第八話
presented by 紫雲様
決闘騒ぎの翌日―
アスカの異能による治療のおかげで怪我を完治させた才人は、主であるルイズとともに学園の廊下を歩いていた。
「だから剣が必要な訳!次の虚無の日に買いに行くわよ!」
「剣かあ・・・そういや、あの脇差綺麗だったなあ。ああいう物なら、確かに欲しいな」
「・・・む、あんなに細い、折れやすそうな剣のどこが良いのよ!」
シンジに貸して貰った左文字を思い出し、つい本音を零した才人に、ルイズがムウッと頬を膨らませる。
「いや、だってなあ。あの脇差、シンジが言った通りの代物なら、とんでもない価値のある宝物なんだぞ!」
「あれが?小鬼の棍棒受け止めたら、ポッキリいきそうなのに?」
「あのなあ、あれが言った通りの物なら、少なくとも作られてから400年は経ってるんだ。それも魔法なんて使わずに、だ。当然、固定化の魔法もかけられていない。普通ならどこぞの博物館や美術館に目玉商品として陳列されていてもおかしくないんだぞ?」
「・・・400年?固定化の魔法を使わずに?そんなの嘘よ!」
「いや、俺の国じゃ、それがありえるんだわ。1000年前の刀だって、未だに現存してるからな。勿論、錆びないように厳重保管されてるだろうけど。まあざっと数えてみても」
天下五剣である童子切り、鬼丸、三日月宗近、大典太、数珠丸。正宗や村正、備前長船や孫六、兼定や同太貫。更に刀でこそないが、蜻蛉切や日本号と指折り列挙しながら挙げていく。
「まさかゲームでしか見た事ない刀持てるなんて思わなかったぜ。また貸してくんねえかなあ」
「つ、使えなきゃ意味無いわよ!硬い物斬ったら折れて終わりじゃない!」
「いや、日本刀って使う奴が使えば、平気で鉄の鎧斬り裂いちまうんだが。兜割なんて技があるぐらいだしな」
「な、何なのよ、それは!魔法も使わずに、どうしてそんな真似が出来んのよ!」
「そりゃまあ、職人芸?刀鍛冶も剣術家も、全て投げ打って技を磨いている訳だからな。それぐらい出来てもおかしくないんじゃねえの?俺はゴメンだけどな」
そんな与太話をしながら歩き続ける2人。だがその足は、廊下を埋め尽くす人混みの前に強制停止を余儀なくされる。
「あら?貴女達も噂を訊いてきたのかしら?」
「げ、ツェプルストー!」
露骨に嫌そうな表情を見せるルイズに、キュルケは視線を外すと才人に思わせぶりな視線を向ける。
「な、何だよ」
「ウフフ、別に何でも無いわよ。ねえ、タバサ」
その声に、ひたすら読書に夢中な青髪の少女がコクッと頷く。その光景に『何でタバサは着いて来たんだろう?』とルイズが首を傾げる。
「ま、良いわ。それより噂って何なのよ?」
「アルバイト募集だって。オーク鬼やトロール鬼、オグル鬼の殲滅戦の人手募集らしいわよ?」
「はあ!?」
素っ頓狂な叫び声を上げるルイズ。そこへ背後から声がかけられた。
「やあ、朝から元気だなミス・ヴァリエール。サイトも元気そうで何よりだ」
「ああ、ギーシュか。あんな人がいるけど、そんなに好奇心擽られるアルバイトなのか?」
「まあそうだろうね。オーク鬼もトロール鬼もオグル鬼も、人間とは決して相容れられない連中だ。しかも手練れの戦士5人で、やっと1体と互角に戦えるような強さなんだ。そんな仕事の募集なんて誰もやりたくないだろうけど、好奇心を擽られるのは雇い主に原因があるんだ」
「雇い主?」
「ミスタ・アルトワだよ」
納得する才人とルイズ。才人は後から聞いただけなのだが、ルイズはシンジとレイの戦いぶりを直接目撃している。故に、騒ぎになるのも仕方が無いと判断出来た。
「3人とも、コルベール先生の監督の下、今回の件を進めているみたいだ。出発は3日後、僕もミスタ・アルトワから要請があって参加する事に決めたよ」
「アンタが!?」
「そうとも。何でも僕のワルキューレとヴェルダンデが必要だと言われてね。面白そうだから参加する事に決めたのさ。身入りも納得できる物だったしね」
実家は公爵家ではあれど、内情は火の車同然なギーシュのお小遣い事情は決して裕福とは言えない。
だからこそ『懸賞金頭割り』というアルバイト代の条件に、彼はアッサリと頷いたのである。決してモンモラシーとのデート費用をケティとの交際費に流用してしまったからではない。
「君達も参加しないか?特に才人、君はこちらに召喚されてしまったからこそ、着の身着のまま。使い魔では職に就いて収入を得る事も出来ない。だったら、ここで稼いでおいた方が良いんじゃないか?」
「それは良いかもなあ。服の替えも買いたいし」
「・・・待ちたまえ。ルイズ、君は彼に服を買ってやらないのかい?」
「だから次の虚無の日に王都へ行こうと思っていたのよ!」
「・・・それまで着の身着のままなのかい?」
シーンとなるギーシュとキュルケ。幾らなんでもそれは無いだろうと、憐みの籠った視線を才人に注ぐ。
「ああ、それは大丈夫だ。下着はシンジが譲ってくれたからな。それ使ってるよ」
「彼が?」
「ああ、アイツ何でも出来るんだな。布を切って、自分で裁縫して作ってるんだよ。俺も驚いたぜ」
主婦スキルをスクウェアレベルで無駄に発揮させるシンジに、ギーシュ達は言葉も無い。買っておいたのを譲ったならともかく、下着を自作する貴族等前代未聞である。
「何と言うか、彼って貴族らしくないわね」
「それについては同感だよ。でもまあ悪い男じゃないけどね。寧ろ彼、王宮内では密かに評価が高いって知ってるかい?」
「・・・そうなの?」
「父上がそう言ってたよ。彼とは仲良くしておけってね。父上だけじゃない、ヴァリエール公爵や、マザリーニ枢機卿も高い評価をしているそうなんだ」
「お父様も?」
目を丸くするルイズ。もしその父親が、長姉であるエレオノールをシンジに降嫁させようとしていた事を知った日には、間違いなく姉を祝福したであろう。これでもう、虐められなくて済む、と。もっとも、それがバレタ日には3倍返しは確定事項だが。
「・・・なあ、ルイズ。参加しちゃ駄目かな?俺はさ、自分に何が出来るのか、それすらも分からない。ただこのルーンのおかげで、何か力を発揮できる事ぐらいは分かるんだ」
「・・・まあアンタのルーンを調べるのは、意味がある事だから賛成してあげるわよ。けど、アンタの役目は私を守る事なの!」
才人を引っ張りながら人混みに突撃していくルイズに『素直じゃないわねえ』と呆れた様に呟くキュルケ。彼女もまた好奇心を擽られ、親友タバサを連れて後ろに続き―
「何よ、これえええええええ!』
ルイズの叫びに、何があったのかしら?と覗き込むキュルケ。それはアルバイトの掲示物の一文の最後。学院長であるオスマンの命令として、今回の件に強制参加となる者の名前が書かれていたのである。
『青銅』のギーシュ・ド・グラモン。
『使い魔』ヒラガサイト。
『核撃 』のルイズ・フランソワーズ。
「おお!強そうな名前だな!しかも名付け親はシンジか、隅っこに小さく書いてあるな」
「強そうなら何でも良いって訳じゃないでしょうが!と言うより、アイツは何考えてんのよ!」
「いやいや。核熱 とか爆炎 とか神罰の炎 とか、名前の候補は数え上げればキリがないからなあ。それにフレアは縁起が良いぞ?パワーアップすればメガフレアとかギガフレアに進化する」
「そんな縁起はいらないわよ!」
ガーッと吠えるルイズ。そこへポンポンと手を叩きながら割って入る人影。
「こんな所で騒ぐ物じゃないわよ。2人とも」
「ああ、アスカさんか。騒がしくしちゃってゴメンな」
「呼び捨てで良いわ。それに反省しているなら構わないわよ。それより才人。アンタ、武器を持っていないでしょう?時間があるなら、今から街へ行くわよ?」
思ってもみなかった申し入れに『ラッキー』と喜ぶ才人。
「ミス・ヴァリエール。貴女も来るでしょう?学院長の許可は頂いているから、すぐに行く」
「失礼。その話、私も噛ませて頂けないかしら?」
「・・・げ、ツェプルストー」
ジト目になるルイズ。対するキュルケは胸を揺らしながら、ズイッと歩み出る。
「タバサも着いて来てくれる?」
「・・・分かった」
「そう。じゃあすぐに出発よ。正門前に馬車を用意してあるわ」
王都トリスタニア―
アスカ達は王都トリスタニアへと馬車を走らせた。しかし5人も乗るには狭すぎる為、上空からシルフィードに乗ったタバサとキュルケが後に続く。
片道約3時間の行程を経て到着したのは、トリステイン王国最大の都市、王都トリスタニアである。
城門前で馬車を預け、中へと入る一行。門番である兵士はアスカに気付くと、顔パスで中へと通してしまう。
「・・・アスカ、知り合い?」
「そうよ。向こうは定期的に代替わりしてるけど、引き継ぎはしっかりしてくれているから、何も問題は無いわね」
「随分とまあ、信用されているのね」
感心したようなキュルケ。そんなキュルケにニッコリ笑うと、アスカは顔馴染みの水鳥亭へと足を向ける。
「・・・ここ、酒場?」
「知り合いが経営しているわ。信用出来る武器商人を紹介して貰うのよ」
「なるほどな。ジモティーに訊けば、そりゃ間違いないわ」
時刻は昼過ぎ。まだ酒場が始まるには早すぎる時間だが、仮眠前の仕込みの為に、主であるジャンは妻とともに厨房で働いていた。
「・・・営業は暮れからだ!悪いが、って姫様じゃねえですか!こりゃ失礼を!」
「気にしないで。貴方に教えて欲しい事があるの。この王都で貴方が信用出来る武器商人を教えて欲しいのよ」
「武器商人ですか?それなら・・・そうだな、裏通りにあるピエモンの秘薬屋をご存知でしょう?あの向かいにある店を訪ねて下せえ。銅の看板が出てますから、行けば分かります」
「そう、ありがとう。それから翌々週の虚無の日に、10名ぐらいで打ち上げに来るから、料理とお酒の予約をしておくわね。代金は先に払っておくわ」
「おお、そりゃあ頑張んねえと!」
金貨を数枚手渡され、ホクホク顔のジャン。アスカ達は今までにも何度かお店を利用しているのだが、彼にしてみれば旧主の孫よりは、お得意様という関係になっていた。
「若様ともう1人のお姫様にも宜しくお伝え下せえ!」
「ええ。それじゃあ予約の件は宜しくね」
店を後にし、言われた場所へと向かう一行。饐えた臭いの通りを歩く中、ふとルイズが口を開いた。
「アスカ。先程の平民は、どんな関係なのかしら?」
「・・・昔、アルトワ伯爵家に仕えていた兵士。でも名誉の負傷で兵士を廃業した後、祖父の支援を受けてあの店を興したわ。その関係で、私達はあのお店を良く利用しているのよ」
「一兵士にそこまでするなんてねえ。騎士シャルルの名前は伊達じゃないって事か」
思わず足を止めるアスカ。その視線はキュルケへと向けられる。
「噂通りの高潔な方みたいね。個人的には好感が持てるわ。大半の貴族は、平民がどうなろうが知ったこっちゃない、って具合だから」
「・・・噂?キュルケはアスカ達のお祖父さんを知ってるのか?」
「有名人よ。『騎士』の二つ名を持つシャルル・アルトワ伯爵。系統魔法の使い手が、その魔法から連想される特徴に見合った二つ名を付けられる中、彼は違った。二つ名は騎士。それだけでも、どんな人なのかは分かるでしょう?」
キュルケの言う通りである。だからこそ、シャルルの事を知らない才人とルイズは感心したように頷き、傍らを歩いていたタバサは読んでいた本から顔を上げていた。
「そんな事より、今は武器を手に入れましょう。ここみたいね」
ギーッと音を立ててアスカが戸を開ける。そこは無数の武器に埋め尽くされた倉庫。大小様々な種類の白兵戦武器が鎮座する空間。
その一番奥に、1人の男が座っていたが、一行を見るなり慌てて立ち上がる。
「うちはまっとうな商売をしてまさあ!お上に目を付けられるような事なんざ、これっぽっちもありませんぜ!」
「水鳥亭の主ジャンの紹介で来たわ。武器の相談に乗って欲しいのよ」
「ジャンの紹介ですかい?」
とりあえず椅子を出して『座って下せえ』と勧める武器屋の主。
「武器が欲しいのは彼。こちらとしては長剣、鈍器、投げナイフを見繕って貰いたいの」
「なあ、どうして鈍器なんだ?すっげえかっこ悪いイメージがあるんだが」
「鈍器は優秀な武器よ。刃毀れはしないし、防御力の高い相手にもダメージが通る。どんな相手にも、常に一定のダメージを与えられる確実性の高い武器。それが鈍器なの。予備武器として1本ぐらいは持っていて損は無いわ」
レイの説明に『へえ』と感心する才人。一方、ルイズやキュルケは『鈍器い?』と嫌そうな顔である。
「欲を言えば長剣よりも槍が理想だけど、置いてあるかしら?」
「・・・へえ、置いてありやす。それも極上の逸品が。しかしながら、失礼ですが貴族様にしては武器の知識に詳しいようで」
店主が自慢の逸品を取り出す。それは純銀を固定化させた刃を持つ、長さ2メイルにも及ぶ両手槍である。
「ゲルマニアの高名な錬金術師シュルペー卿の作品です」
「・・・これではダメよ。確かに穂先は素晴らしいけど、実戦向きとは言えないわ」
「貴族様、そりゃあどういう意味ですかい!」
「柄が貧弱なのよ。槍と言うのは遠心力を最大限に活用して、相手の射程外から叩きのめすのが有効な使い方なの。この槍は、それを想定して作られていないわ。これを作った人、確かに刃を作るのは得意みたいだけど、武器職人とは言えないわね」
槍をソッと店主に返すアスカ。だが店主は気を悪くする事も無く、返された槍を受け取った。
「貴族のお姫様の知識だけと見くびりやした、申し訳ございません。ですが、どこでそんな知識を?武器を扱う私ですら、槍とは刺す物だと思っていやしたが」
「一通りの武器は、広く浅く修めているわ。仕方ないわね、長剣で良いのは」
「・・・こりゃあ驚れえた。まさか嬢ちゃんみたいな小娘が、そんな専門知識知ってるなんてな」
聞き覚えの無い声に、キョロキョロと辺りを見回す一同。そこへ『ここだよここ!』と更に呼びかける。
「おい、デル公!お客様の前だぞ!少しは黙れ!」
主が肩をいからせながら、長剣を無造作に放り込んだ樽に近寄り、その中から1本の長剣を取り出す。
「まさか、インテリジェンスソード!?」
「そういう事でさあ。確かにインテリジェンスソードなんですが、これが問題でして」
そう言いながら錆びついた刀身を見せる店主。その錆びつき方に『勿体ない』とキュルケとルイズが溜息を漏らす。
「おまけに悪口雑言罵詈雑言とくれば、売れる訳が無いのも道理でさあ」
「お前の所の品揃えが悪いだけだろうが、人のせいにすんじゃねえよ。それより嬢ちゃん、あんたそこの坊主の武器を見繕ってるんだろう?俺を買って行けよ、絶対に損はさせねえぜ」
「・・・錆びていては切れ味も耐久力も期待出来ないじゃない」
「待て待て、俺様の本領はそこにあるんじゃねえ。俺の本領は守りにあるんだ」
この言葉は意外だったのか、アスカが返しかけていた踵を戻す。
「俺は持ち主に警告を与えるのが役目なんだ。例えば後ろから狙われてるぞ、とか正面から矢が飛んできてるぞ、とか。見た所、その坊主はズブの素人だろう?生き残らせたいなら、俺はきっと役に立つぜ?」
「・・・確かに。それはとても重要な事ね・・・才人、どうしたい?この剣に命を預けたい?」
「そうだな・・・でもこれでも力は発揮されるのか?」
脇差を手にした時の事を思い出し、錆びたインテリジェンスソード・デルフリンガーを左手に持つ。瞬間、決闘騒ぎの時と同じ状態となる。
「・・・驚れえた。坊主、おまえ使い手だったのか」
「使い手?」
「いや、俺も良く覚えてねえんだが、ふと頭ん中に浮かんできたんだよ」
それ以上は何も情報は得られないと判断したのか、才人は試しに軽く振ってみる。すると思っていた以上に手に馴染む感触に目を見張った。
「軽い・・・まるで重さを感じねえ」
「どうだ?俺を買う気になったかい?」
「・・・そうだな、錆びは研げば落ちそうだし」
チラッと店主を見る才人。対する店主は肩を竦めながら『新金貨で80』とだけ告げる。
「それじゃあ、あとはメイスと投げナイフを5本追加で。合計100で良いかしら?」
「十分でさあ。ジャンの知り合いからは、それ以上は頂けやせん」
あっという間にまとまる商談。アスカが代金を出そうとすると、主の面目があるのか、先んじてルイズが支払う。
「私が才人の主なんだから、私が支払うわ!」
「そう?分かったわ」
アッサリ引き下がるアスカ。ルイズは満足そうに支払い、ウンウンと頷いている。
「あとは生活必需品を買って、シンジにナイフを渡すだけよ」
「これを?何で?」
「ナイフは投擲武器として使うには、バランスが悪いのよ。それを解決する為に、ナイフの後ろに布を縛るのは当然。布はシンジが用意しているわ」
『毎度ありがとうございました』と言う声に見送られて外へ出る一行。そのまま才人の替えの服を購入しに服屋へ向かおうとしたのだが、その途中で才人が思い出したように口を開いた。
「そういえば、シンジ達は?」
「シンジとレイは別件で行動しているのよ。色々と事前準備があるからね」
「ふうん。ギーシュも参加するんだろ?どんな事になるんだろうな?」
「そうねえ。一言で言えば系統魔法の既成概念を壊すってとこかしら。系統魔法絶対至上主義を覆し得る光景を見せてあげるわ」
アスカの爆弾発言に、ギョッと足を止めるルイズとキュルケ。タバサは眉を顰めてアスカを見つめる。
「さ、他の買い物済ませて学院へ帰りましょう」
討伐当日―
結局、自発的に討伐へ参加を希望したのはキュルケとタバサ、そして意外な事に戦いは嫌いと公言しているモンモラシーである。
モンモラシーはその性格と、治癒を得意とする水の使い手である事から、誰もが治療役として参加しているのだろうと思った。
あとはシンジ達3人とその使い魔3名、ルイズと才人とギーシュ、フレイムとヴェルダンデ、シルフィードにロビン(ただしシルフィードは甲板で待機が決まっている)というメンバーである。
「さて、じゃあ行こうか」
「なあ、シンジ。コルベール先生はどうした?」
「あの人にはやって貰う事があってね。ちょっと仕事をお願いしているんだ。帰りには合流出来ると思うよ。代わりに引率役を呼んであるんだ」
シンジ達がいるのは、学院の正面入り口から少し離れた場所にある草原である。遮蔽物など一切ないそこには、漆黒に塗られた一隻の飛行船が鎮座していた。
「あら?あれって数年前から定期飛行船として就航した船じゃないかしら?」
「そうだよ。詳しい事は後でね」
全員でワイワイガヤガヤと飛行船に乗り込む。内部の機関要員として働いている者達とすれ違う度に、彼らは『若様、姫様、ご武運をお祈りしております』と丁寧に頭を下げていく。
「ううん。さすがに心配しすぎじゃないかなあ。まともにぶつかるつもりなんて全く無いのに」
「ああ、やっぱりあんた達に言ってたんだ」
「そりゃまあ、うちの領地の人達だし」
そのまま臨時のミーティングルームとして用意された、ロビールームへ向かう一同。そこには金髪のショートヘアに緑の瞳、質素だが堅実な軍服に纏った女性が待ち受けており、シンジ達が入室するなり敬礼を行ってきた。
「おはようございます、若様、姫様」
「おはよう、アニエスさん。早速ミーティングを行いたいんだけど、準備は良い?」
「任せて下さい。地の利に関する情報を入手出来たおかげで、非常に信頼性の高い作戦を構築出来た物と自負しております!」
各自がとりあえず荷物を置いた所で、用意されたテーブルを囲む様に座り直す。
「アニエスさん、自己紹介をお願いできますか?」
「は!私はトリスタニア王国海軍所属下士官、現在はアルトワ伯爵領ド・オルニエール村に公務として出向中のアニエスと申します」
「・・・ミスタ・シンジ?海軍って事は、彼女は平民なのかい?」
「そうだよ。ただ実力は折り紙つきだけどね。僕、彼女に勝てないから」
シンジの発言に目を丸くする一同。驚かないのはアスカとレイ、それにポーカーフェイスを貫くタバサだけである。
「若様。表現は正確にお願い致します。魔法を全て封じたまま、私と戦おうとするのが間違いなのです」
「だってしょうがないでしょ?僕の力は手加減出来ないんだから。幾らアニエスさんが有数のメイジ殺しでも、僕の力は防げないんだよ?」
「「「「「「メイジ殺し!?」」」」」」
キュルケとルイズは警戒感を露わにし、モンモラシーはギーシュの影に隠れ、ギーシュは彼女を守ろうと立ち上がる。
「席にお座り頂きたい!これより最初に戦うオーク鬼の潜む廃墟に関する情報と、その討伐に伴う基本戦術を説明させて頂く!」
軍人らしいドスの利いた声に、慌てて席に着く一同。アニエスの貫禄勝ちといった所である。
「基本戦術はとにかく単純にさせて頂いた!これは貴方様方の実戦経験の少なさと、相手の知能の単純さを考慮し、複雑精緻な作戦よりも単純な作戦の方が確実性があると判断した為である!」
基本作戦は囮作戦。ワルキューレを使って誘き出し、トラップに嵌めた上で包囲殲滅を行うという物である。
「キュルケ様、タバサ様、ルイズ様の3名は遠距離からの魔法攻撃。ギーシュ様はゴーレムを利用しての囮・壁役と、使い魔による落とし穴の作成。若様方の使い魔の方々は最悪の事態に割り込む予備戦力として戦場に注意を払い、必要に応じて参戦。それから後方射撃部隊として若様や姫様、才人殿。射撃部隊の支援役としてモンモラシー様。戦術指揮官はレイ様にお願いします」
テーブルに乗っている地図は合計10枚。それら全てが違った廃墟を示している。だが1つとして基本作戦が変わることは無かった。
一通りの説明を受けた所で、フウッと全員が溜息を吐く。
「それじゃあ、サウスゴータ到着までの間は自由にするからね。到着予定時刻は明日の早朝だから、夜更かしだけはしないように。それからアニエスさんは」
「はい、分かっております。例の件ですね?」
「そういう事。と言う訳でみんなを個室へ案内したら、戻ってきて頂けますか?その間に、こちらも準備を整えておきますから」
翌朝、サウスゴータ―
現在、レコンキスタに攻められているアルビオン王国。それでもかろうじて戦線を維持できているのは、偏にアルビオン南部地方最大の都市サウスゴータが健在である為。
サウスゴータ太守エドワードは、アルビオン皇太子ウェールズの懐刀として認識されており、レコンキスタもエドワードを取り込む事は最初から断念していた。その結果、アルビオン南部地方はエドワードの影響力もあり、未だ王党派に与する勢力地となっている。そしてサウスゴータ経由で王党派は物資の補給を続けており、サウスゴータは文字通り王党派の生命線と評しても過言ではなくなっていた。
勿論、サウスゴータ全てが一枚岩という訳では無い。事実、レコンキスタに与するべきだという意見も存在している。
その意見を完全に封殺する事は不可能である為、エドワードは苦々しく思いながらも、親レコンキスタ派貴族を放置せざるをえないでいた。
そんな折、いよいよレコンキスタがサウスゴータを本格的に武力制圧に取り掛かろうという気配が濃厚になり、エドワードは愛娘であるマチルダを過去の一件で知り合いになった少年に預け、自らは皇太子―ひいてはアルトワ伯爵領へ潜伏中の主モード大公の為に、最後の時まで戦い続ける覚悟を決めたのである。
「久しぶりですな、シンジ殿。過日の際には、誠にお世話になった」
「こちらにも通すべき義理がありましたからね。それでマチルダさんについてですが、彼女はこちらで保護致します。代わりに、お願いしたい事があるのですが」
「何かな?私に出来る事であれば、何なりと引き受けよう」
「サウスゴータと命運を共にするのは諦めて下さい。今はそれだけしか言えませんが、必ずここへ帰ってこられます。ですから、どれだけみっともなくてもウィルの近くにいて下さい」
自らの領地を守りきれず奪われる。これは貴族として最大の屈辱である。能力的には無能と判断され、先祖に対しては申し開きも出来ない失態なのだから当然である。加えて自らの命惜しさに逃げ出した臆病者、という烙印まで押されるのは間違いない。
「ウィルには貴方が必要なんです。年長者として年若いウィルを補佐できる、経験豊富な人が居なければ、僕の仕事の意味が無くなります」
「・・・私に生き恥を晒せと?」
「はい。僕を、ウィルの友人である僕を信じて下さい!」
頭を下げるシンジに、困った様な表情を見せるエドワード。そこへ凛とした声が響いた。
「お父様。信じましょう。ミスタ・アルトワはあの時も私達の窮状を救って下さいました。だから、信じましょう」
朝焼けの中、歩み寄ってきたのは美しく成長した20歳のマチルダ・オブ・サウスゴータである。求婚者には困らない彼女だが、未だに独身。宮廷雀の噂によれば、皇太子ウェールズとの仲が囁かれる彼女は、ドレス姿ではなく動きやすい乗馬用の衣服を着込んでいた。
「久しぶりですね、シンジさん。アスカさんやレイさんも元気そうで何よりです。でも本当に変わらないんですね」
「ウィルの奴、存外にお喋りなのねえ」
「そう言わないで上げて下さい。あの方は、本当に貴方達の事を気にかけていらっしゃるんですから」
女性同士で話が盛り上がりだすアスカ達。そんなアスカ達を見ながら、シンジが口を開いた。
「例え99回敗北しても、最後の1回だけ勝利すれば勝者となる。99回勝利しても、最後の1回に敗北すれば敗者となる。それが歴史の必然です。その1回の為に、今は恥辱を甘受して下さい」
「・・・分かった。本来なら、あの一件で無くなっていた命だからな。君の言う通りにしよう」
「ありがとうございます。必ず、期待に応えてみせます」
再会を約束する言葉を告げると、シンジはマチルダを加えて用意されていた3台分の馬車へと向かう。
「アニエスさん。例の件はお願いします。必要経費は事前の指示通りに」
「は!了解致しました!若様、姫様、ご武運をお祈りしております!」
アニエスはシンジと別れ、エドワードの下に残る。これからエドワードの協力を得て、その時の為の準備に取り掛からないといけない為である。
馬車を引っ張る馬は、アスカの指示通りに走り出す。その姿が完全に視界から消えた所で、エドワードがゆっくりと振り向いた。
「ではアニエス君、君の仕事を手伝うという事だが、私は何をすれば良いのかね?」
「はい。まずは日持ちする食料と火の秘薬、水の秘薬の確保です」
「ふむ。ならば我が家にある分も持っていくと良かろう。レコンキスタにくれてやるぐらいならば、君達にあげた方が良いからな」
その日の日中―
シンジ達は最初の遺跡へ辿り着いた。遺跡からかなり離れた所に馬車を置き―フレイムが留守番役として馬車と一緒に居る―そこから遺跡までテクテク歩いてきたのである。
同時に上空からタバサがシルフィードに乗って偵察も行っており、事前情報と比較しても大きな違いが無い事が報告される。
「じゃあギーシュ。まずはヴェルダンディに」
「任せたまえ」
シンジ達がいるのは、両側を崖に挟まれた狭隘の道。下り坂の途中に、彼らは陣取っていた。
ヴェルダンディが仕事を進める中、シンジ達は最後の打ち合わせに入る。
「キュルケさん、ルイズさんは崖の上に陣取って、敵の頭上から魔法で狙い撃ち。遠慮はいらないからね。タバサさんはシルフィードに乗って、ギーシュの囮作戦のフォローと高所からの魔法攻撃。もしキュルケさんやルイズさんに危険が迫ったら、その時は救出を優先して欲しい」
「「「分かったわ」」」
「銃での狙撃組は、ここから少し離れた所で狙撃。ただレイは万が一を考えて、敵が落とし穴を飛び越えてきた所を狙い撃ちにする事を優先。もしそれが失敗した場合には、アスカと才人は白兵戦に。僕とレイ、モンモラシーさんは脇に一端避難して、アスカ達を射線軸から外す事。あとレイは戦術指揮官として動いてね。作戦変更はレイに任せるから」
コクッと頷く射撃組。
「カヲル君、チビ波、キョウコさんは後方で予備戦力として待機。もし危険が迫ったら各自の判断で戦線に割って入って」
「ふふ、楽しみだねえ。シンジ君と一緒に戦う事が出来る日が来るなんて、思わなかったよ」
「アスカ。無理はしないでね」
「お姉ちゃんもね」
和気藹々とした空気が流れる中、指示を受けていないマチルダが『私は?』と問いかける。
「マチルダさんの魔法使いとしての実力は?」
「土のラインよ」
「じゃあ、ゴーレムとか作れますか?今、ヴェルダンディが作っている落とし穴。その中にゴーレムを使って敵を放り込んでください」
その指示に、軽く杖を振うマチルダ。不格好ながらも、身長2メイル程の土のゴーレムが姿を見せる。
「元が土だから、簡単に復元できるわ。耐久力は指折りよ」
「完璧です。ギーシュ、ヴェルダンディの方は?」
「準備OK!指示通りに穴を掘ったよ!」
「了解!じゃあ、ギーシュはタバサさんと一緒に行動を。モンモラシーさんは練習通りに頼むよ。焦らなくても良いから、確実に水を飛ばしてね?」
「分かっているわ」
ギーシュがワルキューレを作りあげると、シルフィードに乗る。これにより上空からギーシュはワルキューレの操作だけに専念出来るようになる。
その間に、狙撃組はシンジが用意したマスケット銃の準備に取り掛かる。本数は合計12丁。それを3丁ずつシンジ・アスカ・レイ・才人が手にする。
「これは試作型。命中率と威力、射程距離が向上しているから」
「火薬でも増やしたのか?」
「ライフリングを刻んだんだよ。弾頭はライフル弾のように円錐型。すでにアニエスさんに試射もして貰っているけど、合格点を貰っているよ」
「相棒、俺の出番が来たら、ちゃんと使ってくれよな」
マスケット銃を手にする才人の背中で、デルフリンガーが不満そうに呟く。接近戦を活躍の舞台とする剣であるデルフリンガーにしてみれば、今回の射撃戦は不満の残る戦いなのだから仕方ないかもしれないが。
やがて、遺跡の方から聞こえてくる咆哮。その時が来た事を理解し、各自が持ち場につく。
そして上空をシルフィードが駆け抜け、その後をワルキューレが追いかける。更にその後をオーク鬼とトロール鬼の集団が地響きとともに追いかける。
「準備は良いわね・・・全員、撃ちなさい!」
レイの声とともに、狙撃組が一斉にマスケット銃を発射。放たれた弾丸が、先頭を走っていたオーク鬼に突き刺さり、問答無用で崩れ落ちる。
新たな敵の出現に、ますます激昂する鬼達。そこへ遅れて上空から降り注ぐ一撃。
キュルケのファイアボールが、タバサのアイシクルランスが、ルイズの爆発魔法が同時に鬼の集団の真ん中に突き刺さり、大惨事を引き起こす。
混乱に陥る鬼達。そこへ更にシンジ達の放った弾丸が突き刺さり、地面に崩れ落ちていく。
「チッ!煤が貯まるの早い!まだ2発目よ!」
使えなくなったマスケット銃をモンモラシーに手渡すアスカ。それを受け取ったモンモラシーは、練習通りに動き出す。
まずは銃身が歪まないように、ギーシュが錬金していた青銅の筒―丁度、縦に割ったように2つに分かれている―を被せる。その上で用意していた真水を砲身の中に注ぎ、魔法を唱えて水流を発生させる。
これにより銃身の中の煤は除去。水を捨てた後で、もう1度魔法を唱えて、今度は水分を完全蒸発させ、最後に青銅の筒を外す。
「出来たわよ!」
「ダンケ!」
「こっちも頼むぜ、モンモン!」
次々に放たれる射撃の為に、想定以上に煤の溜まる速度が速い事に気付くレイ。
「みんな、少し早すぎるわよ。マチルダさん、ゴーレムを進軍。落とし穴に放り込んでちょうだい。それからギーシュもワルキューレを敵陣に突入させて」
レイの指示に動き出す2人のゴーレム使い。そしてゴーレムが突入する直前に、3種類の攻撃魔法が鬼達に降り注ぐ。
鬼達は強引に戦線を突破しようとするが、落とし穴という防壁を越える事が叶わない。もし下り坂を全力で駆け下りていれば不可能ではなかったが、混乱で足止めされている現状では、そんな事は望むべくもない。
次々に数を減らしていく鬼の群れ。その内、逃走を選択し始める個体が現れ出す。
「作戦変更するわよ。才人、これを使いなさい!」
手渡された、銃身を途中でカットしたようなマスケット銃を構える才人。その瞬間、ガンダールブのルーンが、この武器を把握する。
「・・・マジかよ・・・行くぜ」
轟音とともに火を噴く『グレネードランチャー』。着弾した弾丸は、鬼を纏めて3体吹き飛ばす。
キュルケの扱うファイアボール並みの破壊力に、目を丸くする一同。
「こいつはとんでもねえな。確かに系統魔法に拘る理由なんてねえわ」
更に2発目を撃つ才人。だが煤が貯まってしまい、3発目は断念してマスケット銃での射撃に戻す。
次々に放たれる弾丸と魔法攻撃を前に、鬼達は例外なく討伐された。
それから10日後―
シンジ達は無事に鬼達の討伐以来10件を熟していた。アルバイトとして参加していた者達は、約束通り討伐懸賞金を入手。1人当たり800エキューという臨時収入にホクホク顔である。
ルイズはキュルケとワインの飲み比べ勝負。タバサは黙々とハシバミサラダを食べ続ける。ギーシュはモンモラシーの隣に座って歓談し、才人は一度として振って貰えなくて拗ねてしまったデルフリンガーを宥めるのに手一杯。キョウコは膝の上にチビ波を乗せて料理を楽しみつつ、カヲルとワイン談義に花を咲かせている。
そしてシンジと別れて独自行動を取っていたアニエスと、帰りにサウスゴータで合流したコルベールも、この打ち上げに参加している。ただ惜しむらくは、アニエスはこの仕事を最後に王都―海軍への復帰命令が下っていた。
その為、祝勝会はアニエスとのお別れ会も兼ねる事になったのである。
「アニエスさん。この5年間、協力ありがとうございました」
「いえ、こちらこそお礼を言いたい所です。特にこれは大切に扱わせて頂きます」
ポンポンと腰を叩くアニエス。そこにはライフリングが施され、銃身を切り落としたハンドガンタイプのマスケット銃が仕舞われている。今までアニエスが使っていた物よりも高い信頼性に、彼女はすっかり気に入っていた。
「ところで若様、1つお尋ねしたい事があるのですが」
「僕に分かる事でしたら」
「はい。ダングルテーグという言葉について何か知っていたら教えて頂きたいのです」
ピクッと硬直するコルベール。ただアニエスは背を向けていた為、その事に気付く事は無かった。
「・・・確か、20年ぐらい前に疫病が発生した村、と聞いていますが。その村の事ですか?」
「はい、間違いありません。実は私の身内がその村にいたのです。しかしながら、その1件以来音信不通。せめて墓ぐらいは、と思っていたのですが」
「分かりました、僕の方でも調べておきますよ。その方の名前を教えて頂けますか?」
両親の名前を告げるアニエス。それを聞き取ったシンジが『分ったら連絡しますね』と気軽に返す。
「ありがとうございます。若様、姫様方とお幸せに」
敬礼すると踵を返すアニエス。その姿がパタンと音を立ててドアの向こうへと消える。
「あの人も色々あるみたいだね」
「そうね。でもアタシ達はアンタを1人にはしてあげないからね」
「アスカの言う通りよ。だからシンジ君、不安にならないで」
誰よりも信頼できる少女達の言葉に、シンジは2つの月を見上げながら満面の笑みで頷いていた。
To be continued...
(2014.01.04 初版)
(あとがき)
紫雲です。今回もお読み下さり、ありがとうございます。
今回は賞金稼ぎの為のモンスター退治が主題。ただ気付いた方もいるでしょうが、それだけではありません。シンジにしてみれば一石二鳥のイベントだったのですが、それについては、もうしばらく後でハッキリする事になります。
話は変わって次回です。
アルビオンから戻ってきたシンジ達。そんなシンジ達の下へ届いた1通の手紙。それは可愛い妹分であるティファニアからの手紙であった。
村を出て1月と経たない内に届いた手紙に、内心で苦笑しながら目を通したシンジ達だが、そこに書かれていたティファニアの召喚した使い魔の話に、急遽、村へと帰還する事に。
そんな感じの話になります。
それでは、また次回も宜しくお願い致します。
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