新起動世紀ヱヴァンガル改

第十五話 交渉?決裂

presented by とりもち様





 作戦が認可された(とミサトは思っている)途端、司令執務室から出ると・・・

『日本中の電気を集めるように準備して!』

『あの使徒の攻撃でもビクともしない盾を準備しなさい!』

『戦自研に行って、陽電子砲を徴収するから、連絡よろしく!』

 と、その辺の廊下に居た所員(作戦部員ではない)に、 すれ違いざまに言って、戦略自衛隊つくば研究本部へ、 整備部員達をかき集めて、向かっていた。
(参号機は、調整が終わっていないと言う事で、拒否されている)

 無論、すれ違いざまに言われただけで、自分達も忙しいし、別部署なので、全員シカトしている。

 いや、戯言か、別の誰かに言ったと思って、誰も行動していない。

 また、整備部員達は、最初は疑い、一旦、拒否して、連絡を取ったら、 司令からの命令であるらしい事が確認された為、渋々、従ったのである。
(問い合わせに、ゲンドウは『問題ない』の一言だった)

 当然、渋々、ついて行くのだから・・・誰も、先方、つまり、戦自などに確認を取らなかった。

 言い出したんだから、その位していると思って・・・





 ミサトが居なくなったネルフ本部司令執務室

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 そこでは、ゲンドウが、自分の机の上に並べられていくそれを見て、呆然としていた。

 ついでに冬月の代わりにゲンドウの横に立っているリツコも、かなり唖然としている。

「こ、コレは、なんだ?」

 沈黙が数分間続き、それがペンギンの形に並べられたところで、ゲンドウがそう言った。

 大体、理解はしていたが・・・認めたくなかったと言うのが大きいだろう。

「は、葛城ミサトの部屋にあったペットのペンギンであったモノと推測されます。
 コレがその証拠となるものとおもわれます」

 だが、黒服は、そうハッキリ言って、【PEN】と刻印の入ったプレートも置いた。

「・・・(み、ミサト、まさか貴女・・・)」

 そのプレートに見覚えがあったリツコは、眩暈を感じた。

「・・・どう言う事だ」

「つまり、酒の摘みとして、絞められ、唐揚げか、焼き鳥にされたと推測されます。
 詳しくは技術部の調査に任せるしかありませんが・・・」

 ゲンドウの問いに、黒服はそう答えた。

 まぁ、技術部も、こんな事を調べたくはないだろうが・・・

「・・・(コレでは、使えんではないか・・・
 いや、むしろ、この事実が知られては拙い)」

 そう、実は、ご想像通り、ゲンドウは、ミサトの家に居ると言うペンペンを、 人質・・・いや、鳥質にして、第十六独立連隊の作戦や戦力を使って、使徒を殲滅し、 ネルフの手柄にするつもりであった。

 当然、他人の褌どころか、他人に相撲を取らせ、勝ち星だけ自分達のものにしようとしているので、 ミサトの作戦など、全く当てにしていない。

 勿論、上手く事を運ぶ事が出来るなら、副司令であるレイ=アンカードを、 ネルフ本部に呼び出し、拉致監禁し、薬を使って、自分の愛人にする計画まで立てていたのだ。

 まさに自分にとって、都合の良い状況が鬼のように続かないと出来ないような無謀な事なのだが・・・

 そこはそれ、ゲンドウがよからぬ事を企み始めた時、 傍に居れば、長年の付き合いのお陰か、阿吽の呼吸の如く気が付き、 穴だらけの計画を、突っ込んだり、埋めたり、フォローしたり、 時には、諦めさせる冬月が、まだ入院中で、傍におらず・・・

 結果、誰にも相談しないので、突っ込んでくれるものが居ない為、 ゲンドウは、その妄想の中で、完璧な作戦と思い込んでいた。

 しかし、流石に、その為には、生きた温泉ペンギンを向こうに見せる必要があり、 最低でも、写真が無ければ、いくらなんでも、最初から計画が瓦解する。

 そして、写真を撮るにも、骨だし・・・

 マギでダミーを作ろうにも、元が判らないし、 自分達では、その微妙な違いがわからないから、 別ペンギンの写真を作ってしまう可能性が高い。

 プレートで証拠と言うのも、偽物とか、殺したと疑われたら、終わりである。

 そして、突っ込まれた事を訊かれ、その場では、誤魔化したとしても、調べられ・・・

『実は、ネルフの作戦部長が、弟さんを、おいしく食べていました♪』

 なんて事がバレたら、非常に拙い。

 何せ、向こうはペンギンとは言え、あの碇シン司令の直属の部下の1人で、 超一流のエージェントである。
(取り寄せた資料にそうあったらしい)

 おそらく、破壊されたゼーレの秘密研究所の幾つかは、奴の仕業だろうとゲンドウは考えていた。

 更に、アレは下手な人間よりも、狡猾で、鋭いはずだ。

 あの要求の押し合いでも、その力量がゲンドウにはわかった。(多分・・・)

 よほどの事が無い限り、信用しないだろうし、下手をすれば、 ネルフを仇の如く、敵視するようになるだろう。

 そうなれば、今後も非常に拙い・・・

 あの資料の半分以下の能力であろうとも、人ではないあの姿なら、工作をするのは容易いだろう。

 ゲンドウはそう結論付けた。

 ギリ・・・

 ゲンドウは忌々しそうに、歯軋りをした。

 取らぬ狸の皮算用だと言っても、自分が完璧と思ったいた姦計をやる前から潰されたという事で・・・
(尤も、他人が聞いたら、どこが?と訊きたくなるようなご都合主義に固まっているが・・・)

 いや、それどころか、逆に窮地に立たされたという事で・・・

「この事は、暫く、超S級の極秘とするのだ」

「「へ・・・」」

 そのゲンドウの言葉に、黒服とリツコが言葉を漏らす。

「奴らに知られるわけにはいかん!
 出来うる限り、隠しとおせ!

(カスめ・・・俺に恥をかかせおって)」

 ゲンドウは怒鳴るようにそう言った。






 一方、その頃、ミサトはと言うと・・・

 いきなり、戦略自衛隊つくば技術研究本部のゲートを、強引に車で破り、トレーラーを従えて、 敷地内に乗り込んでいくと・・・
(トレーラーの方は一旦止まったが、ミサトが止まらず逝くので、ついて逝った・・・誤字にあらず)

 ミサトは、自走陽電子砲のある研究倉庫の前にやってきて、車を降りると・・・

「と言うわけですので、
 本日、この陽電子砲は特務機関ネルフが徴発します」

 と何事かと出てきた戦自の技術官達に、徴発礼状もなしに、自分のIDを突き出してそう宣言していた。

 唖然とする戦自の技術官達・・・

 しかも、突き出して見せられている身分証は、所々、マジックで消してある。
(普通無効である)

 後ろにネルフの制服を着た者達が居なければ、 即座に不法侵入者ということで、取り押さえたであろう。
(ネルフの権限は弱まったとは言え、まだ、完全ではないから・・・)

「・・・しますと言われても・・・」

「命令は正式なものです」

「では、礼状は・・・コッチには命令もきていませんし」

「・・・・・・誰か持ってきた?(汗)」

 無論、全員知らないので、首を横にフリ、嫌〜な感じを覚える。

 当然、誰も持っていない。

 何しろ、そんな礼状、出してもらう以前に、申請すらしていないのだから・・・

 沈黙が続く。

「時間が無いので・・・礼状は」

 ミサトが切り替えそうとするが・・・

「ウチの上層部からの正式な命令も、礼状も無ければ、出来ませんな。
 しかも、何が、と言うわけでだけでやるバカがどこに居るんですか?」

 ミサトの態度で、礼状など、一切無い事がわかった現場責任者は、強気でそう言った。

「時間が無いのよ!」

「それだけで、他組織に自分の所の強力な開発中の兵器を、 ほいほいと気軽に渡す組織がどこにありますか!」

 ミサトと現場責任者が怒鳴りあっている。

 ミサトはヒートアップして、目の前しか見ていない。

 戦自の兵達が、武装して集まってくる。

 それを見て、ミサト以外のネルフ所員たちは、顔を蒼くして、その場から離れ始める。

 と言うか、戦自の現場責任者と睨み合っているミサトを見捨てて、逃げ帰ろうとしている。

「連絡が着ているはずよ!」

「そのような連絡は一切着ていません!」

 ミサトの言葉に、現場責任者がそう言いきる。

「嘘おっしゃい!」

「嘘じゃない!
 国連、政府、ウチの上層部どころか、そちらからも、
一切、そう言う要請は着ていない!」


 実際に誰も、そんな要請どころか、どこにも連絡すらしていないのだから、当然である。

 そんな事をやっているうちに、ミサトを除いた所員達は車に乗り込み、転進し始めている。

 だが、当然、ゲート辺りで、武装兵に止められ、もめている。

 そして・・・

「確かめなさいよ!」

「自分で、確かめればよかろう!」

 そんな言い合いになっていた。

 一方、他の所員達は、結局、そのまま、無抵抗で、投降する事に下らしく、 武装した戦自の兵の乗る車(武装ジープ?)の誘導にしたがって、何処かに行っている。

 そんな状態になっているとは気付いていないミサトは・・・

「コッチはネルフよ!
 特務権限で!」


「今のネルフにそんなモノは無いだろうが!!」

 未だ言い合いをしている。

「だぁ〜!!
 コレでも!」


 そして、ミサトが、アッサリ切れ、銃を取り出し、現場責任者に向けようとした途端・・・

 ダーン!!

「がぁっ!!」

 ミサトの身体がくの字に折れて、横に弾き飛ばされた。

 ライフルらしきモノで、横っ腹を狙撃たれたようだ。

 そのまま、建物の壁まで吹き飛ばされた。
(どんなライフルを使ったんだ?)

 無論、その衝撃で、ミサトの銃は別の所に転がっていった。

 そして、ミサトの居たところには、黒い丸い球が転々と・・・

「確保ぉ!!」

 隊長らしい兵がそう叫んだ途端、武装した兵達が、現れ、倒れているミサトに銃を向けつつ・・・ いや、まだ動いているので、撃ちつつ、囲む。

 そして、暫く、フクロにして、拘束具を付け、口に轡(ギャグ)を咥えさせ、 更に、どう見ても、金属製のワイヤーのようなモノで、簀巻きにした。

「地下の特別独房に転がしておけ・・・」

 隊長がそう言った。

「いやぁ〜あそこからあった忠告を聞いていてよかったですね」

 ミサトに銃を突きつけられそうになった現場責任者が、冷や汗を流しつつ、隊長にそう言った。

 一応、撃たれなかったが、銃を突きつけられ、かなり肝が冷えたようだ。

「ですな・・・あの提供された(猛獣)捕獲用の鎮圧ライフルでも、 完全には意識を奪えませんでしたし・・・」

「でも、最初のあれ、どう考えても、威力的に、殺傷能力がありません?
 下手したら、像でも吹き飛んで、死にそうですよ」

「・・・向こう曰く、ネルフの人造強化兵士には、 普通の鎮圧弾では、豆鉄砲ほども効きもしないとの事でしたからね・・・
 実際に、アレだけ受けていて生きていますし・・・
 まぁ、途中から麻酔弾を撃ち込みましたがね。
 中々、効きませんでしたし、聞いていたのより、耐久性は凄まじいみたいですね」

 運ばれていくミサトを一瞥しながら、隊長はそう言った。

「ウチでは、そう言う人道的に反する実験はしていませんからな」

「えぇ、3年前に潰されたあそこと違いますからね」

 そんな会話をしていると・・・

「隊長、あっちは、全員、正式で真っ当なネルフ職員のIDを持っていて、大人しく投降しました」

 武装兵の1人がやってきて、そう訊いてきた。

 まぁ、向こうは身分証にラグガキをするような非常識じゃないし、 直ぐに、しかも、簡単に確認が取れるだろう。

「ネルフに連絡をいれてからだな。
 あちらさんは、一応、第七倉庫にでも、固まってもらっておけ」

「判りました」






 それから、少し経って・・・ネルフでは・・・

 
 で、納得できる作戦は出来たのかね?
 

 ペソペソ特務二佐(実はペンペン)が、白板の前に立って、モニターに映っていた。

「クッ・・・葛城特務伍長はどうした?」

 小声で、ゲンドウは、リツコにそう訊いた。

「い、いえ、整備部から、人員を連れて行ったまま戻ってきていません」

 リツコがそう報告した。

 
 で、納得できる作戦は出来たのかね?
  コッチも待ってやる時間は必要ないのだがね?
   逃げたのではないかね?
    それより、作戦の説明は?
    いい加減、指揮権をコッチに渡してはどうかね?

 


 その間に、ペソペソ特務二佐が、更に白板に書ていく。

 だが、ゲンドウは答える事は出来ない。

 そして・・・


 あぁ〜あ、まじめに交渉をしてやって損をしたな。
 


 と、小さく書き加えた後で・・・

『ケッ・・・』

 一鳴きして、ゲンドウを横目で見た、ペギペギがお盆に載せてきた飲み物を受け取って、飲み、 更に、一瞥する。
(芸が細かい)

 ビキィ!!

 ゲンドウの額に青筋が出た。

 そう、ゲンドウには、判ったのだ。

「(奴は馬鹿にしている。
 鳥類の分際で、人間様であるこの俺様を、心の底から馬鹿にしているぅ!!)」


 だが、ゲンドウは何も言い返せない。

 実績も無く、使徒を倒す力も無い以上、コッチの方が、立場が弱いのだ。

 しかも、相手の弱みになるハズだった肉親らしいペンギンは、 身柄を確保するどころか、コッチの作戦部長が食べてしまっている。

 それとなく匂わせて、交渉しようにも、そんな事をしたら、即座に調べるだろう。

 相手はその道のプロなハズだ。

 下手な一流スパイよりも、実績がある(らしい)。

 しかも、話半分で訊いていても、ネルフに気付かれる事無く、色々な事を調べ上げる事ができるだろう。

 そんな相手に、探している肉親がコッチの手の内にあると思わせたら、 即座に調べ上げられ、食べた事がバレテしまう可能性が非常に高い。

 そうなれば、かなりの確立で、奴はコッチを潰すべく、色々な事をやりだすだろう。

 政治的にも、物理的にも・・・

 態々、相談に行ったら、冬月も・・・
『今は絶対に隠し通すように』
と言った。

『死にたくなければ』
とも・・・

 もし、この失態がばれ、話が広がったら・・・

 今の状態では、老人達が、作戦部長を庇う為にも、司令であるゲンドウの首を、 文字通り、切る為に動くだろう。
(ゲンドウが食った事にして・・・)

 故に、ゲンドウは何も言えなかった。

 あの無能女がいかに有害であり、自分の方がいかに重要だと思わせるまでは・・・

 だが、屈辱だった。

 これ以上ないほどに屈辱だった。

 人間にバカにされるのだけでも、激怒し、何をするか分からない男が・・・

 人間ではない、ペンギン、つまり、幾ら頭がよくとも、 鳥類に大衆の面前でバカにされているのだから・・・

 それなら、この場に出なければ良いとおもうかもしれないが、 作戦部長が不在な以上、交渉には、自分が居ない訳にはいかないからだ。

 だったら、早々に指揮権を渡せば良いかも知れないが・・・

 しかし、自分で渡すのは嫌だ。

 プライドが許さなかった。

 どうせなら、あの無能女自身にさせた方が、まだ良かった。

 いや、むしろ、この屈辱と同じだけのものをあの無能女に与える為にも、 あの使徒殲滅に拘るようになっている無能女自身の口から言わせる為に、 この屈辱にも耐えているのだ。

 
 いい加減にしないか?
 時間が無いのだぞ

 


『くわ』

 ペソペソ特務二佐が、グラスをお盆に戻し、白板にそう書き換えて、 人間みたいに、呆れた様子を出す為に肩を竦める。

 本当に芸が細かい。

「葛城特務伍長はどうなっている!!」

 かなりの青筋を立てたゲンドウが、そう怒鳴った。

 すると・・・・・・

 ぷるるるるるるる・・

「・・・え?
 本当なの?
 そ、それで・・・・・・少々お待ちください。
 せ、先、いえ、赤木博士・・・」

 マヤが外線から、何かの報告を聞き、そして、リツコがいる司令所まで、内線をいれた。

「どうしたの?・・・へ?・・・本当なの?・・・(汗)
 此方から連絡すると言う事で、一旦、切って貰って・・・
 えぇ、そう、コッチはそんな事、命令していないから・・・
 そう、独断の暴走と言う事で・・・じゃぁ、お願い」

 リツコが、マヤから、報告を聞いて、冷や汗をかきつつ、指示を出し、ゲンドウの傍に行き・・・

「司令、お耳を」

「どうした」

 血走っている目で、睨むゲンドウの耳に、リツコが耳打ちする。

 つくばの戦自研から、ネルフの作戦部長を名乗る女が来て、そのこ責任者に銃を突きつけて、 開発中の兵器を強奪しようとしたので、身元を確認して欲しいという連絡が来ている事を・・・

 更に、コレは戦自、延いては日本政府に対する宣戦布告かという抗議文と共に・・・

 ビッキ!!

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 ぶしゅ〜〜〜!!

 ゲンドウが声にならない叫びを上げた途端、額の青筋から、血の噴水を上げ・・・

 バタ・・・

 そして、そのまま倒れた。

 時間が止まる。

 ネルフ本部にいやぁ〜な空気が流れた。

『くわぁ!』

 
 あぁ〜指揮権を頂くが、問題は無いだろう?
 ココまで待ったんだしな・・・
 


 モニターのペソペソ特務二佐が、無表情?で、そう書いてきた。

 リツコは、了承するしかなかった。

 因みに、この交渉は確り録画されており、数日後、敵味方関係なく、老人達を楽しませる事となる。

 まぁ、今は関係ないが・・・





 第十六独立連隊・旗艦ジャーカイム

「さて・・・そろそろ、やりますかね?」

 シン(大人バージョンの時はこう書きます)がそう言った。

「で、どうするんだい?」

 カヲルがそう訊いた。

「マナ・・・」

 レイが、マナに声をかけた。

「既に設置してある砲台で、使徒を撃ち、反撃する瞬間を狙って、別方向から撃つ作戦を考えました。
 ネルフ内に、此方の兵器を持って行きたくないので、 衛星軌道上にあるサテライトキャノンで打ち抜く事を考えましたが・・・
 それをやると、第三新東京市の一部と、地下のジオフロントの大半に甚大な被害が出るので・・・
 横の二方向から、時間差で撃って、最初の反撃の時に、さくっとコアを遠隔で抜いてもらいます。
 勿論、更に別方向にも予備を準備しています」

 マナがてきぱきと、説明した。

 実は、指揮権が譲渡されたら、直ぐできるように、準備をしていたのである。

「そっちの方が、衛星の作戦より、被害も少なく、ネルフをバカに出来そうだしね♪
 遠隔で中和してやればいいし、ついでに回収してもよさそうだし♪」

 カヲルが面白そうにそう言った。

「はい、ご苦労様。
 皆さんはもしもの事を考えて、避難していて下さいね。
 砲台の設置、両方とも済んだそうです」

 何故か今回は来たマユミがそう報告した。

 おそらく、1時間半(実質2時間)と言う時間は、その準備をする為に必要な時間だったのであろう。

「じゃぁ〜やるかね」

 シンジがそう言って、作戦が決行された。






 ネルフ本部・・・

 指揮権の譲渡が済んだ途端、第十六独立連隊の作戦が決行された。

 最初に、強力な実弾兵器が使徒を襲う。

 撃たれた使徒は、ATフィールドで防御し、即座に反撃するが、その反撃と同時に、 別の方向から撃たれた砲弾に、その身を貫かれかけて、沈黙した。

「ぱ、パターン青、消滅です」

 モニターを見た青葉が、そう呟くように言った。

 その報告に、発令所に居た全員が、呆けた。

 譲渡して、使徒が殲滅されるまで、5分と経っていない。

 そのあっけない幕切れに・・・

 因みに、ゲンドウは病院に運ばれている為、ココにはいない。

「い、今のは?」

 リツコが呟くようにそう言った。

「・・・判明しました。
 二回目のは、ミサイルや、レーザー兵器などではありません。
 ただの実弾兵器です。
 ただ、その口径が非常識なほど、超巨大ですが・・・
 その証拠に、撃たれた面には巨大な穴が開いております。
 更に、反対側の面には、砲弾の一部が出ています。
 完全に貫通は出来なかったようですが、使徒のコアは完全に砕いた模様です」

 シゲルがそう言った。

 モニターには、使徒を貫きかけた巨大な何かの塊が映っていた。

 確かに、砲弾だ。

 おそらく、回転させ、威力等を増す為に加工された溝があるが、確かに、砲弾である。

 非常識にでかいが・・・

「・・・あ、あんな事で倒せる相手に、私達は何をしていたのでしょうかね?」

 誰かが、そう呟いた。

 だが、その言葉に、答える事が出来る存在は、そこには居なかった。

 確かに、一発の威力は小さくとも、二度目の攻撃は、動かせる武装ビルや他の方面から、 物量ですれば、使徒は倒せなくとも、少なくとも、かなり弱める事が出来たハズだ。

 倒せなくとも、その攻撃の間に、弐号機を出し、攻撃させれば・・・

 そうすれば、弐号機が大破する事も無く、ネルフの力で倒せたかも知れない。

 しかし・・・自分達がやったのは・・・

 ただ、世界中の血税を毟り取って作った高価過ぎる兵器を、敵の攻撃にさらし、破壊させただけ・・・

 しかも、その中に、未だ13歳の少女を入れて・・・殺しかけ・・・

 自分達は何の為にココにいるのだろうか・・・

 いや、本当に、こんな組織に居ていいのだろうか?

 ネルフにいる所員の殆どの気持ちだったろう。






 その頃・・・

「気が付いたようだね?」

 医者らしき男が、ベッドに横になっている少女に声をかけた。

「<こ、ココは?>」

 少女は、首を動かしてそう呟いた。

 因みに、喋っているのは日本語ではなかった。

「ん?・・・<ココは日本の病院だよ>」

 その言葉に合わせて、医者が話す。

「<日本の病院?>・・・日本?」

 少女は医者の言葉を繰り返し、そして、今度は日本語でそう聞き返した。

「そうだよ、ココは、日本だよ・・・
(まさか・・・)
 と、ところで、何処か痛いところは無いかね?」

「<えっと>・・・特に」

 少女は、少し考えて、そう言った。

「何でココにいるかわかるかね?」

「え・・・私は・・・あれ?」

 少女は、いきなり考え込む。

「・・・おや?
 悪いが・・・自分の名前を言えるかい?」

「え・・・わ、私の名前?
 私の名前は・・・・・・あれ?」

 どうやら、少女は自分の名前が思い出せないようだ。

「・・・・・・フム、コレは困ったね。
(予想外ですね・・・)」

 医者はそう言って、軽く頭をかくと何処かに連絡を入れ始めた。










To be continued...


(あとがき⇒悪あがき?)

 使徒殲滅完了・・・

 って、あれ?

 ミサトとペソペソ(ペンペン)の交渉が・・・

 う〜む、デムパに導かれるままに書いたら、ミサトが戦自に捕まっちゃった。

 再びゲンドウが病院に行くし・・・

 先行者で倒そうと思っていたけど、某方々からの要請で、
未だ壊すわけにはいかなくなったから、作戦変更したし・・・

 いやぁ〜本当は四方から撃って、先行者が、真上、空からコマ○チしながら落ちてくるの・・・
(摩擦熱で、真っ赤になりながら・・・)

 そのまま使徒に突貫する予定でした・・・体当たりで・・・例の物は撃てずに・・・
(理由は空中だから、大地のエネルギーが貯まらない)

 そして、使徒には、くっきりとその跡が・・・

 う〜む。

 ま、いいか、修正範囲だ♪(本当か!?)

 ともかく、次は事後処理で、その次はJA編かな?

 やっとココまで来たか・・・

 でも・・・ネルフどこまでもつかな?

P.S もう一度ここに書きますが・・・
    D−エッジさんとの話し合いは一応の決着がつきました。
    私も、D−エッジさんも、これ以上、
    この話題で騒がれたくないという考えです。
    ゆえに、これ以上は、ココの掲示板にも書かないでください。
    ココの掲示板は、他の作家さん宛ての感想も書かれています。
    これ以上は、どんな言い訳を言おうとも、単なる荒らしでしかありません。

P.S2 なんか、何処かでペンペンの骨のネタが出ているらしいですが、どこですか?
     そのようなメールが来たので、何処か教えて欲しいと返事を出したら、
     そのメールは、嘘メアドだったらしく、あて先不明で返ってきました。
     嘘で無いなら、はっきり、その場所を教えてください。
     (かなり、決め付けたメールでしたね・・・
      まさか、まだ煽ろうとしているんですかね?)
      今後はこのような無責任メールも無視させていただきます。
作者(とりもち様)へのご意見、ご感想は、メール または 感想掲示板 まで