正反対の兄弟

第五十三話

presented by 紫雲様


カミュ専用執務室―
 「では、確かに渡しました」
 「はい、ありがとうございます。それから」
 「うむ。ではこちらも渡しておくぞ」
 マイクロフトとカミュから魔法具を預かったゲンドウとキョウコは、しっかりと頷いてみせた。
 「それとこいつを持って行け。特使にのみ預けられる身分証明の証だ。これを持っていれば、将軍も面会を断る事は不可能だからな」
 「はい、お預かり致します。それとこの証については、任務が終了次第、陛下へ返却致します」
 「うむ。では頼むぞ?」
 特別顧問と皇女の教師ではなく、最強のバウンティハンターとしての顔に戻ったゲンドウとキョウコが、力強く頷いてみせる。そのまま2人は窓を開けると、夜闇の中へと姿を消した。
 「さて、では後は俺達の仕事だ。分かっているな?」
 「はい、お任せ下さい、父上」
 「特別顧問として、適切な行動を取りましょう」
 マイクロフトが振り返った先。そこにはカミュと、先ほど外へ出た筈のゲンドウが立っていた。
 「では精々、難しい顔をして討論を行うぞ。その内、ライアスが飛び込んでくる。あれには都合の良い証人となって貰う」
 「は、了解致しました」
 「しかし、式神とは便利な物だな。俺も後で教えて貰う・・・待たんか、カミュ。そのように怖い顔で父を見るな」
 娘に睨まれた父王は、どことなく居心地悪そうな表情のまま、ソファーに深く座りこんだ。

バウンティハンターギルド―
 王宮を後にした2人は、すぐには目的地へは向かわずにバウンティハンターギルドへ立ち寄った。2人の目の前には、訝しげな顔をしたカインが立っている。
 「変装、だと?」
 「ええ。それで部屋を貸して欲しいんです」
 「それぐらいは別に構わねえけどな。おい、クレオ!」
 カインに呼ばれて出てきたのは、まだ20代に見える女性であった。特別奇麗とも醜いとも言えない、普通の顔立ちをした女性である。
 「こっちよ」
 クレオの後に続くようにゲンドウとキョウコが姿を消す。やがてドタバタと騒ぎが起こりながらも、30分ほどした後、クレオが額を抑えながら部屋から出てきた。
 「おう、どうした?」
 「いえ、何でもありません。私、少々頭が痛いので、少し休ませて下さい」
 そのまま姿を消すクレオ。一体、何があったんだ?と首を傾げるカインの前で、今までクレオが変装に使っていた部屋のドアが開いた。
 「随分、時間がかかっ・・・誰だお前?」
 部屋から出て来たのはスーツ姿の美女と、魔法使いのローブを着こんだ少年であった。
 「時間が無いですから、すぐに出ます」
 「その声!ゲンドウか!?」
 カインの悲鳴に、ギルド中から絶叫が上がる。ギルドどころか魔法世界中を探しても、間違いなくダントツ1位の悪人面を誇るゲンドウが、妙齢の美女に姿を変えていれば、驚くのは間違いが無かった。
 「それでは今日の事は内密にお願いします」
 「行ってくるね~」
 こちらも紅顔の美少年へと変装し終えたキョウコが愉快そうに笑いながら、ゲンドウを引っ張りつつギルドを後にした。

1時間後―
 将軍の1人がいる陣地を遠目に見ながら、ゲンドウとキョウコは手順の最終確認に入っていた。
 「まずは魔法具を使って、2重の変装を行う。その後、正攻法で面会を申し込む」
 「面会出来たら、速攻。その後は場を混乱させながら逃走。適当な所で魔法具を使って姿を消す」
 「OK、やりましょうか。時間も無いことだしね」
 キョウコが肩をグルグル回しながら立ち上がる。そんなキョウコが、ふと気づいたように口を開いた。
 「でも意外だったわ。アンタが暗殺なんて引き受けるなんて」
 「必要な事だからね。それに・・・」
 『?』と首を傾げたキョウコに『何でもないよ』と返すと、ゲンドウは変装の魔法具を発動させる。そして妙齢の美女から、少々気弱そうな青年へと姿を変えると、そのまま陣地へと歩き出した。

数時間後―
 2人の将軍を暗殺してのけたゲンドウ達は、最後の1人に対処すべくアリアドネー方面の陣地へやってきていた。
 マイクロフトから渡された証明書の効果は絶大で、2人は待たされる事もなく将軍との面会を許される。
 目の前には将軍が1人。その脇には副官らしい者が立っている。将軍はヘラス族の壮年の男性で、顔中を髭に包まれた猛者といった感じである。対する副官は銀髪が目を引く、文官肌の優男と対照的な雰囲気であった。
 「帝都よりのお越しとは、さぞやお疲れになられたでしょう。陛下は我等の戦いぶりを、どのように仰っておられましたかな?」
 「はい。陛下におかれましては、閣下の奮闘ぶりに喜ばれ、一剣豪としての血が騒がれるらしく、侍従長殿から窘められる日々を送っておられます」
「これはこれは、最高級の賛辞でございますな。騎士として、これ以上の名誉はありますまい」
たちまち上機嫌になる将軍に、内心でキョウコが『アンタ達の暴走ぶりに血が騒いでいるだけよ、馬鹿』と呟く。
 「それで陛下よりの御言葉を伝えに来たという事だが」
 「はい。それにつきましては、こちらに陛下よりお預かり致した命令書をご覧頂き」
「閣下、お待ち下さい。その者、本当に陛下よりの使者でございましょうか」
 副官の言葉に、目を丸くする将軍。だが将軍が口を開くよりも早く、副官が口を開いた。
 「その者、全身より魔力の気配が致します。もしかしたら、敵の間者が魔法で変身している疑いがございます」
 「・・・それは本当か?」
 「閣下、それについては謝罪をさせていただきましょう。そちらの副官殿の言われる通りでございます。ですがそれは我が身を守る為。これが私達の姿です」
 ゲンドウとキョウコが魔法具の力を消して、ギルドで変装させて貰った美女と少年の2人組みに姿を戻す。
 この正体は予想外だったのか、将軍も副官も言葉を失った。
 「この姿のまま、戦場を横断すればどうなるか。敢えて説明の必要はございますか?」
 「・・・いえ、その必要はございません。失礼な事を申し上げました、お詫びさせて頂きます」
 素直に頭を下げた副官に、ゲンドウがハイ、と返す。ちなみに声色だけは、ボイスチェンジの魔法の力を秘めた魔法具で変えているのだが、目の前の2人には疑われずにいた。
 「しかし、これはまたお美しい。眼福の極みでございますな」
 「・・・賛辞の言葉として受け取らせて頂きます」
 僅かに返答が遅れたゲンドウの横で、キョウコが必死で笑い声を上げそうになるのを堪えている。
 「では命令書をお渡します」
 儀礼に則って、片膝立ちになる将軍と副官。その瞬間、ゲンドウとキョウコが同時に将軍へ襲い掛かった。
 完全な奇襲攻撃に、将軍は反応する間もない。気で身体強化をしたゲンドウには咽喉を一瞬で握り潰され、キョウコには心臓の真上を全力で強打され苦しむ間もなく絶命する。
 しかし、その間に副官は大きく跳び退っていた。
 「まさか、僕が裏をかかれるとはね・・・君達は何者だい?」
 「・・・説明する必要があるのかな?」
 「ああ、あるとも。君達は本職の暗殺者ではない。本職ならすぐに僕の口を封じるか、こんな問答に付き合ったりはしない。違うかな?」
 上司を殺されたというのに、副官は慌てる気配1つ見せない。その態度に、キョウコが一歩前に踏み出ようとして、ゲンドウに制止される。
 「僕の名前はプリームム。ある御方にお仕えする人形だ」
 「・・・名乗ったという事は交渉の意思があるという事か・・・それなら名乗る必要があるな。私はゲンドウ、これは変装した姿にすぎない」
 「変装の上に、幻術で姿を被せたのか。とても用心深い性格のようだね。自信過剰な連中に比べれば、実に好ましい。ゆっくり話をしたい所だが、場所が悪い。後日、改めて訪問させて頂こう。どこに住んでいるのかな?」
 「それぐらいは自分で調べてみるといい。私は実力の無い連中を相手にするつもりはないからな。偶にはテストされる側に回ってみるのも、良い経験になるだろう」
 ゲンドウの物言いに、プリームムの顔が若干強張る。何故ならゲンドウの言葉は、言外に『お前たちの正体には気づいているぞ』と言っていたも同然だからである。それは今まで隠密裏に動いてきていた自信のあるプリームムにしてみれば、予想外すぎる言葉であった。
 「では失礼させてもらう。『完全なる世界コズモエンテレケィア』」
 図星を突かれたプリームムが咄嗟に止めようとしたが、ゲンドウとキョウコはそれよりも早く魔法具による転移で姿を消していた。
 「・・・初めてだな。こうも裏をかかれるどころか、正体まで看破されるなんて。とてつもない大失態だ。主に報告しなければ・・・」
 そう呟いたプリームムの顔には、何故か僅かな笑みが浮かんでいた。

???―
 将軍の暗殺。これによりヘラス帝国軍部の暴走を演出出来なくなったプリームムは、作戦を遂行する事も出来なくなり軍から姿を消した。
 将軍が亡くなった以上、次席に位置する副将が軍を束ねる事になるだろうが、それは彼にとって気をかけるべき意味は何もない。その為、彼は躊躇う事無く主の下への帰還を選択したのである。
 そして今、彼の前には彼が主と仰ぐ人物『造物主ライフメイカー』が、面白そうにプリームムを見ながら報告に耳を傾けていた。その隣には、プリームムと同じ顔をした者が1人、険しい顔つきで立っている。
 「・・・以上が作戦失敗の報告になります」
 「プリームム、作戦が失敗したにしては、随分と上機嫌じゃないか。君が笑っている所なんて、初めて見た気がするよ」
 「僕が・・・笑っている?」
 プリームムの言葉に、彼の主が愉快そうに頷いてみせる。その雰囲気を打ち破るかのように、脇に控えていたプリームムそっくりの人物が声を張り上げた。
 「主!何をそんなに吞気に構えておられるのですか!」
 「セクンドゥム、君こそ何を怒っているんだい?プリームムは最善の行動を行っていた。ただ予想外を上回る飛び込み乱入者がいたというだけの事だよ」
 「ならば猶更でしょう!その者は我々の存在に勘付いたどころか、理解していると言って良いでしょう。一刻も早く、口を塞ぐべきです!」
 「・・・それは駄目だ、セクンドゥム」
 プリームムの言葉に、セクンドゥムがギンッと睨みつける。そんな2人のやり取りを、2人の主は実に興味深そうに眺めていた。
 「理由は2つ。僕は彼を引き入れるべきだと判断した。あの変装の上に幻術を被せる慎重極まりないやり方、僕達の存在を知るほどの情報収集能力、そうかと思えば身に寸鉄も帯びずに正面から暗殺に乗り込んでくる大胆さ。あれほどの優秀な人材は、そうはいないと断言する」
 「優秀であれば、全て許されると言うのか!」
 「そこで2つ目の理由だ。彼との間には交渉の余地がある。彼は僕達の力量を見極める為に『自分を捜してみろ』と挑戦状を叩きつけてきた。この意味が分かるか?彼は力量があるのならば、話し合いに応じようと言ってきているんだ。僕達『完全なる世界コズモエンテレケィア』がどういう存在なのか、その事を理解した上でね」
 「そんな傲岸不遜な奴などいらん!さっさと始末してしまえ!」
 あくまでもゲンドウ殺害に拘るセクンドゥムと、ゲンドウを引き込む事に拘るプリームム。そんな2人を窘めるように、彼らの主が口を開いた。
 「ゲンドウと言ったか、彼をどうするかはこの際、置いておこう。プリームム、私もそのゲンドウという男に会ってみたくなった。久しぶりに好奇心を刺激されたよ」
 「主!?」
 「だが、単に捜すだけでは芸が無いだろう。プリームム、君はゲンドウという男の居場所を捜すのは当然だが、その男を驚かせるに足る情報を探して来るんだ。それを手土産に訪問してみたまえ」
 「なるほど、確かにただ訪問するより、相手を驚かせる事が出来るでしょう。すぐに調査に取り掛かります」
 頭を深く垂れるプリームム。一方のセクンドゥムはと言えば、苦虫を噛み潰したかのように、顔を顰めている。
 「実に楽しみだ。どんな男か、心が躍るな」

王宮―
 応接室で夜を徹した会議を行っていたマイクロフトとカミュは、眠い目を擦りながらコーヒーを飲みつつゲンドウ達の帰還を待ち続けていた。
 「・・・父上、先にお休みになられてはいかがですか?」
 「カミュ、お前こそ先に寝るが良い。俺は体力だけは自信があるからな」
 互いに先に眠れと譲り合う父娘の姿に、ゲンドウの姿をした式神は無言を貫いたままである。
 「それにしてもライアスめ。のぼせあがる癖を直さねば、良いように扱われるだけだと言うのに」
 「困った兄上です。本当にこちらの思惑通りに動かれてしまうなんて」
 こめかみを揉み解しながらカミュが愚痴を零す。ゲンドウが動き出した後、ライアスはマイクロフト達の思惑通りに姿を現し、朗々と将軍達の弁護を始めたのである。マイクロフト達にしてみればゲンドウのアリバイ作りという目的があったからこそ付き合ったのだが、だからと言って精神的な疲労が和らぐ訳ではなかった。
 「・・・陛下、皇女殿下、ただいま戻りました」
 「おお、それで結果はどうなった?」
「1つだけアクシデントは有ったものの、他は大筋において脚本通りでございます」
 待ち望んでいた報告に、マイクロフトとカミュが安堵の溜息を吐く。
 「私は眠気を払う為の散歩から帰って来た、という理由で部屋に戻ります。疑われぬ為に、この式神も解呪されます。ご承知下さい」
 そう言うと、式神は元の型紙へと戻ってしまう。その光景に、カミュが不思議そうに呟いた。
 「しかし不思議な術です。分身を作る術は数多くありますが、ただの紙を使ってここまで精巧な分身を作る術は初めて見ました」
 「俺も噂でしか聞いた事はないがな。旧世界のある地方にしか伝わっておらぬ、土着の呪術だそうだ」
 「これほどの精度でありながら、一地方の土着の呪術とは。正直、この目で見ても信じられません」
 不思議そうに型紙を手にとって眺めるカミュ。色々な方向から眺めているが、どこからどう見てもただの紙に過ぎないと分かると、諦めたようにソファーに座りなおした。
 そこへコンコンというノックの音が響く。
 「陛下、皇女殿下」
 「おお、戻って来たか。首尾は上手くいったようだが、トラブルがあったと聞いたぞ?」
 「はい、それについて御報告させて頂きます」
 3人目の将軍の副官が、ある組織に仕える者である事。将軍の暴走は、その組織の思惑による物である可能性が見えてきた事などを告げると、マイクロフトとカミュの顔が徐々に険しくなっていく。
 「・・・重要な情報だ。それで、その組織の名は分かるか?」
 「『完全なる世界コズモエンテレケィア』。私の知る限り、主に武器商人や犯罪組織から構成される集まりであるという噂は聞いた事があります。しかし、それ以上の事については更なる調査が必要でしょう」
 「・・・ゲンドウ、その組織の内偵を頼めるか?カミュに補佐をさせる。必要な物があれば、すぐに対応しよう」
 マイクロフトの言葉に、頷くゲンドウ。隣にいたキョウコが『大船に乗ったつもりで任せなさい!』と胸を叩いて自信たっぷりに相槌を打つ。
 「何せコイツ、最初からそのつもりだったしね」
 「どういう意味だ?」
 「コイツ、『完全なる世界コズモエンテレケィア』の一員として招かれるつもりで、その相手を挑発してきたのよ。向こうの中枢に要人として招かれれば、これ以上の情報源は無いでしょ?」
 ゲンドウの思いきった考え方に、絶句するマイクロフト。カミュもさすがに驚いたのか目を丸くしていた。
 「ところで陛下。今回の一件に関する報酬ですが、お願いしたい事がございます。内偵を進めるとあれば、相当の時間がかかるのは必定。ならば、その間に私達が望む魔法の研究を進めておいて戴きたいのです」
 「む、確かにそうだな。よし、お前の言う通りにしよう。で、何を研究させれば良いのだ?」
 「はい、私達が望む魔法とは・・・」
 ゲンドウとキョウコの口から語られた内容は、マイクロフトやカミュですらも言葉を失う内容であった。だが2人はゲンドウ達の望みを受け入れる事、口外しない事を約束し、その場を離れた。

数日後、バウンティハンターギルド―
 将軍3名の暗殺事件は、少なからぬ余波を帝国へと齎した。同じ日に最前線の最高指揮官が同時に亡くなる。これを偶然と捉える者はいない。何より暗殺者と疑わしい者が目撃されていたとなれば、尚更である。
 この事態に皇帝マイクロフトは、自分の意に沿う事の出来る指揮官を皇帝命令として派遣。更に将軍暗殺を口実に、派遣する指揮官には近衛騎士の中から選抜した手練を護衛として付き添わせたのである。
 これにより万が一、軍の中に『完全なる世界コズモエンテレケィア』のメンバーがいて、消極的な戦線を良しとしない者達が指揮官を暗殺に動いたとしても、そう簡単にはいかなくなってしまった。
 将軍暗殺の犯人としてゲンドウとキョウコが疑われる事もなく、ゲンドウは特別顧問として、キョウコは家庭教師兼護衛として日々を過ごす。そんなある日の事、ギルドからの使者が2人に手紙を届けにきた。
 手紙に目を通して行くゲンドウ。その内容に、ゲンドウが小さく笑う。
 「キョウコ、連中が動いたよ」
 「ふうん、面白そうね」
 「そうだね、こちらも手厚くおもてなしをしてあげないと」
 2人はすぐさま、カミュの執務室へと足を向けた。マイクロフトは日課としている、民の有力者からの陳情に耳を傾けている最中であり、謁見の間には周囲に待機している人目が多すぎるからである。
 幸い、カミュは公務が一区切りついた所だったのか、すぐに面会する事が出来た。
 「特別顧問殿、どうなされました?」
 「ギルドから特別の要請が来ました。ギルドへ顔を出して参りますので、御承知おき下さい」
 『特別の要請』という言葉に、カミュが重々しく頷く。それは事前に打ち合わせておいた、ある状況を意味する符徴であった。
 「陛下には私から伝えておきましょう」
 「ありがとうございます、それでは退席させて頂きます」
 踵を返すゲンドウとキョウコ。そのまま2人は脇目も振らずにギルドへと向かう。
 ギルドに到着すると、2人を待ちかねていたカインがカウンターの奥で立ち上がる。
 「やっと来たか!」
 「それで、話を聞かせて頂けますか?」
 「ああ。お前達の事について正面から根掘り葉掘り聞きに来たガキがいたのさ」
 この言葉はゲンドウ達にとっても予想外だったのか、言葉が無かった。
 「挙句の果てに、お前達を指名で仕事を頼みたい、と言って来たぜ。依頼主はプリ―ムムって名乗っていたが、その顔を見ると心当たりが有るようだな?」
 「ええ、それはもうタップリと」
 カインから依頼内容を書かれた手紙に目を通すゲンドウ。その横からキョウコが手紙を覗き込んで『ふうん?』と面白そうに呟いている。
 「・・・それにしても、またトンデモナイ依頼内容を突きつけてきたわね」
 「俺もよっぽど断ってやろうかと思ったけどな。何せ依頼料が依頼料だからな」
 依頼書の中にある依頼料金の項目。そこに書かれていたのは金額では無く『僕とのお茶会への参加権』という言葉だったのである。そして依頼内容は『添付資料の遺跡に巣食っている死霊の王リッチの討伐』である。
 「死霊の王リッチといえば、不死者アンデットの中でも最上位に位置する最強の魔法使い。その実力はあの闇の福音ダーク・エヴァンジェルに勝るとも劣らぬ筈だ。竜種であっても死霊の王リッチに勝てる奴なんて、そうはいねえぞ?それを、お茶会への参加権が依頼料とはな」
 「良いじゃない。ここまで正面切って喧嘩売られてんのよ?それに討伐対象は死霊の王リッチなんでしょ?珍しい魔法具とか貯め込んでそうだし、現金収入はそっちで補えば良いのよ!」
 売られた喧嘩を買う事で自尊心を満たしつつも、その一方で金銭収支もしっかりと計算しているキョウコの言い分に、カインが呆れたように肩を竦めてみせる。
 「まあ好きにするんだな。俺が何を言った所で、耳を貸すつもりはないだろうし」
 「当然よ!ゲンドウ、行くわよ!」
 相棒の首根っこを引っ捕まえると、キョウコは脇目も振らずに外へと飛び出した。

遺跡内部―
 『死霊の王リッチ』。吸血鬼の最上位種であるハイデイライト・ウォーカーに匹敵する、不死者アンデットの頂点に位置する存在。生前は高位の魔法使いである事が多く、存命中に研究を成し遂げられない魔法使いが、己の知識欲を満たす為に『延命』の手段の1つとして『生まれ変わった』存在である。
 そのような存在である以上、死霊の王リッチは強力な魔法を複数使いこなす実力ある魔法使いという一面も持っている。今回、ゲンドウ達の依頼対象である死霊の王リッチも、その例に漏れる筈は無かった。 
 「ま、ざっとこんな物よね」
 遺跡の最深部に待ち受けていた死霊の王リッチは、当然の如く高レベル魔法で2人を迎え討った。しかし魔法は全てゲンドウの破術で掻き消され、その間に懐へ飛び込んだキョウコが振るった方天画戟によって瞬殺されたのである。
 そして現在、死霊の王リッチが貯め込んでいた『お宝』を、キョウコが嬉々として鑑定に勤しんでいた。
 「えっと、これとこれとこれ!それからこっちもお願い!」
 「はいはい、ちょっと待ってね」
 2人で鑑定に勤しむ間、キョウコは思ったよりも多くの収入を得られた事に、頬を緩めていた。財宝も金銭的価値は高いが、魔法具は物によっては財宝以上の価値を秘めている事も有り得るからである。
 「おや?キョウコ、この護符って・・・」
 「・・・これって盾の護符じゃない!物凄いレア物よ!?」
 「これは売るよりも僕達で使うべきだろうね。キョウコが使いなよ」
 「ありがと!喜んで使わせて貰うわね!」
 それからも休憩を兼ねた選別は進み、1時間ほどかかって2人はやっと餞別作業の手を止めた。
 「これだから上位種族の怪物討伐は止められないわ!笑いが止まらないわよ!」
 「そこまで喜んで貰えると、僕としても嬉しいね」
 「そうだね、お礼を言っておくよ。それじゃあ帰ろうか、キョウコ」
 極々自然な仕草で手を振りながら帰り始めるゲンドウとキョウコ。そんな2人を手を振りながら見送っていたプリームムが、慌てて声をかけた。
 「待ってよ、まだ僕のお茶会が終わってないだろう!?」
 「・・・ま、それぐらい付き合ってあげましょうか?」
 「勿論、ホスト役はそちらが務めてくれるのだろうな?」
 足を止めた2人に、プリームムが『勿論だとも』と返す。
 「でもこんな地下ではその気になれないだろう?外にお茶の用意をしてある。そこで歓迎させて貰うよ」
 その言葉に素直に頷く2人。プリームムとともに遺跡を歩き、地上へと戻る。
 外は既に夜。夜空には、煌々と三日月が輝いていた。
 「月下のお茶会と言うのも、風情が有って良いと思わないかい?」
 「ま、たまには良いかもね。ゲンドウは?」
 「問題は無い。日本にはお月見と言.う、月を愛でる風習があるからな」
 招待客に異論が無い事を知ると、プリームムは遺跡から少し離れた場所へと2人を案内した。そこには丸テーブルと椅子、そしてお茶とお菓子が既に用意されている。
 「さあ、座って。紅茶とコーヒーを用意してあるんだが、どちらが良いかな?」
 「アタシはコーヒー、こいつは紅茶よ」
 「分かったよ、すぐに用意しよう」
 やがて湯気の立つコーヒーと紅茶が、2人の前に用意される。そこから漂ってくる芳しい香りに、キョウコが満足そうな声を漏らす。
 「それじゃあ、いただきます!」
 「いただかせて貰おう」
 躊躇いなく紅茶とコーヒーに口をつけるゲンドウとキョウコ。その姿に、プリームムが目を丸くする。
 「・・・驚いたな。先に毒見しろぐらい言われると思ったんだが」
 「そんな事、言う訳ないでしょ!アンタはアタシ達に話があるから招いた。その用件も済んでいないのに、アタシ達を殺してメリットが有る訳!?」
 「なるほど。確かにその通りだ」
 プリームムが自分の紅茶に口をつけながら、納得したように頷いてみせる。それをゲンドウは、ただ黙って見ていた。
 「ところで、君達は何者なのかな?実を言うとね、僕は君達の素生について調べてきたんだよ。なのに、君達の過去は全く調べられなかった。君達がバウンティハンターギルドに勧誘されるまでの間、何処で何をしていたのか?その事が全く分からなかった」
 「ふうん、それで正面突破って訳かしら?」
 「そういう事だよ。分からないからと言って、何もせずにいるのは愚かな事だ。分からないのであれば、それを念頭に置いた上で行動すれば良い、違うかな?」
 用意されていたクッキーを齧りながら、キョウコが面白そうに笑ってみせる。その態度に、プリームムも満足そうに頷いてみせた。
 「そこで本題に入らせて貰うよ。最強のバウンティハンターと名高い君達2人に、僕達
完全なる世界コズモエンテレケィア』の仲間となって貰いたいのさ』
 「アンタ、本気?賞金稼ぎのアタシ達に、賞金首の仲間になれって言うの!?」
 「確かに僕達は、現在の為政者達から見れば犯罪者以外の何者でもない。現に、構成員の中には武器商人やマフィアもいる。それは事実だから否定したりはしない」
 付け合わせに用意されていたジャムをクッキーに乗せ、一口齧るプリームム。
 「でもそれは下っ端だけだ。そもそも僕達『完全なる世界コズモエンテレケィア』の目的は、彼らの思惑とは正反対に位置するからね。僕達にとって彼らは、都合の良い消耗品。活動資金や物資、情報を搾取する為の駒でしかない。だから彼らは、僕達の本当の目的を知らない」
 「仲間になれば、教えてくれるって訳かしら?」
 「目的ぐらいなら教えてあげるけどね。僕達はこの魔法世界を守りたい。ただそれだけなんだよ。信じるか信じないかは君達に任せるけどね」
 いかにも疑わしげな視線を向けるキョウコ。その視線にプリームムは、苦笑するしかない。
 「まあ信じられないのも無理は無いだろうね。実際、僕達は魔法世界に争いを引き起こしている訳だし」
 「そう思うなら、もっとマシな嘘を吐いたら?」
 「ところが、これが事実なのさ。僕を始めとする幹部達は、みなその理想の為に戦っているんだよ。今、動かないとこの世界は終わってしまうからね」
 その言葉に、ずっと黙っていたゲンドウが微かに眉を動かした。だがそれに気付かず、キョウコが口を開く。
 「詳しい事を教えて貰いたいわね。事と次第によっては、真剣に考えても良いわよ?」
 「待ちなさい、プリームム」
 突然、聞こえてきた声にプリームムが咄嗟に立ちあがる。そのまま声の聞こえてきた方向へ顔を向けると、即座に膝を着いて頭を垂れた。
 そこにいたのは、フードで顔を隠した全身ローブ姿の人影である。
 「マスター。まさかご覧になられておられたのですか?」
 「一部始終は見させて貰っていたよ。それはそうと初めまして。最強のバウンティハンター。僕は造物主ライフメイカーと呼ばれている。本当の名前は有った筈なんだが、長生きしすぎて忘れていてね。申し訳ないが造物主ライフメイカーと呼んで貰いたい」
 「造物主ライフメイカーねえ、神様気取りって訳かしら?」
 「まあ近いかな。実際、僕はプリームムの生みの親だからね」
 プリームムに席を譲られた造物主ライフメイカーが、新たに淹れた紅茶に手を伸ばす。その香りを堪能してから、紅茶を口に含んでホウと一息吐いた。
 「・・・そうか、それでプリームムって訳ね?ラテン語で1番目を意味する言葉。つまり彼はクローンなのね?」
 「まあそんなとこかな。ああ、そんな怖い目で見ないで欲しいな。確かに人の複製は責められる事かもしれないが、こちらにだって理由はあるのだから」
 「権力者ってのは、みんな同じ言い訳をするものよ?」
 「耳が痛いな。まあ何を言っても言い訳にしかならないのも事実ではあるのだがね」
 キョウコの言葉に苦笑する造物主ライフメイカー
 「ただ1つだけ言っておきたい。僕はプリームムの事を道具扱いした事は無い。確かに彼は魔法によって生み出されたクローン、それは動かしようの無い事実だ。だが私にとっては大切な同胞でもあるのだ」
 「マスター・・・」
 「同胞ねえ・・・まあ話し半分ぐらいには聞いておいてあげるわ」
 明らかに疑ってます、と言わんばかりのキョウコの視線に、造物主ライフメイカーが肩を竦めてみせる。そんな彼の前に、給仕役となったプリームムが2杯目の紅茶を淹れる。
 「ああ、ありがとう。それで私達の目的について説明しようか。先ほどプリームムが魔法世界を守りたい、と言ったがまさにその通りなんだ。この魔法世界、将来確実に消滅してしまうんだよ」
 「消滅!?どういう事なのよ!」
 「それには魔法世界の成り立ちから説明しなければならない。まず魔法世界は『人造異界』と呼ばれる、人が魔法によって作り出した人工の世界だ。ここまでは良いかな?」
 コクッと頷くキョウコ。
 「ただし人造異界を作るには前提条件が有る。それは人造異界と同じだけの広さを持つ土地を確保しないといけない、という事だ。それ故に人造異界は海の中等に造られてきた。世界を維持する為に魔力を使いながらね」
 「うん、そこまでは納得出来るわね」
 「では、何故この魔法世界が消滅しようとしているのか。それは世界維持に必要な魔力が枯渇しているからなんだよ。つまりエネルギー不足に陥っているんだ」
 目を丸くするキョウコ。隣で話を黙って聞いていたゲンドウも、微かに驚きの表情を浮かべてみせる。
 「このエネルギー不足を解消する方法は無い。世界を1つ維持し続ける力なんて、あまりにも途方も無いからね。だから僕達は別の方法を考えたんだ。もう1つ魔法世界を作り上げ、そこに避難するという方法をね」
 「まあ妥当な考え方よね。でもそれでは、アンタ達が非合法活動しないといけない理由にはならないわよ?各国に支援を求めれば、馬鹿でない限り協力するでしょう?」
 「そこなんだよ、問題は。いいかい?僕達が助けられるのはメガロ・メセンブリアに住む純血の人間6700万人だけ。他の魔法世界に住む11億3000万人については見殺しにするしかないからなんだ」
 造物主ライフメイカーの言葉に、キョウコが『はあ!?』と奇声を上げて思わず立ち上がる。
 「人造異界は世界を作る技術だ。だが世界は土地や空気、水だけでは無い。そこに生きる無数の命も含まれる。当然、人間達もだ」
 「ひょっとして・・・」
 「その通りだよ。助けられない11億3000万人。彼らは人造異界―魔法によって生み出された幻想なんだ。だから世界消滅とともに、存在も消えてしまうんだよ。こればかりは僕達でも解決不可能な問題なんだ」
 あまりにも大きな犠牲に、キョウコも絶句するしかない。
 「この問題は、見て見ぬ振りをして良い問題では無い。何らかの形での解決策を要求される問題なんだよ。そして僕達は、せめて6700万人だけでも助けようと行動を起こしている訳だ。だがこの事実をメガロ・メセンブリア以外の住人が知ったら、どうなると思う?」
 「間違いなく、大混乱に陥るでしょうね」
 「その通りだ。だから僕達は公に支援を受ける事は出来ない。代わりに武器商人やマフィアを利用して、計画を進めている訳だ。僕達の主張は、こんな所だ。理解して貰えたかな?」
 呻き声を上げながら、難しい顔で思案するキョウコ。理屈の上では理解出来るのだが、感情的に切り捨てられない、それが悩む原因であった。
 「・・・造物主ライフメイカー、貴方に質問が有る。魔法世界の消滅が、世界を構成する魔力の枯渇が原因だと言うのは理解出来た。それならば代替エネルギーを確保して、世界を維持するという事は不可能なのか?」
 「それは僕達も最初に考えたよ。だが無理だった。この先永遠に、膨大な力を供給し続けるような、都合の良い代物が有る訳が無い。そんな物が有れば、真っ先に飛びついているよ」
 「・・・そうか、やはりそうだろうな」
 すっかり冷めてしまった紅茶を、グイッと一息で呷るゲンドウ。そんなゲンドウに造物主ライフメイカーが声をかけた。
 「では本題だ。君達2人に協力して欲しい。有能な人材は、幾らいても困らない。いや僕達の計画を考慮すれば、明らかに少ない程だ。力を貸して欲しい」
 「・・・その前に確認しておきたい事が有る。『完全なる世界コズモエンテレケィア』の目的は魔法世界の救済であり、もし今よりも良い現実可能な方法が見つかれば、そちらに切り替える事も有りなのか?」
 「それは当然だ。僕達だって見捨てたくて見捨てる訳ではないからね」
 「なるほど。では私達が個人的にその方法を調べる分には、何ら制約は無いと言う事か」
 ゲンドウの言葉に造物主ライフメイカーが頷いてみせる。
 「私達に何をさせるつもりだ?」
 「何、大した事じゃない。幸い君達はヘラス帝国の首脳部に食い込んでいる。それだけで十分だ」
 「スパイか、だがそれなら断るぞ。こちらに事情があるからな」
 造物主ライフメイカーが面白そうに笑みを浮かべる。その背後では、プリームムが意外そうな表情を浮かべていた。
 「ならば、どのような条件であれば良いのかな?」
 「魔法世界を救済する。その目的の為に相互利用しあう、そんな所でどうだ?そちらは今のまま、最悪の事態を見据えて動けば良い。私達はより良い手段を模索する。より良い手段を模索するのであれば、それは正当な行いになるからな」
 「ふむ、まあ僕達にとってマイナス要素は存在しないか。それならば良いだろう。だがこちらにも少しは協力して貰うぞ?それが相互利用だからな」
 「まあそれぐらいは仕方ないだろうな。だが正面切って弓を引くような事はお断りさせて貰う。精々が情報のやり取りと言った所か」
 ゲンドウの言葉に満足そうに頷くと造物主ライフメイカーはグイッと紅茶を呷った。そのままスッと立ち上がる。
 「今日は有意義な時間だったよ。いずれ日を改めて、同胞達を紹介させて貰おう。今日の所は失礼させて頂く」
 「・・・2人とも、話を聞いてくれてありがとう。それでは、また」
 瞬間遠距離転移によって姿を消す造物主ライフメイカーとプリームム。しばらくした後で、キョウコが口を開いた。
 「・・・本当に良かったの?」
 「問題は無いよ。向こうは最初から、僕達をスパイ―情報源にするつもりだった。そして最終的には、情報源にするという目的を果たした。ここまでは良いかな?」
 コクンと頷くキョウコ。
 「『完全なる世界コズモエンテレケィア』の仲間になれば、当然情報を漏らせば処断される。でも僕達は仲間になった訳じゃない、あくまでも相互利用しあう関係―言いかえれば同盟関係なんだ。だから処断にはならない。もしそうしようとすれば『お前達だって僕達の渡した情報を利用しているじゃないか。第一、僕達はお前の部下じゃない。手に入れた情報をどう利用しようが、こちらの勝手だろう』と言い返せるからね」
 「それじゃあ、アンタの狙いは」
 「相手に情報源の確保という最終的な狙いを成就させて満足させる。代わりに僕達の立場をスパイという主従関係ではなく、同盟者にさせる事だったんだ。これでこちらも、思うがままに動けるようになるよ」
 キョウコに湯気の立つコーヒーを淹れてあげながら、ゲンドウが夜空を見上げる。
 「魔法世界を救う。その為に動くのであれば、僕も協力を惜しまない。キョウコ、明日から忙しくなるよ?」



To be continued...
(2012.09.29 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回からはオリジナルキャラであるプリームムが登場します。ラテン語で1を意味する、アーウェンルクスシリーズのプロトタイプである彼と、ゲンドウ達との関わりについても楽しんで頂ければ幸いです。
 それと今回、おかしくない?という点があります。
ゲンドウが将軍の暗殺の際、女性へ変装してから、変装の魔法具で成年へと変装を行っています。
 変装の魔法具を解除して青年から女性へ戻る。これは問題ありません。でも問題なのは声色。ボイスチェンジの魔法具で声色も変えているのですが、ボイスチェンジの魔法具を目の前でOFFにするのではなく、発動させればバレバレですwですがゲンドウは疑われておりません。このおかしな点について、良かったら推測してみて下さい。
 話は変わって次回です。
 ヘラス帝国へ届けられる国書。それはウェスペルタティア王国第1王女アリカからの休戦協定の申込みだった。
 だがその情報を完全なる世界コズモ・エンテレケイアへ流せば、休戦協定の場を襲撃され、アリカ王女は捕えられる事になる。更には帝国側の使者も捕まる事になるどころか、使者となる者も皇族クラスの重要人物でなければならない。
 この難題に頭を悩ませるマイクロフト。それに対し、ゲンドウの意見は。
 そんな感じの話になります。
 それでは、また次回も宜しくお願い致します。



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