誰よりも早く、シンジが、それを拾い、読み始めた。

「・・・えぇ〜っと、何々・・・





 一身上の都合により、この職も、この世界からも辞職させて頂きます。
 この間、なくなった下着を探していたら、何故か、司令の机の中にありました。
 また、一緒においてあった司令の極秘アルバムを見て、更衣室や、シャワールーム等に、隠しカメラを仕込まれていて、私だけじゃなく他の女子所員達も、裸の写真を、たくさん隠し撮りされていた事が分りました。
 しかも、2つとも、変な汁がたくさんついていました。
 そして、司令が用も無いのに声をかけつつ、私の身体を触ってくると言うセクハラにも、もう耐えられません。
 また、いくら人類の為とは言っても、ワザと起動実験の時にミスプログラムを流され、事故に装わせて、大怪我を負わされてまで、存在したくはありません。
 更に、傷で動けない私の身体を合法的に好き勝手に触る為、もしもの時に救助してくれる人達を、ワザワザ遠くに配置した事も知りました。
 そして、多分、司令が、ある程度、怪我が治ったら、それでも、怪我でロクに動けず、強く反抗できなくなった私を、無理やり、手篭めにしようと考えているのは、病室に来るたびに見せるあの血走った厭らしい目や、いきり立っていたあの股間で分ります。
 そう、コレ以上存在していたら、私は汚されるに決まっているのです。
 なので、使徒が来た所為で起きたこの混乱を利用し、手篭めにされる前に、身代わりをおいて、私はネルフも生きる事もやめさせていただきます。

さようなら・・・ファースト・チルドレン・綾波レイ



 って、簡単に訳せば、こう言う内容なのかな?・・・
 でも、これって、辞表?・・・遺書?・・・どっち?」

 シンジが読み上げ、そう訊いた途端、全員がゲンドウの方を見る。

 何時の間にか、モニターに映っている白髪の爺さんもゲンドウを冷たい目で見ていた。

 ゲンドウは、予想もしなかった、いや、出来るハズもなかったあまりもの出来事に、硬直していた。










新起動世紀ヱヴァンガル改

第三話 初号機、ついに大地に立つ・・・の?

presented by とりもち様











『ご、誤報だ!』

 硬直が解け、周りの白い目に気付いたゲンドウが、慌ててそう叫んだ。

「し、シンジ君、それを貸して!」

 その叫びを聞き、ハッとしたリツコが、真偽を確かめるべく、そう言って、シンジの方に手を出した。

 なぜ、リツコが即座に動けたかと言うと、シンジの言った事を疑う事が辛うじて出来たからである。

 最も、最初は、やりかねないとは思ったものの・・・

 だが、よくよく考えてみれば、いくらなんでも、自分と言う愛人で、 そう言う事を処理しているのに、まだ足りないのかと言う事で、先ず疑い・・・
(とは言っても、出張の度に現地で権力を笠に、色々しているらしいが・・・)

 レイが書くにしては、内容が具体的過ぎ・・・

 そして、いくら、強引にモノを処理してきたとは言え、 そう言う事をするレイに身体を自分から開かせる為に、 事故を起こさせたとは、 思ってもいなかったし、思いたくもなかったからだ。
(リツコには、シナリオのために、レイに楔を打ち込む為と聞いていた)

 何しろ、それが真実なら、下手をすれば、自分どころか、ネルフ全体が、非常に、 拙い事態に陥る可能性が高いのに、ゲンドウは何も考えずに、己が欲望に向かって、 本能煩悩で動いていると言う事になるからだ。

 それに、それが事実であるなら、最初はレイプで無理やりで、あの時から数ヶ月は憎んだとは言え、 今は愛人になっている自分のプライドを、 色んな意味で打ち砕くものであるから・・・
(憎んでいた期間は監禁され、調教されていたらしい)

「はい♪」

 アッサリ、シンジは、その手紙をリツコに渡す。

 そして、その手紙には・・・





『覗き盗撮下着泥ロリコン自家発電性犯罪者なイカ臭い髭爺さんは用済み・・・
 起動実験の時、起動プログラムにワザとバグを混ぜてたの。
 お陰で、故意的な惨事が起こって、重症を負わされたの。
 更に、私の身体を合法的に触りまくる為に、髭爺さんは、自分の命令で、れしゅきゅ〜のオジサン達も、最も遠いところに追いやっていたの。
 つまり、故意的に動きにくい身体にされたから、とってもやばいの。
 事故後、誤魔化したお陰で、純潔を護る時間を稼いだの
 そして、何とか髭爺さん達に気付かれない内に、少しは動けるようになったの。
 ちょうど、上手い具合に、使徒が来たみたいなの。
 見張りも皆、混乱しているから、今の内に、ココから逃げ出すの。
 そして、髭爺さんに手篭めにされ、汚される前に、私は綺麗な身体のままで無に帰るの。
 後は、この子に任せるの・・・さようなら・・・るーる、るぅ〜
ファースト・チルドレン・綾波レイ』


 リツコはそのまま硬直する。

 シンジの言った事は違うが、レイの筆跡だ。

 話し方とは違うが、この書き方は、彼女が良く報告書で書く書き方だ。

 特に、最後の“るーる、る〜”がミソだと聞いていた。
(なんの?)

 一度、ふざけていると怒ったが、レイは、無表情に『問題ありません』の一言ですまし、 その報告を聞いたゲンドウも、興味なさそうに『問題ない』ですませたので、 そのままうやむやになったが・・・

 それはさておき、この書かれている内容が、内容なだけに、何とも判断がつかない。

 シンジは、適切に訳しているのかもしれない。

 後日、ゲンドウの机の中から、何故か、ネルフの更衣室の盗撮写真のアルバムや、 レイがよく身に着けていたモノと同じ種類特売バーゲン品の下 着が、 ゲンドウのDNAが検出されるモノが、大量に付着している状態で発見されるが・・・・・・
(因みに、更衣室は男女問わずで、ついでに机の中には特殊な玩具も・・・しかも、棒状)

 無論、ゲンドウ本人は身に覚えがないと叫ぶが、それで、リツコがどう感じたかは、後に回すとして・・・

 今は、答えがわからず、いや、ある程度確信に近いモノがあっても、認めたくない感情が邪魔をして、 混乱しているリツコから嫌過ぎる汗が流れ、周りもそのリツコを見て、更にゲンドウに対する疑いを深める。



「じゃ、そう言うことで、髭に言われた通り、僕は帰ります」

 少し経って、何時の間にか、ケージの出入口の所に1人立っていたシンジが、 そう言いながら、ケージを出て行った。

『はぁ!
 いかん、碇の事は、兎も角、彼を初号機に載せるのだ!
 人類が滅亡するぞ!』


 いまだ、混乱して、叫びまわるゲンドウの代わりに、モニターに映っていた白髪の老人がそう叫んだ。

「「「「「「はぁ?・・・ああ!」」」」」」×たくさ ん

 ケージに居る全員が、慌てて、ケージの外に出たシンジの方に向かって、駆け出した。






「シンジ君、乗りなさい!」

 ミサトが、エレベーター前で、保安部のお兄さん達に、アッサリ捕まり、初号機の前に連れて来られ、 更に、逃げられないように両脇を固められているシンジに、そう言った。

「嫌ですよ、犯罪者に手を貸すなんて・・・
 アレが両刀使いでないって保証は無いでしょう?」

 先程から、『誤報だ』『間違いだ』『知らん』と、上で何度も叫びながら暴れているゲンドウを、 チラリと見ながら、シンジはそう言った。

「そんなの関係ないでしょ?!」

 だが、ミサトはそう叫んだ。

「いや、関係ありありだと思うし・・・
 それに、あの髭から、『帰れ』って言われてからも、何の説明もないし・・・
 何をするにしても、無報酬とかじゃ嫌だし・・・
 せめて、簡単な説明くらい・・・」

「うるさいわね!
 子供のダダに付き合っている暇は無いのよ!!」


 至極真っ当と思われる?シンジの言葉に、既に、 どこかが切れているらしいミサト(29)はそう怒鳴った。

 保安部員だけじゃなく、ゲンドウを除く、その場に居る人間は、ミサトの子供の我侭以下な言い分に、 冷や汗を流していた。

 ずっず〜ん・・・

 ぐわぁん!「ぬがぁ」
 がしゃん!
「ぐはぁ」
ザシュ


 すると、ケージが大きく揺れた。

 何故か、シンジの目が光るが、誰も気付かない。

 そして、ミサト達はバランスを取って、何とも無かったが、上で、暴れながら叫ぶゲンドウは、 突然の揺れに対処できず、バランスを崩し、ガラスに頭をシコタマ打った。

 そして、そのまま、床に倒れて、なぜか、ケージではなく、ゲンドウがいた部屋の照明の一部が落ち、 倒れていたゲンドウに直撃して、ゲンドウは動かなくなる。
(最後に、刺さった音がしていたような)

 しばらく、その様子を見て、ニヤリとしているシンジ・・・

 そして、彼以外の全員が少しの間、硬直していると、再び揺れが辺りを襲う・・・

「か、かまわん、そのまま放り込みたまえ!
 人類滅亡を防ぐ為だ!」


 ミサトの大声の所為で、シンジの声がよく聞き取れてなかったのか、それとも、再び行われた使徒の攻撃に、 身の危険を感じ、あえて無視をしたのか、モニターの老人、冬月はそう言った。

「副司令!
 そうですね!
 放り込んで!」


 大義名分?を手に入れたミサトはアッサリそう言って、シンジをプラグに放り込ませた。

 因みに保安部のお兄さん達は苦渋の顔をしつつ・・・
『すまない、こんな仕事とは思わなかったんだ』
とシンジに呟いていたと言う。







 発令所

 そこにやってきたミサトは、エヴァの起動準備を半ば強引に行なっていた。

「人類を護る為でしょうが、チャッチャとやりなさい!」

「わかりました!
(人類の命運の為にあえて心を鬼にしている葛城さん・・・素敵だ)」

「は、はいぃ!
(良いのか?)」

「不潔、不潔、不潔・・・」

 ミサトの命令を受けて、3人のメインオペレーター達が準備を進めていく。

『これは何ですか?!
 水責めですか?!

 僕はマゾみたいな危ない趣味は持っていないので、止めて下さいよ! 』

 シンジがプラグに注がれていくそれを見てそう叫んだ。

 因みに、シートになんぞには座ってない。

 むしろ、プラグ内を動き回り、暴れている。

「それはLCLと言って、肺に取り込めば、チャンと息が出来るわ」

 リツコがそう説明する。

『そんな事よりも、軍人でも、貴女方とも関係の無い、 単なる一般人でしかない僕が、いきなり呼び出され、何故に、こんな目に遭わなきゃいけないんですか?!
 説明してくださいよ、説明!
 ま、まさか、うら若き僕を、この中で水攻めにし、あの化け物を静める為の生贄にでもする気ですか?!
 非科学的です!
 ナンセンスです!
 時代錯誤です!
 そんなので、あの化け物が、静まって、帰ってくれるハズが無いでしょうが!』


 しかし、シンジは、カメラに思いっきり近付いて、そう怒鳴った。

 聞いてみれば、無茶苦茶な勘違いである。

 だが、何も知らないリアリストな人なら、そう考えてもおかしくないかもしれない。

 まぁ、コレに乗せられて使徒と戦わされると思う方が多いかもしれないが、 それはそれ、今はお約束と言う事で、黙っていて欲しい。
(実は・・・後でわかりますが、皆さん、想像はついているでしょう?)

「「「「「「・・・(し、してないの?)」」」」」」×たくさん

「「「「「・・・(つうか、あそこまで勘違いされるって、どんな事をしたんだ?)」」」」」×たくさん

 発令所の一部を除く面々が、驚いたようにミサトを見る。

 見ていないのは、コメカミを押さえている裏の事情を知る冬月と、 頭を抱えて蹲っている、一応、お友達らしいリツコと、 理解していないのか、キョトンとしている彼女の永遠の貢君&下っ端、 勘違いな恋の盲目的妄想暴走奴隷男、日向マコトだけである。

「あ・・・」

「うっさいわね!
 子供のダダに付き合っている暇は無いのよ!」


 リツコが説明しようと口を開こうとしたが、ミサトはシンジにそう怒鳴った。

『人の話をロクに聞かないような、 偽善な三十路過ぎの自己陶酔ババァに言われたないわい!』

 シンジは間を置かずにそう怒鳴り返した。

「な、私はまだ二十代よ!」

 三十路過ぎと言う言葉に青筋を立てて、ミサトがそう怒鳴り返す。

『嘘吐け!
 写真の若い方の葛城さんを出せ!
 この偽者!』


「あれは私の写真だっつうの!」

 写真の事を持ち出したシンジに、写真が別物になっている事は知らなかったミサトはそう怒鳴り返した。

 その所為で、あの破廉恥と言う物を遥かに超える写真を撮った事があるだけでなく、 それをミサト自ら、中学生である少年に送った事になってしまったのである。

 因みに、その写真は、後日、仇とばかりに、保安部や諜報部の部員達の手によって、 大量にコピーされ、ネルフ本部内の数名を除いた第三東京市に滞在する男性達に出回り、 更に、それを迎えに行く中学生に送った事を知った者達が、 ミサトの精神構造をの疑う事になるのであるが、今は関係ないので、割愛しておく。

『嘘吐け!
 この精神年齢3歳以下な嫁遅れの四十代!
 化粧がけばいぞ!
 その特殊メイクを取れ!』


 まるでケンカを売るようにシンジはそう怒鳴る。
(ミサトの年齢層があがっている・・・)

「リツコはどうなのよ!」

 一応、自分より、早く生まれているリツコを指差して、ミサトはそう言った。

 因みに、その後ろではリツコが青筋を立てて、ミサトを睨んでいる。

『フッ、二十代でピチピチ
 しかも、大人の色気バッチリで、チャンとお肌に気を使い、 確りとした天然の成分の化粧品をチャンと適量、 お使いになられているお美しい赤木さんと・・・
 小皺の山を隠す為に、肌の事とかまったく考えず科学物質満載なその場限りで、 廃棄されるような安物の化粧品しかつけないか、 もしくは、実験途中で、まだ効能さえもわかってないような物質を、 アルコール代を稼ぐ為、人体実験を引き受けまくり、 ハリウッド並みの特殊メイクの如く塗り、 乳と態度だけが、余計すぎるほど巨大過ぎ、 色気も枯れきって、お肌の実年齢も、九十代を過ぎ去って、 実は皺だらけの貴様を比べようとする事自体・・・』

 だが、シンジはヤレヤレと言うような態度で、 所々アクセントを聞かせながら、そう言い続ける。
(完全にケンカを売っているな)

まっ・・・」

 シンジの褒め殺し的な言葉に、リツコは頬を染め・・・

 ブチ・・・

 逆にシンジの貶しまくる言葉で、ミサトの中で何かが切れ・・・

「せ、先輩(汗)」

 リツコの様子を見て、メインオペレーターの紅一点の女性、伊吹マヤがそう呟いた。

 因みに、リツコは化粧品を自作できるとはいえ、自分に使う化粧品は、 確り、肌に良い事がわかっていて、更に、純天然成分のみである。
(時々、レイがパクっていたらしいが、リツコはミサトが盗ったと思っている)

 勿論、化学薬品で試作品も作ることがあるが、それはミサトが頼まれなくとも、 リツコが使っているものと思って、勝手に持っていくらしい。
(因みに某事情により、悪影響があっても、直ぐ回復するので、拘束して、観察しない限り、人体実験にも、 検査等にならず、意味が殆どないらしい・・・)

 ともかく、シンジとミサトの口喧嘩は、ヒートアップしながら続いていく。



『うるさいぞ!
 もう、ここから出せ!
 厚底偽乳女!』


「なんですってぇ〜!
 この色ガキ!」


 そして、シンジとミサトの怒鳴りあいは止まる事を知らず。



 冬月達でさえ、呆然として、口を挟めず・・・

 所員達が呆然とする中、ミサトとシンジの罵り合いが続くが・・・



『へんだ!
 この自爆暴走嫁先なし女!
 さっきから、同じ事ばっか繰り返し言ってんじゃねぇ〜よ!
 能無しの凶牛、脳みそスポンジ、プリオン♪


 ヴァ〜クァ!!』

 大画面で、睨めっこをするように、手まで使って、色々なバカにした顔つきで、 歌うように言うシンジ・・・

 しかも、ミサトが一言言えば、3〜6倍、しかも、同じ言葉を使わず、 『良くここまで言えるな』と言われていない者が感心する位返してくる。
(因みに、実生活を知らなければ分からないネタも怒鳴っていた)

 既に、容赦すらない・・・

 因みに、マコトはシンジの悪口を聞き流すどころか、言われている対象が、ミサトなので、逆に、 “こっちの都合も何も知らない餓鬼が何言っているんだ”と、 そうなっている原因や、相手の都合や立場、しかも、相手は子供で、こっちが大人である事すら、 まったく考えず、内心、シンジに対して憤りを感じている。

 この男、ミサトの事になると、目が曇りまくりだ。

「グ(怒)・・・日向君、一旦、全ての回線を切りなさい!
 こっちが良いって言うまでつなげないで!」


 そして、シンジより、ボキャブラリーの少なかったらしいミサトが、 とうとう切れて、日向に、そう怒鳴った。

「はい!」

 日向は、待ってましたとばかりに、即座に初号機との全回線を切った。

 モニターから、百面相をしながら、ミサトの悪口を怒鳴っているシンジの姿が消える。

 しかし、回線を切られ、モニターが消える時、シンジは小さくニヤリと笑っていた。

 誰も気付かなかったが・・・








「シンクロ率、30.24%、誤差±24.11%!!
 起動したり、しなかったり!」


 シンクロ率等が悪いのは、シンジがマトモにシンクロしようとしてないからである。

 当然、時々、最低起動指数を割ったりしているが、瞬間的にトンでもない数値が出たりしている。

「ハーモニクス、異常が出たり、出なかったり!
 って、まともに合わせられないので、異常の時が多いです!」


 当然、調整しても、気紛れに変わる為、異常も出るだろう。

「司令も、先輩も、葛城さんも、不潔、不潔、不潔・・・・・・」

 マヤは、黙々と仕事をこなしながら、ブツブツと呟いている。

 そして、オペレーター達からの報告?を聞いて、ミサトは司令所にいる冬月の方を見る。
(若干一名、違う事を口走っていますが・・・)

 しかし、なぜかゲンドウは居ない。
(ケージの特別室で頭から血を流しながら、気絶しています)

「かまいませんね?!」

 異常がでまくっているのに、ミサトはそう言った。

「「「「「え?!」」」」」×たくさん

 そのミサトの言葉に、冬月と日向を除く全員が耳を疑った。

「え、あぁ、使徒を倒さねば、人類に未来は無いからね」

 ミサトの異様なオーラに圧されて、冬月はついそういった。

「エヴァ初号機、発進!
(ちぃったぁ痛い目にあって来なさい)」

 パイロットに確認もとらず、とんでもない事を考えながらミサトは、日向にその命令を出し・・・

「はい!
(少しは反省しろ非国民)」

 日向も、トンでもない事を考えながら、エヴァを発進させた。

 恋に目を濁らせ、ミサト至上主義になっている愚かな男、さすが、被害者の皮を被った加害者である。

「「「「「なぁ?!!」」」」」×たくさん

 当然、殆どの所員達はその行動に驚愕した。









 エヴァ初号機が、マジで使徒の目の前・・・に射出 された。

 人間のサイズで言えば、だいたい3〜5mほどだろうか?

 マジで直ぐ傍である。

「エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!」

 ミサトが命令する。

 そして、リフトオフされた途端・・・

 ドガダガシャァ〜〜〜ン!!

 そのまま、初号機は前に倒れた。

 受身すら取ろうとせず、そのまま、人形のように・・・・・・

 シーン・・・

 一瞬、あっけに取られる発令所の面々・・・

「な、何やっていんのよ!!」

 ミサトがそう怒鳴るが・・・

「あの、葛城作戦部長、まだ全回線を日向三尉に切らせたままじゃ・・・
 しかも、最後のモニターに映っていた状態から考えると・・・
 彼、打ち出すときも、シートにも座っていなかったと・・・」

「「あ・・・(汗)」」

 ロンゲの男のメインオペレーター、青葉シゲルが恐る恐る言った言葉に、ミサトと日向は冷や汗を流す。

 そう言えば、切ったままにして、まだ、つなぐ命令を出していなかった事を思い出したからである。

 しかも、シートに座ってなかったら、打ち出したショックで、どこかにぶつかり、気絶している場合もある。

 と言うより、そうとしか考えられない。

 ただでさえ、打ち出しにかかるGは凄まじいのだ。

「じゃぁ・・・」

 “つなげなさい”とミサトが命令を出す前に、使徒が動いた。
(つなげても遅いだろう)

 倒れこんだ初号機の頭を掴み、持ち上げ、国連軍の時に見せた光のパイルを、 これ以上ないという至近距離で発生させ、攻撃をかける。

 発令所のあちらこちらから、悲鳴が上がる。

 勿論、ミサトも、『避けてぇ!』等と叫んでいるが、 回線をつないでないので聞えるはずが無い。

 ドンドン、ボロボロになっていく初号機・・・

 最後は、胸の辺りを抉られ、投げ捨てられるように、離れた武装ビルに叩き付けられた。

「シンクロ率低下!」

「最低必要起動率、割るどころか、完全に途切れています!」

「パイロット、生命反応があるものの、意識不明!」

「生命維持に問題発生!」

「全回路途絶!」

 次々にそう言う報告が入る。

「何でも良いから回線開いて!」

 ミサトではなく、リツコが叫ぶ。

 因みに、既に事態について行けなくなったミサトは、 顔を蒼くして、オロオロとしているだけである。

「ダメです!
 全ての回線がつながりません!」


 というか、最後に抉られた位置から考えて、最低でも、コアの1部は削られているだろうし、 最悪、プラグも・・・・・・

「そこまでする積りはなかったんだ、そこまでする積りはなかったんだ、 そこまでする積りはなかったんだ、そこまでする積りはなかったんだ・・・
 そ、そうだ、彼が非協力的だったから、いけないんだ、そ、そうに・・・」


 日向は、自分がやった回線を切り、打ち出した事で、 顔を蒼くし、混乱し、どことなく、現実逃避を始め、言い訳をし始めている。

「使徒、仮面部にエネルギーが収束していきます!」

「ま、まさか、今まで以上の光線を・・・」

 リツコが驚愕の表情で、そう呟いた。

「作戦中止!
 パイロット保護を最優先!
 プラグを強制射出して!」


 やっと復帰したのか、ミサトがそう叫んだ。

「え?」

「彼を殺す気?!」

 事態を理解しようとしてない日向に、ミサトは、一括するようにそう怒鳴った。

「は、はい!」

 日向が、条件反射のように、プラグを緊急射出させる。

「「「「「「「なぁ!!」」」」」」」×たくさん

 その行動に驚く、オペレーター達やリツコに冬月・・・

 次の瞬間、初号機の後ろの武装ビルに勢いよく突っ込むプラグ・・・更に、爆発が・・・

「え?」

 呆然となるミサト。

「あ、あの角度で射出したら、普通・・・」

 顔を蒼くしながら、伊吹マヤが呟く。

「・・・ぷ、プラグ、武装ビルに直撃・・・爆散しました・・・武装ビルも倒壊します」

 青葉が真っ青な顔でそう報告した。

 つまり、パイロットの止めを刺したのは、ミサトの指示と言う事であり、ネルフ側がと言う事である。

 人類の希望を、(表向き)護るハズだったネルフが、自らの手で絶ったと言う事である。



 暫く、沈黙が発令所を支配した。



「お、おわったわ・・・」

 その場に崩れ落ちるリツコ・・・

「ユイ君・・・君には会えないようだ・・・」

 虚ろな表情で、空を見つつ、呟く冬月・・・

「え? え?」

 事態を全く把握してない元凶であるミサト・・・

「「「「「わぁ〜〜!!」」」」」×たくさん

「「「「「死にたくないぃ〜〜!!!」」」」」×たく さん

「「「「「いやぁ〜〜〜〜!!!」」」」」×たくさん

 そして、叫ぶ一般所員・・・

 発令所は大混乱になる。

 そして、使徒が初号機に止めを刺そうと、仮面の前に溜めた膨大なエネルギーを、 今まさに開放しようとした時・・・

 チュゴ〜〜〜〜〜ン!!

 使徒が後ろから、ミサイルのようなモノを打ち込まれ、吹飛ばされた。

「「「「「「「「「「「へ?」」」」」」」」」」×たくさん

 発令所の面々が頭に大きな?マークをつける。

 モニターには、謎の怪獣のようなメカと犬のようなメカが・・・

 呆然とするネルフの面々・・・

「・・・メカ・ゴジラ・・・ちがうな、アレは・・・
 まさか、あの配色は・・・ジドム?
 ガンガル・・・あの○ンダ○プラモのパチモンの中にあった?
 という事は、まさか、あの犬のようなメカは・・・あ、アッカムなのか?」

 結構年をとっている誰かが、相当のマニアなのか、そんな事を呟いた。

 一体どうなるのであろうか・・・










To be continued...


(あとがき⇒悪あがき?)

ハッハハハハ♪(*`▽´*)
ミサトに引き摺られ、ついに日向マコトも最低男に・・・
そして、やっと、メカが出てきました。
しかし・・・・・・初号機が・・・
因みに、元々は、シンジは出た途端、エヴァを乗り捨てる予定でしたが、チョッと変えました。
色々と調整する為に・・・
では、どうなるネルフ、謎のガンガルメカの正体は?
次回・・・まぁ、首を長くして、待っててください(^^;)
(早く、4話以降も思い出さんと・・・)



(ながちゃん@管理人のコメント)

とりもち様より、「新起動世紀ヱヴァンガル改」の第三話を頂きました。
今回も、シンジ君の毒舌が冴えに冴え渡っていましたね♪もー最高でした〜。
ミサトを扱き下ろすために(そのためだけに)、相対的にリツコを褒め殺しにするとは・・・脱帽ですよ。
今話で、ようやく初号機が出撃しました。・・・ま、すぐにヤラレましたがね。誰かさんのせいで!
管理人の趣味としては、使徒に初号機のコアを完全に破壊してもらいたかったですが・・・(対ゲンドウ効果)。
いやいや、とりもち様のことだから、きっと面白いことを考えているんでしょうね♪楽しみです♪
ミサトはシンジ君を殺しちゃう(?)し、マコトは共犯だし、この馬鹿二人はこれからどうなるのでしょう。
ここのマコトは端から救いがないですな。彼もシンジ君の玩具になる運命なのか?(笑)
最後に出た謎のガンガル・ロボの正体、そして目的は何でしょうかね?
何にせよ、シンジ君が関わっていることは、ほぼ間違いないことでしょう(多分)。
でもきっと、使徒を倒すことよりも、ネルフをおちょくることが一番の目的なんでしょうね♪
(何てったって、とりもち様だもの♪)
あと、無に還ったハズのレイはいつ話に絡んでくるのでしょうか?
そしてネルフに殺された(?)シンジ君は、華麗なる復活を遂げることが出来るのでしょうか?
次話を請う、ご期待です♪
とりもち様、次の電波(第四話)も待ってますよぉー。
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