新たな世界で

第一話

presented by 紫雲様


2日後、アルトワ伯爵家執務室―
 「人口51人。戸数15戸。内、50歳以上の人口が30人。15〜50歳が17人。14歳以下は4人・・・村興しプロジェクト、完!」
 「いやいや、終わらせちゃ駄目だって。この村を建て直すのが僕達の役目なんだから」
 シンジがシャルルに提案した暇潰しの内容。それはアルトワ伯爵家が管理するド・オルニエール村の村興しである。シャルルが若い頃、この村は高級ワインを醸造する名産地として名を馳せていたのだが、天候不順によりブドウが不作となって以来、ワインが醸造できず、若者は日々の暮らしの糧を得る為に王都へ出稼ぎに出てしまった。以来、人口の流出が止まらず、過疎化してしまったという過去を持つ村である。
 「ワインの復興も良いんだけど、それだけじゃあインパクトがなあ」
 「付加価値の高い商品を作って売る。これ自体は良い案だと思うのよ。でも労働力をかけ過ぎるのは、ねえ」
 「村の人達は農業で忙しい。あまり手間がかかるプランは乗り気にならないと思う」
 3人で額を突き付けてウンウン呻る子供達を、少し離れた所でシャルルが楽しそうに見守っている。
 その有様は孫の成長を見守るお爺ちゃん、と言った所であった。
 「商品価値の高い物、って言うと・・・まずは薬、だよね?」
 「あとは調味料、特に香辛料かしら」
 「折角だから魔法の秘薬とかはどうかしら?」
 出てきた案を次々に書きだしていく3人。
 「薬は結構良いわよね。魔法を使えない人達にとっては生命線でもある訳だし。折角だから漢方をメインとして、東方の体質改善薬として売り出すのも有りだと思うのよ」
 「それは良いよね。もともと漢方はそういう目的だから、貴族平民を問わず商売が成り立つと思う。それに漢方の知識を持つ人は僕達以外いないから、ライバルも少なそうだしね」
 「じゃあ、これは残しておきましょうか。次に香辛料だけど」
 ここでアルトワ伯爵家の台所を思い出すシンジ。ド・オルニエール村へやって来た翌日の昼頃、シンジは厨房で料理を作っており―マリーが慌てて止めに入ったのだが―その時に置いてあった調味料を思い出していたのである。
 「在ったのは岩塩、ハーブ、ビネガー、蜂蜜、だったな。お爺ちゃん、宮廷とかで胡椒って使われてるのかな?」
 「胡椒のう。確かに公爵級貴族や王族主催のパーティーともなれば胡椒は使われておるが、この地で育つ物かのう?」
 「そういえばそうだった。ここの涼しい気候じゃ胡椒育たないかも」
 「待って。胡椒は駄目でも蜂蜜は良い案だと思うの。蜜蜂はアスカが用意出来るし、基本的に労働力はそんなに必要ないわ。それに上手く組み合わせれば、こちらの想像を上回る成果を出せると思うの」
 テーブルの上に置かれた計画用紙に、レイが羽根ペンとインクでサラサラと書きつける。
 「使われていない畑。ここにレンゲの種を撒く。この目的は2つ。1つは蜂蜜採取の場とする事。もう1つは土を肥やす事」
 「・・・レンゲって土が肥えるの?」
 「畑を休ませる為に、レンゲを利用して土に窒素を取り込ませる農法を本で読んだ記憶があるわ。痩せた畑を蘇らせ、村人に無償提供してあげるのよ。元手はかかっていないし、それどころか蜂蜜の収益が有る分、デメリットよりメリットが大きいわ」
 「レイ、それって良い案だわ。この際、それを更に推し進めましょう。土が肥えた畑を提供する代わりに、既存の畑を接収。村人には肥えた畑を倍の広さで提供できれば、不満は生じないでしょうしね」
 休耕地による土の回復と、更に蜂蜜による収益増化。接収した畑は区画整理事業や更なる産業促進の為の用地として確保しておくのである。
 そこへお茶を持ってきたカルロが入って来る。3人の真剣その物な姿に呆気に取られるが、シャルルの耳打ちに感心したように何度も頷く。
 「若様、御嬢様。実は以前、知り合いの農夫より相談を受けた事が有るのですが、宜しいでしょうか?」
 「何があったんですか?」
 「はい。若様方もご存知でしょうが、同じ物を作り続けると野菜は病気がちになります。それを防ぐ為に、毎年植える物を変えております。ですが、それをしても収穫量は少なくなりつつあるのです」
 「・・・肥料はどうしていますか?」
 「はい、家畜―主に牛や馬の糞を使っているそうです」
 カルロの言葉に、3人で額を突き付けあう。糞を肥料とするのは問題ないが、それにも『正しい』やり方がある。
 「カルロさん、その方、糞を直接畑に撒いていませんか?」
 「はい、確かその筈ですが」
 「分かりました、それなら解決出来ます。次の春には改善できますから」
 『発酵が足りないんだろうね』というシンジの言葉に、ウンウンと頷くアスカ。2人とも葛城邸にいた頃に、偶然テレビで堆肥の作成方法を見た事が有り『ただ撒くだけじゃダメなんだ』と妙に感心した事があった為、良く覚えていたのである。
 「主食である麦や野菜についてはこんな所かしらね。それから魔法の秘薬だけど、お爺ちゃんは秘薬について何か知ってる?」
 「まあ火と水の秘薬ぐらいなら、戦場で良く世話になっておったからのう」
 そう言いつつ、原材料を口にするシャルル。水の秘薬については明らかに手が出せない―シンジ達も知らない薬草類が使われていた為―が、火の秘薬についてはアスカの知識に同じ物があった。
 「なんだ!それって黒色火薬じゃない!」
 「確か、火縄銃の火薬だっけ?」
 「そうよ!それなら問題ないわ!硫黄は火山の近くで採取できるし、炭の粉末は自作できる。硝石は採掘しないといけないけど」
 「硝石は解決できるよ。昔、本で読んだ事がある。土間やトイレの土に沁み込んだ排泄物が、微生物の作用によって硝酸カリウムに変化するんだってさ。廃屋とか家畜小屋から採取しようよ」
 「よし!なら作れる!後は販売ルートだけど」
 「それは儂の出番じゃろうな。出来上がったらいつでも言っておくれ」
 目途が立った所で、お互いに手を打ち合わせる3人。まずは村を建て直し、現金収入を増やす基本方策完成と言った所である。
 「基本的に村人に協力して貰う事って、あまり無さそうだし。まずは手本と言う事で僕達で作ろうか。場所だけは有り余ってるし」
 「そうね。蜂蜜についてはアタシがやるから、レンゲの種だけ頂戴。レイ」
 「了解したわ。私は漢方薬の材料を育てるから。もし野生の物が必要な時には、協力して頂戴」
 「それは堆肥作りと一緒に3人でやろうよ。レンゲの花が咲くまでの時間使えば出来るしね。火の秘薬だけど、まずは硫黄の採れる所探そうか。この辺りで火山か温泉のある場所は、古老にでも訊ねれば分かるだろうし」
 かつてチルドレンと呼ばれた3人は、これまでにない程、楽しみに満ちた時間を経験していた。

それから半年後―
 シンジ達がアルトワ家に迎え入れられたのは秋の収穫が終わった後。その後、休耕地にレンゲを撒いて―多少種蒔きの時期としては遅めだったが―畑の準備に取り掛かったり、自生する漢方薬の材料を採取しつつ、一方では生産の為の苗づくりに取り掛かったりと忙しい日々を送っていた。
 村人達も自分達の領主に後継者が出来た事について目出度い事だと言っていたが、所詮は雲の上の住人である為、それほど注目はしていなかった。
 それが過ちで有ったと気付いたのは、春先の事である。
 荒れ放題だった畑に咲くピンクの花。そこに飛び交う蜜蜂の群れと、その中で蜂に刺される事無く巣箱の手入れをしている紅茶色の髪に眼帯の少女。
 完全に荒れ果てていた訳では無い畑に手を入れ、一目見ただけでは雑草としか思えない薬草を栽培する蒼銀の髪に赤眼の少女。
 フォークを手に、口元に布を巻いて藁と家畜の糞を混ぜ合わせて発酵させる堆肥の作成を行う―この光景が村人に発見された時『お貴族様にそのような仕事をやらせたら、村人が死刑になります!』と一騒動起こしてしまった―黒髪黒眼の少年。
 蜂蜜はともかく、漢方薬や発酵堆肥は村人も全く知らない新しい知識。当然、アレは何だろう?と疑念にかられ始めた訳だが、そこは村人と親しい付き合いのあるカルロが間に入り『若様方が生まれ育った東方から齎してくれた、新しい農法なのだ』と説明。この説明のおかげで疑念の解消だけでなく、更にはシンジの貴族離れした容貌についても村人達は納得したのである。
 疑念が解消すると、次は好奇心が首をもたげてくる。特に影響著しいのは、幼い子供達とその母親である。
 子供達にしてみれば、レンゲの花畑はとても綺麗な遊び場である。アスカも子供達が蜜蜂に刺されない様に、子供達が遊びに来る時間には蜜蜂には子供達は敵ではない事を教え、事故を未然に防ぐように心がけていた。
 これによりアスカは子供達にとって『蜜蜂のお姫様』と呼ばれる程に慕われるようになった。お姫様というのは、彼女の身元引受人がシャルル伯爵であり、子供達にとっては当たり前の表現である。ただアスカ自身は『お姫様』と呼ばれる事に気恥ずかしさを覚えたらしく、子供達に大声で呼ばない様にと教える日々を送っていた。
 レイの元には、農作業が辛くなりつつある高齢の老人達が姿を見せる様になっていた。そしてレイから『これは解熱作用。これは咳止め。これは下痢止め』と説明を受けた上、天日で干した後に擂り鉢で粉薬に仕立てられていく光景を見せられたのである。
 これには老人達が発奮した。かつて親から教わった『先人たちの知恵』による薬草をレイに委ね、これは使えないだろうかと尋ね出したのである。
 レイも自らの知識と照らし合わせ、薬効作用を合理的に判断し、何種類もの薬を作り出した。そして幾らかを『村人用の備蓄』として保管すると、他は村を訪ねてきた行商人に販売し、その代金を使って村の建て直し費用として貯蓄。将来の復興計画実行の為の予算に組み込んだのである。
 そしてシンジの元には、働き盛りの男達が姿を見せ始めていた。やはり畑を仕事場とするだけあって、新しい肥料と言う話に好奇心を擽られたのである。
 シンジが作ったのは、藁と糞を混ぜ合わせた発酵肥料。発酵の際に生じる熱により、糞に潜む寄生虫が死んでしまう、安全性の高い肥料である。
 村人達にとっては、湯気の立つ肥料は目を剥く光景であった。それどころかシンジの真似をして肥料に手を入れた瞬間、伝わってきた高熱には驚きのあまり文字通り仰け反っていた。
 シンジが試しに作った堆肥は、あっという間に分配されて無くなってしまった。それほどまでに『黒々とした肥えた堆肥』は、落ち葉の下にある肥えた土壌そっくりだったからである。
 来年分も堆肥を作る約束―正確には堆肥作成に働き盛り総出で協力してくれる―を取り付けると、シンジは次は何をしようかと考えだした。
 堆肥の作成は勿論行うが、発酵する間、何もしないというのは怠けているも同然である。アスカやレイは仕事がある為、2人を手伝うのも手であるが、それでは芸が無いと考え、火の秘薬作成の為の材料集めを実行する事にした。
 「まずは硝石かな。確か土を集めて水に溶かして、上澄液を煮詰めるんだよね。失敗は成功の母と言うし、実行してみるか」
 両手に桶とスコップを持って、廃屋を歩いて回るシンジ。何十年、何百年と変わり映えの無い土を桶に入れては、硝石作成の場所として選んだ廃屋に持っていく。
 「まずは実験、と」
 うろ覚えの知識を頼りに、上澄液を煮詰めだすシンジ。やがて不純物が混じりながらも、初めて作った割にはまともな白い結晶が出来上がる。
 「不純物が多いな。これを取り除くには・・・」
 呻り声を上げながら考えるシンジ。
 「もう1度溶かして、ゴミを取るか。小さいゴミは灰を使えば何とかなるかな?」
 再チャレンジするシンジ。時間はかかったが、2度目の結晶化した硝石は、素人が作った割にはかなり綺麗な結晶であった。
 「よし!これなら何とかなりそうだ!あとは硫黄だけど、まずは2人に報告しないとね」

その1週間後―
 硝石作成の報告を受けたアスカとレイは、残る材料硫黄の調達の為、行動を開始した。
 だが問題なのは、アルトワ領周辺には火山が無い事である。
 硫黄は日本では、それほど珍しくない鉱物である。これは日本が火山地帯であると同時に、露天掘りが可能なほどに地表に噴出している事が珍しくないという好条件を兼ね備えているからである。
 この為、シンジ達は硫黄ぐらい簡単に採れるだろうと楽観視していたのだが、ここに来て、計画が崩れるという災厄に見舞われてしまった。
 「参ったなあ。これなら周囲の探索ぐらい進めておくべきだった」
 「これについてはしっかり予想しておくべきだったわね。ここは日本じゃないんだから」
 あっちゃあ、と頭を抱えるアスカとシンジ。そんな2人にシャルルが声をかける。
 「シンジ。東方では、硫黄とはそんなに簡単に採れる物なのか?」
 「あくまでも、僕達の母国の話ですけど、硫黄なんて珍しくないんです。当たり前の様にマッチという着火剤として使われてますから。ちなみにマッチは、子供のお小遣い程度で買える程安いんです」
 「何とまあ、ところ変われば、とは良く言った物だ」
 肩を竦めるシャルル。火山等無いトリステイン王国において、硫黄はかなり貴重な鉱物資源なのだから、彼が驚くのも無理はない。
 この事態を打開する為、3人は村人1人1人を訊ねて回っていた。
 「・・・山の中に、近づいちゃいけない場所とかってありませんか?動物が姿も見せないような場所とか。或いは、妙に腐った臭いのする場所とか」
 シンジ達の狙いは天然の硫化水素が放出される場所。硫化水素の有る様な場所なら、硫黄が存在しているからである。
 だが結果は残念ながら空振りに終わってしまった。古老に尋ねても、思ったような答えは返ってこなかったからである。
 「どうしようか?このままだと火の秘薬は作れそうにないけど」
 「この際、方針転換しましょう。硝石っていうのは、乾燥した地域じゃないと露天掘りする程採れない特性があるの。このトリステイン王国は、乾燥しているとは言えない国だから、硝石はそれなりの値段で売れる筈よ。この際、徹底的に純度を上げて質の良さで高い付加価値を付ければ良いわ!」
 「アスカの意見に私も賛成。それが現実的だと思うの」
 2人の意見にシンジもまた賛同する。更に純度を上げる方法については、農業が出来なくなる冬場までに考え、実行へ移す事として問題を一時先送りにする。
 そこへカルロがドアをノックして入ってきた。
 「レイお嬢様、お客様でございます」
 「私に?」
 「はい。以前、お嬢様から薬をご購入された行商人の方にございます。応接間へお通ししてありますので、どうか」
 いきなりの来訪に、首を傾げるレイ達。ハルケギニアにおける平民の地位は低い。そんな地位の低い者が、身分差別意識の強いトリステイン貴族である領主の下を訪ねる等、よっぽどの事である。
 カルロの案内の下、応接間へと案内されるレイ達。そこには恐縮しきった感じの行商人が、肩を震わせながらレイを待っていた。
 「せ、先日はありがとうございました。まさかお姫様だとは露程にも知らず、誠に申し訳ありません。実は、先日買い取らせて頂いた薬についてなのです」
 「何か不都合でも?」
 「とんでもございません!出来得ることならば、今後も買い取らせて頂きたい程ですよ!」
 クレーム覚悟のレイだったのだが、そんな事ではない事にすぐに気がつく。それならばどんな用件なのかと、レイは首を傾げる。
 だが緊張感丸出しの行商人にしてみれば、ガチガチに固まってしまって話どころではない。その様子を見てとったシンジが、それならばと話しやすいように水を向ける。
 「薬について問題が有ったのでなければ、どのようなご用件なのか、教えて頂けますか?」
 「は、はい!実は、私どものお客から、化粧について相談を受けたのです。もし宜しければ、ご相談に乗って頂けないかと思いまして」
 キョトンとするレイ。まさかオシャレについてのご相談が来るなど、予想外も良い所である。
 「実は王都では、若い娘を中心に、ちょっとしたオシャレを楽しむ風潮が出てきているのです。しかしながら、オシャレと言っても少し着飾るぐらいしかありません。香水は勿論の事、化粧品ともなれば、目の飛び出るような高さです。当然、平民のお嬢様方にしてみれば、もう何を言わんやという状況でして」
 「ああ、なるほど。そういう事か。でもレイ、化粧なんてした事ないよね?寧ろ、アスカの方じゃない?」
 「そりゃあアタシの方が化粧の経験はあるわよ・・・ん?ちょっと待って」
 腕を組み、呻り声を上げながら考えだすアスカ。
 「・・・季節的には、まだ間に合うわよね。流石に今から栽培は無理だけど、今年だけ乗り切れば、来年以降は採算が採れそうだし」
 「アスカ?」
 「カルロさん!この人、明日までここに泊めてあげて!」
 いきなりのアスカの頼みに、驚いたのは当の行商人である。
 「シンジ!レイ!今から村へ行くわよ!」
 「ど、どうしたの!?」
 「だから化粧品を作るのよ!その為の材料探し!」
 ポンと手を打つシンジ。アスカの目論みが理解出来たのである。
 「いってらっしゃいませ、お嬢様。若様」
 「1日だけ待ってなさい!実行できるかどうか、確認してくるから!」
 レイの手を取り、飛び出していくアスカ。その後にシンジが続く。
 まるで嵐の様なアスカの行動に、行商人は声も無く驚くばかりである。
 「何とまあ、元気なお姫様だ」
 「おかげで領民からの評判は高いのですよ。それはともかく、寝室へご案内させて頂きます。どうぞ、こちらへ」

 目的の植物が群生する場所を聞いたアスカは、一直線にその場へと直行した。
 もとが3人の中で、一番活発かつ武闘派な少女である。最近は『蜜蜂のお姫様』と呼ばれる程に静かな姿しか見せていなかったのだが、久しぶりの本領発揮と言った感じである。
 目的地は村の近く。暗くなる前に戻ってこられる場所とあって、3人はすぐに目的の場所へと辿り着いた。
 「よし、これね」
 「そうか、紅花って事は口紅を作る気?」
 「正解!」
 鼻歌でも歌いそうなほどに上機嫌なアスカ。
 「そういえば紅花って薬効成分も無かったっけ?」
 「そうよ!紅花は染料だけじゃない。婦人病や口荒れにも効果があるの。これなら薬としても売り出せるし、種は油にもなる!これはお金になるわよ!」
 「それなら、薬湯も作って売りましょう。今から野生のドクダミを乾燥させて、一緒に売れば良いわ」
 火の秘薬に代わる、新たな収入源の発見に喜ぶ3人。特に女性は美の追求には幾らでもお金をかけるのは、いつの時代も同じである。
 「そうなると、他の色も作りたい所よねえ」
 「それならさ、まずは紅色を作ろうよ。それから貴族相手に他の色を作って、高値で販売。ある程度経ったら、平民相手に廉価品として他の色も出すと言うのはどうかな?」
 「・・・確かにそれが良いかも。貴族ってプライド高いから、真似されるならともかく、真似をするとなると臍曲げそうだしね・・・よし、基本方針はそれで決定!そうと決まれば、お爺ちゃん通じて販売ルートも開拓しないとね!」



ド・オルニエール村の発展度
人口51人(±0)
知名度:隣町の住人なら知っている。かつてのワイン名産地。騎士シャルルの領地。
裕福度:寒村



To be continued...
(2013.06.01 初版)


(あとがき)

 紫雲です。新作をお読み下さり、ありがとうございます。
 今作は今までと違い、序盤は村興しです。と言うのも、シムシリーズが目に入ってしまった為。お気に入りは昔遊んだシムアース。未だに核戦争を起したヒトデ達が脳裏に焼き付いておりますw
 原作に追いつくまでは、このまま村興しを進めます。もっとも第1話の中で半年過ぎ去るぐらいなので、時間の進み方は非常に早いです。
 ちなみに原作キャラは、まだ幼稚園から小学生と言った所。最年長のキュルケですら、第1話開始時点では7歳。最年少のタバサは4歳です。
 話は変わって次回です。
 次回は原作キャラを引っ張り出した話になります。藍染めを確立し、収益の柱にしようと試みるシンジ達。そこへシャルルが連れ帰ってきた少年ウィル。シンジ達がゲルマニアの宮廷で恥をかかない為にウィルは礼儀作法の教師となるのだが・・・
 そんな感じの話になります。
 それでは、また次回も宜しくお願い致します。



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