新世紀エヴァンゲリオン アストレイア

第六話 後編

presented by 伸様


 ※ 当話はフィクションです。実際の団体、名称、個人の名前とは一切関係はありません。






 護衛艦からの報告を受け、発令所は慌しくなっていった。

「おい、マコト。<はるな>からのデータを受信中。落し先は、HARUNAと言うフォルダーだ」

青葉二尉が護衛艦と交信しつつ、データの受信作業を行う。

「カエデ、バルタザールの未使用領域は、今は何処になるの?」

マヤがMAGIの現在の使用状況を把握しようとバルターザールの主任オペレーターに確認する。

「マヤちゃん、3051から後は空いてるわよ」

阿賀野カエデ二尉が素早く返答をすると、マヤは目の前のコンソールを素早いキータッチで操作し始めた。

そして、次々とメルキオール、カスパーの主任オペレーターに声を掛けて行く。

「アオイ、メルキオールの未使用領域は?

 それと、サツキ。カスパーも教えてっ」

ロシア系ハーフの大井サツキ二尉が「カスパーはついで?」と少し頬を脹らませるが、手は休めない。

「マヤさん、メルキオールは4649から後が今は空いてます」

「マヤ、カスパーは7676からね」

それぞれ、メルキオールの主任オペレーターの最上アオイ二尉とカスパーの主任オペレーターの大井サツキ二尉からも報告が上げられる。

そして、処理が終わったのか、マヤは満足げな顔をマコトに向けた。しかし、満足げな顔が少しMAD気味の自己陶酔の微笑みに見えるのは気の所為だろうか。

「日向君、今そちらのディスプレイに表示した領域で処理して。

 日向君のアカウントのジョブは最優先で行う様に設定したから」

「了解、マヤちゃん」

そう日向二尉が返事を返すと同時に青葉二尉が日向二尉に声を掛けた。

「マコト、受信完了」

「サンキュっ、シゲル」

そうして、<はるな>から受信したデータの解析を日向二尉は始めた。

 

 その後姿を見ながら、国連軍顧問団の団長であるヒックス大佐は、傍らのマッケンジー中佐達に感に堪えない様な雰囲気で声を掛けた。

「実に素晴らしいではないか。部下は上司に似ると言うが、真に当てにならんな、諸君」

「ええ、アレが上司とは信じられませんね」

マカーディ中佐がその言葉に相槌を打つ。

「今回は、ネルフ側のお手並み拝見となりますが、如何動いてくれますかな」

バーロウ中佐が興味津々と言う感じで発令所内を見回した。

「しかし、最悪の場合も想定しておかないと」

とは、ドウビ中佐。

「お嬢の足を引っ張らせる訳には行かないしな」

リー中佐が発令所のドアの方を向いて話す。

「下手をすると、早速となりますかね」

フィチ中佐が今までのネルフの後方指揮についての報告を思い出し、嫌そうな顔をする。

「諸君、先ずは“急がず待て”だな。誰が核となって発令所内が動いているのか、ちゃんと確かめておこうではないか」

そうヒックス大佐が纏めると顧問団の一行は、発令所内を注意深く観察しだした。

 今だ先乗りの士官だけであり全ての顧問団の人間が揃っていない彼らは、今回は観戦武官みたいなものである。

しかし、彼らは己が職務を忘れてはいない。

そして、それが功を奏する事になる。

 

「受信データを照合。………波長、パターンブルー! 使徒と確認!!」

 データの解析結果を日向二尉が告げる。

 そこにシノ達が発令所に駆け込んで来た。

しかし、発令所は喧騒に包まれていたが、何時もの様な耳五月蝿い声がしてこない事にシノは気付いた。

シノは辺りを見回すが、先程まで同じ場所に居たハズの者が一名程足りない事に首を傾げてしまう。

そして、傍に居るリツコに静かに耳打ちした。

「ねぇ、リツコ。葛城二尉は?」

そう耳打ちされたリツコも周りを見回す。

「居ない…わね。真逆…道に迷ったとか…(汗)」

「流石に其れは…無いと思いたいのですが…否定できない…(汗)」

リツコの言葉を否定しきれない為に、シノも歯切れが悪い。

 しかし、上官(ミサト)が居なくても、(他組織から見ても)今の地位なら十分に有能と判断される部下達は仕事を進めていく。

「MAGIは、今回の使徒をAngel bVと認定」

日向二尉がMAGIの解析結果を読み上げる。

「新横須賀の第一護衛隊群司令部から<はるな>宛に、使徒を追躡する様に命令が発令されました」

青葉二尉が通信傍受の内容を報告する。そして、今入ってきた通信を読み上げた。

「委員会からです。エヴァによる迎撃要請が出されました」

「現在の第三新東京市の兵装ビルの稼働率は30%」

日向二尉が読み上げる兵装ビルの稼働率に、シノは口をへの字に曲げてしまう。

 前の第五使徒戦で、第三新東京市近辺で派手に戦闘をした為に、兵装ビルの稼働率は決して高いモノとは言えなかった。

ゲンドウも人類補完委員会(要はゼーレ)に兵装ビルの新築・補修予算の増額を要請していたし、シノも国連軍に上申書を提出はしていた。

しかし、兵装ビルの建設等は泥縄で間に合うものでもない。

シノの責任ではないのだが、如何にも手際の悪さに自分自身にも腹が立ってしまう。


−シュッ−


そんな時に発令所のドアが開いて、一人の女性が或る意味において良い匂いを吐き散らしながらゆっくりと歩いて入ってきた。

「(ぷはぁー)景気付けの一杯は、やはり違うわぁ〜」

発令所に入った彼女の第一声が此れである。

 その酒精の匂いで、シノはミサトが遅れてきた理由に見当を付けて、目眩いがしてしまった。

つまり、葛城ミサトは発令所に押っ取り刀で駆けつけるでもなく、自分の執務室に戻り、先ずは景気付けの“えびちゅ”を飲んできたのだ。

 そんなシノをリツコが支え、皆に聞こえない様に耳元で叱咤する。

「シノ、確りしなさい! ミサトが、ああ云うのは何時もの事でしょう」

「そ、それは判っているのですが…如何にも世の不条理と言うか、遣る瀬無いモノを感じてしまって…」

 直に気持ちを切り替えると、発令所の上段に居るゲンドウ達の方を見上げた。

「それで、迎撃の手段(作戦)は、出来て…無いですよねぇ(はぁ)」

ゲンドウも今日はお客(顧問団先遣隊)が居るので、些か焦り気味ながら答える。

「未だ、だ。葛城二尉、減俸10%を三ヶ月追加だ」

その言葉に、ミサトは一気に醒めてしまった。

「な、何でです。本日は、未だ失敗はしていませんがっ!」

その言葉を聞き、発令所に居る人間は一名を除き、全員が目眩いがしてしまった。

その例外である日向二尉は、ゲンドウの言葉に内心憤りを感じてしまった。

(何でだ! 今日は珍しく、葛城さんはミスをしていないのにっ! 減俸だなんてっ!!)

否、勤務時間に飲酒する時点で失敗していると思うのだが、そうは思わないのか日向マコト?

しかし、“今日は珍しく”と言う時点でフォローになっていないのは気の所為だろうか。

 国連軍顧問団のメンバーは、この遣り取りに信じられないとばかりに頭を左右に二三度振ってしまった。

「何と言うか、現実に見てしまうと、凄まじいモノがあるな」

国連軍顧問団を代表したヒックス大佐の有難いお言葉である。

そして、シノの方に行くと、そっと耳打ちした。

「お嬢、ご苦労されてますね

上官に対して万感の思いが篭った言葉であった。

「ええ、魂さん達のお陰で…よよよ」

ヒックス大佐の言葉に、シノは茶目にも泣き真似を交えてしまう。

 そんな遣り取りを知ってか知らずか、青葉二尉が<はるな>からの入電を報告しだした。

「<はるな>から、第七使徒の進路の報告です。 マコト、データをそっちに送るぞ」

内心の憤りを隠して、日向二尉も仕事に専念する。

「MAGIの予測では、沼津の海岸に上陸するコースを取っている様です。

 上陸予想時間は、2時間後」

その日向二尉の言葉を聞き、ミサトが騒ぎ出した。

「迎撃よっ! 何が何でも、私の指揮で使徒を斃すのよぉぉぉぉ!!」

「何処で?」

シノは、間髪を入れずに、冷ややかな目差をミサトに向けて質問する。

「ど、何処って………何処でも良いじゃない。

 何処かは軍事機密なのっ! それに何でアンタなんかに言わなければならないのよっ!

 子供は大人の言う事を聞いていれば良いのよっ!」

そんなミサトの言い逃れに、発令所の皆(日向除く)は確信してしまった。


ーこいつ、何も考えていないなー


 ミサトも考えていない訳ではなかった。ミサトの考えとは、簡単に言えば、仕事を誰かに任せてしまう事である。

誰かとは、この場では一名しか居ないのであるが。

世間では、責任放棄とか仕事を丸投げする、とも言うが。

「じゃ、日向君。迎撃場所はよろしくぅ〜ん♪」

その言葉に敬愛する上官から仕事を任されたとばかりに、日向二尉は目を輝かせる。

「作戦部で幾つか立案していた迎撃プランの内、沼津の千本浜での迎撃を提案します」

そう言うと、コンソールを操作し、迎撃予定地点のマップをメインスクリーンに映し出す。

「提案理由としては、この地点でしたら、此処(第三新東京市)の現在稼動中の兵装ビルの50%を火力支援に向ける事が出来ます。

 更に此処(第三新東京市)との間にある程度の縦深を取ること出来ますので、海岸線での迎撃に失敗しても、一旦後退して再補給後に再度の出撃が可能と考えます」

幾つもある迎撃プランの内、最適と思われるモノを即座に提案てきる等と言う、ちょっと凄い所を見せる日向二尉。

(此れで、葛城さんへの好感度あ〜っぷ♪)

日向二尉は内心そう思って北叟笑んでいるが、そんな事は絶対にない。ミサトにとってみれば、そんな事は部下(下僕)として当然の仕事だと思っているからだ。

哀れと言うか、何と言うか、とかくこの世はママならないものである(合掌)。

作戦の提示と言うのは、副官、若しくは参謀の職務としては当然であるのだが、その早さにはシノや顧問団の面々も注目してしまう。

その日向二尉の背後で、“どんなもんだいっ”とばかりに腰に拳を当て胸を反らすミサトの姿は、シノ達の視野には入っていても意識の外に追い出されていた。

(日向さん…本っ当に優秀なんですけど…恋は盲目とは良く言ったものですね)

シノは日向二尉に憫れみの篭った視線を向けつつ、内心呟いてしまった。

 日向二尉の提案を聞き、発令所上段のゲンドウとユイ、冬月はシノを見下ろし、目で“採用して良いか?”とサインを送る。

シノもそのサインを目にし、小さく肯定いた。

「それでは、日向二尉の提案を採用し、沼津での迎撃とする」

ゲンドウは、シノの了承のサインを見て“お前(ミサト)の意見じゃないぞ”とばかりに了承の言葉を言うと、何時ものゲンドウポーズで、ミサトの方を見下ろし質問した。

「場所は良いが、作戦は如何なっているのだ?」

「へっ? えーと、えーと…日向く〜ん♪」

お前は、ドラ○モンを当てにするのび太君かっ、と発令所に詰める全員(日向除く)が突っ込んでしまう。

此処はお任せ、とばかりにヒュウガエモン日向二尉が説明をしだした。

「エヴァは海岸線後方の待機陣地で待機しておきます。

 最初に着上陸時に此処(第三新東京市)の兵装ビルから、威力偵察を兼ねて使徒へ攻撃を加えます。

 此れで使徒の能力を確認。

 ATフィールドの中和距離に入ったら、エヴァでフィールドを中和。其処に兵装ビルから再度の攻撃を行います。

 その後、待機陣地からエヴァが出撃。近接攻撃を敢行し、使徒を撃滅します」

割と簡単な作戦である。普通の歩兵等の攻撃方法と同じと言って良いだろう。“砲兵が墾し、歩兵が進む”と言う奴である。

何度も作戦部でシミュレーションを行っている事なので、作戦の大まかな所は簡単に説明できる。

しかし…葛城ミサトは出来なかった。シミュレーションをサボるか、居眠りして過ごしていたから。

 ゲンドウは最後のテストとばかりに、ミサトへ質問する。

「それで、葛城君。エヴァの現地への移動は如何するのだ?」

「えーと、発進口から射ち出せば済む話しですが?」

そのミサトの言葉に、ハッとする日向二尉。

何せ、沼津方面の一番近いエヴァ発進口から、迎撃ポイントの千本浜までは直線距離で20kmはあるのだ。しかも、山を下る事になるので、道沿いとなると、更に距離は伸びる。

此れが伊東や湯河原方面であれば、地下のリニアトレインを使用して、海岸線へ出る事も出来るが、未だ沼津方面のリニアトレインは工事中であった。この事は、部長職が必ず目を通すハズの週報等の書類に何度も記載されていた事である。

 更に、道はエヴァの重量を支える構造になっていない為に、エヴァが“歩いて、若しくは走って”移動すれば、大変に面白い事になってしまうだろう。道路の破壊…一般の人には良い迷惑である。

 発令所上段の面々は、ミサトの本日の今までの発言に今回も見限る事に決めた(笑)。

「碇査察官。配備の指揮をお願いする」

そのゲンドウの言葉に、ミサトは即座に反応した。

「何故ですっ! こんな、小娘にっ」

しかし、シノはそんな言葉を無視して、指揮を采り始めた。

「日向さん、エヴァ3機で迎撃します。全機をF装備でウィングキャリアに吊り下げて下さい。

 確か、この間のテストでは30分以内で、全機の準備が整いましたよね?」

日向二尉はミサトがスルーされた事に、やはり内心憤りを感じはしたものの、根が真面目なので仕事はキッチリとこなす。

「30分以内で大丈夫です。此れから発令します」

日向二尉の返事に頷くと、シノは青葉二尉の方を振り向いた。

「青葉さん、前線司令部を設置します。関係者に連絡をお願いします」

「了解しました」

移動指揮車での司令部開設はマニュアルがあるので、関係者に連絡すれば、オスプレイやスカイクレーン、チヌークで要員装備をヘリボーンし、素早く開設される事であろう。

 シノは、エヴァの前線配備とは別の指示を出すべく、今度は顧問団の方を振り向いた。

「ヒックス大佐、今日は観戦武官のハズだったのを済みませんが…国連軍極東方面軍に連絡を取ってくれませんか?」

「お嬢、沼津方面に足止め用の兵力を展開するのかね?」

ヒックス大佐も付き合いが其れなりに長いので、シノの言いたい事は察しがついた。

「ええ、無駄になるなら、それでも良いのですけどね。拙い場合を考えて、砲兵だけでも足止め用に、此処(第三新東京市)との間に置いておきたいですから」

その言葉を聞きながら、ヒックス大佐は部下である中佐達に指示を出し始めた。

 シノは、傍らのリツコを見ると、小さく頷いた。

「リツコさん、前線司令部へ連れて行く技術部の人員の統括をお願いします」

「判ったわ。マヤ、貴女を含めてマニュアル達りに人員を召集して」

「判りました、先輩」

リツコの指示に、マヤも何処かへと連絡を取り出した。

 更に、シノは背後に控える御付の二人に声を掛けた。

「楓。一般市民への避難命令は出ていると思いますが、再度確認をしてください」

「はい、マスター」

「紅葉。退避状況の確認をお願いします。一般市民の避難が間に合わない等の最悪の場合、時間稼ぎに護衛艦の<はるな>は沈んでもらう事になるかもしれませんから」

「判りました、主様」

 シノの“沈んでもらう”発言に息を飲むユイ。

シノは背後を振り向き、ゲンドウ達を見上げる。

「エヴァはエアボーンで展開させます。

 戦闘予想区域の市民の退避が時間的に間に合わない場合…<はるな>に足止めの攻撃を行ってもらいます」

シノの玲瓏たる声が発令所の喧騒に負けない様に静かに響く。

冬月は喘ぐ様に、攻撃した場合の結末を確認する。

「そ、それでは使徒に反撃された場合…」

「場合によっては撃沈されるでしょうね。

 しかし、彼らも我らも軍人。醜の御楯です。

 市民を守って幾らの商売ですから。市民を意味無く殺すよりは良いでしょう」

シノの回答は、にべも無かった。

 

 

 


 


 

 

 


 エヴァ3機は海岸沿いの千本浜公園を挟んで、学校の建物などの遮蔽物を利用した待機陣地で第七使徒の上陸を待ち構えていた。

初号機と零号機は航宙軍からの技術協力で間に合ったビームライフルを装備し、一応遠距離戦を想定して待機。

弐号機はドイツ第三支部謹製のソニックグレイブを装備し、近接戦闘を想定して待機していた。

シノは展開前に、アスカにフロントかバックアップのどちらを選ぶか聞いていたが、予想通りにアスカはフロントを選択していたからだ。

その時のアスカ嬢曰く「私の華麗な操縦を見ていなさいっ! 貴女達等、私の引き立て役が精々である事を教えてあげるわ」

自慢の朱金の髪を掻き揚げながら仰ったそうである。

 このビームライフル、今だ初号機と零号機が持つ二梃だけだったりする試作品である。

ライフルへのエネルギー供給は、弾倉タイプのエネルギーパックを用いる為に、エヴァ本体に変なコネクター類を取り付ける改造をしなくて済む優れもの。

しかし、問題は有る物で、弾倉のエネルギー容量の関係で、通常のチャージで30回の連射、マグナムチャージで10回しか連射出来なかったりする。

まぁ、エネルギー切れを起こせば、エネルギーパックを換えれば良いのだろうが、エネルギーパック自体が全部で4つしかなかったりするのが、今現在の頭の痛い所。

何せ、試作品なのだから。

つまり、初号機と零号機が装備しているビームライフルに装着している物を除けば、各機とも予備弾倉は1つしか持っていない事になるのだ。

他にも、加速器の寿命が短くて、通常チャージで60回も連射したら爆発しかねないとか言う問題もあったり、砲身命数が通常チャージで70発しかなかったりする問題もある。

でも、無いよりは益し、なのだ。

 

 此処に布陣するまでに、色々と問題は発生していた。

ウィングキャリアから降下するタイミングをアスカがミスして、LZ(降下)ポイントから大きくズレると言うハプニングもあった。

エアボーンの場合、LZポイントを外れての降下と言うのは良くある話ではある。しかし、エヴァで10km程歩いてLZポイントに集合した為に、エヴァが歩いた区間の道路はエヴァの重量を支えられずガタガタになってしまった。

シノなどは、この事態に「総務課や広報課の人達…後で苦情処理が大変でしょうねぇ」と苦情電話の矢面に立たされる人達の苦労を慮ってしまう。


この件について二番目の子供達のコメント:ドイツ語でカウントしないからよっ!!


 移動指揮車等の車重が軽い車両はヘリボーンで移動できたが、電源車等の車重が重い車両は路面移動となってしまった為に、避難民の渋滞に巻き込まれて予定より到着が遅くなったりもしていた。

路面移動の車両群は、エヴァを前線で活動させる為には必須なものが多い為に、この到着の遅れで、先に前線に展開した者達はやきもきさせられもした。

この遅れは、LZポイントを大きく外れて降下したエヴァ弐号機の集結時間にも影響を与える事になってしまった。

何せ、電源車が無ければ、降下直後のエヴァは内蔵電池だけで稼動しなければならないので長時間での稼動は出来ないからだ。


この件について某作戦部長のコメント:逃げ出す奴等なんて、強制的に排除すれば良いのよっ!!


彼女の言う“強制的な排除”に想像を巡らすと、相当に怖い物を感じるのは筆者だけであろうか。

後にこのコメントがゲンドウ達にバレて、減給10%3ヶ月が言い渡される事になる。

 更に、路面移動した車両の遅れは、陣地構築にも影響を及ぼす事になる。

路面移動した大型車両には土木作業車も含まれており、本来ならばエヴァがダックイン出来る壕と土手を構築する予定ではあった。

しかし、土木作業車の到着の遅れで陣地構築の計画が御破算となってしまったのだ。

よって、校舎等の学校施設を遮蔽物として利用する事になったのだ。

 あれやこれやで、第三新東京市以外での初のエヴァの実戦展開は、予定時間を大きく遅れての布陣となってしまったのだ。

 シノは、この事態を移動指揮車で見ながら、ヤレヤレと溜息を吐いてしまった。

そんなシノをヒックス大佐が慰める。

「問題は山積ですねぇ。今度の戦訓検討会議は長い時間が掛かりそう…」

「お嬢、何事も初めてはありますよ。特に避難民との遭遇は、何処の軍隊でも頭の痛い問題ですからね」

「そうなんですけどね。せめて、避難民の避難ルートと此方の移動ルートを明確に別けておけば、もう少しは早く移動出来たかもしれませんよ」

「確かに、そうではありますが…避難民もパニックを起こしておりますからな。中々に此方の思う通りには行かないでしょう」

「それは判っていますよ。でも平時でのツケは戦時では何倍にも跳ね返りますからね」

「今回の件については、次回迄に、早急に直しておく問題ではありますな」

「そうね、その為にも今回の使徒を早く殲滅しないといけませんね」

そうシノは締め括ると、初号機に搭乗すべく、移動指揮車を後にしたのであった。

 

 

 

 シノは海面から露れた第七使徒を望遠モードで観測して、その使徒の外見の異常性に気付いた。

外観は、イソギンチャクの様な感じであろうか。しかし、そんな外観では無い異常性があった。

(コアが二つ? 如何いう事かしら?)

 シノが考え込んだ一瞬の隙を突く様に、フォーメーションの確認もせずに待機陣地を飛び出す赤い彗星…もといエヴァ弐号機。

(あの、馬鹿。威力偵察の結果も待たずに、何を考えて…)

内心でアスカに対する呪詛の言葉を紡ぎながらも、シノは現状の最善手を考え、指示を出した。

「移動指揮車、兵装ビルからの弾幕は中止します。

 レイ、弐号機の援護をするわよ。

 惣流さん、右方向から回り込んで」

 そのシノの言葉に、別々の怒声が返された。

「何っ、仕切ってんのよっ! あたしが進まない所から掩護しなさいっ!!」

アスカの有難いお言葉である。

「何で、アンタが指揮を采っているのよっ!! アタシの指示に従えって言っているでしょ!!」

ミサトからの何のご利益も無いお言葉である。

しかし、ミサトは指示をするもしないも、此処に展開してから始めての通信だったりする。

それまでは、持ち込んだクーラーボックスの中のえびちゅの缶を空けるのに忙しく、現地での打ち合わせ等は全てすっぽかしていたのだから。

 シノはアスカやミサトの言葉を聞き流すと、ビームライフルの照準を付けようとしたが、真っ直ぐ突っ込んでいく弐号機が邪魔になって、如何しても照準が付けられない。

零号機の方をチラッと見ると、やはり射撃は行っていないし、銃口も狙いが定まらない様に動いている。

「レイ、此方は陣地を出て、右方向に前進し、射界を得ますよ」

「了解です、お姉様」

初号機と零号機は、待機陣地を出て、右方向への機動を開始した。

 その頃、移動指揮車でも騒動が持ち上がっていた。

「使徒のA.T.フィールドは、エヴァ各機のA.T.フィールドで中和されているのよね」

ミサトがオペレーターに質問する。

「A.T.フィールドは中和されています」

マヤがコンソールを覗き込みながら回答する。

「じゃ、兵装ビルからの弾幕射撃よっ! 日向君、宜しくね」

移動指揮車に居る日向二尉以外の人間は、このミサトの行動に“何で、お前が指示を出してるんや?!”と、内心突っ込みを入れてしまった。

今回の件も、本来であればミサトが居る場所は、ネルフ本部の第一発令所のハズであった。

それを日向二尉が「葛城二尉をアドバイザーとして前線指揮車に配備して欲しい」と言って煩く頼み込んだのだ。

時間が無い事もあり、アドバイザーであればと、釘を刺しておいて、ゲンドウ達が許したのであった。

そのお陰で、葛城ミサトは移動指揮車に居られるのである。

しかし、ミサトは“自分がアドバイザー”なんて事は忘れてしまった様である。

 このミサトの命令に日向二尉もパブロフの犬の如く、従おうとしてしまった。

「所定の兵装ビルは、千本浜へ射撃(グハッ)………」

この日向二尉の言葉に、控えていた楓が日向二尉に延髄蹴りをお見舞いし、日向二尉の意識を刈り取る。

「マスターの邪魔をするつもりですかっ!」

その隙にオペレーター席に着いた紅葉も冷たい言葉を日向二尉に浴びせる。

「あそこまで弐号機が接近しては、同士討ちになりますよ? それでも宜しいので?

 しかも、此方に使える兵装ビルが装備する兵器は、基本的に面制圧が目的ですよ?

 主様が何故、兵装ビルの射撃を止めたか、判らないのですか」

紅葉の目は、冷たくミサトと日向二尉を睨め掛けた。

面制圧と言う事は、使徒だけ狙う事が出来ないと言う事である。

 ミサトは、シノの御付二人の行動に、咄嗟に腰の拳銃を抜こうとしたが………空振り………出来なかった。

ミサトは、先の第六使徒戦を考慮(太平洋艦隊司令部との対応)して、帯銃の許可が取り消されていた為に、銃を持つ事が出来なかった為だ。

 そんなミサトを見て、リツコもミサトを責める。

「ミサトっ、そんなに邪魔をするなら、此処(移動指揮車)から出て行ってくれる?」

リツコの険の篭った声に、ミサトはビビッてしまった。

「何よ、リツコ。ち、ちょ、ちょっ、ちょっとした冗談じゃないの(アハハハハハ)」

周りの自分を白眼視する視線もあって、ミサトは笑って誤魔化そうとするが、それは無理な気配だ。

執り成しが出来たであろう日向二尉は、今だ移動指揮車の床で眠りに着いているので、移動指揮車の中にはミサトを支援する人は誰も居ないのだ。

 この騒動、初号機には筒抜けだったりする(笑)。

初号機は旗機でもある為、データリンクを含む通信関連は特に充実しており、発令所や指揮車とは何か問題が無い限り、常に通信は繋がりっ放しなのだ。

シノは、この騒ぎを聞き、内心は結構お怒りモードだったりする。

また〜、あの牛はっ! それに、あの眼鏡も如何にかしないと、何時後弾を喰らうか判りませんね(怒)

後弾、後方の味方から誤射を装って弾を喰らう事である。古来より戦場では誤射と言うのは結構発生するものであり、通信関係が発達した現代でも起こりうる事である。

この誤射を装って、邪魔な人を西方浄土に送ろうとするのも古来から在ったりする事ではあった。

 

 そんな事も関係なくエヴァ弐号機は、見事な操縦テクニックで使徒に急接近する。

水面に出ている廃墟を足場にジャンプ一番!

振り被ったソニックグレイブを使徒目掛けて振り下ろす。

結果は、アスカが駆るエヴァ弐号機のソニックグレイブにより、真っ二つにされる第七使徒であった。

 シノは、そんな光景を見ながらも、ビームライフルの構えを解かない。レイもシノを見習って使徒の残骸に照準を付ける。

シノは、如何しても先程見た二つのコアが気になってしかたがなかった。

 しかし、移動指揮車と弐号機では………。

『お見事! ナイスよ、アスカ!』

スポーツ観戦気分で、アスカに声援を送るミサト。

「どう? 戦いは常に無駄なく美しくよ!」

使徒に背を向けて戻ろうとしている弐号機のプラグ内で胸でも張りそうな位に踏ん反り返っているアスカが居たりする。

 しかし、使徒の気配は消えない。そして、殲滅を確認する報告も上がっていない。

『パターンの確認を急ぎなさい。レイ、油断しないで下さい。殲滅の確認は済んでいません』

シノの何時もの玲瓏たる声が、エヴァ各機、移動指揮車内に響いた。

その言葉に反応する二つの罵声。

「何よっ! アンタ、あたしの活躍にケチ付けようと言うのっ!!」

とエヴァ弐号機のプラグ内で吠える少女。

「そうよっ! トロトロと動いて何も出来なかった癖に、何を言っているのっ!!」

と移動指揮車内で、他人の尻馬に乗って騒ぐ牛。

 しかし、シノは二人を完全に無視をした。

「惣流さん、使徒に背を向けないでっ! 使徒殲滅の報告は未だですっ!

 使徒を監視して下さいっ!!」

無駄と思いつつも、アスカに注意するシノ。

その注意の返礼で、初号機のプラグ内はアスカの罵声で満たされてしまう。

『あたしの華麗な操縦で使徒は倒されているのよっ! 何、文句があるって言うのっ!!』

そんなアスカの声を無視する様に、シノは弐号機との音声回線のボリュームを下げると、移動指揮車にいるリツコにも指示を出した。

「リツコさん、この使徒のコアは二つありました。今までの観測結果の分析と、更なる観測を」

続けて下さい、と言おうとした時、使徒の残骸に異変が起こった。

ブルッと震えたかと思うと、二つの個体で第七使徒は復活したのだ。

 その事態に移動指揮車の車内が凍りつく。

『ぬわんてインチキっ!?』

驚愕するミサトの声が、エヴァ各機に響く。

その声にアスカが振り向き、驚きに弐号機が一瞬止まってしまう。

しかし、シノは未だ“パターンブルー消滅”の確認が取れていなかった為に、警戒を解くことはしていなかった。

「リツコさん、データ取って下さい。レイ、援護を」

『判ったわ、シノちゃん』

『何、勝手な事を言ってるのっ! 私が指揮を采るのっ!!』

冷静なシノとリツコの遣り取りの中、牛の喚き声だけが初号機内のシノの耳朶を打つ。

「分裂して活動を再開するなら、プラナリアでも出来ますよ」

シノはそう告げると、弐号機が邪魔にならない位置に移動して、援護射撃をしようと機動する。

今だ、弐号機は初号機の照準線を遮っていたのだ。

そんな初号機の機動に、レイの零号機も追従する。

 その間にも、事態は悪化していく。

『何よ、コイツ等!』

アスカの使徒に対する罵声がシノの耳に入る。その声音は、シノ以外の人間が聞いても、恐慌と言ったモノが含まれている事は十分に感じられた事だろう。


 ミサトの驚愕の声に一瞬弐号機を止めてしまったアスカであったが、急いで使徒の方を振り向き、使徒へ再度の攻撃を掛けようとした。

「何よ、コイツ等ぁ! 使徒の分際でぇ、さっさとあたしに殺られてしまいなさいよぉ!!」

そう言うと、アスカはソニックグレイブを横薙ぎする。横薙ぎされた一閃は、分裂した金色の使徒を切り裂いた。

だが、コアを切り裂かなかった所為か、簡単に傷口が再生される。

「こんちくしょぉぉぉぉ!」

今度は、逆袈裟に銀色の使徒をコア毎切り裂く。今度はコアも切り裂いたのに、傷口が再生されていく。

「何でよっ、コアを切り裂いたのにぃ」

 その時、シノの指示が弐号機のプラグ内に響く。

『惣流さん、援護射撃の間に、使徒と距離を取って』

だが、シノの言葉はアスカには逆効果だった。火に油を注ぐ様なモノとなったのだ。

「何、勝手な事を言っているのよっ! 手柄を横取りする気ぃ?」

そう言いながら、ソニックグレイブを矢鱈滅多らと振り回す。

「この、切り倒されなさいよっ!! この、この、この、このぉ!!」

しかし、ソニックグレイブで幾ら切り裂こうと、見る見る切り裂かれた傷口が再生されてしまうのだ。

気は高ぶっているモノの倒したと思っていた使徒の復活である。精神的にもダメージは大きい。


−はぁ、はぁ、はぁ、はぁ−


弐号機のプラグ内に、アスカの大きく息を吐く音が響く。

短時間とは言え、ソニックグレイブを振り回した為に、アスカの息も上がってきた様だ。

 使徒が復活してから数十秒後には、シノ達が掩護射撃を始めたが、形勢は弐号機に不利であった。

二発、三発と使徒にビームが突き刺さるが、突き刺さった傍から使徒の体は再生されていく。

この事態に、アスカは後退しようとしたが、その決心は遅きに失したものであった。

 息が上がり、注意力が散漫となり、且つ当初に比べて動きもが鈍くなった事もあり、弐号機は使徒達に取り付かれてしまったのだ。

金色の使徒が弐号機に取り付き、目の位置からビームを発射し、弐号機を焼く。そして、銀色の使徒が弐号機の後に回り込み、弐号機に取り付いた。

そして銀色の使徒は弐号機を投げ飛ばした。勿論、金色の使徒が空中の弐号機を“目からビーム”でコンガリ焼く事も忘れない。

きゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

その時、アスカの悲鳴が初号機のプラグ内に響く。

(随分と可愛らしい女の子らしい悲鳴ですねぇ)

シノは、アスカの悲鳴を聞き、ふとそう思ってしまい、自分自身に苦笑してしまう。

(そう言えば、惣流さんは女の子でしたね。これは失礼な事を思ってしまいました)

そうも思い、胸の内でアスカに頭を下げる。

 シノは射撃をしながら、使徒に投げ飛ばされ空中で焼かれ、後方の千本浜公園に頭から突っ込む弐号機を見るとはなしに見てしまった。

頭から突っ込み、二本足を天空に指し示す弐号機の姿を見て、シノは思わず呟いてしまった。

「………佐清さん?」

そして、止めとばかりに、更に呟く。

「凶器が斧で無いのが惜しいですかねぇ」

 

 

 弐号機が戦線を離脱したからと言って、戦闘が終わる訳でもない。

シノは、弐号機が投げ飛ばされたのを見て、兵装ビルを使った火力支援の指示を出していた。

今まで使徒に近接し過ぎていた弐号機が居なくなったからだ。

火力支援の隙に使徒との距離も開いておきたい。

(今の状態で、近接戦闘を仕掛けても、弐号機の二の舞になりかねませんね。少しでも距離を取って、リツコの分析が終わるまで時間を稼がないと)

シノは、簡単な遅退戦闘を行う事に決めたのだ。

「紅葉、兵装ビルを使って、火力支援」

『主様、了解しました。兵装ビルで火力支援を行います』

紅葉の復唱が返ってくる。

続けざまにシノは移動指揮車に指示を出した。

「ヒックス大佐、国連軍に足止め用の航空支援の用意を要請して下さい」

『お嬢、N2搭載の奴が上空に待機しています。

 他に、15榴と20榴装備の砲兵連隊が二個、MLRSが一個連隊、足止め用に待機しています』

「了解です。タイミングは」

『お嬢が必要な時に、発砲の指示を出した時。指示が無くても、お嬢の機体が撤退するか、動かなくなってからでも良いですね』

「それで、結構。

 済みませんね、早速、本格的な仕事をさせてしまって」

『此れも給料分の内ですから』

そんな話をしている内に、兵装ビルからの射撃が始まった。

 A.T.フィールドを中和された使徒達を着弾したミサイルの爆煙が包んでいく。

それを見ながら、シノはレイに指示を出した。

「レイ、一旦待機陣地まで戻るわよ」

『ハイ、お姉様。ところで弐号機…如何します?』

(弐号機は勝手に先行して自滅ですか………予想していたとはいえ、正直頭が痛いモノがありますね)

レイの言葉に、チラッと弐号機を目の端に入れて、シノは内心毒づいてしまう。

弐号機が頭から突っ込んだ場所は、待機陣地の手前なのだ。

「今は弐号機を回収している時間が惜しいわ」

そう言うと、ミサイルが使徒達の足止めをしている間に待機陣地へ戻るのであった。

 爆煙が晴れた時、使徒達は健在であった。

(やはりと言うか、何と言うか。期待していた訳じゃないのですけどね)

そう思いながらシノはビームライフルを撃つ。又も金色の使徒のコアにビームは突き刺さるものの、使徒の体は再生されていく。

続いて、レイも銀色の使徒を撃つが、コアを直撃しても使徒は再生していく。

 レイが撃つビームライフルも、シノが使うビームライフルも効果が無く、当てる傍から使徒の体は再生していく。

ただ、再生している間は使徒の活動が鈍るので、足止めにはなっているのが救いと言えば救いである。

『お姉様、如何します?』

幾分、震えたレイの声がシノの耳に入ってくる。

「レイ、ライフルの残弾は後、どれ位?」

『今装着しているエネルギーパックだと、通常チャージで三発です。後、予備のエネルギーパックは一つ残っています』

シノが間を取った為か、レイの声の震えが止まった様だ。

「此方は、予備弾倉は丸々残しているわ。今着けている奴だと通常チャージで二発ね」

(無限の再生能力でも持つと言うの?)

この使徒との今迄の戦闘を思い出して、内心でシノは弱音を吐くものの、言葉に出すことはしない。

指揮官がそんな事をすれば、士気崩壊を招く恐れがあるからだ。

 既に、弐号機は沈黙。二本足を天空に指し示すオブジェと化している。

搭乗していたアスカは、気絶はしているが生きてはいる、と言う連絡が先程、移動指揮車から入ってきていた。

気絶しているアスカを電気ショックで起こそうと言う話も出たが、それはシノが止めた。理由は煩いから(笑)。

もう一人の騒音発生源である移動指揮車のミサトも沈黙している。

使徒が分裂して復活した際に、ミサトが驚いて騒ぎ、辺り構わず当り散らしたので、リツコは自家製の麻酔薬を使用して黙らせたのだ。

 

 

 シノが残弾を気にしながら遅退戦闘を行っている頃、リツコは移動指揮車の中で、ネルフ本部のMAGIの実行領域の殆どを使用して、使徒の分析を行っていた。

 使徒のエネルギーの流れを調べている時に、マヤが変な事に気が付いた。

「先輩、金色の使徒も銀色の使徒もエネルギーが体外に放出されている様なのですが?」

「放出されている?」

「ええ、エネルギーの流れが体内だけでなく、体外にも流れているんです」

その時、リツコはA.T.フィールドの範囲等のチェックを行っており、A.T.フィールドについて、変な事に気付いていた。

「金色の使徒と銀色の使徒…あー、面倒臭いっ!

 良い? 此れからは金色は金角、銀色は銀角と呼称するわよ」

少しキレたリツコの発言に、素直に首を縦に振る車内の一同。

先程のミサトへの対応を見てしまっているので、キレているリツコには皆素直に従う様だ(邪笑)。

「今、金角と銀角のA.T.フィールドを調べていたのだけど…」

そう言うと、モニターにA.T.フィールドを強調した画像を映し出す。

「確かに、A.T.フィールドは中和されてはいるのだけど、細くワイヤー状のA.T.フィールドで金角と銀角が繋がっているのが確認できるのよ」

リツコはそう言いながら、シノが遅退戦闘を始めたシーンのデータをMAGIに掛け直そうと、自分のコンソールを操作しだした。

「マヤ、体外にエネルギーが流れ出す時のタイミングのデータはあるわね?」

「はい、先輩」

「それと使徒の傷が再生するタイミングを合わせてみると…」

リツコがMAGIに調べさせた内容に、理解が出来ないマヤが質問した。

「先輩、如何言う事です?」

「ちょっとした仮説なんだけどね。

 体外に出ているエネルギーは何処に流れているのか?

 A.T.フィールドの強化だったら体内で消費されるでしょうし、A.T.フィールド自体の強度も最初とそれ程は変わった様には見えないわ。

 もし、この細いA.T.フィールドのワイヤーに流れているとしたら、如何かしらと思ってね。

 その検証の為にMAGIに掛けたの」

その検証結果は直に返ってきた。

「先輩、三者一致で、A.T.フィールドのワイヤーに流れていると回答してきました」

そして、別の検証結果も返ってくる。

それを見て、リツコは指をパチンと鳴らした。

「皆、此れを見てっ」

そう言いながら、検証結果のウィンドウを皆のコンソールのモニターに表示する。

「金角が傷を再生している時は銀角からエネルギーが体外に流れている。

 そして、銀角の時は金角からエネルギーが体外に流れているわ。

 あの使徒は二体にして一体と言う存在なのでしょうね」

そこにヒックス大佐が口を挟んだ。

「つまり、如何言う事でしょうか? 赤木博士」

「二体の様に見えて、実は一体でしかない。エネルギーを相互補完する事で、無限とも見える再生をしているのでしょうね」

「でわ、如何攻撃すれば、相手を殲滅する事が出来るのでしょう?」

軍人と言うのは即物的である。戦闘の只中でもあるので、ヒックス大佐も焦れ出していた。それが声音にも出てしまう。

「金角、銀角の二体の使徒のコアをほぼ同時に破壊する必要があると言う事です」

リツコの返答は、簡潔且つ実行するには難しいものだった。

 

 

 シノは、ビームライフルのエネルギー節約の為と陣地転換の為に、兵装ビルからの再度の火力支援を要求していた。

「紅葉、兵装ビルから再度攻撃して下さい」

『了解です、主様』

シノ達が遅退戦闘を始めてから、使徒は20m程しか進んでいない。

使徒のコアにビームが直撃すれば、コアが再生する迄の数分は使徒も活動が鈍くなる。

又、A.T.フィールドが中和されているので、兵装ビルからの攻撃でも使徒へは効果があり、再生するまでの数分は使徒の活動は鈍くなるのだ。

 使徒に陣地が特定されて、ビームによる反撃を避ける為、シノ達は既に陣地を三度程換えている。

しかし、使徒の目からのビームの反撃の所為で、遮蔽物とした学校施設はボロボロになってしまった。

(この苦情処理も大変だろうなぁ〜)

シノは、そう思い辺りを見回す。

(総務と広報の皆さん、御免なさい)

後方のジオフロントで勤務しているであろう人たちに、シノは内心で手を合わせた。

 兵装ビルからの攻撃が始まった時に、その知らせは初号機のシノの元に届いた。

移動指揮車車内を映していたウィンドウにリツコの顔が映し出され、その口からシノが待ちに待った言葉が紡がれる。

『シノちゃん、データ解析完了』

(リツコ、おそ〜い!(ぷんぷん))

と思わないでもないシノではあるが、それを口には出さない。しかし、多少は拗ねている所が顔色に出ていたのかもしれない。

無限の再生能力を持っている様に見える使徒との対戦は、それ程までに精神的にも疲れると言ってよかった。

『遅れて悪かったわね。

 簡単に言うと、あの使徒は、お互いがエネルギー的に補完しあって再生しているわ』

「リツコさん。それって…ほぼ同時点でコアを破壊しないと、駄目と言う事ですね?」

『そうなるわね』

(近接戦闘だと…2機のエヴァで二点同時攻撃なんてタイミングを合わせなければならない訓練はしていないから…無理ね。

 射撃なら…MAGIを利用すればインダクションモードを巧く使って…如何にかなりそうね。

 射撃で方を付けるしかありませんか)

シノはある程度は方針を固めると、レイが映るウィンドウの方を振り向いた。

「レイ」

『何でしょう? お姉様』

「ありがたい事に使徒のコアは狙い易い位置にありますから、ビームライフルの射撃で使徒のコアを狙いますよ」

『同時に撃ち抜かなければならない、と言う事でしたが? 如何します?』

リツコの説明は零号機のプラグ内にも届いていた。レイは、当たり前の質問を口にする。

「リツコさん。使徒の傷口が再生する時間は判ります? 平均タイムで結構ですけど」

『10秒から20秒と言ったところよ』

リツコもシノの質問は予期していたのであろう。シノにタイムラグ無しで回答する。

シノは、ほんの20秒程考えると、リツコに質問した。

「第六使徒戦で使用した、例の試作品(A.T.フィールド中和兵器)と艦砲の同調プログラムですけど、エヴァ・ヴァージョンをインストールしていましたよね?」

『初号機と零号機にはインストール済みよ。エヴァ二機での発砲同調も可能よ』

そして、リツコはこうも付け加えた。

『この同調機能を使えば、一方のコアを撃ち抜いて、そいつのコアが再生する前に、もう一方のコアを撃ち抜く事は可能とMAGIの太鼓判付き』

 A.T.フィールド中和兵器は、NERVが開発元なので、兵装ビルにも装備されている。

この兵器を活用する為に、エヴァの射撃兵装でもA.T.フィールド中和兵器との同調射撃が可能な様に、インダクションモードのシステムには改良が加えられていたのだ。

この改良は、A.T.フィールド中和兵器との同調射撃だけでなく、同じ目標を複数のエヴァで射撃する為の発砲同調機能も付加されていたりする。

尤も、現時点での仕様では同調のコントロールはMAGIを介して行うので、エヴァとネルフ本部のMAGIとは接続されている事が前提となる。

その為に、第三新東京市近辺以外では使用できなかったりするのが、問題点と言えるだろう。

 シノは、リツコの言葉に発砲同調機能を思い出し、微笑んでしまう。この仕様を入れる入れないで、技術部内で結構揉めた事を思い出したのだ。

「備えあれば憂い無し、ですね(くすくすくす)」

『そうね(くすくす)』

リツコも思い出したのか、シノに釣られて思い出し笑いをしてしまった。

 シノは、今だ続く兵装ビルからの攻撃を見ながら、これからの手順を考える。

(一目標を多数のエヴァから同時に攻撃する為の発砲同調機能だけど…照準そのものは各エヴァで行う仕様だから、二点同時でも問題は無いか…)

シノは、発砲同調機能の仕様を思い出し、同調機能そのものに問題点が無い事を確認する。

(先ずは、使徒の動きを止めないといけませんね。足止め用の砲兵を使いますか)

「ヒックス大佐、砲兵に連絡を入れてください。使徒の動きを牽制します。

 此方の指示があり次第、使徒へ砲撃を開始する様にと。砲撃は10分間」

『了解です、お嬢』

移動指揮車内では、ヒックス大佐が、沼津市街地郊外に展開している砲兵部隊へ連絡をとるべく、リー中佐に指示を出していた。

「レイ、弾倉を予備と交換。マグナムチャージで使徒のコアへ5連射。

 レイは金角を狙ってください。此方は銀角を狙いますから」

『はいっ、お姉様。同調機能のトリガーはお姉様の方で宜しいのですよね?』

「ええ、私の方のトリガーで発砲します。照準は宜しくお願いしますね」

『任せて下さいっ!』

レイの応答を聞きながら、シノはプラグ内のデジタル表示の時計を見る。

(現時刻は1450(午後2時50分)ですか…作戦開始時刻は…)

作戦開始時間を何時にするかと考えていると、移動指揮車のヒックス大佐から連絡が入った。

『ヒックスです。砲兵の方は標定も終了しているそうです。弾着観測班も此方に展開終了しています。

 風向などのデータも砲兵本隊とのデータリンクを行える様になっています。

 お嬢の命令次第、発砲可能です』

「了解しました。それにしても砲兵は随分と仕事が速いですね?」

『彼らは給料分の仕事はしていると言う事でしょう。

 第三使徒戦でも使徒の着上陸時に攻撃を加えていますからね。

 陣地候補地と沿岸の測距は既に終わっていて、グリッドも地図上は切られていると言う事です』

「了解です(くす)。行き成り、効力射が期待できますね」

通常は、目標物を測距してから、試射を行い、弾着を観測し、ズレを修正して、本射(効力射)となる。

しかし、今回の場合、測距は完了しており、砲弾を命中させるのに必要となる細かいパラメータ(風向、風速、湿度等)もデータリンクで砲兵本隊へ送られている為に、試射をすっ飛ばして、行き成りの効力射を行う事が出来るのだ。

 ヒックス大佐の言葉に微笑を交えて返答をすると、シノは何か頷き、移動指揮車と零号機に指示を出した。

「先ずは、砲兵の攻撃で使徒の足止めをします。

 次に、動きが鈍った使徒へエヴァ2機でコアへの二点同時攻撃を行います。

 此れで、使徒が殲滅出来ない場合…動きが鈍っているであろう使徒へN2で攻撃します。

 以上のステップで攻撃しますが、何か質問はありますか?」

移動指揮車車内で、ヒックス大佐か周りを見回すと、リツコが静かに頷く。

『此方、指揮車。了解しました』

続いて、零号機からも連絡が入る。

『お姉様、了解です』

シノは、二つの返事に頷くと、作戦前の最後の言葉を口から紡ぎだした。

「開始時間は、1500(午後3時)。作戦、スタートです」

何の気負いもない、常の玲瓏たる声が移動指揮車と零号機に響き渡った。

 

 

 沼津市街地郊外に展開した15榴/20榴の自走砲、MLRSを装備する砲兵連隊は初弾も込め終わり、開始時間を待っていた。

只待っているだけでなく、各連隊の連隊司令部は、最後の確認に余念が無い。

「弾種は、SAP(半徹甲)にしているな?」

連隊長と思しき人物が、傍らに控える将校に確認する。

「弾種は、SAPです。信管も遅延にしています」

傍らの将校は、野戦電話を手にしながら、そう答えると、何処かに電話をしだした。

弾種がSAP(半徹甲)で、且つ信管の調定が遅延と言う事は、目標(使徒)に対して貫徹力を重視すると言う事だ。

使徒の表皮面で砲弾を破裂させるのでなく、使徒の体内で砲弾を破裂させようとした設定を彼らは行っていた。

それはMLRSも一緒で、発射するミサイルは対機甲部隊を想定した弾種が装填されている。

「弾着観測班からは、使徒の位置は“変わらず”です。地図上のグリッドの千本浜F5だそうです」

先程、何処かに電話をしていた将校が、電話を片手に連隊長に報告する。

その時、もう一人の連隊副官を勤める将校が腕時計を見ながら報告した。

「時間です」

1500(午後3時)になったのだ。

連隊長の簡潔な命令が連隊本部の本部要員達の鼓膜を振動させた。

「ファイア!」

無線に付いていた本部要員は、一斉に各自走砲へ射撃開始の連絡を入れた。

 

 シノは、発砲開始の連絡を移動指揮車から受けると、遮蔽物越しに使徒が居る海面を注視した。


ーシュルシュルシュルシュルー


砲弾の飛翔音が空に響く。

 その音をエヴァの外部マイク越しに聞きながら、シノはレイに注意を促す。

「レイ、弾倉は新しいのに換えた?」

新兵等は、弾倉を交換するのを忘れ、射撃を続けようとしたりする事がママあるからだ。

『大丈夫です、お姉様。エネルギーパックは新しいのに換えています。

 照準は此方で。トリガーは其方で。マグナムチャージで、金角のコアに5連射ですね』

レイの返答に満足したかの様にシノは頷く。

 その時、使徒の周りで十数本の水柱が立った。

そして、それ以上の砲弾が使徒の体にメリ込み爆発する様がプラグ内のスクリーンに映し出された。

使徒はサンドバックの様に砲弾に打たれ続け、ミサイルからばら撒かれる弾子に打たれ続けるが、その脅威の再生能力を存分に発揮する。

当たった傍から、再生していくのだ。

たまにコアにも直撃が出るものの、運悪く使徒二体同時にコアに直撃しないので、あっと言う間に再生されてしまう。

しかし、砲撃が続いている間は、使徒も再生の方にエネルギーを費やしているので、その場をノロノロと動くだけだ。

 それを見て、初号機と零号機は遮蔽物越しにビームライフルを構える。遮蔽物が低いので、人間で言う膝撃ちの姿勢だ。

シノとレイの目の前には、インダクションモードの為に、照準用のシールドが降りていた。

そのシールドに投影される照準。

シノは銀角のコアを、レイは金角のコアをサイトの真ん中に納めながら、ノロノロと動く其々のダーゲットを追従する。

今の所、上手い具合に使徒達はシノ達に正面を向けた形でノロノロと動いている。

その状況を照準しながら見ていたシノは口元に笑みを浮かべてしまった。

(最後の気懸かりだった、使徒の方向ですが、上手く行きそうですね)

シノは誰にも言っていなかったが、この砲撃の最中に使徒が変な動きをして背を向けてしまい、コアへの射撃が出来なくなる事を尤も恐れていたのだ。

もし、そうなった場合…自分の初号機が使徒に突っ込んで近接攻撃で使徒のコアにプログナイフを突き立て、その状況を維持している間に、レイにもう一方の使徒のコアを撃ち抜いてもらうと言う手立てを考えてはいた。

でも、まぁ………遣りたくは無い、と言うのがシノの本音である。そりゃ、使徒と白兵を行うのでシノ自身がフィードバック等で文字通り“痛い”目に合ってしまうから(笑)。

だから、シメシメと笑みを浮かべてしまう。

 その時、移動指揮車からヒックス大佐の声がプラグ内に入ってきた。

『お嬢』

その短い一言で、全てを察したシノは、零号機のレイに声を掛けた。

「レイっ」

『照準、合ってます』

レイの返答を聞きながら、シノは自分自身に号令した。

「てぇッ」

そして、その号令に合わせる様に、トリガーをシノは静かに引いた。

 

 

 

 後に、公刊戦史には《15:11(午後3時11分)第七使徒、コアをほぼ同時に撃ち抜かれて、殲滅される》と記述される事となった。







To be continued...


(Postscript)

 昨年末以来の投稿となります(あはは…笑いが乾く)。
 3月末から足の傷が悪化し、右足の切断と言う事になってしまいました(激汗)。
 更に術後は、義足の為のリハビリと8月半ばまで入院する羽目に(滝汗)。
 入院中、FMVのLOOXを持ち込んで書いてはいたのですが、1日中リハビリしているので、中々書く時間が取れなくて、結局は今回の投稿まで引っ張る事になってしまった次第です。
 しかし、義足と言うのは、漫画や小説では怪我をした直後にはヒョイヒョイと歩いている様に見えますが、実際は結構難しいものです。
尤も私の場合、3月始めから寝込んでいたので、筋力が衰えていたのが、義足歩行で面倒な事になった主な原因なんですけどね。
 入院中、大部屋に居たのですが、恐ろしい事にお隣が“生ミサト”な人でした(ガタガタブルブル)。
つまり、自己中で他罰的な人なんですな。しかも、他人に物凄く攻撃的。
自分を良く見せようと他者を貶めたりと、色々と動いてくれる人でした。
いやぁ、一晩中読書灯をつけて起きていてくれるわ、ガサゴゾと大きな音を出してくれるわ、自分の髪の毛が伸びたといって病室で自分の髪の毛をハサミで切って後始末をしないわ、お題目(南無阿弥陀仏と言う奴ね)を唱えてくれるわ…。
笑えたのは、自分の髪の毛が食事に落ちて入ったのに、「此処の病院は髪の毛が入ったモノを出すのか(怒)」と怒りまくってくれた事(冷笑)。5,6回同じネタで騒いでました。
看護士からも嫌われており、前に同室だった人とは殴り合い一歩手前まで行ったらしいという、前科持ち。
しかも、独り言で「俺は悪くない、周りが悪いんだ」と繰り返してくれるし。ベッドが隣なので、確りと聞こえるんですよね(失笑)。
流石に、私も寝不足になりましたよ。
結局は、その“生ミサト”な人は、病院側から強制退院にはしないけど、出てってくれ、と言う事になって、出されてしまいました。あれだけ、入院患者にも病院関係者にも迷惑を掛ければねぇ。
まぁ、症状は安定しており、リハビリ目的の入院だったので、病院側も強制的な手段に訴えた様なんですけどね。
強制退院になると駄目駄目患者のブラックリストに載ってしまい、医師会系の病では長期の入院が難しくなってしまうのですよね。
 真っ当な世の中なら、こうなるのですが、中々作中では簡単にキュッと言う訳には行かないものですね。

 さて、今回も前後編の二部構成でお送りします。
 いやぁ、今回も全編でテキストベース80KB強となってしまいました。元のサルベージ部分は7KBなのに(泣)。
 今回は後の為の仕込と第七使徒戦です。
 この第七使徒戦。エヴァ原典中でも屈指と言うか、不可解な理由で不可解な訓練をさせて不可解な戦闘をさせるモノです。
 動きの同期を取ると言う事は、そう難しい事では無いのですが、私生活まで同期を取ると言うのは意味が無いとしか言い様がないし…。
動きの同期が取れていないと色々と拙い事が起こる武術の演武をやる人達は、私生活まで同期を取っているかと言うと、そんな事はしていませんしね。
 この逸話、LASな人達にとっては消せない逸話なんでしょうけどねぇ。
(原典を二次創作等で付いてしまった色眼鏡で見るのでなく、素直に見る限り、LASって成立し辛いですよねぇ)
 と言う訳で、同期云々については機械任せにしてしまいました。

 次は、浅間山か。サルベージ部分の容量は5KB強。此れがドレだけ増えるやら(汗)。


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