碇シンジの合法ロリルートへの道 (not18禁)

第九話

presented by 紫雲様


許昌―
 「輜重隊が襲撃されたあ!?」
 「は、はい!敵は騎馬隊で、こちらが対応するよりも早く襲撃を仕掛けてきたそうです。そして護衛に就いていた兵士達を蹴散らしつつ、食糧や武具を手に入れると瞬く間に走り去った、という事でした」
 「それだけですか?他に情報は?」
 「全員が上腕に黄色い布を巻いていた、そういう情報がかなりの数に上ります」
 黄巾賊。3年前、反董卓同盟が結成される前に大陸を席巻した一大反乱。その鎮圧に乗り出した当事者である斗詩や猪々子は、『残党がいたのか』と即断していた。
 「どうする?斗詩。あたいは難しい事は良く分かんねえからさ、斗詩の言う事に従うよ」
 「そうですね。まず曹操と孫策に対する洛陽の防壁として、この許昌の守りを最優先としなければなりません。ですが賊を放置したままでは、統治という点から考えても大問題です。ですから文ちゃん。賊を討伐してきて貰えますか?数もそれほど多くないようですし、騎馬2000もあればお釣りが来るでしょう」
 「ああ、任せてくれ。さっさと討伐してきてやるよ!」

 「夏侯淵将軍!ただ今、物見からの報告により『文』の旗を確認したとの事です!また騎馬の数はおよそ2000騎との事です!」
 「存外、少ないな・・・まあ良い。お前達、奴らが山中に入った所で、ワザと奴らに見つかるぞ!」
 軍師6名による、練りに練られた包囲殲滅作戦。その撒き餌を務める秋蘭は、作戦地点に向けて愛馬を勢いよく駆けさせた。
 
文醜が出撃して1刻が経過した頃―
 「このような時に、どうしたのですか?李儒殿」
 「陛下に置かれましては、宛と徐州に曹操と孫策が橋頭堡を築いた事に対して、心穏やかとは言い難い心境であらせられます。このまま許昌までもが、そう考えるのも無理はございません。故に私が陛下の代理として視察に伺ったという訳です」
 皇帝・袁紹の知恵袋として辣腕を振う軍師・李儒。その素性は定かでは無い。ただ放逐された袁紹を助け、皇帝にまでつけたその手腕は高く評価されている。その点については斗詩も評価しているのだが、それでもイマイチ信用しきれないでいた。
 外見だけなら李儒は優しい初老のお爺ちゃん、である。
 ただ頼りない(本人には内緒だが)主の代わりに働いてきた苦労人の勘が常に警告を鳴らしていたのであった。
 『こいつは信用できない』と。
 「ところで将軍。時に文醜殿は?」
 「賊の討伐に出陣しております。輜重隊が襲撃されたので」
 顔良の言葉に考え込む李儒。だがそれも斗詩の口から黄巾賊という単語が出るまでであった。
 「将軍!すぐに文醜を呼び戻せ!それは罠だ!」
 「は?罠?一体、誰が」
 「そんな物は曹操か孫策に決まっている!出陣したのは一体いつ頃・・・1刻も前だと!?・・・田豊や沮受は何をしていたのだ!」
 「2人は軍の再編業務と、宛と徐州への再侵攻計画の思案中です。私は統治業務を行わねばなりませんし、手が空いているのが文ちゃ・・・文醜将軍しかいなかったのですよ。だから精鋭2000の騎馬隊で短期決戦で向かわせました」
 苦虫を噛み潰したように、苦渋の表情を浮かべる李儒。こうならないように軍師として田豊や沮儒をつけていたのだが、仕事が多忙すぎて目が届かなかったのであった。
 「・・・将軍。明日まで私もここに滞在させて頂く。私も多忙だが、文醜将軍が討ち取られてしまっては、侵攻計画に穴が生じるからな」
 「李儒殿?まるで文醜将軍が戻ってこないように聞こえますが」
 「その通りだ。このままでは、将軍はもうここへは戻ってこられなくなるからな。さて、この策を描いたのは何者だ?周瑜か?荀彧か?・・・まあ良い。誰か、田豊と沮受を呼んで参れ!不測の事態が起こった、すぐに参れ、とな」

仲達SIDE―
 「只今、夏侯淵将軍より使いが参りました。敵将・文醜を釣る事に成功した、との事です」
 「分かった。では策通り本陣には黄色の無地の旗だけを挙げておけ。牙門旗は寝かせておくように。そして私の直属500以外は、全て周囲の森に隠れ伏兵とする事。本陣から銅鑼が聞こえたら、一斉に攻めかかれ」
 指示通りに散開する軍勢。伏兵に回した兵の数は4000。それぞれを明命、凪、沙和、真桜が1000ずつ率いている。これは今回の策を通じて、4名を将来の将軍とする為に貴重な経験を積ませたい、という華琳や雪蓮の思惑があったからである。
 「しかし、こうして見ると武官の質に差があるな。呉で働く気はないか?典韋殿ならば将軍職も約束出来るが」
 「私は華琳様の下で働くのが好きですから」
 「なるほど。たしかに納得できる理由だな」
 仲達の護衛。それに選ばれたのが典韋こと流琉である。彼女が護衛についたのは、仲達が外見や言動からは分からないが、かなりの料理人である事。公孫瓚を助けるだけの器量と実力を持っている事。忠誠度0にも関わらず、孫策に信頼されているように見える事。加えて囮作戦を務める秋蘭が、彼女にとって姉貴分に当たる事。そう言った点から好奇心を刺激された彼女が立候補したのである。
 本来ならば副官的立場にある白蓮こそがこの場にいるべきなのだが、今はいない。と言うのも、彼女が孫呉陣営においても屈指の騎馬戦の達人だからである。その為、この後に予定されている包囲殲滅戦の主力部隊に回されていた。美羽は医療支援部隊を率いている為、離れた場所で待機中。七乃も美羽の護衛と情報収集を担当している為、この場にはいない。結果として、仲達には臨時の補佐役を、と言う流れになったのである。
 「でも、今回は仲達さんを守ってあげますからね。こう見えても私、強いんですから!」
 「では頼りにさせて貰おう。私も護身ぐらいには武を齧っているが、一騎当千とはいかぬからな。せいぜい10程度か」
 ブオンと音を立てながら、背負っていた棍を振う仲達。鈍い光沢を放つそれは、明らかにそれなりの重量が感じられる。
 「棍使い、ですか。槍はよく見ますけど、棍は初めてですね」
 「我が師の教えだ。棍こそ人の上に立つ者に相応しい武器であると。活殺自在。それは人の上に立つに当たって、なによりも重要な事に繋がる。だからこそ、己を戒める為に棍を学ばせるのだ。そう仰っておられた」
 「仲達さんの先生ですか。想像もつかないですねえ」
 「間違いなく想像の範囲外だ。師匠と本気でやりあえるのは、恐らく飛将軍呂布ぐらいだろう。客観的に見て、夏候惇・夏侯淵両将軍が同時にかかっても掠り傷が限界だろうな。政治を任せれば、荀彧・程昱・郭嘉殿達3名と正面切って政策論争を交わす事も可能だろう。あれはもうバケモノどころか魔王と評すべきだ」
 本来なら抗議すべき評価なのだが、それ以上に気になっていた。相手が曹操であっても傍若無人な態度を変えず、隙があったとは言え夏候惇を敗北へ追い込む程の実力。そんな仲達が『魔王』と評す程なのだから、まちがいなく曹操が垂涎するほどの人物の筈である。
 「・・・あれ?だったら、その人を呉に誘えば」
 「断固として断る。我が師は敬意を払うに値する御方だ。だが一緒の時間を過ごすとなると、あの方ほど向かない方もいない」
 「性格が悪いんですか?」
 「違う。友好関係に難が有り、更に彼らが火種となって災厄を撒き散らすのだ」
 流琉の頭に浮かんだのは、彼女が兄と慕う天の御使いと、その周囲の女性陣である。特に2組いる3人組。
 「さて、お喋りはここまでだ。お前達、気を楽にしろ。私の指示に合わせて行動するだけで良い。あとは周りが動いてくれる。だから己の身を守る事に専念せよ」
 「「「「「「は!」」」」」」
 仲達の指示に、兵が全て返事を返す。その光景に『こんなこと言う人、兄様以外にはいないと思ってたなあ』と内心で呟く流琉。
 「仲達様!夏侯淵将軍が作戦通りに逸れます!」
 「よし。では策通りに綱を引け!」
 兵士500名が一斉に足元の綱を引く。同時に、彼らの前に緑色に塗られた木の杭―騎兵に対抗する為のパイク―が持ち上がる。
 更に質の悪い事に、杭と杭の間には同じく緑に塗られた綱が張られていた。
 「さて、全軍に通達。杭の手前の草の生えていない場所には、何が有ろうとも足を踏み入れるなよ。踏み入れた奴は大馬鹿者として歴史書に名を遺してやるからな」
 仲達のジョークに、兵士達から笑いが上がる。中には『俺、それでも良いッス!』と叫ぶノリの良い奴も混じっていたが。
 「では全軍戦闘準備!歩兵300は槍で騎馬を牽制!運よく乗り越えてきた奴らを3人がかりで取り囲んで突き殺せ!残り200はとにかく矢を放て!」
 「「「「「「応!」」」」」」

猪々子SIDE―
 「まさか、本体か?」
 逃げる賊を追いかける猪々子は、黄色い旗を掲げる一軍を捉えていた。無地の黄色の旗。それはあまりにも有名すぎる旗である。
 「全軍突撃いい!」
 一斉に襲い掛かる袁紹軍騎馬兵2000騎。だがそんな彼らを待ち受けるのは、保護色に偽装されたパイクである。
 至る所から上がる悲鳴。続いて降り注ぐ矢雨。
 「小賢しい!罠なんて踏み潰していくぞ!全軍、続けえええええ!」
 ここで仲達の予想を上回る行動を猪々子は採った。
 仲達達はパイクの間を通過すると考えて綱を張っていたのである。ところが文字通りパイクを『踏み潰して』いく猪々子は、完全に誤算であった。
 だが仲達が味方の兵に注意していた領域―落とし穴まではそうもいかない。運の悪い騎兵は次々に穴へと落ちていく。深さ自体は大したことは無いが、寧ろ落馬によるダメージが大きく、不幸な者達は戦場で呻き声を上げる事しかできない。
 「てめえが大将か!」 
 自慢の斬山刀を振り下ろす猪々子。その一撃を仲達は棍を操り、柄本を狙って突く事により剣の軌道を狂わせる。
 逸れていく剣を戻そうとする猪々子。そこへ飛んでくる巨大な鉄塊。
 「む、思ったよりも戻ってくるのが早かったな」
 「ちょっと押されていた所を戻してきました!」
 「ならばついでに銅鑼を鳴らしておいてくれ。この程度の力量ならば、20合程度は余裕で時間を稼げる」
 素直に頷くと、景気よく銅鑼を鳴らし始める流琉。その光景に『嘗めやがってえ!』と激怒する猪々子。
 「止めておけ。お前達の負けは確定した。降参するならば、兵の命は取らないでやろう」
 「ざけんな!数で負けてる奴が何を言いやがる!」
 「・・・仕方ない。ならば!」
 咄嗟に棍を突く仲達。それを避けようと猪々子は剣を己の正中線を護る様に構え、次の瞬間、暴れ出した馬から投げ飛ばされた。
 ドサアッ!音を立てて大地に叩き付けられる猪々子。背中に走った凄まじい痛みと衝撃に、ロクに呼吸も出来ない。
 「・・・仲達さん・・・それって卑怯だと思う」
 「何を言うか。騎兵を無力化するには手っ取り早い方法だぞ、これは。馬の口に長い棒を突っ込んでやれば、馬が驚くのは当たり前だしな」
 文字通り、仲達は猪々子が乗ってきた馬の口内目がけて棍を突きこんだのである。
 「ところであの娘を捕縛しておいてくれるか?私は前線の指揮に専念したいのでな」
 「はい!」
 「うむ。兵達よ!敵将文醜は、連合軍前線司令官司馬仲達が生け捕った!全軍に触れ回れ!敵が逃げ出す様に、大声で勝利を叫べ!」
 一斉に上がる歓声。対する文醜軍は大将の生け捕りの報告と、林から姿を見せて襲い掛かってきた騎馬兵の集団に驚き、抵抗する気力も無い状態である。
 「仲達さん!」
「明命殿か。文醜将軍を生け捕った。すぐに許昌へ早馬と、兵を付けて護送の指示をしておいてくれ」
 「それは困るな」
 聞き覚えの無い声に、慌てて視線を向ける3人。同じタイミングで姿を見せた三羽烏もまた、見た事の無い人物の出現に、警戒心を最大に跳ね上げさせる・
 「文醜将軍にはまだ利用価値があるのでな。返却願おうか」
 「・・・何者だ」
 「袁紹軍副軍師田豊」
 いかにも文官と言った感じの男。この場にいる明命や三羽烏、流琉ならば片手間でも瞬殺できる相手。
 だが体が動かない。まるで金縛りにでもかかったかのように―
 「呪縛か。やはり関係者らしいな」
 「ほう?我らの事を知っている者がいるとはな、名を聞いておこうか」
 「連合軍副軍師司馬仲達」
 棍を構える仲達。対する田豊もまた、ニヤリと笑う。
 「我が名は田豊。試させて貰おうか!」
 手を振うと同時に、袖口から飛び出す3つの影。それを視認するなり、咄嗟に棍を突く仲達。
 3つの内、1つは棍が捉えて引き裂く。だが残る2つはそうもいかなかった。
 徐々に姿を変えていく影。やがてそこには威風堂々たる虎2頭がいた。
 「やはり紙兵の術か」
 「くく、面白い。これも知っているとはな。だが残念だ、ここでお前は死ぬのだからな。かかれ!」
 同時に襲い掛かる2頭の虎。対する仲達は思い切った行動に出た。
 1頭に背を向け、もう1頭の口内へ棍を突きこむと同時に手放す。
 その背中へ襲い掛かろうとする虎。次に訪れる光景を幻視した少女の口から悲鳴が上がる。
 だが、その幻視は幻だった。
 仲達は振り向きざまにスライディングを敢行して虎の腹の下へ避難。虎が驚いて動きを止めた瞬間、真下から虎の腹目がけてベアハッグを仕掛けたのである。
 突然の圧迫感に吠える虎。
 だがそれだけでは終わらない。仲達は隠し持っていた暗器の1つを利用し、ザクザクと暗器を虎の背中に突き立てはじめたのである。
 丁度、もう1頭も驚きから立ち直ったが、この状態では何もできる訳が無い。襲い掛かる隙を探ろうと、ウロウロとするばかりである。
 やがて限界を超えたのか、ボンと音を立てて紙へと戻る虎。その瞬間、残る一頭が襲いかかったが、同時にズズンと音を立てて沈んでしまう。
 「残念だったな」
 仲達は左肘を突きだす様にしつつ左手を右肩手前に。丁度左腕で三角形を作っている。少女達には分からなかったが、左手と左肩の間には糸が張られていた。
 そして紙へと戻った虎の横に、コロンと転がる短い矢。
 「私がただの棍使いだとでも思ったか」
 「いやいや、見事な手際だ。褒めておくよ」
 「ならば代金代わりに、その首を頂こうか!」
 咄嗟に放たれる投げナイフ。その切っ先は田豊を捉え―同時にボンと弾ける。
 そこにヒラヒラと舞い降りる紙―
 「フン、逃げ足が速い奴だな。文醜将軍を取り返す、そう威勢の良い事を言っていた割には情けなくはないか?」
 「耳が痛いな。一言も言い返せんのが悔しくてならんわ」
 聞こえてきたのは、少女達の背後。その現実に、少女達の首筋を冷たい汗が流れ落ちる。
 「将軍は預けておこう。次は軍師として知略で貴様を叩き潰してくれる」
 スッと消える気配。追撃を仕掛けようとしていた仲達ではあったが、完全に意味が無い事を悟ると舌打ちしながら武器を納めた。
 「呪縛の術はもう解けている筈だ。大きく深呼吸してみろ」
 言われた通り、素直に指示に従う少女達。そして事実だと悟ると、文字通り目を丸くした。
 そんな少女達の中から、明命が飛び出す。
 「仲達さん!今のは一体、何だったのですか!?」
 「私が倒さねばならぬ宿敵だ。明命殿達に相手をして貰おうとは考えてはいない。だから心配はいらん。それより軍を纏めて作戦失敗時の位置へ移動するぞ。敵が動く事は無いだろうから、策を練り直す必要があるからな」
 ギリッと歯軋りする仲達。勝利したにも関わらず、その声色からは苦々しげな敗北の印象しか感じ取る事が出来なかった。

孫呉SIDE―
 「という事があったのです」
 待ち伏せ作戦が異能の軍師・田豊の行動によって不発に終わった今、連合軍は再出発を強いられていた。
 そんな中、明命は一連の流れを主である雪蓮に報告していたのである。
 「・・・アイツの宿敵、か。『忠誠なんて期待するな』と言っていたけど、もしかしたらそれが理由なのかもしれないわね。あれだけの実力だもの、それなりの人物が抱えていてもおかしくは無いわ。となれば」
 「既に忠義を尽くす相手がいる、いや、いたと言うべきなのかもしれんな」
 「・・・仮にその予想が当たっていた、としよう」
 冥琳の言葉に、孫策陣営首脳部の視線が集まる。
 「雪蓮。この際だ、蓮花様をアイツに引き合わせるのだ。そのまま孫呉の政戦両略の一環として、政略結婚を進めるべきだ」
 「冥琳!?貴女、本気!?」
 「ああ。正直、アイツの正体については、前から疑問を持っていた。その答えに気付いたのは、あの御使い殿の挑発だったがな。だがそれでも仮定に過ぎない。それが今回の策でほぼ確定したよ。アイツが仮面を被るのも当然だ。少なくとも私や雪蓮は、本来のアイツに会った事があるのだからな」
 冥琳の口から、決定的な一言が放たれた。
 「アイツの正体は」

曹魏SIDE―
 「ふむ。麗羽に仕える妖術使いの軍師が宿敵か。となると、沮受や李儒達も同様に妖術使いと考えるべきでしょうね」
 流琉や三羽烏からの報告に、真剣に考え込む華琳。
 「仲達の目的は、妖術師の討伐と言った所でしょうか」
 「額面通りなら、その通りでしょうねえ。それに、彼の態度の悪さも表面的な物だという事も分かりましたし」
 「む、そうなのか?」
 「そうですよ。だって、流琉ちゃんへの接し方。まるでお兄ちゃんみたいな接し方じゃないですか。本当に悪人なら、師匠の事をバラシたりなんかしないですよ。下手をすれば正体がバレちゃうんですから。それに彼、怒らないんですよ?嫌がらせにしか思えない私と同じ服を平気で着たりとか、普通に考えたら怒って当たり前です」
 言われてみれば、とポンと手を叩く春蘭。流琉もまた、ウンウンと頷いてみせる。
 「・・・桂花」
 「はい、華琳様」
 「細作を常に仲達へつけなさい。そしてどのような事も細大漏らさず報告させる事。あの男は孫策には勿体ないわ。何としてでも魏へと取り込むわよ。あの男の忠誠が向く先は宙ぶらりんな状態。ならば私が仕えるに値する存在である事を焼き付けてやるわ!」
 華琳の言葉に目を丸くする一同。
 「一刀。御手柄よ。この前の貴方の挑発。あれのおかげで、仲達の正体が分かったわ」
 「・・・やっぱり華琳も、そう思うか?」
 「他に該当者なんていないわ。間違いないと断言できる。仲達の正体は」

 「「「少帝陛下侍従聞シンジ。亡くなった劉協殿下の想い人」」」



曹魏陣営データ 
曹操孟徳:真名は華琳。魏王。
統率:S 武力:B 知力:A 政治:A
特殊能力:治世の能臣乱世の姦雄⇒あらゆる判定においてクリティカル確率が2倍になる。
特殊能力:覇王⇒自らの領域内において、その人的魅力によって暴動・混乱・反乱が生じることは無い。

北郷一刀:天の御使い。なのだが・・・
統率:B 武力:C 知力:C 政治:C
特殊能力:天の御使い⇒西暦2015年の日本における知識を活用する事で、様々な恩恵を受け取る事が出来る。
特殊能力:タイ捨流⇒鹿児島県(薩摩地方)で栄えた、もう1つの剣術流派を使用出来る。長年の歴史に裏打ちされた、様々な剣技を使用出来る。

夏候惇元譲:真名は春蘭。曹魏の筆頭将軍を務める隻眼の美女。
統率:B 武力:A 知力:D 政治:D
特殊能力:魏武の大剣⇒武力に+1の修正。
特殊能力:怪力⇒ダメージ算出時、常に2割分の追加ダメージが発生する。

夏侯淵妙才:真名は秋蘭。曹魏随一の弓の名手。
統率:A 武力:A 知力:B 政治:C
特殊能力:弓の達人⇒弓の判定において+1の修正。
特殊能力:文武両道⇒あらゆる物事を卒なくこなす。あらゆる判定後の成果が、1割増しとなる。

荀彧文若:真名は桂花。曹魏の筆頭ツンデレ軍師。
統率:C 武力:E 知力:A 政治:A
特殊能力:王佐の才⇒主の知力・政治の判定が失敗した際、もう1度判定を行う事が出来る。
特殊能力:理想家⇒主が己の理想に沿う生き方をすれば常に主の判定に+1の修正。

郭嘉奉考:真名は稟。曹魏の筆頭妄想系軍師。
統率:C 武力:E 知力:A 政治:A
特殊能力:戦略よりも戦術⇒戦場におけるあらゆる判定に+1の修正。
特殊能力:タフネス⇒例え致死量の鼻血が出ても死ぬことは無い。

程昱仲徳:真名は風。曹魏の筆頭不思議系軍師。
統率:C 武力:E 知力:A 政治:A
特殊能力:沈着冷静⇒あらゆる状況において、常に冷静さを失うことは無い。
特殊能力:軍師の鑑⇒表情に出す事無く謀略を仕掛ける。謀略の判定において、+1の修正。

楽進文謙:真名は凪。三羽烏の1人。
統率:B 武力:B 知力:C 政治:C
特殊能力:白打⇒素手戦闘を得意とする。武器が無くてもペナルティを受けない。
特殊能力:発頸⇒気を用いた捨て身の一撃。ダメージが3倍扱いとなる代わりに、次の回避判定は絶対不可避となる。

李典曼成:真名は真桜。三羽烏の1人。
統率:B 武力:B 知力:C 政治:C
特殊能力:発明家⇒常識を超越した発明を行う事が出来る。発明に応じた効果を受け取る事が出来るが、発明にはそれに応じた時間と資材が必要。
特殊能力:螺旋槍⇒相手が回避ではなく防御を選択した際、与えるダメージが2倍になる。

于禁文則:真名は沙和。三羽烏の1人。
統率:B 武力:B 知力:C 政治:C
特殊能力:海兵隊式訓練法⇒罵倒を活用した訓練法。兵士の訓練効果が2割増しとなる。
特殊能力:双剣⇒二刀流の為、一騎打ちにおいては回避判定に+1の修正。

典韋(史実においても字は不明):真名は流琉。真面目系妹。
統率:C 武力:B 知力:D 政治:D
特殊能力:天分⇒生まれながらに図抜けた肉体能力を持つ。己の肉体を用いた(ただし頭脳系以外)あらゆる判定に+1の修正。
特殊能力:料理人⇒料理に関するあらゆる判定に+2の修正。

許褚仲康:真名は季衣。天真爛漫系妹。
統率:C 武力:B 知力:D 政治:D
特殊能力:天分⇒生まれながらに図抜けた肉体能力を持つ。己の肉体を用いた(ただし頭脳系以外)あらゆる判定に+1の修正。
特殊能力:料理人⇒料理に関するあらゆる判定に+2の修正。



To be continued...
(2015.03.07 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
 今回は洛陽への侵攻を最終目的とした、侵攻作戦の初戦が舞台となっております。難攻不落の要塞を落とす為、常道とも言える囮による釣りだし作戦の結果は・・・という感じの話に仕立てたつもりです。
 難点はと言えば、白蓮の影が薄くなってしまった事w他の登場人物に焦点を合わせると彼女を他の場所に移す必要があるんですよねw恋姫世界で普通普通と言われる彼女ですが、能力的には優秀だと思うんだけどな、弱点らしい弱点なかった気がするし。
 話は変わって次回です。
 次回は本編から外れて、番外編第2話です。
 仲達ことシンジが孫呉に馴染む事になるイベントですw傲岸不遜な仲達が、どうやって孫呉陣営に受け入れられていくのかをメインとした話にする予定です。あくまでも予定なので未定ではありますがw
 それでは、また次回も宜しくお願い致します。



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