第二話
presented by 紫雲様
新たな政策が実施されてから半年後、洛陽宮廷内―
「反董卓連合、ねえ」
華北の太守を務める袁紹によって、中華全土に送られた檄文。それは洛陽に居座り、皇帝陛下が幼い事を良い事に、暴虐の限りを尽くす董卓一派を討つべし、と言う内容の物であった。
袁紹曰く『歴代皇帝の墳墓を暴いて金銀財宝を奪い、洛陽の市民を連れ去り強制労役に就かせている』という主張なのだが―
「全く虚偽とは言えないから厄介なのよ。ある意味事実だし」
コメカミをグリグリ押えながら呻いているのは詠である。
と言うのも、新たな政策に必要な資金源。それを歴代皇帝の墳墓を暴いて資金面を工面したと言うのが事実だからである。
更には函谷関での開墾希望者が殺到したと言うのも理由の1つである。中には1年分の食糧を得られたらトンズラ、という不埒な考えを持つ者もいたが、それは詠の判断で未然に防がれている。
それは毎日開墾に励んだ者にのみ、開墾の拠点で食料を渡す、と言う方式を採った為である。これにより真面目に開墾する者だけが残ったのだが、傍目に見れば強制労役と見えない事も無いのは事実である。
希望者だけとは言え、その場から逃げ出せば飢え死に確定なのだから。
「でもさ、こんな馬鹿な話、信じる奴がいるの?」
「それがかなりの数に上るらしいわ。各地に送り込んでいる細作の知らせだから、これは間違いない。近日中に攻め寄せてくるのは確定よ」
頭を悩ますのは軍師である詠と音々音。どう足掻いても、事態を引っくり返すだけの妙案を思いつく事が出来ないからである。
「情けない・・・僕は自分が情けないわ・・・月達は僕達の為に力を尽くしてくれていると言うのに・・・」
「いえ、劉協様には何の罪もございませぬ。全ては十常侍と彼らを制御しきれなかった臣の不徳が原因でございます」
「・・・十常侍?初めて聞いたけど、どんな奴らなの?」
「権力に固執していた、無能極まりない、足を引っ張る事しか出来ない宦官どもです。もう奴らは死んでいるので、気にする事はありませんが」
まるで吐き捨てるように応える音々音。よほど嫌っているのか、顔には不愉快そうな表情が浮かんでいた。
「無能な宦官ねえ・・・本当に無能なのかな?」
「シンジ?」
「無能が上に上がれるほど、王宮は甘い場所なの?少なくとも、何らかの取り柄はあったから、その地位にまで登れたと思うんだけど」
ピクンと反応する詠。
「・・・奴らの取り柄は謀略よ。兵を使わず、権力と金を使い、我が物顔で王宮を支配していたわ」
「謀略か。まるで父さんみたいだな・・・ん?」
頭の片隅浮かんだのは、兄と慕った男。何故、彼が浮かび上がったのか。それが偶然とは思えず、必死にその理由を探ろうとする。
「・・・まさか・・・すぐに洛陽の街の警備責任者に会わせて!大至急、調べる事がある!」
「良いわ、誰か!すぐに町の警備責任者を呼びなさい。確認したい事がある、と」
詠の指示に従い、女官が姿を消す。しばらく経つと、女官に連れられて1人の男が姿を見せた。
「市中の警備責任者を務める李 傕と申します。お呼びに従い、参上致しました」
「陛下の侍従を務める聞です。確認したい事があるのですが、市中で身元不明―正確には家族などの引き取り手のいない、何者かに殺された遺体が、最近だけで急に増えている事はありませんか?」
「お、仰る通りです。実はここ半年ほどの間に、既に数えるのも馬鹿らしくなる程の遺体が発見されております。家族等の引き取り手もいない為、そのまま埋葬したのですが」
自分は何かミスをしたのだろうか?そう不安に陥る李 傕。そんな彼を余所に、答えを導き出したのは詠であった。
「シンジ。その遺体は、恐らくは他国の細作ね?その目的は諸侯達に正常な判断をさせない為に、目を奪う事に有った・・・」
「多分ね。有能な人物であれば、間違いなくスパイ―細作を放って情報を集める。でも、その情報が来なくなれば?当然、その人達は疑念を抱くよね。口封じされたのでは?洛陽の実情を伝えられると都合が悪いのでは?みたいにさ」
「野心あれば、これ幸いと私達を踏み台に。忠義あれば、不忠の臣を討つべしと怒りを胸に・・・確かによく出来た謀略です。しかし、それならば首謀者は誰でしょうか」
「単純に考えれば袁紹なのです。檄文だって、袁紹が犯人だと分かれば納得できます。けれども袁紹は馬鹿正直。ハッキリ言って謀略とは無縁なのです」
「・・・それについてはしっかり考える必要があるだろうね。李 傕さん、出来れば今後、同じような遺体が出てきたら、細作らしい痕跡がないか確認して報告を下さい。用件は以上です」
「は!ご命令、承りました!」
遠ざかっていく足音。それが消えた所で、ねねが口を開く。
「それにしても、良く気づいたですね」
「僕の知り合いが、それらしい事を仕事にしていたんだよ。当時はガキだったから気付かなかったけど、今にしてみれば『あ、そういえば』って感じだったな」
「幸運も実力の内よ。それに、シンジのおかげでもう1つ重要な事に気付いたわ」
詠の言葉に、一斉に視線が集まる。
「黒幕は洛陽市中、或いはその近辺に隠れている。だから、細作暗殺なんていう繊細な仕事をやってのける事が出来ているのよ。でもそうと分かれば、今度はこちらが追い詰めてやるわ。ボクを甘く見た事を後悔させてやるんだから」
「・・・と言う事になったよ。僕は暫く洛陽を留守にするから、宜しくね。張遼将軍」
「ちと待ちいや、シンジ。ウチは霞や。詠達が真名を許した以上、ウチも華雄も真名を許すのが筋っちゅうもんや」
酒を瓶ごとラッパ呑みしながら、シンジを嗜める霞。そんな彼女の前でシンジが苦笑いする。
「で。シンジ、ここへ来た用件は何や?」
「近々、戦が起きるだろうから準備を頼むよ。戦場は」
「汜水関、やろな。防衛線の常道や。あれだけ有利な地理を捨てる理由なんてあらへん」
騎馬による電撃戦を得手とする霞だが、騎馬に乗らずとも十分に強い。それは機動力等無きに等しい拠点防衛戦でも同様である。
「詠は主将に君を、補佐として雅さんを付けるつもりだよ」
「ま、妥当と言えば妥当やな・・・あの猪を押えるには、他に方法なんてあらへんし」
「詠も言ってたけど、本命は虎牢関だから。だから詠も死守しろなんて言わないよ。適当に時間を稼げ、だろうね」
「了解や。丁度良い機会やし、新兵多目に連れてって、弓の扱いを実戦で学ばせたるかな」
『明日からヒヨッコどもを扱いたるか!』とやる気満々な霞。そんな霞にシンジがクスクス笑う。
「そうそう。実は頼みたい事があるんだ。霞や雅さんの部隊で、どうしても臆病で兵士として失格、って言う人がいたら回してくれないかな?いなければ新兵でも構わない。30人ぐらいいると有り難いんだけど」
「さすがにウチが鍛え取る中に臆病者はおらへんなあ。でもまあ新兵から回すぐらいなら問題はあらへんで」
「そっか、じゃあ僕が戻って来るまでにお願いするよ。あとその人達に、ここに書かれている通りの事をやるように伝えて欲しいんだ」
差し出された竹簡に目を通す霞。しかし中身を見ても、シンジが何をしたいのかサッパリ分からず首を傾げるばかりである。
「ま、良いわ。任せとき!」
「ありがと。じゃあ僕も行ってくるよ・・・西平まで」
数日後―
慣れない馬に揺られながら、シンジは連れとともに西平を目指していた。途中、長安によりながら情報を集めつつ、目的地へと向かう。
相手が想像以上の行軍速度で進軍している事に驚きながら、シンジは更に馬を飛ばす事で、目的の集団を見つける事に成功していた。
「あれか・・・準備は良い?叶」
「う、うむ。民の、月達の命が懸っておるのだ。臆病風等に吹かれたりはせんぞ!」
「ふふ、気を楽にすれば良いよ。叶の出番は最後だからね」
そのまま気軽に、野原に設置された陣へと向かうシンジ。すると、当然の如く見張りの者達に見つかり、誰何を受けた。
「私は洛陽において少帝陛下の侍従を務める聞と言う者です。こちらは従者の叶。少帝陛下より、漢王朝の忠臣である馬騰将軍への密書をお持ち致しました。大至急、お取次ぎをお願いしたい」
驚いたのは兵士達である。1人が血相を変えて報告に向かう間、シンジは叶とともに地面へ降り立って、馬騰が姿を見せるのを待っていた。
やがて足音も荒く、40代前後と思しき凛々しい女性が、2人の少女とともに姿を見せる。
「私が馬騰だ。陛下よりの密使と伺ったが?」
「初めまして。私は少帝陛下にお仕えする、侍従の聞と申します。後ろに控えているのは、従者の叶と申します」
シンジの言葉に、馬騰は『奥へ参られよ』と自ら陣内を先導していく。
やがて一番中央にある、一際大きな天幕の中へと案内された。
「では、陛下よりの密書を拝見させていただこうか」
「こちらに」
恭しく差し出された密書に目を通していく馬騰。その内容に、軽く考え込む。
「・・・仲穎・・・あの子が暴政を敷くなんて耳を疑った。細作が戻ってこなかったから、盲信は危険かと判断していたんだが・・・」
「董卓殿の事をご存じで?」
「無論さ。何せ領地が隣なんだ。襁褓が取れない頃の仲穎とも会った事がある。あの子はもう覚えていないだろうけど、私の膝の上でご機嫌のあまり真名を教えてくれるぐらいにな」
「なるほど、あの子らしい」
クスリと笑うシンジと馬騰。
「それで、私に何をお望みかな?連合軍を背後から討てば良いのかな?」
「いえ、そのまま何食わぬ顔で連合軍に協力してあげて下さい」
「・・・何を狙っている?」
発言に驚いたのは馬騰だけではない。この場に同席を許されていた娘の翠や姪の蒲公英も同様である。
「・・・馬騰将軍。漢の忠臣ではなく、この大地に住む1人の人間としてお答えいただきたい。この窮地を乗り越えた先に、漢王朝の繁栄は有ると思われますか?」
とてつもない爆弾発言に、顔色を変える馬騰。その背後では『何て暴言吐いてんのよ!』と顔色を青くする翠と蒲公英がいる。
「・・・使者殿。この場で我が刃で討たれる覚悟有り、そう判断させて貰うぞ」
「死ぬ気なんてサラサラありません。貴女の疑問に答える必要があるから応じたまでの事。にも拘らず、暴力で応えると言うのであれば、名将馬騰の名は地に落ちたも同然。所詮は名ばかりという所でしょう」
「面白い、そこまで暴言を吐くか・・・ならば冥土の土産に応えてやる。漢王朝は・・・潰れる」
「母上!?」
「だが!我らは最後まで漢王朝に忠義を尽くす!それが馬一族の誇りだからだ!」
剣先をシンジの喉元に突き付ける馬騰。その顔は憤怒に彩られている。
一方のシンジはと言えば『不動明王ってこんな感じなのかなあ』と呑気な事を考える始末であった。
「・・・漢王朝の滅びを免れる事は不可能です。民心の離反、宦官達の専横、黄巾族の乱における官軍の不甲斐無さ、もはや手遅れです。形あるものはいつかは滅びる。殷王朝が滅んで周王朝が成り立ったように」
「貴様ああ!」
「だからこそ、私は陛下や殿下、月達を守らなければなりません。何の罪も無い彼女達を、戦火の犠牲にする訳にはいかないからです」
喉元に突き刺さった剣先から、朱い滴が滴り落ちる。
「民が平穏に暮らせる平和な世の中。少帝陛下や劉協殿下はそれに邁進していらっしゃる。しかしながら、誰もがそれを信じられる訳では無い。そして今の御二人の傍には、理想を同じくする者がいる」
「・・・それが仲穎だと言うのか」
「そうです。彼女であれば、御二人の想いを、理想を、より綺麗な形で実現してくれる。そう信じています」
「ここで貴様を殺すのは容易い。だが陛下への忠誠に偽りは無いようだ。ならば陛下の盾となって貰う為に、お前を殺すのは止めておこう」
軽く剣を振って鞘へ納める馬騰。後ろにいた翠や蒲公英もホッと溜息を吐く。
「それで本題に戻ろうか。お前は私に何を望む?」
「連合における各地の諸侯達の人物鑑定をお願い致します。同時に首謀者袁紹が、本当に自らの意思で立ち上がったのかどうか、それらの確認です」
「・・・袁家の小娘が踊らされている、と言うのか?」
「私どもの判断では、と言う但し書き付きですがね。あとは諸侯の中で信用出来る者がいるのであれば、その者達と一緒になるべく兵を損なわない様に立ち回って下さい。騎馬兵だから攻城戦は向かん、とでも言えば平地戦―汜水関から虎牢関の間での露払いに回される筈。その時にはこちらが立ち回ります。そして私達は虎牢関を最終決戦の場と考えております。故に、その時までは何食わぬ顔で行動をお願いします」
ふむ、と考え込む馬騰。頼まれごととしては非常に容易い問題である。ハッキリ言ってしまえば、デメリット等欠片も無い頼み事。だからこそ、馬騰は本当に信じるべきかどうかを悩み―口を開いた。
「・・・後ろの少女よ。そなたも王宮に勤める身かな?」
「わ、私は聞様の従者でしかありません。王宮等、とても恐れ多くて」
「だが仲穎に会った事はあるだろう。彼女は君の目から見て、どう見えた?」
「・・・とても優しい人です。そして、いつも自分を犠牲にして、大切な物を守る為に立ちはだかる強い人です」
その言葉に満足気に頷く馬騰。同時に勢いよく膝を地面に着いてみせた。
「数々の御無礼、申し訳ございません。殿下」
「は、母上!?」
「翠!蒲公英!皇帝陛下の御姉君劉協殿下の御前である!無礼な真似をして恥をかかせるでない!」
強く叱責されて、慌てて習う2人。一方のシンジや叶は、呆気に取られて声も無い。
まさかバレルとは欠片ほどにも想像していなかったのだから当然である。
「殿下、馬一族は漢王朝に忠誠を尽くす所存。しかしながら、殿下もまた、この者と同じく王朝が終わりを告げるとお考えなのですか?」
「・・・馬騰将軍。僕は攫われたのじゃ。皇室の一員たるこの僕が、十常待らによってな。ここにおるシンジのおかげで窮地を救われたが、それでも僕が攫われたという事実が翻る事は無い。僕は何とも情けない皇族よ。我が身も守れず、宦官の暴走を止める事も出来ず、民に不安を撒き散らす。漢王朝が終わりだと言われても、最早否定など出来はせん。だが」
協の視線がシンジに向けられる。
「シンジはそんな僕に救いを与えてくれた。僕に何が出来るのかを教えてくれた。僕に世界の真実を教えてくれた。馬騰、信じられるか?僕は、身分を隠して戦で死にかけた者達の療養所に向かい、そこで1日だけだが働いたのだ」
「真でございますか!?」
「今でも忘れられぬ。僕の腕の中で亡くなった兵士は、僕に娘を見ておった。娘に看取られるようだ、そう感謝しながら冷たくなったのじゃ・・・だから僕は、少しでも世の中を良くする為に働こうと決めた。例えそれが漢王朝の滅亡に繋がるとしても、僕は自分が感じた物を諦めたくはない」
馬騰の前に歩み出る叶。その手をそっと握る。
「馬騰。僕達に力を貸してくれ。僕達は無益な争いを繰り広げたくはない。本当ならば娘と幸せに暮らしていたであろう、あの兵士の様な者達を生み出したくはない。その為に、少帝の姉ではなく、劉協に力を貸して欲しいのだ」
「は!仰せのままに!」
「うむ。その、ところでな・・・少々相談したい事があるのだが・・・」
チラチラとシンジを見る叶。その態度に、ピンとくる馬騰。
「翠、蒲公英。2人は侍従殿を天幕にご案内して差し上げろ。陛下は私の所に御泊めいたす」
「分かりました。侍従殿、どうぞこちらへ」
足音が遠ざかる。それを確認した所で、フウッと溜息を吐く協。
「それで、ご相談とは先程の侍従殿についてですかな?初恋とお見受け致しましたが」
「な、何でそれを!?」
「でしたら偽名には注意なさって下さい。真名を偽名に使う等・・・殿下の真名、幼い頃の殿下から聞かされた事があるのですよ?この私は」
瞬間、カーッと顔を赤らめる叶。まさかそんな所からバレルとは思いもよらなかったらしい。
「それで、何がご不安なのでしょうか?」
「シンジはの、いずれは旅立たねばならんのだ。シンジがこの地にいるのも、あくまでも師匠から出された試験の為。それが終われば・・・だが馬騰。僕にはこの様な事を相談できる者はおらんのじゃ。月や詠、霞やねねもおるがこればかりは相談出来ん。特に月と詠には」
「・・・もしやあの2人も?」
「言葉にこそ出しておらんが、2人を見ていれば分かる。シンジは職務中に茶の差し入れをしてくれるのだが、シンジが出て行った後、2人の姿が・・・」
おやおや、と内心で必死に笑いをかみ殺す馬騰。幾らなんでも、ここまで凸凹な多角関係は無いだろうと呆れながら。
「分かりました。ではその辺りについて、食事でも摂りながらゆっくりご相談に乗らせて頂きましょう」
「でも、冷や冷やしちゃったよ。まさか馬騰様に対して、あんな大暴言吐く人がいるなんて思わなかった~」
後頭部の後ろで両手を組みながら、言葉とは裏腹に楽しそうな口調で喋りながら歩いているのは蒲公英である。その後ろには同感とばかりに頷く翠が続いていた。
「ん~でもなあ、あれぐらいで首を刎ねられる事は無いよ。それが名将と呼ばれる程であればね」
「だからって、普通、それを実行に移すかなあ?」
「勝算があるのなら、それぐらいの博打は打つさ。馬騰将軍は西涼の地を治めているから、中央にはあまりいない。でも、中央には将軍の事を良く知る人物もいるんだ。彼らから将軍の為人を聞いておいたから、自信をもって当たれただけだよ」
「へえ、誰なの?馬騰様の事を知ってる人って」
「盧植将軍という人なんだけど、知ってるかな?白馬長刺公孫瓚将軍の師匠に当たる人だね。黄巾の乱で手柄を上げたのに、十常侍の暴走の煽りを喰らって牢屋に放り込まれていたんだよ」
『あんなに優秀な人を投獄するなんて、何考えてんだか』と肩を竦めるシンジ。
「本当なら将軍にも手伝って欲しかったんだけど、牢獄生活が続いたのと、高齢が理由で無理強い出来ないのが辛い所なんだよね」
「ふうん、聞様も大変なんだねえ」
「様なんて付けなくて良いよ。僕はただの若造に過ぎないし、今の立場にいるのも殿下のお気に入りという理由だけだから。シンジって呼び捨てで良いよ」
「そうなの?それじゃあ、これから宜しくね、シンジ。私の事は蒲公英って呼んで♪」
シンジの腕を抱え込みながら、上機嫌になる蒲公英。そのままクルッと顔だけ後ろへ向ける。
「お姉様は自己紹介しないの?」
「あ・・・ああ!私は馬超!真名は翠だ、宜しくな!」
「改めて聞シンジと申します。これから宜しくお願いします」
馬一族データ
馬騰寿成:真名は鋼。西涼の地を異民族から守り続けてきた知勇兼備の将軍。
統率:A 武力:A 知力:B 政治:B
特殊能力:名将⇒軍勢を率いる際、統率に+1の追加修正が発生する。
特殊能力:病⇒現状は初期段階の症状。武力に-1の追加修正が発生する。
馬超孟起:真名は翠。錦馬超の異名を持つ。
統率:B 武力:A 知力:E 政治:E
特殊能力:錦馬超⇒騎馬戦の際、統率と武力に+1の追加修正。また騎馬状態での一騎打ちの際、常に相手の先手を取る事が可能。
馬岱(史実においても字は不明):真名は蒲公英。恋姫随一の小悪魔キャラ。
統率:B 武力:B 知力:C 政治:D
特殊能力:罠設置⇒罠設置により様々な効果を得る事が可能。
To be continued...
(2014.07.06 初版)
(あとがき)
紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
今回は反董卓連合前夜編、と言った感じの話になっております。圧倒的不利な立場を引っ繰り返す為、シンジ達は色々と知恵を巡らす事に。それがどう出るかは、もうしばらくお待ち下さい。
それから今回は西涼の騎馬姉妹が登場する事に。個人的に2人とも好きなので、出来れば登場を増やしたいんですが、蒲公英はともかく翠の出番をどうしようか悩み中です。
話は変わって次回です。
馬一族への交渉を終えたシンジ達は洛陽へ無事に帰還。だがそこで待ち受けていたのは凶事の報告であった。
董卓軍を襲った凶事に、シンジは詠とともに事件の解決に乗り出す事に。
そんな感じの話になります。
それでは、また次回も宜しくお願い致します。
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