第六十二話
presented by 紫雲様
拳闘大会決勝戦の日―
ついにネギがラカンと激突する日がやってきた。アスナを始めとするネギま部メンバー達は、観客席から固唾を呑んで見守っている。ネギの宿敵であるフェイトもまた、アジトである墓守人の宮殿から、映像を通じて戦いを見守っていた。そして戦乙女騎士団候補生である夕映達は、残念ながらこの日は休日とはならず、街頭のモニターで中継される映像で我慢しつつ街の警邏に勤しんでいる。
そんな中、シンジとアスカ、超もテオドラが用意したVIP室に招かれていた。
「殿下、お招き頂きありがとうございます」
「ありがとね、テオドラ!」
「失礼するネ」
「大した事では無い。とりあえずは、ゆっくりすると良い」
先客として来ていたリカードやセラス、ネギに闇の魔法を伝授していた人造霊エヴァンジェリンが笑いながら3人を招く。
「だが、お前も人の子だな。ナギの息子の成長を見届けたいとはな」
「まあ、兄代わりですから」
そっけない返事のシンジに、セラスが小さく眉を顰める。だがその事を誰何するよりも早く、テオドラの声が響いた。
「お、どうやら始まるようじゃ」
用意された椅子に座る一同。やがて眼下で繰り広げられる戦い。その展開に、シンジが感心したように『これは・・・』と声を上げた。
「どうかしたの?シンジ」
「ネギ君だよ。大魔法頼りになってるかもと不安だったんだけど、どうやら杞憂だったみたいだ」
ラカン相手に魔法ではなくアーティファクトを利用して、ラカンの攻撃を無効化出来る事を示すネギ。それはラカンだけではなく、相棒のカゲタロウの攻撃すらも無効化出来る事を意味している。
「無効化されると分かれば、向こうの影使いもあの子に無駄弾撃つような事はしない。となれば、あの子は自分と筋肉ダルマの戦いに集中できる」
「そうだね。ラカンさん相手に、周囲へ注意を払う余裕なんてないからね。そんな事したら、一発でアウトだよ」
「これで弱点を1つ潰せたわね。2対2の戦いになったら、格上の強敵相手にチームを組んで戦った経験がほとんど無いあの子達の負けだもの。勝機を見出すとすれば、1体1の戦いを同時展開するしかないわ」
ネギと小太郎の弱点。それはアスカが指摘した通り、コンビを組んでの戦闘経験の少なさである。一応。格下相手に闘技場で経験は積んだものの、それは余裕のある戦闘でしかない。そして余裕のある戦闘では、本当の意味で経験を積んだとは言えない。そういう意味で2人が経験を積んだと言えるのは、麻帆良でのヘルマン戦だけである。
そんな2人が経験豊富なラカンとカゲタロウに勝てるのか?答えはNOである。2人が生まれる前から戦場で命のやり取りをしてきたほどの豊富な実戦経験。そんな2人に同じ土俵で戦って勝てる訳が無い。
「とは言え、今のネギ君にラカンさんを相手取らせるのは無理がありすぎる。普通ならネギ君が時間を稼ぐ間に、小太郎君がカゲタロウ選手を倒して、1対2の戦いに持ち込むべきなんだけど・・・」
「あのカゲタロウ、中々の実力者よ。1対1で上回るのは、少しきついかもしれないわ。ところでアイツ、筋肉ダルマによれば完全なる世界 のメンバーだったんでしょ?あの頃見かけた覚えは無いけど、シンジは記憶にある?」
「いや、見た記憶は無いな。もしかしたら、ずっと前線に出ていたのかもしれないね。もしくは、内偵を務めていたのかも・・・」
そんな中、ネギが千の雷 を闇の魔法 で身に纏う。全身が雷化し、文字通り稲妻の速度でラカンに激しい連撃を叩き込む。
「嘘お!何よ、あの子の速さ!アタシの目で捉えられないなんて!」
「まるで疑似時間停止ネ。しかしこれは・・・」
「これが闇の魔法 ?」
「そうか、お主らは見るのは初めてじゃったな。千の雷 を装填したネギの最大の特徴は、秒速150kmという雷化による瞬動じゃ。雷速瞬動と名付けたがの」
文字通り、サンドバックと化しているラカン。その猛攻に上空高く飛ばされた挙句に、大地へ殴り落される。そこへ『千磐破雷 』により完全雷化したネギの追撃が決まり、闘技場が爆音に包まれる。
時を同じくして、小太郎も完全獣化による一撃でカゲタロウを沈めていた。こちらの場合はラカンが倒された事に驚いたカゲタロウの隙を、見事に突いたからである。
「・・・殿下。ひょっとしてネギ君達の基本作戦は、スペック勝負ですか?」
「正解じゃ。経験が足りぬなら、基本性能で上回れば良い。ネギが言っておったわ、お主が見せたんじゃろう?身体強化だけで、技術も無しに戦っていたそうではないか」
「それは事実ですが、さすがにラカンさん相手にそんな真似はしないですよ」
ノックダウンによるカウントが始まる中、観客席から大きな歓声が沸き起こる。
「さすがにラカンと言えど、あれだけの大技を喰らえば無事では済むまい」
「やりやがったぜ!あのガキども!」
VIP席でもまた、歓声が沸き起こった。だがラカンと直接刃を交えた経験を持つアスカだけは、厳しい表情のままである。
「アスカ?」
「あの筋肉ダルマがあれぐらいで倒れる訳がないわ。シンジ、アイツは私の万夫不当を掠り傷で耐えきったのよ?」
「確かに速度は破壊力へと転嫁できるネ。だが千の剣殿の身体能力が生み出す防御力が、それを上回るとすれば・・・」
眼下では、ラカンが高笑いしながらムックリと起き上がった。その体のどこにも傷は無く、一目でノーダメージと分かるほどである。
やがてその顔から笑みが消える。同時に、あらゆる方向へ気の発生による圧力が叩きつけられた。
それはVIP席にいた一行も同様である。ビリビリと痺れるような衝撃が皮膚を叩き、ラカンが本気になった事を伝えてきた。
「・・・相変わらず、とんでもない人だね。僕が全ての気を体に回しても、今の攻撃を無傷で済ませる自信は無いんだけどな・・・」
「アンタの場合は基本的な身体能力に問題があるからね。あの筋肉ダルマと同じ真似なんてするんじゃないわよ!」
「頼まれたって真似なんてしないよ」
軽口を応酬する間にも戦況は大きく変化していた。
ラカンは雷速瞬動の弱点を突いて反撃に転じたのである。例え雷速と言っても、その速度は技が発動した一瞬だけ。思考速度は変わらない為、技の出がかりを潰されると何もできなくなる。
更には自然の雷と同じ先行放電 という存在が、ネギの足を引っ張る。例え稲妻の速さであろうとも、どこに攻撃が来るか分かっていれば、歴戦の戦士であるラカンにとっては対応等容易い事であった。
「・・・幾ら弱点とは言え、よくもまあ実行出来るもんだよ」
「アタシにも無理ね。まあ万夫不当使えば、何とかなりそうだけど」
「対応できるだけでも凄いと思うのは気のせいカ?」
アスカの発言に、超が冷静にツッコム。その視界には、ラカンの一撃で沈んだネギと、カゲタロウの反撃による影槍で串刺しになった小太郎が映っていた。
「それはそうと、アレってヤバくない?内臓、間違いなく破裂しているわよ?」
ラカンの一撃を受けたネギは、激しい吐血を繰り返す。だがそれでも全力を振り絞って立ちあがった。
小太郎もまた影槍に貫かれた傷はそのまま、自力で立ちあがって戦闘続行を構えで示してみせる。
「そうか、魔力を利用した緊急止血の応用か。確かにあれなら、しばらくはもつ。だけど、ここからどうするつもりだ?スペック勝負で負けたのに、まだ手が有るのか?」
シンジの呟きに応えた訳ではないだろうが、小太郎が単独で勝負を仕掛ける。そこへカゲタロウが千の影槍で迎撃を図るが『狗音影装』により強化された身体能力と、ネギのアーティファクト『千の絆 』により呼び出されたハマノツルギを突破するには至らない。
そのままハマノツルギで岩にカゲタロウを縫いつけると、今度はラカンに襲い掛かる。だがラカンとの実力差は歴然としており、瞬く間に追い詰められていく。
やがて、ラカンのアーティファクト『千の顔を持つ英雄 』により呼び出された無数の剣により、全身を串刺しにされて『狗音影装』は削り取られてしまった。
だが小太郎が時間を稼いだ間に、ネギは準備を済ませている。両手に準備した千の雷を二重装填し、完全に準備を整えていた。
再び始まる激しい拳の応酬。だが先程まで良いようにカウンターの餌食となっていたネギが、零距離での互角の戦いを演じた事に一同は目を丸くする。
「零距離戦はカウンター対策ね。あれだけ密着されたら、あの筋肉ダルマであっても迎撃なんて出来ないわよ。防ぐのが関の山ね」
「いえ、それだけじゃないわね。あれは今までの雷速瞬動とは違うわ。今までよりも速さを活かしている!」
セラスの見立て通り、今のネギは常時雷化により瞬発力だけではなく、思考速度や機動力も加速されている。その為、速度を十分に活かすだけの余裕も手に入れていた。
「弱点によて潰されていた速度という長所を取り戻したと言う訳カ。こうなると、また勝負は分からなくなるネ。ネギ坊主が不利な事には違いないガ」
「超の言う通りよ。あの筋肉ダルマには戦闘経験という絶対的なアドバンテージが存在しているからね。消耗戦に持ち込む様な真似したら、絶対に負けるわよ?」
「さすがにネギ君も、それぐらいは気づいていると思うんだけどな・・・ん?」
眉を顰めるシンジ。そんなシンジに不審を覚えたアスカと超だったが、目を閉じて何か考え出したシンジの様子に口を閉じる。
「・・・いや、これは僕も想像できなかったな。それが狙いだったのか」
「何か気付いたカ?」
「ネギ君もしっかり考えてるなあ、って思っただけだよ」
ネギのラッシュがラカンを襲うが、ラカンの鋼の肉体を突破するには至らない。火力不足が原因である事に気付いたテオドラが口惜しげに爪を噛む。
しかし、そこでネギは距離を取り、遠距離魔法の詠唱に入った。その行動にラカンも全身に気を貯め込んで、迎撃体勢に入る。
「馬鹿な!自殺行為だ!」
「いや、自殺行為なんかじゃない。ネギ君にはハマノツルギのコピーがあります」
あらゆる気と魔力を無効化するハマノツルギの存在に、リカードとセラスが同時に『あ!』と声を上げる。それと時を同じくして、ラカン・インパクトがネギ目がけて放たれる。
しかし、ネギはハマノツルギを呼ぼうともしない。その行動に、今度はシンジが驚愕で目を見開いた。
ネギはスッと左手を前に出す。同時にネギを中心にして、巨大な未知の魔法陣がボウッと浮かび上がった。
「敵弾吸収だと!?馬鹿な、不可能だ!」
「そうか、さっき描いていた魔法陣は、その為の物だったのか!」
「描いていた?そんな暇が、何時有ったのよ!」
「ラカンさんと戦っていた間だよ。千の雷を二重装填した後、ラカンさんを無視して何発も攻撃が飛んでいたから、気になって検証してみたんだよ。そしたら魔法陣を再現するように着弾していたんだよね」
完全記憶を持つシンジが、高所から試合を観戦していなければ気付くのは難しかった。それほどにさり気無い手際の良さに、アスカが感心したように唸り声を洩らす。
ラカン・インパクトとネギの拮抗は数秒続いた後、ネギが闇の魔法によってラカン・インパクトを装填してしまう。同時に開始されるネギの猛攻に、ラカンが喀血しながら試合場の障壁へと叩きつけられる。
「太陰道。気弾・呪文に拘わらず、敵の力を我が物とする闇の魔法 の究極闘法。私ですら開発を断念した幻の技法だが、まさか完成させるとはな・・・」
人造霊エヴァンジェリンが、心底感心したように本音を漏らす。その視線の先では、ネギがここぞとばかりに休む間もなく大技を繰り出していく。
トドメの一撃とばかりに放った巨神ころし からの千雷召来 により、その余波で観客を守る為の障壁は木っ端微塵に粉砕。更にラカンは地面に串刺し状態となって、ピクリとも動かない。
「まさか、あの子、本当にあの筋肉ダルマをやったの!?」
「ゆ、夢でも見ているのカ・・・?」
目の前の光景が信じられないアスカと超が、手摺から身を乗り出すように試合場を確認する。だが何度見ても、ラカンが倒されている光景に変わりは無い。
「信じられん!しかし、あれだけ喰らえば!」
「うむ、如何に奴とて・・・」
セラスは言葉を失い、リカードとテオドラは歓声を上げる。人造霊エヴァンジェリンは満足そうに頷き、シンジはホッと一息吐いた。そんな時だった。
吹き飛ぶネギ。吹き飛ばした相手はと言えば、雷の槍を握力で握り潰し、口からは滝のように血を流しつつ、頭からは噴水のように血を噴き出しているラカンである。
「そんな馬鹿な!?何で立ちあがれんのよ!」
「・・・量産型エヴァンゲリオンでも、消し炭になりかねない一撃だたヨ?ネギ坊主、何かミスでもしたのカ?」
「いや、ミスはしてない。多分・・・ラカンさんの生命力が桁外れなんだよ。そうでなきゃ、衛星砲に匹敵するあの火力を体内から喰らって、耐えきった説明がつかないよ・・・」
咸卦法と呂布の能力によって個人戦闘能力は人類の限界を超えているアスカ。科学によって炎の魔法を極めた超。3年前まで神だったシンジ。3人が3人とも、呆れたように声を絞り出す。
「アスカ、よくもまああんな非常識な人と1対1で戦ったね?」
「今更だけど、本当に、アタシあんなのと戦っていたのかしら?」
「全く、不可解極まりない御仁ネ」
3人の視線の先では、残る力を振り絞って、笑いながらどつきあう2人の姿があった。
大会終了後―
奴隷となっていたアキラ・亜子・夏美の解放も終わり、ラカンは今日の戦いを思い出しながら1人酒を飲んでいた。そこへシンジが肴を手に入って来る。
「お?珍しいじゃねえか、お前が1人なんてな」
「アスカは殿下に、超さんは龍宮さんと一緒ですよ」
「はっはあ!フラレたって訳か!」
シンジが用意した肴は、肉と野菜の炒め物である。辛口の味付けが好みにあったのか、次々に口の中へ放り込んでいくラカンである。
「ネギ君、強くなりましたね」
「親父から受け継いだ才能もあるだろうが、努力家という性格がでかいな」
「確かに。あの子は勤勉ですからね。それはそうとラカンさん。完全なる世界 についてですが・・・」
グイッとビールを流し込むラカン。一息で大ジョッキを空けると、テーブルにダンと音を立てて置く。
「・・・詠春とこの嬢ちゃんに叱られたからな。ケジメとして尻拭いぐらいはしてやらなきゃならんだろうよ」
「木乃香が何か言ったんですか?」
「そうか、お前は詠春の養子だったな。お前の妹は、良い女になるぜ?お兄ちゃん?」
からかう様な口調のラカンに、シンジが『ラカンさんには木乃香はやりません、とでも言えば良いんですか?』と返してラカンを爆笑させる。
「全く笑い死にさせんじゃねえよ・・・で、お前はいつまで舞台袖に隠れているつもりだ?」
「・・・その時が来るまでです。僕の役目は弟妹を守る事。その為には、僕は表舞台に立たない方が何かと都合が良いんです。おでこちゃんに関しては、例外中の例外でしたけどね」
「流石に記憶喪失と聞かされては、我慢できなかったか?」
黙って頷くシンジ。
「お互い、厄介なもんだな。まあ、良いさ。坊主や嬢ちゃん達に関しては、俺が子守りをしといてやる。その分、お前が動けよ?」
「ええ、分かっています。鎖を断ち切るのは、僕の役目ですからね。ただ・・・」
言葉を濁したシンジに、ラカンが『ん?』と首を傾げる。
「クルトが陰で動いているんです。あの子のアリカ王女殿下に対する思慕を刺激して舞台へ引き上げたんですが、どうも歪んだ成長を遂げたみたいでして。あの子にとってはアリカ王女が第1であって、アリカ王女の息子であるネギ君は重要ではあっても大切ではないようなんです」
「おいおい、他の男の子供なんて、道具でしかないってか?」
「何と言うか、ネギ君に対しては義理も義務も無いって感じですかね?全く、僕の謀略家としての悪い所だけ学びとってしまった様です」
困ったように頭を左右に振るシンジに、ラカンが肩を竦めてみせる。
「確か、クルトがオスティア総督名義で開く舞踏会があったな。奴が坊主に接触するとすれば、そのタイミングだろうよ。親父とお袋の事で話が有る。そう言われたら、坊主の事だ。2つ返事で飛び付くぜ?」
「否定できないどころか、その光景が目に浮かびます・・・」
「頑張るんだな、お兄ちゃん?」
豪快に笑うラカンを見ながら、シンジはさてどうしようか、と思索の淵に意識を沈め始めた。
翌日―
宿屋で久しぶりの骨休めを兼ねて、ノンビリしていたクレイグは、仲間であるアイシャから来客の訪問を告げられて目を丸くしていた。
「俺に客?仕事の依頼か?」
「うん、どうもそうみたいね。こちらは休み中だからって言ったんだけど、どうしても私達じゃないと信用できないって言われちゃったのよ」
「俺達じゃないと?どういう事だ?」
首を傾げながら宿屋の1階に下りていく。1階は付属の酒場になっており、クレイグの様な冒険者が依頼を受ける為の仲介所も兼ねている。そんな酒場のマスターも兼ねる宿屋の主が『客は奥で待ってるぜ』とぶっきらぼうに声をかけた。
「何だ?ここで話すんじゃないのか?」
「秘密裏に頼みたいんだとよ。こっちも貰うもん貰ってるからな、その分はしっかりやるさ」
「随分、気前が良い客みたいだな」
頭を掻きながら、指定された個室へと向かう2人。室内には、既に3人の人影があった。
内、2人は仲間であるリンとクリスティンである。そして最後の1人は、クレイグには見覚えの無い美少年であり、クレイグとアイシャが入って来ると椅子から立ちあがって頭を下げてきた。
その礼儀正しい態度に、アイシャが軽く目を見張る。
「よお、クレイグ。遅いじゃねえか」
「ああ、ちょっと眠っちまってた。それで、こっちの坊やが依頼人か?」
「ええ、シンジと言います。この度は、宮崎さん―のどかさんを助けて下さって、ありがとうございました」
思いがけない言葉に、クレイグとアイシャが目を点にする。先に話を聞いていたクリスティンとリンは『のどかの学校の先生なんだって』と意訳した説明を付け加えてきた。
「「先生!?」」
「正確には寄宿舎の寮監と言った方が良いですけどね。僕が貴方達に依頼したい理由は、貴方達が宮崎さんが指名手配されていたにも拘わらず、人間として誠実な対応を採ってくれたと聞いたからです。だからこそ、貴方達ならば信用できると思いました」
「・・・そいつは褒めすぎってもんだ。俺達はそこまで・・・」
どことなく照れくさそうなクレイグに、アイシャが背中をバンバン叩く。そんな2人を微笑ましく眺めながら、シンジは口を開いた。
「ここから先は内密に願います。宮崎さん達にも決して教えないで頂きたい。まず依頼内容は宮崎さん達の護衛です」
「・・・のどかの護衛?」
「彼女だけではありません。貴女達も知っているでしょうが、彼女はネギ君と一緒に動いています。そしてネギ君の傍には、力無き子達も大勢います。それは知っていますよね?」
シンジの言う事は真実なので、クレイグ達にしても全く異論は無い。
「これからネギ君は、大きな事件の渦中に巻き込まれる事になります。そうなると、どうしてもあの子が仲間に向ける注意は下がってしまうでしょう。そんな時、あの子達を助け、守ってあげて欲しいのです。それが依頼内容です」
「・・・あんたは助けないのか?」
「出来ればそうしたい。ですが、そうもいかない事情があるのです。僕はまだ、表舞台へ立つ訳にはいかない。まだ、行方不明のままにしておきたいんですよ。敵を一網打尽にする為にね」
シンジの目に宿った真剣な気配に、クレイグとアイシャが顔から笑みを消す。クリスティンやリンも、居住まいを正した。
「事情を説明します。まずネギ君や僕の敵は、貴方達が完全なる世界 と呼ぶ存在です」
「完全なる世界 ・・・?奴らは、紅き翼 が潰したんじゃなかったのか?」
「残党がいたんです。そして奴らにとってネギ君は邪魔者なんですよ、宮崎さんもね。貴方達も知ってるでしょう?宮崎さんのアーティファクト『いどの絵日記』の能力は」
読心術士としてののどかの力量は、4人も良く理解している。
「完全なる世界 においても、宮崎さんはその能力の為に第1級の危険人物として認識されています。何せ、彼女の力を利用すれば、連中の目的は白日の下に晒されてしまうんですからね。奴らが潰したいと考えるのも当然ですよ」
「・・・確かにな・・・」
「分かって頂けて何よりです。そして依頼料ですが・・・」
シンジの提案した額に4人は言葉を無くした。と言うのも、シンジが提案した額は相場の20倍近い額だったからである。
「おいおい、のどかは俺達の仲間だ。金なんて貰わなくたって・・・」
「今回は宮崎さん以外も護衛対象ですからね。それに、依頼の難易度は高い。敵は紅き翼 メンバーと互角の個人戦闘能力を持つ連中です。これでも少ないぐらいだと思います」
ゴクッと唾を飲み込むクレイグ。アイシャも拳を握り、クリスティンとリンは互いに顔を見合せながら、ゆっくりと頷き合っていた。
「まずは、今晩から協力をお願いします。ネギ君達は、オスティア総督であるクルトが主催している舞踏会に出席します。貴方達はそこへ、同じく出席者として参加して頂きたい。武装については、ヘラス帝国宰相として全ての段取りをつけましょう」
「・・・ヘラス帝国宰相?」
「はい。18年間空位のまま、姿を見せない帝国宰相ゲンドウ。それが僕のもう1つの顔です。同時に最後まで表に出なかった、紅き翼 の最後の2人 でもあります。この事実はネギ君も宮崎さんも知らない事実です。だからこそ、あの子達には内緒にしておいて頂きたいんですよ」
クレイグ達の協力を取り付けたシンジは、そのままネギが拳闘大会に出場する為に籍を置いていたチームへ顔を出していた。
オスティアでの出稼ぎを兼ねている為、拳闘以外に酒場としても動いている。その為、シンジが訪問した時もクママ奴隷長 が額に汗を流して臨時店舗で働いていた。
「こんにちは、準備中に申し訳ありません。僕はシンジと言います。クママ奴隷長 さんですね?」
「ああ、そうだよ?私に何か、用事かい?」
ふかふかした毛並みのクママが、椅子を指差す。それにお礼を言いつつも腰は下ろさず、シンジは立ったまま素直に頭を下げた。
「この度は、大河内さん、和泉さん、村上さんを助けて下さってありがとうございました。色々とゴタゴタはあったようですけどね」
「全く、あの馬鹿も捻くれてさえいなけりゃ、良い奴なんだけどね。それで、あんたは礼を言いに来たのかい?」
「いえ、違います。元・剣闘士奴隷であった貴女や、現役の拳闘士チームの皆さんの協力を得たいのです。今回は、どれだけ信用出来るのかが重要な為、敢えて貴女達に依頼をしに伺いました」
「・・・ちょっと待ちな。それは私1人じゃ決められない。バルガスとトサカを呼んでくるから、少し待っておくれ」
クママに呼び出され、姿を見せる2人。シンジに怪訝な視線を向けつつ、椅子に座った。
「こちらはシンジさん。私達に依頼したい事があるんだってさ」
「シンジと言います。僕が依頼したい事はただ1つ。ネギ君の仲間である、女の子達の護衛をお願いしたいのです。今晩、オスティア総督名義で開かれる晩餐会においてね」
「・・・どういう意味だ?まずは詳しい事情を聞かせて貰いたいんだがな」
トサカの発言に、兄貴分であるバルガスがもっともだと言わんばかりに頷く。
「ネギ君がいくら強くても、まだまだ子供ですから。あの子達の兄代わりとしては、出来得る限りの手を打っておきたい。ただそれだけです」
「・・・兄代わり?」
「改めて名乗らせて頂きます。僕の名前は近衛シンジ。あの子達が旧世界で生活していた頃、保護者役を務めていた者です」
目を丸くするトサカ。バルガスも低い唸り声をあげる。
「どうして、僕が貴方達にこの依頼をしたいのか。確かに信用出来る点もありますが、貴方達なら絶対に、この依頼を引き受けてくれる理由があるからです」
「理由、だと?」
「ええ。20年前、ウェスペルタティア王国は国土の大半を失い、第1王女アリカ殿下は完全なる世界 の黒幕として処刑されました。王国の民達も塗炭の苦しみを味わった。貴方達も、その1人です」
「・・・確かにそうだ。だが、それとこの依頼がどう繋がると言うんだ?」
「それが繋がるんですよ。なぜなら、ネギ君を狙う者達は完全なる世界 と呼ばれる者達であり、20年前の王国崩壊の原因を作った連中です。そしてアリカ王女に濡れ衣を着せた者達だからです」
シンジの言葉を、何度も頭の中で繰り返すトサカ達。やがて言葉の意味を十分に理解すると、3人の顔に怒りが浮かんだ。
トサカは両の拳を血が滴るほどに握り締める。バルガスは椅子を跳ね飛ばして立ち上がる。クママは手にしていたモップの柄を握力だけで握り潰していた。
「だからこそ、貴方達にお願いしたい。アリカ王女殿下の忘れ形見である、ネギ君の為にも」
その言葉が意味する物に、トサカ達が言葉を無くす。そのままゆっくりと3人で顔を見合わせると、再びシンジへ目を向けた。
「事実です。ネギ君の父親はナギ・スプリングフィールド。母親はアリカ・アナルキア・エンテオフュシア殿下。そしてネギ君はその出自故に何度も命を狙われ、生まれ故郷を目の前で壊滅させられているんです」
「・・・あの子も苦しんできたんだね・・・」
シンミリと呟くクママ。故郷を失う辛さは、クママだけではなくバルガスやトサカにとっても他人事とは言えなかった。更に自分達の心の支えであったアリカ王女が濡れ衣を着せられていたという事実は、怒りに火を点けるに十分な物があった。
「お願いします。僕があの子達の傍にいられない間、代わりにあの子達を守ってあげて欲しい」
「そう言う事なら、私は受けるよ!トサカ、バルガス!」
「ああ、俺も構わねえよ」
「チッ、仕方ねえなあ」
三者三様の態度で依頼を受ける3人。依頼料として前払いで渡されたお金を前に、トサカが少し嫌みを込めた口調で言葉をかけた。
「この金はどうしたんだ?」
「これは僕が稼いだ分です。これでもバウンティハンターとして、それなりに実績はありますから」
「「「バウンティハンター!?」」」
どう見てもお坊ちゃんにしか見えないシンジがバウンティハンターと聞かされて、驚きの声を上げる3人。
「それと、僕からの依頼である事は、ネギ君達には黙っていて下さい。敵を騙すにはまず味方から。僕はまだ、行方不明のままでいたいですからね」
「・・・もし、喋ったらどうする」
言いかけたトサカの言葉が急に止まる。必死になってトサカが口に手を当て、ムームー呻き声を上げるばかりである。
突然のトサカの異常な行動に、クママとバルガスが目を丸くする中、シンジが笑いながら声をかけた。
「喋ったらどうなるか、よく想像してくださいね。僕は師である人形使いダーク・エヴァンジェリンよりも悪党なので、非殺を貫いたりはしていませんから。あの子達の為なら、例え相手が子供であろうとも手にかけます」
同時にブハアッと息を吐いたトサカが、ダーク・エヴァンジェリンの名前に目を丸くする。それはクママやバルガスも同様であった。
「それでは、宜しくお願いします。舞踏会の会場へ入る為の準備は、こちらで済ませておきますから」
クレイグ達に続いてトサカ達の協力も得た(?)シンジは、ある酒場へと顔を出していた。
夕食時と言う事もあって、賑わい始めた酒場。そんな酒場のマスターに目的の人物が来ている事を確認すると、注文したビールを手に酒場の隅で食事を摂っていた中年の男性に声をかけた。
「ジョニー・ライデンさんとトラゴロウさんですね?僕はシンジと言います。この度は明石さんと佐々木さん・・・裕奈さんとまき絵さんを助けて下さって、ありがとうございました」
「ん?ひょっとして、ユーナちゃんとマキエちゃんの知り合いか?」
「はい。裕奈さんの父親は、僕の母親の知人でして、その伝手で知り合いなんです」
お礼を言うシンジに、ジョニーが『良いって事よ!』と豪快に笑ってのける。
「ところで、厚かましいかもしれませんが、お二人を見込んで頼みたい事があるのです」
「・・・それは依頼って事か?何を運べば良いんだ?」
「今晩、オスティア総督府で舞踏会が開かれる事は御存知だと思います。もしそこで何かが起こった場合、あの子達を助ける為に動いて頂きたいんです」
シンジの言うあの子達が誰を指すのか、理解出来ない2人では無い。だが何でそんな依頼を、シンジがしてくるのかが理解出来なかった。
「事情を聞かせてくれるかい?」
「具体的に何が起こるのか。そこまでは僕にも分かりません。ですが、何かが起こってからでは遅いんです。あの子達を無事に、旧世界へ連れ帰らないといけませんから」
「・・・だったら、俺達よりもオスティアの総督にかけあうべきじゃねえかい?」
ジョニーの言い分はもっともである。だがシンジは、それでもジョニーにこそ頼むべきだと言う確信があった。
「魔法世界の中でも5指に入る最速の運び屋ジョニー・ライデン。ですが20年前の大戦当時は、赤い閃光の2つ名で呼ばれた世界最速の戦闘機乗りだったと聞いています」
「・・・よくもまあ、調べたもんだ。坊主、アンタは何者だ?」
ジョニーの人の良さそうな笑顔が消え、裏世界の住人に特有の鋭く、警戒心に満ちた表情が浮かぶ。だがシンジは平然と、その鋭い視線を受け流してみせた。
「僕はあの子達の兄代わり。あの子達を無事に連れ帰る為、最速の運び屋である貴方達を利用したいんですよ。例え、僕や貴方達がどうなってもね」
「・・・ただの優しそうな兄ちゃんかと思っていたが、覚悟だけは出来ている様だな。それにその目。俺達と同じ、こちら側の人間って訳か」
「ええ、そうです。そして貴方達に出し抜いて頂きたい連中の名は完全なる世界 です」
その言葉に、黙って話を聞いていたトラゴロウが食事を止めて、初めてシンジに目を向ける。それと同じタイミングで、ジョニーがニヤリと笑みを浮かべてみせた。
「随分とまあ、大物じゃねえか。20年前に壊滅したときいていたが・・・」
「連中にとって、裕奈さん達は人質とするには最高の獲物です。だからこそ、それだけは防がなければなりません」
「・・・良いぜ、その依頼引き受けてやる」
ジョニーの言葉に、トラゴロウもまた面白そうに頷く。元は裏世界の住人である為、血の気は多い方なのである。
「依頼料については全額前金でお支払いします。これだけあれば、十分足りるでしょう」
「気前が良いな。だが、もし俺達がこの金を持ち逃げしたら、とは考えないのか?」
「そんな事をしたら、一生、後悔して頂くだけです」
急に変わったシンジの雰囲気に、ジョニーとトラゴロウが互いに顔を見合せてニヤリと笑う。
「任せな。運び屋ジョニー、お客様との契約はキッチリ守るのが誇りなんだ」
時は少し遡り、街中にて―
街中でバッタリ出会ったネギ・のどか・アスナ達と、夕映・エミリィ・コレット・ベアトリクス達はオープンテラスの喫茶店で一息ついていた。
と言うのも、夕映を偶然見つけたのどかが喜びのあまり、いきなり夕映に抱きついたからである。ところが、それが原因でエミリィがのどかが指名手配犯である事に気づいて、捕縛魔法を展開。それを反射的にネギが破壊して・・・と無し崩し的に戦闘状態へと陥ってしまった。
この事態にエミリィは救援を求めたのだが、それに対応した騎士団総長セラスはそれを却下。逆に手を出さない様に指示を出す。セラスにしてみれば、ネギ達の素生やゲートポート事件の真犯人を知っているからこそ出した指示であった。
しかしエミリィにしてみれば『何で?』と首を傾げたくなる指示である。そこへネギが無血で戦いを終わらせようと武装解除の魔法を使ったのだが、今のネギは闇の魔法 により基本的な魔力が増大している。結果として武器どころか、街中で少女達を全員裸にするという大惨事を引き起こしていた。
そして騒ぎが収まった所で、お互いに状況を把握しあおうと言う事で、場所を移動していたのである。
「「記憶喪失!?」」
「あー・・・ぶっちゃけ、私のせいなんだけどね・・・」
コレットが自分の人差し指を突き合わせながら、困ったように口籠るコレット。
「・・・そうですか、忘却魔法暴発の事故で・・・」
「でも夕映が無事で良かったよ!一緒に日本へ帰ろう!」
「お待ちなさい!まだユエさんが貴女達の探している夕映さんと決まった訳ではないでしょう!それに彼女は我がアリアドネー騎士団の一員です!犯罪者に、はい、そうですかと渡す訳になど参りません!」
濡れ衣ではあるのだが、それを実証できないネギ達にとっては痛い点を突くエミリィ。確かにエミリィにしてみれば、正当な言い分である。だが彼女の場合、シンジという存在が夕映を知っている事。そのシンジが総長セラスを、ひいてはアリアドネー騎士団を信用して夕映を預けている事を理解していた為に、ネギ達に渡す訳にはいかないという思いもあった。
「ま、待って下さい!証拠ならあります!」
「証拠?」
「はい、これです!」
ネギが出したのは仮契約カードである。そこに描かれている絵は、確かに夕映の姿であった。
「これで念話を使います。もし彼女が僕達の探している夕映さんなら、念話が届きます!」
「アーティファクトカード!?」
立ち上がりかけたエミリィだったが、こうなっては仕方ないと椅子に座り直す。同時に夕映も緊張しながら、椅子に座りなおした。
やがて数秒の後、夕映の顔がボンッ!と音を立てて真っ赤に染まり、椅子ごと後ろに倒れ込んだ。
「ゆ、夕映さん!?」
「近づかないで、君が近づくと症状が悪化する」
シャキーンと剣を構えるベアトリクス。夕絵は顔を真っ赤に染め上げ、それでもコレットやエミリィ達の助けを受けながら気丈にも身を起こす。
「・・・まだ何も思い出せません。でも確かに本物の念話でした・・・と言う事は、私はこの世界の人間では無いのですね・・・」
「はい、そうです。旧世界の日本、麻帆良学園から来ました」
「・・・そして貴方はかの大英雄ナギ・スプリングフィールドの息子、ネギ・スプリングフィールドなのですね」
その事実に絶叫するエミリィの口を、コレットが慌てて抑える。
「委員長、落ち着いて!人目を引いちゃうってば!」
やがて落ち着きを取り戻すエミリィ。マジマジと何度もネギを見直し、確かにナギの面影がある事を理解する。
「・・・言われてみれば瓜二つです。確かに貴方達の件には、色々と裏事情があるのは認めます。ユエさんが貴方の仮契約相手である事も認めます。ですが、それでも彼女を渡す訳にはいきませんわ」
「どうしてですか!」
「アリアドネー騎士団を信用して、ユエさんを預けて行かれた方がいるからです。その信頼に応える義務が、私達にはあります」
預けて行かれた方。その言葉に夕映がアッ!と声を上げる。思いだしたのは、近衛シンジと名乗った1人の少年。
「夕映さんを預けた?一体、誰なんですか?夕映さんは1人じゃなかったんですか?」
「ユエは1人だったよ。でも数日前に、ユエの知り合いらしい人が私達の宿泊場所に来たの。それで全てが終わるまで、アリアドネーで待っていて欲しい、そう言って立ち去ったの。名前は」
「おやおや、誰かと思えばアリアドネーの名門、セブンシープ家のお嬢様ではありませんか?」
突然、割って入った声に振り向くネギ達。そこにいたのは30代半ばに見える、怜悧な男である。
「クルト・ゲーデルオスティア総督!」
To be continued...
(2012.12.01 初版)
(あとがき)
紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
今回のテーマは裏舞台とニアミスですw裏舞台については原作において、何故かネギ一行の手助けに入った3チームに理由をつけてみました。良く考えてみると、拳闘チームにしろ冒険者チームにしろ、メガロ・メセンブリアからすれば他国の人間、それもVIPな訳でもない人達です。そんなメンバーを臨時のアルバイトなり、招待客なりで招くような真似を、切れ者のクルトがするだろうか?そこから今回の設定へと繋げてみました。
ニアミスについてはお約束という奴ですwそうじゃなければ、あんな偶然はありません。
話は変わって次回です。
オスティア総督クルト主催の晩餐会に招かれたネギ達。一方、ヘラス帝国の要人として内部へ入り込んだシンジ達は、変装してネギ達の疑惑を招かないように試みる。
だがハルナの護衛としてついていたアベルの行動が、シンジとハルナを舞踏会の会場へと連れ出してしまう事に。
そんな感じの話になります。
それでは、また次回も宜しくお願い致します。
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