新世紀エヴァンゲリオン アストレイア

第伍話 後編

presented by 伸様


 ※ 当話はフィクションです。実際の団体、名称、個人の名前とは一切関係はありません。






 第五使徒戦から14日後の事である。

 相模湾上を飛行するMV−22Bオスプレイ。本来ならエヴァ用の非常用電源ソケットもCH−53で搬ぶ予定であったが、それはシノとリツコが反対した。

曰く、艦上でエヴァを動かす為の安定したプラットフォームが無い、と。

そして「こんな事もあろうかと」と言う品物が別に用意しているから、不要だと(笑)。

そのセリフを二人が言った時、ユイは非常に羨ましそうな顔をしたそうである。

 行く場所は、エヴァ弐号機を運搬する特設運送艦オスローを護衛する国連軍太平洋艦隊。米海軍の第5艦隊と第7艦隊を中核に編制された艦隊である。

 先程のオスプレイに乗るは、エヴァ弐号機とセカンドチルドレンのお出迎えに向かう、リツコ、シノ、レイ、楓、紅葉、ミサト等ネルフ本部御一行。

本来であれば、緊急時の対応の為にチルドレンのどちらかは第三新東京市に残すのであるが、ある文書の内容をシノを含め首脳陣全てが知っている為に、息抜きと観戦を兼ねて出てきたのだ。

もっとも観戦は実戦になるのは判っての事ではあるが。それなりの仕掛けは太平洋艦隊にしての上である。

 待つは、朱金の増長慢な少女。その胸の内には、幼き日の男の子との淡い想い出。

「シンジ、帰ってきたわよ」

愚か者夫婦の浅慮が、ココでも運命を狂わす。

 

 

 見えてきた太平洋艦隊を見て、シノはざーっと戦力を把握する。

(ニミッツ級空母2、アイオワ級戦艦4、他水上艦艇12ですか。現時点の稼動全艦艇ですね。

 今は静かになっているみたいですから良いですけど、他の海を空けても良いのですかね?)

しかし、ミサトの感想は違った様だ。

「よーく、こんな老朽艦が浮かんでいるものねぇ〜」

ミサトは見えてきた太平洋艦隊を小馬鹿にした様な目付きで眺め、的外れの論評を口にする。

その言葉を聞き、思いっきり頭を抱えたい気分になってしまうシノ。

(この人、本当に軍務経験と言うか、士官養成コースを出ているの? それとも戦時の速成教育?

 幾ら何でも、陸さんでも通商路の大事さは理解しているものでしょう?)

尤も帝国海軍の様に、陸軍程は海上護衛に積極的ではなかった海軍も無い訳ではないが。

 シノが頭を抱えたくなるのも判らないでもない。

 セカンドインパクトの時、オーストラリアやニュージーランド、インドネシアと言った国々は、文字通り太平洋の防波堤となってしまったのである。

このお陰で、アダムの暴走とそれに起因する南極大陸の永久結氷が溶けた為の津浪の被害は、日本の場合は最小に押さえられたのではあった。

尤も海水面の上昇の被害は免れる事は出来なかったが。

 防波堤になってしまった国々は、甚大な被害を蒙る事になってしまった。

又、セカンドインパクトのポールシフトの影響で気候の変動も激しく、熱帯は温帯の気候へ、そして温帯は冷帯の気候へと変動して言った。

 オーストラリアやニュージーランド等の白人主導の国は、まだ良かった。

それなりに旧宗主国等からも援助があったし、国連からの援助も届いた。

しかし、悲惨だったのはインドネシアやマレーシア等の国々である。

援助が御座成りになってしまったのだ。必要量の物資が届かず、民は疲弊した。

 この地帯は、昔から現代まで海賊が横行する事で有名な海域でもある。

−物資が来なければ、自分たちで取りに行くまで−とばかりに、海賊行為が更に横行する事になった。

最終的には国までが海賊行為を黙認し、国家自体が生き残った海上戦力で海賊行為を行った。

 アメリカや英国、そして日本は、この事態に恐怖した。

海上輸送に頼る事が多いこれ等の国々は、海上戦力の強化に勤めると共に、海外派兵を行ってまで海上通商路の確保に努めた。

特に日本は海上輸送が断えれば、御仕舞いな国である。

国もこの脅威を煽った。逆に煽らなければ平和ボケした日本人には、海上輸送途絶の危機感は湧かなかったかもしれない。

結局、憲法の改正まで行い、英国のCVF計画を原型とした空母を4隻、更にコンテナ船改造の空母を2隻建造し、海上通商路の確保に努めた。

セカンドインパクトの影響で少なくない艦艇を失ったアメリカは、動かして使えるのであれば、博物館化した艦まで再就役させたのだ。

それが、国連軍太平洋艦隊のアイオワ級戦艦4隻である。

 これ等の努力は実を結んだ。海上通商路の安全は。2014年には確保されるにいたったのである。

 そう、海上通商路の安全宣言が国連で為されたのは、昨年の事なのだ。

日本は太平洋艦隊に非常にお世話になっていたのである。

それを考えれば、『こんな老朽艦が浮いている』なんてセリフは言えないハズなのだ。

ましてや、軍務経験があるのであれば、ケーススタディとして、この海上通商路確保の戦いの一つや二つは知っていても可笑しくないハズである。

 シノが頭を抱えたくなるのも判ろうと言うものである。

更にシノ自身、この戦いには2度参加しているのだ。将兵の血を実際に見ているのである。

 

 

 着艦許可を求め、許可が出るとオスプレイは空母オーバー・ザ・レインボーの着艦をした。

 シノは何度か乗艦した事のあるこの艦に来ると、幾ら国連軍に移籍した際に、特定国家の偉人(?)の名前は拙いと言って、改名したと言ってもオーバー・ザ・レインボーは無いだろうと思ってしまう。

 フライトデッキに出ると、待っている人間が若干一名。しかし、フライトデッィに出るには許可が必要だと言うのを知っているのであろうか?

 腰に手を当て、胸を張って御出迎えする、レモンイエローのワンピースを着た朱金の少女。

「ヘロー、ミサト」

「まっねぇ〜、あなたも背が伸びたんじゃない?」

「そっ!他の所もちゃぁ〜んと女らしくなってるわよ?」

「紹介するわ。エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロット『セカンドチルドレン』惣流アスカ・ラングレーよ」

 

 吹き曝しの空母のフライトデッキで、ワンピースなんて着て、胸を張ってそっくり返っていれば………。


一陣の風が吹き抜け…アスカのワンピースの裾を見事なまでに捲り上げる(おぉぉ)。

 因みに、シノ達は風対策はバッチリ(笑)。シノを筆頭に全員がパンツルックである。

「こんな所で、ワンピース。露出狂ですか?」

《グサッ》シノの容赦の無いセリフは、アスカの胸に突き刺さる。

「露出狂ね」

《ブスッ》レイの断定は、アスカの胸を突き刺す。

「マスター、この方は露出趣味が有るのですか?」

《グリグリッ》楓の質問もアスカの脳髄を抉る。

「主様、変態発見です」

《ドシャッ》紅葉の報告は、アスカを切り捨てる。

「無様ね」

《グシャッ》リツコの決めセリフは、アスカを押し潰した。

「ア、アスカ〜(泣)」

ミサトの悲鳴もなんのその。死んで屍拾うもの無し。

 

 ファースト・コンタクトは躓いたものの、しかしアスカはめげないっ!

だって、高ピーたもん!

 ビシッと、シノを指差し、

「エースパイロットのアタシが来たからには、もう新人のアンタなんかにデカイ顔をさせないわ」

「エースですか(ハァ〜)。

 それに、西洋では、他人様を指差す事はマナー違反では?」

ヤレヤレと言う顔のシノ。

シノにしがみ付きアスカの事等眼中に無いレイ。

何にも知らないのか、と言う顔のリツコ。

海を見て、喜ぶ楓と紅葉。

基本的にアスカの事なのど、眼中には無いのである。

「あ、あのね。アスカ…」

困った顔のミサト。

「実戦経験皆無で、エーズですか(ハァー)。

 ハルトマンやバルクホルン、マルセイユが泣きますよ?」

子供をあやす様なシノ。

顔には、確実に「…馬鹿?」と言う侮蔑の表情が浮んでいた。

 

 

 艦橋に入ると、シノは艦隊司令長官と艦隊司令部幕僚、及び空母スタッフへ色気のある敬礼をする。

敬礼は当然、肘を付けた海軍式の敬礼。狭い艦内では、陸軍式の肘を上げた敬礼は邪魔になるだけなのだ。

航宙軍でも狭い艦内生活なので、敬礼は海軍式になってしまっている。

尤も制度的にも海軍式が取り入れられている事もあるのだが。

「お久しぶりです、提督」

シノは笑みを浮かべながら、久闊を叙した。

相手も一斉に色気のある敬礼を返す。礼には礼を返す。士官として、いや社会人としては当然の礼儀である。

「うむ。久しぶりだな。碇中将、いやPrincess of darkness」

艦隊司令長官も破顔して答えた。

 そして、シノが他の者を紹介しようとした時、問題は起こった(邪笑)。

 

 艦橋で始まるミサトの暴走(笑)。

艦隊司令長官に向かって、

「艦長、この度はEVA弐号機の輸送援助、有り難う御座います。こちらが非常用電源ソケットの仕様書です」

このセリフに固まる艦橋の一同。勿論、ネルフスタッフも同じである。

(ミサト、シノちゃんの言葉を聞いていなかったのぉぉぉぉ)

ミサトの暴走に注意する様に、冬月副司令に厳重に言い付かっていたリツコ。

顔から血の気が引いていくのが判ってしまう。

内心の顔はムンクの叫ぶ顔の状態だ(笑)。

この時、始めてリツコにミサトを物理排除しようとする意識が芽生えたとか芽生えなかったとか。

それは後の話で判明する事になるだろう。

(階級章を見れば判るでしょう、葛城二尉(汗))

額に手を当てて俯き、大粒の汗をタラリと流すシノ。

「ふん!大体、この海の上であの人形を動かす要請なんぞ聞いちゃおらんぞ!」

(何よ、偉そーに。使徒には、役立たない癖に)

無け無しの理性を揮い、引き攣る顔を無理矢理笑顔にしようとするが成功しないミサト。

それでは、ゲンドウ張りのニヤリ笑いだぞ、ミサト(笑)。

「万一の事態に対する備えと理解して頂けますか、艦長?」

 

トン

シノの手刀がミサトの首筋に炸裂する。

「きゅぅぅぅぅぅ(バサリ)」

倒れたミサト等無視するシノ。そして、国連軍スタッフの方を向く。

 済まなさそうに国連軍スタッフ一同に頭を下げながら、謝罪を述べるシノ。

「済みません。ウチの葛城が無礼な振る舞いをしまして………」

国連軍中将でもあるシノが先に頭を下げる。此れは国連軍スタッフの方が困ってしまった。

艦隊司令長官たる人もシノと同格の中将ではある。

しかし、シノは名簿上中将のトップであり、この間のアステロイドベルトでの戦闘の論功行賞次第で大将の昇進も取り沙汰されているのだ。

艦隊司令長官の名簿上の順位は8番目。悪い位置ではない。

同格の場合は名簿上の順位が上下関係を決める。

シノの行為は、上位者が下の者に先に頭を下げたのだ。

下げられた方は困ると言う物であろう。居丈高にする訳にもいかない。さりとて卑屈になる訳にもいかない。

自分の度量が問われるのだから、困ったものである。

 尤も、こう言う行為はシノも計算しての処世術でもあった。14歳の美少女が将官である。

普通は、何かの冗談としかとらないであろう。冗談で無いと知れば、嫉妬やら妬みが待っている。

どんなに実力を見せ実績を積み上げても、である。

そうなると、此方から低姿勢を見せるのも一つの手と言うものだ。

だから、シノはこう言う場合は、余程の事が無い限り、場を納めようと低姿勢になるのだ。

まぁ、苦労しているのである(苦笑)。

 今迄ミサトと言い合いをしていた提督も困ってしまった。

シノとの公私の付き合いも長い提督としても如何にもバツが悪い。

「あ、いや…此方も場を考えずに、つい興奮してしまったようだ。すまん」

「いえ、此方こそ。帰ってから葛城については、然るべき処罰をいたします」

シノは、そう言うと頭をあげ、ニコリと邪気の無い微笑みを見せた。

 ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

場が和むと同時に、国連軍スタッフ、及びリツコやレイ、楓に紅葉も見とれてしまう笑顔であった。

 

 不意に艦橋のハッチが開く。

「よっ!………と…?」

道化登場。場の雰囲気を察し、困ったように頭を掻く。

「加持センパ〜イ♪」

アスカは場の雰囲気から逃れ様と、加持に戯れ付いた。

 そんな加持を見つけたシノが今迄の笑顔と異なる邪笑を浮かべる。

(三足草鞋の狐さんの登場ですか。

 まっ、これ以上ネルフの評判を落とす訳にも行かないでしょうしね。

 さっさと艦橋からご退場願いましょうか)

「加持一尉。そこの牛を逮捕拘禁して空母の営倉に入れておいて下さい」

「へっ?!」

ミサトの状況を確認し、シノの命令を聞いて、加持は一瞬間抜け面で固まってしまった。

初対面の加持にしても、シノの命令は逆らい難い物を感じてしまった為、反論する事等思いもつかない。

「俺一人で、ですか」

おいおい、葛城が暴走したら一人じゃキツイぜ、と言わんばかりに加持が問い返す。

そこに艦長が助け舟を出した。

「ウチの海兵隊員を3名貸すから、早くソレを連れ出してくれないかね。ミスター・カジ」

 

 

 特設運送艦オスロー。

 元はケミカルタンカーであった船を改装し、エヴァ弐号機の輸送用とした船である。

 そもそも今回の輸送は最初から可笑しな物であった。

ある文書の内容を知っているシノやリツコであるから、さして不審には思わないが、知らない人は不審に思う事、絶対であろう今回の輸送計画である。

使徒が第三新東京市を幾度も襲う火急の時に、ノンビリと海上輸送なのだ。

エヴァには、ウィングキャリアーと言う専用の輸送機がある。

航続距離はドイツから日本に一気に飛ぶには少ないが、途中で一度、空港におりて給油するなり、空中給油を受ければ、十二分に日本にエヴァを搬ぶ事が可能なのだ。

要する時間も精々1日程度で済む。

 諸般の事情を考慮するならば、今回の輸送は謎だらけの海上輸送だった。

 

 アスカは最初から躓きっぱなしであった。失点を取り戻していない。

アスカは焦燥ってしまった。今迄、同年齢等は歯牙にもかけなかったのに、何故か相手にもしてもらえないのである。

 だから、今だドイツに居るアスカの母謹製のエヴァを自慢したかったのだ。

そう、日本にあるXナンバー(研究機:零号機の事)やYナンバー(試作機:初号機の事)とは違うのだ、自分の弐号機は。

 だから、弐号機の肩に上って、エヴァ弐号機の事を自慢したかった。

 しかし、その格好は或る意味お間抜けであった(苦笑)。

異性が居ない所為か、しっかり下から見ると、下着が見えるのがポイントだ(笑)。

やはり、露出趣味があるのか?アスカ。

 だが、やはりシノ達はアスカの事を歯牙にも掛けなかった。

「弐号機は、赤いのですね」

シノがアスカが期待したのとは見当ハズレの意見を述べる。

「赤…おさるさんの色?」

それを受けてレイも見当ハズレの意見を述べてしまう。

 アスカにとっては意外過ぎる意見であった。

アスカの頬をツーッと汗が流れる。私、又滑ったのかしら、と。

「キー、あんたぁ、馬鹿〜っ!!!

 日本の特撮物だって、赤はヒーローの、チームリーダーの色でしょうがーーーーーっ!」

はぁ、はぁと肩で息を吐き、髪を振り乱しおどろおどろしい形相のアスカ。

少し気を落ち着かせたアスカが、手櫛で髪を整え、再度胸を張るポーズを決めて、説明しだした。

「所詮、零号機と初号機は開発過程のプロトタイプとテストタイプ。

 訓練無しのサードなんかに、いきなりシンクロするのが良い証拠よ!!

 だけど、アタシの弐号機は違うわ!

 これこそ実戦用に造られた世界初の正真正銘“本物”のエヴァンゲリオンよ。

 制式タイプのね!」

居丈高の見本の様な態度と声音。だって、アスカは…アスカは高ピーなんだもんっ。

 しかし、アスカのそんな態度もネルフ本部組には通じなかった。

「………馬鹿?」

シノの玲瓏たる声が場に響く。

内心では、馬鹿と何とやらは高い所が好き、とも言いますね等と思っていたりする。

「………キーキー、おさるさん?」

小首を傾げたレイのセリフが場を支配する。

「主様〜ぁ、この方、本〜当に、大学出ているんですかぁ〜?」

紅葉のセリフがアスカの癇癪に火を着けた。

「煩いわねっ(怒)

 ちゃんと卒業したわよっっ」

そして、アスカの絶叫が場を雰囲気を払拭しようと響き渡る。

しかし、それを打ち破ったのはシノであった。シノの玲瓏な声が場を支配する。

「紅葉、学士課程だけですよ。別に博士課程を履修した訳でも無いですしね」

シノのそのセリフは更にアスカの癇に触った。

「アンタ!博士号、持っているとでも言うのっ(怒)」

「ええ、幾つでも」

シノは、平然と答えた。

その玲瓏たる声を聞き、へっ?と固まるアスカ。

 そして、シノ達は固まるアスカを残して、旗艦へと戻るのであった。

 

 

 船団の護衛には直接護衛と間接護衛とがある。

直接護衛とは、字句通りに守るべき船の直近で護衛する事である。

間接護衛とは、守る船から付かず離れず影の如く護衛する事である。

船団を大きくして航海の手間を増やしてしまわない様にする為と、色々な艦船が混じって船団の運営を難しくしない様にする為の手段でもある。

 エヴァ弐号機を搬ぶ輸送船についても、この二段式の護衛が採用されていた。

太平洋艦隊を直接護衛隊とすれば、間接護衛は海上自衛隊の新横須賀を母港とする第1護衛艦群を中核とする機動部隊が行っていた。

 

 太平洋艦隊は、オスローを中心とした輪形陣を組んで航行していた。

入港予定の新横須賀も近く、艦隊の陣形を変更しようとした矢先に異変は突如現れた。

「艦長、左翼のカッシングからです。未確認の潜水物体を確認しました。

 距離は10海里。速力は信じられませんが…65ノットだそうです」

オーバー・ザ・レインボー(以下、OTR)の艦橋で、通信兵から受け取った電文用紙を副長が信じられないと言う顔で読み上げる。

 今、艦隊の指揮官である長官は、戻ってきたシノ達と長官公室で雑談中。

艦長は間髪入れずに、送信先の選択を行い、受話器を手にした。

「提督、マーレイです。お客さんのご来店です」

受話器を置くと、副長に静かに指示を出す。

「全艦、戦闘配備。急げよ。

 針路10.速力を最大戦速へ」

最後の指示は操舵手への指示であった。テレグラフが最大戦速へ動かされる。

「アイサー、針路10、速力最大戦速へ」

 

 

 その頃、長官公室ではミサトを除いたネルフ本部御一行と艦隊司令長官が歓談していた。

ミサトは、勿論営倉の中のハズである。

『………ご来店です』

艦長からの連絡を受けると、提督は帽子を冠り直した。

「お嬢、海中からお客様の様だ」

「私達もCICへお邪魔しても宜しいですか?」

シノが遠慮がちに言う。此処ではあくまで自分達はお客様でしかないからだ。

「ああ、私の権限で許可しよう」

「ありがとうございます。それでは皆、行きましょうか」

焦りも見せず、玲瓏たる声がお礼を述べた。

 

第六使徒の襲来である。

 

 

 CICに駆け込んだ提督とシノ達。

 そこは情報が渦を為していた。

「カーチス・ウイルバー、ジョン・S・マッケイン、オスローよりに針路を変更」

「以前として、針路は我が艦隊に向かっています」

「ゲアリー、ヴァンディクリフトは、未確認物体の針路上に入ります」

「艦長、間接護衛隊に連絡は?」

提督は自分の席に腰掛けながら、艦長に問い掛ける。

「既に行っています。旗艦である空母“そうりゅう”から、用意してあった攻撃隊を出撃させるそうです」

「そうか、ありがとう」

そう提督は艦長に礼を述べると、シノの方を向いた。

「お嬢。確か、先程も聞いたが、コッチに来る攻撃隊は、大した玩具を載せているんだな」

その言葉に悪戯を聞かれた子供の様な表情をするシノ。

「ええ、使徒にとっては、悪夢の悪戯になるかもしれない物を載せています。

 ところで水上艦艇の射撃の同調は上手く出来ます?」

上手く出来るも何も、FCSにはシノとリツコが手掛けたプログラムが途中の寄港地でインストールされているのだ。

「ふんっ、お嬢の悪戯の出来次第だな」

提督は心外そうに且つ楽しそうに鼻を鳴らした。

そして、艦隊へ命令を下した。

「全艦隊、オールウェポンズフリー(武器使用自由)。

 各艦、艦隊距離に注意しつつ回避運動」

それを聞いた通信兵がインカムのマイクに向かって指示を通達する。

「各艦、オールウェポンズフリー、繰り返すオールウェポンズ………」

「カッシング、アスロックの発射を開始しました」

 

 

 太平洋艦隊が攻撃態勢を整える前、海自第一護衛艦群を中核とする機動部隊は艦載機の発艦準備を始めていた。

 機動部隊の旗艦でもある航空護衛艦そうりゅうのブリーフィングルームでは、出撃するパイロット達への細かい説明は作戦士官により行われており、最後に護衛艦群司令が訓示を兼ねて攻撃目標の指示を出していた。

「第一目標は使徒、第二目標も使徒、第三目標も使徒だっ!

 戦果と総員の帰還を期待する」

そして司令が敬礼すると、全員が立って答礼し、愛機へ搭乗すべくブルーフィングルームを出て行くのであった。

 出撃するは、昨年正式採用になった日英を中心となって開発された国際共同開発のVSTOL機F−3C。

そのフォルムは、尾部は双ビーム式で、主翼は前進翼という斬新過ぎたとモノと言って良かった。

全長15m、全幅9.8m、全高4.8mの機体をロールスロイスと石川島播磨重工共同開発のPCB(プリーナム・チャンバー・バーニング)エンジンを用いてマッハ1.8で飛ばす海鷲。

 セカンドインパクト後、ポールシフトの影響で社会不安や産業構造の変革に迫られていたアメリカは、ご自慢の航空産業も混乱状態に陥ってしまった。

そして、数々の航空機計画が中止となった。その中にJSF計画もあった。

当時、日本はF−2の後継機の策定に入っており、英国もCVF計画の艦載機の為、シーハリアーの後継機の策定に入っていた。

当初はJSFが有力候補であったのだが、計画は上述した様に中止となった為に、後継機候補は白紙となった。

困ってしまった日英は、後継機を共同開発する事になってしまったのである。

 原型はBAe社が1980年代に研究していたP1214−3案。

現実路線ではP1216のデザインの方が優れていたのであるが、日本の技術者がアニメ世代であった事が災いした(笑)。

外見だけでデザインを選んでしまったのだ。

 そして、今“アニメの様な”機体が航空護衛艦のフライトデッキから発艦して行くのである。

 攻撃隊第一波12機、第二波12機を出撃させると、空母に護衛1隻を残し、残りの艦艇は直接護衛隊が居る海域へ最大戦速で急行するのであった。

 

 

 邪魔にならない様にCICの隅にいたリツコはシノに問い掛けた。

「シノちゃん、攻撃隊が積んでいるのわ?」

「リツコさん。データ取り様の試作品。ネルフ本部技術部謹製A.T.フィールド中和兵器です」

「「こんな事もあろうかと」作ったアレね」

何故か、こんな事云々の所だけ、シノとリツコの声はユニゾンしていた。

まぁ、科学者憧れのセリフらしいし(笑)。

 

 そんな中、何故かCICの扉を開けて顔を出すミサト。

「ちわ〜、NERVですがぁ、見えない敵の情報と的確な対処はいかがっすかぁ〜?」

そんな言葉を殺気立っている戦闘中のCICで言えば当然の様なセリフが返ってくる。

「戦闘中だ!見学者の立ち入りは許可出来ない!」

しかし、ミサトはめげない。

そんなミサトを見て、シノとリツコは頭を抱えてしまった。

(どうやって営倉を出てきたんですか!何処までネルフの評判を落とす気なんですか!)

如何しても謎が先に出てしまうシノ。

(貴女は、何時も何時も場の空気が読めなくて…何処まで周りに迷惑を掛ければ気が済むの!)

リツコは大学以来のミサトの行状が頭の中でリフレインしていた。

場の空気が読めないミサトは、更に皮肉っぽく揶揄する。

「コレは私見ですがぁ、ど〜見ても使徒の攻撃ですねぇ……」

しかし、戦闘中である。提督達は、馬鹿は放っておこうとミサトを意識の外に放り出した。

その時、一つの電文が舞い込んだ。

「特設輸送艦オスローからです。エヴァ弐号機、起動中」

電文用紙を挟んだクリップボードを持ち、報告する通信参謀。

「無駄な事を…(クス)」

シノの哀れむ様な呟き。しかし、何処か喜劇を見ている様に楽しそうでもある。

「ナイス、アスカ」

状況が見えていないミサトは喜んでしまった。此れで自分が指揮して使徒を倒せると。

しかし、ミサトは気付いているのだろうか?

もしエヴァを使った使徒戦になったとしても、シノが居る限り指揮権はシノにあるのだという事に。

 

 太平洋艦隊に臨時で配備されたネルフ本部技術部提供の観測機材搭載の対潜ヘリからの観測データを見ながら、シノとリツコはある結論に達していた。

「第六使徒のA.T.フィールドは弱いですね。なら、あの試作品で行けます」

玲瓏たる声でシノは宣言した。

 A.T.フィールド中和兵器。A.T.フィールドを発生する事は難しいが、同じ固有周波数の振動をぶつけてみれば如何なるか、と言う発想で開発された物である。

エヴァを使った実験では、或る程度はA.T.フィールドを中和する事が確認されたので、AIM−120アムラームの胴体を利用して生産された試作品である。

AAMを利用した為に狭い胴体に相手のA.T.フィールドの周波数の観測機器や固有周波の発生装置等を電源と共に積んだので炸薬を積むスペースは無くなってしまった。

他にも出力が弱い等の問題点もある。

そこで、他の通常兵器と混ぜて使う事で、使徒への効力を発揮させようとしたのだ。

 

 

 OTRのCICは、活気に満ちていると言ってよかった。

ネルフが提供したA.T.フィールド中和兵器のお陰で、各艦の攻撃が使徒にダメージを与えているのだ。

艦隊旗艦であるOTRのCICには、各艦の攻撃結果の報告も入ってくる。

「アイオワ、第3斉射。命中1」

「ミズーリ、第2斉射。命中なし」

「ニュー・ジャージー、第4斉射。命中1」

「ウィスコンシン、第3斉射。命中なし」

「ヴィンセンス、命中2。効果無し」

「チャンセラーヴィル、命中1。効果なし」

「ステザム、命中1。効果なし」

「カウペンス、ミズーリの射界に入るので、左に転舵します」

「カッシング、同じく左に転舵します」

 提督は、後方に控えるシノの方を振り向いた。

「お嬢、やはり5inじゃ、豆鉄砲だな」

シノは何時もの癖で、胸の前で腕を組み、右頬に人差し指をつけて、小首を傾げる。

「SSMが使用できれば良かったのでしょうけどね。

 こう近づかれてから、海上に出てこられては、撃てませんよね」

「ああ、こう云う時は、やはりビッグガンの出番だな」

「ええ、でも他の艦に当てない様に、各艦の距離と位置は常に把握しておきませんと」

「再度、注意する様に各艦に警告しておこう」

「後、陸が近いですから、水深も気をつけた方が良いのでは?

 この辺だとソナーも使い辛いでしょう」

「そうだな。各艦が装備しているソナーは、もっと水深の深い所用だから。

 間接護衛隊に連絡して、対潜ヘリをもっと寄越してもらおう」

現在の情勢を話し合うと、提督とシノはCICの各情報を伝えるスクリーンを凝視するのであった。

 

 第六使徒が海面を跳ね飛ぶ毎に、複数のA.T.フィールド中和兵器でA.T.フィールドを身包み剥がされる。

無防備になった時を狙い、太平洋艦隊、及び海自艦載機に袋叩きに合う。

第六使徒は一旦潜るも、何故か又海上に姿を現し、海面を飛び跳ねる。

まるで何かを捜し求める様に。

そして、又上空の海自艦載機から発射されるA.T.フィールド中和兵器でA.T.フィールドを身包み剥がされる。

然しもの使徒もこの繰り返しでは消耗していくしかない。

使徒の驚異的な自己修復力以上のダメージを太平洋艦隊と海自艦載機は与えているのだから。

 流石に巡洋艦等の5in砲は効果が薄いが、アイオワ級の16in砲は効果絶大であった。

もっとも近距離射撃なので、それ程弾がバラけないと言う点も幸いしたのだが。

これが遠距離射撃なら米海軍の基準でも散布界の広い砲の事だ。恐い事になっていたかもしれない。

A.T.フィールド中和兵器の発射タイミングに合わせて、攻撃する手際は、シノとリツコのプログラムあってのものだ。

 第六使徒も潜航したまま攻撃していれば、まだ良かったのかもしれない。
A.T.フィールド中和兵器はAAMを元に作成しているので、海中には効果が無いのだ。

まぁ、対潜魚雷用のA.T.フィールド中和兵器も用意はしていたのだが、水中での使用は使徒に極めて接近しないと中和効果が薄いので、シノとリツコは出来れば今回は使用したくはなかったシロモノである。

 そして、跳ねあがった時に、鳴こうとしたのか、口を大きく開けた所を、戦艦の主砲弾が何発か飛び込む。

さらに、口から体内を攻撃出来ると考え、上空の艦載機が照準する。

 

 エヴァ弐号機がL.C.Lのプールから立ち上がった時………勝敗は決していた。

 シノとリツコは対潜ヘリからの情報を読み、確信した。

そしてOTRのCICに、勝利の女神の玲瓏たる声が響き渡った。

「使徒、殲滅を確認」

シノに艦長からインカムが渡され、その報告を艦隊全艦に行う様に促される。

シノは提督を見ると、提督も悪戯っぽくウィンクしつつ、それを促す。

「お嬢、やはり良い報せは女神様の言葉が一番だよ」

シノは肩を竦めると、先の言葉を間接護衛隊も含む全ての護衛艦艇に言った。

「全艦艇へ、使徒の殲滅を確認。

 各艦の奮闘、及び協力にネルフを代表して感謝する。オワリ」

 この素っ気無い報告の直後、直接護衛隊、間接護衛隊の全艦艇が歓声に包まれた。

何せ、N2兵器すら受け付けない使徒を初めて通常兵器で殲滅したのだ。

これが祝わずにいられりょか!

 OTRのCICも同じであった。

A.T.フィールド中和兵器がネルフ技術部製作である事実に、次々に国連軍スタッフに握手を求められるシノとリツコ。

シノは、先ず提督の厳つい手とガッチリ握手する。

「提督、おめでとうございます」

「いや、其方から提供された玩具のお陰だよ」

そして、次は艦長と握手した。

リツコもシノの次に提督と握手し、以降は誰と握手したか判らない程、握手攻めにあっていた。

そんなシノに抱きつくレイ。

「シノお姉さま、素敵ですっ(はぁと)」

そのレイを引き剥がそうと、嫉妬心露に顔を真っ赤にしてレイを引っ張る楓と紅葉。

「レイ様、皆の目もありますっ! マスターから離れてくださいっ!!」

「そうですぅ、レイ様ぁ、主様に最初に抱きつくのは私なんですからっ!」

「紅葉っ!あんた、今何か変な事、口走らなかったっ!!」

場外乱闘を含めてCICでは嬉しい混乱が続いていた。

 

 そんな喧騒を他所に、こんな状況に付いて行けない人間が二人居た。

 エヴァを使わずに使徒が倒された、又もや自分の指揮で使徒を倒せなかった現実に、塩の柱と化しているミサト。

突付けば今にも崩れるかもしれない。

しかし、ミサトは何時気付くのであろうか?

軍人は現実を直視しなければならない事に。

 そして、此処にも現実を直視できない人間が居た。

 エヴァを使わずに使徒が倒された、この現実にアスカは、エントリープラグ内で固まってしまっていた。

「私の華麗なるデビュー、私の初陣。

 此れは夢よ、夢なのよ、そう夢なのよ、ぜーったい夢なのよぉぉぉぉぉぉぉ」

アスカの絶叫はL.C.Lの中に消えて行くのであった。

しかし、アスカは何時気付くのであろうか?

母親の後を追い優秀な科学者になろうと思うのであれば、先ずは現実を直視し受け入れなければならないと言う事に。







To be continued...


(Postscript)

 退院して自宅療養中の伸です(苦笑)。
 前回の投稿から半年以上(汗)。
 目は手術するは、内科での入院は必要になるはと、9月以降非常に忙しい事になっていました。

 えー、JA編+トライデント編+あすか打撃編をお送りします。自分のHP掲載のリンの方を先に更新しようと思い書いていたのですが…息抜きに書き出したシノの方が指の滑りが良くて一気に書き上げてしまいました。(てへ
リンの方は、暫くお待ち下さい。年内中にはUPする予定です。

 元々、10KBに満たないサルベージしたテキストに書き足して、何とテキストベースで73KB(汗)。
流石に2話分を1話にするのは無理があるなぁ。
これをHTMLにすると、考えたくもない量になる(滝汗)。
と言う訳で、前後編に分ける事にいたしました。
後編は、あすか打撃編ですので、別の話数にしても良いのですが、後の話数も変更しなければならないので、今回はパスとなりました。

 当初のサルベージした物でのJAに言及した部分は、僅かに1行(笑)。碇家が出資しないからJA計画が御破算になった、でした。
流石に此れは自分のポリシーに反すると思い、シノに一大キャンペーンを張らす事になりました。
 エヴァ世界では随一と言って良いビックリドッキリメカのJAですが、作中ではメッタ切りにしています(苦笑)。
 陸戦兵器にリアクターを積むと言うのは、非常に恐い事が多い前に、意味がなかったりするのですよね。
その辺は、シノに語らせていますがね。
 あのスペースに全ての安全装置を組み込むなんて、どだい無理な話なんですよ(失笑)。それに二足歩行って振動も激しいし。
普段は気にもならないですが、病気したりした時は一段と感じますよね。足を一歩進める度に来る振動で頭がズキンとしたりするとか。
JAの場合、それがエヴァサイズなんですから、中なんてシェイクシェイクシェイク状態でしょう。
 原子力の平和利用って難しいですねぇ。50年代の薔薇色の原子力平和利用案を思うと、涙が出てきますね。
原爆を使った運河や湖の掘削に、放射能ガスを使った下水の除菌等など。こんな事をやった後を考えると、本当に涙が出ます。
 因みに、このサイトでは割と良い人の時田シロウですが、此処では一言も出てきません。
JAが駄目で、戦自でトライデントを開発するのですが、此れもシノに潰されて、最後は逮捕者の一人ですかね。
 プロジェクトの場合、プロジェクトリーダーの責任を良く取り沙汰されますが、自分の経験や他の人の話を聞く限り、プロジェクトが失敗する時は、リーダー云々よりも、会社組織やプロジェクトそのものの背景等のもっと大きな原因に起因する方が多いものです。
だから、時田云々では無く日本重化学工業共同体にスポットを当てている訳です。
だいたい、リアクターを搭載するなんて時田一人の意見で決定する訳が無いのですから。

 トライデントについてもサルベージしたモノは3行でした(笑)。
トライデントも潰しましたが、パイロット候補生達の救済は積極的には行っていません。
マナ登場の布石とでも思ってください。

 それとエヴァの主要キャラのアスカ様が登場です。この話でのアスカ様は、母親が健在の為に其れ程は壊れていません。精神年齢は実年齢程度はあります。
しかし、母親が生きている為に、母親の目の届かない所ではチヤホヤされて育っています(笑)。
まぁ、母親がネルフ第3支部の偉いさんなので、周りの対応は或る意味仕方がない部分ではありますが。
上司の子供に部下が厳しく接するなんて、話の中だけで、実社会では中々出来ない事ですよね。
 アスカ自身、マザコン気味です。母親の為に一生懸命に頑張って、大学まで卒業しています。
此れで性格が良ければ無問題なんですけどねぇ。精神年齢が実年齢通りと言うのがミソで、如何しても同世代の人間や大人でもトロそうな人間については見下してしまう傾向があります。
背伸びしたがるんですね。
この辺は原典通りのアスカ様です。
 シノも似ている様に見えますが、シノの場合は周りを含めてシノの事を大人と認識しているので、自己責任の上で言っているとでも思ってください。
見下した訳でなく、本気で相手の事をうましかと思って、セリフを言っていますから。
シノは育ちが異常ですから(邪笑)。


 さてさて、この話でのアスカ様。如何なりますやら(邪笑)。
まぁ、ジャンキーになったり、障害者になったり、死んだりする事は無いと約束できますがね。


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