そして、そこにいた全員が、黙り、アンダーソンに注目する。

 アンダーソンの口が開く。

「世界を破滅から護る事こそ、我等が組織され、巨大な権限を与えられ た最大の理由である。
 許可さえいただければ、使徒の殲滅の任、我ら連隊全員、ありがたく拝命する。
 国連軍第16連隊、司令・碇シン上級大将
 以上だ!」


 会場が歓声で沸いた。

 事務総長は睨まれ続けた緊張感から開放され、崩れるように、倒れたが、誰も気にしなかった。










新起動世紀ヱヴァンガル改

第六話 会議・話し合いに萌ゆ?

presented by とりもち様











 ネルフ本部・第一会議場

「以上が、二時間前に国連で行われた会議の様子です」

 映像を切って、リツコがそう言った。

 ココには、副司令である冬月と、各部の部長及び、課長クラスの人間が、殆ど、集まっていた。

 冬月は、ゲンドウの代わりに出席したゼーレの嫌味大会が終わった後、 直ぐに参加することになったので、かなり疲れている様子だ。

 因みに、ゲンドウは、病院から復帰していないので居ないが、 元々、こういう会議には来ないので問題ない。

 入院が長引いているのは、頭を割った事もあるが、初号機が壊滅的に大破し、 コアが欠けた悪夢で、精神的にやられ、起きてこないようである。
(深く刺さっていなかったようだし・・・)

 復活するのは、リツコが初号機のコアを、 擬似的な復活させコピーか偽物を作って、 本物と誤魔化してからだろう。

 そして、この会議は、最初、色々な議題が飛んでいたが、予算関係の問題や、 午後から各支部から新しい人員が、続々来る事になっていて、更に、それにあわせ、 リストラや一部給与カットなどの話が出た後、それを納得させるために、 先程の会議の様子を見せたのである。

 前回の使徒戦の失態の所為で、全員殆ど寝ていないほど、大忙しである。

「つまり、今後、追加予算は一切入らないと言うことですか?」

 保安部長が手をあげて、そう言った。

「一切と言うわけではないわ。
 現状では、出資してくれる国が極端に減ったから、それにあわせて、極端に減ると言うことよ」

 いくら、ゼーレの支配下にあり、色々とネルフに流れる金を着服し、自国が復興して、 ある程度裕福になったとは言っても、出せる金額は決まっている。

 とても、今までのような潤沢な予算が来るはずが無い。

 というか、そう言う国には、ゼーレ関係の企業以外、殆どないらしいので、 表向き、あまり裕福ではないらしいが・・・

 また、色々な事情で、そう言うところも、極秘裏に出資している状態である。

 しかし、その内、バレて、他の企業との取引が極端に減っていき、結局、 殆どの国民が逃げるように居なくなり、国がやせ細っていき、無責任なゼーレから見放され、 国が潰れる事態になり、世界財界連盟に泣きつく事になるのだが、 今は関係ないので、ココまでにしておく。

「現状では・・・というと?」

「ネルフが、使徒を倒せない限り、どんどん減ると言う事ね」

 その場にいた殆どの者が、作戦部の方を見る。

「そんな・・・
 今、ネルフ本部には、 動かせるエヴァが無いんですよ!」

 なぜか、ミサトの代わりに出席しているマコトがそう叫んだ。

 零号機は先の事故で、凍結中・・・

 更に、パイロットは行方不明で、自殺説が有力。

 初号機は大破、パイロットは戦死している。

「それについては、ドイツから、セカンドチルドレンと共に、弐号機が送られてくるし、 アメリカの第一、第二支部から、参号機、肆号機が、送られてくる。
 チルドレンも、近々、選抜される予定だ」

 冬月がそう言った。

「ですが、資金が無ければ・・・」

「その為、他国にある支部のうち、重要でないと思われる所を閉鎖し、 資金、資材等を回収する事になっています」

 既に、ゼーレの指示により、ネルフ支部の大幅な縮小計画が実行されており、 大量のリストラなどが吹き荒れる事は決定済みである。

 そして、今後の事を考え、今まで各国から毟り取って、 支部が溜め込んでいた資金をかき集めているのだ。
(没収される前に・・・)

 因みに、必要な人材は日本本部、松代支部、ドイツ支部辺りに集めるか、 もしくは、一旦、クビにした事にし、ゼーレの秘密基地に送る事になっている。

 それに、支部を潰すと言う事を話しているものの・・・

 既に、殆どの国で、ネルフの支部を潰す動きが出ている為、 自ら選び、潰す必要は殆ど無いのだが・・・
(因みに、アメリカにある両支部も、エヴァを送り次第、閉鎖が決定しているらしい)

 元々、ここ数年でかなりの予算を世界各国から吸収し、蓄えていたのだから、 支部を食い潰すように減らし、その資金を回収すれば、 余程馬鹿なことをしなければ、何とか、約束の時までもつと言う考えである。

 そう、余計過ぎる度を超える被害を出さなければ・・・

「保安部から意見なのですが・・・」

「何でしょう?」

「ウチの部署で、増員がされていても、同じ位、人員が削減される予定だと、計画書にはあります」

 保安部員は、入ってくるよりも、リストラされる人数のほうが多い。

 コレは、上層部が、マギの管理の方を人間より、信頼しているからである。

「それで?」

「ガードする人員は逆に増える為、今後の保安体制に、かなり、不安が残りますが・・・」

「それは、マギによるサポートで、充分にカバーできるはずです」

 リツコはそう言いきった。

「いえ、そう仰るなら、それで良いのですが・・・」

 そう言って、周りに目で何事かを合図する。

「そこで、確認なのですが、現在、我々は不要な人材を、出来るだけ排除するわけですよね?」

 今度は整備課長の1人が手をあげて、そう訊いて来た。

 勿論、リストラだけでなく、給与の一部カットもある。

「そうですが?」

「ならば、何故、あの作戦部長が、そのままなのですか?」

 今度は、諜報部第二課課長がそう言った。

 そこに居たほぼ全員が、同調するように頷く。

「な!」

 マコトが驚いたように声をあげた。

 まぁ、言外に、作戦部長をクビにしろと言われたのと、同じなのだからであろうが・・・

 因みに、作戦部と保安部、諜報部、整備部の仲は、あまり良くない。

 いや、部同士が良くないと言うより、作戦部長と他の部の間が、 かなり険悪と言った方がいいだろう。

 理由は、作戦部長であるミサトの勤務態度と、その横暴すぎる態度にある。
(最近は、日向のミサト贔屓も問題に上がるようになってきた)

 勿論、技術部も、作戦部、いや、ミサト個人にあまり良いイメージを持っていない。

 なにせ、無断遅刻早退欠席当たり前、勤務中でも、酒を飲み、大いびき。

 書類を当たり前のように、部下に押し付けたり、 作戦部長権限を使って、勝手に他の部署の所員達、 しかも、自分よりも上の階級の者を、平時でも、作戦部長と言う権限を笠に、 平気で顎で使ったりする。

 また、暇だと言いながら他の部署にくれば、酒気を振りまき、 そこに居る部下達の士気を落としたり、チャチャ入れしたりして、仕事の邪魔をする。

 特に、技術部では、最も忙しい場所の中心とも言えるリツコの所にやって来て、 コーヒーなどをたかったり、愚痴を言ったり、武器の開発が遅れている事に、不満を言ったり、 文句をつけたりして、自ら、仕事の進行を妨害する。
(自覚無し)

 その癖、再び仕事の進行が遅れていると、文句を言いつつ、更に、仕事の邪魔をする。

 その為、プログレッシブ・ナイフだけでなく、本来なら肩のニードルやパレットライフル等の開発も、 第三使徒戦の時には、間に合っていたのに、全ては、作戦部長のミサトがやった邪魔の所為で、 開発が遅れて、準備出来なかったのである。

 因みに、武装ビルの稼働率が悪く、援護が出来なかった理由は、 本来、その計画書等の作成や、その監督などは、作戦部長であるミサトの仕事なのに、 只でさえ、仕事の多いリツコに、無理やり押し付けたからである。

『出来る時にやっといてねぇ〜』とか、
『リツコなら出来るって、ジョブ、ジョブ』とか言って・・・
(そのくせ、暇とか言って、更に邪魔しに来るのだから、遅れて当然である)

 更には、自ら迎えに行くと言い、監視し、警護し、 もしもの時はつれてくる予定だった諜報部に対して、 無理やり本部に待機命令を出していたのにも係わらず、 約束の時間には、サード・チルドレン候補であった少年を迎えに行くどころか、 家で呑気に寝ていたらしい。

 彼が自力で来てくれたから良いようなモノの、下手をすれば使徒と戦自の戦いか、 N爆雷の爆発に巻き込まれて、その時点で、死んでいたかもしれないのだ。

 それに、呼び出す為に使った写真は、ドギツく、青少年少女保護条例に引っかかるどころか、 PTAのおばさんの団体が阿鼻叫喚のバーサーカー状態で、怒鳴り込んでくるようなモノだった。
(現在、コピーが大量に量産され、日向を除く殆どの男性所員に出回り、 第三新東京市内にも、出回り始めているらしい)

 そして、いくらチルドレンに選ばれたとは言え、来たばかりで、拝命してもおらず、 事情も何も、全く知らない民間人の子供に、ロクな説明もせず、いや、する事さえ邪魔をし、 身勝手な事や、訳の分からない事を叫び、強引にプラグ内に押し込ませたと聞く。
(この辺は冬月の情報操作もあるが、整備部とかの話で、尾ひれ等が、たくさんついている)

 その癖、乗せたら乗せたで、落ち着かせるどころか、指示も与えず、 逆に挑発し、口喧嘩を始め・・・
(シンジが挑発していたようだが、そこはそれ、噂が広まる時点で、全てミサトの所為である)

 更には、射出時の安全を確保する為、シートに座らせるという最低限の事もせず、 そのまま使徒の目の前に打ち出し、気絶させ、 エヴァ初号機ごと使徒のの生贄にした。
(この辺りは、オペレーターをしていた日向以外の所員達から流れている)

 最後に、証拠隠滅とばかりに、プラグを、ミサイルを抱え込んでいた武装ビルに突っ込ませ、 爆散させたのである。
(まぁ、実行したのはマコトだが・・・)

 この所為で、一部の国連の国々の上層部では、
【本当は、ネルフ自身が、人類を滅亡させる気なのでは?】
と言う噂が流れているらしく、コレも予算を得られない原因の1つであると言われいるし、 各部長や課長達もそうだと理解している。
(ある意味、それも正しい事だが・・・)

 言わば、今のネルフの危機的状況を作り出した張本人なのに、クビにならず、 処罰は、軽い減棒と高々、一階級降格、それに訓告だけである。

 そんな話がネルフ本部内全体で回っているのだから、 ミサトに対する不満が蔓延していてもおかしくない事である。

 何せ、一階級降格されたとは言え、作戦部長の手当てを含む給与は、下手をすると、 下級所員の数人分である。

 しかも、その作戦部長がネルフでやっているのは、他部署の仕事の邪魔と、 所員達にストレスを与える事だけ・・・

 後は、外の組織と交渉の時に、来る必要が無い時に、 わざわざ(出張費目当てで)しゃしゃり出て来て、 傲慢すぎる態度で出て、ネルフとの間に軋みを作り出し、 色々と、やり辛くして行く事のみ・・・
(外注工事が以上に高く、また、手抜きが時々あるのは、この所為とも言われている)

 はっきり言って、邪魔しかしていないのだ。

 こんな状態なのに、ミサトはリストラの対象にはならず、代わりに、 将来が有望な新人や部下が首を切られ、自分達の仕事や負担が増え、 更に、給料も減ることになるのだから、他の部署の人達に不満が起こらないはずが無い。

 作戦部もリストラを予定しているが、リストラ対象になっている者達は、 先ず、作戦部長であるミサトをクビにしろと叫ぶ事になるのは目に見えている。

 言わないのはゲンドウの子飼いである諜報三課、通称諜報特殊監査部と、 事情をある程度知る副司令の冬月と技術部長のリツコ、それに恋の盲目で、 現実から目を背けて続けて悦に浸っているマコトだけである。

 事実、リツコがある程度押さえている技術部でも、かなり不満をもっているのである。

 因みに、リツコの腹心であるマヤでさえ、そうなのである。

 彼女が計算し、リツコに提示した結果によると、ミサトを懲戒免職にして、追放すれば、 様々な要因が重なり、ネルフ本部の作業効率は、少なくとも、5倍以上に跳ね上がるらしい。
(邪魔がいなくなり、やり直しが減り、士気が上がるなどなど・・・)

 だが、その事を、マヤがリツコに上申した時、リツコは・・・

『い、一応、あれでも作戦立案能力なんかはずば抜けているらしいし、 何が起こるかわからない使徒との戦いには柔軟な・・・そのね・・・』

 と屁理屈のような言い訳を並べて、誤魔化したらしいが・・・

 当然、リツコを立てて、一旦、引き下がったものの、 マヤは内心、全く納得していない。

 彼女は、リツコはミサトに何か弱味を握られており、 ミサトはそれを使って、戦自から、ネルフに裏口入社?し、 今の地位を築いた存在で、全くそれに見合った実力が無いと考えている。

 因みに、コレはマヤだけの意見ではなく、リツコを除く技術部の総意になってきており、 更に、段々と他の部署にも広がっているのである。

 それた話を戻そう・・・

 ミサトをクビにする。

 確かに、それは、今のネルフにとって、無茶苦茶、魅力的な話で、 ある意味、現状を打破できる強力且つ、唯一の手とも言える。

 冬月やリツコでさえ、その甘美な誘惑に、グラリと来る。

 だが、某事情により、ミサトを使徒戦のある場所から、 離す訳にはいかないので、それが出来ない。

 それなら、牢獄にでもと言う話もあるが、使徒との戦いは、主に第三新東京市、 黒き月で行われるが、一部、例外がある為、ある程度動かせる状態に置かなければならないので、 それはまだダメだし・・・

 それに、そんな事をしたら、下手をすれば、常に司令部の誰かが見張ってない限り、 誰かが、勝手にタバシリに送ってしまう事も考えられるからだ。
(かなり恨まれているしね)

 それに、依り代の作成の為、チルドレンの心を砕く為、チルドレンの比較的近い位置、 教育係りみたいな地位においておかなければならないし、 戦闘中もある程度、依り代達に心に負荷を与え、 最終的にその心を壊す為にも、作戦部長と言う地位から離す訳にもいかないのである。

 第一、裏・死海文書に拘り、それに縋っているゼーレの老人達がそれを許すハズがない。
(それに、ネルフに恨みを持たれてないと、ゼーレも最後がやりにくいし)

 そして、会議場では、半ば睨み合いの様なモノが続く。

 緊迫していて、誰も意見をいえないし、動けない・・・

 そして、そんな状況を、壊し、動かしたのは・・・

 バン!

「ごめ〜ん、遅れちゃった♪
 ん、どったの?」

 場の空気を読まず、重要な会議に当たり前のように遅刻してきたネルフ本部・作戦部の部長、 葛城ミサト、その人だった。

 因みに、この女、使徒戦後、その処理等で、クソ忙しい時に、無許可で勝手に帰っていた。

 しかも、案の定、息は酒臭い・・・

 当然ながら、この後、会議は、議題など関係なく、荒れに荒れたと言う。



 その頃、国連極東本部内の第16独立連隊の敷地にある格納庫・・・

「・・・コレが、次のかい?」

 冷や汗を流しながら、カヲルがそう言った。

「だよ」

 シンジは平然とそう言った。

「赤いわ・・・」

 レイは嫌そうにそう言った。

「そう言う設定の色らしいよ」

 シンジはそう言った。

「額に角付なのね」

 マナは、睨みながらそう言った。

「まぁ、一応、隊長機?だからね。
(あれ?・・・あんな角、あったかなぁ〜)」

 シンジはクビを傾げながら、疑問系でそう言った。

 実際のそれには、額に角は無いかららしい。

「で、コレの名前は?」

 カヲルがそう訊いた。

「赤い水兵のツァア専用モビルフォース強化型ズクだよ」

 シンジがそう答える。

「ドリルじゃなくて、鉤爪なのね」

 そこが一番の不服とばかりに、レイが呟く。

「まぁ、量産型はドリルらしいけどね。
 色と角とそれ以外は、性能とかも、量産タイプと変わらないらしいよ」

 シンジは苦笑しながら、そう言った。

 ゲインが3倍でも、1.2倍でもないらしい。

「頭だけでも戦える?」

「似ているだけだよ、コックピットでもないし・・・」

 頭を指しながら言ったマナの質問に、シンはそう答える。

「シンジ君」

「なんだい?」

「お爺様たちは何を考えているんだい?」

 カヲルがそう言った。

「・・・どうせ、ゼーレとネルフをコケにするなら、パチモン勝負って言っていたわね」

 マナが代わりにそう言った。

 とは言うモノの、形以外の性能は、かなり違うものらしい。

「じゃぁ、なんで、ガンガルがないんだい!」

 だが、なにか拘りがあるのか、カヲルがそう言った。

「初期型はマユミが持っていったわ。
 何せ、アレはエネルギーゲインが1/3だし、反応速度も1/5だし・・・
 ネルフをコケにするために、某企業の社長に極秘裏に売るって」

「まぁ、初期型は脆いし、そのデータを無視して作成される強化型が、その内やってくるよ。
 それは確り、ドリル付きになる予定だし」

 レイとシンジがそう言った。

「カヲル、あまり、好き嫌い言っていると、 災襲血賎さいしゅうけっせん兵器のアレに載せるわよ 」
(因みに誤字ではない)

 マナがそう言った。

「・・・(汗)・・・あ、アレだけはやめてくれ・・・」

 カヲルはそれをチラリと見て顔を蒼くして、そう言った。

 そこには、とある特殊なロボットが置いてあった。

 それは、兵器と言うには、あまりにも無骨だった。

 パッと見でわかる兵装はキャノン砲・・・ 何故に?

 そのシンプルな・・・というか、過ぎる腕、足・・・ というか、型抜き?

 装甲と言う言葉が空しくなる骨組みだけの胴体・・・ 中身が見えている。

 モノがつかめそうに無い一枚板の手・・・ 筋があるだけに見える。

 引きずるようについている、 そのつっかえ棒にしか見えない電源ケーブル・・・ つながっているのか?

 止めに投げ遣りなその顔・・・ 目と鼻、それに耳らしきモノのみだ。

 そう、それは中国湖南省の長砂国防科学技術大学に、 眠っていたものを、皇神財団の総帥が面白がって、モビルフォース並に大きく改良?し、 送りつけてきた設計図と部品から、2時間とかけずに生み出された超兵器!

 そう、その名は、先行者!

「因みに、パイロット席コックピット?は、 “肩”よ」

「外じゃないか・・・しかも、取っ手がついているだけだし・・・
 しがみ付けって言うのかい?」

 レイの言葉に、カヲルはそう言った。

「チャンと、落ちないように、足枷もついているわ」

「わぁ〜しんせつですねぇ〜」

 レイが、感情を込めずに、そう付加え、 マナが、やる気がないのか、それとも、あるからなのか、 レイに合わせるように、棒読み口調で、そう言った。

「尚更、悪いじゃないか!
 だいたい、晒し者じゃないのかい?!」


「(一応、腕時計型の操縦機もあるんだけどね〜)」

 シンジは黙って、そのやり取りを見ている。

 最も、こういうやり取りは、レクリエーションみたいなモノだから、 シンジは面白そうに見ているだけなのだ。

「アタッチメントにドリルアームと強化型中華キャノン用の筒、それを運ぶサポートメカ付」

「わあ、すごい・・・」

 だが、無視するようにレイは説明を続け、マナも棒読み口調でそう言った。

「本気で思っている?」

「操縦方法は、耳元にやさしく声をかけるの」

 カヲルの言葉を何のその、レイは操縦法を教えた。

「じんごをりかいする、えいあいつきなんですねぇー」

 マナも、棒読み状態でレイに合わせる。

「と言うかさ、アレに声をかけるのって、精神に異常をきたさないかい?」

「「「・・・・・・・・」」」

 そのカヲルの言葉の後、しばらく、沈黙が支配した。

「き、気にしては負けよ」

 ようやく、搾り出すような声で、目をそらしているマナがそう言った。

「いや、それ以前の問題だと・・・」

 その議論らしきものは、一時間に渡って続けられたらしいが、結論は出なかったらしい。








 混乱の会議?が強制終了となったネルフでは・・・

「ったく、何よ、ちょっち遅れただけじゃない」

 バンソウコウを頬に張っているミサトがブツブツと文句を言った。

 先ほどの会議で、当然の如く、ミサトが非難の集中攻撃を喰らったらしいが、 案の定、ミサトが一番に暴れだして、襲い掛かり、怪我人が続出したらしい。
(その所為で、会議は中止されたが・・・)

「ちょっとって、貴女、どのくらい遅れたと思っているの?」

 頭に軽く包帯を巻いたリツコがミサトを非難の目で睨みながら、そう言った。

 どうやら、とばっちりを受けたようだ。

「あはははは♪」

 笑って誤魔化すミサト・・・

 因みに、会議の開始は9時からだったのに、ミサトが本部内に入ったのは10時45分・・・

 何故か、ミサトのマンションから本部までの間の道で、信号無視の蒼い弾丸のような車の為に、 事故が置き、その処理で、今も警察が動いているらしいが・・・

 それから、迷って、結局、近くに居た保安部の下っ端?に無理やり命令して案内させ、 会議場に着いたのが12時過ぎ・・・

 しかも、案内させたのは、警備に当たっていた一尉の課長であったりする。
(ミサトより階級が高い)

 因みに、ミサトが入った入り口から、会議場まで、普通に歩いても30分で着くところらしいのに、 その課長が捕まったのは、ミサトが入ってきたゲートの150゜程、ずれたゲート付近とか・・・
(正反対ではなく、微妙にズレているのがミソ)

「貴女、昨日、朝一会議を理由に、 勝手に無断で、 早退していたんじゃなかったっけ?」

「いやぁ〜ちょっち寝坊してさ・・・」

「・・・貴女、いいかげんにしないと、クビになるわよ」

 とは言うモノの、ミサトはゼーレの老人達にある意味、保護されている為、 そんな事にはならないだろうが・・・

「そこはそれ、リツコ♪」

「言っとくけど、今日の遅刻を無しになんかは絶対に出来ないから・・・
 アレだけの目の前で、堂々と遅刻してきた事がなかった事になったら、 いくらなんでも、“私は不正をしまくって、 皆の給与を盗んでいます”と言う旗を背負いつつ、 意味不明な言葉を叫びながら走り回るようなものだし・・・
 そうなれば、今まで誤魔化してきたモノまで、取り上げられて、 色々と不都合が私にもふりかかってくるわ」
(緑の救急車が来そうな例えだ)

 因みに、ミサトは、マコトでは誤魔化しきれない事で、給料が削られる事になったら、 リツコに泣きついて、それをなかった事にしてもらっていたりする。

 完全に犯罪行為なのだが、ミサト本人には、その自覚は全く無い。

 寧ろ、当然の権利と思っている。

 また、リツコも、某事情により、ある程度、ミサトを優遇しなければならないので、1人か、 ミサトと2人だけの時に、こっそりデータをいじってあげているのである。

 しかし、最近になって、マヤを始めとする技術部の部員たちに、 リツコの仕事を邪魔している事で、しつこいほど文句を言われたらしく、 珍しく、リツコにあまり迷惑をかけない様にしようと考えたミサトは、 そのやり方を自分で覚えようと、リツコの手の動きを解析し、 研究中であるとか・・・
(犯罪である)

「えぇ〜そんなぁ〜
 ただでさえ給与が減るから、来月のえびちゅが・・・」

 とは言うモノの、ミサトの基本給与等は結局、 階級分が下がっただけで、殆ど減っていない。

 つまり、アレだけのミスをやらかしたのに、まともに減棒すらさないのである。

 最も、上層部が、色んな意味で大変な状況なので、降格だけで、 減給の辞令を忘れていると言う話もあるが・・・

 因みに、ミサトの他に、ゲンドウ、冬月、リツコ、それに、 諜報特殊監査部の一部ゲンドウの子飼いである部長と、 諜報三課の者達が、 このリストラと減給の吹き荒れる嵐の中、減給などが無い。

 ということは、他の者達には、必ず減給があると言う事である。

 そして、総務部から、ミサトがマトモに減給されてないという情報が流れ、 後日、納得が行かないと、抗議と非難の嵐が来る事になる。

 他は、減給されなくとも、納得できるかも知れないが、 あの作戦部長だけは納得いかないと言う事で・・・

「いい加減にしなさい!
 自分の所為でしょうが!
 私も忙しいのよ!
 貴女も、自分の仕事があるでしょ!」


 仕事の邪魔をしているミサトに、ついにリツコが怒鳴った。

「だ、大丈夫よ、日向君がいるから・・・」

 しかし、分かっていないのか、手をパタパタ振りつつ、おき楽そうにミサトがそう言った。

 因みに、日向も、確り怪我をしているものの、ミサトに頼まれたので、嬉々として、 ミサトの仕事や始末書等を代わりにやっている。

「私が、貴女にココにいられたら、 邪魔っていっているのよ!
 その所為で、武器の開発や武装ビルの整備計画とかが、 また遅れたらどうする気!
 使徒には勝てないのよ!」


 その態度に、どこかがきれたリツコはそう叫んだ。

 何せ、初号機のコアのコピーを何とか作り、ゲンドウを誤魔化さなければならないのだから・・・

「えぇ〜そんなの困るわよ!
 給料泥棒じゃない!
 給料分位は確り働いて、チャンと完成させなさいよ!」


 どの口が言うのか、ミサトはそんな事を叫んだ。
(因みに、本来、武装ビル関係はミサトの仕事である)


 ブチィイ!!


「だったらでてけぇ〜〜〜!!!」

「うきゃ〜!」

 最後は物を投げつけられながら、ミサトは技術部を追い出された。

 その状況を見ながら、マヤを始めとする他の技術部員達は、いかにしてミサトをネルフから追放するか、 もしくは、赤木部長に近づけないようにするかの作戦を練る事にしたのである。










To be continued...


(あとがき⇒悪あがき?)

 ミサト、自覚全く無し・・・
 まぁ、この世界では、甘やかされているようだしね。
 この世界では、ある意味、裏・死海文書の通りの事が起こっているので、 ゼーレの老人達は拘っています。
 最も、力が弱まった原因は、自分達が解釈を間違えて、失敗しているだけで、 世の中で起きている事には、ズレがないと考えています。
 まぁ、実際に、そう取れるように解析しなおしたのでしょうが・・・
 因みに、何故、ココまできても、老人達は疑いをもたないのか・・・
 それは、今までに、バレバレで重要なヒントが、埋まって・・・いないか、でていたし・・・
 しっかし、思い出しながらだと、所々矛盾の修正や、気付かずに同じ事を書いてたりするんだよね・・・
 では、また次でお会いしましょう・・・(TωT)/~~~ BYE BYE



(ながちゃん@管理人のコメント)

とりもち様より、「新起動世紀ヱヴァンガル改」の第六話を頂きました。第五話と同時投稿です。
ミサトさん、素敵です♪(笑)
とりもち様の熱い想いが伝わってきました。
しかしまぁ〜何ですなぁ〜、ネルフ内でも、完全に四面楚歌ですねぇ〜、この女。
積極的に庇っているのはマコトのみ。首脳陣はイヤイヤながら・・・ですもんねぇ〜。
反省の色は一切なし。まさにネルフのガン細胞ですね。ま、ネルフ自体も人類のガン細胞ですがね・・・。
あ、でも、サード殺害の嫌疑とかはどうなったんでしょう?・・・結局、誰も責任を取らずに、シンジ君は犬死かな?
先行者・・・ムフフ、グッドです♪
実は、管理人にとっては、時事ネタなんですよ。
なんせ、まさに昨夜、今までなかなか読む機会がなかった「ネオエヴァ」を、第一話から一気に拝読させてもらったばかりですので・・・(笑)。
感想メールを送らせて頂きましたが、無事届きましたかぁ〜?(>とりもち様♪)
かなり、笑わせてもらいましたよ。
これは第16連隊バージョンということですかな。是非とも、このSSでも活躍を見てみたいですね♪
バックミュージックも、すごく楽しみですし♪
いやはや、続きが待ち遠しいですなぁ〜。
とりもち様、次の電波(第七話)も待ってますよぉー。
作者(とりもち様)へのご意見、ご感想は、メール または 感想掲示板 まで