新たな世界で

第三話

presented by 紫雲様


ゲルマニア帝都ヴィンドボナ―
 ゲルマニア帝都ヴィンドボナでオープンした、アスカ命名『越後の縮緬問屋』は、ゲルマニアの歴史を紐解いてみても、類を見ない程に大成功を収めていた。
 取り扱う商品は言うまでもないが、何よりお客の心を惹きつけて止まなかったのは、建物その物と従業員の制服にある。
 まず建物は江戸時代の大店を模した造り。所々に差異は有れど、木と土と紙で出来た建物―火災対策に固定化の魔法こそかけているが―は、それだけでカルチャーショックをお客に与えていた。
 1階部分は販売コーナーと、職人の製作風景を眺める事の出来るエリア。特に製作風景を眺める事の出来るサービスは、消費者の好奇心を擽り、いつ来ても見学者で一杯である。
 販売コーナーにはド・オルニエール村から送られてくる蜂蜜酒・藍染め・薬が置かれ、更に作りたての付け爪や化粧品も展示されている。
 販売コーナーを抜けると、そこには中庭が広がっている。ただしそこにあるのは、単なる中庭では無い。枯山水を再現した庭園であり、縁側に座って緑茶―レイの異能によって栽培した茶葉―で一息つけるサービスを行っていると言う念の入れようである。
 そして従業員が纏うのは給仕服―女性はメイド服―ではなく、これまた和装である。作務衣と割烹着は、全てシンジの手作りを基に量産された制服であり、その異国情緒溢れるデザインから新商品として販売が決定している。
 エルフにより東方との繋がりが途絶えている中、ここまで東方を再現した者はいない。この為、お客の中には東方について学問として研究している者も来店する程である。更に出資者が東方で育ったという話を彼らが聞きつけると、当然の流れとして『東方について話を聞かせて頂きたい!』という要望が持ち上がった。
 これはテイルを通じてシンジ達へ伝えられた。
 これに対し、シンジ達はお店の2階部分に東方の展示コーナーを開設する事を決定。西暦1600年頃の東アジアの国々を基準に、地理や気候、慣習等を定期的に入れ替えながら展示する事を決めたのである。
 これらの他店との差別化により、当初のシンジの予想とは裏腹にお店は商品の価格競争に巻き込まれる事無く繁盛し続けた。これはテイルにとっても嬉しい誤算であり、現在の彼は2号店の出店を密かに企画中である。
 そしていつしか、越後の縮緬問屋はヴィンドボナの観光スポットの1つとしての側面を持つようになり、貴族達もお忍びで顔を出す―たまに皇帝陛下がお忍びで顔を出している為、下手に貴族面が出来ない―程の名店へと成長していた。

ド・オルニエール村―
 ヴィンドボナでのキュルケとの邂逅から2年後。シンジ達はド・オルニエール村で忙しい毎日を送っていた。
 藍染めについては、村に住む女性陣の仕事として割り振った。これは染料の製作ノウハウの流出防止と商品の品質維持、藍染めの単独生産による価格維持を狙うのが目的である。女性達も自らの藍染めが高値で売れる事に喜びを覚え、子供達の面倒を交代制で見ながら藍染めの製作に汗を流していた。
 薬についてはレイの陣頭指揮の下、経験豊かな村の古老が助言役として就く事により、薬草の大量生産体制に取り掛かっていた。腰を痛めた老人でも、薬草栽培であれば負担無く出来る仕事である為、彼らもまた残りの人生で一花咲かせてやろうと意気込んで仕事へ取り掛かっている。
 蜜蜂の世話はアスカの陣頭指揮の下、10歳以上の子供の仕事として割り振られる事になった。蜜蜂の世話は遊びたい盛りの子供にしてみれば、1日に1・2時間仕事するだけである為、この仕事は願ったり叶ったりでもある。
 農作については、発酵肥料や休耕地施策が大きな成果を現しつつあった。目に見えて増えだした収穫量・広がった耕作地に、村の男達の顔から笑顔が消える事は無い。
 ただ、シンジ達を悩ませる問題もあった。

 「人が足りないんだよね」
 伯爵家の応接間でシンジの口から紡がれた一言に、レイやアスカは言うまでも無く、シャルルですら頷いてみせた。
 「お爺ちゃん。良い案は無いかしら?」
 「王都に出て行った村人達を呼び戻す様に声をかけてみるしかないじゃろうな。幸い、村の知名度も上がりつつあるしのう?村人の伝手を利用して、呼びかけてみるのはどうじゃ?」
 「アタシも賛成。現金収入も増えたし、プールしてある予算も550エキューとそれなりにあるわ。そろそろ積極的に誘致政策を開始しても良いと思うの。ただ問題が1つ」
 ピッと人差し指を立てるアスカ。
 「賊への対策よ。傭兵崩れとかにしてみれば、満足に領地を守る戦力も無いこの村は、御馳走同然よ?」
 「だよねえ。お金は稼げば何とかなるけど、命は何とも出来ないからなあ」
 「まともに前線立てるのはアタシとレイとシンジだけ。後ろからお爺ちゃんが攻撃しても、4人じゃねえ。賊が集団で来たら村人全員守るなんて絶対に無理よ」
 う〜んと考え込むシンジとアスカ。
 「とりあえずは巡回かな。アスカ、上から鳥を巡回させて警戒させる事って出来る?」
 「まあ、それぐらいなら。そうね、5人以上の人間の集団が来たら、アタシに教える様にしておくわ」
 「鳥の頭じゃ、それが限界だよね。ありがとう、アスカ」
 「・・・お爺ちゃん。私に案が有るのだけど、良いかしら?」
 深く考え込んでいた為に沈黙を貫いていたレイの言葉に、シャルルが『何かの?』と顔を上げる。
 「まず、ハルケギニア―正確にはトリステイン王国における、戦争被害者への対応の常識について教えて欲しいの。例えば戦で片腕を失った平民への補償、亡くなった平民兵士の遺族への対応、あとは戦災孤児の処遇について」
 「ほう?レイは難しい事を訊いてくるのう。良いかな、まず後遺症を負った平民兵士への補償は基本的には無い。温情溢れる貴族ならば一時金ぐらいは渡すじゃろうがな。じゃがそんな者は圧倒的に少数じゃ。平民達も貴族を恐れて泣き寝入り、というとこじゃよ」
 「それは酷いわねえ」
 「まあ大半は戦場で水メイジが治療するからのう。結果として後遺症を持つ者の数その物が少なく、あまり問題にならんかった、という理由もあるんじゃろうが」
 紅茶を啜りながら、顔を顰めるシャルル。戦場往来の頃に、嫌な思いをした事を思い出したのかもしれない。
 「遺族についてじゃが、これも貴族の気分次第じゃ。とは言え、貴族の義務として未亡人等は積極的に家政婦として雇うという暗黙の了解はあるがの。じゃがこれも、貴族の誇り次第。規則として決まっておる訳では無い」
 「法として定められてはいないのね?では戦災孤児は?」
 「これは全く対策が無い。精々、孤児院で保護されるぐらいじゃ。孤児院自体も貴族の義務の一環じゃったり、ロマリアの教会運営じゃったりと、色々と差はあってもやっとる事は同じじゃよ。飯を食べさせ、寝泊まりさせ、15までに仕事先を見つけさせるぐらいじゃな」
 現代日本では考えられない状況に、眉を顰める3人。3人の想像以上に、ハルケギニアの現実は冷酷であった。
 「・・・レイが思いついた事って、彼らを招く事よね?新たなド・オルニエール村の村民として」
 「そう。幸い、土地だけはあるわ」
 「・・・そうだな。いっその事、開墾ついでに、用水路作りと治水も同時に行っちゃう?洪水対策と用水路を確保できれば、食糧増産にも繋がる。蓄えが増えれば飢饉対策にもなるしね」
 「ふむ。そうなると開発計画から練る必要があるのう?」
 チリンチリンと鈴を鳴らすと、呼ばれたカルロが入って来る。シャルルから領内の地図を持ってくるように指示を受けると、カルロはすぐに姿を消した。
 「やるとしても、まずは用水路じゃな。治水は時間も金もかかる。放っておいて良い物ではないが、今は手を付けられん」
 「資金不足が痛いなあ」
 「それについてじゃが、実は儂の所に内々の相談が来ておってのう。丁度良いから、話をさせて貰おうかの」
 紅茶で口を湿らせると、シャルルは真面目な顔で3人に目を向けた。
 「実はの。アルビオンの王都ロンディニウムから、店の出店についての要請があったんじゃ」
 「普通に考えれば、人手が無くてそれどころじゃないけど・・・でも、それを口実に資金援助を引き出せれば」
 「良い案ね。化粧品とかは現地生産。薬や藍染めとかはこちらから委託販売。向こうの信頼できる商売人を紹介して貰って、パテントを安くする代わりに資金援助を頼めば何とか出来ないかしら?」
 「それなら向こう10年間パテント無料とかどうかしら?」
 「あとはどれだけ資金援助を引き出せるか、だね?そうなると、まずは開発に必要な経費を試算しないといけないな」
 そこへカルロが地図を持って入室してくる。地図を睨めっこしながら、用水路をどう引くかを考える。
 「流れは極力真っ直ぐにした方が良いかな?幅と深さはどれぐらいが良いかな?」
 「幅と深さは50サントもあれば良いでしょ。ただ用水路は所々曲げた方が良いと思うわ?万が一、子供が落ちたりした時、直線じゃあ川まで一直線よ?」
 「だったら曲がる所には梯子を設置しましょう」
 「地面を掘って、断面を錬金で強固な岩盤に変えちゃえば・・・これはお爺ちゃんに頼んでも良いかな?」
 「土を岩に変えるだけじゃな?それぐらいなら問題はないわい」
 固定化には時間による解除があるが、錬金で変じた物はその限りでは無い。また費用はなるべく抑えねばならない為、錬金担当はシャルルの仕事として割り振られる。
 「用水路の長さは、約2キロメイルか。単に掘るだけだから、人件費を抑えられるのはありがたいね。出た土は治水対策用に、川べりに運んでおけば良いし」
 「じゃったら、開墾で出た岩石やいらない土も運んでおいた方がよいじゃろう。畑の邪魔者でも、堤防の材料にはうってつけじゃ」
 「将来的な事を考えると、川に面した部分だけ錬金で固定。あとは竹でも植えておいた方が良いかな。レイ、頼める?」
 「任せて」
 必要経費の試算を進める4人。やがて金額は弾きだされる。
 「ふむ。用水路作成に250エキュー。堤防作成に570エキュー。開墾は土地の提供だけじゃからお金はかからんが、当面の生活支援として平民8家族分で800エキューという所か」
 「合計で1620エキューね。もっとも8割以上が人件費だけど」
 「でもまあ福祉政策も兼ねている訳だから、これ以上削るのは不味いんじゃないかな?」
 「プール予算の内、300は使って残りは予備予算としましょう。だから差額の1320エキュー分の資金提供が必要ね」
 「10年で1320エキュー。1年換算で132エキュー。テイルからパテントとして年間300エキュー貰ってるから、これを全額貰えると仮定すると、明らかに赤字よね。だとすると、少し見直すべきだわ」
 額を突き付けあう4人。
 「だったら3000エキュー借りられないかな?パテントを少し多く見積もって年間350エキューの要求を10年間無料なら、通ると思うんだけど」
 「無理じゃないけど、何の為にお金を借りるの?」
 「目的は2つ。1つは孤児院の開設と、そこで職に手を着ける為の職業専門学校みたいなのを開こうと思うんだ。読み書き算盤が出来れば、かなり変わって来るでしょ?」
 食料は敷設の畑で、村人の持ち回りによる監督指導下での自給自足。更に戦災未亡人の中から希望者を面談し、孤児院の監督役として赴任させ、面倒を看させる。その上で伯爵家に入る現金収入の中から自由に使える予算として幾らか配分する。
 「おおまかな計画はこんな所。もう1つは防衛戦力の充実を考えてるんだ」
 「槍でも使わせる気?」
 「それでも良いけど、銃とかどうかな?基本的には悪用を防ぐ為に伯爵家で保管。必要な時だけ持ち出す、みたいなルールを決めておくんだよ。マスケット銃の使い手が5人いれば、山賊や傭兵崩れなら村を守るぐらいは出来ると思うんだ。普段は村内の警備や村外の巡回、商品運搬の護衛として動いて貰えば良いし」
 孤児院建設と生活用品の準備予算に300エキュー。学校絡みで150エキュー。マスケット銃―既存のマスケット銃の購入費用に150エキュー。火の秘薬の材料として足りなかった硫黄の購入費用に80エキュー。兵士の給料として1人120エキューを5人分と仮予算を立てる。
 「合計800エキューね。3000エキュー借りられたとしても、予算の差額分は3000−2120で880エキューだから、まだ余裕があるわ」
 「これこれ。その場限りの農民兵と違って、専業の兵士に払うのは一時金だけではないんじゃぞ?専門の兵士とするなら、毎月手当をはらってやる必要がある。おおよそ1人120エキューは毎年かかるぞ?」
 「となると兵士への給料だけで毎年600エキュー?これじゃあ大赤字じゃない!確かテイルからのパテントが年間300、委託販売の収入が薬・蜂蜜・藍染めで250エキュー、村からの納税収入が50エキューよ?」
 「・・・思ったんだけど、兵士を2人に減らすのはどうかな?まず軍から1人兵士長候補として派遣して貰って、もう1人にマスケット銃を徹底的に指導して貰う。その後、収入に見合ったペースで部下として兵士を追加補充していくんだよ」
 「ふむ。それなら何とかなりそうじゃのう。商品運搬は、しばらくは傭兵を雇って急場を凌ぐしかあるまい」
 シャルルが纏めた意見に、反論する理由も無い3人が一斉に頷く。ただ使い道が消えてしまった、残り880エキューをどうするか?という悩ましい問題が浮かび上がってきた。
 「だったら借りるお金を2300エキューにまで減らそう。その上で10年間じゃなくて7年間にするんだ。350×7年で2450エキュー。単純計算で向こうは150エキュー得する事になる。差額の180エキューは予備予算としてプールしておこう」
 「・・・その方が良いかもしれないわね。新商品開発は重要だけど、販売ルートと利益確保はそれ以上に重要だわ」
 「アスカの言う通りよ。そうなると売り上げ向上の為にも、商品の増産=人手の確保という事になる。当面の行動として、先ほどの誘致計画を進めましょう」
 「それなら、儂の出番じゃの。枢機卿を訪ねて相談してこよう。向こうにとっても王都の治安向上に繋がるのじゃ。諸手を挙げて、とまでは言わずとも協力はしてくれるじゃろうて」

10日後、王都トリスタニア―
 トリステイン王国において実質上の宰相であるマザリーニ枢機卿は、陰で『鳥の骨』と陰口を叩かれる程に痩せこけた顔の額に皺を寄せていた。
 若い頃から親交があり、金銭に執着が無いという共通の価値観から親交のあるシャルル伯爵から寄せられた要望書。その内容は戦災の後遺症で、労働意欲はあっても満足に働く事が出来ない平民とその家族。戦災で働き手を失った遺族。そして孤児達をアルトワ伯爵領へ新たな村人として呼びたい、という物である。
 トリステイン王国は常駐軍こそ有る物の、ここしばらくは大戦を経験してはいない。せいぜい隣国ゲルマニアの併合合併―ゲルマニアは元々都市国家が乱立していた地域である―の際に既得権益確保や救援要請に赴いた程度。他は表沙汰には出来ない事件。
 「ダングルテールの虐殺・・・いつ思い出しても後味の悪い事件ではあるな・・・」
 直接関与こそしてはいないが、国の上層部に居る身として真相ぐらいは把握している枢機卿である。
 「いかんいかん。この様な事を考えておる場合では無い。まあシャルルの頼みとあれば断る事もないが、しかし気になる内容ではあるな」
 実際、戦災の犠牲者を引き取ってくれると言うのであれば、それは有り難い話なのである。シャルルの性格からすれば、無下に扱う事も無いだろうという信用もある。伊達に『騎士シャルル』とまで呼ばれてはいないのだから。
 しばらく考えた後、マザリーニはシャルル経由で要望の合った人材に関する書類にも目を通し直す。そしてこちらが候補として挙げた人物で問題無しと最終確認を行うと、フーッと溜息を吐きながら肩をポンポンと叩いた。
 そこへコンコンと丁寧なノックの音が聞こえる。
 「お忙しい中、失礼いたします。海軍所属下士官アニエスです」
 「む、時間通りだな。結構な事だ。中に入りたまえ」
 「は。失礼致します」
 未だ17歳と言う軍人としては若いと言うより幼いと表現しても良い程のアニエスは、軍服をキッチリと着こなしていた。年齢故に侮られるのを嫌う為、自他共に認める程、自分にも他人にも厳しさを求める人物である。
 「ふむ。アニエス下士官。海軍に所属し、1年で下士官へと昇格。平民かつ女性の身でありながら、上官の評価によれば格闘も銃もソツなくこなす人材との事だが」
 「は。自分に対する上官の評価までは分かりかねます」
 「ではアニエス下士官。君に出向の辞令だ。これが君の新たな任務となる。読みたまえ」
 手ずから渡された辞令を受け取り、目を通していくアニエス。その内容を読むにつれ、アニエスの全身が小刻みに震えていく。
 「拒否は認めん。だが質問ならば受けつけよう」
 「は。では何故、自分なのでしょうか。自分が平民で女である為ですか」
 「それについては偶然だな。そもそもアルトワ伯爵―正確にはその後継ぎ殿だが、彼の要望は『マスケット銃の技量に優れ』『5人程度の小隊指揮を熟せる者』という物だったからな。女をよこせ、等とは言われておらん。もっとも、候補者が君の他にもいたのは事実だがな」
 アニエスを探る様に視線をとばすマザリーニ。彼にしてみれば、アニエスの鉄の精神はまだまだ未熟というレベルである。彼女の眼には『こんな任務断りたい!』と言う思いが炎となって宿っていたのだから。
 「・・・受けたまえ。必ずや、次期アルトワ伯爵殿との繋がりは、君にとって有益な物となるだろう」
 「な、何を仰りたいのか、自分には分かりかねます」
 「君の赴任先ド・オルニエール村は我が国の西方―ガリア・アルビオンの国境近辺にある。もう少し経てば、件の後継ぎ殿がシャルル殿と一緒に来訪される。面通しも兼ねているからな、しばらく待っているが良い」
 どちらにしろ断る事は不可能。何より遠回しにダングルテールの存在を仄めかされたのである。アニエスにしてみれば、トリステインの事実上の宰相と呼ばれる男は、どれだけの事を知っているのだろうかと、背中を冷や汗で濡らす事しか出来ない。
 そこへコンコンというノックの音が聞こえてきた。
 「枢機卿殿。早過ぎましたかな?」
 「いやいや、その様な事はございませんとも、伯爵殿。チェスなど楽しみたい所ではありますが、宜しければ若君殿を紹介して頂いても宜しいですかな?」
 「おお、勿論ですとも」
 シャルルがスッと脇にどく。その後ろに立っていたのは、とにかく目立つ3人の少年少女である。
 「初めまして。シンジ・アルトワと申します。祖父シャルルより、チェス相手のマザリーニ枢機卿の事は良く伺っております」
 「私もシャルル殿から、自慢のお孫殿の事は聞いておりますぞ?」
 「ありがとうございます。それからこちらの2人ですが」
 「私はレイ・アルトワです。今後とも、宜しくお願い致します」
 「アタシはアスカ・アルトワです。レイやシンジともども、宜しくお願い致します」
 腰を曲げての挨拶に、軽く訝しむアニエス。
 「ふむ。シャルル殿から聞いてはおったが、本当に東方の出なのですな?オジギ、という礼儀作法だと聞きましたが、ハルケギニアではあまり見ない習慣ですな」
 「はい。相手に無防備な姿を見せる事で、相手に敵意を持っていない事を示す目的から始まった物らしいですが、私も詳しくは存じておりません。東方でも、日常の挨拶や目上の方への敬意を示す態度として、普通に定着してしまっていますから」
 「なるほど。所変われば所作も変わる物ですからな。とりあえず、そちらのソファーにお掛け頂きたい。それから彼女がご依頼のあった人材です」
 「海軍所属下士官アニエスと申します」
 ピッと敬礼するアニエス。自分とそう変わらない年齢の少女を紹介された訳だが、シンジ達は文句1つ言ったりはしなかった。
 「僕はシンジです。ところでアニエスさん、1つだけ聞きたい事が有ります」
 「何でしょうか」
 「貴女は人を殺す事が出来ますか?」
 突然の質問に面喰うアニエス。復讐の為に軍へ入った彼女にしてみれば、軍人が人を殺す覚悟を決めておくのは当然だからである。ただアニエスの過去を知らないシンジにしてみれば、どうしても確認しておかなければならない点があった。
 「世の中には『賊』と呼ばれる者達がいます。ただし『賊』と一括りにしても、色々な賊がいるでしょう。盗賊行為を生業としていても、その理由は千差万別です。そんな賊を貴女は殺す事が出来ますか?例え相手が食うに困った挙句に生き延びる為だけに賊になって襲ってきたとしても、貴女は賊を殺せますか?」
 「そ、それは」
 「仮に飢饉がトリステイン王国全土で起きたとします。その時、乳飲み子を助けたい一心で、剣を手に隣村の住人が集団で襲ってきたら、貴女はどうしますか?」
 言葉を無くして、目を丸くするアニエス。今までシンジの事は『単なる貴族のボンボン』『田舎伯爵家の小倅』程度にしか見ていなかったのだが、こんな質問をされるとは思わなかったのである。
 敵ならば殺して当然。だがその相手が、何の罪も無い村人になると言う事は想像すらした事がなかった。
 「・・・自分の役割は、守るべき者を守る事です」
 「殺す事は出来ませんか?」
 「賊相手ならば幾らでも非情になれます。命令とあらば、どんな指示にでも従いましょう。ですが・・・村人相手に銃口を向ける事だけは出来ません」
 「それが原因で、村人に犠牲者が出ても?」
 苦渋に満ちた表情を作るアニエス。
 「・・・はい。力無き相手に向けるべき銃口など、自分にはありません。もしそのような時が来たのであれば、この身を盾として村人を逃がす時間を稼ぐだけです」
 アニエスの言葉に、アスカとレイが黙って頷く。
 「アニエスさん。お願いします、ド・オルニエール村を守って下さい」
 「・・・私は失格ではないのですか?先程の質問はその為の物だと・・・」
 「僕達が来て欲しいのは、守る為に戦う事の出来る人です。貴女は村人を逃がす為に、その身を盾として時間を稼ぐという答えを出してくれました。ならば、その答えで十分です」
 「シンジの言う通りよ、ミス・アニエス。アタシ達が望んだ答えは2つ。1つは自分を犠牲にしてでも村人を逃がす、という物。もう1つは人を殺すという罪を罪として受け止めながらも、それを正当化する事無く守る為に戦う事が出来る、と言う物」
 「私達は力に溺れるような人を村へ招きたくないの。そんな人達を嫌と言う程見て来たから」
 「だから、僕達は貴女に約束します。もし貴女が村人を守る為に誰かを弑したのであれば、人殺しという罪を僕達3人で一緒に背負わせて頂きます」
 目の前の3人の、あまりにも貴族からかけ離れた物言いにアニエスは最早どう対応して良いのか分からず、言葉を発する事も出来ないまま困惑の極地にあった。そんなアニエスに、成り行きを見守っていたマザリーニが口を開く。
 「アニエス下士官。アルトワ領へは明日から出向してもらう。本日の勤務は終了とし、すぐに赴任の準備に取り掛かりたまえ。大きな荷物が有れば、事務方へ伝えて手配を頼むように。分かったかね?」
 「は、はい!すぐに取り掛からせて頂きます!」
 「うむ。では退室を許可する。出発時間と集合場所については、後ほど使いを送る」
 「は!失礼します!」
 遠ざかるアニエスの足音。その音が完全に消えた所で、マザリーニが口を開く。
 「彼女の事は頼みますぞ?彼女の上官も、彼女を出向させる事に対しては、随分と渋っていたようでしてな」
 「それについては心配召されるな、枢機卿殿」
 「無論、信じておりますとも。それはそれとして、こちらからも頼みたい事があるのですが」
 椅子に深々と座り直すマザリーニ。どんな話なのだろうかと、シンジ達も居住まいを正して、話を聞く体勢になる。
 「まずゲルマニア帝国皇帝陛下への表敬訪問の件です。あの一件以来、ゲルマニア帝国から友好的な雰囲気で国家同士の外交折衝を行う事が出来ています。可能であれば、また若君殿には表敬訪問に伺って頂きたい、と言う内々の要請もあるのですが」
 「アルトワ伯爵家の次期当主として、果たすべき義務であれば果たさせて頂きます。ヴィンドボナに出店している店舗の視察も行わねばなりませんし」
 「それは有り難い。であれば、日程などについては相談の上で表敬訪問の日取りを決めて頂きたい。無論、トリステイン王国としても全面的な支援に入りましょう・・・それで、これからが本題なのですが」
 マザリーニのにこやかな表情が一転、厳しい眼差しを持つ有能な政治家へと変わる。
 「アルトワ伯爵家次期当主シンジ殿。貴殿にトリステイン王国の重臣として頼みたい事がある。これはトリステイン王国の行く末に関わる事である為、他言無用に願いたい」
 「・・・どの様なご用件でしょうか」
 「貴殿にトリステイン王国を裏から支える屋台骨になって頂きたい。すなわち、各国の情報を集めて、それを報告して頂きたいのだ」
 あまりにもぶっ飛んだ内容に、シンジ達は目を丸くする。未だ成人にもならない子供にそんな事を頼むなど、酔狂どころかキチガイの戯言でしかない。
 「私は大真面目だよ。君達3人の事については、失礼ながら調べさせて頂いた。さすがに東方時代の事については調査しようがないが、それでもアルトワ伯爵領へ来てからの事なら、ほぼ調べ尽くしたと言えるだろう。それに今回の君達の申し出、一国の政治に携わる身としても、見事と言う他は無いと感心した物だ。誰も考えもしなかったのだからね。将来、スラム街の住人となりかねない者達に仕事を与える事で、村を建て直しつつ生活の場を与え、治安の向上へと繋げる事が出来るとは」
 「・・・飢えが満たされれば、悪い事を考える者は減ります。ただ、それだけの事ですよ」
 「いやいや、謙遜する必要はない。実際、この私ですら考えた事も無い政策だったのだから。君はもっと自分を評価すべきだと思うがね。何せ、私自身、その政策に手を加えてトリステイン王国の国政に活用しようと考えたのだから」
 いざとなったら介入せねば、そう考えていたのは沈黙を保っていたシャルルである。シャルルの目から見てもシンジ達3人は有能だが、いかんせん若すぎる。だから年長者として行動すべき時は行動せねばと考えていたのだが、そんな彼にしても、まさかマザリーニがここまでシンジ達を持ち上げてくるとは思いもしなかった。
 「話を戻そう。君にそれを頼もうと思ったのは、君達がトリステイン王国の住人の中で、もっとも他国に受け入れられる人物だからだ。考えてもみたまえ。珍しい商品を取り扱う店舗の経営者。更には東方で生まれ育ったが故に、相手は好奇心を擽られ、交渉の際にも防御が甘くなりがちになる。宮廷儀礼に疎くとも、見た事も無い東方の流儀でしっかり対応されれば、相手も少しぐらいは妥協してやろうと思うのは当然だ。これは商売人としても利点だが、諜報に携わる者としても利点だとは思わないかね?」
 「確かに仰る通りですが、僕には密偵の真似事なんて出来ません。そもそも思っている事が顔に出てしまうんですから」
 「何、君達に能動的に動いて貰おうとは考えてもいない。私が君達に調べて貰いたい事は2点。1つは各国の物価について。特に重要なのは火の秘薬の材料と風石、それから主食となる小麦だな。これについては店舗の従業員から、翌年の店舗の経営方針を考える為に報告するように、と伝えれば問題にはならないだろう。それからもう1つは各国の宮廷に招かれた際、不穏な人間関係に関する兆候が感じられたかどうか、なのだよ」
 マザリーニの言葉に眉を顰めるシンジ。そんなシンジの隣に座っていたレイが、ボソッと呟く。
 「戦争・・・」
 「まさに然り。そちらの青い髪の御嬢さんの答えで正解だよ。私がロマリアの出身である事は周知の事実だが、そちらの伝手からキナ臭い情報が流れてきている。トリステイン王国は、贔屓目抜きに判断すれば弱小国家とされてもおかしくない国だ。その国家の舵取りを誤らない為には、質の高い情報が必要となる。だが物価はまだしも、宮廷内の不穏な人間関係等、そう簡単に手に入る物では無い」
 「それでアタシ達に目を付けたって訳ね?やれやれ、随分とまあ高く買われちゃった物ね。アタシ達は村興しが出来れば満足なだけなのに」
 「優秀な人材であればあるほど、それに見合った仕事を与えるべきだと言うのが私の持論なのだよ。無論、対価に見合う物は用意させて頂くが。君達にとっても、戦争等は起きないに越した事はないだろう」
 確かにマザリーニの言う通り、戦争など御免こうむると言うのが3人の本音である。そういう意味ではマザリーニの言う通りに力を貸すのが正解かもしれない。ただ、本当に正解なのか?と問われれば、3人とも自信をもって頷く事は出来ない。
 「・・・今夜一晩、考えさせて下さい」
 「うむ、良い返事を期待させて貰おう。シャルル伯爵、泊まる場所がお決まりでなければ、また私の屋敷をお使い下さい」
 「そうさせて貰おうかの」

その夜―
 シンジ達はマザリーニの屋敷を『家族水入らずの散歩』と称して、夜の王都へと外出した。そしてシャルルの先導に従い、水鳥亭と言う酒場へと入っていく。
 「おう、いら・・・」
 「久しぶりじゃの。上の部屋を貸して貰えるかな?これは手間賃じゃ。それと適当に晩飯とワインを頼む」
 シャルルの顔を見て硬直した酒場の主であったが、手の中に落とされた金貨の感触にハッと正気に戻る。
 「そ、それは構わねえですが、来るなら来ると一言言って下されば」
 「何、ちょっと驚かしてやろうと思うての。それに、後継ぎの紹介もしたくての」
 「後ろの若様方ですか。では後ほど」
 「うむ。旨い飯を頼むぞ?」
 手渡された鍵を手に、勝手知ったる我が家とばかりに階段を上がるシャルル。そんなシャルルに、アスカが小声で尋ねる。
 「お爺ちゃんの知り合い?」
 「カルロの甥っ子でジャンと言うのじゃよ。戦で深手を負って兵士を辞めた際に、兄貴の様に料理人として食って行きたいと言うのでな、この酒場の建築費用を見舞金代わりに出してやった事があったんじゃ・・・お、この部屋じゃな」
 中はこじんまりとした部屋。中央に丸テーブルと椅子が4脚。身内だけで雑談を楽しみながら、酒食を楽しみたい御客向けの部屋である。
 そこへノックしながらドアが開く。そこにはワインとグラス、チーズのスライスを用意したジャンが立っていた。
 「料理が出来上がるまで、軽い物ですが」
 「おうおう、十分じゃよ。厨房の方は大丈夫かの?」
 「何、家内と若いもんが頑張ってます。紹介ぐらいの時間は平気でさあ」
 グラスにワインを注ぎ、4人に配膳するジャン。
 「ジャン。この黒髪の少年が、儂の孫のシンジじゃ。見ての通り東方の出身故に、儂やお前達が当たり前の様に知っている常識を知らん。何せ、貴族が絶対的な上位者として君臨している事にすら、違和感を感じるぐらいでな」
 「へ!?貴族様が君臨しねえで何をするんですかい!?」
 「儂もそう思うんじゃがのう。そもそも3人の生まれ育った国では、貴族はおろか系統魔法すら無いそうじゃ。まあ、それは良いとして、今後シンジが今回の様にここを使いたい時には、場所を貸してやってくれ」
 「了解でさあ。こちらも商売人、頂ける物さえ頂ければ、ちゃんと対応しまさあ」
 ジャンの返事に頷くシャルル。その後でシンジ達はそれぞれ自己紹介したが、ジャンはやはり驚いたように目を丸くした。
 「シャルル様。まさか貴族様が平民に自己紹介するなんて・・・」
 「別に貴族とか平民とか関係ありませんよ。名乗られたら名乗り返す。これは人として当たり前の礼儀ですから」
 「はああ、ぶったまげた。でもまあ、悪い気はしませんがね。若様、お姫様、もし用事がある時にはいつでも申し付けてくだせえ」
 一礼して退出するジャン。その後でワインで乾杯した後、4人は早速マザリーニの持ちかけた話の検討に入った。
 反対派はシャルル。彼にしてみればシンジは実の孫で無い以上、トリステイン王国に対してそこまでの義務感を持つ必要は無い、という考え方である。彼にしてみれば、今のシンジ達を交えた生活空間を壊されたくない、という想いもあった。
 賛成派はアスカ。彼女が賛同した訳は、やはり戦争対策である。情報を制する事で、被害を未然に防ぐ。それは村の為になる事でもある。
 「のう。無理をする事はないんじゃぞ?政治の事はマザリーニに任せておけば良いんじゃ」
 「お爺ちゃんの言う通りかもしれないけど、それだとマズイと思うのよね。枢機卿さんの情報源、どこだったか覚えてる?」
 「話の限りでは、ロマリア―恐らくは宗教庁じゃろうて」
 「正解、だとすると2重の意味で危険なのよ」
 ワインをグイッと飲み干すアスカ。
 「宗教庁で戦争の話が起き始める。これって世界中巻き込むわよ?宗教って、ある意味麻薬みたいなもんだからね。聖戦なんて美化されちゃったら、どこまで戦火が広まるか、分かったもんじゃないわ」
 「・・・聖地奪還、か。また始まってしまうのかのう」
 「聖地奪還?それってどういう物なの?」
 口を挟んできたシンジの質問に、エルフが支配する、サハラに存在すると言う聖地の伝説を語るシャルル。始祖ブリミル降臨の地ゆえに、一部の者達はエルフを倒して聖地奪還に燃えているのだ、と。
 「聖地奪還の戦は数百年前までは、何度も起きていた。だがそれを為し得た事は一度も無い」
 「エルフってそんなに強いの?」
 「エルフを倒すには10倍の戦力が必要らしいのう」
 エルフの強さに『ゲ』と眉を顰めるアスカ。3人が使徒としての能力を解放すれば問題ない強さなのは理解しているが、それでも普通のメイジが相手するにはとてつもない難敵であるのは間違いない。
 「まあお爺ちゃんの言う事が事実かどうかは別としても、そんな連中とやりあうなんて御免よ。そんな事は聖地奪還に燃えてる狂信者連中に任せておけばよいわ。アタシがやるべき事は、マザリーニ枢機卿の提案を活用してアタシ達の保身に役立てる事だと思うのよ。仮に受けなかったら、兆候を感じる事も出来ず、アタシ達の知らない所で戦火勃発。気が付いたら戦火に巻き込まれて、なんてなりかねないわ」
 「そう言われてしまえば受けるしかないがのう。じゃが、枢機卿に良い様に使われはしないかと思うと、それが心配でのう」
 「それなら良い案があるわ。まず情報入手は行うが、それは商品として買い取って頂く事を前提条件としちゃうのよ」
 レイの発言は、誰もが思いつかなかった方法である。
 「商品販売なんだから、それは取引よ。そこにおける立場は対等。私達はあくまでも販売の為に情報を入手するだけであって、情報から導かれる推論とかはマザリーニ枢機卿にやって頂きます、と言うの。そもそも私達、政治に関しては素人なんだから。下手に口を出さない分、枢機卿にとっても良いと思うの」
 「ふむ、それならば情報販売相手は枢機卿個人にすべきかもしれぬのう」
 「その方が良いかもね。そこはお爺ちゃんの出番かしら?舞踏会にすら出席した事も無い子供に、諜報組織運営は保護者の立場として容認しかねる。せめて情報売買程度に留めて頂きたい、とね」
 「なるほど。儂の立場からすれば当然の意見じゃな。よし、その方法で行くとするかのう」



ド・オルニエール村の発展度
人口56人(+2:アニエスとアニエスの部下となる兵士1人)
知名度:ゲルマニア国内でも知られつつある。薬・化粧品の産地として脚光を浴びつつある。騎士シャルルの領地。
裕福度:標準的な農村。他では見られない、特産品を貨幣収入の主軸としている。



To be continued...
(2013.08.03 初版)


(あとがき)

 紫雲です。今回も読み下さり、ありがとうございます。
 今回のテーマは人手不足。リアルでも過疎化している村でお悩みの問題な訳ですが、それをハルケギニアに当てはめてみました。
 原作を見る限り、やはり王都トリスタニアは平均よりも裕福な都市ではありますが、それでも貧富の差はあります。具体例がルイズの挙げている貴族崩れや、傭兵崩れ。いわゆる破落戸ですね。また外国にはなりますが、悪意が無い者としてはティファニア達ウェストウッド村の孤児達もいます。特に後者はティファニアの素性も有り、マチルダ姉さんことフーケがいなければ確実に野垂れ死には間違いありません。そういう人達への社会福祉政策と振興政策の一石二鳥になるのが、シンジ達の政策になります。結果がどうなるかは次回書かせて頂きます。
 話は変わって次回です。
 村の建て直しに東奔西走するシンジ達。そこへロンディニウムに出店したお店から届いた緊急連絡。それは友人であるウィルからの物だった。
 ウィルの頼みを受けてアルビオンへと向かうシンジ達。そこで出会ったのは1人の少女だった。
 そんな感じの話になります。
 それでは、また次回も宜しくお願い致します。



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