正反対の兄弟

第七十話

presented by 紫雲様


3-Aside―
 アスナを助けだし、ハッピーエンド。それが少女達に共通した思いであった。ネギの父親が姿を消したという不可解な出来事はあったにせよ、誰もがこれで終わりだと考えていたのである。
 ところが姿を現した不気味な巨人を前に、少女達は言葉を失っていた。その視線は、自然と巨人の正体を知るシンジとアスカへ向けられる。
 「あれは!」
 「量産型エヴァンゲリオン!?SEELEの奴ら、やっぱり作り上げていたのね!」
 背後から聞こえてきた声に振り向く少女達。そこには鳥の式神から降り立った、千草とミサトが立っていた。
 「葛城さん!あのお化けの正体、知ってるの!?」
 「・・・あれは量産型エヴァンゲリオン。2年前、シンちゃんとアスカが撃退した、最悪の敵よ」
 「あんなのを撃退したって言うの!?どうやって!」
 風香の発言に、シンジと記憶を共有しなかった少女達が一斉に頷く。
 「エヴァンゲリオン初号機と弐号機で撃退したのよ」
 「じゃあ、今度も大丈夫って事よね!」
 「それは無理よ。弐号機は前の戦いで完全破壊されてしまった。初号機は宇宙へと飛び出して行方不明。私達にはエヴァが無いのよ」
 ギリッと歯噛みするミサトに、少女達の顔にゆっくりと絶望が広がっていく。
 ミサトの視線は、最前線に立つシンジへと向けられる。
 「シンちゃん、何か考えがあるの?どうして、恐怖を感じていないの?」

魔法使いside―
 量産型エヴァンゲリオンという新たな敵の出現に、一同は造物主ライフメイカー の攻撃でダメージが残る体に鞭打って立ち上がった。
 そこにあるのは、ただ子供達を守りたい、という一念である。それだけを支えに、魔法使い達は再び立ち上がる。
 「・・・あれの弱点は速度と多方面からの同時攻撃です。持久力や耐久力はずば抜けていますが、反面、高速には反応しきれないという弱点を抱えています」
 「シンジ?」
 「未来世界で僕とアスカ、エヴァンジェリンさんと超さんと茶々丸さんの5人で倒した事があります。あいつのATフィールドは視界内に1枚しか張れません。再生能力は凄まじいですが、鳩尾に存在するコアを破壊すれば、息の根を止める事が出来ます」
 倒す方法があるという事実に、一行の士気が上がり出す。顔には焦燥ではなく笑みが浮かび、体からは疲れが消え失せていた。
 「おでこちゃん!アーティファクトで調べてほしい!SEELEの奴らが隠している、初号機の在り処を!」
 「初号機の場所を調べれば良いですね?・・・出たですよ!」
 アーティファクト『世界図絵』に写し出された情報に、シンジが一際強く頷く。
 「みんな!無理はしないで時間を稼いで!その間に初号機を奪還してきます!」
 「ふ、良かろう。暇潰しがてら付き合ってやる。だが、お前が戻ってくる前にアレを破壊してしまうかもしれんぞ?」
 牙を見せながらニヤッと笑うエヴァンジェリンに、周囲もまた同意するかのように頷きを返す。
 「いいぜ、俺は幾らでも相手してやるぜ?」
 「我が主よ。御武運を」
 「ここは任せなさい、シンジ」
 ラカン、ヘルマン、詠春の言葉に強く頷くシンジ。
 「私もついていくですよ!魔法の罠があれば、私なら解呪できるです!」
 「では拙者は護衛としてついていくでござるよ」
 「私も行くわ!それぐらいには強くなったもの!」
 「私も行くネ。科学技術が必要なら、私が適任ネ」
 夕映、楓、ハルナ、超が同行を主張。それにシンジも頷いてみせる。
 「シンジ!アンタのママに宜しくって伝えておいて!アタシは初号機には乗れないから、ここで足止めしておくから!」
 ブオンと方天画戟を振りかぶるアスカ。一方、アベルは足止めではなくシンジへの同行を選択し、シンジの肩に飛び乗る。
 「シンジ!子供達の事は任せとき!」
 「シンちゃん、頼んだわよ!」
 千草とミサトの激励が飛ぶ。それに頷くと、シンジは少女達を伴って初号機の隠し場所へと駆け出した。

 駆けていくシンジ達を見送りながら、一同は量産型エヴァンゲリオンに向き直った。爬虫類を思わせる不気味な姿。それが浮かべる笑みは、本能的な嫌悪を感じさせる。
 「さて、基本は同時多方面攻撃だったな?ぼーや!アスカ!お前達は隙を見て、背後からの攻撃役だ!お前達の速度なら、十分に回りこめるだろう!」
 エヴァンジェリンの言葉に、ネギが雷化で、アスカが赤兎に飛び乗る事で承諾してみせる。
 「他は足止め役だ!だが無理はするな!あの巨体だ、一撃食らえばアウトだと思っておけ!」
 「巨人と戦うのは久しぶりだぜ、楽しませて貰おうか!」
 「全力で行こう、クルト」
 「お前こそ力を出し惜しみするなよ、タカミチ?」
 それぞれがいつでも飛びかかれるように、攻撃態勢に入る。
 「私と古本、茶々丸で遠距離からの大火力で攻める!ジジイ、お前は陰陽師の小娘達と一緒にガキどもを守ってろ!あの巨体だ、流れ弾が飛んだだけで被害は甚大だぞ!」
 「ふむ、そうさせて貰うかのう」
 「ちょっと待ってよ!私は!?」
 名前を呼ばれなかったアスナが、心外そうに叫ぶ。ネギは呼ばれたのに、自分が呼ばれなかった事に不満を感じたのであった。
 「確かにお前の能力なら、奴のATフィールドは切り裂ける。だが世界を立て直したばかりだ。力がそれほど残ってはいない筈。無理はしないで下がっていろ」
 「む・・・」
 図星を刺され、アスナが渋々と下がる。
 「では」
 『行くぞ!』と続けようとした瞬間、エヴァンジェリン達の背筋に寒気が走る。次の瞬間、量産型エヴァンゲリオンの顔面の辺りがキラッと輝いた。
 耳をつんざくような轟音。まるで逆流した滝のように天に向かって駆けあがっていく土砂。少女達は悲鳴を上げるばかりで、状況を把握できない。
 「チッ!遠距離攻撃手段を持っているのか!破壊力は最上位魔法クラスと言ったところか!」
 本能に従って魔法障壁を張る事で、先制攻撃を凌いだエヴァンジェリンが苦々しげに呟く。
 「まさか、加粒子砲!?量産型に加粒子砲なんて武装、無かった筈なのに・・・そうか!SEELEの奴ら量産型を改造したのね!」
 「なるほど。麻帆良祭で見せたシンジの使徒としての実力に対抗する為に、強化したという訳ですね」
 「はっはあ!こいつは潰し甲斐があるってもんじゃねえか!」
 近右衛門と千草の障壁のおかげで、少女達と一緒に被弾を免れたミサトの叫びに、同じく障壁で凌いだ詠春や、純粋な肉体の防御能力で耐えきったラカンが爆煙の中から姿を現す。
 「ふむ、葛城君。加粒子砲じゃが、何か対策はあるかのう?」
 「ちょっと待って下さい!この煙を何とか出来ませんか?被害状況を把握すれば、何か分かるかもしれません!」
 「良かろう。風花風塵乱舞フランスサルタテイオー・プルウエレア
 強風が煙を吹き飛ばして、視界を明るくする。そしてそこに出現していたクレーターの大きさに、絶句した。
 直径は40m程、魔法使い達がいる場所だけは障壁等で破壊を免れているが、他は完全に抉られて無残な姿を晒していた。
 「・・・全くやってくれるわ・・・それで、何か分かったんか?」
 「この破壊力・・・みんな、気をつけて!今の加粒子砲、ひょっとしたら連射が可能かもしれないわ!」
 「連射が可能!?馬鹿な!最上位クラスの魔法と同等の破壊力を連射!?」
 「理論上はありえます!ラミエルクラスの加粒子砲なら単発でしょうが、クレーターはこんな物では済みません!山の1つぐらい余裕で消し飛んでいます!そうならないのは火力を調節しているからです!」
 ミサトの警告に、クルトが言葉を失う。
 「もしあの量産型が使徒としてのシンジ君を仮想的としているのであれば、大火力よりも手数で押し込もうとする筈です!シンジ君の使徒としての恐ろしい点は、過去の使徒の能力全てをコピーしている点なんですから!それを使わせない為には、防御よりも攻撃に回る必要が有ります!それには手数が物を言います!」
 その言葉を証明するかのように、更に光が煌めく。一方的な光の遠距離攻撃に、魔法使い達が歯噛みする。
 「仕方ない!お前ら!距離を詰めるぞ!ぼーやとアスカは作戦通りに動け!ジジイ達はここに残って防御に専念しろ!古本!お前はジジイがポックリ逝った時に備えて、念の為にここに残って防御に参加しろ!」
 「ふふ、防御は任せて下さい。それより、貴女達こそ油断はしない様に。敵は他にも攻撃手段を持っている可能性が高いですからね」
 アルの指摘に頷いた魔法使い達が行動を起こす。量産型との距離はかなり離れており、間合いを詰める間も加粒子砲の洗礼が降り注ぎ続けた。
 
 加粒子砲が降り注ぐ光景を目の当たりした少女達は、その戦争と言っても良い有様に呆然と見ている事しか出来ずにいた。
 そんな中、突如千雨が自分の頬を力一杯叩いた。
 「千雨ちゃん!?」
 「ちょっと黙っててくれ!葛城さん!あの量産型エヴァンゲリオン、動かしているのは人間なのか?」
 「・・・多分、ダミープラグね。人間をパイロットにするのは不可能ではないけど、それをするには時間が足りなさすぎるわ。シンちゃんクラスの才能がある子供なんて、そうゴロゴロ転がってる訳が無い物」
 「上等だ!それなら私の出番だぜ!」
 アーティファクト『力の王錫スケプトルム・ウィルトゥアーレ』を景気づけの様に振り下ろす。同時に電子精霊・千人長七部衆が姿を見せる。
 「「「「「「「ちう様!何なりとご命令を!」」」」」」」
 「てめえら!量産型エヴァンゲリオンのダミープラグをハッキングするぞ!」
 「「「「「「「了解です、ちう様!」」」」」」」
 『力の王錫スケプトルム・ウィルトゥアーレ』によって現れたキーボードを、凄まじい早さで叩きつけて行く千雨。
 「何つー硬さだ!MAGIの防壁も硬かったが、こいつはそれ以上だぞ!?」
 「手伝います、長谷川さん!」
 「頼む!こいつは私1人じゃ手に負えねえ!」
 ハッキングに心得がある聡美の支援を素直に受ける千雨。目の前に現れたキーボードを、千雨に負けず劣らずなスピードで叩いていく。
 「こっちは超が使っていた未来世界の技術まで流用してるっていうのに!」
 「私も力を貸すわ!キーボード、用意して!」
 電脳戦に参戦するミサト。3人がかりでのハッキングが続く中、ミサトの顔色がどんどん悪くなっていく。
 「ミサト!どうしたんや!」
 「この防壁、知っているわ!666プロテクト!現存する防壁プログラムの中で最強を誇るNERVの最後の防壁!SEELEの奴らなら持っていてもおかしくないけど、まさかこれを使っていたなんて!」
 「666プロテクト!?けど、それを使ったら外部との交信が不可能になるんじゃないか?」
 以前、MAGIの極秘情報を盗み見した事のある千雨は、666プロテクトについても知っていた。そしてその性能を知るが故に、外部との通信が不可能になる=外部からのコントロールが出来なくなる666プロテクトを量産型に使用するという事自体、信じられなかったのである。
 「問題無いわよ!量産型は自律兵器だもの!戦闘終了条件だけ決めておいて、後はコンピューター任せなのよ!それなら外部コントロールなんて必要ないでしょう!」
 「そりゃそうだが、滅茶苦茶だぜ!」
 「この防壁の突破は不可能ですね・・・長谷川さん、葛城さん!ここは目的を変えましょう!量産型を支配するのではなく、量産型の武装情報や身体能力だけを調べてネギ先生達に伝えるんです!666プロテクトの対象は中枢であるダミープラグだけの様に思われます!それ以外の部分になら、甘い所があるかもしれません!」
 聡美の提案に、頷く千雨とミサト。キーボードを走る指の速度は更に増していく。
 「・・・素体の能力は大差ないわね・・・多少、S2機関の性能が底上げされているけど恐れる程では無いわね・・・」
 「武装はさっきの加粒子砲があるな・・・やっぱり連射は可能みたいだぜ?」
 次々に丸裸にされていく量産型の情報。そんな中、聡美が首を傾げた。
 「葛城さん、これって分かりますか?サキエル・サンダルフォンって書いてあるんですけど」
 「サキエルにサンダルフォンですって?・・・まさか!」
 顔色を変えたミサトが、モニターに鋭い視線を向けながら一心不乱にキーボードを操る。やがて、ダンッ!と拳をキーボードに叩きつけた。
 「SEELEの奴ら、やってくれたわね!確かに理論上は可能だけど、まさかここまでするなんて!」
 「おい、何が分かったんだよ!」
 「奴ら、使徒の細胞を量産型エヴァンゲリオンに移植して、使徒の特性を量産型に植えつけていたのよ!サキエルの特性は加粒子砲と光のパイル!サンダルフォンの特性は外部からの高温・高圧に耐え抜く異常なまでの生命力なの!」
 ミサトが量産型に目を向ける。そこには両手から光のパイルを生やした量産型エヴァンゲリオンの姿があった。

アスカside―
 ミサト達が調べた情報は、近右衛門とアルの念話によってすぐに最前線へと届けられた。そして量産型が身につけていると思われる能力に、アスカが舌打ちする。
 「サキエルにサンダルフォンか・・・まあ、ミサトが伝えてくれるでしょうし、アタシはアタシのやる事をすれば良いわよね」
 方天画戟を振りかざしながら、赤兎を駆るアスカ。量産型が加粒子砲で攻める中、正面からラカンやフェイト、詠春らが猛攻を仕掛けている。
 「さあて、行くわよ!」
 量産型の背後から突撃するアスカ。それにタイミングを合わせるかのように、雷化したネギが空中から襲い掛かる。
 正面から激しい攻撃で注意を引きつつ、背後からの攻撃は足下と頭上からの2段構え。それがアスカ達の作戦であった。
 「でりゃあああああ!」
 咸卦法を使った状態での方天画戟が量産型のふくらはぎを、千の雷を装填したネギが右手に魔法の射手・雷の1001矢を装填した雷華崩拳を首筋を狙って仕掛ける。
 だが、背後からの奇襲攻撃は異様な手ごたえを2人に齎した。
 方天画戟も雷華崩拳も、確かに量産型の身体を抉っていた。だが量産型には、本来ならあり得ない装甲板が取り付けられていたのである。
 「これは弐号機と同じやつ!?」
 嫌な予感を感じて、咄嗟に赤兎を飛び退かせるアスカ。同時に加粒子砲が突き刺さり、大爆発を引き起こす。
 「サンダルフォンの特性に、弐号機と同じ12000枚の特殊装甲板!更にATフィールドって訳!?SEELEの奴ら、形振り構ってらんないみたいね!」
 量産型の防御能力の高さに苛立ちを感じながらも、アスカは隙を突いて攻撃を仕掛けようと赤兎を縦横無尽に走らせる。そんな時だった。
 『大きいのを放つぞい、タイミングを合わせて距離を取ってくれるかの?』
 近右衛門から届いた念話に、慌てて距離を置く一同。同時に、天から轟音とともに光の柱が降り注ぐ。
 「今のは衛星砲じゃない!一体、誰が?」
 茶々丸のアーティファクトを知らないアスカが、疑問を覚える中、更に追撃が続く。
 「ラカン・・・インパクトオオオオッ!」
 「「真・雷光剣!」」
 「七条大槍無音拳!」
 「地を裂く爆流カタラクタ・クアエ・ディーウィディト・テッラム!」
 「千の雷キーリプル・アストラペー!」
 次々に放たれる一撃必殺の波状攻撃。轟音とともに爆炎に包み込まれる量産型エヴァンゲリオン。更にそこへトドメの一撃が放たれる。
 「おわるせかいコズミケー・カタストロフェー!」
 絶対零度による破壊が量産型エヴァンゲリオンを爆炎ごと呑みこんでいく。この過剰なまでの攻撃の嵐に、アスカも勝利を確信した。
 そんな時だった。
 「WOOOOOOOO!」
 本能を刺激するような咆哮が轟く。同時に爆炎が吹き散らされ、量産型エヴァンゲリオンが再び姿を現した。
 「そんな!今のを耐え抜いた!?」
 驚きで声を無くすアスカ。それは他の者達も同じであり、必勝を確信したほどの猛攻だったからである。
 『みんな、聞こえる!?』
 「ミサト!?」
 『原因が分かったわ!ATフィールドが原因よ!あの猛攻の瞬間、量産型は3枚のATフィールドを同時に展開したのよ!恐らく、サキエルとサンダルフォンの因子を取りこんだ事により、ATフィールドの複数展開という能力を独自に獲得した可能性が考えられるわ!』
 近右衛門のサポートによって伝えられたミサトからの念話は、アスカ達を愕然とさせるだけの物があった。
 『でも諦めないで!量産型を潰す作戦はあるから!ネギ君、貴方の巨神殺しの槍が切り札よ!それで鳩尾にあるコアを一撃で貫くの!他のみんなは一斉攻撃を仕掛けて頂戴!』
 「そうね、確かにコアを潰せばこちらの勝ちだもんね・・・よっし!」
 気合いを入れる為に自分の頬を叩くと、アスカは再び赤兎を走らせた。

シンジside―
 ハルナ・夕映・楓・超・アベルとともに初号機奪還に向かうシンジだったが、当然の如くSEELE配下の護衛部隊との戦闘を余儀なくされていた。
 大半が銃火器をメイン武装とした者達で、魔法使いの数は0に近い。だが銃火器の火力は決して馬鹿には出来ない。
 結果、シンジは茶々丸セイバーを盾に、楓は身軽さを、夕映は戦乙女騎士団の完全武装を、超は未来世界の戦闘服を頼りに突撃していく。その後を炎の巨人を呼び出しながらハルナが続き、彼女の肩に陣取ったアベルが時折飛んでくる流れ弾をATフィールドで弾いていた。
 しかしSEELEの護衛部隊の数は多かった。事実、狭い通路に陣取られてしまうと、弾幕の為にシンジ達は足を止めざるを得ないのである。結果、シンジ達は予想よりも長い時間
をかけて進むしかなかった。
 「次の角を右です!ですが2番目のドアに、前を通ると発動する魔法の罠があるです!解除する間、時間を稼いでほしいです!」
 罠の存在も、シンジ達の足を止めさせる原因の1つであった。強行突破は不可能ではないが、万が一を考えると実行は出来ない。
 「・・・解除出来たです!」
 夕映の言葉に、待ちかねたように楓の巨大手裏剣が敵の前衛を薙ぎ払い、そこへ茶々丸セイバーと超、炎の巨人が切り込んでいく。
 防衛部隊を無力化させつつ進むシンジ達。だがゴールが存在する以上、前に進む限りは必ずゴールへ辿り着ける。
 やがて目の前に現れた、一際巨大な金属製のドア―
 「・・・ここですよ。パスコードを打ち込むです」
 ピピピッとコードを打ち込む夕映。やがてピーッという音とともに、ドアの向こうからゴウンッという妙な音が聞こえてきた。
 「今の音は?」
 「・・・いえ、私の世界図絵には何も書かれていないです。パスコードだけは書いてあるですが・・・」
 「注意して進もう。何があるか分からないからね」
 
SEELEside―
 ピーッという音が室内に響く中、ローレライは勝利を確信したように笑い声を上げていた。
 「馬鹿なサード・チルドレン!何も知らずに初号機へ向かうなんて!」
 SEELEは空中分解こそ起こしていたが、構成員は決して無能ではない。それどころか一度は組織崩壊を経験している分、用心深さを身に着けていた。
 「情報を制する者こそが勝利者!アーティファクトは恐ろしい力を秘めている。それは事実。でも手の内が分かっていれば、裏をかく事は不可能ではない。それを、身をもって理解してもらうわよ?」
 不気味にほくそ笑むローレライ。その右手には、夕映の写真が握られていた。
 「アーティファクト『世界図絵』。確かに恐るべき調査能力なのは認めるわ。その情報収集能力は、魔法図書館と同等であり、マホネットに更新された情報に応じて随時更新されていくという特性を持つ強力なアーティファクト。でも、裏を返せばマホネットに更新されない情報であれば、決して調査は出来ない事を意味する。それに気づいた時が、貴方の絶望が始まる時・・・」

シンジside―
 金属製のドアが開いた時、一行が気づいたのは鉄の匂いと焦げ臭い匂いだった。その正体に、楓がいち早く気づいた。
 「これは火薬でござるな・・・それから血の匂い・・・」
 無言でクナイを構える楓。他のメンバーも同じように警戒態勢に入る。
 暗闇に包まれていたドアの向こう側が、ゆっくりと光に照らされていく。
 最初に視界に飛び込んできたのは、巨大な紫の鬼神―エヴァンゲリオン初号機である。
 次に目についたのは、真っ白な床にぶちまけられた真っ赤な水溜り。そしてその中央に転がっている物体に気づいた瞬間、シンジが絶叫とともに飛び出した。
 それの正体に気づいた時、超と楓は言葉を失い体を竦ませた。ハルナと夕映は自身を襲った吐き気に耐えようと、手で口を押さえて必死で耐えようとする。
 水溜りの中央に転がる、栗色の髪をした女性の頭部。周辺には手足が散乱し、その断面は瞬間的な炎で焙られた跡があった。
 その頭部を、血で汚れる事も厭わずに、シンジが抱きしめる。
 「母さん!」
 物言わぬ女性の頭部。それはシンジの母、碇ユイの頭部だった。その顔は苦痛に歪む事無く、まるで眠り続けているかのように、静かに目を閉じて微かな笑みすら浮かべている。それは苦痛を味わう事が無かった証拠であり、僅かな救いでもあった。
 だがシンジは、何故こうなったのかを理解し、自分に怒りを抱いていた。
 ユイはSEELEの手によって、強制的にサルベージを受けて初号機の外へと取り出されていた事。これによりSEELEはシンジによって初号機が操縦される事を防ぐと同時に、初号機の無力化を狙っていた事。
 更にシンジへ精神的なダメージを与える為に、ドアが開くと同時にユイの体に仕掛けられた爆弾が起爆する仕掛けを施していた事。それを読み切れなかったシンジは、遅ればせながらに事の真相に辿り着いたのであった。
 「ゴメン!母さん、ゴメン!僕が・・・僕が奴らを甘く見ていたせいで!」
 「シンジさん落ち着いて!シンジさんは何も悪くなんかないよ!」
「ハルナの言う通りです!シンジさんのせいじゃないです!悪いのは世界図絵の情報を盲信してしまった私です!」
 嗚咽を上げるシンジに、ハルナと夕映が抱きついて叫ぶ。だがシンジの慟哭は止まらない。それどころか自らの顔に爪を立て、肉が裂けていくのを承知の上で搔き毟る。
 この行動に、さすがに見かねた楓と超が介入した。
 「落ち着くでござるよ、シンジ殿!」
 「正気に戻るネ!シンジサン!」
 楓が腕力に物を言わせてシンジの両手を止めた所へ、超が全力でシンジの頬を叩く。景気の良い音に、シンジの目に弱々しい光が戻った。
 「シンジサン、母親を失う苦しみ。自分の失策で母親を殺した自責。その辛さは私には理解できない重みヨ。けど、敢えて言わせて貰うネ。今のシンジサンがやる事は、そこで母親を抱いて泣く事なのカ?」
 「・・・超さん・・・」
 「・・・違う筈ネ。その答えは、言われずとも理解している筈ヨ?」
 シンジの視線が、胸に抱かれたユイの顔に落ちる。ユイは無言のまま、静かに微笑んでいた。
 まるでシンジに再会出来た事を喜んでいるかの様に。大きく成長したシンジを祝福するかの様に。
 「シンジさん、私を責めるですよ。私に全ての責任があるですよ!」
 夕映がボロボロと涙を零しながら、全身を震わせてシンジにしがみつく。
 「・・・おでこちゃんは何も悪くない。奴らを甘く見た、僕のせいだ」
 静かに立ち上がるシンジ。その瞳が焦げ茶色から、徐々に真紅へと変化していく。そのままシンジは、ポケットから仮契約カードを取り出した。
 「シンジさん?」
 「みんな、下がってて。今のままでは初号機は動かせない。魂を失った今の初号機に乗り込めば、乗り込んだ者は初号機へ取り込まれてしまう」
 「で、ではどうするというのでござるか!」
 「・・・僕が使徒に戻る」
 その言葉に、楓が目を見開く。ハルナや夕映も言葉を失い、超は握りしめた拳を震わせていた。
 「カヲル君の力―エヴァとのシンクロ率を自由に調整出来る力を使えば、取り込まれる事は無い筈だから」
 「ダメだよ!そんな事したらシンジさんが!」
 「・・・良いんだ、覚悟は決めているから。僕は大量殺戮者だ。いつかは罪を償わないといけない事ぐらいは理解していた。その時が来ただけだよ」
 「「ダメ!」」
 ハルナと夕映がシンジの前に行かせないとばかりに立ちはだかる。
 「それだけはダメ!お願いだから、これ以上自分を責めないで!」
 「きっと、きっと他に方法があるですよ!」
 「・・・そんな都合の良い物は無いんだ。何かを得るには、何かを犠牲にしなきゃいけない。それが現実なんだよ・・・アベル!何をしているんだ!」
 急に顔色を変えたシンジに、慌てて視線を向ける少女達。その先には、エントリープラグの上に立つアベルがいた。そしてその足元には、エントリープラグの搭乗口がポッカリと口を開けている。
 「アベル!止めろ!」
 アベルの思惑に気づくシンジ。少女達も遅ればせながら、アベルの思惑に気づく。
 「アベル、止めて!」
 「アベル、それだけは駄目ヨ!戻てくるネ!」
 「GRWWWW・・・楽シカッタ・・・マスター・・・ハルナ・・・」
 初めて言葉を話したアベル。シンジ達が力づくで取り押さえようとするが、それよりも早くアベルが初号機にエントリーしてしまう。
 ブオンと音を立てて初号機の両眼が緑に輝く。それは初号機が稼働可能になった事を意味する物であると同時に、同時にアベルが初号機に取り込まれた事を意味していた。
 「アベル!」
 再び、エントリープラグが外へと排出される。同時に、シンジに初号機へ乗れと言わんばかりに搭乗口が口を開いた。
 「畜生・・・畜生!」
 (・・・行きなさい、シンジ。貴方には守るべき存在があるのでしょう?)
 ハッと振り向くシンジ。そこにいたのは、半透明に透けているユイの姿だった。
 (・・・シンジ、大きくなったわね・・・母さんの最後のお願い、聞いてくれる?)
 「母さん・・・何でも言ってよ、母さんのお願いなら何でも聞くよ!」
 (・・・幸せになりなさい。母さんの望みは、貴方の幸せなの。いつか貴方が天寿を全うした時、母さんに幸せだったよ、そう言える様な人生を送ってほしいの。約束出来る?)
 母としての慈愛に満ちたお願いに、シンジは素直に頷く。そんなシンジから、ユイが視線をずらした。
 (早乙女さん、だったわね。アベルの中に眠るシンジの記憶を覗かせて貰ったわ。シンジを好きになってくれてありがとう)
 「は、はい!今はまだ振り向いて貰えないけど、必ず振り向かせてみせますから!」
 顔を赤く染めたハルナに、ユイがクスッと笑う。
 (夕映ちゃん。可愛くなったわね。シンジが意地悪しちゃってゴメンね。今度意地悪してきたら、遠慮なく引っ叩いてあげて良いから。私が許すからね)
 「・・・分かったです。今度意地悪されたら、全力でぶん殴るですよ!」
 グイッと拳を握りしめて、必死で涙を堪える夕映に、お手柔らかにね、とユイが返す。
 (楓ちゃん。紅葉さんソックリの美人に成長したわね。シンジの事、お願いね)
 「任せるでござるよ、ユイ殿。甲賀忍びの一員として、シンジ殿は必ず守るでござる」
 深々と頭を下げる楓に、ユイは『早く気づかないと出遅れちゃうわよ?』と慈母の笑みを浮かべつつ返す。
 (超さん。貴女はシンジの心の闇に共感してくれた。それがどれだけシンジにとって救いだったか、母としてお礼を言わせて下さい。本当にありがとう)
 「礼の言葉などいらぬヨ。シンジサンも私の闇に共感してくれたのだからネ」
 超の言葉に満足そうに頷くと、ユイは音を立てる事無く、スッと静かに消えた。

アスカside―
 少女達を巻き込まない為に、量産型エヴァンゲリオン相手に距離を詰めていたアスカ達。だが量産型はプログラムにそう指示されていたのか、無力な少女達への歩みを止める事は無かった。
 このままでは最悪の事態を招きかねない。
 少女達と量産型との距離を目測で測りながら、アスカは賭けに出るべきと判断し、残り全ての力を身体強化へと注ぎ込んで短期決戦勝負に打って出た。
 「でえりゃあああ!」
 感卦法で強化した一撃を、威勢の良い掛け声とともに叩きこむアスカ。よろめいた量産型に、接近戦を得意とするラカンや詠春、クルトやヘルマンが一斉に攻撃を仕掛ける。
 対する量産型はATフィールドで攻撃を防ごうとするが、多方面同時攻撃を前にATフィールドを3枚とも使いきってしまう。そこへネギとエヴァンジェリンの主従コンビがトドメとばかりに攻撃を仕掛けた。
 「断罪の剣!」
 エヴァンジェリンは敢えて、弱点のコアではなく頭部を狙って攻撃を仕掛けた。量産型は反射的に腕で顔を庇おうとする。そこを狙ってネギが攻撃を仕掛けた。
 「巨神ころしティタノクトノン千雷召来キーリプレーン・アストラペーン・プロドゥカム千磐破雷チハヤブルイカズチ
 切り札を使うネギ。体内から過剰なまでの破壊力をコアへ一点集中された量産型が、断末魔の叫びを上げながら大地に崩れ落ちる。
 「や、やったの?」
 量産型1体を倒すのに、ネギ達は魔力も気も半分近く消費させられていた。それほどまでに改良された量産型は手強かったのである。
 「・・・おい、けが人はいるか!いるなら木乃香に治療してもらえ!時間はそれほどないぞ!」
 エヴァンジェリンの警告に、視線を向ける一同。その先には、遠くに浮かぶ複数の影があった。
 その影が意味する所に気づいた少女達が、絶望に囚われ始める。英雄達も絶望的なまでの戦力差に、敗北を覚悟した時だった。
 (・・・久しぶりね、エヴァンジェリン)
 突然聞こえた声に、目を向けるエヴァンジェリン。そこにいたのは、15年振りに見た人影だった。
 「ユイ!何でお前が!それに、その姿は!」
 (ごめんなさいね、私はSEELEに殺されてしまったの。もう初号機に宿って、力になってあげる事も出来ないの)
 「SEELEに殺されただと!?」
 驚きの声を上げるエヴァンジェリン。だがユイはそれに答える事なく視線を外す。
 (・・・近右衛門伯父さま、詠春さん、アルビレオさん、剣さん、シンジの事をお願いします。私はもう、私がお腹を痛めて産んだあの子を守ってあげられないから)
 「ユイ君!」
 (あの子を支えてあげて下さい。あの子は自分のせいで私が死んだと思い込んでいるのです。どうかお願いします)
 一礼するユイは、現れた時よりも薄れてきていた。そんな状態でありながら、ユイは千草とミサトに目を向ける。
 (千草ちゃん、綺麗になったわね。こうなってしまった身だからこそ、言えるわ。貴女のご両親は、貴女が幸せになってくれる事を願っている。だから、幸せになってね)
 「ユイはん・・・おおきに・・・ユイはんはウチにとってもお母はんやった・・・」
 千草の眼尻から零れ落ちる滴。
 (ミサトちゃん、美人になったわね。お母さんに似たのかしらね・・・シンジの事、守ってあげてね)
 「は、はい!」
 軍人としての身についた習性か、思わず敬礼するミサト。
 (木乃香ちゃん。シンジは不器用な子だから、それとなく支えてあげてね。あの子は何でもかんでも抱え込んだ挙句に、全部自分のせいにしちゃう子だから)
 「分かったえ。お兄ちゃんの事は心配いらへんからな」
 (桜咲さん。シンジを好きになってくれてありがとう。あの子を思いっきり引っ張り回してあげてね)
 「はい、シンジさんの事は任せて下さい!」
 仲の良い2人の少女に微笑むユイ。そして最後に、ユイはアスカへと目を向けた。
 (アスカちゃん、赤ちゃんだった頃は可愛かったけど、今は綺麗になったわね。ずっとシンジを支えてくれてありがとう)
 「ちょ、ちょっと!貴女が消えちゃったらシンジが!」
 アスカの叫びに、ユイは心底辛そうに顔を歪める。
 (もう、託すしかないの。私に出来るのはそれだけだから・・・あの子を救ってあげて)
 スウッと静かに消えて行くユイ。その後には、存在を示す様な痕跡は1つも残っていなかった。
 そんな中、迫りくる量産型を睨みつけながらミサトが呟いた。
 「・・・ユイさんの言葉が真実なら、ユイさんはSEELEに殺されたのね。恐らくは、シンジ君の心に傷を負わせ、初号機を無力化させる為に・・・」
 話を聞いているしかなかった少女達から、嗚咽が漏れだす。何が起こったかは分からずとも、シンジが目の前で母親を殺されたという事実と、そんな息子を救う事が出来ないユイの悲痛さは理解できた。
 「許さへん・・・許さへんで!」
 「マスターの母君を害したからには、それ相応の報いを受けて貰うとしようか」
 「SEELE・・・許しはしません」
 千草・ヘルマン・詠春が怒気を全身に漲らせる。飛来する量産型の姿は、かなり細部まで確認出来る距離にまで近づかれており、3人が先制攻撃を仕掛けようとした時だった。
 突如、響いた耳を劈く様な轟音。
 「何だ今のは!爆発音ではないな、声か?」
 「・・・マスター。99.8%の確率で、何らかの生き物の吠え声であると推定されます。皆さん、大地に伏せて下さい。衝撃波が来ます」
 茶々丸の警告に、慌てて地面に伏す少女達。近右衛門達は障壁を張って、被害を食い止めようとする。
 次の瞬間、衝撃波が周囲一帯を薙ぎ払い、障壁諸共一行に襲い掛かった。
 「「「「「「キャアアアアアア!」」」」」」
 「全員、障壁に全力を注ぐのじゃ!」
 「・・・これは、とんでもない破壊力ですねえ」
 衝撃波は一行だけではなく、空中を飛来していた量産型エヴァンゲリオンにも襲い掛かっていた。真横からの衝撃に、量産型は吹き飛ばされ不時着を余儀なくされる。衝撃波の威力はそれだけに止まらず、墓守人の宮殿を取り巻いていた魔力の乱気流までも根こそぎ吹き飛ばしてしまっていた。
 「一体、今のは?」
 「・・・ミサト!あれ!」
 「・・・そんな!まさか、そういう事なの!?」
 アスカとミサトが、ある一点を凝視したまま言葉を失っていた。全員がそれに倣い、同じ方向を見て言葉を失う。
 暗闇の中、巨大な物体が浮かんでいた。ぼんやりと光る、雲を貫くほどに巨大な2対4枚の葉脈状の翼。闇の中に浮かぶ、本能的な恐怖を誘う真紅の両眼と、裂けた口。
 「「な、何あれ!」」
 同時に叫ぶ双子姉妹。その顔には恐怖が浮かび、2人で寄り添って震えている。その横ではチア部3人娘と、運動部4人娘が同じように固まって震えていた。ネギと行動を共にして、魔法世界で修羅場を潜って来た少女達も、全身を細かく震わせて、何とか寄り添い合いながら立っているのが限界という状況である。
 「・・・汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン初号機。シンジ君の操る機体よ」
 「なあ、葛城さん。1つ訊きたいんだが、どう見てもコントロール出来ている様には見えないんだがな」
 咆哮を上げ続ける初号機の姿に、比較的冷静さを保っていた千雨が口を開く。
 「それはそうよ。ハッキリ言ってしまえば、エヴァは完全なコントロールなんて不可能なの。毒を持って毒を制す。それがエヴァの基本コンセプトなんだから。エヴァを操るには、自らが心を開いて語りかけないといけないの」
 「ちょっと待ってや!お母さんを殺されたばかりのお兄ちゃんに、そんな事が出来るんか!?」
 「無理ね。だから暴走してるのよ」
 木乃香の言葉に返されたアスカの答えに、一同は眼を丸くした。
 「近衛理事長!この場にいる全ての魔法使いを防御に回して下さい!前線に出せば、シンジ君の足手まといになります!」
 「葛城君!?」
 「事実です!暴走した初号機は、それだけの戦闘力を発揮するんです!それどころか、シンジ君が怒りにかられていることも容易に想像出来ます!間違いなく、全ての量産型が破壊されるまで、シンジ君は見境なく暴れます!本来のあの子は、理事長達が知るような沈着冷静な性格ではありません!感情のままに暴れる狂戦士なんです!」



To be continued...
(2013.01.26 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回ですが、まあ色々とツッコミ所満載です。特に量産型強すぎw旧劇版では量産型は再生能力があった為に、他のエヴァの様に装甲を持たないという設定があったのですが、それを変更してみました。使徒の細胞移植による能力植え付けも含めて、SEELEにしてみれば、使徒化したシンジ対策としては、妥当な選択肢だとは思うのですが。
 またユイの強制サルベージ&爆死についてはSEELEの一石二鳥作戦です。初号機のシンクロ不可による出撃阻止&シンジへの嫌がらせが目的です。まあ初号機手に入れたら、確実に実行する作戦だろうなあ、と思いながら書いたんですが・・・どうでしょうか?
 話は変わって次回です。
 アベルを取り込んだ初号機に乗り込んで、戦場へと舞い戻ったシンジ。母ユイを失った怒りと悲しみのままに暴れ狂うシンジは、圧倒的な戦闘力を発揮する。
撃破されていく量産型。だが感情のままに暴れ狂うシンジは気づかなかった。
SEELEの用意していた、初号機撃破の罠に。
そんな感じの話になります。
それでは、また次回も宜しくお願い致します。



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