めた2人は、ジェイルの部隊がグレート・ブリッジに駐屯している事を突き止めるなり、すぐにそこへ向かった。
 セシルの依頼はジェイルの救出である。だが助け出したところで、逃走兵として扱われるのは後が厄介極まりない。故に、小競り合いの最中に戦死、死体は見つからなかったという筋書きでの救出劇を考えていた。
 現在、2人はグレード・ブリッジを見降ろす山の頂上にいる。ジェイルの部隊がどこにいるのかまでは分からない。
 「軍だって馬鹿じゃない。使い魔による偵察を防ぐ為の仕掛けぐらいはしている筈。となると式神もグレート・ブリッジには入れないだろうな」
 「それなら、直接中へ忍び込んで、それから式神を飛ばして探すしかないんじゃない?」
 「うん、僕もそう思う」
 とりあえず2人は、フリーランスの傭兵という立場で要塞に雇われに来た、という筋書きで行動を開始した。魔法世界は実力さえあれば、12歳ぐらいからでも戦場に出てくるのは珍しい事では無い。だから2人が疑われたとしても、実力を見せれば納得するだろうという考えもあった。
 しかし、問題はその後だった。
 グレート・ブリッジの向こう側―連合側の領空に見える、無数の機影。
 「まさか連合か!?何でこんなに早い!」
 「ゲンドウ、急ぐわよ!」
 「うん、急ごう!」
 2人は慌てて坂道を駆け下りた。

 この時、2人は欠片ほどにも想像していなかった。後に、肩を並べて戦う事になる、戦友達と刃を交える事に。

 上空を飛行する戦艦群と、要塞との間で火線が交差する。その破壊力たるや、大地を轟音とともに揺らがすだけの破壊力を秘めていた。
 だが何よりも恐るべきは戦艦ではない。戦艦とは別個に行動している、5つの人影である。後に『赤き翼アラルブラ』と呼ばれる事になる彼らは魔力や気を獲物に、自らの肉体を武器として要塞に戦いを挑んでいた。
 「千の雷キーリプル・アストラペー!」
 一際、巨大な雷が天から轟音とともに降り注ぐ。次の瞬間、グレート・ブリッジの一部が破損し、内部を露呈させた。
 その強力極まりない雷の魔法に、帝国側は敵に誰が加わっているのかを理解し、大きな動揺を走らせる。
 だが、そんな帝国側の都合等、彼らには全く関係が無い。各々の技と力を使い、戦艦の艦砲射撃ですらダメージを与えられない要塞に、次々ダメージを与えていく。
 「何だ、てんでなっちゃいねえな。帝国ってのは、こんなに弱いのか?」
 「全くだな」
 「ナギ、ラカン。自分を基準にして考えるな」
 「この馬鹿共に何を言っても無駄じゃ」
 「・・・いや、そうでもなさそうです」
 アルビレオの言葉に、ナギ・詠春・ゼクト・ラカンが視線を向ける。そこにはサングラスにスーツの男と可愛らしい服の少女―ゲンドウとキョウコが立っていた。
 「悪いな、ここは通行止めだ」
 「そう言う事。今、ここを壊されちゃうと困るのよね」
 キョウコは『来れアデアット』と呟き、愛用の方天画戟を呼び出す。一方のゲンドウは、右手はポケットに入れたまま、左手はダランと垂らしたままである。
 「魔法使いの従者ミニストラ・マギですか」
 「おもしれえ、少し遊んでやろう。嬢ちゃん、かかってきな。テメエらは手え出すんじゃねえぞ?」
 ラカンが素手のまま、前に歩み出る。そんなラカン目がけて、キョウコが方天画戟を手に襲い掛かった。
 「ハアッ!」
 「チッ、なかなか速い!」
 突きこまれてくる無数の突きを、ラカンは気で強化した肉体を使って払いのける。一方、もう1人の喧嘩っ早い人物は、当然のように残ったゲンドウに喧嘩を売った。
 「アンタの相手は、この俺様だ!覚悟は良いな?」
 「・・・先に言っておくが、魔法使いである限り私には勝てん」
 「上等!」
 挨拶代りにとばかりに、ナギが雷の暴風ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンスを無詠唱発動させる。雷を纏った暴風はゲンドウを正面から呑みこもうとする。
 だが、次の瞬間、ナギは目の前で起きた光景に目を丸くした。
 手加減したとはいえ絶対の自信を持って放った暴風は、一瞬で無効化されたからである。手加減など全くしない一撃が、こうもアッサリと掻き消された事に、ナギは僅かな間、呆気に取られた。
 「ナギ!下がりなさい!貴方では相性が悪すぎる!私が出ます!」
 ゲンドウが魔法を無効化した方法に気付いた詠春が、咄嗟に声を上げる。
 「うるせえ!これは俺様の喧嘩だ!」
 「無茶を言うな!あの男は破術の使い手だぞ!」
 詠春と一緒に行動して長い事になるナギ達は、当然、詠春が操る陰陽術についても知識ぐらいは知っている。その中でも最も基本と言える破術についての知識も、詠春から教えられた事があった。
 「本気で行くぜ!雷の暴風ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス!」
 ナギの右手から、先ほどよりも一回り大きな竜巻が、周囲に雷を撒き散らしながらゲンドウ目がけて襲い掛かる。
 だがゲンドウは慌てる事無く、左手を振る。
 「急々如律令」
 左手から放たれた符が、雷の嵐を内側から雲散霧消させていく。その光景に、ナギは目の前に立つゲンドウが、純粋な力勝負で自分を上回りかねない気を内包している事を悟った。
 「・・・おい、おっさん。何て名前だ?」
 「おっさんなんて言われる年ではないんだがな。私はゲンドウ。バウンティハンターギルド・ヘラス帝国支部に所属する者だ」
 「賞金稼ぎか!いいぜ、意地でも力勝負で屈服させたくなってきたぜ!詠春!アル!お師匠!絶対に手え出すんじゃねえぞ!出しやがったらぶっ殺すからな!」

グレート・ブリッジ内部―
 望まぬ強制徴兵によって最前線へと送り込まれたジェイルは、外から聞こえてくる爆音に体を竦めた。元々、孤児院出身の彼は戦いの訓練等受けた事は無い。それ故に、恐怖に身を竦ませるのも仕方が無い所だった。
 その上、武器など1度も手にした事の無いジェイルに、戦う術などある訳が無い。武器を手渡した所で、味方に被害を及ぼす確率の方が高い。その為、ジェイルは最前線に配属されながら、新兵として訓練を受けつつ裏方仕事を担当していた。
 そんな時だった。
 「ジェイル?私の声が聞こえるか?」
 「ん?空耳かな・・・確かに、今呼ばれたような・・・」
 「足元だ。事情があって、使い魔を送っている」
 その声に視線を落とすジェイル。足元には小さな狐が、行儀よく座っていた。
 「孤児院の子供達から依頼を受けた者だ。今すぐ、帝都へ帰るんだ。君が脱走兵として扱われないで済むように、後は対応しておく」
 「え?ええ!?そ、そんな事、突然言われても・・・」
 「この要塞は、数時間としない内に陥落する。捕虜として捕まるか、もしくは戦死したいという願望があるなら止めはしないが、本当に良いか?セシル達は、君を助けたくてお金を稼いだと言うのに」
 セシルの名前に、ジェイルが手にしていたおたまを床に落とす。カランと言う音が、静かな厨房に響いた。
 「もう一度言う。この要塞の陥落は免れる事は出来ない。ジェイル、君は君を強制徴兵した連中の為に、命を張って戦い続ける義理があるのか?」
 「そ、それはそうですが・・・」
 「そう思うなら、当面の食料と水、それからお金を用意してすぐに逃げろ。それとこの使い魔を連れて行ってくれ。逃げ道の案内もこちらで行う。ある程度、こちらが落ち着いたら合流する」
 それだけを告げると、狐の使い魔はスルスルとジェイルの懐に潜り込む。そしてジッとジェイルを見つめた。
 不安そうなジェイルであったが、厨房から当面の食料と飲み水を用意すると、厨房に置かれていたお金を手にして、足早に厨房から立ち去った。

ゲンドウside―
 迫りくる魔法攻撃を、ゲンドウは無表情のまま破術で無効化し続けていた。サングラスに隠された瞳から、ゲンドウが今の自身の状況をどう捉えているか読み取る事は不可能である。だが対戦相手であるナギは違っていた。
 幾ら攻撃しても、全て掻き消される。挑発しても、無言・無表情を貫かれる。いっそ戦いその物を中断しようかとも考えたが『手を出すな』と大見得を切っておいて自分から戦闘を中断したとあっては、仲間達に生涯、からかわれるのは目に見えていた。
 故に、ナギは消化不良気味に戦いを繰り広げていた。その空気に気付いたのか、詠春やアル、ゼクトも怪訝そうにゲンドウを眺めている。
 「・・・2人とも、彼ですがどう見ますか?」
 「・・・何か思惑があるのは間違いない。問題は、あの馬鹿弟子が気付いているかどうかじゃ」
 「間違いなく気付いていないでしょうね」
 詠春の言葉通り、ナギはこめかみに青筋を立てながら魔法を連発する。その底無しとしか思えない魔力の強大さは、それだけで十分すぎるほど脅威である。
 だが3人は、ナギと戦うゲンドウに対して、かつてないほどの脅威を感じていた。
 「彼の気ですが、異常ではありませんか?」
 「確かに。あれだけの気、下手をすればラカンをも上回りかねないな」
 「全くじゃな。あの気を攻撃に回せば、馬鹿弟子と言えども怪我程度では済まんぞ」
 「てめえら俺様に聞こえるように嫌みを言ってんじゃねえ!」
 戦いを中断してまで、仲間に怒号を投げつけるナギ。あまりにも致命的な隙ではあったが、ゲンドウはその隙を突こうともせずに黙って好きにさせていた。
 「おい、おっさん。てめえ、何でさっきから攻撃してこねえんだ?」
 「・・・悪いが、子供を殺す趣味は持ち合わせていないのだ。命は奪わずにおいてやろう。好きなだけ暴れるが良い」
 ブチンッと音を立てて、ナギのこめかみの青筋が切れる。その有様に、ゼクトと詠春はこれ見よがしに大きな溜息を、アルは仕方ないとばかりに苦笑する。
 「馬鹿者が。あんな露骨な挑発に引っ掛かりおって」
 「良いように踊らされていますねえ」
 「・・・まあ向こうにはナギを殺すつもりはなさそうだ。少し様子を見るとしよう」
 そんな事を会話する3人の前で、ナギが攻撃を再開する。まるで雨霰のように雷が降り注ぐが、ゲンドウの破術を突破するには至らない。
 その一方で、キョウコとラカンも激闘を繰り広げていた。
 縦横無尽に繰り出される無数の刺突。そして隙を突いて放たれる、首筋を狙い鋭く薙ぐ一撃。それが速さだけであれば、ラカンにとっては脅威とは成りえなかった。何故ならラカンの体は、速さだけでは攻略出来ないほどのタフネスを兼ね備えた、鋼の如き体だからである。
 だがラカンは、真剣にキョウコの攻撃を凌いでいた。その左腕からは、最初の一撃で抉られた傷から鮮血が滴り落ちている。
 (・・・俺様の肉体に傷をつけるとはな。契約執行ぐらいかけてはいるだろうが、それでも驚きだぜ。おまけにとんでもなく戦慣れしていやがる!)
 幼少時から剣闘士として、解放奴隷となってからは傭兵として実戦を経てきたラカンには、キョウコが外見とは裏腹に、自分と同等以上の実戦経験を持つ相手である事にすぐ気がついた。
 理由は単純。キョウコの攻撃が老獪であり、さらに的確かつ反射的な防御をこなすからである。それは数えきれないほどの経験を積まなければ、絶対に身につけられない領域の技術であり、ラカン自身が到達している領域でもあった。
 事実、ラカンは様子見も兼ねて反撃を行っている。だがその反撃は、キョウコの鉄壁の防御を崩すには至らず、1つの例外も無く全て防がれていた。
 「・・・おい嬢ちゃんは何者だ?まさかナギ以外に、この俺様と正面から張り合える奴がいるとは思わなかったぜ?」
 「アタシはキョウコ。よく覚えておくのね、解放奴隷の剣士ラカン」
 「なんだ、俺様の事を知っていて喧嘩を買いやがったのか!良い度胸じゃねえか!」
 ラカンの顔に、不敵な笑みが浮かびあがる。無数の戦いを潜りぬけてきたラカンであるが、ラカンの素生を知った上で勝負を挑んできたのは、ナギ以外ではキョウコが初めてであった。
 「なら良い物を見せてやろう。『来れアデアット』」
 ラカンがアーティファクト千の顔を持つ英雄ホ・ヘーロース・メタ・キーリオーン・プロソーポーンおすを呼び出す。ラカンの手には巨大な戦斧が握られていた。
 「これが俺様のアーティファクトだ。能力はありとあらゆる武具に変幻自在の無敵無類の宝具。こいつで嬢ちゃんとやりあってやる」
 ブオンと轟音を立てて戦斧が振り下ろされる。そのとてつもない破壊力を秘めた一撃を、キョウコは愛用の方天画戟でいとも簡単に受け止めてみせた。
 「おいおい、マジかよ。今のは割と本気だったんだぜ?」
 「・・・そうね。確かに普段のアタシなら避けるしかなかったでしょうね。でも残念。アンタが変幻自在の武具を操るなら、アタシは究極の一を操るの」
 キョウコはワザと距離を取る。己の手にする方天画戟が、ラカンに良く見えるように。
 「アタシのアーティファクトの名前は『万夫不当』。能力はある最強と呼ばれた武人の能力を再現する物なの」
 「・・・最強?」
 「そうよ。旧世界の中国、それも三国時代と呼ばれた頃よ。そこには文字通り最強の称号を欲しいままにした、ある武将がいたわ。この方天画戟は、その武将が愛用した武器なのよ」
 キョウコの説明に、驚愕したのは旧世界出身の詠春である。彼は、キョウコの言う最強の武人に心当たりがあった。
 「武将の名前は呂布奉先。今のアタシは呂布の身体能力、戦闘技術、経験、反射神経、直感、ありとあらゆる能力を利用できる。そして気を利用して、更に底上げも出来るわ」
 「・・・面白えじゃねえか。過去の英雄と戦えるって訳だろ?良いぜ、遠慮なくやらせて貰おうか!」
 ラカンの背後に無数の剣が出現し、一斉にキョウコ目がけて放たれる。だがキョウコはそれら全てを掻い潜りながら、自らの意思で広げた間合いを瞬く間に詰め出した。
 その気になれば簡単に間合いを詰める自信がキョウコにはあったからこそ、わざと距離を取った事に気付くラカン。だがその顔には緊張等浮かんでいない。あるのはあくまでも歓喜の笑み。
 「こいつでもくらえ!斬艦剣!」
 戦艦すらも断ち切る、巨大な剣を呼び出すラカン。それをキョウコ目がけて投じる。対個人に使うべき武器では無いが、これにキョウコがどう反応するのかラカンは見たくて仕方がなかった。
 「良いわよ、アンタ御自慢の武器、吹っ飛ばしてやろうじゃない!」
 初めて方天画戟を両手で構えるキョウコ。全身に持ちうる限りの気を漲らせ、真っ向からの力勝負を挑む。
 「うおりゃああああああ!」
 まるで野球のフルスイングのように方天画戟を斬艦剣に叩きつけるキョウコ。常識で考えれば、結果など考えるまでも無い。
 だがその常識は覆される。
 方天画戟と斬艦剣は互いに相手を破壊できず、かと言ってその破壊力を解放する場所も見つけられず、完全な拮抗状態に陥ったのである。
 「マジかよ!俺様の一撃と互角かよ!」
 その結果に驚くラカン。キョウコは歯を食い縛り、持てる力の全てを注ぎ込む。
 しかし戦いは、何の前触れも無く中断された。
 突然、消える斬艦剣。同時に方天画戟に込められていた力が、遮っていた斬艦剣が消えた事で逃げ場を見つけ、直線状にいたラカン目がけて襲い掛かる。
 「やべ!」
 両手をクロスさせ、全力防御に入るラカン。そこへ襲い掛かる強力極まりない力の奔流。
 轟音とともに呑みこまれたラカンであったが、光が通り過ぎた後には、多少、服が破れただけで体は無傷なラカンが立ったままだった。
 「ゲンドウ!」
 「キョウコ、撤退するよ。もう十分だ」
 戦いに水を差された事に不満げなキョウコであったが、ゲンドウはあくまでも冷静極まりない。ナギの攻撃を冷静に迎撃しながら、ゲンドウはあくまでも戦場全体を観察していた。
 「てめえ、逃げる気かよ!」
 一際巨大な雷が天から降り注ぐ。その雷をゲンドウは迎撃せずに黙って浴びる。轟音と閃光、爆煙が全てを支配した。
 「な、何で抵抗しやがらねえ!」
 視界を潰される直前の最後の光景を、ナギはハッキリと確認していた。ゲンドウの実力であれば、迎撃は可能である事をナギも理解していたからである。
 やがて晴れる視界。戻って来る聴覚。ナギ達が見た物は、すり鉢状のクレーターと、その中心に残っている焼け焦げた紙切れであった。
 「これは身代わりの術か!」
 「なるほど、術師としての技術力も高いようですね。しかし使ったのは破術と身代わりのみとは・・・」
 「攻撃の手札は、そう簡単には見せんと言う訳か」
 詠春・アル・ゼクトの言葉に、ナギが悔しげに歯噛みする。全力で攻撃したにも関わらず、一個人を打倒するまでには至らなかった為である。
 「あの野郎、ふざけやがって!絶対に逃がさねえ!」
 「それはお断りする。代わりに1つ、良い情報を教えてやろう」
 突然聞こえてきたゲンドウの声に、一同がギョッとして周囲を見回す。そしてすぐ近くに、戦場には相応しくない狐がチョコンと座っている事に気がついた。
 「てめえ!逃げんじゃねえ!」
 「待ちなさい、ナギ。情報と言いましたね、貴方は何を知っていると言うのですか?」
 「簡単な事だ。君達、いや帝国も連合も良いように踊らされていると言う事だ」
 これは聞き捨てならなかったのか、ナギが『何を馬鹿な!』と絶叫する。だがゲンドウの放った狐の式神は、平然と言葉を続けた。
 「少なくとも、帝国は何者かに踊らされている。無意味な戦線の拡大を見れば、それは明らかだ。そして連合も、それに『付き合っている』のさ」
 「・・・それは貴重な情報ですね。ですがそこに至るまでの推測を伺いたい物ですが」
 「それぐらいならサービスしよう」
 ヘラス帝国がオスティアを求める感情的な理由。それとは食い違う上層部の戦略方針とグレート・ブリッジの占拠。そしてあまりにも早過ぎる連合の奪還作戦は、連合側は要塞の陥落を見越して、要塞が無事だった頃から奪還作戦の準備をしていたからではないか?というゲンドウの推測であった。
 「そうとでも考えないと、辻褄が合わんのだ。私達の推測が正しければ、これから始まるのは泥沼の長期戦。こんな事を自ら望んで始める指揮官はいない。そんな奴がいるとすれば、別の理由から長期戦を願っていると考えるべきだろう」
 「それでは、どうして貴方達はここに来たのですか?」
 「私達はバウンティハンターだ。依頼が有ればどこまでも行く。それだけだ」
 そう言うと、狐の式神はただの紙切れへと戻ってしまう。
 「やれやれ、どうやら手玉に取られたようですね。彼らの目的は時間稼ぎだったようです」
 「・・・そうか!あの要塞に、彼らにとっての依頼対象がいたと言う事か!」
 「恐らくはそうでしょうね。そして安全圏にまで逃げ切る事が出来たから、時間稼ぎを止めて撤退した。そんな所でしょう」
 アルの言葉に肩を竦めるゼクト。同時にナギが悔しげに歯噛みする。そこへラカンが口を開いた。
 「まあいずれ再戦の機会があるだろうさ。俺様もあの嬢ちゃんともう一度、闘いたいからな」
 「今度は絶対にぶっ潰す!」
 「まあ、今は要塞の奪還を済ませてしまいましょう。彼の言葉の真偽については、その後で考えるべきでしょうから」
 アルの取りなしに、一同は頷くと思考を要塞の奪還へと切り替えた。

ゲンドウ・キョウコside―
 先行して避難しているジェイルに合流する為、2人は山道を疾走していた。背後から聞こえてくる要塞奪還戦の轟音に、キョウコが不満そうに頬を膨らませる。
 「腹が立つわね、あんな屈辱は久しぶりよ!」
 「まあまあ、落ち着いて」
 「アタシは落ち着いているわよ!単にアタシの弱さに腹が立っているだけ!悔しいったらありゃしないわよ!」
 斬艦剣と方天画戟のぶつかり合い。あの時、ラカンには追撃を仕掛ける余裕があったにも関わらず、敢えて手出しをして来なかった。その事にキョウコは気づいていたのである。
 「だったら、もっと強くなって再戦すれば良いよ。僕達はまだ成長途上なんだからね」
 「まあね。それぐらいは理解してるわよ。アタシは強くなんないといけないんだから!」
 彼女が強さに拘る理由。それをゲンドウは良く知っているからこそ、それに対しては何も言わなかった。
 「それより、ジェイル達だけどどこへ避難させるのよ。帝都へ連れ帰って、また強制徴兵なんてされたら厄介極まりないわよ?」
 「それについては何とか出来るよ。彼をギルドの料理人として雇えば良いんだからね」
 「・・・それなら何とかなるか。身元がしっかりしていれば、強制徴兵の対象になんて出来ないからね」
 納得したように頷くと、キョウコはゲンドウとともに走る速度を更に上げ始めた。



To be continued...
(2012.09.16 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回はゲンドウ・キョウコと紅き翼アラルブラメンバーの顔合わせの話です。原作読んでいて思うのですがナギ達は個人戦闘力が強すぎる為に、手回しや根回しと言った事が苦手(と言うか自分達でそういう事を行うと言う発想が無い)なように感じるんですよね。この場合手回し根回しは戦略レベルになる訳ですから、今回のような結果に落ち着かせました。まるで川中島のような結果ですが、笑って許して下さい。
 話は変わって次回です。
 次回の舞台はヘラス帝国。ひょんな事からヘラス帝国皇帝より内密の依頼を受ける事になってしまうゲンドウとキョウコ。その依頼の為、まずは城へと登城した2人は、早速トラブルを引き起こす事に。
 そんな感じの話になります。
 それでは、また次回も宜しくお願い致します。



作者(紫雲様)へのご意見、ご感想は、メール または 感想掲示板 まで