「お、おわったわ・・・」

 その場に崩れ落ちるリツコ・・・

「ユイ君・・・君には会えないようだ・・・」

 虚ろな表情で、空を見つつ、呟く冬月・・・

「え? え?」

 事態を全く把握してない元凶であるミサト・・・

「「「「「わぁ〜〜!!」」」」」×たくさん

「「「「「死にたくないぃ〜〜!!!」」」」」×たく さん

「「「「「いやぁ〜〜〜〜!!!」」」」」×たくさん

 そして、叫ぶ一般所員・・・

 発令所は大混乱になる。

 そして、使徒が初号機に止めを刺そうと、仮面の前に溜めた膨大なエネルギーを、 今まさに開放しようとした時・・・

 チュゴ〜〜〜〜〜ン!!

 使徒が後ろから、ミサイルのようなモノを打ち込まれ、吹飛ばされた。

「「「「「「「「「「「へ?」」」」」」」」」」×たくさん

 発令所の面々が頭に大きな?マークをつける。

 モニターには、謎の怪獣のようなメカと犬のようなメカが・・・

 呆然とするネルフの面々・・・

「・・・メカ・ゴジラ・・・ちがうな、アレは・・・
 まさか、あの配色は・・・ジドム?
 ガンガル・・・あの○ンダ○プラモのパチモンの中にあった?
 という事は、まさか、あの犬のようなメカは・・・あ、アッカムなのか?」

 結構年をとっている誰かが、相当のマニアなのか、そんな事を呟いた。










新起動世紀ヱヴァンガル改

第四話 ネルフ、暁に堕つの?

presented by とりもち様











 メインモニターに若い軍人らしい女性の姿が映る。

「・・・ゆ、ユイ君・・・いや、違う、彼女は・・・ま、まさか・・・」

 冬月が何事かを呟く。

 モニターに映る女性は、若き日のユイに似ていた。

 おそらく、ゲンドウがいたら、物凄く騒いでいたであろう。

 因みに、リツコも、少し唖然としている。

『ネルフに告げる。
 貴君らの秘密兵器はともかく、貴君らが使徒戦には、まったく使い物にならない事は、よくわかった。
 よって、今より、使徒迎撃の指揮権は、 我々、国連軍・第16軍・特別全域方面軍・特殊特務独立連隊に移させていただく。
 なお、これは日本政府と国連軍上層部からの正式な通達であり、逆らうようなら、 即座に、国連及び、人類に対する反逆とみなし、A−801が適用される』


 その女性が、そう一方的に宣言してきた。

「なんですってぇ〜!!」

 当然、それを聞いたミサトが叫ぶ。

『何か異論があるのか?』

 冷たい目で、ミサトのいる辺りを見ながら、その女性がそう言った。

 当然である。

 現在、ネルフには使徒に対抗できる兵器どころか、普通の軍と戦う装備すらない状態である。

 しかも、先ほどまで保有していた使徒に唯一対抗できる兵器と、 豪語していたエヴァンゲリオン初号機は自分達の手で、破壊したようなものだし、 異論が挟める立場ではないのだが・・・

アンタね!
 使徒殲滅はネルフの役目よ!」


 何も考えていないミサトは敵意むき出しで、そう怒鳴った。

『だが、ネルフご自慢のお人形はあの通り、完膚なきまでに破壊され、ネルフの戦力は無いようだが?』

 その女性は冷たく言い放つ。

 ミサトは一瞬硬直する。

 だが、即座に、何かを思いついたらしく、ニヤリとして・・・

「じゃぁ、あんた等がこっちの指揮下に入ればいいでしょ!」

 そんな事を大声でのたまった。

『ほう・・・
 我々に、貴様ごときの命令をきけと?』


 呆れたようにその女性は言った。

「そうよ!」

 ミサトは高らかに宣言する。

『それはネルフの総意ととってもよいのかな?』

 かなり、冷めた目で、冬月がいる辺りに視線を移しながら、その女性が言った。

 因みに、勝手に熱くなっているミサト以外、かなり背筋が凍る思いをしている。

「当ぜ・・・」

 ミサトが胸をはって宣言しようとすると・・・

「や、止めたまえ!
 葛城君!!」


 我に帰った冬月が、慌てて、怒鳴った。

「あんですって!
 ・・・って、ふ、副司令!
 な、何故です!」

 一瞬、止めたのが誰だか分らなかった為、ミサトは冬月を睨みつけるも、慌てて言いなおす。

「ミサト!
 分らないの?!
 最初にあの方も言っていたでしょ!
 逆らうようなら、A−801!
 良くて、ネルフは取り潰し!
 私達は、そのまま、戦犯として軍事裁判&牢屋行き!
 最悪、ネルフの所員全員が、そのまま死刑よ!
 貴女の無責任な発言の所為でね!」


「そんなおおげさ・・・」

 わかっていないというか、自分の都合の悪い事は一切頭に留めない女、ミサトは気楽そうにそう言った。

「大袈裟じゃなく、実際問題よ。
 言っておくけど、向こうには、ネルフの特務権限なんか、一切効かないから・・・」

「な!
 何の権利があって!」


 リツコの言葉に、今更ながら、ミサトは驚きつつも、リツコの胸倉をつかみつつ怒鳴った。

「最初に宣言していた通り、向こうにはあるのよ。
 それに、たかが、二尉でしかない貴女が、 准将であるあの女性ひとに対して、 命令できるとでも思っているの?」

 リツコはミサトの手を払いつつ、そう言った。

「な、何時の間に、私が二尉って・・・
 え?・・・准将?」

 ミサトは、リツコの言葉を聞き、自分が降格している事を怒鳴ろうとするが、 相手の階級を知り、一瞬呆気に囚われ、もう一度、モニターの方に顔を向ける。

 よく見れば、確かに、モニターに映っている女性の階級章は、正式な国連軍准将のものである。

 だが、相手は、どう見ても、自分より、若く見える。

 どんなに年をとっていても、二十代前半位にしか見えなかった。

「まっさかぁ〜、あの氷のレイ=アンカード准将じゃあるまいし・・・
 女で、しかも、あんな年齢の将官なんて、居る訳が・・・」

 眉間にしわを寄せながらも、ミサトが、軽い口調で、そう言うが・・・
(本人の可能性は考えていないのか?)

「だから、そのご本人でしょうが・・・
 国連軍・第16軍・特別全域方面軍・特殊特務独立連隊、 通称、第16独立連隊・副司令レイ=アンカード准将。
 後ろに映っているのが、参謀である微笑のカヲル=L=ナギサ大佐と、 戦闘指揮官である鋼鉄のマナ=キリシマ大佐」

「うそ・・・
 何でそんな大物達が、こんな所に来ているのよ!」

 リツコの説明を聞いて、驚きながらミサトは怒鳴るように言う。

 ハッキリ言って、向こうにも筒抜け・・・かなりの失点である。

「こんな所ってね・・・
 N兵器すら効かない使徒との戦いがあっている場所よ。
 あぁ言う国連軍の切り札ともいえる超大物達が来ていても、おかしくないと思わなかったの?」

 コメカミを押さえながら、リツコがそう言った。

「うっ・・・(汗)」

 リツコの最もな言葉に、ミサトは言葉に詰まった。

 当然、この女、全くそう言う事をチラリとも考えていなかった。

「国連軍総司令以外で、外部に所属する者が、あの軍に、なんの許可も無く、 頭ごなしに命令を出そうという意味もわかっているの?
 まさか、軍属経験がありながら、“全く知らない”とか、間抜けな事は言わないでしょうね。
 それに、いくら書類をまったく読まない貴女でも、顔写真位、見た事があるでしょうが。
 貴女がココの部長になった頃に、私が直接、書類と一緒に渡したでしょう」

 頭を押さえながら、リツコがそう言った。

「・・・・・・・・・えっと〜(汗)」

 そのままミサトは黙り込む。

 当然の事だが、ミサトは全く覚えていなかったりする。

 代わりに説明しよう。

 まず、第16独立連隊とは、軍にいたら、少なくとも、必ず、 数回は聞いた事がある程、超有名な部隊である。

 それは、非常識なほど、若く、優秀過ぎる仕官達の部隊である。

 しかも、国連軍に所属しているといっても、完全に独立しており、いくら将官であっても、 外部の者が、その軍に所属する者に命令を出す事は出来ないと言う、 言わば完全独立愚連隊とも言える国連軍の所属にあって、非常識な性質をもっている。

 もっとも、連隊とは言われているものの、その構成員の名前、人数等も、一部を除き、 一切不明、ただ、殆どが若く優秀な人材である事がわかっていただけ・・・

 幹部も、名前と年齢以外、不明だったのだが、数年前、多大な犠牲を払って、 数名のプロフィールをネルフとゼーレは、手に入れていた。

 無論、ネルフにとって、無視ができない重要人物達なので、ネルフの幹部全員に、 何とか調べられたと資料と共に、写真も配布されたのだが・・・

 当然、ミサトは渡された時、軽く見ただけで、関係ないと決め付け、 写真すらロクに覚えていなかったりする。

 更に、第16独立連隊がどんな組織かと言うと・・・・

 表向きの資料によると、セカンド・インパクト後、たった数年で、正規の国連による調停でも、 停止できなかった国家間紛争、民族間紛争、宗教紛争の殆どを、ある時は話し合いによる交渉、 また、ある時は実力で、次々に終結させたほどの強力な特殊な組織である。

 しかも、その功績や力により、特務権限をネルフより先に収得していた組織である。

 また、更に、国連にあって、その下部組織などでは無く、完全に対等で、 独立していると言っても良い非常識な部隊なのである。

 何故、それが許されるかと言うと、実のところ、この第16独立連隊は、 元々、ある財団連盟が出資して作った私兵団だったからだ。

 元々は、功績と言うのも、その財団連合の不利益になる事を排除していった結果である。
(つまり、その財団連合が後についていた事も、紛争等を即時終結させる事が出来た要因の1つである)

 その中に、国連が、何も出来なかった国家間の揉め事などが、多々あり、 しかも、国連が調停できた数よりも明らかに多く、しかも、迅速であった。

 そして、そのままでは、国連のメンツどころか、存在意義も疑問視され、 加盟国から、信頼も、信用も失いかねなかった。

 そうなれば、国連に参加する事に対して、不要論まで出てくる事態に陥り、 加盟国が、次々と国連から抜け、国連が維持できない事になりそうだったのである。

 だが、いくらメンツを護る為にとは言っても、相手は真っ当で、1つでも強大な財団の集まりであり、 表立って、敵対をするわけにもいかない。

 また、敵対したら最後、その実力などから言って、逆に自分達が潰される可能性も大きかった。

 因みに、某国は、強引に自分達の指揮下に入れようとして、反抗された為、徹底抗戦を主張した。

 だが、それを主張した途端、財団側から・・・

『自分達に対し、敵対行動及び海賊行動をとるような国に対し、我々は、経済支援するわけには行かない。
 これ以上、敵対行動をとるのであれば、貴国にある企業も撤退し、今まで貴国に貸与していたモノ、 全てに対し返還を要求する。
 敵対行動を続け、我々の要求を拒否するならば、我々は、それなりの報復処置をとる事も辞さない』


 ・・・と、全てのTV、ラジオ、インターネット等で、大体的に宣言され、 更に、それに至った経緯まで発表され、大混乱の極致となる始末。

 なにせ、現在、自分達、いや、その命令を出した政府の行動原理が、世界の為でもなく、自国の為でもなく、 正義とは対極にあるように放送されたし、その証拠も流されてたからだ。

 また、あるテロの大手のグループに、何故かある大物議員が、ゼーレのある老人と会い、財団連盟を潰し、 それを吸収する相談をしていた情報が証拠付きで流れ、ゼーレもその標的になった。
(しかも、ゼーレこそが、影で政府を操り、民衆を苦しめていると言う証拠もあり、 ゼーレが崩壊寸前となった時、キールは、この事実を知って、かなり驚く事になる)

 国の財政や国民を潤してくれている財団連盟に、本当に国から撤退されては、いくら、ある程度、 自給自足が出来る大国であっても、失業率が数倍に跳ね上がるどころか、経済が破綻し、国民の生活さえ、 ロクに出来なくなる可能性がある。

 大体、相手は、セカンド・インパクトの後、その被害で苦しむ各国に、資金援助や食料、 物資の援助を積極的に行ってくれたいわば世界の恩人である。

 また、この国も、財団から支援を受けていたくせに、はっきりいって、 恩を仇で返しているようなモノである事は、誰の目から見てもわかりきっていることだったからだ。

 特に、この政府は、国民対して、何もやってくれないどころか、復興の為とか言いながら、 税金を重くしたり、財団から配給された物資すらも奪っていったのに対し、 財団は、自分たちを助けてくれた恩人である。
(この政府を、陰で操って、その指示を出したのは、エヴァを作る為、金を集めていたゼーレである)

 ついでに、ゼーレ関係の財団は、支配下の国の役人達以外の民間人には、自国の人間であっても、 財団連盟が殆ど勝手にやるので、全く何もしようとせず、逆に自分達で無いものの懐でやってくれるならば、 良い事だと、自分達は、復興支援には殆ど手を出さず、逆に、足元を見て、私腹を肥やし、 ネルフを発足させる事のみに力を注いでいたのを追記しておこう。

 最も、自国の政府の身勝手な行動、やり方に、国民は勿論、財団に家族を助けられた中堅から下の軍人達や、 一部、上層部の将校でさえ、怒りを覚えていた様だが・・・

 そして、この国が、宣言の返事の代わりにと、特殊部隊で、極秘裏に財団のある企業ビルを襲い、 財団に脅しをかけると言う愚行に出ると・・・
(襲った部隊はゼーレ派の軍人のみで編成され、軍上層部にも極秘裏に強引に実行されたらしく、 更に略奪も行われた。
 略奪に関しては即、政府の非道性を訴える為に、その国以外に流れたが、ゼーレの暗躍に関しては、 ネルフが解体された後、ゼーレ狩りに、正当性と拍車をかける為に流される事となる)

 その報復に、あっという間に、その国の某情報機関のスーパーコンピューターを含む、 ほぼ全ての機械が謎のシステムダウンさせられ、自国の軍関係施設の内、7割が物理的に破壊され、 その国の大統領達のスキャンダル、汚職等が全て明るみに出て、国民の信用信頼が消滅した。
(因みに軍施設の殆どの軍人は政府や上層部に不満を燃やしていたので、財団軍の攻撃宣言の後、 ゼーレ関係者以外は即座に脱出した為、人的被害は殆どなかったらしい)

 そして、不利をやっと悟ったのであるが、何故か、その政府は、意地になり、 その財団連盟と戦う為、国連に、支援等を求めた。

 勿論、『世界の正義の為に』と言う言葉を臆面も無く使って・・・

 だが、国連には、その国の特殊部隊が行った残虐行為が証拠として提出されており、 その国に正義が無い事は、誰が見てもわかる事だった。
(自分達の周りでは、放送がなかったので、証拠は出ていない無いと思っていたらしい)

 それを見た途端、大使は“策謀だ”とか“作り物だ”等と叫ぶが、様々な証拠を突きつけられ 、 最後は“コレだけの証拠を得られると言う事は、わかっていて見殺しにした非道”等と言う始末・・・
(最も、その時、その企業ビルにいたのは、ゼーレが財団に潜ませていた草だけだったらしいが・・・)

 だが、その映像は警備用の遠隔監視カメラのもので、知らなくても十分に記録が残るものであった。

 完全に、その政府は正義と言うモノを某国を無理やり攻めた時に失っていたらしい。

 最も、ココまで愚かな事をその国がやってしまったのは、ある人物の策略によるものだったらしいが・・・

 そして、元々、他の国々は、その国の政府の行為が、独善を超える侵略行為と、最初から否定的であり、 財団連盟側を支持していたので、逆に国連軍は、その国に武力行使を開始する事になってしまったと言う。

 その結果、軍人を含む、国民の実に八割以上が政府に対して、デモなどを起こし、挙句の果てには、 政府に対し、反乱も辞さない行動に出た為、その政府は完全に潰れ、 その財団連盟に友好的な政府に生まれ変わったと言う。
(その政府に所属していたゼーレ派の議員や、それに協力した者は全てタバシリ逝きになった・・・誤字にあら ず)

 だが、結局、この混乱の所為で、この国は常任理事国から、離れる事となる。

 無論、その某国を裏で操っていた某老人達にまで、多大な被害があった事は言うまでも無い。
(その国のゼーレの主な企業が軒並み潰れるだけでなく、ある事が重なった所為で、 潜伏していたゼーレの最高幹部、長老会、その十二使徒の1人が死亡してしまった)

 そして、当時は、大将だった、現在、国連軍総司令、ジョシュア=アンダーソン大元帥の意見により、 その財団と契約し、一応、国連軍の所属の特務軍となってもらい、今までの調停なども、一般人向けには、 国連軍上層部の指示により、極秘裏にやっていたことにして、国連の体面を保つことにしたのである。

 因みに、その契約の中には・・・





 国連所属にはなるものの、基本的に、独立軍とし、この連隊の司令部が納得しない作戦には参加しない。
(真っ当な要請、作戦には、基本的に協力するが、指揮下には入らない)

 武器や兵装などは、基本的に他の軍に貸し出す事はしない。
(財団が開発した独自の兵器をもつが、その殆どは実験機であるので、今は無理だが、将来的には財団側が販売するので、共有する可能性もある)

 特務機関権限を与える。
(これは、元は非公開組織だったとして、それゆえ最初の調停の時などは極秘だった事とし、国連の面目を保つ為と、その特異性から与えるのである)

 隊員は、国連から選抜するわけではなく、部隊の司令部が認めた者のみであり、本部隊から、外部の部隊への人事異動も、基本的に行わないし、認めない。
(元々が私兵団である為、連隊内で、一般軍人との無用な軋みを起こさない為)

 階級は、その功績に合わせて、国連軍上層部が承認するものを適応する。
(だが、隊員は、外からの命令は受けず、組織の上官からのみの命令しか聞かない。
 国連からの要請は、国連軍総司令もしくは国連軍総参謀長から、組織の司令、もしくは財団の方に依頼する)

 また、納得できないような事を強要しようとする組織に対しては、特別な場合を除き、2回の警告後、国連軍総司令にホットラインを入れた後、再び、警告し、それでもなお、取り消さないようであれば、実力を持って、その組織を殲滅する。
(3回目の警告は国連軍総司令が、連絡を受けてから、5分以内に、直々に出し、更に、警告後、5分以内に撤回しない場合、行使される)

 独自に行う作戦に関しては、国連軍総司令もしくは、総参謀本部長に事前に報告をする。
(国連が許可できそうもない作戦の場合、上層部同士の話し合いで、決める)




 等と言うモノがあり、それが許されるほどの組織なので、いわば、ネルフより上位の組織なのである。

 因みに、これ程の部隊が前哨戦で出てこなかったのは、ゼーレ派である事務総長が、もしも、この強力な部隊 が、 使徒を倒してしまったら、色々と問題が出ると考え、使徒をネルフに倒させる為に、ネルフが使徒に関して、 先任の組織である事等を理由に、色々とやったからである。

 勿論、この目論見は、エヴァが何も出来ずに敗北した事で、完全に逆効果になってしまう事になったが・・・

『五分・・・ネルフの総意は、国連決議に対して、叛逆と見てよいのだな?
 それと、我々に対して、不当なる要求をしてくる。
 しかも、階級がかなり下の者を使って・・・侮蔑以外の何ものでもないな。
 では、即座に全ネルフを人類及び我々の敵とみなし、 全てのネルフに関わる者を抹消させるが良いか?』


 そして、綺麗な、しかも、涼やかな声で、レイ=アンカードと呼ばれた女性がそう言った。

 何故か、その目にはかなりの殺気が篭められていた。

 また、今回の場合、既に、国連軍総司令をはじめとする国連軍上層部の命で動いている為、 3回目の警告も自分達で行い、それでもなお、訂正しない場合、相手を殲滅出来るらしい。

 それ故、発令所にいた所員達は、1人を除いて、事態を理解し、緊張した。

「ち、違います!
 そ、その、彼女は少し興奮しておりまして・・・」

 冬月が慌てて取り繕う。

 一応、同じ准将で副司令とは言え、冬月は学者上がりでゼーレの後押しと裏工作があった為の特務准将で、 所属するのは中身スカスカで、二流、三流どころをかき集め、実戦など、ほとんどやった事のない言わば、 ペーパー軍隊で、最強の武器が対人用ライフル銃くらいしかなく、防具も防弾ジャケットが良いところ・・・
(武装ビルは完成していない)

 あちらは、実力で、更に、あの若さと女性の身で、国連軍上層部に、 その地位以上の実力と認めさせている実力派で、その所属するのも、国連軍、いや、 世界でもっとも強力な軍で、超一流どころが集まっており、 戦車すら、1人で簡単に相手にできるだけの装備を持っているだけでなく、 自分達が知らないような最新の兵器も持っている。

 どちらに本当の力があるか、どちらが国連軍上層部に信があるか、 どちらに相手を潰せるだけの権限や武力があるか言うまでもないだろう。

 それに、攻撃手段がロクに無いネルフ本部では、数分と経たずに殲滅されるのは目に見えている。

 そして、彼女の後ろには、その第16独立連隊を組織し、率いて来たほどの強大な実力のある 存在彼女の上官が、控えて居るのだ。

 こちらは、陰謀術だけは長けていると言われるモノの、それすら、 向こうに比べれば子供のお遊戯以下にも等しい。

 何故なら、ゲンドウは、無謀にも、第16独立連隊を潰そうと、何度も陰謀を仕掛けたが、 ものの見事に看破され、消したハズの証拠や証人まで抑えられると言う失態を犯し、 ゼーレの力添えがなければ、その地位を逆に失った程である。
(因みに、某国の愚かな暴走とも言える行動の裏にも関わっているとか・・・)

 勿論、ゼーレも巻き込まれ、多大な被害があった事は言うまでもない。
(その所為で、衰退にかなりの拍車をかけてしまったらしい・・・)

 因みに、潰そうとした理由は、ネルフ以外の特務機関であり、 イレギュラーな組織を潰すと言うものであったが・・・

 偶然、連隊の副司令であったレイ=アンカード大佐(当時)の写真が手に入った時・・・

 それを見たゲンドウが、彼女に対して、異常な執着心を見せ・・・
(予想がつくかもしれないが、彼女は、若い頃の碇ユイにそっくりだったのである)

 一研究所のクセに、何度も強引なヘッドハンティングをかけようとしたが、無視されて音沙汰無し。

 そうしている内に、向こうには正式な国連の軍となり、強力な特務権限を得、 更に、契約や、国連軍総司令の威光等により、出来ず・・・
(当然、ゼーレの威光も、通じない)

 どんな好条件を出しても、決して、なびかず、ゲヒルンから、ネルフになって特務権限を得ても、 移籍させる事が出来ないので、無理やり、彼女の居場所を無くし、 自分の元に置く為と言う秘書官兼愛人にしようと言う思惑もあ ったとか・・・
(と言うか、それがメインであり、当然、攫わせようともしたが、返り討ち&拘束され、 更に、色々と拙い事が起こったらしい)

『いくら、自分に反抗的だったからとはいえ・・・
 世界中で、まだ3人しか、見付かってない大事なチルドレンを、高価過ぎる人形に放り込み、 他のチルドレンに対して、見せしめとばかりに使徒の生贄にしたか・・・
 本部には他にチルドレンも動かせるエヴァもないのにねぇ〜
 というか、あんな風にやっては、反抗しろと言っているようなモノだけどね。
 もしかして、初めから、チルドレン抹殺とエヴァの破壊を狙っていたとか?
 これは、利敵行為も良いところだねぇ〜』


 カヲルと呼ばれていた女性仕官が肩をすくめながらそう言った。

 傍から見れば、やっていた事は、それ以外の何ものにも見えないだろう。

「もがぁ!」

 ミサトは何かを叫ぼうとしているものの、リツコに口を押さえられて何も言えない。

 因みに日向は顔を蒼くして、下を向いている。

「いい加減、貴女は黙っていなさい」

 ぷす・・・

 リツコは、事態や立場を理解しようとせず、暴れるミサトに鎮痛剤?をやっと打ち終わった。

『そちらの様子は、全て見せていただき、記録もして、国連議会に送っています。
 特に作戦部長の横暴な態度とか、問題になりそうですね』


「なんですって!!」

 マナと呼ばれた女性仕官がそう言った途端、リツコは、驚愕の声を上げた。
(ミサトは、頭に注射器を生やしたまま床の上に寝て?います)

『ただの民間人であった少年を何も説明せずに、いきなり、呼び出し・・・
 更には、ネルフの特権を振りかざし、無理やり、 あのエヴァとか言う高価な人形に、放り込んだ事・・・
 安全も、なにも、全く確認せずに、使徒の目の前に放り出し、破壊させた事も・・・
 最後に、コックピットらしき物を、自分達の指示で爆散させた事も・・・映像つきでね』


 マナは、親の仇を睨むような目つきで、しかも、かなりの怒気をこめた口調でそう言った。

『あぁ、事務総長のはかりごとさえなければ、 即、攻め入り、貴様らを殲滅したかったよ』

 カヲルも同じ様に、殺気を篭めた目で発令所の所員達を睨みながら、そう言った。

「そ、そんな、馬鹿な事って・・・」

 リツコが呟く。

 彼女の言っている事は、マギに気付かれる事無く、マギの警備システムの一部か、 それ以上を乗っ取っていたという事である。

『これらのハッキング及び監視は、国連軍総司令、参謀総本部長、 両者の依頼及び、許可の下、行いました』

 3人以外の青年の声がモニターから響いた。

 その途端、3人の女性士官達が、モニターに移っていない外を見る。

 すると、何故か、3人の顔が厳しい顔から、少し微笑んだ顔に変わり、 ネルフに向けられていた殺気も緩む。

『それに、ウチのシステムとオペレータ達ーの実力を知っているなら、それが不可能か、 それとも可能である事はお判りでしょう?
 それとも、昨年のマギとの模擬戦、何分で勝負がついたか、お忘れですか?
 それに、どうやら、そちらよりも、こちらの方が、更に進歩しているようですしね。
 もしかして、長い鎖国状態を続けた所為で、周りとの実力差が判らなくなりましたか?
 どこぞの無能と同じく・・・』


 実は、ゲンドウの謀略関係で、そう言う事をやったのだが、 マギ・オリジナルとの一対一と言う話だったのに、極秘裏に、 マギ・オリジナル加え、マギ・コピーを数台使うと言う反則をやらかしたのだが・・・

 それにも関わらず、数分とかけずに、全部陥落させられたのである。
(666プロテクトをかける暇も無かったらしい)

「ま、まさか、シン大将まで、直々に・・・」

 冬月が呟く。

 そう、その声の主こそ、ゲンドウがどんな謀略をかけようとも、即座に看破していき・・・

 逆に、それを利用し、カウンターで、謀略を仕返すだけでなく・・・

 ネルフのバックに控えているゼーレの力を恐ろしいほど、削ぎまくると言うトンでもない事を、 簡単にやってのけた存在であり・・・

 噂によると、ゲンドウに絶縁状を叩き付けた碇総本家の当主に、つい先日選ばれた男である。

 因みに、現在、ゼーレの権力や支配力は、計画を始めた当初に比べ、話にならないほどに低迷している。

 何とか、ネルフを立ち上げ、特務権限を持たせる事には成功したものの・・・

 ゼーレに、敵対していた碇家の当主及び、皇神家の当主一家や、 国連軍総司令及び総参謀本部長達の軍部反ゼーレ派閥暗殺計画の殆どが失敗しただけでなく・・・
(因みに、この暗殺計画の殆どを防いだ功績で、碇シン達は、更なる出世をしたという)

 何とか、表沙汰にはならなかったとは言え、謀略を仕掛けたのが、ゼーレとゲンドウであると言う事が、 財界の重鎮達や一部高官達などにバレてしまって、余計に警戒されることになり・・・

 結果、碇財団を吸収できず、国連軍への支配力も弱くなり・・・

 予定よりも、敵対組織を潰せないだけではなく、逆に、増やしてしまい、中立どころからも、 異常に警戒される事になったのである。

 つまり、この男の所為で、ゼーレは、万全じゃない状態なっただけでなく、 1部の議席が消滅させられたとも言えるのだ。

 更に、起死回生の為に行った第16独立連隊というようなシナリオにはない部隊の設立というか、 特務権限収得及び国連軍入りの妨害に失敗し・・・
(某国を使って、契約の邪魔をしようとしたが、逆に謀略に乗せられ、何時の間にか暴走し、 後で振り返れば、誰が見ても愚かとしか言えない行動をとらされてしまったらしい)

 その結果、かなりの損害が出て、ただでさえ、台所事情が苦しいのに・・・

 ワザワザ、ゲンドウが、その部隊に余計な手出しを、何度もしたお陰で、苦しい台所を、 更に、大幅に削られ、火の車なのである。
(無論、人的被害も馬鹿にならない)

 その為、昨年、のゲンドウの第16連隊に対する最後?の謀略(連隊司令の暗殺や、システムの破壊)が、 失敗した後・・・・・・

『これ以上、貴様は、彼の者たちに余計な手出しをするな!
 やったら、シナリオの妨害者として、その地位を剥奪し、しかるべき報いを下す!』


とキールを始めとする、生き残っていたゼーレの8使徒全員に、ゲンドウと冬月は、 キツク釘を刺されていたりする。
(その時点で、ゼーレの椅子は4席程、空席になっていた・・・因みに代替わりもしているのにである)

『レイ、マナ、カヲル、ムサシ君とケイタ君が終わらせて居るから、残りのデータを回収しつつ、 アッカムとジドム及び、使徒の一部を旗艦に収納、そして、帰還準備を・・・』

『『『は!』』』

 3人は、モニターの外を見ながら敬礼をする。

 いつのまにか、使徒と謎なメカとの戦いは終了していた。

『データ収集、完了・・・』

 レイが呟くように報告した。

『ジドム、アッカム、及び、使徒の両腕部、収納完了です』

 次いで、マナがそう報告。

『帰還準備完了』

 最後にカヲルがそう言った。

『では、ネルフの皆さん、声だけで失礼します。
 我が甥の報いはいずれ・・・』


 シンのどこと無く、怒りを押さえたような声が響いた。

 冬月はその声に寒気を覚え、発令所にいた意識のある者は全員硬直した。

 そして、そのまま通信が切れる。

 硬直が解けたネルフの面々が、慌てて使徒と初号機の方を見ると・・・

 そこには、腕が無く、胴体には大きな穴の開いたボロボロの使徒の死骸と・・・

 武装ビルの誘爆に巻き込まれた一角・・・

 更に、その誘爆に巻き込まれたのか、使徒以上に、ぐちゃぐちゃ、 いわゆる大破以上の状態にされた初号機の残骸が映っていた。

 その後、何かが刺さった頭から、血を流しつつも、何とか、自力で復活し、 発令所に戻ってきたゲンドウが、その初号機の残骸を見て、再び、崩れるように、 倒れたと言うのはいうまでもない。







 第16独立部隊・旗艦・空中戦艦ジャーカイム

「さてと、これからどうなるかな?
 でも、やはり、一族の者を殺されたら、家族としても、一族の当主としても、 世界財団連盟代表総帥としても、それなりの報復をすべきだよね」

 シドムとアッカムを回収した後、モニターを切ったその艦橋で、立派な制服を着ている青年がそう言った。

「碇君!」

 レイ=アンカード准将がそう言いながら、その青年に抱き付いた。

「おっと」

「心配したのぉ〜」

 レイはそう言いつつ、シンの胸に顔を、ぐりぐりと擦り付ける様にする。

「あはは、ごめんね、あそこまで上手くいくとは思わなかったからさ」

「あぁ〜レイちゃんずるい!」

 マナ=キリシマ大佐が怒ったようにそう言う。

「ははは、レイ君、僕達だって、かなり心配したんだから、直ぐに抱き付きたいんだよ、シン君に」

 カヲル=L=ナギサ大佐は、にこやかにそう言った。

「一番に抱き付いて甘えるのは本妻の特権・・・クスクス」

 レイはクスクス笑いをしながら、そう言った。

 因みに、艦橋にはこの4人以外、誰もいない。

 実は、ある存在が、完璧に制御しているのである。

「ははは、皆も心配かけたね」

 シン中将はそう言った。

「いやぁ〜プラグの爆散を見たときは、皆、焦ったよ♪」

「そうそう、シンジの命令が無かったら、絶対皆、本気で暴走したんだからね」

 カヲルとマナが、ニコニコしながらそう言った。

「どうやって、脱出したの?」

「いや、あの時は、既に居なかったしね」

 レイの質問に、シンはそう答えた。

「何時、居なくなったの?」

「回線を切られて直ぐ、モニターや回路なんかに細工をして、そのままね・・・
 まさか、自分達の指示で爆散させるとは思わなかったけど・・・」

 何時の間にか、レイとは逆側に抱きついているマナの質問に、シンジは、簡単そうにそう言った。

「なるほど、アレが上に出た時は、既に、ディラックの海を使って、出ていたのか」

 納得したように、1人抱きつくタイミングを逃したカヲルが頷く。

 ココまで来ればお判りであろう。
(と言うか、バレバレですな)

 碇シン大将こそ、実は逆行してきたシンジであり、先程、エヴァ初号機に放り込まれた少年である。

 そして、レイ=アンカード准将は、先に脱出していた綾波レイ。
(それまで、どうやって功績を稼いでいたかは、バレバレかもしれないが、今は内緒である)

 マナ=キリシマ大佐は霧島マナであり、カヲル=L=ナギサ大佐は最後のシ者であった渚カヲルである。

 勿論、この3人も、シンジと共に逆行してきている。

「お土産は?」

 シンジの胸に顔をうずめていたレイがそう言った。

「あぁ、チャンとね」

 そういいながら、シンジ(今はシンだが)は、三つの紅い珠を見せる。

「母さんのコアと、サキエルのコア、それに初号機のコア・・・
 そう言えば、レイは?」

 おそらく、サキエルのコアは遠隔操作でとっていたのであろう。

「チャンとあるわ」

 そう言って、レイも三つの紅い珠を見せた。

「この世界のリリスのコア、零号機のコア、そして、赤木ナオコのコア」

「これでそろったね」

「えぇ、準備は万端」

「お爺様達が待っているよ」

「では、旗艦・空中戦艦ジャーカイム・・・

 財団第三人工島・極東支部へ向かって出発!」

「「「ラジャ!」」」










To be continued...


(あとがき⇒悪あがき?)

ネルフと言うか、上層部ぴ〜んち・・・
何時までもつかぁ〜
因みに、アスカは逆行していません。
故に、アスカファンの方は読まれない方が無難かもしれません。
元々、この作品では、扱いが良いキャラではありませんでしたので、
どうなるか、保証できませんから・・・
しっかし、元のとは、かなり変わったと思うから、どうなるかはわかんないけどね。
(もともとは、脱出したシンジをこの部隊が保護して、色々な事をするハズだったんだけどね。
そういう交渉、他に色々出てるから・・・)



(ながちゃん@管理人のコメント)

とりもち様より、「新起動世紀ヱヴァンガル改」の第四話を頂きました。
相変わらず、ここのミサトは粗大ゴミですな。上官相手に無茶苦茶なことを言ってますし。
でも、チルドレン殺害等の容疑で、まさに風前の灯火ですよね、この女・・・。
この後どうなるのでしょう?(すでに一階級降格しちゃってるし、追加の罰がある?)
シンジ君、やはり生きていました(でも、シンジ君としては死亡扱いで、今後の出番なしか?)。
しかも第二の特務機関のトップだとは・・・やりますな(ニヤリ)。
さらにすでに色んな面子が揃っているし・・・片やネルフは残りのカスばかり。もう勝負は見えているのでは!?
あ、マヤさんはヘッドハンティングを希望ッス(笑)。赤毛猿はどっちでも可です。リツコはいらねぇ(笑)。
フフ、ジンジ君(シン大将)たちは、これからネルフをおちょくっていくのでしょうね。とても楽しみです。
続きが待ち遠しいです。執筆、頑張って下さいね!
P.S.ここのカヲルって、♂ですか?♀ですか?(笑)
とりもち様、次の電波(第五話)も待ってますよぉー。
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